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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176523
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】曲がり削孔管理装置及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
E02D3/12 101
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083005
(22)【出願日】2021-05-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】堤 彩人
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB01
2D040AB03
2D040FA01
2D040FA07
(57)【要約】
【課題】曲がり削孔による浸透固化処理工法において既設埋設物との干渉の可能性を容易に判断できるようにする。
【解決手段】曲がり削孔の施工計画、施工管理及び出来形管理を、例えばCIM(Construction Information Modeling)と呼ばれる3次元モデルで実現する。管理装置30は、埋設物座標データが示す3次元座標(xd,yd,zd)による3次元画像と、削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)による3次元画像とを、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。これにより、工事関係者間においてその施工状況の閲覧や、施工に対する各種指示又は操作を視覚的に容易に実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔を行う曲がり削孔を管理する曲がり削孔管理装置であって、
入力される、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データを取得する既設埋設物座標データ取得部と、
曲がり削孔がなされた3次元座標を示す削孔実績座標データを取得する削孔実績座標データ取得部と、
取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標による画像と、取得された前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、表示画面に設定された3次元画像に表示させる表示制御部と
を備えることを特徴とする曲がり削孔管理装置。
【請求項2】
取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標に応じて計画された、曲がり削孔の削孔予定の3次元座標を示す削孔計画座標データを記憶する削孔計画座標データ取得部を備え、
前記表示制御部は、
前記削孔計画座標データが示す3次元座標による画像と、前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の曲がり削孔管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記削孔計画座標データが示す3次元座標と前記削孔実績座標データが示す3次元座標との差分が閾値を超える座標部分の画像を、当該差分が当該閾値以内の座標部分と識別可能にして、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させる
ことを特徴とする請求項2記載の曲がり削孔管理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標と取得された前記削孔実績座標データが示す3次元座標との差分に応じた、前記既設埋設物の損傷リスクに関する情報を前記表示画面に表示させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の曲がり削孔管理装置。
【請求項5】
前記既設埋設物座標データ取得部は、さらに前記既設埋設物の属性を取得し、
前記表示制御部は、取得された前記既設埋設物の属性を識別可能にして、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の曲がり削孔管理装置。
【請求項6】
前記曲がり削孔の後に行われる地盤改良施工による地盤内の地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分を特定する特定部を備え、
前記表示制御部は、特定された地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分の画像を、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の曲がり削孔管理装置。
【請求項7】
既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔を行う曲がり削孔を管理する曲がり削孔管理方法であって、
入力される、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データを取得する既設埋設物座標データ取得ステップと、
曲がり削孔の削孔予定の3次元座標を示す削孔計画座標データ及び/又は曲がり削孔がなされた3次元座標を示す削孔実績座標データを取得する削孔実績座標データ取得ステップと、
取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標による画像と、取得された前記削孔計画座標データ及び/又は前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、表示画面に設定された3次元画像に表示させる表示制御ステップと
