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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176350
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/04 20090101AFI20221117BHJP
   H04W 8/24 20090101ALI20221117BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H04W48/04
H04W8/24
H04M3/56 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161530
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2019032517の分割
【原出願日】2019-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 広晴
(72)【発明者】
【氏名】細野 英一
(72)【発明者】
【氏名】萬浪 一貴
(72)【発明者】
【氏名】冨安 恵巳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保馬
(72)【発明者】
【氏名】高宮 和貴
(57)【要約】
【課題】音声通信を受信中の無線機の近くにいる別の無線機にて再生された音声により、音声を受信中の無線機の利用者の音声通信を聞き取り難くなることを防止する無線通信装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる無線通信装置(1)は、音声信号を送信する送信部(40)と、音声通信の発呼許可要求を受信する受信部(10)と、無線機間の距離を取得する取得部(20)と、送信部が第1の無線機へ音声信号を送信している間に、受信部が第3の無線機から第2の無線機への発呼許可要求を受信した場合、取得部(20)が取得した第1の無線機と第2の無線機との距離に基づき、前記第2の無線機に対する音量制御の内容を判定する判定部(30)とを備え、送信部(40)は、判定部(30)が判定した内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を送信する送信部と、
音声通信の発呼許可要求を受信する受信部と、
無線機間の距離を取得する取得部と、
前記送信部が第1の無線機へ音声信号を送信している間に、前記受信部が第3の無線機から第2の無線機への発呼許可要求を受信した場合、前記取得部が取得した前記第1の無線機と前記第2の無線機との距離に基づき、前記第2の無線機に対する音量制御の内容を判定する判定部とを備え、
前記送信部は、前記判定部が判定した内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の無線機と前記第2の無線機との距離が所定の距離以内の場合、前記第2の無線機に対する音量を制御すると判定し、
前記送信部は、前記判定部が判定した前記音量制御の内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記取得部は前記第1の無線機の音声再生の音量レベルを取得し、
前記判定部は前記第1の無線機の音量レベルに応じて、前記所定の距離の値を変える、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記取得部は前記第1の無線機の音声再生の音量レベルを取得し、
前記判定部は前記第1の無線機の音量レベルに応じて、前記第2の無線機に対する音量制御の音量レベルを変える、
請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
音声信号を送信することと、
音声通信の発呼許可要求を受信することと、
無線機間の距離を取得することと、
第1の無線機へ音声信号を送信している間に、第3の無線機から第2の無線機への発呼許可要求を受信した場合、前記第1の無線機と前記第2の無線機との距離に基づき、前記第2の無線機に対する音量制御の内容を判定することと、
判定した内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信することと
を含む無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置に関し、特に、無線機による音声出力の音量を抑制する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機による発呼を抑制する技術が知られている。特許文献1には、着信先の移動局の位置するエリアが音声着信不可エリアである場合に、音声による着信を許容していない旨を発信元の移動局に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-234082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある無線機が音声通信を受信し再生している際に、受信中の無線機の近くにいる他の無線機が新たに他の音声通信を受信し再生する場合、他の無線機にて再生された音声が受信中の無線機の利用者の音声通信を聞き取り難くすることが発生することがある。特許文献1では、予め設定された音声着信付加エリアに位置する移動局に対する発呼を制御することはできるが、音声通信を受信中の無線機を基準とした制御を行うことはできないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、音声通信を受信中の無線機の近くにいる別の無線機にて再生された音声により、音声を受信中の無線機の利用者の音声通信を聞き取り難くなることを防止する無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、音声信号を送信する送信部と、音声通信の発呼許可要求を受信する受信部と、無線機間の距離を取得する取得部と、前記送信部が第1の無線機へ音声信号を送信している間に、前記受信部が第3の無線機から第2の無線機への発呼許可要求を受信した場合、前記取得部が取得した前記第1の無線機と前記第2の無線機との距離に基づき、前記第2の無線機に対する音量制御の内容を判定する判定部とを備え、前記送信部は、前記判定部が判定した内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信することを特徴とする無線通信装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、音声信号を送信することと、音声通信の発呼許可要求を受信することと、無線機間の距離を取得することと、第1の無線機へ音声信号を送信している間に、第3の無線機から第2の無線機への発呼許可要求を受信した場合、前記第1の無線機と前記第2の無線機との距離に基づき、前記第2の無線機に対する音量制御の内容を判定することと、判定した内容を含む信号を前記第2の無線機へ送信することとを含む無線通信方法提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、予め音声通信を受信中の無線機の近くにいる別の無線機にて再生された音声により、音声を受信中の無線機の利用者の音声通信を聞き取り難くなることを防止する無線通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1にかかる無線システムの構成例を示す模式図である。
