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特開2022-176538レコメンドシステム、及び商材推薦方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176538
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】レコメンドシステム、及び商材推薦方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221122BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083025
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】内海 幸治
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 憲行
(72)【発明者】
【氏名】足立 哲朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】現場の状況の変化をリアルタイムに収集し、課題及びソリューションを推定する
【解決手段】顧客に提案すべき商材を選択するレコメンドシステムであって、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを備え、前記演算装置が、顧客に推奨する商材を推定する選定部を有し、前記選定部は、収集した現場情報のうち、特定の現場情報の変化率を計算し、前記特定の現場情報の変化率が大きい企業を対象顧客として抽出し、顧客の現場情報の変化の類似性から、当該対象顧客に推奨する商材を推定することを特徴とするレコメンドシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に提案すべき商材を選択するレコメンドシステムであって、
所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを備え、
前記演算装置が、顧客に推奨する商材を推定する選定部を有し、
前記選定部は、
収集した現場情報のうち、特定の現場情報の変化率を計算し、
前記特定の現場情報の変化率が大きい企業を対象顧客として抽出し、
顧客の現場情報の変化の類似性から、当該対象顧客に推奨する商材を推定することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のレコメンドシステムであって、
前記演算装置が、顧客の属性の類似性によって顧客のカテゴリを判定するカテゴライズ部を有し、
前記選定部は、同じカテゴリに含まれる顧客の現場情報の変化の類似性から、当該顧客に推奨する商材を推定することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のレコメンドシステムであって、
前記商材の営業活動で到達したステータスに基づいて計算され、当該カテゴリの顧客が当該商材を採用する可能性を示すデータが記憶される過去営業活動履歴情報記憶部と、
前記過去営業活動履歴情報記憶部に記憶されるデータを更新する営業活動履歴情報登録部とを有し、
前記選定部は、前記過去営業活動履歴情報記憶部を参照して、採用可能性が高い商材を、当該顧客に推奨する商材として推定し、
前記営業活動履歴情報登録部は、顧客に対して行われた営業活動が入力されると、前記採用可能性を示す値を更新することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のレコメンドシステムであって、
前記記憶装置は、前記過去営業活動履歴情報記憶部から抽出される営業活動履歴の範囲を定める抽出データ範囲設定情報を格納し、
前記選定部は、
前記抽出データ範囲設定情報に定められた範囲において、前記過去営業活動履歴情報記憶部から営業活動履歴を抽出し、
前記抽出された営業活動履歴に基づいて、顧客に推奨する商材を推定することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のレコメンドシステムであって、
前記選定部は、前記特定の現場情報の変化率と関連して変化する現場情報の変化率によって、顧客の現場情報の変化の類似性を判定することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のレコメンドシステムであって、
前記選定部は、前記特定の現場情報の値の類似性を考慮して顧客の現場情報の変化の類似性を判定することを特徴とするレコメンドシステム。
【請求項7】
顧客に提案すべき商材をレコメンドシステムが選択する商材推薦方法であって、
前記レコメンドシステムは、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを有し、
前記商材推薦方法は、
前記演算装置が、顧客に推奨する商材を推定し、
前記演算装置が、収集した現場情報のうち、特定の現場情報の変化率を計算し、
前記演算装置が、前記特定の現場情報の変化率が大きい企業を対象顧客として抽出し、
前記演算装置が、顧客の現場情報の変化の類似性から、当該対象顧客に推奨する商材を推定することを特徴とする商材推薦方法。
