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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176377
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】レシニフェラトキシンの製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/08 20060101AFI20221117BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K31/357
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/40
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/20
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162509
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2020514270の分割
【原出願日】2018-09-11
(31)【優先権主張番号】62/556,824
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514291864
【氏名又は名称】ソレント・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Sorrento Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス ナハマ
(57)【要約】
【課題】いかなる有機溶媒(エタノールなど)も含有せず、依然としてRTX分子を溶液中に維持する、投与のためのRTXの製剤を開発する。
【解決手段】本開示は、比較的小さい体積への注射可能な投与のための、RTXの非アルコール製剤を提供し、この製剤は、約10μg/mL~約200μg/mLのRTXを、1.0~1.3の比重を維持するために十分な単糖または糖アルコールを有する製剤中に含有する。RTXは、水性緩衝溶液(食塩水を含み、約6.5~約7.5のpHを有し、そして酸化防止剤を含有する)中の、PEG(0~40%)、ポリソルベート(0~5%)およびシクロデキストリン(0~5%)のうちの少なくとも1つ、または混合物中に、可溶化され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、2017年9月11日に出願された米国仮出願第62/556,824号の優先権の利益を主張する。この米国仮出願は、その全内容が本明細書中に参考として援用される。
発明の分野
本開示は、投与のための、より毒性が低いレシニフェラトキシン(RTX)の製剤を提供する。RTXは、極度に水不溶性の化合物であるので、本開示の製剤は、高濃度のRTX活性成分を製剤中に提供し、ここで非常に少量の液体が、例えば、髄腔内、神経節内、神経節周囲、心膜または関節窩内(関節内)に注射され得る。より特定すると、本開示は、可溶化成分、単糖または糖アルコール、食塩水(saline)緩衝液、およびRTXを含有する、RTXのアルコールを含まない製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1(TrpV1)または(バニロイド受容体-1(VR1))は、侵害受容一次求心性ニューロンにおいて顕著に発現される、多量体のカチオンチャネルである(Caterina et al.(1997)Nature 389:816-824;Tominaga et al.(1998)Neuron 531-543)。TrpV1の活性化は、代表的に、神経終末において、疼痛性の熱を加えることにより起こり、そして特定の型の炎症刺激の間に上方調節される。末梢組織における、化学的アゴニストによるTrpV1の活性化は、カルシウムチャネルの開口、および疼痛の感覚の導入をもたらす(Szalllasi et al.(1999)Mol.Pharmacol.56:581-587)。しかし、特定のTrpV1アゴニストの、TrpV1を発現するニューロンの細胞体(神経節)への直接の適用は、カルシウムチャネルを開口させ、そしてプログラム細胞死(「アポトーシス」)をもたらす事象のカスケードを誘発する(Karai et al.(2004)Journal of Clinical Investigation.113:1344-1352)。
RTXは、TrpV1アゴニストとして公知であり、そしてカプサイシン(トウガラシの刺激性の主成分)の非常に強力なアナログとして働く。RTXは、Eurphorbiaの特定の種から単離された三環系ジテルペンである。ホモバニリル基が、カプサイシンの重要な構造的特徴であり、そしてレシニフェラトキシンを代表的なホルボール関連化合物から区別する、最も顕著な特徴である。天然に存在する、すなわちネイティブのRTXは、下記の構造:
【化1】
を有する。
【0003】
RTXおよびアナログ化合物(例えば、チニアトキシンおよび他の化合物(ジテルペンの20-ホモバニリルエステル、例えば12-デオキシホルボール13-フェニルアセテート20-ホモバニレートおよびメゼレイン20-ホモバニレート))は、米国特許第4,939,194号;同第5,021,450号;および同第5,232,684号に記載されている。他のレシニフェラトキシン型ホルボイドバニロイドもまた同定されている(Szallasi et al.(1999)Brit.J.Phrmacol.128:428-434)。
【0004】
