(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176504
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】道具を中空にて保持する道具立て
(51)【国際特許分類】
B43K 23/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B43K23/00 200T
B43K23/00 200E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082975
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】518353348
【氏名又は名称】竹内 常雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 常雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】道具立ての代表として、ペン立てを例に挙げて説明する。従来のペン立ては、多くのペンを入れると、ペンの後ろにペンが隠れてしまい、一覧性に欠けていた。ペン立ての決まった位置に道具を置くことができない。そして、底を利用してペンを保持するため、インクや芯のカスで汚れて埃も溜まる。地震等でペン立てが倒れた際、ペンが転がり落ち壊れてしまったり、誰かが踏んで怪我をしてしまう危険がある。短い鉛筆のようなペン立ての高さより低い道具は、中に落ちてしまうため使いづらい等の問題がある。
【解決手段】道具を浮かせて保持するための保持具7を有する道具立てとする。
【効果】道具立ての中の道具の位置が変わらず一覧性があり、倒れても道具が容易に外に飛び出さないため安全性が高く、底を必要としないため、道具立ての中を清潔に保つことができる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道具(2)を中空で固定して保持する道具立てであり、本願発明の構造は道具(2)を保持する役割の保持具(7)とそれを支えるための板(8)から成り、保持具(7)は道具(2)を挟み込んだり、下や横から支えられるものであれば、どのようなものを用いてもよく、代表的にはバネ(11)、網(12)、突起(13)、線状や帯状の材料を様々な方向に張り巡らしたもの(14)、いくつもの線状や帯状の物質が不規則に編み込まれたり、折り重なったような綿状や麺状のものの塊(15)等が使用でき、保持具(7)は一種類だけでなく様々な種類を同時に使ってもよく、層を成して構成してもよく、板(8)は保持具(7)を支え本願発明を置くための土台となる役割を果たし、保持具(7)と板(8)は使用に問題ない強度で接合されているが、保持具(7)は取り外し式として交換できるようにしてもよく、保持具(7)によって中空に道具(2)を保持するので、底(5)は無くとも道具(2)を中空で保持できるが、はめ込み式や可動式の底(19)(20)を設けてもよく、道具(2)は本願発明の道具立てに入れると中空の浅い位置で個々にあるいは複数の道具(2)をまとめて保持されるため、浅い道具立てとしてもよく、上からだけでなく様々な方向にて道具(2)を保持することができるため、隙間を利用するような縦長の道具立てとした場合でも縦に道具(2)を並べることができ、複雑なデザインの道具立てとしても、道具(2)を並べることができ、板(8)の内側の使用されない空間を使って他の道具(2)を保持したり、他の機能を持つものを装着してもよく、本願発明の道具立ては倒しても、どのように動かしても道具(2)が飛び出さないので板(8)の外側にも他の道具(2)を保持したり、他の機能を持つものを装着してもよいことを特徴とする道具立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はペン立てや工具入れ等の道具(2)を立てて入れることのできる道具立てであり、従来のように側面の板(8)と底(5)の2点で道具(2)を保持せず、道具(2)を保持具(7)で浮かせて保持するため、道具立ての中の道具(2)の位置が変わらず一覧性があり、倒れても道具(2)が容易に外に飛び出さないため安全性が高く、底(5)を必要としないため、道具立ての中を清潔に保てる道具立てを提供する。
【背景技術】
【0002】
道具立ての代表として、
図1のような従来のペン立て(1)を例に挙げて説明する。
図1のような従来のペン立て(1)に代表されるような道具立ては、道具(2)であるペン(2)を外周の板(4)と底(5)の2点で保持している。また、外周の板(4)と底(5)にて保持しない道具立てもある。特許文献1がその例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道具立ての代表として、ペン立て(1)を例に挙げて説明する。