【請求項8】
請求項7に記載の商材推薦方法であって、
前記演算装置が、顧客の属性の類似性によって顧客のカテゴリを判定し、
前記演算装置が、同じカテゴリに含まれる顧客の現場情報の変化の類似性から、当該顧客に推奨する商材を推定することを特徴とする商材推薦方法。
【請求項9】
請求項8に記載の商材推薦方法であって、
前記演算装置が、前記過去営業活動履歴情報記憶部を参照して、採用可能性が高い商材を、当該顧客に推奨する商材として推定し、
前記演算装置が、顧客に対して行われた営業活動が入力されると、前記採用可能性を示す値を更新することを特徴とする商材推薦方法。
【請求項10】
請求項9に記載の商材推薦方法であって、
前記演算装置が、抽出データ範囲設定情報に定められた範囲において、前記過去営業活動履歴情報記憶部から営業活動履歴を抽出し、
前記演算装置が、前記抽出された営業活動履歴に基づいて、顧客に推奨する商材を推定することを特徴とする商材推薦方法。
【請求項11】
請求項7に記載の商材推薦方法であって、
前記演算装置が、前記特定の現場情報の変化率と関連して変化する現場情報の変化率によって、顧客の現場情報の変化の類似性を判定することを特徴とする商材推薦方法。
【請求項12】
請求項7に記載の商材推薦方法であって、
前記演算装置が、前記特定の現場情報の値の類似性を考慮して顧客の現場情報の変化の類似性を判定することを特徴とする商材推薦方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業に対するソリューションの提案を支援するソリューションレコメンドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業間のBtoBの営業活動において、営業担当者が顧客の状況や課題を十分に把握できず、最適な営業アプローチのタイミングを逸すことがある。特に、昨今、営業担当者の顧客への訪問頻度が低下しており、顧客の状況や課題の把握がさらに困難になっている。また、DXやIoTの普及により4Mデータなどの現場データのデジタル化が進んでいる。さらに、営業活動において過去の営業データや顧客のデジタルデータの活用が不十分である。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2020-86954号公報)には、機器の稼働量の変化率を表す変化率情報を取得する変化率情報取得手段と、商品情報を記憶する商品情報記憶手段と、前記変化率情報に基づいて前記商品情報から推奨する商品の推奨条件を記憶する推奨条件記憶手段と、前記変化率情報と前記推奨条件とに基づいて推奨商品を判定する推奨商品判定手段と、を有する情報処理システムが記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-86954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した状況下において、営業担当者が顧客の現場を訪問しなくても顧客の状況をリアルタイムに把握し、最適なタイミングで顧客にとって必要な提案をするため、顧客の現場(工場)から収集したデータを活用して顧客課題を推定し、顧客課題を解決するソリューションを推定することが求められている。特に、製造業において、機器や人の動き、材料の情報などの4Mデータから検出される現場の生産の状況の変化をリアルタイムに収集し、それらの変化から課題とソリューションの推定が必要である。
【0006】
本発明は、現場の状況の変化をリアルタイムに収集し、課題及びソリューションを推定するソリューションレコメンドシステムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、顧客に提案すべき商材を選択するレコメンドシステムであって、所定の処理を実行する演算装置と、前記演算装置がアクセス可能な記憶装置とを備え、前記演算装置が、顧客に推奨する商材を推定する選定部を有し、前記選定部は、収集した現場情報のうち、特定の現場情報の変化率を計算し、前記特定の現場情報の変化率が大きい企業を対象顧客として抽出し、顧客の現場情報の変化の類似性から、当該対象顧客に推奨する商材を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、顧客の課題及びソリューションを推定できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例のソリューションレコメンドシステムの論理的な構成を示すブロック図である。
図2】本実施例のソリューションレコメンドシステムの物理的な構成を示すブロック図である。
図3】本実施例の企業カテゴリ記憶部の構成例を示す図である。
図4】本実施例の過去営業活動履歴情報記憶部の構成例を示す図である。
図5】本実施例のソリューションレコメンドシステムが実行する処理のフローチャートである。
図6】本実施例の類似案件抽出処理のフローチャートである。
図7】ある企業の現場情報の変化を示す図である。
図8】本実施例の営業活動履歴登録処理のフローチャートである。
図9】本実施例の営業レコメンド情報表示画面の例を示す図である
