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特開2022-176351電気光学ディスプレイ及びこれを駆動するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176351
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイ及びこれを駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1676 20190101AFI20221117BHJP
   G02F 1/155 20060101ALI20221117BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20221117BHJP
【FI】
G02F1/1676
G02F1/155
G02F1/167
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161539
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2020532816の分割
【原出願日】2018-12-21
(31)【優先権主張番号】15/852,807
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ. パオリニ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ブル
(72)【発明者】
【氏名】セス ジェイ. ビショップ
(72)【発明者】
【氏名】カール レイモンド アムンドソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ジー. ハリス
(57)【要約】
【課題】電気光学ディスプレイ及びこれを駆動するための方法の提供。
【解決手段】第1のディスプレイは、ディスプレイの対向する側面上に第1及び第2の電極を有する電気光学材料の層を含む。1又は両方の電極は、少なくとも2つの離間した接触部を有する。電圧制御手段は、同一の電極へ取り付けられる2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置される。第2のディスプレイは電気光学材料の層を含み、これに隣接して一連の少なくとも3つの電気的に絶縁された電極を有する。電圧制御手段は、連続する第1及び最後の電極の間の電位差を変化させる。これらのディスプレイを駆動するための方法も提供される。
【選択図】図7C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
【0002】
本出願は、2015年1月5日に出願された仮出願第62/100031号の優先権の利益を主張する、2016年1月5日に出願された出願第14/987850号の一部継続出願である。これらの出願の内容は、それらの全体が参照によって本明細書に援用される。
【0003】
本出願はまた、2014年11月7日に出願された出願第62/077154号及び2015年1月5日に出願された仮出願第62/099732号の優先権の利益を主張する、2015年11月6日に出願された出願第14/934662号に関する。
【0004】
本出願は、米国特許第5930026号、第6445489号、第6504524号、第6512354号、第6531997号、第6753999号、第6825970号、第6900851号、第6995550号、第7012600号、第7023420号、第7034783号、第7116466号、第7119772号、第7193625号、第7202847号、第7259744号、第7304787号、第7312794号、第7327511号、第7453445号、第7492339号、第7528822号、第7545358号、第7583251号、第7602374号、第7612760号、第7679599号、第7688297号、第7729039号、第7733311号、第7733335号、第7787169号、第7952557号、第7956841号、第7999787号、第8077141号、第8125501号、第8139050号、第8174490号、第8289250号、第8300006号、第8305341号、第8314784号、第8373649号、第8384658号、第8558783号、第8558785号、第8593396号、及び、第8928562号、並びに、米国特許出願公開第2003/0102858号、第2005/0253777号、第2007/0091418号、第2007/0103427号、第2008/0024429号、第2008/0024482号、第2008/0136774号、第2008/0291129号、第2009/0174651号、第2009/0179923号、第2009/0195568号、第2009/0322721号、第2010/0220121号、第2010/0265561号、第2011/0193840号、第2011/0193841号、第2011/0199671号、第2011/0285754号、第2013/0063333号、第2013/0194250号、第2013/0321278号、第2014/0009817号、第2014/0085350号、第2014/0240373号、第2014/0253425号、第2014/0292830号、第2014/0333685号、第2015/0070744号、第2015/0109283号、第2015/0213765号、第2015/0221257号、及び、第2015/0262255号に関する。
【0005】
前の段落で言及された特許及び出願は、本明細書においてこれ以降、便宜上集合的に「MEDEOD」(電気光学ディスプレイを駆動するための方法)出願と称され得る。前述の特許及び対応する出願の全て、及び、以下で言及される他の米国特許並びに公開された出願及び対応する出願の全ての全体の内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0006】
本出願は、電気光学ディスプレイ、特に双安定の電気光学ディスプレイを駆動するための方法、及び、そのような方法における使用のための装置に関する。この発明は特に、しかし排他的ではないが、1又は複数のタイプの荷電粒子が、流体内に存在し、且つ、ディスプレイの様相を変化させるための電界の影響下で流体を通して動かされる、粒子ベースの電気泳動ディスプレイでの使用が意図される。
【背景技術】
【0007】
発明の背景
【0008】
材料又はディスプレイへ適用される場合、「電気光学」という語は、本明細書において、少なくとも1つの光学特性において異なる第1及び第2のディスプレイ状態を有する材料(その材料は、材料への電界の印加によりその第1のディスプレイ状態からその第2のディスプレイ状態へ変化させられる)へ言及するために、画像化技術におけるその従来の意味において用いられる。光学特性は、典型的には人間の眼に認知可能な色であるが、光学透過、反射性及び発光などの別の光学特性であり得、又は、機械読み取りのために意図されたディスプレイの場合は、可視範囲外の電磁波長の反射性における変化の意味での疑似色であり得る。
【0009】
「グレー状態」という語は、本明細書において、ピクセルの2つの極限光学状態の中間の状態へ言及するために、画像化技術におけるその従来の意味において用いられ、これら2つの極限光学状態の間での黒―白の遷移を必ずしも含意しない。例えば、以下で言及されるE Inkの特許及び公開された出願のいくつかは、極限状態が白及び深い青であることにより、中間の「グレー状態」が実際は淡い青であり得るような電気泳動ディスプレイを説明する。実際、既に言及されたように、光学状態における変化が全く色の変化でない場合がある。「黒」及び「白」という語は、本明細書においてこれ以降、ディスプレイの2つの極限光学状態へ言及するために用いられ得、厳密には黒及び白でない極限光学状態、例えば前述された白及び暗い青の状態を通常含むものとして理解されるべきである。「モノクローム」という語は、本明細書においてこれ以降、介在するグレー状態がなく、それらの2つの極限光学状態へピクセルを駆動するだけの駆動スキームを表すために用いられ得る。
【0010】
「双安定」及び「双安定性」という語は、本明細書において、少なくとも1つの光学特性において異なる第1及び第2のディスプレイ状態を有するディスプレイ要素を備え、任意の与えられた要素が駆動された後、有限時間のアドレス指定パルスによって、その第1又は第2のディスプレイ状態のいずれかを呈し、アドレス指定パルスが終了した後、ディスプレイ要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小継続時間の少なくとも数倍の間、例えば少なくとも4倍の間、その状態が持続するようなディスプレイへ言及するために、本技術におけるそれらの従来の意味において用いられる。米国特許第7170670号において、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、それらの極限の黒及び白の状態だけでなく、それらの中間のグレー状態においても安定し、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイについても同一であることが示される。便宜上、「双安定」という語は、本明細書において、双安定及び複数安定ディスプレイの両方を包含するように用いられるが、このタイプのディスプレイは適切に、双安定よりもむしろ「複数安定」と呼ばれる。
【0011】
