(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176364
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】複素環化合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/522 20060101AFI20221117BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221117BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221117BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20221117BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20221117BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20221117BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221117BHJP
A61K 31/661 20060101ALI20221117BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20221117BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20221117BHJP
C07D 519/00 20060101ALN20221117BHJP
C07D 487/04 20060101ALN20221117BHJP
C07D 239/48 20060101ALN20221117BHJP
C07D 239/47 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
A61K31/522
A61P35/00
A61P43/00 105
A61K31/5517
A61K31/52
A61K31/513
A61K31/519
A61K31/661
C12N15/11 Z
C12N15/63 Z
C07D519/00 301
C07D487/04 144
C07D239/48
C07D239/47 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161959
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2018566120の分割
【原出願日】2018-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017019127
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有本 博一
(72)【発明者】
【氏名】一刀 かおり
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大輝
(72)【発明者】
【氏名】長 展生
(72)【発明者】
【氏名】奈良 洋
(72)【発明者】
【氏名】下川 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】邑楽 泰一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 茂和
(72)【発明者】
【氏名】石井 直樹
(57)【要約】
【課題】
細胞内分子のオートファジーによる分解を誘導する新規化合物またはその塩を提供する。
【解決手段】
細胞内分子に結合する活性を有するリガンドと、細胞内分子のオートファジーを誘導する活性を有する構造を、両者の活性を喪失することなくリンカーを介して結合させた化合物とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内分子に結合し、該細胞内分子のオートファジーによる分解を誘導する化合物またはその塩(ただし、
【化1】
【化2】
を除く)。
【請求項2】
下式(I)
【化3】
[式(I)中、
R
1は、細胞内分子に特異的に結合するリガンドを示し、
L
aは、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示し、
L
bは、
i)結合手、
ii)主鎖が1ないし13原子からなる鎖状リンカー、または
iii)下式
【化4】
を示し、式(II)中、
L
1は、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示し、
X
1は、置換されていてもよい二価の環状基を示し、
L
2は、結合手または主鎖が1ないし2原子からなる鎖状リンカーを示し、
R
2は、下式
【化5】
から選ばれる基を示し、各式中、
R
A1、R
A2、R
A3、R
A4、R
A5、R
A6、R
A7、R
A8、R
A9およびR
A10は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、または
R
A1およびR
A2は、互いに結合して、置換されていてもよい環を形成してもよく;
R
B1、R
B2、R
B3、R
B4およびR
B5は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X
2-R
3を示し、
式中、X
2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R
3は、置換されていてもよい環状基を示す。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項3】
R
2が、下式
【化6】
[式(III)中、
R
A1およびR
A2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、または
R
A1およびR
A2は、互いに結合して、置換されていてもよい環を形成してもよく;
R
B1は、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X
2-R
3を示し、式(VIII)中、
X
2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R
3は、置換されていてもよい環状基を示す。]
である請求項2記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
請求項1記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
【請求項5】
細胞内分子の分解誘導薬である、請求項4記載の医薬。
【請求項6】
癌の予防または治療薬である、請求項4記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内分子のオートファジーによる分解を誘導する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
オートファジーは、細胞内における細胞内分子の分解機構の一つであって、酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構である。オートファジーが誘導されると、オートファゴソームと呼ばれる膜胞が形成され、続いて、オートファゴソームがリソソームと融合することにより、オートファゴソーム内に取り込まれた細胞内分子が分解される。
【0003】
細胞が飢餓状態に陥ることによってオートファジーが誘導されることが知られているほか、発生、分化等の生理機能や、細胞内に侵入したウイルスの排除等の感染防御機能にもオートファジーが関与することが明らかになってきている。
【0004】
オートファジーによる細胞内分子の分解制御につながる各種分子(例えば、化合物)に関する研究が行われている。例えば、非特許文献1では、以下の化合物を細胞培養物に添加することにより、当該化合物がシステインを有するタンパク質に結合すること、および当該結合後のタンパク質がオートファゴソーム内に取り込まれることが示唆されている。
【化1】
【0005】
また、非特許文献2では、ハロタグ化したEGFPタンパクを発現させた細胞に以下の化合物を添加することにより、上記EGFPタンパクがオートファゴソーム内に取り込まれ、分解されることが示唆されている。
【化2】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mol. Cell 52(2013)794-804
【非特許文献2】「選択的オートファジーにおけるS-グアニル化の役割」東北大学修士論文(発表会:平成27年2月4日)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の化合物およびこれを含む医薬を提供する。
【0008】
[1]細胞内分子に結合し、該細胞内分子のオートファジーによる分解を誘導する化合物またはその塩(ただし、
【化3】
【化4】
を除く)。
【0009】
[2]下式(I)
【化5】
[式(I)中、
R
1は、細胞内分子に特異的に結合するリガンドを示し、
L
aは、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示し、
L
bは、
i)結合手、
ii)主鎖が1ないし13原子からなる鎖状リンカー、または
iii)下式
【化6】
を示し、式(II)中、
L
1は、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示し、
X
1は、置換されていてもよい二価の環状基を示し、
L
2は、結合手または主鎖が1ないし2原子からなる鎖状リンカーを示し、
R
2は、下式
【化7】
から選ばれる基を示し、各式中、
R
A1、R
A2、R
A3、R
A4、R
A5、R
A6、R
A7、R
A8、R
A9およびR
A10は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、または
R
A1およびR
A2は、互いに結合して、置換されていてもよい環を形成してもよく;
R
B1、R
B2、R
B3、R
B4およびR
B5は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X
2-R
3を示し、
式中、X
2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R
3は、置換されていてもよい環状基を示す。]
で表される化合物またはその塩(本明細書中、「化合物(I)」と略記する場合がある)。
【0010】
[3]R
2が、下式
【化8】
[式(III)中、
R
A1およびR
A2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、または
R
A1およびR
A2は、互いに結合して、置換されていてもよい環を形成してもよく;
R
B1は、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X
2-R
3を示し、式(VIII)中、
X
2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R
3は、置換されていてもよい環状基を示す。]
である上記[2]に記載の化合物またはその塩。
【0011】
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
【0012】
[5]細胞内分子の分解誘導薬である、上記[4]記載の医薬。
【0013】
[6]癌の予防または治療薬である、上記[4]記載の医薬。
【発明の効果】
【0014】
本発明化合物は、細胞内分子(本明細書中、「標的分子」と称することがある)に結合し、分解を誘導する活性を有し得るため、当該細胞内分子が関与する疾患(例えば、癌)の予防または治療に有効と成り得る。
【0015】
(発明の詳細な説明)
【0016】
以下、本発明化合物、これらの製造方法および用途について説明する。
【0017】
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6-トリフルオロヘキシルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3-10シクロアルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3-10シクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0018】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル-カルボニル基が挙げられる。具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0019】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0020】
本明細書中、「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
【0021】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、下記の置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1-ナフチルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、及び
(62)C6-14アリール基。
【0022】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の好適な例としては、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環基」としては、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、前記した置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、「ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基」をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。
また、「アシル基」としては、炭化水素-スルホニル基、複素環-スルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、複素環-スルフィニル基も挙げられる。
ここで、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環-スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環-スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を、それぞれ意味する。
「アシル基」の好適な例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例、クロトノイル)、C3-10シクロアルキル-カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロアルケニル-カルボニル基(例、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ)が挙げられる。
【0028】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオカルバモイル基の好適な例としては、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0030】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファモイル基の好適な例としては、スルファモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる置換基」を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基の好適な例としては、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、tert-ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0032】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基」を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファニル基の好適な例としては、スルファニル(-SH)基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1-6アルキル-カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピバロイルチオ)、C6-14アリール-カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基およびC7-16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基」を有していてもよいシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいシリル基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「C1-6アルキレン基」としては、例えば、-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH(C2H5)-、-CH(C3H7)-、-CH(CH(CH3)2)-、-(CH(CH3))2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH2-C(CH3)2-、-C(CH3)2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C(CH3)2-、-C(CH3)2-CH2-CH2-CH2-が挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニレン基」としては、例えば、-CH=CH-、-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH2-、-C(CH3)2-CH=CH-、-CH=CH-C(CH3)2-、-CH2-CH=CH-CH2-、-CH2-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-CH=CH-が挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニレン基」としては、例えば、-C≡C-、-CH2-C≡C-、-C≡C-CH2-、-C(CH3)2-C≡C-、-C≡C-C(CH3)2-、-CH2-C≡C-CH2-、-CH2-CH2-C≡C-、-C≡C-CH2-CH2-、-C≡C-C≡C-、-C≡C-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH2-C≡C-が挙げられる。
【0035】
本明細書中、「炭化水素環」としては、例えば、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケンが挙げられる。
本明細書中、「C6-14芳香族炭化水素環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケン」としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
本明細書中、「複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0036】
本明細書中、「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。該「芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5ないし6員単環式芳香族複素環;
ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3-b]チオフェン、フェノキサチイン、インド-ル、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環が挙げられる。
【0037】
本明細書中、「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環が挙げられる。該「非芳香族複素環」の好適な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパニン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;
ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H-キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ-β-カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
本明細書中、「環状基」としては、例えば、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基が挙げられる。
本明細書中、「C1-12アルコキシ基」としては、例えば、C1-6アルコキシ基が挙げられる。
本明細書中、「不飽和複素環基」としては、例えば、「複素環基」のうち、少なくとも一つの不飽和結合を有するものが挙げられる。
【0038】
以下に本明細書で使用する用語の定義について述べる。
本明細書において、「細胞内分子」とは、少なくともその一部が細胞内に存在する生体分子を意味する。「細胞内分子」としては、例えば、細胞内に存在する脂質、糖脂質、タンパク質、糖タンパク質等が挙げられ、典型的には細胞内に存在するタンパク質である。「細胞内分子」は、細胞種について特に、制限はないが、細胞としては哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト)の細胞が好ましく、ヒト細胞が実用上最も念頭に置かれる。細胞内タンパク質としては、病態に関連した細胞内タンパク質(特に、ヒトの病態に関連した細胞内タンパク質)が実用的な標的として挙げられる。上記病態関連細胞内タンパク質としては、例えば、BRD4、Ras、FKBP12およびMetAP2が挙げられる。
【0039】
本明細書中、「細胞内分子に特異的に結合するリガンド」とは、本発明の化合物、典型的には化合物(I)の一部を構成し、生体の細胞内に存在する任意の分子(例えばタンパク質)への特異的な結合活性(本明細書中、「細胞内分子に対するリガンド活性」と称することがある)を有する構造単位を意味する。前記構造単位を構成する物質は前記細胞内分子に特異的に結合する物質であればよく、その例として、DNA、RNA,ヌクレオシド、ヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、アルカロイド、テルペンおよびそれらの誘導体、補酵素、低分子化合物(特に、低分子有機化合物)が挙げられる。
【0040】
本明細書中、「リンカー」とは、本発明の化合物における「リガンド」の部分とオートファジーを誘導する部分との間に介在して、これらを連結する原子団を意味し、化合物(I)においては、R1とR2の間に介在してこれらを連結する式:-La-O-C-C-O-Lb-の構造の全体又は一部を意味する。
なお、リガンドにリンカーが結合した本発明化合物の一部を構成する構造単位は、細胞内分子に対するリガンド活性を有し得る。
【0041】
本発明化合物の好ましい実施形態は、化合物(I)であり、以下ではこれについて説明する。
式(I)におけるR1は、細胞内分子(例えば、細胞内タンパク質)に特異的に結合するリガンドを示す。細胞内分子とは、細胞内に存在する分子を示し、内因性分子、外因性分子および細胞内に人為的に導入した外因性分子(例えば、タンパク発現ベクター)をもとに細胞内で発現する分子(例えば、タンパク)を含む。細胞内分子としては、例えば、HaloTag(登録商標)を融合した細胞内タンパク質、および病態に関連した細胞内タンパク質が挙げられる。
「Halo Tagを融合した細胞内タンパク質」における細胞内タンパク質としては、例えば、EGFPおよびEmGFPを挙げることができる。
病態に関連した細胞内タンパク質としては、例えば、BRD4(多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病などに関与)、Ras(大腸癌、膵臓癌などに関与)、FKBP12およびMetAP2に特異的に結合するリガンドを挙げることができる。
R1は、より好ましくは、EmGFPにHalo Tagを融合した細胞内タンパク質に対するリガンド、またはBRD4、Ras、FKBP12若しくはMetAP2に特異的に結合するリガンドである。
【0042】
BRD4に対するリガンドとしては、例えば
【化9】
が挙げられ、FKBP12に対するリガンドとしては、例えば
【化10】
が挙げられ、MetAP2に対するリガンドとしては、例えば
【化11】
が挙げられる。
【0043】
Rasに対するリガンドとしては、例えば、以下の文献に記載されたリガンドが挙げられる;Nature, 2013, 503, 548-551; 国際公開2013/155223号;Science, 2016, 351, 604-608; 国際公開WO2014152588号;国際公開2015/054572号;国際公開2016/049524号;Nat. Rev. Drug Discov., 2014, 13, 828-851; Chem. Soc. Rev., 2016, advance article (DOI: 10.1039/C5CS00911A)。
Rasに対するリガンドとしては、例えば、
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
が挙げられる。
【0044】
Halo Tag(登録商標)を融合した細胞内タンパク質に対するリガンドとしては、例えば、ハロゲン化C1-12アルコキシ基(特に、末端の炭素がハロゲン化されたC1-6アルコキシ基)が挙げられ、好ましくはハロゲン化された(特に、末端の炭素がハロゲン化された)ヘキシルオキシ基(特に、塩素化ヘキシルオキシ基)である。
【0045】
式(I)における-La-O-CH2-CH2-O-Lb-は、R1で表される細胞内分子に特異的に結合するリガンドと、R2で表されるオートファジーを引き起こす構造とを連結するリンカーを表す。
【0046】
Laは、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示す。
鎖状リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される無置換の原子を挙げることができ、原子間の結合は、単結合、二重結合および三重結合のいずれでもよい。鎖状リンカーは、例えば-CH2-、-CH=、=CH-、-C≡、≡C-、-NH-、-N=、=N-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(S)-、-C(NH)-および-CH=N-から選択されるいずれか1種または2種以上で構成することができ、これらは、置換可能な位置においてハロゲン原子で置換されていてもよい。
Laは、好ましくは、C1-6アルキレン基(特に、エチレン基)または-置換されてもよい窒素原子-C1-6アルキレン基(特に、-NH-エチレン基)である。
【0047】
L
bは、
i)結合手、
ii)主鎖が1ないし13原子からなる鎖状リンカー、または
iii)下式(II)
【化17】
を示す。
【0048】
ii)の鎖状リンカーは、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。鎖状リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される無置換の原子を挙げることができ、原子間の結合は、単結合、二重結合および三重結合のいずれでもよい。鎖状リンカーは、例えば、-CH2-、-CH=、=CH-、-C≡、≡C-、-NH-、-N=、=N-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(S)-、-CH2(NH)-、-CO(NH)-および-CH=N-からなる群から選択される1種または2種以上で構成することができ、これらは、置換可能な位置においてハロゲン原子で置換されていてもよい。
ii)の鎖状リンカーは、好ましくは、以下の式
-(Cxアルキレン-O)n1-(CH2)m1-B1- (IX)
で表され、式(IX)中、
xは1~6であり、好ましくは2または3であり、
n1は1~5であり、好ましくは1~3であり、
m1は0~5であり、好ましくは1~3であり、より好ましくは2~3であり、特に好ましくは2であり、
B1は、
(i)結合手、
(ii)-NH-、
(iii)―NH-(CO)-B2-(式中、B2は、結合手、-C1-3アルキレン-NH(特に、-メチレン-NH、-エチレン-NH)、-C1-3アルキレン-S-(特に、メチレン-S-、エチレン-S-)、またはC2-3アルケニレン基(特に、ビニレン基)を示す)、
(iv)C2-3アルキニレン基(特に、アセチレン基)、
(v)-NH-C1-3アルキレン基(特に、-NH-メチレン基)、または
(vi)-N-C1-6アルキル-カルボニル-L-システインアミド(特に、-N2アセチル-L-システインアミド)であり、
好ましくは、
(i)-NH-、
(ii)-CO(NH)-、
(iii)―NH-(CO)-C2-3アルケニレン基(特に、―NH-(CO)-ビニレン基)である)、
(iv)-NH-C1-3アルキレン基(特に、-NH-メチレン基)、または
(v)-N-C1-6アルキル-カルボニル-L-システインアミド(特に、-N2アセチル-L-システインアミド)である。
【0049】
B
1の好ましい具体例として、
【化18】
の置換基を挙げることができる。B
1のより好ましい具体例として、
【化19】
の置換基を挙げることができる。
【0050】
式(II)のL1は、結合手または主鎖が1ないし10原子からなる鎖状リンカーを示す。この鎖状リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される無置換の原子を挙げることができ、原子間の結合は、単結合、二重結合および三重結合のいずれでもよい。鎖状リンカーは、例えば、-CH2-、-CH=、=CH-、-C≡、≡C-、-NH-、-N=、=N-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(S)-、-C(NH)-および-CH=N-からなる群から選択される1種または2種以上で構成することができ、これらは、置換可能な位置でハロゲン原子で置換されていてもよい。
L1は、好ましくは、下記式
-(Cyアルキレン-O)n2-(CH2)m2- (X)または
-(Cyアルキレン-NH)n2-(CH2)m2- (X’)
(式(X)及び(X’)中、
yは1~3であり、好ましくは2または3であり、
n2は1~6であり、好ましくは1~3であり、
m2は0~3であり、好ましくは0~2である)
で表される。
L1は、より好ましくは、-(エチレン-O)n2'-(CH2)m2'-または-(プロピレン-O)n2'-(CH2)m2’-(各式中、n2’は1~3であり、m2’は0~2である)であり、さらに好ましくは-(エチレン-O)n2’’-(CH2)m2’’(各式中、n2’’は1または2であり、m2’’は1または2である)である。
【0051】
式(II)のX1は、置換されていてもよい二価の環状基を示す。二価の環状基としては、例えば置換されていてもよい二価のC6-14芳香族炭素環基(特に、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族炭素環基(特に、アミド基で置換されたフェニレン基、無置換フェニレン基))、置換されていてもよい二価の5ないし14員の芳香族複素環基(特に、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族複素環基(特に、ピラゾリル環、トリアゾリル))、または置換されていてもよい二価の3ないし14員非芳香族複素環基(特に、置換されてもよい2価の6員非芳香族複素環基(特に、アミド基で置換されたピペリジニル))が挙げられる。