図10】本実施例の営業結果登録画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例のソリューションレコメンドシステム100の論理的な構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施例のソリューションレコメンドシステム100は、企業カテゴライズ部110、営業活動履歴情報登録部120、ソリューション選定部130、制御部140、企業カテゴリ条件記憶部141、ソリューション情報記憶部142及び過去営業活動履歴情報記憶部143を有する。
【0012】
企業カテゴライズ部110は、企業カテゴリ判定部111及び企業カテゴリ記憶部112を有し、企業の経営状況や製造属性が類似する企業をカテゴライズする。企業カテゴリ判定部111は、企業カテゴリ条件記憶部141を参照して、入力された企業経営情報161及び企業製造情報162を用いて企業のカテゴリを判定して、企業カテゴリ記憶部112に記憶する。企業カテゴリ記憶部112は、企業カテゴリ判定部111がカテゴリを判定した企業の情報を記憶する。企業カテゴリ記憶部112の詳細は、図3を参照して説明する。
【0013】
営業活動履歴情報登録部120は、提案受容ポイント計算部121及び営業結果登録部122を有し、ソリューションレコメンドシステム100を活用した結果、営業活動で到達したステータス、顧客から聞き出した顧客課題、及び顧客が求めているソリューションを登録する。提案受容ポイント計算部121は、入力された営業結果情報154から営業結果ポイントを計算し、計算された営業結果ポイントを用いて、過去営業活動履歴情報記憶部143に記憶された過去のソリューション提案案件の提案受容ポイントを計算する。営業結果登録部122は、過去の営業活動の結果を過去営業活動履歴情報記憶部143に記憶する。ソリューション情報記憶部142は、商材であるソリューションのID、名称、及び内容を記録する。過去営業活動履歴情報記憶部143は過去の営業活動の結果を記憶する。過去営業活動履歴情報記憶部143の詳細は、図4を参照して後述する。
【0014】
ソリューション選定部130は、過去類似データパタン抽出部131、類似ポイント計算部132及び営業レコメンド情報出力部133を有し、同じカテゴリに含まれる企業の過去の4Mデータ変化の類似性から顧客の課題及びソリューションを推定する。過去類似データパタン抽出部131は、抽出データ範囲設定情報155で設定された範囲の情報(例えば、営業履歴情報登録期間、稼働ロス時間など)を過去営業活動履歴情報記憶部143から抽出する。類似ポイント計算部132は、抽出した過去営業活動履歴情報の変化パタンを作成し、過去営業活動履歴情報の変化パタンと現場情報の変化パタンとを比較し、類似ポイントを計算する。営業レコメンド情報出力部133は、類似ポイントが小さい過去営業活動履歴情報のソリューションを抽出し、営業レコメンド情報表示画面(図9参照)に表示するための営業レコメンド情報153を生成する。
【0015】
制御部140は、営業情報入力・出力部164からの入力を受け付け、入力されたデータをソリューションレコメンドシステム100の各機能部によって処理して、処理の結果を営業情報入力・出力部164から出力する。
【0016】
抽出データ範囲設定情報155は、過去営業活動履歴情報記憶部143からデータを抽出する範囲の情報(例えば、営業履歴情報登録期間、稼働ロス時間など)である。
【0017】
企業経営情報161及び企業製造情報162は、ソリューションレコメンドシステム100によるサービスを受ける顧客である企業の情報であり、公開されている情報(登記簿、財務諸表など)や各企業から提供された非公開情報である。企業経営情報161は、主に企業を規模の観点で分類するための情報であり、基本情報(社名、所在地など)及び財務情報(売上高、利益など)を含む。企業製造情報162は、主に企業を製品やサービスの観点で分類するための情報であり、製品の大きさ、製造方法、組み立て精度などの情報を含む。
【0018】
現場情報収集部163は、各企業に設置されたセンサ、カメラなどの端末や製造管理システムであって、製造現場から現場情報(例えば、Man:人、Machine:機械、Method:方法、Material:材料を含む、いわゆる4Mデータ)を収集する。営業情報入力・出力部164は、ソリューションレコメンドシステム100に営業情報を入出力するインターフェースを提供する端末装置(例えば、図2に示すユーザ端末200)である。
【0019】
図2は、本実施例のソリューションレコメンドシステム100の物理的な構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施例のソリューションレコメンドシステム100は、プロセッサ(CPU)1、メモリ2、補助記憶装置3及び通信インターフェース4を有する計算機によって構成される。ソリューションレコメンドシステム100は、入力インターフェース5及び出力インターフェース8を有してもよい。
【0021】
プロセッサ1は、メモリ2に格納されたプログラムを実行する演算装置である。プロセッサ1が、各種プログラムを実行することによって、ソリューションレコメンドシステム100の各部(例えば、企業カテゴライズ部110、営業活動履歴情報登録部120、ソリューション選定部130、制御部140など)による機能が実現される。なお、プロセッサ1がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、ASIC、FPGA等のハードウェア)で実行してもよい。