「インパルス」という語は、本明細書において、時間についての電圧の積分のその従来の意味において用いられる。しかし、いくつかの双安定電気光学媒質は、電荷変換器として作用し、そのような媒質では、インパルスの代替の定義、すなわち(印加される電荷合計と等しい)時間にわたる電流の積分が用いられ得る。インパルスの適切な定義は、媒質が、電圧―時間インパルス変換器として作用するか電荷インパルス変換器として作用するかに依存して用いられるべきである。
【0012】
以下の検討のほとんどは、初期のグレーレベルから(初期のグレーレベルと異なってもよいし異ならなくてもよい)最終的なグレーレベルへの遷移を通して電気光学ディスプレイを駆動するための方法に焦点を当てる。「波形」という語は、1の特定の初期グレーレベルから特定の最終的なグレーレベルへの遷移をもたらすために用いられる時間対全体電圧曲線を表すために用いられる。そのような波形は、複数の波形要素を備え得る。これらの要素は基本的には長方形である(すなわち、所与の要素は、ある期間にわたって一定の電圧の印加を備える)。要素は、「パルス」又は「駆動パルス」と呼ばれ得る。「駆動スキーム」という語は、特定のディスプレイのためのグレーレベルの間の全ての可能な遷移をもたらすために十分な波形のセットを表す。ディスプレイは、1より多い駆動スキームを活用し得る。例えば、前述された米国特許第7012600号は、駆動スキームはディスプレイの温度又はその寿命の間動作されてきた時間などのパラメータに依存して修正される必要があり得、従って、ディスプレイは異なった温度などで用いられるための複数の異なる駆動スキームが設けられ得ることを教示する。この方法において用いられる駆動スキームのセットは、「関連する駆動スキームのセット」と称され得る。前述されたMEDEOD出願のいくつかにおいて説明されたように、同一のディスプレイの異なる領域において1より多い駆動スキームを同時に用いることも可能であり、この方法において用いられる駆動スキームのセットは、「同時駆動スキームのセット」と称され得る。
【0013】
電気光学ディスプレイのいくつかのタイプが公知である。電気光学ディスプレイの1つのタイプは、例えば米国特許第5808783号、第5777782号、第5760761号、第6054071号、第6055091号、第6097531号、第6128124号、第6137467号及び第6147791号において説明されるような、回転する2色部材タイプである(このディスプレイのタイプはしばしば、「回転する2色ボール」ディスプレイと称されるが、上で言及された特許のいくつかにおいては、回転する部材は球状ではないため、「回転する2色部材」という語がより正確なものとして好ましい)。そのようなディスプレイは、光学特性を異にする2又はそれより多い区分及び内部の双極子を有する数多くの(典型的には球状又は柱状の)小さなボディを用いる。これらのボディは、行列内の液体で満たされた液胞内に浮遊させられ、液胞は、ボディが自由に回転するように液体で満たされている。ディスプレイの様相は、そこへの電界を印加することにより変化させられ、従って、ボディを種々の位置へ回転させ、且つ、ボディの区分のどれが閲覧面を通して見られるかを変化させる。この電気光学媒質のタイプは典型的に双安定である。
【0014】
別の電気光学ディスプレイのタイプは、エレクトロクロミック媒質、例えば、少なくとも部分的に半導体金属酸化物から形成される電極と、電極へ取り付けられ裏表の色変化を可能とする複数の色素モジュールとを備えるナノクロミックフィルムの形式のエレクトロクロミック媒質を用いる。例えば、O’Regan, B., et al., Nature, 1991年,353,737、及び、Wood,D., Information Display, 2002年3月, 18(3),24を参照されたい。また、Bach, U., Adv.Mater, 2002年, 14(11), 845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムはまた、例えば、米国特許第6301038号、第6870657号及び第6950220号においても説明される。この媒質のタイプはまた、典型的には双安定である。
【0015】
別の電気光学ディスプレイのタイプは、Philipsにより開発され、Hayes,R.A.,et al.,「Video-Speed Electronic Paper Based on Electrowetting」, Nature, 2003年, 425, 383-385において説明されたエレクトロウェッティングディスプレイである。そのようなエレクトロウェッティングディスプレイは双安定で作製され得ることが、米国特許第7420549号において示される。
【0016】
長年にわたる熱心な研究及び開発の主題であった1つの電気光学ディスプレイのタイプは、粒子ベースの電気泳動ディスプレイであり、このディスプレイにおいては、複数の荷電粒子が電界の影響下で流体を通って移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良い明るさ及びコントラスト、幅広い閲覧角度、状態双安定性、及び、低い電力消費という属性を有し得る。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期的な画像の質についての問題がそれらの広範な使用を妨げてきた。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は沈殿する傾向にあり、これらのディスプレイのための不十分な耐用年数に帰着する。
【0017】
上で指摘されたように、電気泳動媒質は流体の存在を要求する。ほとんどの先行技術の電気泳動媒質において、この流体は液体であるが、電気泳動媒質は気体の流体を用いて生み出され得る。例えばKitamura,T., et al., “Electrical toner movement for electronic paper-like display”, IDW Japan,2001年,Paper HCS1-1、及び、Yamaguchi,Y., et al., “Toner display using insulative particles charged triboelectrically”, IDW Japan,2001年,Paper AMD4-4を参照されたい)。また、米国特許第7321459号及び第7236291号も参照されたい。媒質が、粒子の沈殿を許容する向き、例えば媒質が垂直面に配置される標識において用いられるとき、そのような気体ベースの電気泳動媒質は、粒子の沈殿に起因する、液体ベースの電気泳動媒質と同一のタイプの問題に影響されやすいと思われる。実際は、液体の粘性と比較して流体を浮遊させる気体のより低い粘性は、電気泳動粒子のより速い沈殿を可能とするため、粒子の沈殿は、液体ベースの電気泳動媒質よりも気体ベースの電気泳動媒質においてより深刻な問題であるように思われる。
【0018】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)及びE Ink Corporationへ譲渡され又はその名における非常に多くの特許及び出願は、カプセル化された電気泳動媒質及び他の電気光学媒質において用いられる種々の技術を説明する。そのようなカプセル化された媒質は、非常に多くの小さなカプセルを備え、それぞれのカプセル自体は、流体媒質内の電気泳動可動粒子を含有する内相と、内相を囲むカプセル壁とを備える。典型的には、2つの電極間に位置付けられる干渉性の層を形成するためのポリマバインダ内に、カプセル自体が保持される。これらの特許及び出願において説明される技術は、
(a)電気泳動粒子、流体及び流体添加剤(例えば米国特許第7002728号及び第7679814号を参照)と、
(b)カプセル、バインダ及びカプセル化処理(例えば米国特許第6922276号及び第7411719号を参照)と、
(c)電気光学材料を含有するフィルム及びサブアセンブリ(例えば米国特許第6982178号及び第7839564号を参照)と、
(d)バックプレーン、接着層及び他の補助層並びにディスプレイにおいて用いられる方法(例えば米国特許第7116318号及び第7535624号を参照)と、
(e)色形成及び色調節(例えば米国特許第7075502号及び第7839564号を参照)と、
(f)ディスプレイを駆動するための方法(前述されたMEDEOD出願を参照)と、
(g)ディスプレイの用途(例えば米国特許第7312784号及び第7312784号を参照)と、
(h)米国特許第6241921号、第6950220号、第7420549号、第8319759号及び第8994705号、並びに米国特許出願公開第2012/0293858号において説明されるような電気泳動でないディスプレイと
を含む。
【0019】
カプセル化された電気泳動媒質内の個別のマイクロカプセルを囲む壁が連続相によって取り替えられ得、従っていわゆるポリマ分散型電気泳動ディスプレイを生産し、電気泳動媒質は、電気泳動流体の複数の個別の液滴とポリマ材料の連続相とを備え、たとえ個別のカプセル膜がそれぞれの個々の液滴と関連付けられないとしても、そのようなポリマ分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴は、カプセル又はマイクロカプセルとみなされ得ることを、前述された特許及び出願の多くが認めている。これは、例えば前述された米国特許第6866760号を参照されたい。よって、本出願の目的のために、そのようなポリマ分散型電気泳動媒質は、カプセル化された電気泳動媒質の変種とみなされる。
【0020】
関連する電気泳動ディスプレイのタイプは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子及び流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、その代わりにキャリア媒質、典型的にはポリマフィルム内に形成された複数の空洞内に保有される。例えばともにSipix Imaging,Incへ譲渡された米国特許第6672921号及び第6788449号を参照されたい。