図2】実施の形態1にかかる無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】無線通信装置1の動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1にかかる無線システムの動作を説明するための図である。
図5】実施の形態1にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】実施の形態2にかかる無線システムの動作を説明するための図である。
図7】実施の形態2にかかる無線システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0011】
[実施の形態1]
まず、図1の模式図を用いて、本実施の形態1にかかる無線システム1SYの構成について説明する。図1に示すように、無線システム1SYは、無線通信装置1と、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E105と、記憶部500と、を備えている。なお、無線システム1SYは、例えば、業務用無線システムであるが、これに限らない。無線システム1SYは、例えば携帯電話回線等を用いた無線通信システムであってもよい。
【0012】
無線通信装置1は、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E105のそれぞれと無線通信を行うことができる装置である。すなわち、無線通信装置1と、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E105とは、それぞれ無線通信によって接続されている。そして、無線通信装置1は、各無線機の制御をおこない、ある無線機から受信した音声通信を中継して他の無線機に送信することができる装置である。無線通信装置1は、例えば、基地局、リピータ(Repeater)等である。
【0013】
無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E105は、無線通信装置1を介して無線通信を行うことができる装置である。なお、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E105には自身を特定する固有の識別番号であるUnit ID(以下、UIDと呼ぶ)が付与されている。無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、無線機E105のUIDは、それぞれ、100_UI、200_UI、101_UI、102_UI、105_UIとする。なお、各無線機は、自機の位置を検出する手段を備える。自機の位置を検出する手段は、例えば衛星等からの信号により自機の位置を測位するものであるが、これに限らない。自機の位置を検出する手段は、周知の位置検出技術のいずれにより構成されてもよい。各無線機は、UIDと自機の位置情報を無線通信装置1に送信する。
【0014】
無線機C101のことを第1の無線機101、無線機D102のことを第2の無線機102、無線機A100のことを第4の無線機100、無線機B200のことを第3の無線機200、無線機E105のことを第5の無線機105とも呼ぶ。
【0015】
記憶部500は、無線通信装置1によるアクセスが可能な記憶媒体である。ここでは記憶部500が無線通信装置1に接続されている状態について説明するが、無線通信装置1が基地局である場合には、記憶部500は無線通信装置1の内部に備えられる構成であってもよい。また、記憶部500は、無線通信装置1との間に無線通信を行う無線機のUIDと位置情報とを対応付けて記憶テーブルに記憶する。また、記憶部500は、音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDを別の記憶テーブルに記憶する。
【0016】
続いて、図2のブロック図を用いて、本実施の形態1にかかる無線通信装置1の構成について説明する。本実施の形態1にかかる無線通信装置1は、受信部10と、取得部20と、判定部30と、送信部40と、を備えており、外部にある記憶部500と接続している。
【0017】
受信部10は、UIDと位置情報とを各無線機から受信する。そして、受信部10は、受信したUIDと位置情報を記憶部500へ出力する。また、受信部10は、発呼先の無線機のUIDを含む音声通信発呼許可要求信号と音声通信発呼終了通知信号とを発呼元の無線機から受信する。そして、受信部10は、受信した音声通信発呼許可要求信号と音声通信発呼終了通知信号とを判定部30へ出力する。更に、受信部10は、発呼元の無線機から音声通信を受信し、受信した音声通信を送信部40へ出力する。
【0018】
取得部20は、無線通信によって無線通信装置1と接続された全ての無線機の位置情報を記憶部500から取得し、取得した無線機の位置情報から複数の無線機の間の距離を算出する。例えば、取得部20は、内部に備えられたCPU(Central Processing Unit)等がプログラムを実行することにより、複数の無線機の間の距離を算出し、算出した距離情報を判定部30へ出力する。
【0019】
判定部30は、記憶部500に音声通信を送信中の発呼先の情報を確認し、発呼先の情報が記憶されている場合には、その発呼先の無線機のUIDを取得する。また、判定部30は、受信部10から、発呼先の無線機のUIDを含む音声通信発呼許可要求信号を取得する。更に、判定部30は、取得した音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDと取得した音声通信発呼許可要求の発呼先のUIDに基づいて、取得部20から音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予め音声通信を送信中の発呼先の無線機との間の距離情報を受け取る。更に、判定部30は、受け取った距離が内部に記憶された所定距離以内か否かに基づいて、音声通信発呼許可要求に対して音量制御の内容の判定と発呼を許可するか否かの判定をおこなう。
【0020】