【0022】
メモリ2は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、プロセッサ1が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0023】
補助記憶装置3は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置である。また、補助記憶装置3は、プロセッサ1がプログラムの実行時に使用するデータ(例えば、企業カテゴリ条件記憶部141、ソリューション情報記憶部142、過去営業活動履歴情報記憶部143、抽出データ範囲設定情報155など)、及びプロセッサ1が実行するプログラムを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置3から読み出されて、メモリ2にロードされて、プロセッサ1によって実行されることによって、ソリューションレコメンドシステム100の各機能(例えば、企業カテゴライズ部110、営業活動履歴情報登録部120、ソリューション選定部130、制御部140)を実現する。
【0024】
通信インターフェース4は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。
【0025】
入力インターフェース5は、キーボード6やマウス7などの入力装置が接続され、ユーザからの入力を受けるインターフェースである。出力インターフェース8は、ディスプレイ装置9やプリンタ(図示省略)などの出力装置が接続され、プログラムの実行結果をユーザが視認可能な形式で出力するインターフェースである。なお、ソリューションレコメンドシステム100にネットワークを介して接続されたユーザ端末200が入力装置及び出力装置を提供してもよい。この場合、ソリューションレコメンドシステム100がウェブサーバの機能を有し、ユーザ端末200がソリューションレコメンドシステム100に所定のプロトコル(例えばhttp)でアクセスしてもよい。
【0026】
プロセッサ1が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又はネットワークを介してソリューションレコメンドシステム100に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置3に格納される。このため、ソリューションレコメンドシステム100は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0027】
ソリューションレコメンドシステム100は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。例えば、企業カテゴライズ部110、営業活動履歴情報登録部120、ソリューション選定部130及び制御部140は、各々別個の物理的又は論理的計算機上で動作するものでも、複数が組み合わされて一つの物理的又は論理的計算機上で動作するものでもよい。
【0028】
図3は、企業カテゴリ記憶部112の構成例を示す図である。
【0029】
企業カテゴリ記憶部112は、企業カテゴライズ部110が類似する企業をカテゴライズするために参照する情報であり、業種、売上金額、従業員数、製造物などのカテゴリを特徴付けるデータが記録される。
【0030】
図4は、過去営業活動履歴情報記憶部143の構成例を示す図である。
【0031】
過去営業活動履歴情報記憶部143は、顧客クラスタ、変化率パタン、顧客課題、提案ソリューション、提案受容ポイント及び稼働ロス平均時間などの営業に関するデータが顧客クラスタごとに記録される。変化パタンは、企業の現場情報の項目ごとに変化率をカテゴリ分けしたものであり、数字の列やレーダーチャートで表される。例えば、ワーク待ち、作業者不在、作業者不足、工具待ち、設備停止、その他の変化率を後述するようにカテゴリ分けしてレーダーチャートに表すとよい。提案ソリューションは、当該クラスタの顧客に提案されたソリューションであり、顧客課題毎に記録される。提案受容ポイントは、顧客クラスタに含まれる複数の顧客に対する当該提案ソリューションに関する営業活動の進捗や成果を数値化したポイントである。稼働ロス平均時間は、ソリューションレコメンドの対象データを抽出するための指標となる特定の現場情報(稼働ロス)の顧客ごとの値の平均値である。
【0032】
図5は、ソリューションレコメンドシステム100が実行する処理のフローチャートである。
【0033】
まず、企業カテゴリ判定部111は、入力インターフェース5から入力された企業経営情報161及び企業製造情報162を取得し、企業のカテゴリを判定して、企業カテゴリ情報151を出力する(10)。企業カテゴリ情報151は、企業IDと判定されたカテゴリが対応付けられた情報である。
【0034】
次に、制御部140は、各企業に設置された現場情報収集部163からリアルタイムに現場情報を収集し(11)、収集した現場情報の変化率を計算し、変化が大きい企業をレコメンド対象企業として抽出する(12)。制御部140は、抽出した企業の現場情報変化の形態をパタン化する(13)。