【0021】
電気泳動媒質はしばしば(例えば多くの電気泳動媒質においては、粒子がディスプレイを通して可視光の透過を実質的に遮蔽するため、)不透明であり反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透明であり1つのディスプレイ状態が透光性である、いわゆる「シャッターモード」で動作するように作製され得る。例えば、米国特許第5872552号、第6130774号、第6144361号、第6172798号、第6271823号、第6225971号及び第6184856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが電界の強さの変化に依存する誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作し得る。米国特許第4418346号を参照されたい。他の電気光学ディスプレイのタイプもまた、シャッターモードで動作することが可能である。シャッターモードで動作する電気光学媒質は、フルカラーディスプレイのための多層構造において役立ち得る。そのような構造において、ディスプレイの閲覧面に隣接する少なくとも1つの層は、閲覧面からより遠い第2の層を曝露し又は隠蔽するようにシャッターモードで動作する。
【0022】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、旧来の電気泳動デバイスのクラスタリング及び沈殿故障モードを被らず、広範な種類の柔軟で且つ硬い基板上にディスプレイをプリント又はコーティングする能力などのさらなる利点を提供する。(「プリントする」という単語の使用は、パッチダイコーティング、スロット又は押し出しコーティング、スライド又はカスケードコーティング、カーテンコーティングなどの予め計器で測定されたコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、正逆方向ロールコーティングなどのロールコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷加工、静電印刷加工、熱印刷加工、インクジェット印刷加工、電気泳動沈澱(米国特許第7339715号を参照されたい)及び他の同様の技術を含むが限定しない印刷及びコーティングの全ての形態を含むことが意図される。)従って、結果的にディスプレイは柔軟であり得る。さらに、ディスプレイ媒質が(各種の方法を用いて)印刷され得るので、ディスプレイ自体は安価に作製され得る。
【0023】
他の電気光学媒質のタイプもまた、本発明のディスプレイにおいて用いられ得る。
【0024】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイの双安定及び複数安定の振る舞い及び同様の振る舞いを表示する他の電気光学ディスプレイ(本明細書においてこれ以降、そのようなディスプレイは便宜上「インパルス被駆動ディスプレイ」と称され得る)は、従来の液晶(「LC」)ディスプレイの振る舞いと顕著に対照的である。ねじれネマチック液晶は双安定又は複数安定ではないが、電圧変換器として作用することによって、そのようなディスプレイのピクセルへ所与の電界を印加することは、ピクセルで以前に存在したグレーレベルに関係なく、そのピクセルで特定のグレーレベルを生み出す。さらに、LCディスプレイは、(非透光性の又は「暗い」方から透光性又は「明るい」方へ)一方向においてのみ駆動され、より明るい状態からより暗い状態への逆遷移は、電界を低減し又は取り除くことによってもたらされる。最終的に、LCディスプレイのピクセルのグレーレベルは、電界の極性に対して敏感でなく、その大きさにのみ敏感であり、実際は技術的理由のために、商業用LCディスプレイはたいてい、駆動する電界の極性を頻繁な間隔で逆にする。対照的に、双安定電気光学ディスプレイは、第1次近似へインパルス変換器として作用し、これによってピクセルの最終状態は、印加される電界及びこの電界が印加されるための時間だけでなく、電界の印加より前のピクセル状態にも依存する。
【0025】
用いられる電気光学媒質が双安定か否かにかかわらず、高解像度ディスプレイを得るためには、ディスプレイの個々のピクセルが、隣接するピクセルからの干渉を受けずにアドレス指定可能でなければならない。この目的を達成する1つの方法は、「アクティブマトリクス」ディスプレイを生み出すために、トランジスタ又はダイオードなどの非線形要素のアレイに、それぞれのピクセルと関連づけられる少なくとも1つの非線形要素を設けることである。1つのピクセルをアドレス指定するアドレス指定式の又はピクセルの電極は、関連付けられた非線形要素を通して適切な電圧源へ接続される。典型的には、非線形要素がトランジスタであるとき、ピクセル電極はトランジスタのドレインへ接続される。配置は本質的には任意であり、ピクセル電極はトランジスタのソースへ接続され得るが、以下の説明においてはこの配置が想定される。従来的には、高解像度アレイにおいて、ピクセルは行及び列の2次元アレイ中に配列され、これにより、任意の特定のピクセルは、1つの特定の行及び1つの特定の列の交差によって一意に画定される。それぞれの列内の全てのトランジスタのソースは、単一の列電極へ接続され、それぞれの行内の全てのトランジスタのゲートは、単一の行電極へ接続される。また、行へのソース及び列へのゲートの配置は、従来的であるが本質的に任意であり、所望に逆にされ得る。行電極は行ドライバへ接続され、これにより、任意の所与の瞬間に1つの行のみが選択されることを本質的に確実にする。つまり、選択された行内の全てのトランジスタが導電性であることを確実にするように、電圧が選択された行電極へ印加される一方で、他の全ての行における全てのトランジスタが非導電性のままであるように、電圧がこれらの選択されなかった行へ印加される。列電極は列ドライバへ接続され、列ドライバは、選択された行におけるピクセルをそれらの所望の光学状態へ駆動するために選択される種々の列電極電圧上に位置付けられる。(前述された電圧は、従来的には非線形アレイから電気光学媒質の反対側面上に提供され、且つ、ディスプレイ全体にわたって延在する共通のフロント電極に関連する。)「ラインアドレス時間」として知られる予め選択された間隔の後、選択された行が選択解除され、次の行が選択され、列ドライバの電圧は、ディスプレイの次のラインが記されるように充電される。この処理は、ディスプレイ全体が行ごとに記されるように繰り返される。
【0026】
あるいは、(ほとんどの電気泳動媒質が有しない)実質的な閾値電圧を有する電気光学媒質とともに、パッシブマトリクス駆動が用いられ得る。このタイプの駆動において、2セットの並列の細長い電極は、電気光学層の反対側面に設けられ、2つのセットの電極は、互いに垂直に配置されている。これにより、それぞれのピクセルは、2セットのそれぞれにおける1つの電極の交差によって画定される。最終的に、電気光学ディスプレイは、いわゆる「直接駆動」を活用し得、複数のピクセルは、ピクセル電極をディスプレイコントローラへ繋げる別個の導電体をそれぞれ設けられ、ディスプレイコントローラは、従って、それぞれのピクセル電極の電位を直接的に制御し得る。
【0027】
必要な電極のコストは、ピクセルの数よりもむしろディスプレイの面積の関数である傾向があるため、アクティブマトリクスディスプレイ及びパッシブマトリクスディスプレイ、特に大きい面積のディスプレイの場合は、複雑であり且つコストがかかる。しかし、アクティブマトリクスディスプレイ及びパッシブマトリクスディスプレイは、任意の画像を表示するための柔軟性を有し、ポイントサイズを変化させる写真及びテキストの両方を表し得る。直接駆動ディスプレイは、高価でないが柔軟性を欠く傾向にあり、テキストを表示することができる場合、典型的には、単一のポイントサイズへ限定され、ピクセル電極とコントローラとの間の非常に多くの数の接続を要求する。例えば単一のポイントサイズにおけるラテン文字の種々のバージョンのうちの1つの文字を表すために63ピクセルを要求する米国意匠特許第D485294号を参照されたい。
【0028】
ここまで、電気泳動及び同様の双安定電気光学ディスプレイのほとんどの商業的用途は、(電子書類リーダ、腕時計及びソリッドステートメモリデバイスなどの)小さく、比較的高価な製品おけるものであり、アクティブマトリクスディスプレイの費用は許容的であり得、又は単一の直接駆動ディスプレイで十分である。しかし、そのようなディスプレイを家具及び建築用途へ適用することにおけるますますの関心が存在し(前述された出願第14/934662号を参照されたい)、そのような用途において、アクティブマトリクス又は直接駆動のいずれかの費用を許容するのが難しい。さらに、多くの家具及び建築用途において、電気光学ディスプレイは、単純且つ典型的に移動する幾何学パターンを提供することが意図され、これによってアクティブマトリクス及び直接駆動ディスプレイの複雑なテキスト及びグラフィックス処理能力は不必要である。本発明は、そのような家具及び建築用途において役立つディスプレイ及び駆動方法を提供することを求める。
【0029】
以前の提案は、画像化を制御するための抵抗器ネットワークを用いるようになされてきた。例えば米国特許第3679967号及び第5400122号を参照されたい。本発明のディスプレイ及び駆動方法は、そのような抵抗器ネットワークを活用しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第7,170,670号明細書
【特許文献2】米国特許第7,012,600号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