具体的には、判定部30は、受信部10から音声通信発呼許可要求信号を受け取ったとき、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予め音声通信を送信中の発呼先の無線機との間の距離情報と内部に記憶された所定距離に基づいて、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予め音声通信を送信中の発呼先の無線機との間の距離が所定距離以内の場合には、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して音量を制御すると判定し、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して発呼を許可すると判定する。また、距離が所定距離以内でない場合には、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して音量を制御しないと判定し、音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDとして、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機のUIDを記憶部500へ記憶し、更に、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して発呼を許可すると判定する。そして、判定部30は、音声通信発呼許可要求に対する判定結果として、発呼先の無線機に対する音量を制御する判定と、発呼元の無線機に対する発呼を許可する判定とを、送信部40へ出力する。例えば、判定部30の処理は、内部に備えられたCPU等がプログラムを実行することによって実現できる。
【0021】
送信部40は、判定結果を判定部30から受け取る。そして、送信部40は、判定結果に従って、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して判定した音量制御の内容を含む信号、すなわち、音声再生の音量を制御する音量レベル制御通知信号を含む信号を送信し、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して判定した内容を含む信号、すなわち発呼許可を含む信号を送信する。また、送信部40は、受信部10から受け取った発呼元の無線機の音声通信を中継し、発呼先の無線機へ音声通信を送信する。
【0022】
無線通信装置1は、上述した構成を備えることにより、音声通信をおこなっている無線機のうち、送信先である無線機との距離が所定の距離以内である他の無線機に対して新たに他の音声通信の送信をおこなう場合、他の音声通信で再生する音声の音量を制御することができる。これにより、音声通信をおこなっている無線機の利用者の音声通信の聞き取りを妨げず、同時に別の無線機の音声通信の音声の再生を可能にすることができる。
【0023】
ここで、無線通信装置1の動作について図3を用いて説明する。
【0024】
受信部10において音声通信発呼許可要求信号を受信すると、音声通信発呼許可要求信号と音声通信発呼許可要求信号を発呼した発呼元の無線機のUID及び発呼先の無線機のUIDとが判定部30に送られる(ステップS10)。
【0025】
判定部30では、取得部20経由で記憶部500に対して音声通信を送信中の無線機の有無の確認をおこなう (ステップS11)。
【0026】
ステップS11で、音声通信を送信中の無線機がない場合(No)、判定部30は音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機のUIDを記憶部500に記憶する(ステップS12)。
【0027】
音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機のUIDを記憶部500に記憶するとともに、判定部30は送信部40から音声通信発呼許可要求をおこなった無線機に対して音声通信発呼許可信号を送信する(ステップS13)。これにより、音声通信が開始される。
【0028】
ステップS11で、音声通信を送信中の無線機がある場合(Yes)、判定部30では、取得部20に対して記憶部500から音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDと音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機のUIDを元に、それぞれの無線機の位置情報を取得させると共に、取得したそれぞれの無線機の位置情報をもとに無線機間の距離を算出させる(ステップS14)。
【0029】
判定部30は、取得部20で算出された距離と判定部30内に記憶された所定の距離とを比較し、取得部20で算出された距離が所定距離以内か否かを判定する(ステップS15)。
【0030】
ステップS15で、取得部20で算出された距離が所定距離以内でない場合(No)、判定部30は音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機のUIDを記憶部500の記憶を書き換える(ステップS12)。更に、判定部30は送信部40に対して音声通信発呼許可要求をおこなった無線機に対して音声通信発呼許可信号を送信させる(ステップS13)。
【0031】
ステップS15で、取得部20で算出された距離が所定距離以内である場合(Yes)判定部30は、送信部40に対して音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に音量レベル制御通知信号を送信させ、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機の音量を所定のレベルに低下させる。(ステップS16) 更に、判定部30は、送信部40に対して音声通信発呼許可要求をおこなった無線機に音声通信発呼許可信号を送信させる(ステップS17)。
【0032】
続いて、図4及び図5を用いて、実施の形態1の動作について詳細に説明する。なお、図4及び図5において、同じステップ番号では同じ処理が実行される。
【0033】
本実施の形態1では、無線通信装置1を経由して第4の無線機100が第1の無線機101を発呼先として音声通信を行い、更に、第3の無線機200が第2の無線機102を発呼先として音声通信発呼許可要求を行う場合について説明する。
【0034】
各無線機は、電源がオンされると定期的に自身の位置情報を取得し、取得した位置情報と自身を特定するUIDとを無線通信装置1へ送信する(ステップS101)。なお、位置情報は、ここでは緯度・経度情報とする。
【0035】
無線通信装置1の受信部10は、各無線機から位置情報及びUIDを受信すると、受信した位置情報とUIDを記憶部500へ出力する。そして、記憶部500では、各無線機の位置情報及びUIDを関連付けてテーブル501へ記憶する(ステップS102)。なお、記憶部500のテーブル501は、各無線機のUIDと最新の位置情報とを関連付けて記憶するテーブルである。また、テーブル501は、最新の情報に定期的に書き換えられる。
【0036】