を備えることを特徴とする曲がり削孔管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲がり削孔の施工を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
既設構造物直下の液状化対策工法として、既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔し、薬液注入によって地盤改良する工法(曲がり削孔による浸透固化処理工法)が知られている。この工法は、削孔開始位置である地表面から既設構造物直下までの斜線および曲線的なアプローチの削孔が必要となり、その削孔の軌跡に対して、地中埋設物の損傷リスクの回避や品質確保のために、高度な削孔軌跡管理が要求される。埋設物を考慮した地盤改良体の出来形管理に関する技術として、例えば特許文献1には、深層混合処理工法による地盤改良において、地盤中に存在する埋設物の3次元画像データを出来形形状の3次元画像データに重ね合わせて表示することが開示されているが、特許文献1で対象としている深層混合処理工法における削孔方向は、削孔開始位置から鉛直方向への削孔である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-111982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記曲がり削孔による浸透固化処理工法における既設構造物直下に対する曲がり削孔の従来の管理手法において、計画時には、損傷リスクのある埋設物と設計図面の複数の2次元図面を照らし合わせながら両者の干渉チェックを実施し、削孔施工時には、挿入式ジャイロ計測により計測した計測結果を基に削孔軌跡を平面、断面及び正面の2次元画像に分離させて削孔機の操作部に表示し、オペレータはこれら2次元画像から自身の脳内で3次元画像を構築し、地中の状況を想像しながら削孔方向の修正制御を行っている。
【0005】
以上のような従来手法では次のような問題が懸念される。まず第1に、オペレータは施工状況を2次元画像として把握できたとしても、例えば立体的に輻輳する配管等の埋設物に対する干渉を想像することは困難であるから、損傷リスクを排除しきれず、品質又は安全性が損なわれる恐れがある。第2に、施工管理者とオペレータとの間で地中のイメージを視覚的に共有することができないため、双方の指示又は認識に相違が生じやすい。第3に、施工時にトラブルが生じた場合、削孔中の削孔軌跡は現地にある削孔管理システムのモニターのみでしか確認できないため、計画の更新及び最適化を図るための関係者間における現況の共有に時間がかかってしまう。そして第4に、削孔軌跡の2次元画像から脳内の3次元画像への変換精度はオペレータによって異なる。
【0006】
本発明は、曲がり削孔時においてオペレータのスキルに関係なく既設埋設物との干渉の可能性を容易に判断し情報を共有し得る仕組みを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔を行う曲がり削孔を管理する曲がり削孔管理装置であって、入力される、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データを取得する既設埋設物座標データ取得部と、曲がり削孔がなされた3次元座標を示す削孔実績座標データを取得する削孔実績座標データ取得部と、取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標による画像と、取得された前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、表示画面に設定された3次元画像に表示させる表示制御部とを備えることを特徴とする曲がり削孔管理装置を提供する。
【0008】
取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標に応じて計画された、曲がり削孔の削孔予定の3次元座標を示す削孔計画座標データを記憶する削孔計画座標データ取得部を備え、前記表示制御部は、前記削孔計画座標データが示す3次元座標による画像と、前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。
【0009】
前記表示制御部は、前記削孔計画座標データが示す3次元座標と前記削孔実績座標データが示す3次元座標との差分が閾値を超える座標部分の画像を、当該差分が当該閾値以内の座標部分と識別可能にして、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。
【0010】
前記表示制御部は、取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標と取得された前記削孔実績座標データが示す3次元座標との差分に応じた、前記既設埋設物の損傷リスクに関する情報を前記表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0011】
前記既設埋設物座標データ取得部は、さらに前記既設埋設物の属性を取得し、前記表示制御部は、取得された前記既設埋設物の属性を識別可能にして、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。
【0012】