【0052】
式(I)における-La-O-CH2-CH2-O-Lb-を、-La-O-(CH2)n’-O-Lb-(n’は、1または3~6を示す)、または-La-NH-(CH2)n’ ’ -NH-Lb-(n’ ’は、1~6を示す)に置換した化合物も所望の効果を有する。そのような化合物のなかでも、-La-O-プロピレン-O-Lb-、-La-NH-エチレン-NH-または-La-NH-プロピレン-NH-Lb-に置換した化合物が好ましい。
【0053】
X1は、好ましくは、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族炭素環(特に、アミド基で置換されたフェニレン基、無置換フェニレン基)、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族複素環(特に、ピラゾール環、トリアゾール環)、または置換されてもよい2価の6員非芳香族複素環(特に、アミド基で置換されたピペリジン環)であり、より好ましくは置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族炭素環(特に、アミド基で置換されたフェニレン基)である。
【0054】
式(II)のL2は、結合手または主鎖が1ないし2原子からなる鎖状リンカーを示す。鎖状リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される無置換の原子を挙げることができ、原子数が2の場合、原子間の結合は、単結合、二重結合および三重結合のいずれでもよい。L2は、好ましくは、結合手またはカルボニル基(特に、複素環の複素原子(特に、窒素原子)に結合しているカルボニル基)である。
【0055】
-X
1-L
2-の好ましい具体例として、
【化20】
挙げることができる。
【0056】
L
bの好ましい態様としては、
i)式
-(C
xアルキレン-O)
n1-(CH
2)
m1-B
1 (IX)
で表され、式(IX)中、
xは2または3(好ましくは2)であり、
n1は1~3(好ましくは2又は3)であり、
m1は1~3(好ましくは1)であり、
B
1は、
(i)結合手、
(ii)-NH-、
(iii)―NH-(CO)-B
2-(式中、B
2は、結合手、-C
1-3アルキレン-NH(特に、-メチレン-NH、-エチレン-NH)、-C
1-3アルキレン-S-(特に、メチレン-S-、エチレン-S-)、またはC
2-3アルケニレン基(特に、ビニレン基)を示す)、
(v)C
2-3アルキニレン基(特に、アセチレン基)、
(vi)-NH-C
1-3アルキレン基(特に、-NH-メチレン基)、または
(vii)-N-C
1-6アルキル-カルボニル-L-システインアミド(特に、-N2アセチル-L-システインアミド)であるか;あるいは
ii)式
【化21】
で示され、式(II)中、
L
1は、下記式
-(C
yアルキレン-O)
n2-(CH
2)
m2-
(X)、または
-(C
yアルキレン-NH)
n2-(CH
2)
m2-
(X’)
(式(X)及び(X’)中、
yは2または3(好ましくは2)であり、
n2は1~6(好ましくは1~3)であり、
m2は0~3(好ましくは0~2))であり、
L
1は、好ましくは、-(エチレン-O)
n2’-(CH
2)
m2’-または-(プロピレン-O)
n2’-(CH
2)
m2’-(各式中、n2’は1~3であり、m2’は0~2である)であり;
X
1は、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族炭素環基(特に、アミド基で置換されたフェニレン基、無置換フェニレン基)、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族複素環基(特に、ピラゾリル環、トリアゾリル環)、または置換されてもよい2価の6員非芳香族複素環基(特に、アミド基で置換されたピペリジニル)であり;
L
2は、結合手またはカルボニル基(特に、複素環の複素原子(特に、窒素原子)に結合しているカルボニル基)である場合が挙げられる。
【0057】
L
bのより好ましい態様としては、
L
bが、
i)式
-(エチレン-O)
n1-(CH
2)
m1-B
1 (IX’)
で表され、式(IX’)中、
n1は1または2であり、
m1は1であり、
B
1は、
(i)―NH-、
(ii)―NH-(CO)-、
(iii)―NH-(CO)-エチレン、
(iv)―NH-C
1-3アルキレン基(特に、アミノメチレン基)、または
(v)―N2アセチル-L-システインアミドで表される鎖状リンカーであるか、あるいは
ii)式
【化22】
で示され、式(II)中、
L
1は、-(エチレン-O)
n2-(CH
2)
m2-(各式中、n2は1~3であり、m2は0または1である)であり;
X
1は、アミド基で置換されたフェニレン基であり;
L
2は、結合手である場合が挙げられる。
【0058】
R
2は、下式
【化23】
から選ばれる基を示し、各式中、
R
A1、R
A2、R
A3、R
A4、R
A5、R
A6、R
A7、R
A8、R
A9およびR
A10は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を示し、あるいは
R
A1およびR
A2は、互いに結合して、置換されてもよい環を形成してもよく;
R
B1、R
B2、R
B3、R
B4およびR
B5は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X
2-R
3を示し、式(VIII)中、X
2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R
3は、置換されていてもよい環状基を示す。
R
2は、好ましくは式(III)、(IV)または(V)で表される基であり、より好ましくは式(III)で表される基である。
【0059】
RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7、RA8、RA9およびRA10は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基、C1-6アルキルカルボニル基(特に、メチルカルボニル基)で置換されたアミノ基)、またはC1-6アルキル基(特に、メチル基)であり、より好ましくは、水素原子、無置換のアミノ基)、またはC1-3アルキル基(特に、メチル基)である。
RA1およびRA2が互いに結合して環を形成する場合、形成される環は、好ましくはプリンの6員環に縮合する、置換されてもよい5員または6員の芳香族複素環(特に、縮合イミダゾール環)である。
【0060】
RB1、RB2、RB3、RB4およびRB5は、それぞれ独立して、置換されていてもよい炭化水素環基、置換されていてもよい不飽和複素環基、または式(VIII):-X2-R3を示し、式(VIII)中、X2は、置換されていてもよいメチレン基を示し、R3は、置換されていてもよい環状基を示す。
RB1、RB2、RB3、RB4およびRB5は、好ましくは、それぞれ独立して、
(i)置換されてもよいC3-10シクロアルキル基(特に、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、
(ii)置換されてもよいC6-14アリール基(特に、フェニル基)、
(iii)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(iv)C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、ベンジル基)、
(v)ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、パラ位、メタ位若しくはオルト位でフッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、
(vi)1ないし3個のシアノ基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のシアノ基で置換されたベンジル基)、
(vii)1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のC1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル基)、
(viii)1ないし3個のC1-6アルコキシ基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のメトキシ基で置換されたベンジル基)、
(ix)1ないし3個のC1-6アルキルスルホニル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、メチルスルホニル基で置換されたベンジル基)、
(x)1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されてもよい5または6員芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、ピリジル基、チアゾール基、またはC1-6アルキル基から選択される1ないし3個の置換基(特に、メチル基)で置換されたピラゾール基で置換されたメチレン)、または
(xi)5ないし14員非芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、5または6員非芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、テトラヒドロピラニル基で置換されたメチレン)である。
【0061】
RB1、RB2、RB3、RB4およびRB5は、より好ましくは、
(i)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(ii)ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、または
C1-6アルキル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、C1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル基)である。
【0062】
RB1、RB2、RB3、RB4およびRB5は、置換されていてもよい飽和複素環基(特に、シクロヘキシル、(4aR,6R,7R,7aS)-2,7-ジヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン)であってもよく、そのような化合物またはその塩も細胞内分子に結合し、該細胞内分子のオートファジーによる分解を誘導する化合物またはその塩に包含される。
【0063】
R
2の好ましい具体例として、
【化24-1】
【化24-2】
の置換基を挙げることができ、より好ましい具体例として、
【化25】
を挙げることができる。
【0064】
R2が式(III)の基の場合、RA1およびRA2は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基、C1-6アルキルカルボニル基(特に、メチルカルボニル基)で置換されたアミノ基)、またはC1-6アルキル基(特に、メチル基)であり、より好ましくは、RA1は、水素原子、またはC1-6アルキル基(特に、メチル基)であり、RA2は、水素原子、または置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基、C1-6アルキルカルボニル基(特に、メチルカルボニル基)で置換されたアミノ基)、またはC1-6アルキル基(特に、メチル基)である。
また、RA1およびRA2が互いに結合して環を形成する場合、形成される環は、好ましくは、置換されてもよい5員または6員の縮合芳香族複素環(特に、縮合イミダゾール環)である。
また、RB1は、好ましくは、
(i)置換されてもよいC3-10シクロアルキル基(特に、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、
(ii)置換されてもよいC6-14アリール基(特に、フェニル基)、
(iii)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(iv)C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、ベンジル基)、
(v)ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、パラ位、メタ位若しくはオルト位でフッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、
(vi)1ないし3個のシアノ基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のシアノ基で置換されたベンジル)、
(vii)1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のC1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル)、
(viii)1ないし3個のC1-6アルコキシ基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のメトキシ基で置換されたベンジル)、
(ix)1ないし3個のC1-6アルキルスルホニル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、メチルスルホニル基で置換されたベンジル)、
(x)1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されてもよい5または6員芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、ピリジル基、チアゾール基、またはC1-6アルキル基から選択される1ないし3個の置換基(特に、メチル基)で置換されたピラゾール基で置換されたメチレン基)、または
(xi)5ないし14員非芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、5または6員非芳香族複素環基(特に、テトラヒドロピラニル基)で置換されたメチレン基)である。
【0065】
R2が式(IV)の基の場合、RA3およびRA4は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、または置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基)である。
また、RB2は、好ましくは、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である。
【0066】
R2が式(V)の基の場合、RA5およびRA6は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6アルキル基(特に、メチル基)である。
また、RB3は、好ましくは、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である。
【0067】
R2が式(VI)の基の場合、RA7、RA8、およびRA9は、好ましくは水素原子である。
また、RB4は、好ましくは、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である。
【0068】
R2が式(VII)の基の場合、RA10は、好ましくは水素原子である。
また、RB5は、好ましくは、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である。
【0069】
R2の好ましい態様としては、
R2が、式(III)、(IV)、および(V)から選ばれる基であり、
R2が式(III)の基の場合、
RA1は、水素原子であり、
RA2は、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基)であり、
RB1は、
(i)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(ii)ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、または
(iii)C1-6アルキル基で置換されたC6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、C1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル基)であり、
R2が式(IV)の基の場合、
RA3は、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基)であり、
RA4は、水素原子であり、
RB2は、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)であり、
R2が式(V)の基の場合、
RA5およびRA6は、それぞれ独立して、
(i)水素原子、または
(ii)C1-6アルキル基(特に、メチル基)であり、
RB3は、ハロゲン化C6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である場合が挙げられる。
【0070】
化合物(I)の好適な具体例としては、以下が挙げられる:
化合物(A)
R
1が、Halo Tagを融合した細胞内タンパク質、BRD4、Ras、FKBP12又はMetAP2に特異的に結合するリガンドであり;
L
aが、C
1-6アルキレン基(特に、エチレン基)または-NH-C
1-6アルキレン基(特に、-NH-エチレン基)であり;
L
bが、
i)式
-(C
xアルキレン-O)
n1-(CH
2)
m1-B
1 (IX)
で表され、式(IX)中、
xは2または3(好ましくは2)であり、
n1は1~3(好ましくは2又は3)であり、
m1は1~3(好ましくは1)であり、
B
1は、
(i)結合手、
(ii)-NH-、
(iii)―NH-(CO)-B
2-(式中、B
2は、結合手、-C
1-3アルキレン-NH-(特に、-メチレン-NH-、-エチレン-NH-)、-C
1-3アルキレン-S-(特に、-メチレン-S-、-エチレン-S-)、またはC
2-3アルケニレン基(特に、ビニレン基)を示す)、
(v)-C
2-3アルキニレン基(特に、アセチレン基)、
(vi)-NH-C
1-3アルキレン基(特に、-NH-メチレン基)、または
(vii)-N-C
1-6アルキル-カルボニル-L-システインアミド(特に、-N2アセチル-L-システインアミド)であるか;あるいは
ii)式
【化26】
で示され、式(II)中、
L
1は、下記式
-(C
yアルキレン-O)
n2-(CH
2)
m2-
(X)、または
-(C
yアルキレン-NH)
n2-(CH
2)
m2-
(X’)
(式(X)及び(X’)中、
yは2または3(好ましくは2)であり、
n2は1~6(好ましくは1~3)であり、
m2は0~3(好ましくは0~2))であり、
L
1は、好ましくは、(エチレン-O)
n2’-(CH
2)
m2’-または(プロピレン-O)
n2’-(CH
2)
m2’-(各式中、n2’は1~3であり、m2’は0~2である)であり;
X
1は、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族炭素環基(特に、アミド基で置換されたフェニレン基、無置換フェニレン基)、置換されてもよい2価の5員または6員の芳香族複素環基(特に、ピラゾリル環、トリアゾリル)、または置換されてもよい2価の6員非芳香族複素環基(特に、アミド基で置換されたピペリジニル)であり;
L
2は、結合手またはカルボニル基(特に、複素環の複素原子(特に、窒素原子)に結合しているカルボニル基)である、リンカーであり;
R
2は、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、および(VII)から選ばれる基を示し、
各式中、R
A1、R
A2、R
A3、R
A4、R
A5、R
A6、R
A7、R
A8、R
A9およびR
A10は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基、C
1-6アルキルカルボニル基(特に、メチルカルボニル基)で置換されたアミノ基)、またはC
1-6アルキル基(特に、メチル基)であるか、あるいはR
A1およびR
A2が互いに結合して、プリンの6員環に縮合する、置換されてもよい5員または6員の芳香族複素環(特に、縮合イミダゾール環)を形成し、
R
B1、R
B2、R
B3、R
B4およびR
B5は、それぞれ独立して
(i)置換されてもよいC
3-10シクロアルキル基(特に、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)、
(ii)置換されてもよいC
6-14アリール基(特に、フェニル基)、
(iii)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(iv)C
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、ベンジル基)、
(v)ハロゲン化C
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、パラ位、メタ位若しくはオルト位でフッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、
(vi)1ないし3個のシアノ基で置換されたC
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のシアノ基で置換されたベンジル基)、
(vii)1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されたC
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のC
1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル基)、
(viii)1ないし3個のC
1-6アルコキシ基で置換されたC
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、1個のメトキシ基で置換されたベンジル基)、
(ix)1ないし3個のC
1-6アルキルスルホニル基で置換されたC
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、メチルスルホニル基で置換されたベンジル基)、
(x)1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されてもよい5ないし14員芳香族複素環基で置換されたメチレン基、好ましくは1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されてもよい5または6員芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、ピリジル基、チアゾール基、またはC
1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたピラゾール基で置換されたメチレン基)、または
5ないし14員非芳香族複素環基で置換されたメチレン基、好ましくは5または6員非芳香族複素環基で置換されたメチレン基(特に、テトラヒドロピラニル基で置換されたメチレン基)である、
化合物(I)。
【0071】
化合物(B)
R
1が、Halo Tagを融合した細胞内タンパク質、BRD4、Ras、FKBP12又はMetAP2に特異的に結合するリガンドであり;
L
aが、エチレン基または-NH-エチレン基であり;
L
bが、
i)式
-(エチレン-O)
n1-(CH
2)
m1-B
1 (IX)
で表され、式(IX)中、
n1は1または2であり、
m1は1であり、
B
1は、
(i)―NH-、
(ii)―NH-(CO)-、
(iii)―NH-(CO)-エチレン、
(iv)―NH-C
1-3アルキレン基(特に、アミノメチレン基)、または
(v)―N2アセチル-L-システインアミドで表される鎖状リンカーであるか、あるいは
ii)式
【化27】
で示され、式(II)中、
L
1は、-(エチレン-O)
n2-(CH
2)
m2-(各式中、n2は1~3であり、m2は0または1である)であり;
X
1は、アミド基で置換されたフェニレン基であり;
L
2は、結合手であり;
R
2は、式(III)、(IV)、および(V)から選ばれる基を示し、
R
2が式(III)の基の場合、
R
A1は、水素原子であり、
R
A2は、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基)であり、
R
B1は、
(i)置換されてもよい5または6員非芳香族複素環基(特に、リボース)、
(ii)ハロゲン化C
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)、または
(iii)C
1-6アルキル基で置換されたC
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、C
1-6アルキル基(特に、メチル基)で置換されたベンジル基)であり、
R
2が式(IV)の基の場合、
R
A3は、置換されてもよいアミノ基(特に、無置換のアミノ基)であり、
R
A4は、水素原子であり、
R
B2は、ハロゲン化C
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)であり、
R
2が式(V)の基の場合、
R
A5およびR
A6は、それぞれ独立して、
(i)水素原子、または
(ii)C
1-6アルキル基(特に、メチル基)であり、
R
B3は、ハロゲン化C
6-14アリール基で置換されたメチレン基(特に、フッ素又は塩素で置換されたベンジル基)である、
化合物(I)。
【0072】
化合物(I)における塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチレンジアミンとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸との塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸との塩が挙げられる。
【0073】
本発明化合物の製造法について以下に説明する。
【0074】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩としては、例えば、前述の本発明化合物の塩と同様のもの等が挙げられる。
【0075】
各工程で得られた化合物が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0076】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として得た後に、次反応に用いることもできる、あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分溜、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0077】
各工程の原料や試薬の化合物が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0078】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは10分~8時間である。
【0079】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常-78℃~300℃、好ましくは-78℃~150℃である。
【0080】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常1気圧~20気圧、好ましくは1気圧~3気圧である。
【0081】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製InitiatorなどのMicrowave合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載がない場合、通常室温~300℃、好ましくは50℃~250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは1分~8時間である。
【0082】
各工程の反応において、試薬は、特に記載が無い場合、基質に対して0.5当量~20当量、好ましくは0.8当量~5当量が用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量~1当量、好ましくは0.01当量~0.2当量が用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0083】
各工程の反応において、特に記載が無い場合、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁して行われる。溶媒の具体例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシエタノールなど;
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなど;
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど;
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど ;
アミド類:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど;
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など;
ニトリル類:アセトニトリルなど;
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど;
芳香族有機塩基類:ピリジンなど;
酸無水物類:無水酢酸など;
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など;
無機酸類:塩酸、硫酸など;
エステル類:酢酸エチルなど;
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど;
水。
上記溶媒は、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0084】
各工程の反応において塩基を用いる場合、例えば、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基が用いられる。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムなど;
塩基性塩類:炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど;
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど;
金属アルコキシド類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなど;
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど;
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど;
有機リチウム類:n-ブチルリチウムなど。
【0085】
各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、例えば、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒が用いられる。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など;