はじめに、第4の無線機100の利用者は、第1の無線機101と音声通信を行うため、第1の無線機101のUID(101_UI)を入力後、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを押下する。ここでいう音声通信は、例えば個別音声通信とする。第4の無線機100は、PTTボタンを押下されると、発呼先である第1の無線機101のUID(101_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号を無線通信装置1へ送信する。送信された発呼先の第1の無線機101のUID(101_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号は、無線通信装置1の受信部10で受信される。そして、受信された発呼先の第1の無線機101のUID(101_UI)を含む音声通信発呼許可要求は、判定部30へ出力される(ステップS103)。
【0037】
次に、無線通信装置1の判定部30は、取得部20を経由して音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDが記憶部500のテーブル502に記憶されているか否かを確認する。この段階では、音声通信を送信中の無線機は存在しないため、記憶部500のテーブル502には音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDは記憶されていない。この結果、無線通信装置1の判定部30は、音声通信を送信中の無線機は無いと判断する。(ステップS104)。
【0038】
次に、無線通信装置1の判定部30は、ステップS103で入力された音声通信発呼許可要求に含まれる第1の無線機101のUID(101_UI)を記憶部500のテーブル502へ記憶する(ステップS105)。なお、テーブル502は、音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDを記憶するテーブルである。すなわち、無線通信装置1の判定部30は、テーブル502に無線機のUIDが記憶されている間は、記憶されたUIDの無線機に対して音声通信を送信していることを認識する。
【0039】
次に、無線通信装置1の判定部30は、第4の無線機100の音声通信発呼許可要求に対して発呼を許可すると判断し、送信部40を経由して第4の無線機100へ音声通信発呼許可信号を送信する(ステップS106)。
【0040】
次に、第4の無線機100は、音声通信発呼許可信号を受信すると、音声通信の発呼を開始する(ステップS107)。
【0041】
音声通信の発呼が開始されると、無線通信装置1の受信部10は、音声通信信号を受信し、受信した音声通信信号を送信部40へ出力する。そして、無線通信装置1の送信部40は、受け取った音声通信信号を第1の無線機101へ中継する(ステップS108)。
【0042】
次に、第4の無線機100が第1の無線機101に対して音声通信をおこなっている状態で、第3の無線機200が第2の無線機102と音声通信を開始する動作について説明する。
【0043】
第3の無線機200の利用者は、第2の無線機102と音声通信を行うため、第2の無線機102のUID(102_UI)を入力後、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを押下する。ここでいう音声通信は、例えば個別音声通信とする。第3の無線機200は、PTTボタンを押下されると、発呼先の第2の無線機102のUID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号を無線通信装置1へ送信する。無線通信装置1の受信部10は、発呼先の第2の無線機102のUID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号を受信すると、UID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求を判定部30へ出力する(ステップS109)。
【0044】
次に、無線通信装置1の判定部30は、取得部20を経由して音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDが記憶部500のテーブル502に記憶されているか否かを確認する。テーブル502には予め音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDとして101_UIが記憶されていることから、音声通信を送信中であると判断する(ステップS110)。
【0045】
音声通信を送信中であると判断すると、無線通信装置1の判定部30は、取得部20に対し、記憶部500のテーブル501を参照して、音声通信を送信中である第1の無線機101のUID(101_UI)と関連付けられた位置情報(地点C)と音声通信発呼許可要求の発呼先である第2の無線機102のUID(102_UI)と関連付けられた位置情報(地点D)を取得させ、取得させた位置情報から第1の無線機101と第2の無線機102との間の距離を算出させ、算出させた距離を受け取る。そして、無線通信装置1の判定部30は、受け取った第1の無線機101と第2の無線機102との間の距離が判定部30に記憶された所定距離以内か否かに基づいて、音量レベル制御判定と発呼許可判定をおこなう。なお本実施の形態1における所定距離は10mとする。本実施の形態1では、図4に示すように、第1の無線機101と第2の無線機102との距離は10m以内である。このため、無線通信装置1の判定部30は、第1の無線機101と第2の無線機102との距離は所定距離以内であると判断する。この結果、無線通信装置1の判定部30は、第2の無線機102に対して音声再生の音量を制御する必要があると判定し、第3の無線機200の音声通信発呼許可要求に対して発呼許可と判定する(ステップS111)。そして、無線通信装置1の判定部30は、第2の無線機102に対する音量制御の判定結果信号と、第3の無線機200の音声通信発呼許可要求に対する発呼許可信号を送信部40へ出力する。
【0046】
次に、無線通信装置1の送信部40は、第2の無線機102の音量を制御する信号である音量レベル制御通知信号を第2の無線機102へ送信する(ステップS112)。音量レベル制御通知信号を受信すると、第2の無線機102は、例えば、画面に表示、照明の点灯、ビープ音を鳴らす等により、音声再生の音量を制御することを第2の無線機102の利用者に伝えると共に、第2の無線機102は、予め設定された低い音量で音声通信を再生する。
【0047】
第2の無線機102は、音声再生の音量を制御する信号を受信することにより、第3の無線機200との音声通信による音声再生の音量を制御する。具体的には、音声再生の音量を低く設定して再生する。なお、音量を制御する方法は、例えば、送信部40から予め判定部30に設定された音量設定値信号を送信し、第2の無線機102では受信した音量設定値信号に従って音量を設定する。また、音量を制御する方法は、例えば、送信部40から音量を制御する通知を送信し、第2の無線機102では予め第2の無線機102内に設定された音量データに従って音量を設定する。なお、音量を制御する方法は、これに限られない。音量を制御する方法は、周知の音量を制御する技術を使用しても良い。
