(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176470
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082925
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
(72)【発明者】
【氏名】出口 誠
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA02
4D037AB03
4D037AB18
4D037BA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理効率の向上と、保護管を介した液体の漏れの抑制とを図ることができる液体処理装置を提供する。
【解決手段】液体処理装置は、下側に設けられた底板104aと、上側に設けられた天井板104bを有し、液体が供給される空間を内部に有する容器104;天井板と、底板との間を延び、上側の端部が天井板から突出する保護管101;保護管の内部に設けられ、天井板と底板との間を延び、紫外線を照射する放電ランプ1;管状で、底板に設けられ、容器の内部に連通する供給部107;管状で、天井板に設けられ、容器の内部に連通する排出部108を備える。排出部は、一方の端部が容器の側方に延びる屈曲した形態を有する。保護管の上側の端部は、排出部の最上端よりも上方に位置する。又は、天井板の容器の内部空間側とは反対側の面には凸部がさらに設けられ、凸部は、保護管が挿入される孔を有し、その頂面は、排出部の最上端よりも上方に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に紫外線を照射する液体処理装置であって、
下側の端部に設けられた底板と、上側の端部に設けられた天井板と、を有し、前記液体が供給される空間を内部に有する容器と;
前記天井板と、前記底板と、の間を延び、上側の端部が前記天井板から上方に突出する、少なくとも1つの保護管と;
前記保護管の内部に設けられ、前記天井板と、前記底板と、の間を延び、紫外線を照射可能な少なくとも1つの放電ランプと;
管状を呈し、前記底板に設けられ、前記容器の内部空間に連通する供給部と;
管状を呈し、前記天井板に設けられ、前記容器の内部空間に連通する排出部と;
を具備し、
前記排出部は、一方の端部側が前記容器の側方に延びる屈曲した形態を有し、
前記保護管の、前記上側の端部は、前記排出部の内部空間の最上端よりも上方に位置している、または、
前記天井板の、前記容器の内部空間側とは反対側の面には凸部がさらに設けられ、
前記凸部は、前記保護管が挿入される孔を有し、
前記凸部の頂面は、前記排出部の内部空間の最上端よりも上方に位置している液体処理装置。
【請求項2】
前記放電ランプの発光長は、前記底板と前記天井板との間の距離よりも長い請求項1記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体に紫外線を照射して、液体に含まれている有機物を除去したり、液体を殺菌したりする液体処理装置がある。紫外線による処理を行えば、熱や薬品などによる処理に比べて、処理の対象となる液体に含まれている水をほとんど変質させることがなく、また、多種類の不純物、菌、ウイルスなどの処理に対応することができる。
【0003】
そのため、紫外線を水に照射する技術は、例えば、半導体装置などの電子部品の洗浄工程、飲料水の殺菌や不純物の除去工程、商業用水(漁業用水、農業用水、食品工場用水など)の殺菌や不純物の除去工程、各種工業用水の殺菌や不純物の除去工程など、幅広い技術分野において、水を含む液体の処理に用いられている。
【0004】
紫外線を液体に照射する液体処理装置としては、筒状の容器、容器の内部を軸方向に延びる保護管、および、保護管の内部に挿入された放電ランプを有するものが提案されている。この様な液体処理装置においては、保護管と、容器の内壁との間の空間が、処理を行う液体が流れる流路となる。
【0005】
しかしながら、単に、保護管と、容器の内壁との間の空間に液体を流すと、液体が滞留する領域が生じて、処理効率が低下する場合がある。また、保護管が損傷した場合には、保護管を介して、液体が容器の外部に漏れ出すおそれがある。