発明の要約
【0032】
本発明は、電気光学材料の層と、電気光学材料の層の対向する側面上の第1及び第2の電極であって、第1及び第2の電極の少なくとも1つは透光性であり、第1及び第2の電極の少なくとも1つは少なくとも2つの離間した接触部を有する、第1及び第2の電極と、同一の電極へ取り付けられる2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置される電圧制御手段とを備える(第1又は「離間接触部」)ディスプレイを提供する。
【0033】
「透光性」という語は、本明細書において、例えば前述された米国特許第6982178号において説明されるように、透光性電極を通して電気光学材料を閲覧する観察者が電気光学材料の光学状態における変化を観察することを可能とする十分な可視光を透過することを意味するように、ディスプレイ技術におけるその従来の意味において用いられる。
【0034】
本発明の離間接触部ディスプレイの好ましい形態においては、第1及び第2の電極の両方が、少なくとも2つの離間した接触部を有し、電圧制御手段は、それぞれの電極へ取り付けられる2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置される。いずれか又はそれぞれの電極はもちろん2より多い離間した接触部を有し得、このような場合には、電圧制御手段が、これらの接触部の1つ以外の全ての電位差を互いに独立して変化させるように配置されることは、必ずしも不可欠ではない。例えば、接触部は2以上のグループに分割され得、それぞれのグループの接触部は、同一の電位に維持されるが、異なるグループ間に電位差が印加される。
【0035】
本発明の離間接触部ディスプレイは、電気光学媒質の層のそれぞれの側面上に、1より多い電極を有し得る。実際は、(おそらく非常に大きい壁を覆う)非常に大きいディスプレイの場合は、ディスプレイが一連の別個のモジュールへ分割され、それぞれのモジュールが第1及び第2の電極の間に挟まれた電気光学層を有することが必要又は所望され得る。また、本発明の離間したディスプレイは、電気光学媒質の層のそれぞれの側面上に異なった数の電極を有し得る。
【0036】
本発明の離間接触部ディスプレイにおいては、2つの接触部を有するいずれか又はそれぞれの電極は、2つの接触部の間に延在する均一なストリップの形状を単純に有する。しかし、より興味深い視覚効果は、不均一な電極を用いることによって生み出され得る。例えば、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの非導電性区域によって遮られ得ることによって、電流はその電極上の2つの接触部の間の非線形経路に従わなければならない。そのような非線形経路の可能な幾何学的配置の例は、図面への参照とともに以下で検討される。あるいは、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つは、異なった単位長さ当たりの電気抵抗を有する複数の区分へ、及び/又は異なった単位面積当たりの静電容量を有する複数の区分へ分割され得る。2つの接触部を有する電極はまた、バックプレーン上に複数の導電性トレース又は区域の形態で提供され得、バスバーとして動作するように構成され得る。一実施形態において、電極は、第1の複数の導電性ラインと、第1の導電性ラインにわたって適用される絶縁材料の層と、絶縁材料の層へ適用される第2の複数の導電性ラインと、第2の複数の導電性ラインと電気的に接触する抵抗性材料の層とを備える。絶縁材料の層は、第1の複数の導電性ラインにおけるそれぞれの導電性トレースを、第2の複数の導電性ラインにおける単一の導電性ラインへ電気的に接続し、且つ、第2の複数の導電性ラインにおけるそれぞれの導電性ラインを、第1の複数の導電性ラインにおける単一の導電性ラインへ電気的に接続するように構成され得る。さらに別の実施形態において、電極は、複数の導電性ラインと、第1の複数の導電性トレースラインにわたって適用される絶縁材料の層と、絶縁材料の層にわたって適用される複数の導電性区域と、複数の導電性区域と電気的に接触する抵抗性材料の層とを備える。絶縁材料の層は、複数の導電性ラインおけるそれぞれの導電性ラインを単一の導電性区域へ、且つ、それぞれの導電性区域を単一の導電性ラインへ電気的に接続するように構成され得る。
【0037】
上で言及されたMEDEOD出願のいくつかにおいて検討されたように、電気光学ディスプレイへ適用される波形が直流均圧されていない場合、電極への損傷が、特に典型的には1μm未満の非常に薄い透光性電極の場合には、結果として生じる。そのような電極への損傷を低減し又は取り除くために、第1及び第2の電極のうちの1つの少なくとも一部は、電極と電気光学材料の層との間に配置される不動態化層が設けられ得る。適切な不動態化層は、例えば、米国特許第6724519号で説明されている。
【0038】
本発明はまた、離間接触部電気光学ディスプレイを駆動する方法を提供し、本方法は、電気光学材料の層と、電気光学材料の層の対向する側面にであって、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの離間した接触部を有する第1及び第2の電極とを備えるディスプレイを提供することと、時間とともに変化する電位差を同一の電極上の2つの接触部の間に印加することとを備える。
【0039】
そのような「離間接触部」方法において、第1及び第2の電極の両方が少なくとも2つの離間した接触部を有し得、電圧制御手段は、第1及び第2の電極の両方へ取り付けされる対の接触部の間に、時間とともに変化する電位差を印加するように配置され得る。電圧制御手段は、異なった周波数で第1及び第2の電極へ印加される電位差を変化させ得る。電圧制御手段は、例えば、固定された又は変化する周波数の正弦波、三角波、鋸歯状波又は方形波として、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つへ印加される電位差を変化させ得る。
【0040】
この発明はまた、電気光学材料の層と、電気光学材料の層へ電界を印加するように電気光学材料の層に隣接して配置される少なくとも3つの電極の連続物と、透光性である電気光学材料の層の少なくとも1つの表面上の電極と、連続物のうちの第1及び最後の電極の間の電位差を変化させるように配置される電圧制御手段とを備え、
(a)連続物のそれぞれの電極は、連続物における先行する電極と連続物における後行する電極との両方とは反対の電気光学材料の層の側面上に在り、
(b)連続物のそれぞれの電極は、連続物における先行する電極にオーバーラップする又は隣接して在る第1の端と、連続物における後行する電極にオーバーラップする又は隣接して在る第2の端とを有し、
(c)連続物のそれぞれの電極は、第1及び最後の電極以外は、その電位が電気光学材料の層を通る電流の通路によって制御されるように電気的に絶縁される、
(第2又は「絶縁電極」)ディスプレイを提供する。
【0041】
この発明はまた、本発明の絶縁電極ディスプレイを駆動する方法を提供し、本方法は、(上で定義したような)絶縁接触ディスプレイを提供することと、連続物の第1及び最後の電極の間に電位差を印加することを電圧制御手段に行わせることとを備える。電圧制御手段は、第1及び最後の電極の間で時間とともに変化する電位差を適用するように配置され得る。
【0042】
本発明のディスプレイ及び駆動方法は、上で検討された任意の電気光学媒質のタイプを活用し得る。従って、例えば、電気光学ディスプレイは、回転する2色部材、エレクトロクロミック又はエレクトロウェッティング材料を備え得る。あるいは、電気光学ディスプレイは、流体内に配置される複数の荷電粒子を備え、電界の影響下で流体を通って動くことが可能な電気泳動材料を備え得る。荷電粒子及び流体は、複数のカプセル又はマイクロセル内に閉じ込められ得る。あるいは、荷電粒子及び流体は、ポリマ材料を備える連続相によって囲まれた複数の個別の液滴として存在し得る。流体は液体又は気体であり得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
電気光学材料の層と、前記電気光学材料の層の対向する側面上の第1及び第2の電極であって、前記第1の電極は、透光性であり、前記第2の電極は、少なくとも2つの離間した接触部を有する、第1及び第2の電極と、前記2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置される電圧制御手段とを備えるディスプレイであって、
前記第2の電極は、
第1の複数の導電性ラインと、
前記第1の導電性ラインにわたって適用される、複数の間隙を備える絶縁材料の層と、
前記絶縁材料の層へ適用される第2の複数の導電性ラインと、
前記第2の複数の導電性ラインと電気的に接触する抵抗性材料の層と
を備え、前記絶縁材料の層は、前記間隙内で、前記第1の複数の導電性ラインにおけるそれぞれの導電性トレースが前記第2の複数の導電性ラインにおける単一の導電性ラインへ電気的に接続され、且つ、前記第2の複数の導電性ラインにおけるそれぞれの導電性ラインが前記第1の複数の導電性ラインにおける単一の導電性ラインへ電気的に接続されるように構成される、ディスプレイ。
(項目2)
前記電気光学材料は、回転する2色部材、エレクトロクロミック又はエレクトロウェッティング材料を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目3)
前記電気光学材料は、流体内に配置され、且つ、電界の影響下で前記流体を通って動くことが可能な、複数の荷電粒子を備える電気泳動材料を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目4)