【0048】
次に、無線通信装置1の送信部40は、音声通信発呼許可信号を第3の無線機200へ送信する(ステップS113)。
【0049】
第3の無線機200は、音声通信発呼許可信号を受信すると、音声通信の発呼を開始する(ステップS114)。
【0050】
第3の無線機200の発呼が開始されると、無線通信装置1の受信部10は、第3の無線機200から音声通信信号を受信し、受信した音声通信信号を送信部40へ出力する。そして、無線通信装置1の送信部40は、受け取った音声通信信号を第2の無線機102へ中継する(ステップS115)。
【0051】
なお、ステップS109において、無線通信装置1が、第5の無線機105を発呼先とした音声通信発呼許可要求信号を受信した場合について説明する。第5の無線機105は、図4に示すように、第1の無線機101の位置との距離が、所定距離(10m)以内ではない。この結果、無線通信装置1は、音声再生の音量を制御する信号である音量レベル制御通知信号を第5の無線機105に送信しない。これにより、第5の無線機105は音声再生の音量を制御することなく音声通信を再生する。
【0052】
次に、第4の無線機100の利用者が第1の無線機101への発呼を終了する場合、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを開放する。第4の無線機100は、PTT(Push to Talk)ボタンが開放されると、発呼先の第1の無線機101のUID(101_UI)を含む音声通信発呼終了通知信号を無線通信装置1へ送信する(ステップS116)。すなわち、無線通信装置1の受信部10は、発呼先の第1の無線機101のUID(101_UI)を含む音声通信発呼終了通知信号を第4の無線機100から受信する。そして、無線通信装置1の受信部10は、音声通信発呼許可終了通知を判定部30へ出力する。
【0053】
次に、無線通信装置1の判定部30は、音声通信発呼終了通知信号を受け取ると、ステップS103の音声通信発呼許可要求により開始された音声通信発呼が終了したと判断し、記憶部500のテーブル502に音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDとして記録されている101_UIをクリアする(ステップS117)。その結果、無線通信装置1は、記憶部500のテーブル502に記憶された無線機のUIDをクリアしたことにより、記憶されていたUIDの無線機に対する音声通信の送信が終了したことを認識する。
【0054】
なお、第2の無線機102が音声再生の音量を制御している間に、第1の無線機101への音声通信が終了した場合、無線通信装置1の判定部30は、記憶部500のテーブル502に音声通信を送信中の発呼先の無線機のUIDが記録されていないことを確認し、第2の無線機102のUID(102_UI)を記憶部500のテーブル502へ記憶する。そして、無線通信装置1の判定部30は、第2の無線機102に対して音量の制御を中止する音量レベル制御中止信号を送信部40を経由して送信する。音量レベル制御中止信号受信すると、第2の無線機102は、例えば、画面に表示、照明の点灯、ビープ音を鳴らす等により、音量の制御を中止することを第2の無線機102の利用者に伝えると共に、第2の無線機102は、制御されない所定の音量で音声通信を再生する。
【0055】
上記ステップS101~S117により、図5に示す音声通信音量レベル制御期間において、音声通信の音声再生の音量が制御される。
【0056】
これにより、本実施の形態1にかかる無線通信装置1では、第1の無線機101に対して音声通信を送信している間は、第1の無線機101との距離が所定距離以内の無線機に対する音声通信の音声再生の音量を制御することができる。これにより、無線通信装置1は、第1の無線機101の利用者の音声通信の音声の聞き取りを妨げず、同時に第2の無線機102の音声通信の音声の再生を可能にする。
【0057】
なお、無線通信装置1は、各無線機の音声再生の音量情報と位置情報を受信し、この音量情報と位置情報に基づいて音声再生の音量を制御するか否かを判定する所定距離を変化させるようにしてもよい。この場合、無線通信装置1は、各無線機から位置情報及びUIDとともに音声再生の音量情報を定期的に受信し、記憶部500のテーブル501へ記憶する。また、無線通信装置1の判定部30は、各無線機の音声再生の音量情報を用いて音声再生の音量を制御するか否かを判定する所定距離を変化させる。例えば、音声通信を送信中の第1の無線機101の音声再生の音量が大きくなるほど、音量を制御するか否かを判定する所定距離の値を小さくし、音声通信を送信中の第1の無線機101の音声再生の音量が小さくなるほど、音量を制御するか否かを判定する所定距離の値を大きくする。これにより、各無線機の音声再生の音量に応じて、音声再生の音量を制御するか否かを判定する所定距離を変化させ、音声通信を送信している無線機の所定距離以内の無線機に対する音声通信の音声再生の音量を制御することができる。なお、以下に説明する他の実施の形態にも各無線機の音声再生の音量に基づく制御を適用することができる。
【0058】
なお、無線通信装置1は、各無線機の音声再生の音量情報を受信し、この音量情報に基づいて音声再生の音量を制御する音量レベルを変化するようにしてもよい。この場合、無線通信装置1は、各無線機から位置情報及びUIDとともに音声再生の音量情報を定期的に受信し、記憶部500のテーブル501へ記憶する。また、無線通信装置1の判定部30は、各無線機の音声再生の音量情報を用いて音声再生の音量を制御する音量レベルを変化させる。例えば、音声通信を送信中の第1の無線機101の音声再生の音量に対して、第2の無線機102の音声再生の音量を制御する音量レベルの値を所定の値分小さく設定する。また、音声通信を送信中の第1の無線機101の音声再生の音量が大きくなるほど、第2の無線機102の音声再生の音量を制御する音量レベルの値を大きく設定し、音声通信を送信中の第1の無線機101の音声再生の音量が小さくなるほど、第2の無線機102の音声再生の音量を制御する音量レベルの値を小さく設定する。これにより、各無線機の音声再生の音量に応じて、音声再生の音量を制御する音量レベルを変化させ、音声通信を送信している無線機の所定距離に以内の無線機に対する音声通信の音声再生の音量を制御することができる。なお、以下に説明する他の実施の形態にも各無線機の音声再生の音量に基づく制御を適用することができる。
【0059】
なお、無線通信装置1は、各無線機の位置情報に基づいて、音声再生の音量を制御しない位置を案内するようにしてもよい。この場合、無線通信装置1は、判定部30により、音声再生の音量を制御しない位置の案内に、記憶部500のテーブル501に記憶された各無線機の位置情報と所定距離を用いる。例えば、無線通信装置1は、各無線機の位置情報と所定距離に基づいて、音声再生の音量を制御しない位置までの距離と方角を算出し、無線機に案内するようにしてもよい。具体的には、第1の無線機101の位置と第2の無線機102の位置との距離と方角を算出し、更に、所定距離以外となる最も近い位置までの距離と方角を算出する。また、所定距離以外となる最も近い位置までの距離と方角の情報を、第2の無線機102に送信するようにしてもよい。これにより、音声再生の音量を制御する無線機に対して、音声再生の音量を制御しない位置を案内することができる。なお、以下に説明する他の実施の形態にも音声再生の音量を制御しない位置の案内を適用することができる。