米国特許第8,338,457号(その開示は、本明細書中に参考として援用される)において、RTXは、1mg/mLのRTX、10%のエタノール、10%のTween 80および80%の生理食塩水(normal saline)を含有するストック製剤から、0.9%の食塩水で希釈された。注射されたビヒクルは、0.9%の食塩水を希釈剤として使用した、RTXストック製剤の1:10の希釈物であった。従って、以前の注射剤は、疎水性のRTX分子をエタノールに溶解させ、そしてその製剤を、約1~2%(v/v)のエタノールと一緒に直接、神経節内に注射した。しかし、エタノール(または他の有機溶媒)を、脳、脊髄(硬膜下)または神経節内に直接注射することは、得策ではない。なぜなら、これらの化合物は、これらが接触するあらゆる細胞を非特異的に殺傷し得、そして神経は特に敏感であるからである。従って、いかなる有機溶媒(エタノールなど)も含有せず、依然としてRTX分子を溶液中に維持する、投与のためのRTXの製剤を開発することが、当該分野において必要とされている。本開示は、このような非アルコール製剤を達成するためになされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,939,194号明細書
【特許文献2】米国特許第5,021,450号明細書
【特許文献3】米国特許第5,232,684号明細書
【特許文献4】米国特許第8,338,457号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Caterina et al.(1997)Nature 389:816-824
【非特許文献2】Tominaga et al.(1998)Neuron 531-543
【非特許文献3】Szalllasi et al.(1999)Mol.Pharmacol.56:581-587
【非特許文献4】Karai et al.(2004)Journal of Clinical Investigation.113:1344-1352
【非特許文献5】Szallasi et al.(1999)Brit.J.Phrmacol.128:428-434
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示は、比較的小さい体積への注射可能な投与のための、RTXの非アルコール製剤を提供し、この製剤は、約10μg/mL~約200μg/mLのRTXを、1.0~1.3の比重を維持するために十分な単糖または糖アルコールを有する製剤中に含有する。RTXは、水性緩衝溶液(食塩水を含み、約6.5~約7.5のpHを有し、そして酸化防止剤を含有する)中の、PEG(0~40%)、ポリソルベート(0~5%)およびシクロデキストリン(0~5%)のうちの少なくとも1つ、または混合物中に、可溶化され得る。
【0008】
好ましくは、この製剤は、約25~50μg/mLのRTXを含有する。好ましくは、この単糖または糖アルコールは、デキストロース、マンニトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、この可溶化剤は、ポリソルベート(20、60または80)、ポリエチレングリコール(PEG100、200 300 400または600)、シクロデキストリン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、この緩衝液は、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。好ましくは、この製剤は、酸化防止剤をさらに含有する。より好ましくは、この酸化防止剤は、アスコルビン酸、クエン酸、重硫酸カリウム、重硫酸ナトリウム アセトン重硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
RTXの非アルコール製剤であって、可溶化剤中に可溶化された約10μg/mL~約200μg/mLのRTX、単糖または糖アルコール、および緩衝溶液を含有し、該製剤は、約6.5~約7.5のpHを有する、RTXの非アルコール製剤。
(項目2)
前記可溶化剤は、PEG、ポリソルベートおよびシクロデキストリン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目3)
前記製剤は、約25~50μg/mLのRTXを含有する、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目4)
前記単糖または糖アルコールは、デキストロースおよびマンニトール、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目5)
前記食塩水緩衝液は、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、およびクエン酸緩衝液、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目6)
酸化防止剤をさらに含有する、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目7)
前記酸化防止剤は、アスコルビン酸、クエン酸、重硫酸カリウム、重硫酸ナトリウム アセトン重硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目6に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目8)