前記荷電粒子及び前記流体は、複数のカプセル又はマイクロセル内に閉じ込められる、項目3に記載のディスプレイ。
(項目5)
前記荷電粒子及び前記流体は、ポリマ材料を備える連続相によって囲まれる複数の個別の液滴として存在する、項目3に記載のディスプレイ。
(項目6)
前記第1及び第2の導電性ラインのセットのうちの少なくとも1つは、銀、ニッケル、銅及びカーボンから成るグループから選択された導電性材料を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目7)
前記抵抗性材料は、ITOで充填されたポリマ、PEDOTで充填されたポリマ及びカーボンのうちの1又は複数を備える、項目1に記載のディスプレイ。
(項目8)
前記第2の複数の導電性ラインの隣接するライン間の総計抵抗が少なくとも1kOhmである、項目1に記載のディスプレイ。
(項目9)
前記第2の複数の導電性ラインの隣接するライン間の総計抵抗が少なくとも10kOhmである、項目1に記載のディスプレイ。
(項目10)
前記第2の複数における前記導電性ラインのそれぞれが、バスバーとして動作するように構成される、項目1に記載のディスプレイ。
(項目11)
電気光学材料の層と、前記電気光学材料の層の対向する側面上の第1及び第2の電極であって、前記第1の電極は、透光性であり、前記第2の電極は、少なくとも2つの離間した接触部を有する、第1及び第2の電極と、前記2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置される電圧制御手段とを備えるディスプレイであって、
前記第2の電極は、
複数の導電性ラインと、
前記導電性ラインのそれぞれの端を除いて、前記複数の導電性ラインにわたって適用される絶縁材料の層と、
前記導電性ラインのそれぞれの前記端と電気的に接触する抵抗性材料の層と
を備える、ディスプレイ。
(項目12)
前記導電性ラインのそれぞれの前記端と前記抵抗性材料の層との間に複数の導電性区域をさらに備え、
前記複数の導電性ラインにおけるそれぞれの導電性ラインは、単一の導電性区域へ電気的に接続され、且つ、それぞれの導電性区域は単一の導電性ラインへ電気的に接続される、項目11に記載のディスプレイ。
(項目13)
前記複数の導電性ライン及び区域のうちの少なくとも1つは銀を備える、項目12に記載のディスプレイ。
(項目14)
前記抵抗性材料はカーボンを備える、項目11に記載のディスプレイ。
(項目15)
隣接する導電性ラインの前記端の間の総計抵抗が少なくとも1kOhmである、項目11に記載のディスプレイ。
(項目16)
隣接する導電性ラインの前記端の間の総計抵抗が少なくとも10kOhmである、項目11に記載のディスプレイ。
(項目17)
前記導電性ラインの前記端のそれぞれは、バスバーとして動作するように構成される、項目11に記載のディスプレイ。
(項目18)
前記第2の複数の導電性ラインのうちの少なくとも1つへ電圧を印加しながら、前記残りの第2の複数の導電性ラインのうちの少なくとも1つを同時にショート又はフロートさせることを備える、項目1に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法。
(項目19)
前記第1の複数の導電性ラインのうちの少なくとも1つへ電圧を印加しながら、前記残りの第2の複数の導電性ラインのうちの少なくとも1つを同時にショート又はフロートさせることを備える、項目11に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】添付する図面の図1は、第1及び第2の電極での接触部の位置を例示する本発明のディスプレイの大まかな概略的平面図であり、このディスプレイはコーヒーテーブルとして用いられることが意図されている。
【0044】
図2図2は、図1における線II-IIに沿った大まかな概略的断面であり、矢の方向で見ている。
【0045】
図3図3は、電流が電極の2つの接触部の間の非線形経路に従わなければならないように1つの電極においてギャップが提供される、本発明の第2のディスプレイの概略的な平面図である。
【0046】
図4図4は、1つの電極が、異なった単位長さ当たりの電気抵抗を有する区分へ分割される、本発明の第3のディスプレイの図3のディスプレイと概して同様な概略的な頂面図である。
【0047】
図5】1つの電極が単位面積当たりの静電容量を変化させる領域を有する本発明の図5ディスプレイ。
【0048】
図6図6は、本発明の第5の絶縁電極ディスプレイを通る概略的な断面である。
【0049】
図7A図7Aから図7Dは、本発明の第6の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図7B図7Aから図7Dは、本発明の第6の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図7C図7Aから図7Dは、本発明の第6の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図7D図7Aから図7Dは、本発明の第6の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
【0050】
図8A図8Aから図8Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図8B図8Aから図8Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図8C図8Aから図8Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図8D図8Aから図8Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
【0051】
図9A図9Aから図9Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図9B図9Aから図9Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図9C図9Aから図9Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
図9D図9Aから図9Dは、本発明の第7の実施形態に従ったバックプレーンの種々の層の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
【0053】
既に言及されたように、本発明は、電気光学材料の層と、電気光学材料の層の対向する側面上の第1及び第2の電極であって、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの離間した接触部を有する、第1及び第2の電極と、同一の電極へ取り付けられる2つの離間した接触部の間の電位差を変化させるように配置された電圧制御手段とを備える離間接触部ディスプレイを提供する。
【0054】
上述されたように、ほとんどの従来の電気光学ディスプレイは、アクティブマトリクス又は直接駆動タイプのいずれにせよ、電気光学層の1つの側面上の単一の透光性の「共通の」電極と、電気光学層の対向する側面上の電極(ピクセル電極又は直接駆動電極のいずれか)のアレイとを用いる。電極のアレイのそれぞれと共通の電極との間の電位差は、ディスプレイドライバによって制御され、これによりそれぞれのアレイ電極は(一般的に)、そのアレイ電極と共通の電極との間に在る電気光学媒質の区域の光学状態における変化を制御し、これらの変化は、電位差の極性及び大きさ、並びに、それが印加される時間に依存する。(悪い接触のリスクを低減するためにフロント電極への複数の接続を提供することが一般的方法であるが、そのような複数の接続は独立して制御可能でない。)対照的に、本発明のディスプレイは、その電極内の電位勾配を生成するための単一の電極上の2又はそれより多い離間した接触部の間の電位差に依存し、よって、単一の電極の異なる区域と電気光学層の対向する側面上の電極との間の電位差を変化させる。(典型的な場合として、ディスプレイの両方の電極が複数の接触部を設けられる場合、電位勾配が両方の電極内に存在し、電気光学層内の任意の点へ印加される電位差は、電気光学層内の選択される点の両方の側面上に在る2つの電極上の点での電位の間の差である。)従って、電気光学層へ印加される電位差は、電気光学層にわたって絶えず変化し、電気光学媒質の光学状態における対応する絶え間ない変化へ帰着する。これらの電位差は、単一パターン及びスイッチング効果の生成を可能とする。
【0055】
本発明のディスプレイは、(1つの電極中に、電極へ取り付けられる2又はそれより多い接触部の間の電位勾配を提供することにより)電極内の電位勾配を発達させることによって動作することを意図されているため、電極により提供される抵抗は大いに重要である。低すぎる電極の抵抗は、電極内の過度の電流を生み出し得、これは電圧制御手段における電子機器をショートアウトさせ得、他の問題、例えば電気光学層を損傷する過度の局地的加熱を引き起こし得る。一方、過度の電極の抵抗は、離間した接触部からの電圧の非常に小さい範囲の伝播に帰着し得、接触部に隣接する非常に小さい区域のみのスイッチング、及びディスプレイの全体の区域がスイッチングされるべきである場合には数多くの接触部のニーズへと帰着する。
【0056】
さらに、本発明に従って作製されるディスプレイの種々の実施形態は、電気光学材料により生み出される画像を閲覧するための反射される周囲光に依存するため、透光性の電極からの光の損失は最小化されるべきである。例えば、本発明の種々の実施形態に従ったディスプレイにおいて、周囲光は、透光性の電極を2回通って伝わり、第1は周囲光がその源から電気光学材料の表面へと伝わるときであり、第2はその光が電気光学材料から閲覧者へ反射されるときである。上で指摘されたように、ディスプレイの均一な駆動のための十分な電流を確実にするために、電極材料は十分に高い導電性のフロント電極を形成するべきである。より厚い電極材料の層はより高い導電性を有する。しかし、より厚い層はまた、材料が無色でないため、増加した光の損失をもたらす。酸化インジウムスズ(ITO)は大いに色彩豊かだが、この色の効果は、例えば2000Åのオーダーの極端に薄い層を適用することで最小化され得る。