図1のような従来のペン立て(1)は、ペン立て(1)上の決まった位置に道具(2)を置き続けることができないし、多くのペン(2)を入れると、ペン(2)の後ろにペン(2)が隠れてしまい、一覧性に欠けていた。(課題1)そして、底(5)にペン(2)等がくっ付くためインクや芯のカスで汚れ、空気中のホコリも溜まり易い構造である。(課題2)地震等でペン立て(1)が倒れた際、ペン(2)が転がり落ち、壊れてしまったり、誰かが踏んで怪我をしてしまう危険がある。特許文献1においても、同様に正面方向に倒してしまうと、ペン(2)等の道具(2)が転がり落ちる恐れがある。(課題3)キャップを無くしたペン(2)やシャープペン(2)を入れると、それらの芯に長期間不要な力がかかり続ける(課題4)短い鉛筆(3)のようなペン立て(1)の高さより低いペン(2)や道具(2)は、中に落ちてしまうため、使いづらい(課題5)等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の道具を中空にて保持する道具立ての仕組みを利用したペン立て(6)は、
図2のように中にバネ(11)等の保持具(7)が入っている。左の図は保持具(7)としてバネ(11)を使用した例で、真ん中の図がその断面図である。右の図は突起(13)を使用した例である。これにより、入れたペン(2)を個々にあるいは複数のペン(2)等をまとめて保持するようになっている。このため決まった場所に決まったペン(2)を保持することができ、一覧性もあるため課題1は解決できる。ペン(2)は保持具(7)により中空に保持される。そのため底(5)が不要であり、底(5)を外すことができる。底(5)がないのでインクや芯のカスで汚れることもなく、埃が溜まることもなく、掃除の際はペン立てを持ち上げて雑巾で一拭きすれば良い。従来のようにペン立て(1)のペン(2)を全部出してからペン立て(1)を拭くという手間は解消される。よって課題2は解決できる。ペン立て(6)が倒れてしまっても、保持具(7)がペン(2)を保持するため、ペン(2)はペン立てから離れない。従って、誰かが踏んでしまう危険もなく課題3は解決できる。ペン(2)は保持具(7)により空中に浮くような形で保持されるため、保持していても芯に圧力がかからない。これにより課題4は解決できる。短い鉛筆(3)のようなペン立て(6)の高さより低いペン(2)や道具(2)であっても、保持具(7)により中空で保持するので、それらは常にペン立て(6)の外に一部が出ている状態となる。ペン(2)や道具(2)はペン立て(6)の上からきちんと見える形で収納でき、これにより課題5は解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】上の層の保持具を下の部品で支えるようにしたペン立ての例
【
図8】本願発明によるはめ込み式の底と可動して蓋のように開け閉めできる底を持つペン立ての例
【
図10】本願発明による上と正面からペンが保持できるペン立ての例
【
図11】本願発明による狭い場所や隙間にペン等を保持するペン立ての例
【
図12】本願発明によるインテリア性の高い複雑な形のペン立ての例
【
図14】本願発明による中央部分に別の道具が入れられるペン立ての例
【
図15】本願発明による中央部分に鉛筆削りを収納した鉛筆立ての例
【
図16】本願発明によるデジタルスケールを側面に追加したペン立ての例
【発明を実施するための形態】
【0007】
道具立ての代表として、ペン立て(6)を例に挙げて説明する。本願発明の構造は、
図2のように道具(2)を保持するための保持具(7)とそれを支えるための板(8)から成る。左の図は保持具(7)としてバネ(11)を使用した例で、真ん中の図がその断面図である。右の図は突起(13)を使用した例である。
【0008】
保持具(7)は
図3のようなバネ(11)、網(12)、突起(13)、線状や帯状の材料を様々な方向に張り巡らしたもの(14)、いくつもの線状や帯状の物質が不規則に編み込まれたり、折り重なったような綿状や麺状のものの塊(15)等道具(2)を挟み込んだり、下や横から支えられるもので構成される。道具(2)を挟み込んだり、下や横から支えられるものであれば、どのようなものを用いても良い。そのように保持できるものならばどのようなものでも保持具(7)となる。保持具(7)は道具(2)を固定する役割を果たす。保持具(7)が空中で道具(2)を保持するには2種類のやり方がある。1つは
図4の左の図のように道具(2)の両側から挟んで固定する方法。もう1つは
図4の右の図のように複数の線状や帯状の物質で道具(2)を下や横から支える方法である。この2種類を併用しても良い。