【0060】
[実施の形態2]
続いて、実施の形態2について説明する。本実施の形態2の無線システム1SYAは、無線通信装置1Aと、無線機A100と、無線機B200と、無線機C101と、無線機D102と、無線機E105と、記憶部500Aと、を備えている。なお、無線システム1SYAの構成は、図1の無線システム1SYの構成と同様であり、図示および説明を省略し実施の形態1との相違点について説明する。
【0061】
本実施の形態2では、無線機A100、無線機B200、無線機C101、無線機D102、及び無線機E105には、複数の無線機が属するGroup ID(GID)が設定されているものとする。無線機A100、及び無線機C101で構成される第1の無線機グループのGIDを300_GI、無線機B200、無線機D102、及び無線機E105で構成される第2の無線機グループのGIDを400_GIとする。
【0062】
本実施の形態2では、記憶部500Aに、無線通信装置1Aとの間で無線通信を行う無線機のUIDと、無線機が属するGIDと、位置情報とを対応付けて記憶テーブルに記憶する。また、記憶部500Aは、グループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDを別の記憶テーブルに記憶する。
【0063】
続いて、無線通信装置1Aの構成について説明する。無線通信装置1Aは、受信部10Aと、取得部20Aと、判定部30Aと、送信部40Aと、を備えており、外部にある記憶部500Aと接続している。なお、無線通信装置1Aの構成は、図2の無線通信装置1の構成と同様であり、図示および説明を省略し実施の形態1との相違点について説明する。
【0064】
本実施の形態2では、受信部10Aは、UIDとGIDと位置情報とを各無線機から受信する。そして、受信部10Aは、受信したUIDとGIDと位置情報を記憶部500Aへ出力する。また、受信部10Aは、発呼先の無線機グループのGIDを含むグループ音声通信発呼許可要求信号とグループ音声通信発呼終了通知信号とを発呼元の無線機から受信する。そして、受信部10Aは、受信したグループ音声通信発呼許可要求信号とグループ音声通信発呼終了通知信号とを判定部30Aへ出力する。また、受信部10Aは、発呼先の無線機のUIDを含む音声通信発呼許可要求信号を発呼元の無線機から受信する。そして、受信部10Aは、受信した音声通信発呼許可要求信号を判定部30Aへ出力する。更に、受信部10Aは、発呼元の無線機から音声通信を受信し、受信した音声通信を送信部40Aへ出力する。
【0065】
本実施の形態2では、取得部20Aは、無線通信によって無線通信装置1Aと接続された全ての無線機の位置情報を記憶部500Aから取得し、取得した無線機の位置情報から複数の無線機の間の距離を算出し、算出した距離情報を判定部30Aへ出力する。
【0066】
本実施の形態2では、判定部30Aは、グループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDとして、受信部10Aから受け取ったグループ音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機グループのGIDを記憶部500Aへ記憶し、更に、グループ音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して発呼を許可する。また、判定部30Aは、記憶部500Aにグループ音声通信を送信中の発呼先の情報を確認し、発呼先の情報が記憶されている場合には、その発呼先の無線機グループのGIDを取得する。そして、判定部30Aは、受信部10Aから、発呼先の無線機のUIDを含む音声通信発呼許可要求信号を取得する。更に、判定部30Aは、取得したグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機のGIDと取得した音声通信発呼許可要求の発呼先のUIDに基づいて、取得部20Aから音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予めグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループに属する無線機との間の距離情報を受け取る。更に、判定部30は、受け取った距離が内部に記憶された所定距離以内か否かに基づいて、音声通信発呼許可要求に対して音量制御の内容の判定と発呼を許可するか否かの判定とをおこなう。
【0067】
具体的には、判定部30Aは、受信部10Aから音声通信発呼許可要求信号を受け取ったとき、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予めグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループに属する無線機との間の距離情報と内部に記憶された所定距離に基づいて、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機と予めグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループに属する無線機との間の距離が所定距離以内の場合には、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して音量を制御すると判定し、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して発呼を許可すると判定する。また、距離が所定距離以内でない場合には、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して音量を制御しないと判定し、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して発呼を許可すると判定する。そして、判定部30Aは、音声通信発呼許可要求に対する判定結果として、発呼先の無線機に対する音量を制御する判定と、発呼元の無線機に対する発呼を許可する判定とを、送信部40Aへ出力する。
【0068】
本実施の形態2では、送信部40Aは、判定結果を判定部30Aから受け取る。そして、送信部40Aは、判定結果に従って、音声通信発呼許可要求の発呼先の無線機に対して判定した音量制御の内容を含む信号、すなわち、音声再生の音量を制御する音量レベル制御通知信号を含む信号を送信し、音声通信発呼許可要求の発呼元の無線機に対して判定した内容を含む信号、すなわち発呼許可を含む信号を送信する。また、送信部40Aは、受信部10Aから受け取った発呼元の無線機の音声通信を中継し、発呼先の無線機へ音声通信を送信する。