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸など;
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0086】
各工程の反応は、特に記載の無い限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻~19巻(日本化学会編);新実験化学講座、14巻~15巻(日本化学会編);精密有機化学 改定第2版(L. F. Tietze,Th. Eicher、南江堂);改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社);ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I~VII(John Wiley & SonsInc);Modern Organic Synthesis in the Laboratory A Collection of Standard Experimental Procedures(Jie Jack Li著、OXFORD UNIVERSITY出版);Comprehensive Heterocyclic Chemistry III、Vol.1~Vol.14(エルゼビア・ジャパン株式会社);人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0087】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley-Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4thEd.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著);Thieme社2004年刊「Protecting Groups 3rdEd.」(P.J.Kocienski著)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、t-ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;t-ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
アルデヒドのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;環状1,3-ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
ケトンのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;環状1,3-ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;O-メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N-ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N-ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
チオールの保護基としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N-トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて行うことができる。
【0088】
各工程において、還元反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸などが挙げられる。炭素-炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム-カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。
【0089】
各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤としては、m-クロロ過安息香酸(MCPBA)、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸類;ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを有する試薬;N-ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化ゼレン;2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0090】
各工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アンモニア、アミン類、チオール類、イミダゾール、アルコール、水など)と塩基(例、無機塩基類、有機塩基類など)が用いられる。水との反応の場合、トリフルオロ酢酸、酢酸、ギ酸、塩酸などの酸性溶媒中で反応を行ってもよい。
【0091】
各工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、使用されるアジド化剤としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法などがある。
【0092】
各工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0093】
各工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィンが用いられる。
【0094】
各工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア化反応を行う場合、使用される試薬としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド-n-ハイドレート(DMT-MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ジフェニルリン酸アジド(DPPA);ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);ヨウ化2-クロロ-1-メチル-ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HATU);硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0095】
各工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。反応にトリフェニルホスフィンや1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリフェニルホスフィン-3,3’,3’’-トリスルホン酸三ナトリウム塩などのリガンドを加えてもよい。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基としては、無機塩基類、塩基性塩類などが挙げられる。
【0096】
各工程において、Wohl-Ziegler反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0097】
各工程において、スルホンエステル化反応を行う場合、使用されるスルホン化剤としては、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0098】
各工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基が用いられる。また、t-ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するt-ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0099】
各工程において、臭素化反応を行う場合、使用される臭素化剤としては、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、臭素などが挙げられる。
【0100】
各工程において、N-アルキル化反応を行う場合、試薬としては、求電子剤(例、ハロゲン化アルキル、メシル酸アルキルエステルやトシル酸アルキルエステルなどのスルホン酸エステル類など)と塩基(例、塩基性塩類、有機塩基類など)が用いられる。
【0101】
各工程において、ジアゾ化を経由する水酸化反応を行う場合、水の存在下で、試薬としては、亜硝酸化合物(例、亜硝酸ナトリウムなどの無機亜硝酸塩類、亜硝酸ブチルなどの有機亜硝酸類など)が用いられる。さらに酸化銅などの銅塩を加えてもよい。
【0102】
各工程において、脱アミノ化反応を行う場合、試薬としては、亜硝酸化合物(例、亜硝酸ナトリウムなどの無機亜硝酸塩類、亜硝酸ブチルなどの有機亜硝酸類など)が用いられる。本反応は還元剤の存在下で反応を行ってもよい。還元剤としては、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、トリエチルシランなどが用いられる。
【0103】
各工程において、環化反応を行う場合、トリフルオロ酢酸、酢酸、塩酸、硫酸などの酸性試薬が用いられる。必要に応じてオルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリメチルなどのオルトエステルなどが用いられる。
【0104】
各工程において、カーバメート化反応を行う場合、アルコール類を活性炭酸エステル類に変換した後、アミン類と反応させることにより合成できる。アルコールを活性炭酸エステルに変換するには、試薬として、クロロギ酸p-ニトロフェニルやホスゲンなどと、塩基(例、塩基性塩類、有機塩基類など)が用いられる。活性炭酸エステルが精製した後、塩基(例、塩基性塩類、有機塩基類など)存在下でアミンと反応させることにより、カーバメート体を得ることができる。
【0105】
各工程において、一酸化炭素挿入反応によりアミド化、エステル化を行う場合、一酸化炭素雰囲気下において、アルコール類やアミン類を、金属触媒、塩基類存在下で行われる。使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物などが挙げられる。一酸化炭素の圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、通常1気圧~100気圧、好ましくは1気圧~20気圧である。用いられる塩基としては、無機塩基類、塩基性塩類などが挙げられる。さらに反応にトリフェニルホスフィンや1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどのリガンドを加えてもよい。
【0106】
各工程において、クリック反応を行う場合、試薬として銅塩を用いてもよい。使用される銅塩としては、酢酸銅(II)、ヨウ化銅(I)、硫酸銅(II)などが挙げられる。さらに、反応を加速させるため、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなどのリガンドを加えてもよい。
【0107】
化合物(I)に含まれる化合物(A-8)、化合物(A―10)、化合物(A―13)、化合物(A―16)および化合物(A―20)は、化合物(A-1)または化合物(A-3)より以下の方法で製造することができる。
【化28】
[式中、
R
1aは、
【化29】
を示し、
R
aは、水素原子、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基または-SO
2Meを示し、
R
2aは、水素原子またはアミノ基を示し、
R
3aは、
【化30】
を示し
R
4aおよびR
5aは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアルキル基を示し、
Xは、脱離基を示し、
nは、1または2の整数を示し、
Lは、-S-または-NH-を示す。]
Xで示される脱離基としては、ハライド類またはスルホナート類が挙げられる。
【0108】
上記方法に記載されたアミン体(Va)は、例えば、下記に示す反応(例、アミド化反応、脱保護反応)により合成することができる。
【化31】
【0109】
化合物(A-8)は、化合物(A-7)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0110】
化合物(A-7)は、化合物(A-6)とカルボン酸(IIIa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0111】
化合物(A-6)は、化合物(A-5)の臭素化反応により製造することができる。
【0112】
化合物(A-5)は、化合物(A-4)の水による芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0113】
化合物(A-4)は、化合物(A-2)の環化反応、または化合物(A-3)と化合物(IIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0114】
化合物(A-2)は、化合物(A-1)と化合物(Ia)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0115】
化合物(A-10)は、化合物(A-9)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0116】
化合物(A-9)は化合物(A-6)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0117】
化合物(A-13)は、化合物(A-12)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0118】
化合物(A-12)は、化合物(A-11)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0119】
化合物(A-11)は化合物(A-6)と化合物(VIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0120】
化合物(A-16)は、化合物(A-15)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0121】
化合物(A-15)は、化合物(A-14)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0122】
化合物(A-14)は、化合物(A-6(R2a=NH2))と化合物(VIIa)とのアミド化反応により製造することができる。
【0123】
化合物(A-20)は、化合物(A-19)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0124】
化合物(A-19)は、化合物(A-18)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0125】
化合物(A-18)は、化合物(A-17)の臭素化反応により製造することができる。
【0126】
化合物(A-17)は、化合物(A-4)のアンモニアによる芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0127】
化合物(I)に含まれる化合物(B-5)、化合物(B-7)、化合物(B-9)は、化合物(B-1)、化合物(A-9)、または、化合物(A-12)より以下の方法で製造することができる。
【化32】
[式中、R
6aは、水素原子またはR
4aを示し、その他の記号は、前記と同意義を示す。]
【0128】
化合物(B-5)は、化合物(B-4)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0129】
化合物(B-4)は、化合物(B-3)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0130】
化合物(B-3)は、化合物(B-2)の臭素化反応により製造することができる。
【0131】
化合物(B-2)は、化合物(B-1)と化合物(IIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0132】
化合物(B-7)は、化合物(B-6)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0133】
化合物(B-6)は、化合物(B-3)とボロン酸エステル(XIIIa)のカップリング反応により製造することができる。
【0134】
化合物(B-9)は、化合物(B-8)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0135】
化合物(B-8)は、化合物(A-9)、または、化合物(A-12)のジアゾ化を経由する水酸化反応により製造することができる。
【0136】
化合物(I)に含まれる化合物(C-6)は、化合物(C-1)より以下の方法で製造することができる。
【化33】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0137】
化合物(C-6)は、化合物(C-5)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0138】
化合物(C-5)は、化合物(C-4)、または、化合物(C-3)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0139】
化合物(C-4)は、化合物(C-3)の脱アミノ化反応により製造することができる。
【0140】
化合物(C-3)は、化合物(C-2)と化合物(IIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0141】
化合物(C-2)は、化合物(C-1)の臭素化反応により製造することができる。
【0142】
化合物(I)に含まれる化合物(D-5)は、化合物(D-1)より以下の方法で製造することができる。
【化34】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0143】
化合物(D-5)は、化合物(D-4)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0144】
化合物(D-4)は、化合物(D-3)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0145】
化合物(D-3)は、化合物(D-2)の臭素化反応により製造することができる。
【0146】
化合物(D-2)は、化合物(D-1)と化合物(Ia)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0147】
化合物(I)に含まれる化合物(E-5)は、化合物(E-1)より以下の方法で製造することができる。
【化35】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0148】
化合物(E-5)は、化合物(E-4)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0149】
化合物(E-4)は、化合物(E-3)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0150】
化合物(E-3)は、化合物(E-2)の臭素化反応により製造することができる。
【0151】
化合物(E-2)は、化合物(E-1)と化合物(IIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0152】
化合物(I)に含まれる化合物(F-4)は、化合物(A-6(R
2a=NH
2))より以下の方法で製造することができる。
【化36】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0153】
化合物(F-4)は、化合物(F-3)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0154】
化合物(F-3)は、化合物(F-2)と化合物(IVa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0155】
化合物(F-2)は、化合物(F-1)の環化反応により製造することができる。
【0156】
化合物(F-1)は、化合物(A-6(R2a=NH2))と化合物(VIIIa)とのN-アルキル化反応により製造することができる。
【0157】
化合物(I)に含まれる化合物(G-2)は、化合物(A-6(R
2a=NH
2))より以下の方法で製造することができる。
【化37】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0158】
化合物(G-2)は、化合物(G-1)とカルボン酸(Xa)とのアミド化反応により製造することができる。
【0159】
化合物(G-1)は、化合物(A-6(R2a=NH2))と化合物(IXa)との芳香族求核置換反応により製造することができる。
【0160】
化合物(I)に含まれる化合物(H-2)および化合物(H-3)は、化合物(A-9(R
2a=NH
2))より以下の方法で製造することができる。
【化38】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0161】
化合物(H-2)は、化合物(H-1)と公知カルボン酸(XIa、ACS Chemical Biology,10(11),2441-2447,2015)とのアミド化反応により製造することができる。
【0162】
化合物(H-3)は、化合物(H-1)とFumagillolとのカーバメート化反応により製造することができる。
【0163】
化合物(H-1)は、化合物(A-9(R2a=NH2))とアミン体(IXa)とのアミド化反応により製造することができる。
【0164】
化合物(I)に含まれる化合物(I-2)、(I-4)、および(I-6)は、化合物(A-6(R
2a=NH
2))より以下の方法で製造することができる。
【化39】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0165】
化合物(I-2)は、化合物(I-1)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0166】
化合物(I-1)は、化合物(A-6(R2a=NH2))とボロン酸(XIIa)とのカップリング反応により製造することができる。
【0167】
化合物(I-4)は、化合物(I-3)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0168】
化合物(I-3)は、化合物(A-6(R2a=NH2))とボロン酸エステル(XIIIa)とのカップリング反応により製造することができる。
【0169】
化合物(I-6)は、化合物(I-5)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0170】
化合物(I-5)は、化合物(I-3)の還元反応により製造することができる。
【0171】
化合物(I)に含まれる化合物(L-1)~(L-10)は、化合物(A-6(R
2a=NH
2))より以下の方法で製造することができる。
【化40】
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]
【0172】
化合物(L-1)~(L-3)は、化合物(A-6(R2a=NH2))とボロン酸エステル誘導体(K-2)~(K-4)の鈴木カップリング反応によって製造できる。
【0173】
ボロン酸エステル(K-2)~(K-4)は、公知化合物(K-1)の光延反応によって製造できる。
【0174】
化合物(L-4)は、化合物(A-6(R2a=NH2))とアルキン体(K-5)の薗頭カップリング反応によって製造できる。
【0175】
アルキン体(K-5)は、公知化合物(K-1)とp-トルエンスルホン酸プロパルギルの求核置換反応によって製造できる。
【0176】
化合物(L-5)は、化合物(L-4)の水素添加反応によって製造できる。
【0177】
化合物(L-6)は、公知化合物(K-6)とアルキン誘導体(J-2)のクリック反応によって製造できる。
【0178】
アルキン体(J-2)は、化合物(A-6(R2a=NH2))とトリメチルシリルアセチレンの薗頭カップリング反応、続く脱シリル化反応(脱保護反応)によって製造できる。
【0179】
化合物(L-7)および(L-8)は、アミン体(K-7)と、カルボン酸誘導体(J-3)および(J-5)のアミド化反応によって製造できる。
【0180】
化合物(J-3)は、化合物(A-6(R2a=NH2))の一酸化炭素挿入反応、続く加水分解反応によって製造できる。
【0181】
化合物(J-5)は、化合物(J-3)とピペコリン酸メチル塩酸塩のアミド化反応、続く加水分解反応によって製造できる。
【0182】
化合物(L-9)は、アミン体(K-7)とアルデヒド体(J-4)の還元的アミノ化反応によって製造できる。
【0183】
化合物(J-4)は、化合物(A-6(R2a=NH2))と4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロランの鈴木カップリング反応、続く酸化的開裂反応によって製造できる。
【0184】
化合物(L-10)は、化合物(J-3)とアミン体(Va)とのアミド化反応により製造することができる。
【0185】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体等の異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(例、濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶)によりそれぞれを単品として得ることができる。
【0186】
化合物(I)は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
また、化合物(I)は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的性質(例、構造、融点、融解熱、吸湿性、安定性)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
化合物(I)は、水和物であっても、非水和物であっても、溶媒和物であっても、無溶媒和物であってもよく、いずれも化合物(I)に包含される。
同位元素(例、2H、3H、11C、14C、18F、35S、125I)等で標識された化合物も、化合物(I)に包含される。同位元素で標識または置換された化合物(I)は、例えば、陽電子断層法(Positron Emission Tomography:PET)において使用するトレーサー(PETトレーサー)として用いることができ、医療診断などの分野において有用である。
【0187】
R1がHaloTag(登録商標)を融合した細胞内タンパク質に対するリガンドである化合物(I)は、例えば、オートファジーによる細胞内タンパク質の分解メカニズムを分析する際のツールとして用いることができる。
【0188】
R1が病態に関連した細胞内タンパク質に対するリガンドである化合物(I)は、当該病態のメカニズムを解析する際のツールとして用いることができ、また当該病態に対する予防および/または治療薬として使用することができる。
【0189】
R1が病態に関連した細胞内タンパク質に対するリガンドである化合物(I)(本明細書中、化合物(II)と称することがある)はプロドラッグであってもよい。
化合物(II)のプロドラッグとは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(II)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(II)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(II)に変化する化合物をいう。
【0190】
化合物(II)のプロドラッグとしては、例えば、
(1)化合物(II)のアミノがアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、化合物(II)のアミノが、エイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert-ブチル化、エトキシカルボニル化、tert-ブトキシカルボニル化、アセチル化、シクロプロピルカルボニル化された化合物等);
(2)化合物(II)のヒドロキシが、アシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、化合物(II)のヒドロキシが、アセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);
(3)化合物(II)のカルボキシが、エステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(II)のカルボキシが、エチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);
が挙げられる。これらの化合物は、自体公知の方法によって化合物(II)から製造することができる。
【0191】
また、化合物(II)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(II)に変化するものであってもよい。
【0192】
化合物(II)またはそのプロドラッグ(本明細書中、これらをまとめて「本発明化合物」と略記することがある)は、標的とする細胞内分子(好ましくは細胞内タンパク質、特に、病態と関連する細胞内タンパク質)の分解を誘導する活性を有し、標的とする細胞内分子が関与する疾患の予防または治療剤として有用である。本発明の化合物は、その作用機序に照らして、標的となる細胞内分子が関与するあらゆる疾患の予防または治療に有効で有り得る。中でも、癌、炎症性疾患、自己免疫性疾患、および骨・関節変性疾患の治療又は予防に有効であることが期待される。
【0193】
癌の治療又は予防剤としては、例えば、大腸癌(例、結腸癌、直腸癌、肛門癌、家族性大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍)、肺癌(例、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性中皮腫)、中皮腫、膵臓癌(例、膵管癌、膵内分泌腫瘍)、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌(例、乳頭腺癌、粘液性腺癌、腺扁平上皮癌)、十二指腸癌、小腸癌、乳癌(例、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌)、卵巣癌(例、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、精巣腫瘍、前立腺癌(例、ホルモン依存性前立腺癌、ホルモン非依存性前立腺癌、去勢療法抵抗性前立腺癌)、肝臓癌(例、肝細胞癌、原発性肝癌、肝外胆管癌)、甲状腺癌(例、甲状腺髄様癌)、腎臓癌(例、腎細胞癌(例、淡明細胞型腎細胞癌)、腎盂と尿管の移行上皮癌)、子宮癌(例、子宮頚部癌、子宮体部癌、子宮肉腫)、妊娠性絨毛癌、脳腫瘍(例、髄芽細胞腫、神経膠腫、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫、下垂体腺腫)、網膜芽細胞腫、皮膚癌(例、基底細胞腫、悪性黒色腫)、肉腫(例、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、軟部肉腫、紡錘細胞肉腫)、悪性骨腫瘍、膀胱癌、血液癌(例、多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫、ホジキン病、慢性骨髄増殖性疾患)、原発不明癌等の予防剤または治療剤、癌の増殖阻害剤、癌の転移抑制剤、アポトーシス促進剤、前癌病変(例、骨髄異型性症候群)の治療剤等が挙げられる。
【0194】