【0035】
次に、類似ポイント計算部132は、同じ企業カテゴリの過去営業活動履歴情報の類似度を計算し、類似ポイントを付与する(14)。
【0036】
次に、営業レコメンド情報出力部133は、類似度が高い過去営業活動履歴情報を過去営業活動履歴情報記憶部143から抽出し(15)、営業レコメンド情報153を制御部140経由して、営業情報入力・出力部164に出力する(16)
【0037】
その後、営業活動履歴情報登録部120は、営業情報入力・出力部164に入力されたソリューションの提案結果を登録する
【0038】
図6は、類似案件抽出処理のフローチャートであり、図5のステップ11からステップ15の詳細を示す。
【0039】
まず、制御部140は、現場情報収集部163から現場情報を取得する(20)。
【0040】
次に、制御部140は、特定の現場情報の変化率が所定の閾値(例えば、稼働ロスが±5%)を超えたデータをソリューションレコメンドの対象データとして抽出する(21)。
【0041】
次に、制御部140は、他の現場情報の変化率を計算し、所定の閾値によって複数のカテゴリに分類する(22)。例えば、ワーク待ち、作業者不在、作業者不足、工具待ち、設備停止、その他などの変化率を計算し、100%以上、100%未満~50%以上、50%未満~-30%以上、-30%未満~-50%以上、-50%未満の5カテゴリに分類する。
【0042】
次に、制御部140は、現場情報の変化率のカテゴリから、現場情報の変化パタンを作成する(23)。例えば、ワーク待ちがカテゴリ3、作業者不在がカテゴリ3、作業者不足がカテゴリ3、工具待ちがカテゴリ2、設備停止がカテゴリ5、その他がカテゴリ3の場合、変化パタン333253となる。すなわち、変化パタンは、現場情報の特徴が集約された値である。
【0043】
そして、制御部140は、ソリューションレコメンドの対象となる企業のレコメンド対象企業情報152を過去類似データパタン抽出部131に出力する。
【0044】
次に、過去類似データパタン抽出部131は、抽出データ範囲設定情報155で設定された範囲内で、企業カテゴリ情報151及びレコメンド対象企業情報152と一致する過去営業活動履歴情報を過去営業活動履歴情報記憶部143から抽出する(24)。抽出データ範囲設定情報155で設定された範囲内で過去営業活動履歴情報記憶部143から過去営業活動履歴情報を抽出することによって、例えば、営業履歴情報登録期間が指定された場合には古い営業履歴情報を排除できる。
【0045】
次に、類似ポイント計算部132は、抽出した過去営業活動履歴情報の変化パタンを作成し、過去営業活動履歴情報の変化パタンと現場情報の変化パタンとを比較し、類似ポイントを計算する(25)。例えば、各位の数字の差が1毎に1ポイントを加算して類似ポイントを計算する。この方法では、変化パタン333253と変化パタン334252の類似ポイントは2ポイントとなる。
【0046】
次に、営業レコメンド情報出力部133は、類似ポイントが小さい(例えば、類似ポイントが2以下)過去営業活動履歴情報のソリューションを抽出し、営業レコメンド情報表示画面(図9参照)に表示される営業レコメンド情報153を生成する(26)。
【0047】
図7を参照して、類似案件抽出処理の具体例を説明する。図7は、ある企業の現場情報の変化を示す図であり、現場情報の変化として生産状況の変化率が示される。
【0048】
ソリューションレコメンドの対象データを抽出するための指標となる特定の現場情報の変化率として、稼働ロスが±5%を用いている。
【0049】
図示するデータでは、1月15日の稼働ロス時間が6.6%増加しており、±5%の閾値を超えている。このため、1月15日の現場情報を用いて顧客課題を推定する。
【0050】
まず、1月15日の稼働ロス合計時間が650分なので、過去営業活動履歴情報記憶部143を参照して稼働ロス平均時間が所定の範囲内の変化パタンを抽出する。稼働ロス時間の値が大きく異なる企業は、他の現場情報が類似していても、そもそも生産方法などが類似していないことから、提案するソリューションも異なるべきだからである。
【0051】
そして、稼働ロス合計時間によって抽出された変化パタンの中から、他の現場情報の変化パタンが類似している過去事例を優先的に抽出する。
【0052】
図8は、営業活動履歴登録処理のフローチャートである。
【0053】
まず、営業活動履歴情報登録部120は、営業情報入力・出力部164からレコメンドIDが入力されると、当該レコメンドIDの顧客名、顧客カテゴリ、現場状況変化日、及び変化率パタンを過去営業活動履歴情報記憶部143から取得し、営業結果登録画面(図10参照)に表示する(30)。
【0054】
次に、営業活動履歴情報登録部120は、営業情報入力・出力部164から提案したソリューションのソリューションID及び受容ステータスが入力されると、当該ソリューションIDの提案ソリューション名、及び受容ポイントを過去営業活動履歴情報記憶部143から取得し、営業結果登録画面(図10参照)に表示する。そして、提案したソリューションID及び受容ステータスを過去営業活動履歴情報記憶部143に登録し、過去営業活動履歴情報記憶部143から顧客カテゴリ、変化率パタン、及び提案ソリューションが類似する過去案件を抽出する(31)。なお、ソリューションID及びソリューション名のリストを表示して、入力するソリューションIDを選択可能なサブ画面を表示して、ソリューションIDの入力を促してもよい。