【0057】
もちろん、最適な電極の抵抗は、ディスプレイのサイズ、接触部の数及び用いられる特定の電気光学媒質の性質とともに変化するが、概して、透光性の電極材料の面抵抗は、好ましくは約500Ohm/sqから約50000Ohm/sq、より好ましくは約1000Ohm/sqから約15000Ohm/sq、最も好ましくは約300Ohm/sqから約5000Ohm/sqである。PEDOT、カーボンナノチューブ、グラフェン及びナノワイヤなどの透光性導電体がもちろん、所望される場合に用いられ得る。
【0058】
本発明のディスプレイにおいて用いられる電気光学材料は、通常は、エレクトロクロミック、回転する2色の部材又は電気泳動材料などの双安定ディスプレイ材料である。そのような双安定材料は、有意な時間の間、典型的には0.1秒から1秒のオーダーの時間の間の電界への曝露の後にのみ、それらの光学状態を変化させる。よって、本発明のディスプレイの様相は、離間した接触部での電位が変化したときにそれぞれの電極の種々の区域において存在する電位によってだけでなく、用いられる電気光学材料が曝露される電界へ反応する速度によっても制御される。また、前述されたMEDEOD出願のいくつかにおいて検討されたように、いくつかの電気光学材料は、「ブルーミング」として公知である現象の影響を受けやすく、そのブルーミングによって、電極での電位における変化は、電極自体の面積よりも大きい面積にわたる材料の電気光学状態に影響を及ぼす。ブルーミングはしばしば電気光学ディスプレイにおける問題として扱われるが、それは表示される画像をゆがめる傾向があるため、本発明の少なくともいくつかのディスプレイにおいては、ブルーミングは実際、ディスプレイの別様の不活性な区域を隠すことにおいて有利であり得る。例えば、本発明のいくつかのディスプレイにおいて既に言及されたように、第1及び/又は第2の電極は、少なくとも1つの非導電性の区域により遮られ得、これによって電流は、その電極上の2つの接触部の間の非線形経路に従わなければならない。ブルーミングは、そのような非導電性の区域の光学効果を隠蔽するために用いられ得る。実際、いくつかの場合において、そのような隠蔽において支援するために、増加したブルーミングで電気光学材料をうまく処理することが所望され得る。
【0059】
本発明の典型的なディスプレイは、順を追って以下の層を備え得る。
(a)ディスプレイの閲覧面を形成する透明な導電性の層(「フロント電極」)
(b)カプセル化された電気泳動媒質の層
(c)積層接着剤の層
(d)基板(典型的にはポリマフィルム)と透明である必要のない導電体とから成り立つ「バックプレーン」
層(a)及び層(d)におけるそれぞれの電極の少なくとも2つの区域は、独立にアドレス指定され得る電気的接触部のために、導電体を曝露するように清潔にされる。最終的に、ディスプレイは、フロント電極及びバックプレーンを、互いに比較して正及び負の電位へ駆動するための、且つ、それぞれの電極内の電位勾配を生み出すための電圧制御手段を備える。
【0060】
そのようなディスプレイは、以下の材料を用いて生み出された。フロント電極は、一表面をITO、グレードOC300又は450でコーティングされる5mil(127μm)ポリエチレンテレフタレートで形成された。あるいは、フロント電極は、いずれの支持基板もないディスプレイの残りの層上へコーティングされ得る。カプセル化された電気泳動媒質は、実質的には、米国特許第8270064号において説明されるようなものであり、積層接着剤は実質的には、電気的性質を制御するために、5000ppmのテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩のドープ剤を含有する、米国特許第7012735号において説明されるような25μmの層であった。バックプレーンは、フロント電極のために用いられるものと同様のPET/ITOフィルムであったが、印刷されたカーボン導電体又は他の低コストの透明又は不透明の導電体が代用され得た。
【0061】
コーヒーテーブルとしての使用におけるこのタイプのディスプレイが、添付する図面の図1及び図2において概略的に例示される。図1において示されるように、コーヒーテーブル(概して100と示された)は、細長い長方形のガラス頂部102を備え、ガラス頂部102は、脚104上のその四隅で支持される。概して106と示されるディスプレイ自体は、テーブルのガラス頂部102の真下に支持され、これによってガラス頂部は機械的損傷からディスプレイ106を保護し得る。
【0062】
図2に示されるように、ディスプレイ106は、ディスプレイ106の全面積にわたって延在するITOフロント電極110を支えるPETフィルム108を備える。フロント電極110と接触しているのは、カプセル化された電気泳動媒質112であり、その下面は積層接着剤の層114を担持し、積層接着剤の層114は、PETフィルム118上のITO電極116の層を備えるバックプレーンへ、カプセル化された電気泳動媒質112を固定する。図1に示されるように、フロント電極110は、長方形テーブルの隅の近くに配置される4つの接触部T1-T4を設けられる一方で、バックプレーン電極116は、同様の方法で配置される4つの接触部B1-B4を同様に設けられる。
【0063】
図2は、接触部T1-T4及びB1-B4が形成される方法を例示する。接触部B1-B4は、典型的にはレーザカッタを用いて上部フィルム108を通る開口部をキスカットすることによって、且つ、電気泳動媒質112及び積層接着剤114の根底部分を清潔にすることによって生み出される。同様にして、接触部T1-T4は、下部フィルム118を通る開口部をキスカットすることによって、且つ、溶媒と手又は電動歯ブラシのような機械的手段のいずれかにより擦ることとを用いて、電気泳動媒質112及び積層接着剤114の高位部分を清潔にすることによって生み出される。結果として生じる開口部は、個々にアドレス指定され得る接触部を生み出すために、導電性材料、例えばカーボンで充填された接着剤又は導電性インクで充填される。接触部T1-T4及びB1-B4を独立して正及び負の電位へ駆動することを可能とする電圧制御手段は、ディスプレイコントローラ(示されていない)により提供される。そのディスプレイコントローラは、それぞれのチャネルで独立してプログラム可能な±30Vの間の任意の電圧及び波形(30V)をそれぞれが供給することが可能であり、且つ、高いインピーダンス又はフロート状態を有することも可能である12の出力を有する。コントローラは、それぞれの出力、直接駆動のために1つの駆動ラインを有する。
【0064】
図1及び図2において示されるディスプレイは、実質的に、前述された米国特許第6982178号において説明されるように組み立てられ得る。(最終的に下部フィルム108及び電極110を形成する)PET/ITOフィルムは、PET/ITO/電気光学アセンブリを形成するために、電気泳動媒質112でコーティングされ又は電気泳動媒質112へ積層される。(最終的に下部フィルム118及び電極116を形成する)第2のPET/ITOフィルムは、積層接着剤でサブアセンブリへ積層される。前に指摘されたように、電気泳動媒質112は光を透過しないため、下部電極116は透明である場合又はそうでない場合がある。結果として生じる構造は、所与の正しい電気的接続をスイッチングすることが可能な完全な電気光学ディスプレイである。この媒質は、例示されたコーヒーテーブルにおいて、大きいロールツーロール基盤上に作り出され得、例えば16×60インチ(406×1523mm)の個々のディスプレイのために要求されるサイズへ切られ得る(典型的にはレーザカットされ得る)。他の組み立て方法も用いられ得、それは例えば、前述された米国特許第6982178号において説明されたようなフロントプレーン積層(FPL)の形成であり、バックプレーンへの積層の前にサイズへ切られるFPLの切り取りが続く。キスカット区域内の基板は取り除かれ、それから電気泳動媒質が清潔にされる。接触部の数及びディスプレイの周縁まわりでのこれらの接触部の空間的分布が大きくなるほど、よりいっそう複雑なスイッチングパターンがもたらされ得る。
【0065】
図1及び図2において示されるディスプレイの駆動は、例えば、頂部接触部T2及びT3がそれぞれ-20V及び+20Vへセットされる一方で、バックプレーン接触B2及びB3は接地へセットされ、残りの接触の全てはフロートすることを可能とされることをもたらされ得る。この駆動バターンが約1秒より長い間維持される場合、電気泳動層の光学状態は半分黒及び半分白で、中央に拡散勾配区域を有する。駆動される電極が、固定電圧の代わりに可変電圧パターンを代わりに給電される場合、可動パターンが電気泳動層内に生み出される。例えば、1つの接触部が、0.1Hzの周波数で20Vの振幅の正弦波を受信し、同一の電極における他の駆動される接触部が、0.09Hzの周波数で20Vの振幅の正弦波を受信する場合、黒から白へのスイッチングの波は、異なる速度で、且つ左から右へ又は右から左への異なる方向で、ディスプレイにわたってゆっくりと動き、供給される2つの正弦波の異なった周波数に起因して時間とともに変化する。2つの正弦波の周波数を同一にし、且つ、一定の位相差を2つの正弦波に与えることによって、白から黒へ又は黒から白への動く波の速度及び方向は、一定に成され得且つ繰り返され得る。特に、反対の対角線が頂部及び底部の電極において用いられる場合、ディスプレイの対角上の対向する端での2つの接触部を駆動することによって、より複雑なパターンが形成され得る。さらにより複雑なパターンは、ディスプレイの周縁まわりのより多くの接触部を提供することによって生み出され得る。