なかでも、本発明化合物は、特に、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、大腸癌、膵臓癌に有効である。
なお、本発明化合物は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒト)に対して、上記疾患を治療または予防するために用いることができる。
【0195】
本発明化合物は、そのままあるいは薬理学的に許容される担体を配合し、医薬として、哺乳動物(好ましくは、ヒト)に経口的または非経口的に投与することができる。
以下、本発明化合物を含有してなる医薬(「本発明の医薬」と略記する場合がある)について詳述する。本発明の医薬の剤形としては、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、バッカル錠、口腔内速崩錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)等の経口剤が挙げられる。また、本発明の医薬の剤形としては、例えば、注射剤、点滴剤、経皮剤(例、イオントフォレシス経皮剤)、坐剤、軟膏剤、経鼻剤、経肺剤、点眼剤等の非経口剤も挙げられる。また、本発明の医薬は、速放性製剤、徐放性製剤(徐放性マイクロカプセルを含む)などの放出制御製剤であってもよい。
【0196】
本発明の医薬は、製剤技術分野で一般的に用いられている公知の製造方法(例、日本薬局方に記載の方法)により製造することができる。また、本発明の医薬には、必要に応じて、製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤、着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等の添加剤を適宜、適量含有させることができる。
前記した薬理学的に許容される担体としては、これらの添加剤が挙げられる。
【0197】
例えば、錠剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を用いて製造することができ、丸剤及び顆粒剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤を用いて製造することができる。また、散剤及びカプセル剤は賦形剤等を、シロップ剤は甘味剤等を、乳剤または懸濁剤は懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を用いて製造することができる。
【0198】
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムが挙げられる。
結合剤の例としては、5ないし10重量%デンプンのり液、10ないし20重量%アラビアゴム液またはゼラチン液、1ないし5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリンが挙げられる。
崩壊剤の例としては、でんぷん、炭酸カルシウムが挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクが挙げられる。
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップが挙げられる。
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイトが挙げられる。
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80が挙げられる。
【0199】
例えば、本発明の医薬が錠剤である場合、該錠剤は、自体公知の方法に従い、本発明化合物に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウム)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)または滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000)を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより製造することができる。コーティングに用いられるコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニック(登録商標)F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合体)および色素(例、ベンガラ、二酸化チタン)が用いられる。
【0200】
前記注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、腹腔内注射剤、点滴注射剤等が含まれる。
【0201】
かかる注射剤は、自体公知の方法、すなわち、本発明化合物を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製される。水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例、D-ソルビトール、D-マンニトール、塩化ナトリウム)等が挙げられる。該水性液は適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80、HCO-50)を含んでいてもよい。油性液としては、ゴマ油、大豆油等が挙げられる。該油性液は適当な溶解補助剤を含んでいてもよい。該溶解補助剤としては、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、該注射剤には緩衝剤(例、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール)、保存剤(例、ベンジルアルコール、フェノール)等を配合してもよい。調製された注射液は、通常、アンプルに充填される。
【0202】
本発明の医薬中の本発明化合物の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約0.01ないし約100重量%、好ましくは約2ないし約85重量%、さらに好ましくは約5ないし約70重量%である。
【0203】
本発明の医薬中の添加剤の含有量は、製剤の形態に応じて相違するが、通常、製剤全体に対して約1ないし約99.9重量%、好ましくは約10ないし約90重量%である。
【0204】
本発明化合物は、安定かつ低毒性で安全に使用することができる。本発明化合物の1日の投与量は患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路等によって異なるが、例えば、癌の治療目的で患者に経口投与する場合には、成人(体重約60kg)1日当りの投与量は、本発明化合物として約1ないし約1000mg、好ましくは約3ないし約300mg、さらに好ましくは約10ないし約200mgであり、これらを1回または2ないし3回に分けて投与することができる。
【0205】
本発明化合物を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例、注射剤)の形で投与する。本発明化合物の1回投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法等によっても異なるが、例えば、通常体重1kgあたり約0.01ないし約100mg、好ましくは約0.01ないし約50mg、より好ましくは約0.01ないし約20mgの本発明化合物を静脈注射により投与することが好ましい。
【0206】
本発明化合物は、他の薬物と併用して用いることができる。具体的には、本発明化合物を各種癌の治療又は予防剤として用いる場合には、ホルモン療法剤、化学療法剤、免疫療法剤または細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤等の薬物と併用することができる。以下、本発明化合物と併用し得る薬物を併用薬物と略記する。
【0207】
「ホルモン療法剤」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH-RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、酢酸リュープロレリン)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、エンザルタミド)、5α-レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリド、デュタステリド)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロン)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾール)、甲状腺ホルモン、およびそれらのDDS(Drug Delivery System)製剤が用いられる。
【0208】
「化学療法剤」としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤が用いられる。
【0209】
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード-N-オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシンおよびそれらのDDS製剤が用いられる。
【0210】
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6-メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、ペメトレキセド、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5-FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフール、カペシタビン)、アミノプテリン、ネルザラビン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン、ベンダムスチンおよびそれらのDDS製剤が用いられる。
【0211】
「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシンおよびそれらのDDS製剤(例、ドキソルビシン内包PEGリポソーム)が用いられる。
【0212】
「植物由来抗癌剤」としては、例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ビノレルビンおよびそれらのDDS製剤が用いられる。
【0213】
「免疫療法剤」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール、抗CTLA4抗体(例、イピリムマブ、トレメリムマブ)、抗PD-1抗体(例、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)、抗PD-L1抗体が用いられる。
【0214】
「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」における「細胞増殖因子」としては、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなものでもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチドで、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因子が挙げられ、具体的には、(1)EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、TGFα〕、(2)インシュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、インシュリン、IGF(insulin-like growth factor)-1、IGF-2〕、(3)FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(keratinocyte growth factor)、FGF-10〕、(4)その他の細胞増殖因子〔例、CSF(colony stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、IL-2(interleukin-2)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGFβ(transforming growth factor β)、HGF(hepatocyte growth factor)、VEGF(vascularendothelial growth factor)、ヘレグリン、アンジオポエチン〕が用いられる。
【0215】
「細胞増殖因子の受容体」としては、上記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であればいかなるものであってもよく、具体的には、EGF受容体、ヘレグリン受容体(例、HER3)、インシュリン受容体、IGF受容体-1、IGF受容体-2、FGF受容体-1またはFGF受容体-2、VEGF受容体、アンジオポエチン受容体(例、Tie2)、PDGF受容体等が用いられる。
【0216】
「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」としては、EGF阻害剤、TGFα阻害剤、ハーレギュリン阻害剤、インシュリン阻害剤、IGF阻害剤、FGF阻害剤、KGF阻害剤、CSF阻害剤、EPO阻害剤、IL-2阻害剤、NGF阻害剤、PDGF阻害剤、TGFβ阻害剤、HGF阻害剤、VEGF阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、EGF受容体阻害剤、HER2阻害剤、HER4阻害剤、インシュリン受容体阻害剤、IGF-1受容体阻害剤、IGF-2受容体阻害剤、FGF受容体-1阻害剤、FGF受容体-2阻害剤、FGF受容体-3阻害剤、FGF受容体-4阻害剤、VEGF受容体阻害剤、Tie-2阻害剤、PDGF受容体阻害剤、ABL阻害剤、Raf阻害剤、FLT3阻害剤、c-Kit阻害剤、Src阻害剤、PKC阻害剤、Smo阻害薬、ALK阻害薬、ROR1阻害薬、Trk阻害剤、Ret阻害剤、mTOR阻害剤、Aurora阻害剤、PLK阻害剤、MEK(MEK1/2)阻害剤、MET阻害剤、CDK阻害剤、Akt阻害剤、ERK阻害剤、PI3K阻害剤等が用いられる。より具体的には、抗VEGF抗体(例、Bevacizumab、Ramucurumab)、抗HER2抗体(例、Trastuzumab、Pertuzumab)、抗EGFR抗体(例、Cetuximab、Panitumumab、Matuzumab、Nimotuzumab)、抗HGF抗体、Imatinib、Erlotinib、Gefitinib、Sorafenib、Sunitinib、ダサチニブ、Lapatinib、Vatalanib、、Ibrutinib、Bosutinib、Cabozantinib、Crizotinib、Alectinib、Vismodegib、Cediranib、Tivantinib、Quizartinib、Dovitinib、、Axitinib、Motesanib、Nilotinib、6-[4-(4-エチルピペラジン-1-イルメチル)フェニル]-N-[1(R)-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(AEE-788)、Vandetanib、Temsirolimus、Everolimus、Enzastaurin、Tozasertib、リン酸 2-[N-[3-[4-[5-[N-(3-フルオロフェニル)カルバモイルメチル]-1H-ピラゾール-3-イルアミノ]キナゾリン-7-イルオキシ]プロピル]-N-エチルアミノ]エチル エステル(AZD-1152)、4-[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンズアゼピン-2-イルアミノ]安息香酸、N-[2-メトキシ-5-[(E)-2-(2,4,6-トリメトキシフェニル)ビニルスルホニルメチル]フェニル]グリシン ナトリウム塩(ON-1910Na)、Volasertib、Selumetinib、Trametinib、N-[2(R),3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)ベンズアミド(PD-0325901)、Bosutinib、Regorafenib、Afatinib、Idelalisib、Ceritinib、Dabrafenib等が用いられる。
【0217】
上記の薬物の他に、L-アスパラギナーゼ、L-アルギナーゼ、アルギニンデイミナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン・ナトリウム、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカン、indotecan、Indimitecan)、トポイソメラーゼII阻害薬(例、ソブゾキサン)、分化誘導剤(例、レチノイド、ビタミンD類)、血管新生阻害薬(例、フマギリン、さめ抽出物、COX-2阻害薬)、α-ブロッカー(例、塩酸タムスロシン)、ビスホスホン酸(例、パミドロネート、ゾレドロネート)、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、5アザシチジン、デシタビン、プロテアソーム阻害薬(例、ボルテゾミブ、カルフィゾミブ、イクサゾミブ)、NEDD8阻害薬(例、Pevonedistat)、UAE阻害薬、PARP阻害薬(例、Olaparib、Niraparib、Veliparib)、抗CD20抗体(例、Rituximab、Obinutuzumab)、抗CCR4抗体(例、Mogamulizumab)等の抗腫瘍性抗体、抗体薬物複合体(例、トラスツマブ エムタンシン、ブレンキシマブ ベドチン)等も併用薬物として用いることができる。
【0218】
本発明化合物と併用薬物とを組み合わせることにより、(1)本発明化合物または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、(2)患者の症状(軽症、重症等)に応じて、本発明化合物と併用する薬物を選択することができる、(3)治療期間を長く設定することができる、(4)治療効果の持続を図ることができる、(5)本発明化合物と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、等の優れた効果を得ることができる。
【0219】
以下、本発明化合物と併用薬物を併用する場合を「本発明の併用剤」と称する。
本発明の併用剤の使用に際しては、本発明化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明化合物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分ないし3日以内、好ましくは10分ないし1日以内、より好ましくは15分ないし1時間以内に本発明化合物を投与すればよい。本発明化合物を先に投与する場合、本発明化合物を投与した後、1分ないし1日以内、好ましくは10分ないし6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与すればよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0220】
本発明化合物と併用薬物を併用する場合の投与形態としては、例えば、(1)本発明化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)が挙げられる。
併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬物を0.01ないし100重量部用いればよい。
【0221】
さらに、本発明化合物または本発明の併用剤は、非薬剤療法と併用することができる。具体的には、本発明化合物または本発明の併用剤は、例えば、(1)手術、(2)アンジオテンシンII等を用いる昇圧化学療法、(3)遺伝子療法、(4)温熱療法、(5)凍結療法、(6)レーザー焼灼法、(7)放射線療法の非薬剤療法と組み合わせることもできる。
【0222】
例えば、本発明化合物または本発明の併用剤を前記手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組み合わせた治療前または後に使用することによって、耐性発現の阻止、無病期(Disease-Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑制、延命等の効果が得られる。
【0223】
また、本発明化合物または本発明の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリン等のβ-ラクタム系、クラリスロマイシン等のマクロライド系)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱等のような副作用を改善する薬剤の投与および(v)癌の多剤耐性を抑制するための薬剤の投与等〕を組み合わせることもできる。
【実施例0224】
本発明は、更に以下の実施例、試験例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は、通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特に言及しない限り、TLC(薄層クロマトグラフィー)による観察下に行った。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60 F254を用い、展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を用いた。また、検出にはUV検出器を採用、または以下の(b)リンモリブデン酸の7%エタノール溶液(95%エタノール500mL、リンモリブデン酸35gより調整)または、p-アニスアルデヒド溶液(エタノール340mL、p-アニスアルデヒド9.3mL、酢酸3.8mL、濃硫酸12.5mLより調製)に浸し、ホットプレート上で加熱発色させることにより行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合はアミノプロピルシラン結合シリカゲルを用いた。分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)において、C18と記載した場合はオクタデシル結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。
実施例中の「酸化オスミウム(固定化触媒I)」とは、特に断らない限り和光純薬から市販されている耐溶剤性の高いポリマーに固定化させた酸化オスミウム(VIII)(約7%含量)を示す。
1H NMRの解析にはACD/SpecManager(商品名)ソフトウエアなどを用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンピークが非常に緩やかなピークについては記載していないことがある。
MSは、LC/MSにより測定した。イオン化法としては、ESI法、または、APCI法を用いた。データは実測値(found)を示す。通常、分子イオンピークが観測されるがフラグメントイオンとして観測されることがある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。または、高分解能質量スペクトル(HRMS)を用いた。測定にはBruker micro Tof focus(ESI-TOF)を用いた。サンプル調製には、アセトニトリル、メタノールを用いた。高速原子衝撃法質量スペクトル(FAB MS)の測定には、日本電子株式会社製JEOL LMS-700を用い、マトリックスとして3-ニトロベンジルアルコールを添加して行った。
【0225】
以下の実施例においては下記の略号を使用する。
MS:マススペクトル
M:モル濃度
N:規定度
CDCl3:重クロロホルム
CD3OD:重メタノール
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
ESI:electrospray ionization、エレクトロスプレーイオン化
APCI:atomospheric pressure chemical ionization、大気圧化学イオン化
HRMS:高分解能質量スペクトル
HATU:2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド
TFA:トリフルオロ酢酸
WSC:N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルボジイミド
IPE:ジイソプロピルエーテル
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
HOBt:1H-ベンゾトリアゾール-1-オール
HOBt・H2O:1H-ベンゾトリアゾール-1-オール一水和物
THF:テトラヒドロフラン
MeOH:メタノール
WSC・HCl:N-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N’-エチルカルボジイミド一塩酸塩
Boc2O:ジ-tert-ブチルジカルボナート
DMSO:ジメチルスルホキシド
AcOH:酢酸
TEA:トリエチルアミン
DEAD:ジエチルジアゾジカルボキシラート
PPh3:トリフェニルホスフィン
NBS:N-ブロモスクシンイミド
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム
【0226】
実施例1
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
【0227】
A) 6-クロロ-9-(4-クロロベンジル)-9H-プリン-2-アミン
6-クロロ-9H-プリン-2-アミン(1.00g)、1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼン(1.70g)、炭酸カリウム(2.45g)とDMF(25mL)の混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(1.30 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.29 (2H, s), 6.94 (2H, s), 7.24-7.31 (2H, m), 7.37-7.45 (2H, m), 8.22 (1H, s).
【0228】
B) 2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
6-クロロ-9-(4-クロロベンジル)-9H-プリン-2-アミン(1.30g)、ギ酸(20mL)と水(5mL)の混合物を75℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、飽和炭酸ナトリウム水溶液 (20 mL)で希釈した。生じた固体をろ取し、水で洗浄後、減圧下乾燥し、標題化合物(1.10g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.26 (2H, s), 6.88 (2H, brs), 7.29-7.34 (2H, m), 7.40-7.46 (2H, m), 8.50 (1H, s), 11.17 (1H, brs).
【0229】
C) 2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-クロロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(1.10g)、NBS(1.07g)とAcOH(25mL)の混合物を、室温で12時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈した。生じた沈殿物をろ取し、10%水酸化ナトリウム水溶液(3mL)、メタノールで懸濁した。固体をろ取し乾燥して標題化合物(0.56g)を得た。
MS: [M+H]+ 353.9.
【0230】
D) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-クロロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(35mg)とN-アセチル-L-システイン (49 mg)とDMA (1 mL) の混合物に炭酸カリウム(83mg)を室温で加えた。混合物を窒素雰囲気下、70 ℃で3時間撹拌した。反応混合物をメタノールで希釈し、残渣をHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(10mM 重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMCTriartC18、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、得られた画分を濃縮した。得られた生成物、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(53mg)、DIPEA(105uL)、DMA(1mL)の混合物にHATU(76mg)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(10 mM重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMCTriartC18、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物 (2.3 mg)を得た。
上記21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミンは自体公知の方法 (例えば、Biotechniques, 2009, 47, 769-774に記載された方法)で合成することができる。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.34-1.49 (4H, m), 1.59 (2H, dt, J = 14.2, 6.8 Hz), 1.71-1.83 (2H, m), 1.99 (3H, s), 3.35-3.42 (4H, m), 3.44-3.82 (27H, m), 4.70 (1H, dd, J = 8.4, 4.5 Hz), 5.21 (2H, s), 7.24-7.31 (2H, m), 7.33-7.39 (2H, m).
【0231】
実施例2
3-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)スルファニル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)プロパンアミド
【0232】
A) 6-クロロ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2-アミン
6-クロロ-9H-プリン-2-アミン(20.4g)とDMSO(100mL) の混合物に炭酸カリウム(20.0g) を室温下加えた。混合物を窒素雰囲気下室温で14時間撹拌後、混合物に水 (300 mL) を氷冷下加え、生じた結晶をろ取し、THFと酢酸エチルの混合液に溶解した。不溶物をろ去し、ろ液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた結晶をアセトニトリル/水 (10/1,300mL)から再結晶し、標題化合物(17.0g) を得た。
MS: [M+H]+ 278.1.
【0233】
B) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
6-クロロ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2-アミン(16.8 g)のトリフルオロ酢酸溶液(60mL)に、氷冷下、水(20mL)を加え、混合物を窒素雰囲気下50℃まで昇温した。混合物を窒素雰囲気下50℃で14時間撹拌後、混合物を減圧下濃縮した。残渣に水 (170mL)を加え、8N水酸化ナトリウム溶液で、水性混合物のpHを7に調節した。生じた結晶をろ取して水で洗浄し、標題化合物(15.6g)を得た。
MS: [M+H]+ 260.1.