そこで、処理効率の向上と、保護管を介した液体の漏れの抑制と、を図ることができる液体処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、処理効率の向上と、保護管を介した液体の漏れの抑制と、を図ることができる液体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る液体処理装置は、液体に紫外線を照射する液体処理装置である。液体処理装置は、下側の端部に設けられた底板と、上側の端部に設けられた天井板と、を有し、前記液体が供給される空間を内部に有する容器と;前記天井板と、前記底板と、の間を延び、上側の端部が前記天井板から上方に突出する、少なくとも1つの保護管と;前記保護管の内部に設けられ、前記天井板と、前記底板と、の間を延び、紫外線を照射可能な少なくとも1つの放電ランプと;管状を呈し、前記底板に設けられ、前記容器の内部空間に連通する供給部と;管状を呈し、前記天井板に設けられ、前記容器の内部空間に連通する排出部と;を具備している。前記排出部は、一方の端部側が前記容器の側方に延びる屈曲した形態を有している。前記保護管の、前記上側の端部は、前記排出部の内部空間の最上端よりも上方に位置している。または、前記天井板の、前記容器の内部空間側とは反対側の面には凸部がさらに設けられ、前記凸部は、前記保護管が挿入される孔を有し、前記凸部の頂面は、前記排出部の内部空間の最上端よりも上方に位置している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、処理効率の向上と、保護管を介した液体の漏れの抑制と、を図ることができる液体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る液体処理装置を例示するための模式断面図である。
【
図2】比較例に係る液体処理装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る液体処理装置100を例示するための模式断面図である。 なお、
図1中の「上」は、重力方向上側を表している。「下」は、重力方向下側を表している。
液体処理装置100は、処理の対象となる液体300に紫外線を照射する。液体300は、例えば、水を含む液体とすることができる。
【0013】
図1に示すように、液体処理装置100は、例えば、放電ランプ1、保護管101、蓋102、シール部材103、容器104、ホルダ105、シール部材106、供給部107、および排出部108を有する。
【0014】
まず、放電ランプ1について例示をする。
放電ランプ1は、紫外線を照射する放電ランプである。放電ランプ1は、例えば、低圧水銀ランプやバリア放電ランプなどとすることができる。低圧水銀ランプは、ピーク波長が254nmの紫外線を照射するランプとしたり、ピーク波長が185nm及び254nmの紫外線を照射するランプとしたりすることができる。また、バリア放電ランプ1は、例えば、ピーク波長が172nmの紫外線を照射するキセノンエキシマランプ等とすることもできる。
【0015】
放電ランプ1は、少なくとも1つ設けることができる。
図1に例示をした液体処理装置100には、複数の放電ランプ1が設けられている。放電ランプ1は、保護管101の内部に設けられ、容器104の天井板104bと、底板104aと、の間を延びている。
【0016】
以下においては、一例として、放電ランプ1が、低圧水銀ランプである場合を説明する。
放電ランプ1は、例えば、発光管2、導電部3、内部電極4、ホルダ5、リード線6、およびリード線7を有する。
放電ランプ1の発光管2は、筒状を呈し、管径に比べて全長(管軸方向の長さ)が長い形態を有する。発光管2は、例えば、円筒管とすることができる。発光管2の外径は、例えば、10mm以上、25mm以下とすることができる。発光管2の肉厚は、例えば、1mm程度とすることができる。
【0017】
発光管2の長さは、液体処理装置100の仕様などに応じて適宜変更することができる。例えば、放電ランプ1の発光長は、後述する容器104の底板104aと天井板104bとの間の距離よりも長くすることが好ましい。
【0018】
発光管2の、管軸方向における両側の端部のそれぞれには、封止部2aが設けられている。封止部2aを設けることで、発光管2の内部空間を気密に封止することができる。封止部2aは、例えば、ピンチシール法やシュリンクシール法を用いて形成することができる。
【0019】
発光管2の外面には、突起部を設けることができる。突起部は、放電ランプ1を製造する際に、発光管2の内部空間を排気したり、発光管2の内部空間に後述するガスを導入したりするために設けられる。突起部は、例えば、排気およびガスの導入後に、石英ガラスや合成石英ガラスから形成された管を焼き切ることで形成される。
【0020】
発光管2の内部空間には、アルゴンガスなどの希ガスと水銀が封入されている。発光管2の内部空間に封入するガスは、放電ランプ1の用途に応じて適宜変更することができる。発光管2の内部空間に封入するガスは、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどの希ガス、あるいは、複数種類の希ガスを混合させた混合ガスとすることもできる。ガスには、必要に応じて、ハロゲンガスなどを含めることもできる。
【0021】
発光管2の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、例えば、1.3kPa~200kPa程度である。発光管2の内部空間の25℃におけるガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
【0022】