【0009】
道具(2)の両側から挟んで固定する場合、道具(2)を道具挿入方向(9)から保持具(7)の間に差し込むと保持具(7)が横に広がる。同時に保持具(7)の復元力により元に戻ろうとする力が働き、その力が道具(2)を保持する力となる。
【0010】
複数の線状や帯状の物質で道具(2)を支える場合、道具(2)を道具挿入方向(9)から保持具(7)に差し込むと、その線状や帯状の物質は引っ張られて張力が働く。
【0011】
道具(2)を両側から挟んで固定する方法ならば、道具(2)の位置や方向も固定される。そのため、ペン立て(6)を逆さにしても、振ってみても場所は変わらず道具(2)が落ちることはない。複数の線状や帯状の物質で道具(2)を下から支える方法は、線状や帯状の物質の数や密度を考えて配置しないと下から支えているだけとなり、ペン立て(6)を逆さにしたり振ったりしたら道具(2)が落ちる。そのため位置や方向を固定し出来るだけ横から支える別の保持具(7)が必要となる。
図4の右の図で説明すると、線(16)が下から支えており、線(17)が道具(2)の位置や方向を固定し、横から支えている。このようにいくつかの保持具(7)で支える必要がある。ペン立て(6)の中に線状や帯状の材料を様々な方向に張り巡らしたもの(14)や、網(12)を複数重ねたり、いくつもの線状や帯状の物質が不規則に編み込まれたり、折り重なったような綿状や麺状のものの塊(15)等の中に道具(2)を刺すこと等のしくみで実現する。
想定される保持すべき道具(2)の種類、形状、幅、長さ、重さ等の範囲を想定して、保持具(7)の種類や材質、形等を決定する。その想定される保持すべき道具(2)を本願発明への道具挿入方向(9)から挿入した際の大きさ、太さを確認し、保持具(7)がバネ(11)や突起(13)ならば道具(2)を挟み込む部分の幅や間隔、網(12)ならば穴の大きさ、線状や帯状の材料を様々な方向に張り巡らしたもの(14)、いくつもの線状や帯状の物質が不規則に編み込まれたり、折り重なったような綿状や麺状のものの塊(15)等の保持具(7)ならば間隔や本数、密度等を決定する。幅や間隔や大きさが道具(2)より狭過ぎれば道具(2)が保持具(7)に入っていかないし、広過ぎれば道具(2)は保持具(7)をすり抜けてしまう。保持すべき道具(2)の重さを想定して、その保持具(7)の材質(硬さ、柔らかさ)等を勘案し、想定される保持すべき道具(2)を中空で保持し続けるために必要な復元力や張力が出せるようにする。
【0012】
道具(2)の両側から挟んで固定する場合、復元力は保持具(7)の材質(硬さ、柔らかさ)や形、太さ、長さ等により決定される。想定される保持すべき道具(2)の重さに対して保持具(7)が柔らか過ぎたり、細過ぎたり、長過ぎたならば復元力が弱くなるので、道具(2)が落ちやすくなる。道具(2)を保持具(7)に差し込むと、保持具(7)が横に広がり、同時に復元力により元に戻ろうとする力が働くが、その力が道具(2)を保持する力となる。
一時的に保持できたとしても、復元力が弱いとすでに道具(2)を保持している部分の近くに他の道具(2)を挿入した際、その動きに引っ張られて落ちることも想定される。復元力を高くしようと必要以上に硬い材質を使ったならば、道具(2)を挿入するときにすんなりと入らず余計な力をかける必要があり、最悪道具(2)に傷がついてしまうことがある。想定される保持すべき道具(2)を利用して保持具(7)のテストをし、丁度良い保持具(7)の材質(硬さ、柔らかさ)や形、太さ、長さ等を決定しておくことが好ましい。
【0013】
保持具(7)ははめ込み式等の方法で取り外しや取り替えが可能になっていても良い。その場合は使用者が自分で都合の良いように保持具(7)を調整できる。
【0014】
保持具(7)は道具(2)を挟み込んだり横や下から支えたりすることができ、道具挿入方向(9)からの道具(2)の抜き差しに支障ない形で配置されていれば、板(8)に対してどのようなものをどのような向き、形で配置しても良い。バネ(11)を例にあげると
図5のように縦に配置しても横に配置しても斜めに配置しても良い。金属製のバネ(11)を使用するならば保持する道具(2)が傷つかないようにバネ(11)にビニール等で被覆したものを使用する方が好ましい。バネ(11)だけでなく他の保持具(7)も縦、横、斜め等に配置できる。線状や帯状の物質ならば、縦横無尽に張って良い。縦線や横線のみのものでも良い。網(12)ならば、網(12)の形は四角形でも六角形でも丸型でもどのような穴の形でも良い。向きはどのような向きでも良い。
【0015】
そして、保持具(7)は
図5の一番下の図のように単独の種類を用いても、複数同時に使用しても良い。また、