前記曲がり削孔の後に行われる地盤改良施工による地盤内の地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分を特定する特定部を備え、前記表示制御部は、特定された地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分の画像を、前記表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明は、既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔を行う曲がり削孔を管理する曲がり削孔管理方法であって、入力される、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データを取得する既設埋設物座標データ取得ステップと、曲がり削孔の削孔予定の3次元座標を示す削孔計画座標データ及び/又は曲がり削孔がなされた3次元座標を示す削孔実績座標データを取得する削孔実績座標データ取得ステップと、取得された前記既設埋設物座標データが示す3次元座標による画像と、取得された前記削孔計画座標データ及び/又は前記削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、表示画面に設定された3次元画像に表示させる表示制御ステップとを備えることを特徴とする曲がり削孔管理方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、曲がり削孔施工時において既設埋設物との干渉の可能性を視覚的に容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成の一例を示すブロック図。
図2】既設構造物直下への曲がり削孔を説明する概念図。
図3】同実施形態における管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図4】同実施形態における管理装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図5】本実施形態における曲がり削孔管理装置稼働手順を示すフローチャート。
図6】同実施形態における施工作業の一例を示すフローチャート。
図7】同実施形態における管理装置の表示制御動作の一例を示すフローチャート。
図8】同実施形態における削孔機の表示例を示す図。
図9】同実施形態におけるユーザ端末の表示例を示す図。
図10】同実施形態におけるユーザ端末の表示例と、ユーザ端末による表示の活用状況とを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の全体構成の一例を示すブロック図である。システム1は、地表から地盤に対して曲がり削孔を行う曲がり削孔システム10と、曲がり削孔の施工状況等の情報を表示するためのユーザ端末20と、曲がり削孔の施工を管理するための曲がり削孔管理装置として機能する管理装置30と、これらの曲がり削孔システム10、ユーザ端末20及び管理装置30を通信可能に接続する通信網40とを備えている。曲がり削孔システム10は、例えば図2に例示するように、地表から既設構造物S直下の地盤に対して複数の既設埋設物B(図2では4つの既設埋設物B)との干渉を避けながら曲がり削孔を行う削孔機Dと、通信装置その他の付属装置(図示略)とを含む。既設埋設物は、例えば水道管、下水管、ガス管、既設構造物の基礎杭などを含む。ユーザ端末20は、例えば曲がり削孔の現場において作業者等によって利用されるタブレット端末や、施工会社の事業所に設置されたパーソナルコンピュータや、工事の発注者によって利用されるスマートフォン等の複数の表示端末を含む。管理装置30は、例えば施工会社に設置されたサーバ装置等である。通信網40は、無線通信網及び有線通信網の少なくともいずれか一方を含む。図1では、曲がり削孔システム10及びユーザ端末20が無線通信を行い、管理装置30が有線通信を行う例を図示しているが、これに限らず、管理装置30は無線通信網で接続されていてもよい。
【0017】
本実施形態の特徴は、従来は2次元モデルで実現していた曲がり削孔の施工計画、施工管理及び出来形管理を、例えばCIM(Construction Information Modeling)と呼ばれる3次元モデルで実現することで、工事関係者(例えば工事現場の作業者、工事現場事業所の管理者、及び施工会社等)間でその施工状況の確認や、作業に対する各種指示又は共通認識を視覚的に容易に実現できるようにしたことである。
【0018】
図3は、管理装置30のハードウェア構成を示す図である。管理装置30は、物理的には、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、入力装置3005、出力装置3006及びこれらを接続するデータ通信線としてのバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。管理装置30のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0019】
管理装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、他の装置から送信されてきたデータを取得したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0020】
プロセッサ3001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ3001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ3001によって実現されてもよい。
【0021】
プロセッサ3001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ3003及び通信装置3004の少なくとも一方からメモリ3002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。管理装置30の機能ブロックは、メモリ3002に格納され、プロセッサ3001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ3001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ3001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ3001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介して管理装置30に送信されてメモリ3002やストレージ3003にインストールされてもよい。
【0022】