発光管2の内部空間において発生した紫外線は、発光管2を介して外部に照射される。
発光管2は、紫外線を透過する材料から形成される。発光管2の材料は、例えば、石英ガラスや、合成石英ガラスとすることができる。
【0023】
導電部3は、封止部2aの内部に設けられている。導電部3は、1つの封止部2aに対して1つ設けることができる。導電部3の平面形状は四角形とすることができる。導電部3は、薄膜状を呈している。導電部3は、例えば、モリブデン箔から形成することができる。
【0024】
発光管2の内部の両端には、内部電極4が設けられている。内部電極4は、互いに対峙させて、一対設けられる。内部電極4は、発光管2の、管軸方向における両端に1つずつ設けられる。
【0025】
ホルダ5は、筒状を呈し、一方の端部側が封止部2aの内部に設けられ、他方の端部側が封止部2aから露出している。ホルダ5は、1つの封止部2aに対して1つ設けることができる。ホルダ5は、例えば、樹脂や、セラミックスなどの無機材料から形成される。
【0026】
リード線6は、少なくとも一方のホルダ5に設けられる。リード線6の一方の端部は、ホルダ5の内部を通り、封止部2aの内部において導電部3に電気的に接続されている。リード線6とホルダ5との間の隙間は、封止材により封止されている。リード線6の他方の端部は、ホルダ5から露出している。リード線6の他方の端部には、圧着端子やコネクタなどを接続することができる。
【0027】
リード線7の一方の端部は、内部電極7に電気的に接続されている。リード線7の他方の端部には、圧着端子やコネクタなどを接続することができる。
リード線6とリード線7は、例えば、高周波電源などに電気的に接続される。高周波電源は、例えば、正弦波を発生させる電源や、パルス電源などである。
【0028】
電源により、リード線6とリード線7に電圧を印加すると、一対の内部電極4の間に放電が発生する。発光管2の内部空間において放電が発生すると、内部空間に含まれている水銀から、ピーク波長が185nm及び254nmの紫外線が放射される。
【0029】
この場合、例えば、発光管2の材料は、水銀から放射されるピーク波長が185nm及び254nmの紫外線を透過するガラスとすることができる。この様にすれば、放電ランプ1は、ピーク波長が185nm及び254nmの紫外線を照射する放電ランプとなる。
また、例えば、発光管2の材料は、水銀から放射されるピーク波長が185nmの紫外線を吸収し、ピーク波長が254nmの紫外線を透過するガラスとすることもできる。この様にすれば、放電ランプ1は、ピーク波長が254nmの紫外線を照射する放電ランプ1となる。
【0030】
なお、一例として、一対の内部電極4の間で放電を発生させる放電ランプ1を説明したが、これに限定されるわけではない。前述したように、光源は、紫外線を照射する放電ランプであればよい。例えば、光源は、発光管を介して、発光管の内部空間に放電を発生させるバリア放電ランプとすることもできる。
【0031】
次に、
図1に戻って、液体処理装置100に設けられた他の要素について説明する。
放電ランプ1は、液体300の中に直接設けることができない。そのため、
図1に示すように、放電ランプ1は保護管101の内部に収納される。
【0032】
保護管101は、筒状を呈し、管径に比べて全長(管軸方向の長さ)が長い形態を有する。保護管101は、例えば、円筒管とすることができる。保護管101の一方の端部は塞がれ、他方の端部は開口している。保護管101の開口側の端部にはフランジ101aを設けることができる。
保護管101は、天井板104bと、底板104aと、の間を延び、上側の端部(開口側の端部)が天井板104bから上方に突出している。
【0033】
保護管101の内部空間には、少なくとも1つの放電ランプ1が収納される。
図1に例示をした液体処理装置100の場合には、保護管101の内部空間に1つの放電ランプ1が収納されている。保護管101の内部空間に1つの放電ランプ1が収納される場合には、放電ランプ1は、保護管101と略同芯となるように設けることができる。保護管101の寸法は、収納される放電ランプ1(発光管2)の寸法や数に応じて適宜変更することができる。
【0034】
保護管101は、容器104の内部空間に設けられる。
図1に示すように、容器104の内部空間は、液体300が流通する流路となる。そのため、放電ランプ1が設けられた保護管101を容器104の内部空間に設ければ、放電ランプ1が、液体300の流路に設けられることになる。
【0035】
この場合、前述したように、放電ランプ1の発光長は、容器104の底板104aと天井板104bとの間の距離よりも長くする。この様にすれば、容器104の中心軸方向において、容器104の内部空間の全域に、放電ランプ1の発光部分が設けられる。そのため、容器104の内部空間の全域において、液体300に紫外線を照射することができるので処理効率を向上させることができる。
【0036】