図6のように層を成していても良い。道具(2)を挟み込んだり、横や下から支えられることができ、道具挿入方向(9)からの道具(2)の抜き差しに支障ない形で配置されていれば、板(8)に対してどのようなものをどのような向き、形で配置しても良い。
【0016】
保持具(7)は
図6のように層を成して構成しても良い。つまり、間隔の広い保持具(7)を道具挿入方向(9)から見て一番手前に装着し、その次の層に先ほどよりも間隔の狭い保持具(7)を装着する。必要に応じて層を増やしていく。このようにすると、一番手前の保持具(7)が道具(2)の幅よりも間隔が広くて保持できないこととなっても、次の層の保持具(7)の狭い間隔によって保持できる。道具(2)の幅が大きい場合には、もっと手前の層で保持できるため、1つの道具立てで大きさの違う幅広い道具(2)を保持することができるようになる。また、層を作ることにより、1つの道具(2)を複数の保持具(7)にて保持することとなるので、安定感が上がる。
【0017】
また、長期間使用していると、保持具(7)が経年劣化し板(8)との接合部(10)から離れている部分が下に下がることがある。こうしたことを避けるために、
図7のように下の部品(18)から上の層の保持具(7)を支えるように構成しても良い。これは、別の保持具(7)で支えても良い。
【0018】
保持具(7)の材質は、以上に記述してきたような復元力や張力が必要となることから、想定される保持すべき道具(2)に応じて金属やゴムやポリプロピレン等の樹脂等、あるいは繊維等にて製作するのが好ましい。道具(2)を中空で保持するのに必要な復元力や張力があり、道具(2)を出し入れすることで容易に壊れたりしないものであればどのようなものでも良い。金属製のバネ(11)(11)を使用するならば保持する道具(2)が傷つかないようにバネ(11)にビニール等で被覆したものを使用する方が好ましい。
【0019】
1つの製品で複数の保持具(7)を使用しても良いし、異なる幅、形、材質のものを使用しても良い。
【0020】
本願発明は
図9に示すように浅い位置で道具(2)を保持できる。そのため、従来よりも浅い道具立てを作成したり、空いた空間に他の道具(2)を保持したりと機能を付け加えることができる。
【0021】
板(8)は、
図2のように本願発明を置くための土台となり、同時に保持具(7)を支える役割を果たす。道具挿入方向(9)以外に道具(2)が飛び出さないように保持具(7)を回り込むように配置することが好ましい。保持具(7)により道具(2)は保持されるため、従来のペン立てのように道具挿入方向(9)は上方向に限定されない。
図10、
図13の例のように様々な方向が考えられる。
【0022】
道具(2)は保持具(7)により挟み込まれて空中に保持されるため、底(5)は必要ない。これにより掃除の際に非常に便利になる。このペン立て(6)の掃除は机を拭くときにペン立て(6)を少し持ち上げてその下を一緒に拭けば済む。机掃除の一環として済むのである。しかしながら、机になるべくゴミを落としたくない場合や、ペン立て(6)のデザインを気にする場合は底(5)を設けても良い。その場合、
図8のはめ込み式の底(19)か、可動して蓋のように開け閉めできる底(5)が好ましい。そうでないと掃除の際布等で中身を拭き取ろうとすると、保持具(7)が邪魔になって道具挿入方向(9)からの掃除がし難いためである。
【0023】
板(8)はある程度重量がある方が好ましい。そして、重心が下にある方が好ましい。重量があれば、道具(2)の抜き差しの際本願発明の本体が道具(2)に引っ張られることがない。そして重心が下にあると、振動などが加わっても倒れ難くなる。
板(8)の材質は、以上に記述してきたようなことから、保持具(7)を確実に固定でき、道具(2)の出し入れをすることで容易に壊れたり潰れたりすることがないようなものであれば、どのような材質でも良い。
【0024】
保持具(7)と板(8)との接合部(10)については、接合する方法は接着、溶接、はめ込み、縫い合わせ等何でも良いが、復元力や張力によって引っ張られる力や、道具(2)を刺したり抜いたりする力に耐えうる接合方法や材料を使用する。保持具(7)と板(8)を同じ材質とするのであれば、一体として成型しても良い。
【0025】
使用方法は、本願発明の道具入れの道具挿入方向(9)から道具(2)を挿入するだけである。道具(2)は保持具(7)により保持される。道具(2)を取り出す際は、そのまま抜けば良い。
【実施例0026】
図2は縦型のペン立て(6)として本願発明を使用した場合の例である。左の図は保持具(7)としてバネ(11)を使用した例で、真ん中の図がその断面図である。右の図は突起(13)を使用した例である。入れたペン(2)や鉛筆の長さに関わらず、その大部分がペン立て(6)の外に出ているため、一目で何がどこにあるか理解できる。