メモリ3002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ3002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ3002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0023】
ストレージ3003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ3003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0024】
通信装置3004は、有線又は無線の少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0025】
入力装置3005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタンなど)である。出力装置3006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置3005及び出力装置3006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0026】
管理装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ3001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0027】
図4は、管理装置30の機能構成の一例を示す図である。管理装置30によって実現される各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0028】
図4において、既設埋設物座標データ取得部31は、曲がり削孔の施工対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標(xd,yd,zd)を示す既設埋設物座標データを取得する。この既設埋設物座標データは、例えば入力装置3005に対し、オペレータの入力操作、所定の記憶媒体又は外部装置からの読み出しによって管理装置30に入力され、既設埋設物座標データ取得部31は入力された既設埋設物座標データを取得する。
【0029】
削孔実績座標データ取得部32は、曲がり削孔がなされた3次元座標(xc,yc,zc)を示す削孔実績座標データを取得する。曲がり削孔の削孔位置は、曲がり削孔システム10が実現する挿入式ジャイロ計測と呼ばれる測位技術で計測可能である。これらの削孔実績座標データは、曲がり削孔システム10から通信網40経由で管理装置30に送信されてくるので、削孔実績座標データ取得部32はこの削孔実績座標データを取得する。
【0030】
削孔計画座標データ取得部33は、既設埋設物座標データが示す3次元座標に基づき計画された、削孔予定の3次元座標(xp,yp,zp)を示す削孔計画座標データを記憶する。この削孔計画座標データは、施工会社の施工計画作成者が、既設埋設物座標データが示す3次元座標を表示した表示画面を参照するなどして既設埋設物になるべく影響を与えない削孔予定路として作成したものである。作成された削孔計画座標データは、管理装置30に対して入力装置3005によって入力され、削孔計画座標データ取得部33によって取得されて記憶される。
【0031】
特定部34は、曲がり削孔の後に行われる地盤改良の施工による地盤内の地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分を特定する。より具体的には、特定部34は、施工会社の施工計画作成者が作成した薬液注入計画データ(薬液予定注入圧、薬液予定注入量及び想定変位量等)に基づく所定のシミュレーションアルゴリズムに従って、地盤改良体の出来形予定部分を示す3次元座標(xip,yip,zip)を計算する。また、特定部34は、工事現場における薬液注入実績データ(薬液注入量実績、薬液注入圧と地表計測変位量等)に基づく所定のシミュレーションアルゴリズムに従って、地盤改良体の出来形実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)を計算する。
【0032】
表示制御部35は、既設埋設物座標データ取得部31により取得された既設埋設物座標データが示す3次元座標(xd,yd,zd)による3次元画像(以降3次元モデルともいう)と、削孔実績座標データ取得部32により取得された削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)による3次元画像とを、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させ、各データを統合管理・制御する。ここでいう3次元画像とは、工事関係者が3次元空間における各位置をイメージし得るように表示画面に仮想的に設定された3次元座標軸に基づいて表示される画像のことである。これにより、工事関係者は、3次元空間における既設埋設物の位置と曲がり削孔の実績位置とを視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0033】
また、表示制御部35は、削孔計画座標データ取得部33に記憶された削孔計画座標データが示す3次元座標(xp,yp,zp)による3次元画像と、削孔実績座標データ取得部32により取得された削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)による3次元画像とを、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。これにより、工事関係者は、3次元空間における曲がり削孔の計画位置とその実績位置とを視覚的に容易に把握し、比較することが可能となる。
【0034】
また、表示制御部35は、特定部34により特定された地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分の3次元画像を、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。これにより、工事関係者は、3次元空間における地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分を視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0035】