放電ランプ1において発生した紫外線は、保護管101を介して液体300に照射される。そのため、保護管101は、紫外線の透過率が高い材料から形成される。例えば、前述した発光管2の場合と同様に、保護管101は、石英ガラスや、合成石英ガラスなどのSiO2を含む材料から形成される。
【0037】
放電ランプ1から液体300に紫外線が照射されると、紫外線により、液体300に含まれている菌やウイルスの、殺菌や不活性化が行われる。
【0038】
蓋102は、保護管101の開口を塞いでいる。例えば、蓋102は、保護管101のフランジ101aに取り付けることができる。蓋102には厚み方向を貫通する孔が設けられている。放電ランプ1に設けられた一対の内部電極4のそれぞれに電気的に接続されたリード線6とリード線7は、蓋102に設けられた孔を介して外部に引き出されている。リード線6と孔の内壁との間の隙間、リード線7と孔の内壁との間の隙間は、封止材により封止されている。蓋102は、例えば、ステンレスなどの金属や、フッ素樹脂などの樹脂から形成することができる。
【0039】
シール部材103は、蓋102と、保護管101(フランジ101a)との間に設けられている。シール部材103は、例えば、Oリングなどとすることができる。蓋102とシール部材103を保護管101に取り付けることで、保護管101の内部空間が気密となるように封止される。
【0040】
ここで、保護管101の内部空間に酸素があると、放電ランプ1から照射された紫外線が減衰するおそれがある。そのため、蓋102とシール部材103により封止された保護管101の内部空間には、窒素ガスや不活性ガスを封入することもできる。
【0041】
容器104は、筒状を呈し、断面寸法(中心軸に直交する方向の長さ)に比べて全長(中心軸方向の長さ)が長い形態を有する。容器104は、例えば、円筒管とすることができる。容器104は、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0042】
容器104の下側の開口は、底板104aにより塞がれている。底板104aと容器104は、例えば、溶接などにより液密に接合することができる。また、例えば、容器104にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに底板104aをネジ止めなどすることもできる。底板104aは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0043】
底板104aには、厚み方向を貫通する孔104a1を設けることができる。例えば、孔104a1は、底板104aの中央に設けることができる。例えば、孔104a1は、液体300の供給口となる。
【0044】
また、底板104aには、厚み方向を貫通する孔104a2を設けることができる。孔104a2の内部には、保護管101の、フランジ101aが設けられた側とは反対側の端部の近傍が設けられる。そのため、孔104a2の数は、保護管101の数と同じとすることができる。
【0045】
容器104の上側の開口は、天井板104bにより塞がれている。天井板104bと容器104は、例えば、溶接などにより液密に接合することができる。また、例えば、容器104にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに天井板104bをネジ止めなどすることもできる。天井板104bは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0046】
天井板104bには、厚み方向を貫通する孔104b1を設けることができる。例えば、孔104b1は、天井板104bの中央に設けることができる。例えば、孔104b1は、処理が施された液体300aの排出口となる。
【0047】
また、天井板104bには、厚み方向を貫通する孔104b2を設けることができる。孔104b2の内部には、保護管101の、フランジ101aが設けられた側の端部の近傍が設けられる。そのため、孔104b2の数は、保護管101の数と同じとすることができる。また、容器104の中心軸に沿った方向から見て、孔104b2は、孔104a2と重なる位置に設けることができる。
以上に説明したように、容器104は、下側の端部に設けられた底板04aと、上側の端部に設けられた天井板104bと、を有し、液体300が供給される空間を内部に有する。
【0048】
ホルダ105は、板状を呈し、例えば、1つの保護管101に対して一対設けることができる。例えば、一方のホルダ105は、保護管101の、フランジ101a側の端部の近傍を保持する。一方のホルダ105は、例えば、シール部材106を介して、天井板104bに取り付けられている。例えば、他方のホルダ105は、保護管101の、フランジ101a側とは反対側の端部の近傍を保持する。他方のホルダ105は、例えば、シール部材106を介して、底板104aに取り付けられている。
【0049】