【0234】
C) 2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(15.4g)、アセトニトリル(160mL)および水(160mL)の混合物にNBS(12.8g)を氷冷下加え、混合物を窒素雰囲気下、室温まで昇温した。混合物を窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌後、混合物をろ過して結晶をろ取した。得られた結晶をTHFとMeOHの混合液に加え、不溶物をろ去し、ろ液を濃縮した。得られた結晶をMeOHでリパルプ洗浄後ろ取し、標題化合物 (15.1g)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 5.15 (2H, s), 6.62 (2H, brs), 7.10-7.33 (4H, m), 10.74 (1H, s).
【0235】
D) 3-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)スルファニル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)プロパンアミド
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg) 、炭酸カリウム(809mg)およびDMSO(3mL)の混合物に3-メルカプトプロピオン酸(0.232mL) を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下60℃で8時間撹拌した。混合物に水(9mL)を加え、不溶物をろ去した。6N塩酸でろ液のpHを4に調整した。生じた結晶をろ取し、MeOHでリパルプ洗浄して、粗生成物(230mg)を得た。
上記粗生成物(36.3mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(53mg)、DIPEA(105uL)、DMA(1mL)の混合物にHATU(76mg)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMCTriartC18、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(17.6mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.30-1.49 (4H, m), 1.51-1.66 (2H, m), 1.69-1.84 (2H, m), 2.65 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.34-3.41 (4H, m), 3.44-3.65 (22H, m), 5.21 (2H, s), 7.07 (2H, t, J = 8.6 Hz), 7.35 (2H, dd, J = 7.9, 5.4 Hz).
【0236】
実施例3
4-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)ベンズアミド
【0237】
A) 4-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)安息香酸
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、炭酸カリウム(184mg)、トリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩 水和物(52mg)、酢酸パラジウム (II) (10 mg)、アセトニトリル(2mL)と水(1mL)の混合物を100℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に戻し、2M水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液を塩基性に調節した。酢酸エチルで洗浄後、得られた水層を1M 塩酸でpH4-5に調節した。生じた固体をろ取し、減圧下乾燥し、標題化合物(332mg)を得た。
MS: [M+H]+ 380.1.
【0238】
B) 4-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)ベンズアミド
4-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)安息香酸 (39 mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(53mg)、DIPEA(105uL)、DMA(1mL)の混合物にHATU(76mg)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(11.1mg)を得た
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.39 (4H, brs), 1.49-1.62 (2H, m), 1.67-1.82 (2H, m), 2.82 (1H, s), 3.06 (1H, s), 3.43 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.51-3.67 (21H, m), 5.40 (2H, s), 6.96-7.04 (2H, m), 7.04-7.13 (2H, m), 7.68 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.92 (2H, d, J = 8.3 Hz).
【0239】
実施例5
(2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)アクリルアミド
【0240】
A) (2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、炭酸カリウム(184mg)、エチル(2E)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アクリラート(241mg)、トリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩水和物(52.0mg)、酢酸パラジウム(II)(10 mg)とアセトニトリル(2 mL)、水(1mL)の混合物を、100℃で終夜撹拌した。混合物を室温に戻し、2M水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液を塩基性に調節し、酢酸エチルで洗浄した。水層を1M塩酸でpH4-5に調節し、生じた沈殿物をろ別した。得られたろ液を酢酸エチル-イソプロパノールで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残査を少量の酢酸エチル-THFで洗浄し、ろ取して標題化合物(117mg)を得た。
MS: [M+H]+ 330.1.
【0241】
B) (2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)アクリルアミド
(2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸(33mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(53mg)、DIPEA(105uL)、DMA(1mL)の混合物にHATU(76mg)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLC(YMC TriartC18、 移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMC TriartC18、 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(8.2mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.28-1.49 (4H, m), 1.49-1.61 (2H, m), 1.74 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 3.40-3.71 (24H, m), 5.38 (2H, s), 6.98 (1H, d, J = 15.2 Hz), 7.02-7.11 (2H, m), 7.29 (2H, dd, J = 8.1, 5.5 Hz), 7.44 (1H, d, J = 15.1 Hz).
【0242】
実施例6
3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)プロパンアミド
【0243】
A) 3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)プロパン酸
(2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸(114mg)、10%パラジウム炭素(18mg)とDMF(2mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、50℃で4時間撹拌した。触媒をろ去し、ろ液を酢酸エチル-IPEで希釈した。混合物を室温で終夜撹拌した。生じた固体をろ取し、酢酸エチル-IPEで洗浄し、減圧下乾燥して標題化合物(41mg)を得た。
MS: [M+H]+ 332.2.
【0244】
B) 3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)プロパンアミド
3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)プロパン酸(33mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(53mg)、DIPEA(105uL)、DMA(1mL)の混合物にHATU(76mg)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))及びHPLC(YMC TriartC18、移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(18.6mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.31-1.48 (4H, m), 1.56 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.74 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 2.69 (2H, t, J = 7.1 Hz), 3.00 (1H, brs), 3.14 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.41-3.64 (24H, m), 5.42 (2H, s), 7.10 (2H, t, J = 8.6 Hz), 7.38 (2H, dd, J = 8.2, 5.5 Hz).
【0245】
実施例8
N3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-β-アラニンアミド
【0246】
A) N-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-β-アラニン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、β-アラニン(158mg)、炭酸カリウム(540mg)、DMSO(3mL)および水(3mL)の混合物を窒素雰囲気下140℃で14時間撹拌後、混合物にβ-アラニン(790mg)および炭酸カリウム(1.47g)を加え、混合物を窒素雰囲気下140℃で8時間撹拌した。混合物にβ-アラニン(790mg)、炭酸カリウム(1.47g)およびDMSO(3mL)を加え、混合物を窒素雰囲気下160 ℃で14時間撹拌後、混合物にDMSO(2mL)および水(1mL)を加え、混合物を窒素雰囲気下160 ℃で7日間撹拌した。反応混合物をろ過して不溶物をろ去し、ろ液を濃縮した。残渣をMeOHで希釈後、不溶物をろ去し、ろ液を濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、得られた結晶を酢酸エチルで洗浄後ろ取し、標題化合物(67.0mg)を得た。
MS: [M+H]+ 347.1.
【0247】
B) tert-ブチル (21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)カルバマート
21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(5.90g)のTHF溶液(60mL)に、Boc2O(4.00mL)を氷冷下滴下し、混合物を窒素雰囲気下室温まで昇温した。混合物を窒素雰囲気下室温で2時間撹拌後、DIPEA(3.47mL)を混合物に滴下し、混合物を窒素雰囲気下室温で2時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、残渣をトルエンで希釈し、不溶物をろ去した。ろ液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.10g)を得た。
MS: [M+Na]+ 478.2.
【0248】
C) 21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩
2M塩酸メタノール(20mL)を氷冷下tert-ブチル(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)カルバマート(2.10g)に加え、混合物を窒素雰囲気下室温まで昇温した。混合物を窒素雰囲気下室温で18時間撹拌後、減圧下濃縮して標題化合物(1.78g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22-1.69 (6H, m), 1.78 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 2.36 (2H, brs), 3.14 (2H, brs), 3.44-3.85 (18H, m), 3.94 (2H, brs), 8.09 (3H, brs).
【0249】
D) N3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-β-アラニンアミド
N-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-β-アラニン(20mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(27.2mg)、HOBt・H2O(11.5mg)およびDMF(0.5mL)の混合物にWSC・HCl(14.4mg)およびDIPEA(0.030mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で18時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/酢酸エチル)で精製後、HPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製し、標題化合物(23.8mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.17-1.58 (6H, m), 1.59-1.80 (2H, m), 2.41 (2H, brs), 3.45 (26H, d, J = 6.0 Hz), 5.12 (2H, s), 6.90 (2H, brs), 7.11-7.24 (2H, m), 7.24-7.37 (2H, m), 8.00 (1H, brs), 8.68 (1H, brs), 11.19 (1H, brs).
【0250】
実施例10
2-アミノ-8-(3-((21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)オキシ)フェニル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
【0251】
A) 2-(3-((21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)オキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-オール(100mg)、3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール(61.7mg)と無水THF(3mL)の混合物にPPh3(103mg)と40%DEADトルエン溶液(0.191mL)を室温で加えた。室温で終夜撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(87.5 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 559.3.
【0252】
B) 2-アミノ-8-(3-((21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)オキシ)フェニル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-(3-((21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)オキシ)フェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(85mg)、アセトニトリル(0.6mL)、および水(0.300mL)の混合物に、2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(36.7mg)、酢酸パラジウム(II)(2.44mg)、炭酸カリウム(22.52mg)、およびトリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩水和物(6.37mg)を室温で加えた。混合物を窒素雰囲気下、100 ℃で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(2.8mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.28-1.49 (4H, m), 1.55 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.74 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 3.44 (2H, t, J = 6.4 Hz), 3.49-3.72 (18H, m), 3.80 (2H, t, J = 4.4 Hz), 4.04 (2H, t, J = 4.5 Hz), 5.33 (2H, s), 6.96-7.16 (7H, m), 7.28-7.39 (1H, m).
【0253】
実施例12
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-シクロペンチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
【0254】
A) 6-クロロ-N4-シクロペンチルピリミジン-2,4,5-トリアミン
シクロペンタンアミン(1.14g)のブタン-1-オール(20.0mL)溶液に、4,6-ジクロロピリミジン-2,5-ジアミン(2.00g)とDIPEA(4.87mL)を加え、窒素雰囲気下18時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.30g)を得た。
MS: [M+H]+ 228.1.
【0255】
B) 6-クロロ-9-シクロペンチル-9H-プリン-2-アミン
6-クロロ-N4-シクロペンチルピリミジン-2,4,5-トリアミン(1.00g)のオルトぎ酸トリエチル懸濁液(10.0mL)に濃塩酸(0.2mL)を室温下加えた。反応液を室温下2時間撹拌後、オルトぎ酸トリエチル(5.0mL)および濃塩酸(0.1mL)を順次加え、反応混合物を室温下2時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮後、残渣にTHF(10.0mL)および0.5N塩酸(10.0mL)を加え、室温下4時間撹拌した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル/IPEから結晶化し、標題化合物(610mg)を得た。
MS: [M+H]+ 238.1.
【0256】
C) 2-アミノ-9-シクロペンチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
6-クロロ-9-シクロペンチル-9H-プリン-2-アミン(610mg)のTFA(6.0mL)溶液に水(2mL)を氷冷下加え、混合物を窒素雰囲気下50℃に昇温した。反応混合物を窒素雰囲気下14時間50℃で撹拌後、減圧下濃縮した。残渣に水(6mL)加え、8N水酸化ナトリウム溶液で、混合物のpHを7に調整した。生じた結晶をろ取し、酢酸エチルで洗浄して標題化合物(530mg)得た。
MS: [M+H]+ 220.2.
【0257】
D) 2-アミノ-8-ブロモ-9-シクロペンチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-シクロペンチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(480mg)、アセトニトリル(20mL)および水(5mL)の混合物にNBS(585mg)を氷冷下加え、室温まで昇温した。混合物を室温下1時間撹拌後、混合物にアセトン(5mL)を氷冷下加えた。混合物を1時間氷冷下撹拌後、結晶をろ取し、THFとMeOHの混合液に溶解した。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた結晶をMeOHで洗浄後ろ取し、標題化合物(410mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.51-2.33 (8H, m), 4.73 (1H, quin, J = 8.6 Hz), 6.46 (2H, brs), 10.66 (1H, s).
【0258】
E) N-アセチル-S-(2-アミノ-9-シクロペンチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
2-アミノ-8-ブロモ-9-シクロペンチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(50.0mg)、N-アセチル-L-システイン(82.0mg)およびDMSO(1mL)の混合物に炭酸カリウム(153mg)を室温下加え、混合物を窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌した。混合物にMeOHを加え、不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製した。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄後ろ取して、標題化合物(40.0mg)を得た。
MS: [M+H]+ 381.2.
【0259】
F) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-シクロペンチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-シクロペンチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(30.0mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(56.1mg)およびDMA(0.1mL)の混合物に、DIPEA(20.4mg)のDMA溶液(0.1mL)およびHATU(60.0mg)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で6時間撹拌した。混合物に水を加えた後、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(32.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.11-2.30 (19H, m), 3.01-3.78 (26H, m), 4.40-4.75 (2H, m), 6.39 (2H, brs), 8.02-8.18 (1H, m), 8.45 (1H, d, J = 7.7 Hz), 10.58 (1H, s).
【0260】
実施例13
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0261】
A) 9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン
1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(3g)と炭酸カリウム(3.45g)と無水DMF(30mL)の混合物に1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼン(3.78g)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。水を加え、生じた沈殿物をろ取し、水で洗浄して標題化合物(4.73g)を得た。
MS: [M+H]+ 289.2.
【0262】
B) 8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン
9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(289mg)と無水DMF(5 mL)の混合物にNBS(214mg)を室温で加えた。混合物を、50℃で2時間撹拌後、水を加え、1時間室温で撹拌した。沈殿物をろ取し、水で洗浄して標題化合物(166mg)を得た。
MS: [M+H]+ 367.1.
【0263】
C) N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(167mg)と炭酸カリウム(377mg)とDMSO(1.5mL)の混合物にN-アセチル-L-システイン(186mg)を室温で加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、1M塩酸で酸性にし、室温で1時間撹拌した。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(104mg)を得た。
MS: [M+H]+ 450.2.
【0264】
D) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(104mg)、HATU(106mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(99mg)と無水DMF(1mL)の混合物にDIPEA(0.061mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(35.8mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.21-1.86 (8H, m), 1.98 (3H, s), 3.32-3.74 (33H, m), 4.80 (1H, q, J = 6.2 Hz), 5.34-5.60 (2H, m), 6.94-7.09 (2H, m), 7.30-7.53 (3H, m).
【0265】
実施例15
2-アミノ-8-(1-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
【0266】
A) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-8-((トリメチルシリル)エチニル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン (60 mg)と無水DMF(2mL)の混合物にエチニル(トリメチル)シラン(52.3mg)とジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(6.23mg)、TEA(71.8mg)、ヨウ化銅(I)(3.38mg)を室温で加えた。混合物を窒素雰囲気下、70℃で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、標題化合物(18mg)を得た。
MS: [M+H]+ 356.1.
【0267】
B) 2-アミノ-8-エチニル-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-8-((トリメチルシリル)エチニル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(16.4mg)とMeOH(2mL)の混合物を温水浴で懸濁させ、炭酸カリウム(33mg)を同じ温度で加えた。同じ温度で10分間撹拌後、反応液をろ過した。得られた残渣を減圧下濃縮し、標題化合物の粗精製物(51mg)を得た。
MS: [M+H]+ 284.1.
【0268】
C) 21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-オール
3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン-1,14-ジオール(2g)と無水THF(40mL)の混合物にカリウム tert-ブトキシド(1.036g)を室温で加えた。反応混合物を60℃で30分間撹拌した後、1-クロロ-6-ヨードヘキサン(2.069g)を加えた。60℃で2時間撹拌後、反応液をセライトろ過した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、標題化合物(910 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 357.2.
【0269】
D) 1-アジド-21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン
21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-オール(100mg)、PPh3(110mg)、40%DEADトルエン溶液(0.191mL)と無水THF(3mL)の混合物にDPPA(0.072mL)を0℃で加えた。室温で終夜撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(40mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.31-1.52 (4H, m), 1.59 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.78 (2H, dq, J = 13.3, 6.6 Hz), 3.24 (1H, t, J = 6.9 Hz), 3.37 (2H, t, J = 4.8 Hz), 3.48 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.51-3.70 (19H, m).
【0270】
E) 2-アミノ-8-(1-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
1-アジド-21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン(40mg)とtert-ブタノール(0.5mL)、水(0.500mL)の混合物に2-アミノ-8-エチニル-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(14.16mg)と硫酸銅(II)(3.99mg)、L-アスコルビン酸(44.0mg)を室温で加えた。室温で終夜撹拌後、反応液をセライトろ過した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製後、得られた画分をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を、減圧下濃縮し、標題化合物(2.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.25-1.47 (4H, m), 1.54 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.73 (2H, quin, J = 7.2 Hz), 3.42 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.47-3.66 (18H, m), 3.91 (2H, t, J = 4.8 Hz), 4.64 (2H, t, J = 4.7 Hz), 5.81 (2H, s), 6.96 (2H, t, J = 8.8 Hz), 7.26-7.37 (2H, m), 8.44 (1H, s).
【0271】
実施例16
2-アミノ-8-(25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イン-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
【0272】
A) 25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イン
プロパ-2-イン-1-イル 4-メチルベンゼンスルホナート(153mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-オール(200mg)と無水THF(5mL)の混合物に60%水素化ナトリウム(56.0mg)を0℃で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(168mg)を得た。
MS: [M+H]+ 395.2.
【0273】
B) 2-アミノ-8-(25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イン-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(94mg)と無水DMF(4mL)の混合物に、25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イン(165 mg)、ジクロロ(ビストリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(9.77mg)、TEA(113mg)、およびヨウ化銅(I)(5.30mg)を室温で加えた。混合物を窒素雰囲気下、70℃で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製後、得られた画分をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を、減圧下濃縮し、標題化合物(26.3mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.25-1.50 (4H, m), 1.56 (2H, quin, J = 6.6 Hz), 1.74 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 3.45 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.50-3.70 (22H, m), 4.49 (2H, s), 5.29 (2H, s), 7.07 (2H, t, J = 8.6 Hz), 7.39 (2H, dd, J = 8.0, 5.5 Hz).
【0274】
実施例17
N2-アセチル-S-(6-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
【0275】
A) 8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-6-アミン
8-ブロモ-9H-プリン-6-アミン(1.5g)と無水DMF(50mL)の混合物に60%水素化ナトリウム(0.308g)を70℃で加えた。反応混合物を70℃で30分間撹拌した後、1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼン(1.457g)を加えた。混合物を、同じ温度で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、室温で1時間撹拌した。生じた沈殿をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(659mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 5.34 (2H, s), 7.12-7.25 (2H, m), 7.26-7.36 (2H, m), 7.45 (2H, brs), 8.17 (1H, s).