前記可溶化剤は、PEG(0~40%)、ポリソルベート(0~5%)およびシクロデキストリン(0~5%)、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される、項目2に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目9)
ポリソルベート80に可溶化された約10μg/mL~約200μg/mLのRTX、デキストロース、およびリン酸緩衝溶液を含有し、約6.5~約7.5のpHを有する、項目1に記載のRTXの非アルコール製剤。
(項目10)
0.03%v/vのポリソルベート80に可溶化された200μg/mLのRTX、0.05%w/vのデキストロース、および30mMのリン酸緩衝溶液を含有し、約7.2のpHを有する、項目9に記載のRTXの非アルコール製剤。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
定義
「神経節内投与」とは、神経節の内部への投与である。神経節内投与は、神経節内への直接の注射により達成され得、そしてまた、選択的神経根注射、または神経節周囲投与(化合物が、神経の周囲の結合組織の筒(sleeve)を避け、そして神経節に、脊柱のすぐ外側の神経根から入る)を含む。しばしば、神経節内投与は、標的神経節および投与の領域を可視化するために、画像化技術(例えば、MRIまたはX線造影用の色素または薬剤を使用する)と一緒に使用される。投与体積は、神経節への直接投与のためのおよそ50μlから、神経節の周囲への神経節周囲投与のための2mlまでの範囲である。
【0010】
用語「くも膜下腔」または脳脊髄液(CSF)空間は、共通の語法を組み込み、軟膜とくも膜との間の、CSFを含む解剖学的空間をいう。
【0011】
「髄腔内投与」とは、脊髄のくも膜下腔の内部への直接の、組成物の投与である。成人における髄腔内投与のための体積は、2~50μgである。
【0012】
「関節内投与」とは、水溶液中の化合物の、関節窩(例えば、膝または肘)内への注射である。成人の膝についての関節内投与のための体積は、3~10mlの体積、および5~50μgのRTXである。ヒト小児または獣医学(イヌもしくはネコ)の膝は、それぞれの種の膝の相対サイズに対して、より低く、体積が比例する。
【0013】
本開示は、髄腔内、関節内、神経節内または神経節周囲投与のための、RTXの非アルコール製剤を提供し、この製剤は、約10μg/mL~約200μg/mLのRTXを、1.0~1.3の比重を維持するために十分な単糖を含む製剤中に含有する。RTXは、水性緩衝溶液(食塩水を含み、約6.5~約7.5のpHを有し、そして酸化防止剤を含有する)中の、PEG(0~40%)、ポリソルベート(0~5%)およびシクロデキストリン(0~5%)のうちの少なくとも1つ、または混合物中に、可溶化され得る。
【0014】
RTXは、神経節の内部に、または神経根(髄腔内もしくは神経節内)に、標準的な神経外科技術を使用して直接注射されて、後根または自律神経節内に一時環境を作り出し得る。RTXはまた、関節内の空間の内部に直接注射されて、その特定の関節における関節炎疼痛を処置し得る。RTXの効果の持続時間は、この一時環境が維持される期間より長くあり得る。患者によって要求および許容されるように、任意の投薬量が使用され得る。投与は、MRIまたはX線造影色素を使用する画像分析の補助を得ながら、細胞質への直接の送達を提供するように行われ得る。例えば、この手順は、CATスキャン、X線透視検査、またはオープンMRIなどの手順と一緒に行われ得る。
【0015】
神経節内投与については、注射される代表的な体積は、50~300マイクロリットルであり、約50ナノグラム~約50マイクログラムの範囲のRTXの総量を送達する。関節内投与については、成人の膝に注射される代表的な体積は、3ml~10mlであり、5ng~50μgのRTXの総量を送達する。しばしば、投与される量は、200ng~10μgである。RTXは、ボーラスとして投与され得るか、または代表的には1~10分間の期間にわたって注入され得る。
【0016】
髄腔内投与については、約0.5~5cc、しばしば3ccの量が、くも膜下腔の内部に注射される。注射体積中のRTXの総量は、通常、約500ナノグラム~約200マイクログラムである。しばしば、投与される量は、20μg~50μgである。RTXは、ボーラスとして投与され得るか、または代表的には1~10分間の期間にわたって注入され得る。
【表1-1】
【表1-2】
【実施例0017】
実施例1: 製剤の調製
表1の製剤を、実施例の製剤3および5として下に記載されるように使用して調製した。製剤3を、30mM、pH7.2のリン酸緩衝液を調製することにより作製した。次いで、1.43%w/vのポリソルベート80および0.86%w/vのNaClを混合して、水性成分を形成した。20mgのRTXを、メスフラスコ内で100mLの水性成分に添加した。次いで、30mLのPEG 300を添加し、そしてこの溶液を超音波処理して、固体を溶解させた。上記水性成分を約80%の体積まで添加し、次いでこれを超音波処理して混合した。RTXはときどき、水溶液とPEGとの界面で最初に沈殿するが、超音波処理すれば溶液中に戻ることに留意するべきである。このフラスコ内の全混合物を、適切な体積まで上記水性成分で希釈し、そしてこれを、反転プロセスにより混合した。この完全な製剤を、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過した。
【0018】