シール部材106は、環状を呈し、保護管101が挿入される。シール部材106は、例えば、Oリングなどとすることができる。シール部材106は、保護管101と、底板104aの孔104a2の内壁との間の隙間を液密となるように封止する。シール部材106は、保護管101と、天井板104bの孔104b2の内壁との間の隙間を液密となるように封止する。
【0050】
供給部107は、管状を呈し、底板104aに設けられ、容器104の内部空間に連通している。例えば、供給部107は、一方の端部が、底板104aに液密となるように接続されている。供給部107の内部空間は、底板104aの孔104a2を介して、容器104の内部空間とつながっている。供給部107の内部空間は、液体300の供給流路となる。供給部107の他方の端部側は、容器104の中心軸に交差する方向に延びている。供給部107は、例えば、L字状に屈曲した形態を有する。供給部107の他方の端部には、例えば、液体300を供給する供給装置などを接続することができる。
【0051】
排出部108は、管状を呈し、天井板104bに設けられ、容器104の内部空間に連通している。排出部108は、一方の端部側が容器104の側方に延びる屈曲した形態を有している。排出部108は、例えば、L字状に屈曲した形態を有する。排出部108の一方の端部には、例えば、処理が施された液体300aを収納するタンクや、液体300aを用いる洗浄装置などを接続することができる。例えば、排出部108の他方の端部は、天井板104bに液密となるように接続されている。排出部108の内部空間は、天井板104bの孔104b2を介して、容器104の内部空間とつながっている。排出部108の内部空間は、処理が施された液体300aの排出流路となる。
【0052】
図2は、比較例に係る液体処理装置200を例示するための模式断面図である。
なお、
図2中の「上」は、重力方向上側を表している。「下」は、重力方向下側を表している。
図2に示すように、液体処理装置200は、例えば、放電ランプ1、保護管101、蓋102、シール部材103、容器204、ホルダ105、シール部材106、供給部207、および排出部208を有する。
【0053】
容器204は、筒状を呈し、断面寸法(中心軸に直交する方向の長さ)に比べて全長(中心軸方向の長さ)が長い形態を有する。容器204は、例えば、円筒管である。容器204は、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0054】
容器204の下側の開口は、底板204aにより塞がれている。底板204aと容器204は、例えば、溶接などにより液密に接合することができる。また、例えば、容器204にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに底板204aをネジ止めなどすることもできる。底板204aは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成される。
【0055】
また、底板204aには、厚み方向を貫通する孔204a2を設けることができる。孔204a2の内部には、保護管101の、フランジ101aが設けられた側とは反対側の端部の近傍が設けられる。そのため、孔204a2の数は、保護管101の数と同じとすることができる。
【0056】
容器204の上側の開口は、天井板204bにより塞がれている。天井板204bと容器204は、例えば、溶接などにより液密に接合することができる。また、例えば、容器204にフランジを設け、パッキンなどを介して、フランジに天井板204bをネジ止めなどすることもできる。天井板204bは、板状を呈し、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。
【0057】
また、天井板204bには、厚み方向を貫通する孔204b2を設けることができる。孔204b2の内部には、保護管101の、フランジ101aが設けられた側の端部の近傍が設けられる。そのため、孔204b2の数は、保護管101の数と同じとすることができる。また、容器204の中心軸に沿った方向から見て、孔204b2は、孔204a2と重なる位置に設けることができる。
【0058】
供給部207は、管状を呈し、一方の端部が、容器204の側面に液密となるように接続されている。供給部207の内部空間は、容器204の内部空間とつながっている。供給部207の内部空間は、液体300の供給流路となる。供給部207は、容器204の中心軸に交差する方向に延びている。供給部207の他方の端部には、例えば、液体300を供給する供給装置などを接続することができる。
【0059】
排出部208は、管状を呈し、一方の端部が、容器204の側面に液密となるように接続されている。排出部208の内部空間は、容器204の内部空間とつながっている。排出部208の内部空間は、処理が施された液体300aの排出流路となる。排出部208は、容器204の中心軸に交差する方向に延びている。排出部208の他方の端部には、例えば、処理が施された液体300aを収納するタンクや、液体300aを用いる洗浄装置などを接続することができる。