【0276】
B) N-アセチル-S-(6-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-6-アミン(300mg)と炭酸カリウム(772mg)とDMSO(3mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(380mg)を室温で加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、2M塩酸で酸性にした。生じた沈殿物をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(296mg)を得た。
MS: [M+H]+ 405.1.
【0277】
C) N2-アセチル-S-(6-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
N-アセチル-S-(6-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン(291mg)、HATU(328mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(307mg)および無水DMF(1mL)の混合物に、DIPEA(0.189mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(6.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.09-1.64 (8H, m), 1.67-1.80 (2H, m), 1.95 (3H, s), 3.33-3.73 (24H, m), 3.93 (1H, dd, J = 13.9, 4.9 Hz), 5.24-5.51 (2H, m), 7.01-7.15 (2H, m), 7.29-7.42 (2H, m), 8.13 (1H, brs), 8.34 (1H, s).
【0278】
実施例18
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0279】
A) 8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-6-アミン(239mg)と亜硝酸アミル(521mg)と無水THF(3 mL)の混合物を、120℃で30分間マイクロウェーブ照射した。反応混合物を減圧下濃縮し、トルエンを加えた。不溶物をろ過で取り除き、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(69.5mg)を得た。
MS: [M+H]+ 307.1.
【0280】
B) N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン(59.8mg)、炭酸カリウム(161 mg)およびDMSO(1mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(79mg)を室温で加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、2M塩酸で酸性にし、室温で1時間撹拌した。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(28.5mg)を得た。
MS: [M+H]+ 390.1.
【0281】
C) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン(28.5mg)、HATU(33.4mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(31.3mg)および無水DMF(1mL)の混合物に、DIPEA(0.019mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(10.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.19-1.63 (8H, m), 1.68-1.82 (2H, m), 1.95 (3H, s), 3.34-3.41 (2H, m), 3.45 (2H, t, J = 6.4 Hz), 3.50-3.69 (20H, m), 3.97 (1H, dd, J = 13.9, 4.9 Hz), 5.48 (2H, s), 7.01-7.16 (2H, m), 7.35-7.47 (2H, m), 9.06 (1H, s), 9.13 (1H, s).
【0282】
実施例19
N2-アセチル-S-(2-アミノ-4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
【0283】
A) 2-アミノ-6-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリミジン-4(3H)-オン
2-アミノ-6-クロロピリミジン-4(3H)-オン(3g)、水(50mL)およびエタノール(10mL)の混合物に、1-(4-フルオロフェニル)メタンアミン(5.16g)を室温で加えた。混合物を、90℃で5時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を2M塩酸で酸性にした。酢酸エチルを加え、室温で1時間撹拌した。不溶物をろ過し、ろ液の有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えて溶解させ、室温で1時間撹拌した。析出した固体を集め、少量の酢酸エチルで洗浄し、標題化合物(502mg)を得た。
MS: [M+H]+ 235.2.
【0284】
B) 2-アミノ-5-ブロモ-6-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリミジン-4(3H)-オン
2-アミノ-6-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリミジン-4(3H)-オン(452mg)および無水DMF(10 mL)の混合物に、NBS(412mg)を室温で加えた。混合物を、50℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、水を加え、1時間室温で撹拌した。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(385mg)を得た。
MS: [M+H]+ 313.1.
【0285】
C) N-アセチル-S-(2-アミノ-4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)-L-システイン
2-アミノ-5-ブロモ-6-((4-フルオロベンジル)アミノ)ピリミジン-4(3H)-オン(385mg)、炭酸カリウム(1020mg)およびDMSO(5mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(502mg)を室温で加えた。混合物を、80℃で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、不溶物をセライトろ過した。ろ液を2M塩酸で酸性とし、1時間室温で撹拌し、沈殿物をろ過して除いた。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性とし、酢酸エチルで洗浄した後、2M塩酸で酸性として酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧下濃縮し、標題化合物(201mg)を得た。
MS: [M+H]+ 396.2.
【0286】
D) N2-アセチル-S-(2-アミノ-4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
N-アセチル-S-(2-アミノ-4-((4-フルオロベンジル)アミノ)-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-5-イル)-L-システイン(201mg)、HATU(232mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン(217mg)および無水DMF(2mL)の混合物に、DIPEA(0.133mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(29.9mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.17-1.64 (8H, m), 1.68-1.83 (2H, m), 2.01 (3H, s), 2.68 (1H, dd, J = 13.6, 6.0 Hz), 2.99 (1H, dd, J = 13.6, 6.4 Hz), 3.32-3.39 (2H, m), 3.40-3.70 (20H, m), 4.42 (1H, t, J = 6.2 Hz), 4.63 (2H, s), 6.92-7.16 (2H, m), 7.22-7.54 (2H, m).
【0287】
実施例20
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-ベンジル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
【0288】
A) 9-ベンジル-6-クロロ-9H-プリン-2-アミン
6-クロロ-9H-プリン-2-アミン(1.50g)、(ブロモメチル)ベンゼン(2.27g)、炭酸カリウム(3.67g)およびDMF(25mL)の混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液に飽和食塩水を加えた。酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)で精製し、標題化合物(1.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.29 (2H, s), 6.94 (2H, s), 7.21-7.39 (5H, m), 8.23 (1H, s).
【0289】
B) 2-アミノ-9-ベンジル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
9-ベンジル-6-クロロ-9H-プリン-2-アミン(800mg)、ギ酸(16mL)および水(4mL)の混合物を75℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣を飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL)で希釈した。沈殿物を集め、水(10mL)で洗浄、減圧乾燥し、標題化合物(700mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.18 (2H, s), 6.58 (2H, brs), 7.17-7.40 (5H, m), 7.75 (1H, s), 10.85 (1H, brs).
【0290】
C) 2-アミノ-9-ベンジル-8-ブロモ-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-ベンジル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(600mg)、酢酸(10mL)およびNBS(576mg)の混合物を25℃で12時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した。沈殿物を集め、10%水酸化ナトリウム水溶液(5mL)およびメタノール(5mL)の混合物に懸濁させた。得られた沈殿物をろ過、減圧下乾燥し、標題化合物(411mg)を得た。
MS: [M+H]+ 320.0.
【0291】
D) N-アセチル-S-(2-アミノ-9-ベンジル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
2-アミノ-9-ベンジル-8-ブロモ-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(205mg)、炭酸カリウム(265mg)およびDMSO(3mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(261mg)を室温で加えた。混合物を80℃で2時間撹拌した。炭酸カリウム(531mg)およびN-アセチル-L-システイン(261mg)を加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、1M塩酸で酸性にし、室温で1時間撹拌した。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、標題化合物(233mg)を得た。
MS: [M+H]+ 403.2.
【0292】
E) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-ベンジル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-ベンジル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(40mg)、WSC・HCl(24.77mg)、HOBt・H2O(19.79mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩のDMF溶液(0.5M,0.24mL)および無水DMF(0.26mL)の混合物に、DIPEA(0.052mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和重曹水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(24.3mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.15-1.65 (8H, m), 1.68-1.83 (2H, m), 1.97 (3H, s), 3.35 (2H, t, J = 4.7 Hz), 3.40-3.73 (22H, m), 4.67 (1H, dd, J = 8.3, 4.5 Hz), 5.22 (2H, s), 7.12-7.43 (5H, m).
【0293】
実施例21
N2-アセチル-S-(4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
【0294】
A) 4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)ピリミジン-2(1H)-オン
シトシン(2g)および無水DMF(50mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(0.864g)を0℃で加えた。反応混合物を50℃で30分間撹拌した後、1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼン(3.74g)を室温で加えた。混合物を、室温で終夜撹拌した。水を0℃で加え、室温で1時間撹拌し、得られた沈殿物をろ取し、標題化合物(3.67g)を得た。
MS: [M+H]+ 220.2.
【0295】
B) 4-アミノ-5-ブロモ-1-(4-フルオロベンジル)ピリミジン-2(1H)-オン
4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)ピリミジン-2(1H)-オン(1.5g)および無水DMF(20mL)の混合物に、NBS(1.340g)を室温で加えた。混合物を、50℃で30分間撹拌した。室温に冷却後、水を加え、室温で30分撹拌した。沈殿物をろ過で除去し、ろ液を4日間室温で放置した。得られた沈殿物を集め、水で洗浄し、標題化合物(377mg)を得た。
MS: [M+H]+ 298.1.
【0296】
C) N-アセチル-S-(4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-イル)-L-システイン
4-アミノ-5-ブロモ-1-(4-フルオロベンジル)ピリミジン-2(1H)-オン(377mg)、炭酸カリウム(1049mg)およびDMSO(3mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(516mg)を室温で加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、不溶物をセライトろ過で取り除いた。ろ液を酢酸エチルで洗浄後、1M塩酸で酸性にした。水層を減圧下濃縮し、残渣に少量の水を加えた。得られた沈殿物を集め、少量の水で洗浄し、標題化合物(114mg)を得た。
MS: [M+H]+ 381.1.
【0297】
D) N2-アセチル-S-(4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミドトリフルオロ酢酸塩
N-アセチル-S-(4-アミノ-1-(4-フルオロベンジル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-イル)-L-システイン(114mg)、WSC・HCl(74.7mg)、HOBt・H2O(59.7mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(141mg)および無水DMF(2mL)の混合物に、DIPEA(0.157mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。
混合物に飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製し、標題化合物 (18.2 mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.22-1.67 (8H, m), 1.69-1.84 (2H, m), 1.99 (3H, s), 3.34-3.40 (2H, m), 3.42-3.74 (22H, m), 4.69 (1H, t, J = 7.0 Hz), 5.24 (2H, s), 6.20 (1H, s), 6.99-7.19 (2H, m), 7.25-7.52 (2H, m).
【0298】
実施例26
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0299】
A) 6-クロロ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン
6-クロロ-9H-プリン (2.0 g)、1-(ブロモメチル)-4-フルオロベンゼン(2.94g)およびアセトニトリル(10mL)の混合物に、炭酸カリウム(2.68g)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.53g)を得た。
MS: [M+H]+ 262.9.
【0300】
B) 9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
6-クロロ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン(1.00g)およびTFA(10mL)の混合物に、水(2mL)を室温で加えた。混合物を50℃で3時間撹拌した。混合物を室温に戻した後、減圧下濃縮した。残査に水を加え、生じた固体をろ取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥して標題化合物(0.91g)を得た。
MS: [M+H]+ 245.0.
【0301】
C) 8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)およびDMF(3mL)の混合物に、NBS(240mg)を室温で加えた。混合物を90℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に戻した後、水を加えた。生じた固体をろ取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥して標題化合物(345mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 5.35 (2H, s), 7.13-7.24 (2H, m), 7.25-7.35 (2H, m), 8.11 (1H, d, J = 3.9 Hz), 12.53 (1H, brs).
【0302】
D) N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(70mg)、N-アセチル-L-システイン(106mg)およびDMSO(1mL)の混合物に、炭酸カリウム(198mg)を室温で加えた。混合物を60℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温に戻した後、水を加え、さらに1N塩酸を加え、pH3-4に調節した。生じた固体をろ取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥し、標題化合物(15mg)を得た。
MS: [M+H]+ 406.1.
【0303】
E) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(14mg)、WSC・HCl (8.6 mg)、HOBt・H2O(6.9mg)およびDMF(1mL)の混合物に、DIPEA(18uL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(4mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.32-1.49 (4H, m), 1.51-1.62 (2H, m), 1.65-1.82 (2H, m), 1.92-1.99 (3H, m), 3.60 (26H, brs), 4.57-4.80 (1H, m), 5.27-5.43 (2H, m), 6.88-7.13 (2H, m), 7.25-7.42 (2H, m), 7.98-8.10 (1H, m), 8.25-8.43 (1H, m).
【0304】
実施例27
S-(2-アセトアミド-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
【0305】
A) N-(8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)アセトアミド
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、DMA(1mL)およびピリジン(3mL)の混合物に、アセチルクロリド(95uL)を室温で加えた。混合物を80℃で5時間撹拌した。アセチルクロリド(1.89mL)を加え、80℃で10分間撹拌した。混合物に水を加え、生じた固体をろ取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥して標題化合物(335mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 2.18 (3H, s), 5.27 (2H, s), 7.13-7.39 (4H, m), 11.78 (1H, s), 12.12 (1H, s).
【0306】
B) S-(2-アセトアミド-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-アセチル-L-システイン
N-(8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル)アセトアミド(70mg)、N-アセチル-L-システイン(90mg)およびDMSO(1mL)の混合物に、炭酸カリウム(168mg)を室温で加えた。混合物を60℃で4時間撹拌した。不溶物をろ去した後、ろ液に水を加え、さらに1N塩酸を加えてpH3-4に調節した。生じた固体をろ取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥して標題化合物(45mg)を得た。
MS: [M+H]+ 463.1.
【0307】
C) S-(2-アセトアミド-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
S-(2-アセトアミド-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-アセチル-L-システイン(45mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(42.0mg)、WSC・HCl(24.3mg)、HOBt・H2O(19.4mg)およびDMF(1mL)の混合物に、DIPEA(51uL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製し、標題化合物(2.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.36-1.50 (4H, m), 1.58 (2H, quin, J = 6.8 Hz), 1.76 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.98 (3H, s), 2.24 (3H, s), 3.37-3.76 (26H, m), 4.75 (1H, dd, J = 8.5, 4.5 Hz), 5.27 (2H, s), 7.08 (2H, t, J = 8.4 Hz), 7.35 (2H, dd, J = 8.0, 5.6 Hz).
【0308】
実施例30
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
【0309】
A) 2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(301mg)、ヨードメタン(190mg)および無水DMF(3mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(42.7mg)を氷冷下で加えた。混合物を、室温で終夜撹拌した。室温で水を加え、生じた沈殿をろ取し、標題化合物(291mg)を得た。
MS: [M+H]+ 352.0.
【0310】
B) N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(291mg)、炭酸カリウム(685mg)およびDMSO(5mL)の混合物に、N-アセチル-L-システイン(405mg)を室温で加えた。混合物を80℃で終夜撹拌した。室温に冷却後、水を加え、酢酸エチルで洗浄した。水層を2N塩酸で酸性にし、室温で1時間撹拌した。沈殿物をろ取、水で洗浄し、標題化合物(233mg)を得た。
MS: [M+H]+ 435.2.
【0311】
C) N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(50.0mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(54.2mg)、HOBt・H2O(22.9mg)およびDMF(1mL)の混合物に、WSC・HCl(28.7mg)およびDIPEA(0.060mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で18時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/酢酸エチル)で精製後、HPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(34.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.16-1.58 (6H, m), 1.60-1.78 (2H, m), 1.84 (3H, s), 3.06-3.74 (29H, m), 4.39-4.58 (1H, m), 5.09 (2H, s), 7.01-7.31 (6H, m), 8.01-8.17 (1H, m), 8.43 (1H, d, J = 8.2 Hz).
【0312】
実施例31
2-アミノ-8-(25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
【0313】
2-アミノ-8-(25-クロロ-4,7,10,13,16,19-ヘキサオキサペンタコサ-1-イン-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(20mg)、10%パラジウム炭素(8mg)およびMeOH(2mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。触媒をろ去し、ろ液を減圧下濃縮して、残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(12mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.26-1.50 (4H, m), 1.56 (2H, quin, J = 6.8 Hz), 1.74 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 1.90 (2H, quin, J = 6.6 Hz), 2.74 (2H, t, J = 7.4 Hz), 3.40-3.67 (26H, m), 5.26 (2H, s), 7.00-7.14 (2H, m), 7.26 (2H, dd, J = 8.0, 5.6 Hz).
【0314】
実施例32
2-アミノ-8-(23-クロロ-5,8,11,14,17-ペンタオキサ-2-アザトリコサ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
【0315】
A) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-8-ビニル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(205mg)、炭酸カリウム(184mg)、酢酸パラジウム(II)(9.96mg)、トリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩水和物(52.0mg)、アセトニトリル(2mL)および水(1mL)の混合物を、100℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に戻した。固体をろ取し、水及び酢酸エチルで洗浄し、標題化合物 (199 mg)を得た。
MS: [M+H]+ 286.1.
【0316】
B) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルバルデヒド
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-8-ビニル-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(199mg)、酸化オスミウム(固定化触媒I)(38.0mg)、アセトニトリル(15mL)および水(15mL)の混合物に、過ヨウ素酸ナトリウム(597mg)を0℃で加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。固体をろ取し、酢酸エチルおよび水で洗浄した。さらに固体を熱DMSOに溶解し、ろ過した。ろ液を水で希釈し、生じた固体をろ取、減圧下乾燥し、標題化合物(106mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) d 5.47 (2H, s), 6.96 (2H, brs), 7.08-7.18 (2H, m), 7.21-7.35 (2H, m), 9.62 (1H, s), 10.99 (1H, brs).
【0317】
C) 2-アミノ-8-(23-クロロ-5,8,11,14,17-ペンタオキサ-2-アザトリコサ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルバルデヒド(92mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(84mg)および無水THF(4mL)の混合物に、TEA(43.2mg)を室温で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(181mg)を加えた。混合物を室温で3日間撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製後、HPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離して、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、標題化合物(54mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.31-1.51 (4H, m), 1.56 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 1.75 (2H, quin, J = 6.7 Hz), 2.73 (2H, t, J = 5.0 Hz), 3.40-3.66 (22H, m), 3.79 (2H, s), 5.36 (2H, s), 6.99-7.12 (2H, m), 7.22-7.33 (2H, m).
【0318】
実施例33
2-アミノ-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボキサミド
【0319】
A) メチル 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボキシラート
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(400mg)、DMF(12mL)およびMeOH(3mL)の混合物に、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物(43.3mg)とTEA(239mg)を室温で加えた。混合物を0.5 MPaの一酸化炭素雰囲気下、100℃で8時間撹拌した。混合物に室温で水と酢酸エチルを加え、析出した固体をろ取し、標題化合物(208mg)を得た。
MS: [M+H]+ 318.1.
【0320】
B) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボン酸
メチル 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボキシラート(205mg)とMeOH(2.0mL)の混合物に、2N水酸化ナトリウム水溶液(0.969 mL)を室温で加えた。混合物を室温で10分間撹拌した。混合物に室温で1N塩酸を加え、わずかに酸性にし、水で希釈した。析出した固体をろ取し、標題化合物(171mg)を得た。
MS: [M+H]+ 304.1.