【0066】
図1及び図2において示されるディスプレイが単純な長方形の形式の電極を有することにより、それぞれの電極がその2つの端での離間した接触部の間で本質的に均一であるが、本発明は長方形又はディスプレイの任意の特定の形状へ限定されず、多角形(例えば六角形又は八角形)ディスプレイ、又は、円形又は楕円形ディスプレイを用いると、興味深い効果が生み出され得る。そのような場合においては、電気光学材料における変化が線形よりもむしろ放射状に伝播するように、1又は複数の接触部がディスプレイの周縁まわりに、且つ別の接触がディスプレイの中心に提供され得る。さらに、本発明は、平面の2次元ディスプレイに限られず、3次元物体へも適用され得る。電極及び電気光学媒質の両方が3次元物体上に堆積され得る。例えば、有機導電体から形成される電極は溶液から堆積され得、電気泳動媒質はスプレー技術により堆積され得る。
【0067】
さらに、興味深い光学効果は、1つの又は両方の電極におけるギャップを提供することによって、例えば電極材料を取り除く又は化学的に変更することによって得られ得る。これによって、電流は、その電極上の2つの接触部の間の非線形経路に従わなければならない。図3は、このタイプのディスプレイ(概して300と示される)の概略的な平面図である。図1及び図2において示されるディスプレイ100のように、ディスプレイ300は、その対向する端に提供される細長い接触302及び304を持つ細長い長方形の形式を有する。接触部302及び304の間に延在する電極306が複数の非導電性区域308により遮られることにより、電流(及び従って電気光学効果)は、接触部302及び304の間の実質的な正弦曲線コースに従わなければならない。
【0068】
図3における区域308のような非導電性区域は、各種の興味深いパターンにおける電気光学効果を「伝達する」ために用いられ得る。例えば、円形、楕円形又は多角形ディスプレイは、ディスプレイの周縁上の単一の接触部と、ディスプレイの中心における第2の接触部と、2つの接触部の間に延在する螺旋電極に沿って電気光学効果を伝達するための螺旋非導電性区域とを有し得る。より大きい設計の自由でさえ、3次元ディスプレイの場合において利用可能である。例えば、柱状基板上に形成されたディスプレイは、柱状基板の対向する端に提供された接触部の間の螺旋経路に沿って電気光学効果を伝達するための螺旋非導電性区域を用い得る。
【0069】
既に述べられたように、本発明の離間した接触部ディスプレイにおいて、第1及び第2の電極のうちの少なくとも1つは、異なった単位長さ当たりの電気抵抗を有する複数の区画へ分割され得、そのようなディスプレイ(概して400と示される)の概略的な平面図が図4に示される。ディスプレイ400は概して、ディスプレイ400がその対向する辺に接触部402及び404を設けられている細長い長方形の形を有することにおいて、図3のディスプレイ300と同様である。また、ディスプレイ300のように、ディスプレイ400は非導電性区域408を設けられている。しかし、区域408の配置は、図3における区域308の配置と異なり、区域408は、ディスプレイ400の対向する長辺から延在する2つの対の近接した区域の形であり、これにより、導電性材料410又は412の狭い「首状部」又は「峡部」をそれぞれの隣接する対の間に残す。従って、接触部402及び404の間を通る電流は、低抵抗領域414、高抵抗首状部410、低抵抗領域416、高抵抗首状部412及び低抵抗領域418を連続して通過する。
【0070】
図4は、電極の幅を変化させることによって抵抗を変化させる領域の形態を例示するが、もちろん抵抗を変化させるために他の技術が使用され得る。例えば、図4に示されるディスプレイは、それぞれの首状部領域410及び412を、隣接する領域に提供され且つ適切な抵抗器を介して相互に接続される接触部に取り換えることによって変形され得る。可視電気部品の見苦しい存在を避けるために、抵抗器及び関連付けられる導電体は、例えば従来のコーヒーテーブル内にしばしば存在するような、ディスプレイを囲むフレーム内に収容され得る。そのようなフレーム内に配置される電気部品によって「目に見えないように」電極領域を相互に接続するための能力は、追加の設計の自由度を提供し、すなわち、その物理的位置と異なる順序で電極区分を電気的に配置するための能力である。例えば、電極が図4に示される3つの区分414、416及び418ではなく、5つの区分(図4において左から右へ読むA、B、C、D、Eと便宜上示される)へ分割される、ディスプレイ400の変形されたバージョンを考慮されたい。区分A-Eは、フレーム内に隠された導電体及び抵抗器を介して相互に接続されている。電気的相互接続は、電極区分が(例えば)A、D、B、C、Eの順で電気的に相互に接続されるように配置され得、そのことは、図1及び図2に示されるディスプレイ100におけるようにディスプレイに沿って線形的に前進するのでなく、ディスプレイの周りを跳ぶように見られる電気光学効果を生み出す。
【0071】
電極内の種々の抵抗の領域を提供する代わりに、静電容量を変化させる領域が用いられ得、そのようなディスプレイ(概して500と示される)を通じた概略的な断面図が図5に示される。ディスプレイ500は、電極の対向する端に接触部502及び504を設けられている電極506を有する細長い長方形の形状である限りは、図3及び図4に示されるディスプレイ300及び400とそれぞれ概して同様である。しかし、ディスプレイ300及び400の例示された電極と異なり、ディスプレイ500の電極506は遮られない。しかし、電極506は、全てが接地される離間した一連の離間した電極512を、電気光学媒質の電極506と反対の側面に提供することによって、単位面積当たりの静電容量を変化させる領域が設けられる。電極512の反対側に在る電極506の領域は、電極512の反対側に存在しない電極512の領域よりも実質的に大きい単位面積当たりの静電容量を有し、従って、ディスプレイ400における抵抗を変化させる領域によって提供される電気光学性能における変化と概して同様な、ディスプレイ500の電気光学性能における変化を提供することが直ちに明白である。(典型的には、図2に示される接着層114と同様の接着層は、電気光学層510と電極506との間又は電気光学層510と電極512との間のいずれかに存在する。接着層は、例示の容易さのために図5から省かれるが、その有無は、ディスプレイ500の動作の基本的な方法へ何の違いもなさない。)
【0072】
本発明の絶縁電極ディスプレイの1つの実施形態が、図6への参照とともに今から説明される。概念上、絶縁電極ディスプレイは、図4に示されるタイプの可変抵抗電極ディスプレイの変形物とみなされ得る。この変形物は、電気光学層自体を低抵抗電極の間の高抵抗領域として用いることを備える。この変形物は、電気光学層の対向する側面上に連続した高抵抗領域(電極)を位置づけ、これによって電極の単一のセットのみが要求される。
【0073】
より詳しくは、図6に示されるように、絶縁電極ディスプレイ(概して600と示される)は、電気光学材料の層610と7つの電極612-624の連続物とを備えるディスプレイの形状と同様の細長い長方形の形状を有し、7つの電極612-624のそれぞれは、ディスプレイの幅全体にわたって延在する細長いストリップの形を有する。第1及び最後の電極612及び624はそれぞれ、時間変動電位差が電極612及び624の間に印加されることを可能とする電圧制御ユニット(概略的に626で示される)へ接続される。残りの電極614-622は、それらの電位が電気光学材料の層610を通る電流の通路によって制御されるように、電気的に絶縁される。電極612-624は、層610の(例示されるような)下面と上面との間で交番し、(ディスプレイの閲覧面である)上面における電極614、618及び622は透光性であり、電極612、616、620及び624は、透光性である場合又はそうでない場合がある。図6から見られ得るように、電極614-622のそれぞれは、先行する電極とオーバーラップする第1の端(図6に例示されるような電極の左手の端)及び後行する電極とオーバーラップする第2の端(図6に例示されるような右手の端)を有する。層610を通る妥当な長さの導電経路を残すように互いに隣接していることを条件として、隣接する端がオーバーラップすることは必ずしも必要ではない。電極の第1及び第2の端が電極の対向する側面上にあることは必要でないと認識される。例えば、電極612―624は、二等辺三角形の形であり得、これによって第1及び第2の端は平行でない可能性があり、又は、電極はチェッカー盤の形式で配置され得、そのような場合では、いくつかの電極は互いに直角である第1及び第2の端を有し得る。
【0074】