[作業]
次に本曲がり削孔管理装置での一連の作業について説明する。
[作業手順]
まず、図5を参照して、本曲がり削孔管理装置の取扱い手順について説明する。図5において、管理者は事前準備を行う(ステップS11)。具体的には、管理者は、ユーザ端末20及び管理装置30が動作するのに必要なプログラムをこれらにインストールする。また、管理者は曲がり削孔システム10から削孔データを管理装置30へ送信できるよう通信網40に接続させる。また、管理者は、施工対象エリアにおける削孔による損傷リスクのある既設埋設物に関する情報(既設埋設物の3次元座標データやその属性など)を収集し、3次元モデルに変換した初期立体図データを管理装置30に入力する。これにより、管理装置30の既設埋設物座標データ取得部31は、既設埋設物の3次元座標(xd,yd,zd)を示す既設埋設物座標データを取得する。この既設埋設物座標データに基づいて、後述するような管理装置30による表示制御が行われる。管理者は、曲がり削孔システム10において計測された削孔位置の座標と3次元モデルとして準備した上記初期立体図データにおける座標位置とを整合させて、上記計測結果ならびに削孔作業に伴い送信される削孔の座標データを上記初期立体図データへ反映させるための座標変換パラメータ等を準備しておく。また、管理者は、工事の関係者間でデータ共有を行うために、クラウドシステムの構築やアクセス権の設定など、管理装置30を介してデータ連携を行うための環境を整備しておく。
【0036】
次に、管理者等は、3次元モデルにおける削孔計画を作成する(ステップS12)。具体的には、管理者等は、所定の情報処理装置を用いて、既設埋設物座標データを初期立体図データに落とし込み、既設埋設物を参照しながら、曲がり削孔の削孔予定の3次元座標(xp,yp,zp)を示す削孔計画座標データを初期立体図データ上に3次元モデルとして作成し、管理装置30にアップロードする。同様にして、薬液注入計画データ(薬液注入圧、薬液予定注入量及び想定変位量等)が初期立体図データ上に3次元モデルとして作成され、管理装置30にアップロードされる。管理装置30の削孔計画座標データ取得部33はこの削孔計画座標データ及び薬液注入計画データを記憶する。また、管理装置30の特定部34はこの薬液注入計画データに基づいて、地盤改良体の出来形予定部分を示す3次元座標(xip,yip,zip)を特定する。これらの削孔計画座標データ及び地盤改良体の出来形予定部分に基づいて、後述するような管理装置30による表示制御が行われる。これにより、工事関係者は各自のユーザ端末20を用いて削孔計画座標データを初期立体図データ上で確認することができるようになる。
【0037】
次に、作業者は削孔から薬液注入、機器撤去に至るまでの地盤改良の作業を施工する。(ステップS13)。この施工そのものの手順については後述するが、曲がり削孔の削孔時に、挿入式ジャイロ計測によって計測された削孔実績の計測結果は曲がり削孔システム10から通信網40経由で管理装置30に送信される。管理装置30において削孔実績座標データ取得部32は、この計測結果を3次元モデルへと変換して削孔実績座標データとして記憶する。また、曲がり削孔の削孔時の薬液注入実績データは、曲がり削孔システム10から通信網40経由で管理装置30に送信され、削孔実績座標データ取得部32で記憶される。管理装置30の特定部34は、この薬液注入実績データ(薬液注入量実績、薬液注入圧と地表計測変位量等)に基づいて、地盤改良体の出来形実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)を特定する。これにより、工事関係者は各自のユーザ端末20を用いて、削孔計画座標データ及び/又は削孔実績座標データを3次元モデル上で確認することができるようになる。また、工事関係者は各自のユーザ端末20を用いて、地盤改良実績部分も3次元モデル上で確認することができるようになる。
【0038】
次に、作業者又は管理者は出来形管理を行う(ステップS14)。具体的には、作業者又は管理者等は、施工日や薬液注入量、施工写真など任意の属性情報を各自のユーザ端末20等から入力することで、3次元モデル化された施工実績に対してこれらの属性情報を対応付けることができる。これにより、工事関係者は各自のユーザ端末20を用いて施工実績及び属性情報を3次元モデル上で共有して確認することができるようになる。
【0039】
[施工手順]
次に、図6を参照して、図5のステップS13における施工時の手順について詳述する。図6において、作業者は、施工に必要な曲がり削孔システム10等の各種機器を施工現場に搬入し、削孔機Dが削孔開始できるように準備する(ステップS31)。
【0040】
次に、作業者は、ユーザ端末20に表示された削孔計画座標データに基づいて削孔を行う(ステップS32)。このとき、作業者は、曲がり削孔システム10の固定式ジャイロ計測により、リアルタイムに削孔位置を計測し、削孔計画座標データとのずれを確認しながら、削孔機Dのケーシングパイプの姿勢を制御して、削孔計画座標データが示す位置に対する削孔を行う。固定式ジャイロ計測は、削孔機Dの削孔ロッド先端部に装備されたセンサにより、削孔中のロッド先端部の位置、姿勢及び軌跡データをリアルタイムで検出するものである。また、作業者は、この削孔作業中、例えば曲がり削孔における削孔距離3~6mごと及び直線削孔における削孔距離9~18mごとに、固定式ジャイロ計測に比べより精緻な計測が可能となる挿入式ジャイロ計測によって、削孔位置を計測する(ステップS33)。この挿入式ジャイロ計測による計測結果は、曲がり削孔がなされた3次元座標(xc,yc,zc)を示す削孔実績座標データとして、曲がり削孔システム10から通信網40経由で管理装置30に送信される(ステップS34)。この削孔実績座標データに基づいて、後述するような管理装置30による表示制御が行われる。作業者は、固定式ジャイロ計測の計測結果を挿入式ジャイロ計測の計測結果に置き換えながら、削孔計画座標データとのずれを確認し削孔を継続する(ステップS35)。