【0069】
無線通信装置1Aは、上述した構成を備えることにより、グループ音声通信をおこなっている無線機のうち、送信先である無線機との距離が所定の距離以内である他の無線機に対して新たに他の音声通信の送信をおこなう場合、他の音声通信で再生する音声の音量を制御することができる。これにより、グループ音声通信をおこなっている無線機グループに属する無線機の利用者の音声通信の聞き取りを妨げず、同時に別の無線機の音声通信の音声の再生を可能にすることができる。
【0070】
無線通信装置1Aの動作については、図3の無線通信装置1の動作についての説明と同様であり、図示及び説明を省略する。
【0071】
続いて、図6及び図7を用いて、実施の形態2の動作について詳細を説明する。なお、図6及び図7において、同じステップ番号では同じ処理が実行される。
【0072】
本実施の形態2では、無線通信装置1Aを経由して第4の無線機100が第1の無線機グループを発呼先としてクループ音声通信を行い、更に、第3の無線機200が第2の無線機102を発呼先として音声通信発呼許可要求を行う場合について説明する。
【0073】
各無線機は、電源がオンされると定期的に自身の位置情報を取得し、取得した位置情報と自身を特定するUIDと無線機が属するGIDとを無線通信装置1Aへ送信する(ステップS201)。なお、ここでは、位置情報は、緯度・経度情報とする。
【0074】
無線通信装置1Aの受信部10Aは、各無線機から位置情報とUIDとGIDとを受信すると、受信した位置情報とUIDとGIDとを記憶部500Aへ出力する。そして、記憶部500Aでは、各無線機の位置情報とUIDとGIDとを関連付けてテーブル501Aへ記憶する(ステップS202)。なお、記憶部500Aのテーブル501Aは、各無線機のUIDとGIDと最新の位置情報とを関連付けて記憶するテーブルである。また、また、テーブル501Aは、最新の情報に定期的に書き換えられる。
【0075】
はじめに、第4の無線機100の利用者は、第1の無線機グループとグループ音声通信を行うため、第1の無線機グループのGID(300_GI)を入力後、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを押下する。第4の無線機100は、PTTボタンを押下されると、発呼先である第1の無線機グループのGID(300_GI)を含むグループ音声通信発呼許可要求信号を無線通信装置1Aへ送信する。送信された発呼先の第1の無線機グループのGID(300_GI)を含むグループ音声通信発呼許可要求信号は、無線通信装置1Aの受信部10Aで受信される。そして、受信された発呼先の第1の無線機グループのGID(300_GI)を含むグループ音声通信発呼許可要求は、判定部30Aへ出力される(ステップS203)。なお、本実施の形態2では、第1の無線機101と第4の無線機100が第1の無線機グループに属している。
【0076】
次に、無線通信装置1Aの判定部30Aは、ステップS203で入力されたグループ音声通信発呼許可要求に含まれる第1の無線機グループのGID(300_GI)を記憶部500Aのテーブル502Aへ記憶する(ステップS204)。なお、テーブル502Aは、グループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDを記憶するテーブルである。すなわち、無線通信装置1Aの判定部30Aは、テーブル502Aに無線機グループのGIDが記憶されている間は、記憶されたGIDの無線機に対してグループ音声通信を送信していることを認識する。
【0077】
次に、無線通信装置1Aの判定部30Aは、第4の無線機100のグループ音声通信発呼許可要求に対して発呼を許可すると判断し、送信部40Aを経由して第4の無線機100に対してグループ音声通信発呼許可信号を送信する(ステップS205)。
【0078】
次に、第4の無線機100は、グループ音声通信発呼許可信号を受信すると、グループ音声通信の発呼を開始する(ステップS206)。
【0079】
グループ音声通信の発呼が開始されると、無線通信装置1Aの受信部10Aは、グループ音声通信信号を受信し、受信したグループ音声通信信号を送信部40Aへ出力する。そして、無線通信装置1Aの送信部40Aは、受け取ったグループ音声通信信号を第1の無線機グループに属する無線機へ中継する(ステップS207)。
【0080】
次に、第4の無線機100が第1の無線機グループに対してグループ音声通信をおこなっている状態で、第3の無線機200が第2の無線機102と音声通信を開始する動作について説明する。
【0081】
第3の無線機200の利用者は、第2の無線機102と音声通信を行うため、第2の無線機102のUID(102_UI)を入力後、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを押下する。ここでいう音声通信は、例えば個別音声通信とする。第3の無線機200は、PTTボタンを押下されると、発呼先の第2の無線機102のUID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号を無線通信装置1Aへ送信する。無線通信装置1Aの受信部10Aは、発呼先の第2の無線機102のUID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求信号を受信すると、UID(102_UI)を含む音声通信発呼許可要求を判定部30Aへ出力する(ステップS208)。
【0082】
次に、無線通信装置1Aの判定部30Aは、取得部20Aを経由してグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDが記憶部500Aのテーブル502Aに記憶されているか否かを確認する。テーブル502Aには予めグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDとして300_GIが記憶されていることから、グループ音声通信を送信中であると判断する(ステップS209)。
【0083】