【0055】
次に、営業活動履歴情報登録部120は、設定した条件と類似する過去案件が存在するかを判定する(32)。設定した条件と類似する過去案件が存在すると判定されなければ、新たなパタンとして、過去営業活動履歴テーブルに登録し(33)、ステップ34に進む。一方、設定した条件と類似する過去案件が存在すると判定されれば、ステップ33をスキップして、ステップ34に進む。
【0056】
次に、営業活動履歴情報登録部120は、入力された営業結果情報154の営業結果ステータスを過去営業活動履歴情報記憶部143に設定し、提案受容ポイント計算部121が、入力された営業結果情報154から営業結果ポイントを計算する(34)。営業結果ポイントは、営業活動や顧客の検討から受注までの進捗によって定められる数値で、例えば、アポイントメント拒否は0ポイント、面談実施は20ポイント、具体提案は40ポイント、見積は60ポイント、顧客検討・稟議は80point、受注は100ポイントとするとよい。
【0057】
次に、営業活動履歴情報登録部120は、計算された営業結果ポイントを用いて、抽出した過去案件の提案受容ポイントを計算する(35)。提案受容ポイントは、過去の営業結果ポイントの平均値である。
【0058】
次に、営業活動履歴情報登録部120は、計算された新たな提案受容ポイントを、過去営業活動履歴情報記憶部143に記録する(36)。
【0059】
図9は、営業レコメンド情報144を表示する営業レコメンド情報表示画面の例を示す図である
【0060】
営業レコメンド情報144は、レコメンドの一意の識別情報であるレコメンドID、ソリューションをレコメンドする顧客名及び顧客カテゴリ、当該顧客の現場情報変化日、及び検出された現場情報の変化に伴う他の現場情報の変化パタンを含む。さらに、営業レコメンド情報144は、当該顧客に提案すべきソリューションのソリューションID、当該ソリューションの類似ポイント、受容ポイント、顧客課題候補、及びソリューション候補を含む。
【0061】
営業レコメンド情報144は、レコメンドの一意の識別情報であるレコメンドID、ソリューションをレコメンドする顧客名及び顧客カテゴリ、当該顧客の現場情報変化日、及び検出された現場情報の変化に伴う他の現場情報の変化パタンを含む。さらに、営業レコメンド情報144は、当該顧客に提案すべきソリューションのソリューションID、当該ソリューションの類似ポイント、受容ポイント、顧客課題候補、及びソリューション候補を含む。
【0062】
図10は、営業結果登録画面1000の例を示す図である。
【0063】
営業結果登録画面は、レコメンド情報表示領域とソリューション情報表示領域を含む。レコメンド情報表示領域は、営業情報入力・出力部164からレコメンドIDが入力されるレコメンドID入力欄と、当該レコメンドIDに対応する顧客名、顧客カテゴリ、現場状況変化日、及び変化率パタンを含む。ソリューション情報表示領域は、顧客に提案したソリューションの情報が入力され、ソリューションID入力欄、ソリューション名表示欄、受容ステータス入力欄、及び受容ポイント表示欄を含む。
【0064】
以上に説明したように、本実施例のレコメンドシステムによると、現場のリアルタイムな現場情報(4Mデータ)から顧客の課題を分析し、適切なソリューションを製造業にレコメンドできる。また、営業結果をフィードバックによって、現場情報の変化から顧客課題を分析する精度を向上できる。
【0065】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0066】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0067】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0068】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0069】
1 プロセッサ
2 メモリ
3 補助記憶装置
4 通信インターフェース
5 入力インターフェース
6 キーボード
7 マウス
8 出力インターフェース
9 ディスプレイ装置
100 ソリューションレコメンドシステム
110 企業カテゴライズ部
111 企業カテゴリ判定部
112 企業カテゴリ記憶部
120 営業活動履歴情報登録部
121 提案受容ポイント計算部
122 営業結果登録部
130 ソリューション選定部
131 過去類似データパタン抽出部
132 類似ポイント計算部
133 営業レコメンド情報出力部
140 制御部
141 企業カテゴリ条件記憶部
142 ソリューション情報記憶部
143 過去営業活動履歴情報記憶部
144 営業レコメンド情報
151 企業カテゴリ情報
152 レコメンド対象企業情報
153 営業レコメンド情報
154 営業結果情報
155 抽出データ範囲設定情報
161 企業経営情報
162 企業製造情報
163 現場情報収集部
164 出力部
200 ユーザ端末
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10