【0041】
なお、作業者又は管理者は、図9に示すように挿入式ジャイロ計測による計測結果である削孔実績座標データによる3次元モデルが、削孔中に削孔計画座標データによる3次元モデルと所定の距離以上の乖離が生じた際には、削孔機Dの稼働を停止し、削孔計画データとの乖離が大きくなった地点まで戻って、削孔の方位等を修正して削孔を再開し、削孔実績座標データが削孔計画座標データ内に収まるよう調整する。
【0042】
作業者は1ライン分の削孔が完了すると、削孔機Dのケーシングパイプに注入外管を挿入し(ステップS36)、ケーシングパイプを引き抜いて(ステップS37)、所定の薬液量の薬液注入を行う(ステップS38)。以上の作業が削孔1ラインごとに行われる。
【0043】
[管理装置30による表示制御機能]
次に、図7図10を参照して、管理装置30によるユーザ端末20に対する表示制御機能について説明する。この表示制御は、施工前、施工中及び施工後の任意の時期に実施可能である。図7において、管理装置30は、ユーザ端末20に画像を表示させるためのデータを取得する(ステップS101)。例えば管理装置30の既設埋設物座標データ取得部31は、前述した図5のステップS11において、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標(xd,yd,zd)を示す既設埋設物座標データを取得する。また、削孔実績座標データ取得部32は、前述した図6のステップS34において、曲がり削孔がなされた3次元座標(xc,yc,zc)を示す削孔実績座標データを取得する。また、削孔計画座標データ取得部33は、前述した図5のステップS12において、削孔予定の3次元座標(xp,yp,zp)を示す削孔計画座標データを取得する。また、表示制御部35は、前述した図5のステップS12,S13にて特定部34によって特定された地盤改良予定部分を示す3次元座標(xip,yip,zip)、及び/又は、地盤改良実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)を取得する。
【0044】
次に、管理装置30の表示制御部35は、ユーザ端末20における操作を受け付け(ステップS102)、その操作に応じて、ステップS101にて取得したデータをユーザ端末20に通信網40経由で送信し、ユーザ端末20において各種の画像を表示させる(ステップS103)。
【0045】
例えば表示制御部35は、既設埋設物座標データ及び削孔実績座標データをユーザ端末20に送信することにより、既設埋設物座標データが示す3次元座標(xd,yd,zd)による3次元画像と、削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)による3次元画像とを、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。
【0046】
また、表示制御部35は、削孔計画座標データ及び削孔実績座標データをユーザ端末20に送信することにより、削孔計画座標データが示す3次元座標(xp,yp,zp)による3次元画像と、削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)による3次元画像とを、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。
【0047】
また、表示制御部35は、特定部34によって特定された地盤改良予定部分を示す3次元座標(xip,yip,zip)、及び/又は、地盤改良実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)をユーザ端末20に送信することにより、これら3次元座標(xip,yip,zip)、及び/又は、3次元座標(xia,yia,zia)による3次元画像を、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に重畳表示させる。
【0048】
図8は、従来において、曲がり削孔を作業者が操作する際に確認していた操作画面で、削孔実績座標データを平面、断面及び正面の各2次元座標平面に表示した例を示している。なお、図8においては削孔実績座標データに応じた表示のみを例示しているが、削孔計画座標データに基づく表示を行うことも可能である。また、図8において、既設埋設物を線画として表示してもよい。これに対して、図9は、管理装置30において削孔計画座標データ及び削孔実績座標データを3次元画像に重畳して表示した例を示している。図9において、「設計削孔ライン」は、削孔計画座標データが示す削孔予定の3次元座標(xp,yp,zp)に基づく画像表示であり、「実績削孔ライン」は、削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)に基づく画像表示である。また、「削孔軌跡の管理値」は、削孔計画座標データが示す複数の3次元座標(xp,yp,zp)による「設計計画ライン」から管理基準として定められた閾値以内の距離にある座標位置の集合を意味しており、「実績削孔ライン」はこの管理値が示す円の範囲内にあることが望ましい。
【0049】
図10における「削孔ライン」は、削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)に基づく画像表示である。図10における「汚水管」及び「雨水管」は、既設埋設物座標データが示す3次元座標(xd,yd,zd)に基づく画像表示である。また、図10における球形の図形aは、地盤改良体の実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)に基づく画像表示である。図10においては、地盤改良体の実績部分である球体の図形aが表示されているが、地盤改良施工前は、地盤改良体の出来形予定部分を示す3次元座標(xip,yip,zip)に基づく球体の図形a’の表示を行い、削孔の施工に伴い地盤改良体の出来形実績部分を示す3次元座標(xia,yia,zia)に基づく画像表示が球体の図形a’に重畳、もしくは置き換わって表示される。図10に示すように、施工現場において作業者等や管理者等は、ユーザ端末20に表示された、これらの画像を見ながら施工状況を把握する。