電極612と電極624との間の電圧制御手段626による時間変動電位差の印加は、層610の抵抗性、電極間の静電容量、層610内の極性などの要因に依存して、且つ、層610の種々の部分の光学状態におけるさらに複雑な変化さえにも依存して、電極614-622の電位における複雑な変化をもたらす。より一般的には、層610の種々の部分は、電圧制御手段626によって印加される電圧が変化させられるような「フリッカー」と考えられる。さらに別の実施形態において、本発明に従って作製されるディスプレイは、低パワー波スイッチを果たすように構成されるバックプレーンを含み得る。図7A図7Dへ参照すると、バックプレーンは、長さを変化させる第1の複数の導電性ライン又はトレース710が印刷され得る長方形基板700を備え得る。導電性ライン710のそれぞれの一端は、駆動回路(示されてはいない)へ接続され得る。それから、絶縁材料720の層は、第1の複数の導電性ライン710の接続されていない端を暴露されたままにする複数の間隙730を除いて、第1の複数の導電性ライン710にわたって適用され得る。第2の複数の導電性ライン又はトレース740は、絶縁材料720の層にわたって適用され得、これによって、導電性ライン740のそれぞれがそれぞれの第1の導電性ライン710を横断し、それぞれの第1の導電性ライン710と電気的に接触する。このことは。絶縁材料720内の間隙730にわたる第2の複数の導電性ライン740を印刷することによって達成され得る。絶縁材料の層内の間隙の位置及び第2の複数の導電性ラインは、関連付けられない導電性ラインの間の電気的ショートを防ぐように精密に位置付けられる。従って、第1の複数におけるそれぞれの導電性ラインは、第2の複数内のただ1つのラインと電気的に接触し、及びその逆もまた同様である。1又は複数の接触パッド751、752がまた、第1の導電性ライン710の曝露された端へ適用され得る。1又は複数の接触パッド751、752は、ディスプレイの透光性フロント電極(示されてはいない)へバックプレーンを電気的に接続するための位置を提供し得る。最終的に、抵抗性材料の層760は、第2の複数の導電性のライン740にわたって適用され得、これによって抵抗性材料の層760は、第2の複数の導電性ライン740に電気的に接触する。抵抗性材料の層は、好ましくはバックプレーンの最も頂部の層であり、ディスプレイのフロントプレーン積層(FPL)と直接接触する。
【0075】
バックプレーン中の構成要素のそれぞれは、複層に印刷された回路基板を製造するための方法などの、当業者に知られた技術を用いて簡単に制作され得る。種々の材料が、バックプレーンの種々の層のために用いられ得る。例えば、絶縁層のための材料は、誘電性材料、好ましくは光硬化性無溶媒有機物又はシリコンベースのオリゴマーを備える誘電性材料を含むが、それらへ限定されない。抵抗性の層において用いられ得る材料の例は、抵抗性カーボン、ITOで充填されたポリマ、PEDOTで充填されたポリマ及び金属充填物を含むが、それらへ限定されない。同様にして、カーボン、又は、銀、ニッケル及び銅のような導電性金属のような任意の導電性材料が第1及び第2の複数の導電性ラインを印刷するために用いられ得る。
【0076】
第2の複数の導電性ラインを形成するための材料は、好ましくは、抵抗性材料の層を形成するために用いられる材料よりも高い導電性を有する。抵抗性材料の層がそれぞれのラインの周りの均一な電圧を確実にするため、第2の複数の導電性ライン及び抵抗性材料の層の組み合わせは、本質的に、導電性ラインが個々のバスバーとして役立つ一連の高い導電性のバスバーを提供する。抵抗性材料の層の抵抗は、バスバーラインの間の間隔及び長さに対して選択され得る。好ましくは、低減される電圧消費のために、バスバーラインの間の総計の抵抗は、1kOhm以上であり、より好ましくは10kOhm以上である。例えば、バスバーラインの長さ対間隔の比が10である構成において、10kOhm/squareの抵抗性を有する抵抗性の層を提供することは、1kOhmのバスバーラインの間の総計の抵抗に帰着する。
【0077】
本発明の別の実施形態において、前述されたバックプレーンを有するディスプレイを駆動する方法が提供される。ディスプレイを駆動するために2レベル又は3レベルの出力能力を有するドライバが用いられ得、ドライバはまた、好ましくはフローティング(高いインピーダンスの)出力能力を有する。再度、図7Aから図7Dへ参照すると、ドライバは、基板700の左側面に沿った第1の複数の導電性ライン710へ接続され得る。第1ステップにおいて、ドライバは、第2の複数の導電性ライン740の最も左のバスバーライン(「第1のバスバーライン」)へ電圧を印加し得、残りのバスバーラインをショートし又はフロートする。本明細書及び特許請求の範囲全体にわたってここで用いられるように、「ショート」又は「ショーティング」は、導電性ライン及び区域を接地することを意味し、「フロート」又は「フローティング」は、導電性ライン又は区域を電気的に絶縁することを意味する。最も左のバスバーラインに近接して位置付けられるFPL内の電気光学媒質は即座にスイッチし、スイッチされた電気光学媒質からスイッチされていない電気光学媒質への色勾配は、第1のバスバーラインと次のバスバーライン(「第2のバスバーライン」)との間に見られる。ドライバが、パルス幅変調(PWM)出力又は電圧変調(VM)出力を可能とする場合、よりゆっくりと発達する勾配を作り出すために、ドライバはデューティーサイクル又は電圧を段階的に増加させ得る。用途により要求されるスイッチ速度によって決定され得る長さのいくらかの期間の後、ドライバは、第1のバスバーライン上の電圧印加を終えて、第2のバスバーラインへ電圧を印加し得、同じように続く。この方法において、ドライバは、スイッチされた電気光学媒質とスイッチされていない電気光学媒質との間の勾配が存在する区域のみへの電圧の印加を制限しながら、制御された方法におけるディスプレイ全体にわたって電気光学媒質を段階的にスイッチし得る。
【0078】
例えばより幅広い勾配が所望される場合、ディスプレイにわたって勾配が段階的に広がるように、ドライバは、複数の隣接するバスバーラインに連続したタイミングで電圧を印加し得る。最終的に、勾配がディスプレイ内の任意の位置に作り出され得、複数のバスバーラインに反対の電圧のパターンを印加することによって、複数の勾配が同時に存在し得る。勾配は、ディスプレイ上の任意の点又は任意の時間で開始され及び停止され得、複数の勾配が同時に生成される場合、勾配は複数の方向に複数の速度で伝播し得る。従って、波の複雑性はバスバーラインの間隔及びドライバのためのソフトウェア制御に依存する。
【0079】
上で説明されたように、第1及び第2の複数の導電性ラインの間の絶縁材料の層は、バックプレーンの遠位の区域へ駆動回路を接続する。種々の導電性ラインは、互いに電気的にショートせずに互いに交差することが可能である。この構成は、種々のパックプレーン設計を可能とする。例えば、前述された長方形バックプレーンと同様の印刷された層を有するバックプレーンは、代わりに円形基板上に提供され得る。図8Aから図8Dへ参照すると、円形基板800は、基板800の円周区域の辺りに印刷された変化する長さを有する第1の複数の同心の導電性ライン810を含み得る。基板の端に位置付けられる同心の導電性ライン800のそれぞれの一端は、ドライバ(示されていない)へ接続され得る。絶縁材料の層820は、第1の導電性ライン810のそれぞれの接続されない端を曝露されたままにする間隙830を除いて、第1の複数の導電性ライン810にわたってコーティングされ得る。第2の複数の導電性ライン840はそれから、絶縁材料820の層に放射状に印刷され得、これにより、それぞれの放射状の導電ライン840は、それぞれの間隙830にわたって適用され、それぞれの放射状の導電ライン840は、単一の同心の導電ライン810と電気的に接触する。バックプレーンはまた、ディスプレイの透光性電極(示されてはいない)と電気的に接続するための1又は複数の接続点851、852、853を含み得る。最終的に、円形パックプレーンにおける複数の放射的に延在するバスバーラインを形成するために、抵抗性材料の層860は、放射状の導電性ライン840にわたって適用され得る。動作の間、放射状に延在するバスバーラインを有する円形バックプレーンを有するディスプレイは、円周上の勾配経路で電気光学媒質をスイッチすることを可能とし得る。
【0080】
本発明のさらに別の実施形態において、2次元の色勾配パターンを形成することが可能なバックプレーンが提供され得る。図9Aから図9Dへ参照すると、基板900は、複数の概して平行である導電性ライン910を含み得る。基板900の一端に沿った導電性ライン910のそれぞれの端は、ドライバ(示されていない)へ接続され得る。絶縁材料の層920は、導電性ライン910の接続されない端を曝露するように残される間隙930を除いて、複数の導電性ライン910にわたって適用され得る。次に、複数の導電性区域940は、複数の導電性ラインの接続されない端のそれぞれにわたって選択的に印刷され得る。導電性区域のうちの1又は複数は、ディスプレイの透光性電極(示されていない)とバックプレーンを電気的に接続するための接続部951、952として役立ち得る。最終的に、抵抗性材料の層960が、複数の導電性区域940(存在する場合)にわたって、又は複数の導電性ライン910の曝露された端にわたって適用され得る。導電性区域(存在する場合)、又は抵抗性材料との組み合わせにおける複数の導電性ラインの曝露された端は、複数のバスバーポイントを形成する。バスバーラインと同様に、バスバーポイントは、1kOhm以上の抵抗を提供するために、好ましくは十分な距離で互いに分離される。バスバーポイントからバスバーポイントへの電圧の交番するパターンを印加することによって、ドライバは、それぞれのポイントの周りの複数の方向の色勾配を作り出し得る。
【0081】
前述から、本発明は、電気光学媒質(特に、電気泳動媒質のような双安定媒質)の光学状態における移動変化及び非常に単純且つ安価な電極を用いて視覚的興味のパターンの生成を可能とするディスプレイ及び駆動方法を提供することが理解されるであろう。
【0082】
本発明の範囲から出ることなく、上述された本発明の特定の実施形態において、数多くの変化及び変形物が作製され得ることが、当業者にとって明らかとなるであろう。例えば、可変電圧はもちろん単純な正弦波に限られない。固定された又は変化する周波数の三角波、鋸歯状波及び方形波がすべて使用され得る。よって、前述の説明の全体は、例示的であり且つ限定的でない意味において解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
【外国語明細書】