製剤5を、30mM、pH7.2のリン酸緩衝液を調製することにより作製した。次いで、3.0%w/vのポリソルベート80、0.8%w/vのデキストロース、および0.54%w/vのNaClを一緒に混合して、水性成分を形成した。20mgのRTXを、メスフラスコ内で100mLの水性成分に添加した。上記水性成分を約80%の体積まで添加し、次いでこれを超音波処理して、全ての固体を溶解させた。このフラスコ内の全混合物を、適切な体積まで上記水性成分で希釈し、そしてこれを、反転プロセスにより混合した。この完全な製剤を、0.2μmのPTFEフィルターで濾過した。
【0019】
製剤11による製剤を、200μgのRTX、20mgのポリソルベート80(市販のTween(C)80を使用);5.4mgの塩化ナトリウム、50mgのデキストロース、および30mMの水性リン酸緩衝液、1mLになる量の水(WFI)を使用して調製した。
【0020】
実施例2: 溶解度の比較
実施例1に記載される製剤とは無関係に、12種類の界面活性剤の群を試験して、周囲および冷所(5℃)での貯蔵後のサンプルのHPLC分析に基づいて、RTXの回収率を比較した。表2は、試験した様々な溶媒についての回収の百分率を示す:
【表2】
【0021】
この研究は、水への不溶性を示した。さらに、水性界面活性剤溶液のいずれも、エタノール(98.4%の周囲での回収、および99.8%の低温での回収を報告した)に迫る回収を示さなかった。次に近い回収の百分率は、ドデシル硫酸ナトリウム溶液についてのほんの24.0%、および0.5%のTween 80についてのほんの20.2%であった。実施例2は、非アルコール性溶媒中で、RTXの水溶性を達成することが困難であることを実証する。多くの一般的な溶媒は、使用可能な溶液を提供しない。実施例2は、RTXが未変性水溶液中に不溶であることを、さらに実証する。
【0022】
実施例3: RTX溶液の純度および効力
表1の製剤1~10をまた、RTXの純度および効力を測定するために試験した。これらの測定は、溶液中でのRTXの安定性の指標を提供し、試験したアリコートを取り出した場合、RTXが、溶液中に残ることを実証する。これらの試験を、この溶液の調製の最初の時間、次いでその後、溶液の調製後の一定期間において、行った。製剤1~10(上記)を実施例3において研究した。
【0023】
純度、効力、および関連する物質の試験のために、およそ2mLの各製剤を、0.2μm、13mmのPTFEフィルターで濾過し、そして最初のおよそ1mLを廃棄した。下記のように、未濾過のサンプルもまた分析した。全てのサンプルを、50μLの注入体積でのHPLCにより分析した。表3.1は、濾過ありおよびなしでの、純度および効力の結果を示す。
【表3.1】
【0024】
さらなる分析において、100μLの各製剤を、脳脊髄液(CSF)中に1:10に希釈し、そして外観、効力、純度、および関連物質について試験した。全ての溶液は、希釈後に見掛け上透明なままであった。これらのサンプルを、0.2μm、13mmのPTFEフィルターで濾過し、最初の800μLを廃棄した。全てのサンプルを、50μLの注入体積で分析した。それらの結果を表3.2に示す:
【表3.2】
【0025】
この研究は、高い純度および効力を示した。一般に、高い効力値(例えば、100%を超える値)は、低濃度のCSF濾過サンプルについてのフィルター適合性問題を反映すると考えられる。
【0026】
実施例4: 経時的なRTX安定性
さらなる研究において、上記サンプルを貯蔵し、そして貯蔵中の0.5か月後および1か月後に分析した。0.5か月後および1か月後の効力についての結果を、表4.1および4.2に掲載する。
【表4.1】
【表4.2】
【0027】
表4.1のデータは、製剤1と製剤7;製剤2と製剤8;製剤5と製剤6;および製剤9と製剤10の比較によりみられ得るように、マンニトールを含有する製剤が、デキストロースを含有する製剤よりも一貫して、pHを維持することを示す。
【0028】
さらに、表4.1の結果は、-20℃での最良の貯蔵が、製剤1および3によって達成されたことを示す。5℃では、製剤4以外の全ての製剤が、90%効力より良好な結果を与え、製剤3が最高の効力を与えた。25℃/60% RHについては、製剤3および5が、最良の効力を与えた。40℃/75% RHについては、製剤5が、最良の効力を与えた。60℃については、製剤1および5が、最良の効力を与えた。
【0029】
純度もまた、0.5か月後および1か月後に試験した。これらの結果を表4.3および4.4に示す。
【表4.3】
【表4.4】
【0030】
表4.3の結果は、-20℃で、全ての製剤が、t=0のデータに匹敵する純度を示したことを実証する。5℃では、製剤2、3、8、および9が最良の純度の結果を示し、他の製剤は、純度の0.2~0.9%の低下を示した。25℃/60% RHについては、製剤3および5が最良の応答を示し、純度の約4%の低下であった。表4.4は、特定の製剤について1か月後に測定された、対応する結果を示す。
【0031】
実施例5: pH安定性
製剤1~10をまた、調製時(t=0)ならびに0.5か月後および1か月後のこれらのpHを決定するために試験した。これらの結果を表5.1および5.2に示す。
【表5.1】
【表5.2】
【0032】
上記表5.1および5.2により示されるように、これらの製剤は、経時的にpHの良好な安定性を示した。特に、表5.2に関して、40℃に等しいかまたはそれ未満で貯蔵されたサンプルは、pHの有意な変化を示さなかった。60℃で貯蔵された製剤については、各製剤が、t=0.5か月の結果と比較して、pHのさらなる低下を示した。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
実施例5: pH安定性
製剤1~10をまた、調製時(t=0)ならびに0.5か月後および1か月後のこれらのpHを決定するために試験した。これらの結果を表5.1および5.2に示す。
【表5.1】
【表5.2】
【外国語明細書】