【0050】
本実施形態によれば、地盤改良を施工する作業者や管理者等は、リアルタイムで表示される既設埋設物座標データ及び削孔実績座標データによる3次元画像により、3次元空間における既設埋設物の位置と曲がり削孔の実績位置とを視覚的に容易に把握することが可能となる。また、本実施形態によれば、削孔計画座標データ及び削孔実績座標データが表示された3次元画像を共有することにより、3次元空間における曲がり削孔の計画位置とその実績位置とを視覚的に容易に把握することが可能となる。また、本実施形態によれば、地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分が表示された3次元画像により、地中内の3次元空間における地盤改良予定部分及び/又は地盤改良実績部分の状態を視覚的に容易に把握することが可能となる。このように、3次元モデル上で情報をリアルタイムに共有することで、既設埋設物の損傷リスク等の危険を回避することや、薬液注入中の改良体による周辺の既設埋設物への影響確認が可能となるとともに、関係者相互の認識に齟齬が生じにくくなり、また、指示や応答の内容が明確に伝達できる。この結果、施工の品質及び安全性が向上する。
【0051】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0052】
表示制御部35は、削孔計画座標データが示す3次元座標(xp,yp,zp)と削孔実績座標データが示す3次元座標(xc,yc,zc)との差分(つまり削孔実績座標データが示す範囲のうち削孔予定座標データが示す範囲外における両座標の最短距離)が予め決めた閾値を超える座標部分の3次元画像を、当該差分が当該閾値以内の座標部分の3次元画像と識別可能にして(例えば表示色を変えて)、ユーザ端末20の表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。これにより、工事関係者は、削孔計画から大きく異なる位置に削孔がなされた区間を3次元モデルにおいて視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0053】
また、表示制御部35は、取得された既設埋設物座標データが示す3次元座標と取得された削孔実績座標データが示す3次元座標との差分に応じて、既設埋設物の損傷リスクに関する情報を、ユーザ端末20の表示画面に表示させるようにしてもよい。このとき用いる削孔実績座標データとしては、削孔作業と同時に計測を行う固定式ジャイロ計測による計測結果を用いることが望ましい。
【0054】
また、削孔作業中における固定式ジャイロ計測による削孔実績データの3次元座標と、その3次元座標位置に相当する削孔計画座標データの3次元座標との間に予め決めた閾値以上の差異が生じた際には、作業者又は管理者等に音声や光による点灯などによる警告を発するようにしてもよい。
【0055】
また、表示制御部35は、取得された既設埋設物座標データが示す3次元座標と取得された削孔実績座標データが示す3次元座標との差分(例えば両者の最短距離)が閾値以下となる場合に、既設埋設物の損傷リスクがあることを意味する警告メッセージを、ユーザ端末20の表示画面に表示させるようにしてもよい。これにより、工事関係者は、既設埋設物の損傷リスクがあることを容易に把握することが可能となる。
【0056】
既設埋設物座標データ取得部31は、既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データのほか、その既設埋設物の属性を示す属性データを取得し、表示制御部35は、取得された属性データが示す既設埋設物の属性を識別可能にして、表示画面に設定された3次元画像に表示させるようにしてもよい。ここでいう既設埋設物の属性とは、既設埋設物の種類(埋設管、空洞、構造物の基礎や岩等)、既設埋設物の大きさ、埋設管の名称(水道管やガス管等)、埋設管の素材又は損傷しやすさのうち少なくともいずれか1つ以上の属性のほか、既設埋設物座標データの信頼性を含んでいてもよい。例えば表示制御部35は、取得された属性データに基づいて、既設埋設物の種類、既設埋設物の大きさ、埋設管の名称、埋設管の素材、損傷しやすさ又は既設埋設物座標データの信頼性のうち少なくともいずれか1つ以上の属性を例えば表示色を変えるとかその属性そのものをテキスト表示する。これにより、工事関係者は、既設埋設物の属性を容易に把握することが可能となる。
【0057】
なお、本発明は、曲がり削孔による浸透固化処理工法において、既設構造物から離れた位置の地表から既設構造物直下に向けて削孔を行う曲がり削孔を管理する曲がり削孔管理方法であって、入力される、曲がり削孔の対象エリアにおける既設埋設物の3次元座標を示す既設埋設物座標データを取得する既設埋設物座標データ取得ステップと、曲がり削孔の削孔予定の3次元座標を示す削孔計画座標データ及び/又は曲がり削孔がなされた3次元座標を示す削孔実績座標データを取得する削孔実績座標データ取得ステップと、取得された既設埋設物座標データが示す3次元座標による画像と、取得された削孔計画座標データ及び/又は削孔実績座標データが示す3次元座標による画像とを、表示画面に設定された3次元画像に表示させる表示制御ステップとを備える曲がり削孔管理方法であってもよい
【符号の説明】
【0058】
1:システム、10:曲がり削孔システム、20:ユーザ端末、30:管理装置、31:既設埋設物座標データ取得部、32:削孔実績座標データ取得部、33:削孔計画座標データ取得部、34:特定部、35:表示制御部、3001:プロセッサ、3002:メモリ、3003:ストレージ、3004:通信装置、3005:入力装置、3006:出力装置、B:既設埋設物、D:削孔機、S:既設構造物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10