【0321】
C) 2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボン酸(14mg)と無水DMF(0.5mL)の混合物に、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(21.74mg)、WSC・HCl(9.74 mg)、HOBt・H2O(7.78mg)およびDIPEA(11.93mg)を室温で加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、得られた残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(12.5mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.23-1.49 (4H, m), 1.55 (2H, quin, J = 6.8 Hz), 1.73 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 3.43 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.48-3.68 (22H, m), 5.66 (2H, s), 7.00 (2H, t, J = 8.7 Hz), 7.39 (2H, dd, J = 8.2, 5.6 Hz).
【0322】
実施例34
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0323】
A) N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(217mg)と酢酸(4mL)の混合物に、亜硝酸ナトリウム(71.2mg)の水溶液(0.2 mL)を室温で加えた。混合物を、室温で30分間撹拌した。亜硝酸ナトリウム(55mg)の水溶液(0.2 mL)を室温で加えた。混合物を、室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮後、水(約2mL)を加え、0℃で1時間撹拌した。得られた固体を集め、冷水で洗浄し、標題化合物(54.7mg)を得た。
MS: [M+H]+ 422.1.
【0324】
B) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(54.7mg)、WSC・HCl(32.3mg)、HOBt・H2O(25.8mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(61.1mg)および無水DMF(2mL)の混合物に、DIPEA(0.068mL)を室温で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(6.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.15-1.83 (10H, m), 1.89-2.11 (3H, m), 3.12-3.40 (12H, m), 3.42-3.60 (14H, m), 4.46-4.76 (1H, m), 5.26 (2H, s), 6.92-7.38 (4H, m).
【0325】
実施例35
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0326】
A) N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(233mg)および酢酸(5mL)の混合物に、亜硝酸ナトリウム(148mg)の水溶液(0.2mL)を室温で加えた。混合物を、室温で30分間撹拌した。亜硝酸ナトリウム(148mg)の水溶液(0.2mL)を室温で加えた。混合物を、室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮後、水(約2mL)を加え、0℃で1時間撹拌した。得られた固体を集め、冷水で洗浄し、標題化合物(67.4mg)を得た。
MS: [M+H]+ 436.2.
【0327】
B) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1-メチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(67.4mg)、HOBt・H2O(30.8mg)、WSC・HCl(38.6mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(72.9mg)および無水DMF(2mL)の混合物に、DIPEA(0.081 mL)を室温で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和炭酸水素水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(19.9mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.20-1.65 (8H, m), 1.68-1.85 (2H, m), 1.98 (3H, s), 2.94 (3H, s), 3.27-3.40 (6H, m), 3.41-3.68 (20H, m), 4.68 (1H, dd, J = 8.3, 4.5 Hz), 5.18 (2H, s), 7.08 (2H, t, J = 8.9 Hz), 7.36 (2H, dd, J = 8.3, 5.7 Hz).
【0328】
実施例44
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(3-(4-フルオロベンジル)-9-オキソ-5,9-ジヒドロ-3H-イミダゾ[1,2-a]プリン-2-イル)-L-システインアミド
【0329】
A) 2-アミノ-8-ブロモ-1-(2,2-ジメトキシエチル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(500mg)、2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(375mg)およびDMF(5mL)の混合物に、60%水素化ナトリウム(71.0mg)を氷冷下加え、混合物を室温まで昇温した。混合物を窒素雰囲気下室温で18時間撹拌後、混合物を60℃に昇温した。混合物を60℃で窒素雰囲気下6時間撹拌後、混合物に2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(375mg)を加え、混合物を80℃に昇温した。混合物を窒素雰囲気下80℃で8日間撹拌後、混合物に水、THFおよび酢酸エチルを加えた。混合物をろ過して不溶物をろ去し、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。生じた結晶を酢酸エチルで洗浄後、ろ取し、標題化合物(290mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 3.31 (6H, s), 4.09 (2H, d, J = 5.1 Hz), 4.62 (1H, t, J = 5.1 Hz), 5.15 (2H, s), 7.09 (2H, s), 7.13-7.32 (4H, m).
【0330】
B) 2-ブロモ-3-(4-フルオロベンジル)-3,5-ジヒドロ-9H-イミダゾ[1,2-a]プリン-9-オン
2-アミノ-8-ブロモ-1-(2,2-ジメトキシエチル)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(250mg)、水(1mL)およびAcOH(4mL)の混合物を、窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌後、減圧下濃縮した。生じた結晶をMeOHで洗浄し、標題化合物(200mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 5.29 (2H, s), 7.10-7.37 (4H, m), 7.48 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.66 (1H, d, J = 2.4 Hz), 12.65 (1H, brs).
【0331】
C) N-アセチル-S-(3-(4-フルオロベンジル)-9-オキソ-5,9-ジヒドロ-3H-イミダゾ[1,2-a]プリン-2-イル)-L-システイン
2-ブロモ-3-(4-フルオロベンジル)-3,5-ジヒドロ-9H-イミダゾ[1,2-a]プリン-9-オン(80.0mg)、N-アセチル-L-システイン(108mg)およびDMSO(1.6mL)の混合物に、室温で炭酸カリウム(201mg)を加え、混合物を窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌した。混合物に水(8mL)を加え、6N塩酸で水性混合物のpHを4に調節した。結晶をろ取して、水で洗浄し、標題化合物(90.0mg)を得た。
MS: [M+H]+ 445.1.
【0332】
D) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(3-(4-フルオロベンジル)-9-オキソ-5,9-ジヒドロ-3H-イミダゾ[1,2-a]プリン-2-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(3-(4-フルオロベンジル)-9-オキソ-5,9-ジヒドロ-3H-イミダゾ[1,2-a]プリン-2-イル)-L-システイン(50.0mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(53.0mg)、HOBt・H2O(22.4mg)およびDMF(1mL)の混合物に、WSC・HCl(28.0mg)およびDIPEA(0.059mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で14時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製後、HPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製し、標題化合物(31.2mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.20-1.55 (6H, m), 1.69 (2H, quin, J = 6.8 Hz), 1.85 (3H, s), 3.10-3.70 (26H, m), 4.47-4.64 (1H, m), 5.21 (2H, s), 7.08-7.34 (4H, m), 7.45 (1H, brs), 7.65 (1H, s), 8.12 (1H, t, J = 5.4 Hz), 8.43 (1H, d, J = 7.9 Hz), 12.56 (1H, brs).
【0333】
実施例45
N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(2,6-ジアミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0334】
A) 9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2,6-ジアミン
2Mアンモ二アのメタノール溶液(9mL)、25%アンモ二ア水(3mL)および6-クロロ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2-アミン(600mg)の混合物を120℃で105分間マイクロウェーブ照射し、混合物を減圧下濃縮した。生じた結晶を、酢酸エチルで洗浄後ろ取し、MeOH/水から再結晶して、標題化合物(490mg)を得た。
MS: [M+H]+ 259.1.
【0335】
B) 8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2,6-ジアミン
9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2,6-ジアミン(450mg)、アセトニトリル(20mL)および水(5mL)の混合物に、NBS(341mg)を氷冷下加え、混合物を窒素雰囲気下室温まで昇温した。混合物を室温で1時間撹拌後、混合物に亜硫酸ナトリウム(65.9mg)を加え、混合物を1時間撹拌した。生じた結晶をろ取し、酢酸エチル、DMSOおよびMeOHの混合液に溶かした。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、MeOH/酢酸エチル)で精製し、標題化合物を含む画分を減圧下濃縮し、標題化合物のDMSO溶液を得た。得られた標題化合物のDMSO溶液に水を加えて、生じた結晶をろ取し、標題化合物(240mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 5.16 (2H, s), 5.97 (2H, s), 6.88 (2H, brs), 7.10-7.32 (4H, m).
【0336】
C) N-アセチル-S-(2,6-ジアミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-2,6-ジアミン(80mg)、N-アセチル-L-システイン(116mg)およびDMSO(1.6mL)の混合物に、炭酸カリウム(216mg)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下80℃で2時間撹拌した。混合物に水(8mL)を加え、6N塩酸で水性混合物のpHを4に調整した。結晶をろ取して、水で洗浄し、標題化合物(100mg)を得た。
MS: [M+H]+ 420.1.
【0337】
D) N2-アセチル-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-S-(2,6-ジアミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(2,6-ジアミノ-9-(4-フルオロベンジル)-9H-プリン-8-イル)-L-システイン(50mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(56.1mg)、HOBt・H2O(23.7mg)およびDMF(1mL)の混合物に、WSC・HCl(29.7mg)およびDIPEA(0.062mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で14時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製後、HPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(31.1mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.18-1.58 (6H, m), 1.61-1.77 (2H, m), 1.82 (3H, s), 3.08-3.68 (26H, m), 4.43-4.62 (1H, m), 5.10 (2H, s), 5.86 (2H, s), 6.69 (2H, brs), 7.07-7.29 (4H, m), 8.10 (1H, brs), 8.29 (1H, d, J = 8.0 Hz).
【0338】
実施例46
1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)ピペリジン-2-カルボキサミド
【0339】
A) メチル 1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)ピペリジン-2-カルボキシラート
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボン酸(100mg)と無水DMF(4mL)の混合物に、メチル ピペリジン-2-カルボキシラート一塩酸塩(65.2mg)、WSC・HCl(69.5mg)、HOBt・H2O(55.5mg)およびDIPEA(85mg)を室温で加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、標題化合物の粗精製物(108mg)を得た。
MS: [M+H]+ 429.1.
【0340】
B) 1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸
メチル1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)ピペリジン-2-カルボキシラート(108 mg)、THF(1.600mL)およびMeOH(0.8mL)の混合物に、2N水酸化ナトリウム水溶液(0.378 mL)を室温で加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物に室温で1N塩酸を加え、わずかに酸性にし、水で希釈後した。析出した固体をろ取し、標題化合物(56.2mg)を得た。
MS: [M+H]+ 415.2.
【0341】
C) 1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)ピペリジン-2-カルボキサミド
1-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)カルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(56.2mg)と無水DMF(1.4mL)の混合物に、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(58.5mg)、WSC・HCl(28.6mg)、HOBt・H2O(22.85mg)およびDIPEA(35.1mg)を室温で加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)で精製し、残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物 (76 mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ0.83-1.16 (1H, m), 1.29-1.82 (12H, m), 2.20-3.00 (1H, m), 3.35-3.49 (4H, m), 3.50-3.69 (20H, m), 3.73-4.07 (1H, m), 4.38-4.84 (1H, m), 4.94-5.23 (1H, m), 5.25-5.57 (2H, m), 7.06 (2H, t, J = 8.3 Hz), 7.32 (2H, brs).
【0342】
実施例47
2-アミノ-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボキサミド
【0343】
A) N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド
((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸(500mg)、2,2'-(オキシビス(エタン-2,1-ジイルオキシ))ジエタンアミン(528mg)、HATU(711mg)およびDMF(3ml)の混合物に、DIPEA(436uL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(68mg)を得た。
上記((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸は、自体公知の方法(例えば、Nature, 2010, 468, 1067-1073に記載された方法)に従って合成し、キラルHPLCにより精製した化合物を用いた。
MS: [M+H]+ 575.1.
【0344】
B) 2-アミノ-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボキサミド
2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-カルボン酸(17.93mg)および無水DMF(1mL)の混合物に、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド(34mg)、WSC・HCl(12.47mg)、HOBt・H2O(9.96mg)およびDIPEA(15.28mg)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(16.3mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.66 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.67 (3H, s), 3.34-3.52 (6H, m), 3.53-3.68 (12H, m), 4.66 (1H, dd, J = 8.7, 5.5 Hz), 5.63 (2H, s), 6.97 (2H, t, J = 8.7 Hz), 7.31-7.49 (6H, m).
【0345】
実施例48
3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)ベンズアミド
【0346】
A) 3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)安息香酸
2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(300mg)、(3-(メトキシカルボニル)フェニル)ボロン酸(192mg)、酢酸パラジウム(II)(9.96mg)、トリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩 水和物(52.0mg)、炭酸カリウム(184mg)、アセトニトリル(2mL)および水(1mL)の混合物を、100℃で終夜撹拌した。反応混合物を室温に戻し、2M水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液を塩基性に調節した。酢酸エチルで洗浄後、得られた水層を1M塩酸でpH4-5に調節した。生じた固体をろ取し、減圧下乾燥し、標題化合物(324mg)を得た。
MS: [M+H]+ 380.1.
【0347】
B) 3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)ベンズアミド
3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)安息香酸(22.43mg)および無水DMF(1.0mL)の混合物に、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド(34mg)、WSC・HCl(12.47mg)、HOBt・H2O(9.96mg)、およびDIPEA(15.28mg)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を、MP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(36mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ1.66 (3H, s), 2.41 (3H, s), 2.67 (3H, s), 3.33-3.48 (4H, m), 3.49-3.72 (14H, m), 4.62 (1H, dd, J = 8.5, 5.5 Hz), 5.33 (2H, s), 6.90-7.09 (4H, m), 7.32-7.55 (5H, m), 7.65 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.89 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.99 (1H, s).
【0348】
実施例49
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-メチルベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-L-システインアミド
【0349】
A) tert-ブチル(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)カルバマート
((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸(500mg)、tert-ブチル (2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバマート(401mg)、HATU(711mg)およびDMF(3mL)の混合物に、DIPEA(322mg)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、メタノール/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(720mg)を得た。
MS: [M+H]+ 675.1.
【0350】
B) N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩
tert-ブチル(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)カルバマート(480mg)と2M塩酸-メタノール(2.0mL)の混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、標題化合物(435mg)を得た。
MS: [M+H]+ 575.1.
【0351】
C) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-メチルベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-L-システインアミド
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-メチルベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(30mg),N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(49mg),WSC・HCl(18mg),HOBt(13mg)およびDMF(1mL)の混合物に、TEA(0.015mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離して、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、標題化合物(12mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.62 (3H, s), 1.84 (3H, s), 2.25 (3H, s), 2.41 (3H, s), 2.57-2.62 (3H, m), 3.13-3.30 (6H, m), 3.36-3.55 (14H, m), 4.43-4.55 (2H, m), 5.04 (2H, s), 6.52 (2H, brs), 7.00-7.07 (2H, m), 7.08-7.16 (2H, m), 7.38-7.45 (2H, m), 7.45-7.52 (2H, m), 8.09 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.29 (1H, t, J = 6.0 Hz), 8.42 (1H, d, J = 7.6 Hz), 10.64 (1H, s).
【0352】
実施例50
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-L-システインアミド
【0353】
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-クロロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(30mg)、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(46 mg)、WSC・HCl(17mg)、HOBt(12mg)およびDMF(1mL)の混合物に、TEA(0.014mL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離して、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮し、標題化合物(11mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.62 (3H, s), 1.84 (3H, s), 2.41 (3H, s), 2.59 (3H, s), 3.13-3.30 (6H, m), 3.35-3.55 (14H, m), 4.42-4.55 (2H, m), 5.09 (2H, s), 6.55 (2H, brs), 7.16 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.35-7.53 (6H, m), 8.08 (1H, t, J = 6.0 Hz), 8.28 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.40 (1H, d, J = 8.6 Hz), 10.68 (1H, brs).
【0354】
実施例51
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-L-システインアミド
【0355】
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(20.6mg)、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(30 mg)、WSC・HCl(12mg)、HOBt・H2O(9.8mg)およびDMF(1mL)の混合物に、DIPEA(26uL)を室温で加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、メタノール/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(14mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.59 (3H, s), 1.91 (3H, s), 2.33 (3H, s), 2.58 (3H, s), 3.24-3.60 (21H, m), 4.44-4.65 (2H, m), 4.98-5.09 (2H, m), 6.88-7.00 (2H, m), 7.20 (2H, dd, J = 8.0, 5.6 Hz), 7.25-7.41 (4H, m).
【0356】
実施例52
(2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)アクリルアミド
【0357】
(2E)-3-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸(16.2mg)、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(30mg)、WSC・HCl(12.2mg)、HOBt・H2O(9.8mg)およびDMF(1mL)の混合物に、DIPEA(19mg)を室温で加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/酢酸エチル)で精製し、標題化合物(20mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.69 (3H, s), 2.44 (3H, s), 2.70 (3H, s), 3.65 (19H, s), 4.59-4.72 (1H, m), 5.36 (2H, s), 6.92-7.01 (1H, m), 7.05 (2H, t, J = 8.3 Hz), 7.20-7.33 (1H, m), 7.35-7.57 (5H, m).
【0358】
実施例53
N2-アセチル-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システインアミド
【0359】
N-アセチル-S-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(25.5mg)、WSC・HCl(12.41mg)、HOBt・H2O(9.92mg)、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(33mg)と無水DMF(2mL)の混合物に、DIPEA(0.028mL)を室温で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(YMC-Actus Triart Prep C8-S, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製し、標題化合物(7.1mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.70 (3H, s), 1.95 (3H, s), 2.45 (3H, s), 2.74 (3H, s), 3.26-3.39 (6H, m), 3.40-3.67 (19H, m), 3.73 (1H, dd, J = 13.8, 5.5 Hz), 4.58-4.79 (2H, m), 5.42 (2H, s), 7.04 (2H, t, J = 8.7 Hz), 7.25-7.56 (6H, m).
【0360】
実施例54
(2E)-N-(14-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-13-オキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザテトラデカ-1-イル)-3-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリルアミド
【0361】
A) (2E)-3-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸
8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-3,9-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン(200mg)、エチル(2E)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アクリラート(185mg)、酢酸パラジウム(II)(12.2mg)、トリフェニルホスフィン-3,3',3''-トリスルホン酸三ナトリウム塩 水和物(63.9mg)およびアセトニトリル(3mL)の混合物に炭酸カリウム(151mg)の水溶液(1.5mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下100 ℃で14時間加熱した。混合物に水および酢酸エチルを加え、水層を分離した。6N 塩酸で水層をpH3に調整し、酢酸エチルとTHFの混合液で抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。生じた結晶を酢酸エチルで洗浄後、ろ取し、標題化合物(160mg)を得た。
MS: [M+H]+ 359.1.
【0362】
B) (2E)-3-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸(30.0mg)、N-(2-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド塩酸塩(61.4mg)、HOBt・H2O(16.7mg)およびDMF(1mL)の混合物に、WSC・HCl(20.9mg)およびDIPEA(0.044mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で8時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、得られた画分をMP-Carbonateレジンに通し、減圧下濃縮し、標題化合物(61.2mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.62 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.59 (3H, s), 3.12-3.72 (24H, m), 4.51 (1H, t, J = 6.9 Hz), 5.75 (2H, s), 7.09-7.31 (5H, m), 7.35-7.55 (5H, m), 8.28 (1H, t, J = 5.1 Hz), 8.55 (1H, t, J = 5.2 Hz).