【0060】
図4に示すように、供給部207と排出部208は、容器204の中心軸方向に並べて設けられている。例えば、供給部207は、容器204の下端側であって、底板204aから上方に離隔した位置に設けられている。例えば、排出部208は、容器204の上端側であって、天井板204bから下方に離隔した位置に設けられている。
【0061】
供給部207を介して容器204の内部空間に供給された液体300は、容器204の内部空間を放電ランプ1に沿って上側に流れる。この際、放電ランプ1から照射された紫外線により、液体300に処理が施される。処理が施された液体300aは、排出部208を介して外部に排出される。
【0062】
ところが、供給部207は、容器204の下端側であって、底板204aから上方に離隔した位置に設けられている。そのため、容器204の中心軸方向において、容器204の内部空間に、供給部207よりも下方に位置する領域Cが形成される。領域Cの上方に位置する供給部207から容器204の内部空間に供給された液体300は、容器204の内部空間を上側に流れるので、供給部207よりも下方に位置する領域Cにある液体300が滞留し易くなる。
【0063】
また、排出部208は、容器204の上端側であって、天井板204bから下方に離隔した位置に設けられている。そのため、容器204の中心軸方向において、容器204の内部空間に、排出部208よりも上方に位置する領域Dが形成される。容器204の内部空間を上側に流れた液体300aは、領域Dの下方に位置する排出部208から外部に排出される。
【0064】
この際、領域Dにある液体300aが、容器204の内部空間を上側に流れる液体300aに押されるので、領域Dにある液体300aが滞留し易くなる。
領域Cにある液体300が滞留したり、領域Dにある液体300aが滞留したりすれば、処理効率が低下することになる。
【0065】
またさらに、容器204の内部空間を上側に流れる液体300aの一部が天井板204bに当たると、天井板204bに当たった液体300aが天井板204bの面に沿って流れる。天井板204bからは保護管101が突出しているので、天井板204bの面に沿って流れる液体300aにより、保護管101に剪断応力や曲げ応力が発生する。
【0066】
また、領域Dにある液体300aが、容器204の内部空間を上側に流れる液体300aに押されるので、領域Dにある液体300aの圧力が高くなる。領域Dには、保護管101の一部が設けられているので、保護管101に加わる圧力が高くなる。
【0067】
保護管101に剪断応力や曲げ応力が発生したり、液体300aに加わる圧力が高くなったりすると、保護管101が破損し易くなる。
【0068】
これに対し、本実施の形態に係る液体処理装置100においては、供給部107が底板104aに接続されている。そのため、容器104の内部空間に、供給部107よりも下方に位置する領域が形成されない。また、排出部108が天井板104bに接続されている。そのため、容器104の内部空間に、排出部108よりも上方に位置する領域が形成されない。
その結果、容器104の内部空間に、液体300が滞留する領域が形成されるのを抑制することができるので、処理効率の向上を図ることができる。
【0069】
またさらに、天井板104bの面に沿って流れる液体300aの量を減らしたり、天井板104bの近傍にある液体300aの圧力が上昇するのを抑制することができる。
そのため、保護管101に発生する剪断応力や曲げ応力を小さくしたり、液体300aに加わる圧力を小さくしたりすることができる。その結果、保護管101が破損するのを抑制することができる。
【0070】
ここで、仮に、保護管101の、容器104の内部空間に設けられた部分が破損したとすると、保護管101の内部に液体300aが侵入する。保護管101の内部に侵入した液体300aは、保護管101の、フランジ101a側の端部(開口端)から外部に流出するおそれがある。
【0071】
本実施の形態に係る液体処理装置100においては、
図1に示すように、保護管101の、上側の端部(開口端)が、排出部108の内部空間の最上端よりも上方に位置している。そのため、保護管101の内部に液体300aが侵入したとしても、液体300aが、保護管101の、上側の端部(開口端)から外部に流出するのを抑制することができる。
【0072】
また、
図1においては、板状の天井板104bを例示したが、天井板104bの、容器104の内部空間側とは反対側の面に凸部を設け、凸部に保護管101を挿入する孔を設けることもできる。この様な場合には、凸部の頂面が、排出部108の内部空間の最上端よりも上方に位置するようにすれば、保護管101の内部に侵入した液体300aが外部に流出するのを抑制することができる。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 放電ランプ、100 液体処理装置、101 保護管、104 容器、107 供給部、108 排出部、300 液体、300a 液体