グループ音声通信を送信中であると判断すると、無線通信装置1Aの判定部30Aは、取得部20Aに対し、記憶部500Aのテーブル501Aを参照して、グループ音声通信を送信中である第1の無線機グループに属する無線機のUIDと関連付けられた位置情報と音声通信発呼許可要求の発呼先である第2の無線機102のUID(102_UI)と関連付けられた位置情報を取得させ、取得させた位置情報から第1の無線機グループに属する無線機の中で音声通信発呼許可要求の発呼先である第2の無線機102との距離が一番近い距離にある無線機を特定させる。本実施の形態2では、第2の無線機102の位置と一番近い距離にある第1の無線機グループに属する無線機は第1の無線機101である。更に、無線通信装置1Aの判定部30Aは、取得部20Aに対し、第2の無線機102との距離が一番近い距離にあると特定された第1の無線機101の位置情報(地点C)と音声通信発呼許可要求の発呼先である第2の無線機102の位置情報(地点D)から第1の無線機101と第2の無線機102との間の距離を算出させ、算出させた距離を受け取る。そして、無線通信装置1Aの判定部30Aは、受け取った第1の無線機グループに属する第1の無線機101と第2の無線機102との間の距離が判定部30に記憶された所定距離以内か否かに基づいて、音量レベル制御判定と発呼許可判定をおこなう。なお本実施の形態2における所定距離は10mである。本実施の形態2では、図6に示すように、第1の無線機グループに属する無線機(第1の無線機101)の位置と第2の無線機102の位置との距離は10m以内とする。このため、無線通信装置1Aの判定部30Aは、第1の無線機グループに属する無線機(第1の無線機101)と第2の無線機102との距離は所定距離以内であると判断する。この結果、無線通信装置1Aの判定部30Aは、第2の無線機102に対して音声再生の音量を制御する必要があると判定し、第3の無線機200の音声通信発呼許可要求に対して発呼許可と判定する(ステップS210)。そして、無線通信装置1の判定部30は、第2の無線機102に対する音量制御の判定結果信号と、第3の無線機200の音声通信発呼許可要求に対する発呼許可信号を送信部40へ出力する。
【0084】
次に、無線通信装置1Aの送信部40Aは、第2の無線機102の音量を制御する信号である音量レベル制御通知信号を第2の無線機102へ送信する(ステップS211)。音量レベル制御通知信号を受信すると、第2の無線機102は、例えば、画面に表示、照明の点灯、ビープ音を鳴らす等により、音声再生の音量を制御することを第2の無線機102の利用者に伝えると共に、第2の無線機102は、予め設定された低い音量で音声通信を再生する。
【0085】
第2の無線機102は、音声再生の音量を制御する信号を受信することにより、第3の無線機200との音声通信による音声再生の音量を制御する。具体的には、音声再生の音量を低く設定して再生する。なお、音量を制御する方法は、例えば、送信部40Aから予め判定部30Aに設定された音量設定値信号を送信し、第2の無線機102では受信した音量設定値信号に従って音量を設定する。また、音量を制御する方法は、例えば、送信部40Aから音量を制御する通知を送信し、第2の無線機102では予め第2の無線機102内に設定された音量データに従って音量を設定する。なお、音量を制御する方法は、これに限られない。音量を制御する方法は、周知の音量を制御する技術を使用しても良い。
【0086】
次に、無線通信装置1Aの送信部40Aは、音声通信発呼許可信号を第3の無線機200へ送信する(ステップS212)。
【0087】
第3の無線機200は、音声通信発呼許可信号を受信すると、音声通信の発呼を開始する(ステップS213)。
【0088】
第3の無線機200の発呼が開始されると、無線通信装置1Aの受信部10Aは、第3の無線機200から音声通信信号を受信し、受信した音声通信信号を送信部40Aへ出力する。そして、無線通信装置1Aの送信部40Aは、受け取った音声通信信号を第2の無線機102へ中継する(ステップS214)。
【0089】
なお、ステップS208において、無線通信装置1Aが、第5の無線機105を発呼先とした音声通信発呼許可要求信号を受信した場合について説明する。第5の無線機105の位置は、図6に示すように、第1の無線機グループに属する第1の無線機101の位置との距離が、所定距離(10m)以内ではない。この結果、無線通信装置1Aは、音声再生の音量を制御する信号である音量レベル制御通知信号を第5の無線機105に送信しない。これにより、第5の無線機105は音声再生の音量を制御することなく音声通信を再生する。
【0090】
次に、第4の無線機100の利用者は、第1の無線機グループへの発呼が終了する場合、図示しないPTT(Push to Talk)ボタンを開放する。第4の無線機100は、PTT(Push to Talk)ボタンが開放されると、発呼先の第1の無線機グループのGID(300_GI)を含むグループ音声通信発呼終了通知信号を無線通信装置1Aへ送信する(ステップS215)。すなわち、無線通信装置1Aの受信部10Aは、発呼先の第1の無線機グループのGID(300_GI)を含むグループ音声通信発呼終了通知信号を第4の無線機100から受信する。そして、無線通信装置1Aの受信部10Aは、グループ音声通信発呼終了通知を判定部30Aへ出力する。
【0091】
次に、無線通信装置1Aの判定部30Aは、グループ音声通信発呼終了通知信号を受け取ると、ステップS203のグループ音声通信発呼許可要求により開始されたグループ音声通信の発呼が終了したと判断し、記憶部500Aのテーブル502Aにグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機のGIDとして記録されている300_GIをクリアする(ステップS216)。その結果、無線通信装置1Aは、記憶部500Aのテーブル502Aに記憶された無線機グループのGIDをクリアしたことにより、記憶されていたGIDの無線機グループに属する無線機に対するグループ音声通信の送信が終了したことを認識する。
【0092】
なお、第2の無線機102が音声再生の音量を制御している間に、第1の無線機グループへのグループ音声通信が終了した場合、無線通信装置1Aの判定部30Aは、記憶部500Aのテーブル502Aにグループ音声通信を送信中の発呼先の無線機グループのGIDが記録されていないことを確認する。そして、無線通信装置1Aの判定部30Aは、第2の無線機102に対して音量の制御を中止する音量レベル制御中止信号を送信部40Aを経由して送信する。音量レベル制御中止信号受信すると、第2の無線機102は、例えば、画面に表示、照明の点灯、ビープ音を鳴らす等により、音量の制御を中止することを第2の無線機102の利用者に伝えると共に、第2の無線機102は、制御されない所定の音量で音声通信を再生する。
【0093】
上記ステップS201~S216により、図7に示す音声通信音量レベル制御期間において、音声通信の音声再生の音量が制御される。
【0094】
これにより、本実施の形態2にかかる無線通信装置1Aでは、第1の無線機グループに属する無線機(第1の無線機101)に対してグループ音声通信を送信している間は、第1の無線機グループに属する無線機(第1の無線機101)との距離が所定距離以内の無線機に対する音声通信の音声再生の音量を制御することができる。これにより、無線通信装置1Aは、第1の無線機グループに属する無線機(第1の無線機101)の利用者の音声通信の音声の聞き取りを妨げず、同時に第2の無線機102の音声通信の音声の再生を可能にする。
【0095】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1、1A 無線通信装置
10 10A 受信部
20、20A 取得部
30、30A 判定部
40、40A 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7