【0363】
実施例55
(2E)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-3-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリルアミド
(2E)-3-(9-(4-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-2,3,6,9-テトラヒドロ-1H-プリン-8-イル)アクリル酸(40.0mg)、21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン塩酸塩(52.6mg)、HOBt・H2O(22.2mg)およびDMF(1mL)の混合物に、WSC・HCl(27.8mg)およびDIPEA(0.058mL)を室温で加え、混合物を窒素雰囲気下室温で8時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製後、MeOH/IPEから結晶化し、標題化合物(52.0mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.17-1.56 (6H, m), 1.69 (2H, quin, J = 7.0 Hz), 3.12-3.67 (30H, m), 5.76 (2H, s), 7.10-7.31 (5H, m), 7.43 (1H, d, J = 15.1 Hz), 8.55 (1H, t, J = 5.6 Hz).
【0364】
実施例56
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサ-1-イル)-L-システインアミド
【0365】
N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(5.0mg)と21-クロロ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘンイコサン-1-アミン (6.8 mg)を脱水DMF(500uL)に溶解し、室温でWSC・HCl(1.8mg)、TEA(1.4uL)およびHOBt(2.1mg)を添加した。室温で24時間攪拌した後、反応混合物を減圧下濃縮した。残渣をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(1.5mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.33-1.71 (8H, m), 1.83 (3H, s), 3.45-3.50 (22H, m), 3.60 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.47 (1H, ddd, J = 13.2, 8.0, 5.0 Hz), 5.06 (2H, brs), 6.52 (2H, brs), 7.12-7.21 (4H, m), 8.06 (1H, t, J = 5.4 Hz), 8.39 (1H, d, J = 8.4 Hz), 10.63 (1H, brs).
【0366】
実施例57
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(1-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)-L-システインアミド
【0367】
A) N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド
((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸(7.5mg)に、室温アルゴン雰囲気下にてDMF(0.2mL)、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(7.9uL)、PyBOP(20mg)およびTEA(5.2uL)を加え、40 ℃に昇温した。18時間攪拌後、反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(9.0mg)を得た。
上記((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸は、自体公知の方法(例えば、Nature, 2010, 468, 1067-1073に記載された方法)に従って合成した化合物を用いた。実施例58および61においても同様にして合成したものを用いた。
HRMS: Calcd for C29H40ClN6O4S [M+H]+: 603.2520, found 603.2511
【0368】
B) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(1-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)-L-システインアミド
N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド(13mg)とN-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(8.0mg)の混合物に室温にてDMF(50uL)、PyBOP(14mg)、TEA(3.8uL)を加え、27時間攪拌した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(1.0mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.59 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 1.61 (3H, s), 1.65 (2H, quin, J = 6.4 Hz), 1.83 (3H, s), 2.39 (3H, s), 2.58 (3H, s), 3.06-3.28 (12H, m), 3.33-3.35 (6H, m), 4.43 (1H, ddd, J = 13.3, 7.8, 5.2 Hz), 4.49 (1H, dd, J = 8.3, 6.4 Hz), 5.06 (2H, s), 6.52 (2H, s), 7.14 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.19 (2H, dd, J = 14.4, 8.7 Hz), 7.40 (2H, d, J = 9.1 Hz), 7.47 (2H, d, J = 9.1 Hz), 8.01 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.18 (1H, t, J = 5.7 Hz), 8.40 (1H, d, J = 8.2 Hz), 10.63 (1H, s).
【0369】
実施例58
N-(3-(2-(2-(3-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アミノ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド
【0370】
A) 2-アミノ-8-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)アミノ)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン
アルゴン雰囲気下にて2-アミノ-8-ブロモ-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(10mg)、DMSO(0.18mL)、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(33uL)およびTEA(21uL)をスクリュー付き試験管に入れ、封じた。試験管を110℃に昇温し19時間撹拌した後、室温に冷却した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(3.7mg)を得た。
HRMS: Calcd for C22H33FN7O4: 478.2578 [M+H]+, found 478.2562
【0371】
B) N-(3-(2-(2-(3-((2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)アミノ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-2-(4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド
2-アミノ-8-((3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)アミノ)-9-(4-フルオロベンジル)-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン(2.4mg)と(4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)酢酸(3.6mg)の混合物に、室温アルゴン雰囲気下でDMF(0.1mL)、PyBOP(5.3mg)およびTEA(1.4uL)を加え、31時間撹拌した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(0.26mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.60 (3H, s), 1.65 (2H, quin, J = 6.9 Hz), 1.74 (1H, dd, J = 4.6, 4.6 Hz), 1.89 (1H, s), 2.39 (3H, s), 2.58 (3H, s), 3.10-3.22 (10H, m), 3.36-3.51 (6H, m), 4.46-4.50 (2H, m), 5.11 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.18 (2H, dd, J = 8.8, 8.7 Hz), 7.30 (2H, dd, J = 8.7, 5.0 Hz), 7.39-7.42 (4H, m), 7.46-7.50 (4H, m), 8.18 (2H, t, J = 5.8 Hz).
【0372】
実施例59
(1R)-1-(3-((18-((N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイニル)アミノ)-4-オキソ-9,12,15-トリオキサ-5-アザオクタデカン-1-オイル)アミノ)フェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピル 1-(3,3-ジメチル-2-オキソペンタノイル)ピペリジン-2-カルボキシラート
【0373】
A) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-L-システインアミド
室温アルゴン雰囲気下にてN-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(35mg)、DMF(1.0mL)、4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(0.037mL)、PyBOP(66mg)およびTEA(0.023mL)の混合物を22時間攪拌した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(24mg)を得た。
HRMS: Calcd for C27H40FN8O6S [M+H]+: 623.2776, found 623.2753
【0374】
B) (1R)-1-(3-((18-((N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイニル)アミノ)-4-オキソ-9,12,15-トリオキサ-5-アザオクタデカン-1-オイル)アミノ)フェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロピル 1-(3,3-ジメチル-2-オキソペンタノイル)ピペリジン-2-カルボキシラート
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-L-システインアミド(2.5mg)と、4-((3-((1R)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-(((1-(3,3-ジメチル-2-オキソペンタノイル)ピペリジン-2-イル)カルボニル)オキシ)プロピル)フェニル)アミノ)-4-オキソブタン酸(2.5mg)の混合物に、DMF(0.2mL)、PyBOP(2.2mg)およびTEA(0.010mL)を加えた。室温で24時間攪拌した後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH/クロロホルム)で精製し、標題化合物(0.16mg)を得た。
上記4-((3-((1R)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-(((1-(3,3-ジメチル-2-オキソペンタノイル)ピペリジン-2-イル)カルボニル)オキシ)プロピル)フェニル)アミノ)-4-オキソブタン酸は、自体公知の方法(例えば、ACS Chemical Biology, 2015, 10, 2441-2447に記載された方法)に従って合成した化合物を用いた。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 0.78 (3H, s), 1.13 (3H, s), 1.15 (3H, s), 1.57-1.70 (14H, m), 1.89 (3H, s),2.49-2.55 (6H, m), 3.04-3.08 (4H, m), 3.37-3.47 (16H, m), 3.69 (3H, s), 3.71 (3H, s), 4.43 (1H, dd, J = 14.2, 8.7 Hz), 5.06 (1H, s), 5.12 (1H, dd, J = 6.4, 6.4 Hz), 5.61 (1H, dd, J = 9.1, 5.0 Hz), 6.66 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.75 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.83 (1H, d, J = 8.2 Hz), 6.99 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.14 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.19 (2H, dd, J = 8.7, 8.7 Hz), 7.27 (2H, dd, J = 8.3, 8.3 Hz), 7.43 (1H, d, J = 7.3 Hz), 7.68 (1H, s), 7.84 (1H, d, J = 5.5 Hz), 8.03 (1H, dd, J = 5.5, 5.5 Hz), 8.42 (1H, d, J = 8.3 Hz), 9.89 (1H, s), 10.87 (1H, brs).
【0375】
実施例60
(3R,5S,6R)-5-メトキシ-4-((2R,3R)-2-メチル-3-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)オキシラン-2-イル)-1-オキサスピロ[2.5]オクタ-6-イル(3-(2-(2-(3-((N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイニル)アミノ)プロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)カルバマート
【0376】
フマギロール(5.0mg)のアセトニトリル溶液(37.5uL)に、アルゴン雰囲気下0℃にてTEA(7.3uL)およびクロロぎ酸p-ニトロフェニル(7.2mg)を加え、終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。この中間体とN2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(4-フルオロベンジル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-L-システインアミド(6.6mg)を、アルゴン雰囲気下MeOH (25 uL)に溶解し、0℃にて炭酸水素ナトリウム(7.2mg)を添加後、室温に昇温して終夜撹拌した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(0.34mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.07 (3H, s), 1.59 (3H, s), 1.57-1.63 (3H, m), 1.81 (1H, d, J = 11.0 Hz), 1.83 (3H, s), 1.76-1.89 (6H, m), 2.13-2.19 (2H, m), 2.55 (1H, d, J = 4.6 Hz), 2.60 (1H, dd, J = 3.7, 1.9 Hz), 2.82 (1H, d, J = 4.6 Hz), 3.01 (2H, dt, J = 7.4, 6.4 Hz), 3.06 (2H, dt, J = 9.7, 6.8), 3.26 (3H, s), 3.26 (3H, s), 3.30-3.49 (14H, m), 4.43 (1H, ddd, J = 13.7, 7.8, 5.5 Hz), 5.06 (2H, s), 5.17 (1H, t, J = 7.4 Hz), 5.27 (1h, brs), 6.54 (2H, brs), 7.04 (1H, t, J = 6.0 Hz), 7.12- 7.25 (4H, m), 8.02 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.41 (1H, d, J = 7.8 Hz).
【0377】
実施例61
N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-((4aR,6R,7R,7aS)-2,7-ジヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-6-イル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(1-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)-L-システインアミド
【0378】
A) N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(2,7-ジヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-6-イル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン
アルゴン雰囲気下、8-ブロモグアノシン-3',5'-りん酸(8.5mg)、炭酸カリウム(31.5mg)およびN-アセチル-L-システイン(12.4mg)をDMF(0.5mL)に溶解した。反応溶液を90℃にて5時間攪拌した。室温に冷却後、反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(9.4mg)を得た。
HRMS: Calcd for C15H18N6O10PS [M-H]- : 505.0548, found 505.0546
【0379】
B) N2-アセチル-S-(2-アミノ-9-(2,7-ジヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-6-イル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-N-(1-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)-2-オキソ-7,10,13-トリオキサ-3-アザヘキサデカン-16-イル)-L-システインアミド
N-(3-(2-(2-(3-アミノプロポキシ)エトキシ)エトキシ)プロピル)-2-((6S)-4-(4-クロロフェニル)-2,3,9-トリメチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-6-イル)アセトアミド(9.0mg)と、N-アセチル-S-(2-アミノ-9-(2,7-ジヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-6-イル)-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-8-イル)-L-システイン(8.4 mg)の混合物に、室温にてDMF (0.25mL)、HATU(9.4mg)、TEA(23.1uL)を加え、38時間攪拌した。反応混合物をHPLC(5C18-AR-II, 移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製し、標題化合物(3.2mg)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 1.61 (3H, s), 1.65 (2H, quin, J = 6.4), 1.85 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.59 (3H, s), 3.08-3.28 (6H, m), 3.35-3.54 (14H, m), 4.05 (1H, ddd, J = 15.1, 10.1, 4.1 Hz), 4.16 (1H, dd, J = 10.1, 10.1 Hz), 4.72 (1H, d, J = 5.5 Hz), 4.45-4.51 (4H, m), 4.94 (1H, dd, J = 9.7, 5.4 Hz), 5.70 (1H, s), 6.45 (2H, brs), 7.41 (2H, t, J = 8.2 Hz), 7.48 (2H, d, J = 8.7 Hz), 8.01 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.19 (1H, t, J = 5.5 Hz), 8.35 (1H, d, J = 8.3 Hz), 10.81 (1H, s).
【0380】
実施例化合物を以下の表に示す。表中のMSは実測値を示す。上記の実施例に示した方法またはそれらに準じた方法に従って、以下の表中の実施例4、7、9、11、14、22~25、28、29、36~43の化合物を製造した。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【0381】
本発明化合物のIn vitroにおける標的分子の分解誘導活性は以下の試験にて評価した。
【0382】
(試験例1:EmGFP-HaloTag安定発現細胞を使った評価方法(試験方法A))
EmGFP-HaloTag安定発現HeLa細胞をDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)に播種し24時間培養した。その後、表2に示す終濃度で試験化合物(具体的には、実施例化合物1~7、9~11、13~15、17~20、24~27、29、32~33、36~42、44~46および56)を添加し、37oC/5%CO2条件で24時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、タンパク質分解酵素阻害剤を含む細胞溶解溶液で処理して細胞抽出液を得た。細胞抽出液をSDS-PAGEに供し,泳動後のウェスタンブロットによってGFPとActinを検出した。薬剤非処理の細胞におけるコントロール群のGFP/Actin値に対して,薬剤処理細胞のGFP/Actin値の比を活性値とした。値が1以下となる場合はEmGFP-HaloTagの分解が促進したことを表す。
【0383】
(試験例2:EmGFP-HaloTag一過性過剰発現細胞を使った評価(試験方法B))
HeLa細胞をDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)に播種し24時間培養した。EmGFP-HaloTagをコードするプラスミドpCMV-EmGFP-HaloTagをトランスフェクションし、EmGFP-HaloTagの過剰発現細胞を得た。翌日、表2に示す終濃度で試験化合物(具体的には、実施例化合物8、12、16、21~23、28および30~31)を添加し,37oC/5%CO2条件で24時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、タンパク質分解酵素阻害剤を含む細胞溶解溶液で処理して細胞抽出液を得た。細胞抽出液をSDS-PAGEに供し,泳動後のウェスタンブロットによってGFPとActinを検出した。薬剤非処理の細胞におけるコントロール群のGFP/Actin値に対して、薬剤処理細胞のGFP/Actin値の比を活性値とした。値が1以下となる場合はEmGFP-HaloTagの分解が促進したことを表す。
【0384】
(試験例3:HeLa細胞を使った評価(試験方法C))
HeLa細胞をDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)に播種し24時間培養した。表2に示す終濃度で試験化合物(具体的には、実施例化合物47~52、59および60)を添加し、37oC/5%CO2条件で24時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、タンパク質分解酵素阻害剤を含む細胞溶解溶液で処理して細胞抽出液を得た。細胞抽出液をSDS-PAGEに供し、泳動後のウェスタンブロットによってBrd4・FKBP12・MetAP2とActinを検出した。薬剤非処理の細胞におけるコントロール群のBrd4・FKBP12・MetAP2/Actin値に対して,薬剤処理細胞のBrd4・FKBP12・MetAP2/Actin値の比を活性値とした。値が1以下となる場合はBrd4・FKBP12・MetAP2の分解が促進したことを表す。
【0385】
(試験例4:A549細胞を使った評価(試験方法D))
A549細胞をDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)に播種し24時間培養した。表2に示す終濃度で試験化合物(具体的には、実施例化合物57、58)を添加し,37oC / 5%CO2条件で24時間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し,タンパク質分解酵素阻害剤を含む細胞溶解溶液で処理して細胞抽出液を得た。細胞抽出液をSDS-PAGEに供し,泳動後のウェスタンブロットによってBrd4とActinを検出した。薬剤非処理の細胞におけるコントロール群のBrd4/Actin値に対して,薬剤処理細胞のBrd4/Actin値の比を活性値とした。値が1以下となる場合はBrd4の分解が促進したことを表す。
【0386】
試験例1~4で得られた実施例化合物の標的タンパク分解誘導活性を表2に記す。
【0387】
【表2-1】
【表2-2】
試験例1~4の結果から、化合物(I)が標的分子の分解を誘導する活性を有することが示された。
【0388】
(試験例5:Atg5KO MEFを使った評価)
Atg5
-/-マウス胎児線維芽(MEF)細胞とAtg5
+/+MEF細胞を、Dulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM)に播種し24時間培養した。EmGFP-HaloTagをコードするプラスミドpCMV-EmGFP-HaloTag(配列番号1)をトランスフェクションし,EmGFP-HaloTagの過剰発現細胞を得た。翌日、終濃度10μMで実施例化合物56を添加し、37
oC/5%CO
2条件で24時間インキュベートした。
細胞をPBSで3回洗浄し、タンパク質分解酵素阻害剤を含む細胞溶解溶液で処理して細胞抽出液を得た。細胞抽出液をSDS-PAGEに供し、泳動後のウェスタンブロットによってGFPとActinを検出した。薬剤非処理の細胞におけるコントロール群のGFP/Actin値に対して、薬剤処理細胞のGFP/Actin値の比を活性値とした。値が1以下となる場合はEmGFP-HaloTagの分解が促進したことを表す。
【表3】
【0389】
試験例5の結果から、化合物(I)により誘導される標的分子の分解はオートファジーを介するものであることが示された。
【0390】
製剤例1
本発明化合物を有効成分として含有する医薬は、例えば、次のような処方によって製造することができる。
1.カプセル剤
(1)実施例1で得られた化合物 40mg
(2)ラクトース 70mg
(3)微結晶セルロース 9mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 1mg
1カプセル 120mg
(1)、(2)、(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
【0391】
2.錠剤
(1)実施例1で得られた化合物 40mg
(2)ラクトース 58mg
(3)コーンスターチ 18mg
(4)微結晶セルロース 3.5mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
1錠 120mg
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和した後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0392】
製剤例2
日局注射用蒸留水50mLに実施例1で得られた化合物50mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mLとする。この溶液を滅菌条件下でろ過し、次にこの溶液1mLずつを取り、滅菌条件下、注射用バイアルに充填し、凍結乾燥して密閉する。
本発明化合物は、標的とする細胞内分子を特異的に食細胞に取り込ませ、食細胞によって分解することができる。従って、標的分子が関与する疾患のメカニズムを解析する際のツールとして用いることができ、また当該疾患の予防又は治療に有効な薬物を提供する事が期待される。