(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176555
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20221122BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20221122BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20221122BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B11/04 Z
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312F
H04N5/225 700
H04N5/225 100
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083048
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋倉 誠
【テーマコード(参考)】
2H083
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H083CC01
2H083CC11
2H083CC23
2H083CC36
2H100AA41
2H100AA61
2H100BB05
5C122GD12
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】ディスプレイの周辺に設けられるシート体を安定して固定する。
【解決手段】電子機器10は、ディスプレイよ22よりも面積が大きく該ディスプレイ22の後面を覆う背面カバー26と、ディスプレイ22の縁と背面カバー26の縁壁30との間に設けられたカメラ52と、第1位置と第2位置との間でスライド可能な操作ノブ32と、ディスプレイ22の縁と背面カバー26の縁壁30との間の少なくとも一部を覆うシートベゼル24と、操作ノブ32とアーム部64を介して接続され、操作ノブ32が第1位置にあるときカメラ52の前方を覆う位置に配置され、第2位置にあるときカメラ52の前方を避ける位置に配置される第1遮蔽カバー66aと、背面カバー26の縁壁30より下側で、操作ノブ32の第1位置から第2位置までの動作範囲にわたって延在するブラケット34とを備える。シートベゼル24は主板34aに固定されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイよりも面積が大きく該ディスプレイの後面を覆う背面カバーと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間に設けられて前方を指向する光学デバイスと、
前記背面カバーの縁に沿った第1位置と第2位置との間でスライド可能な操作ノブと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間の少なくとも一部を覆うシート体と、
前記操作ノブに対して連接部を介して接続され、前記操作ノブが前記第1位置にあるとき前記光学デバイスの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置にあるとき前記光学デバイスの前方を避ける位置に配置される遮蔽カバーと、
前記背面カバーの縁より枠内側で、少なくとも前記操作ノブの前記第1位置から前記第2位置までの動作範囲にわたって延在する板材と、
を備え、
前記シート体は前記板材に固定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記連接部は前記板材の後面に対して当接および摺動することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記連接部は、前記光学デバイスが収納されているデバイス収納室の底面に対して当接および摺動することを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記板材の枠内側端には、後方に曲がる屈曲部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記板材は、前記背面カバーの縁に沿って前記光学デバイスの前方を越えて延在しており、記光学デバイスの前方位置に孔が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器において、
前記遮蔽カバーは前記連接部と段差部を介して接続されて前記孔に入り込んで
いることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記光学デバイスはカメラであることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラなどの光学デバイスを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(ノートブック型PC)、タブレット型コンピュータ(タブレットPC)、または多機能携帯電話(スマートフォン)などの電子機器では、ディスプレイの周辺にカメラなどの光学デバイスが設けられるものが多くなってきている。
【0003】
ディスプレイ筐体に設けられるカメラは一般的にユーザ側を指向しており、ユーザはカメラが動作していないときであっても、意図しない撮影が行われているのではないかという不安を感じることがある。また、カメラが露呈していると、枠体とのデザイン的一体感が損なわれる場合がある。カメラを覆い隠す手段としては、特許文献1のように遮蔽カバーを人手によってスライドさせる機械的シャッタが考えられる。
【0004】
特許文献1に記載の電子機器は、ディスプレイを囲う枠体と、枠体の上枠に設けられたカメラとを備えており、遮蔽カバーは上枠に沿って第1位置と第2位置との間でスライド可能となっている。そして遮蔽カバーが第1位置にあるときレンズが覆われ、第2位置にあるとき露呈される。
【0005】
ディスプレイ筐体は、ディスプレイの他に後面を覆う背面カバーと、前面でディスプレイの周辺を囲う枠状筐体とを備えていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近時このような電子機器では薄型化および軽量化のためにディスプレイの周辺を囲う枠状筐体をシート体にすることがある。シート体は背面カバーに設けられた貼り代部分に対して固定される。また、デザイン上の理由などから遮蔽カバーをスライドさせる操作ノブはなるべく小さくして、シート体の枠外側に配置することが望まれている。
【0008】
ところが、操作ノブはスライドすることから、背面カバーにおいて操作ノブのスライドする範囲にはシート体の貼り代部分を設けることが困難である。そうすると、シート体における操作ノブの近傍部分は背面カバーに固定することができず浮いた状態となり、見栄えが悪く、経時的にシート体が剥がれる原因となり得る。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ディスプレイの周辺に設けられるシート体を安定して固定することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、ディスプレイと、前記ディスプレイよりも面積が大きく該ディスプレイの後面を覆う背面カバーと、前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間に設けられて前方を指向する光学デバイスと、前記背面カバーの縁に沿った第1位置と第2位置との間でスライド可能な操作ノブと、前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間の少なくとも一部を覆うシート体と、前記操作ノブに対して連接部を介して接続され、前記操作ノブが前記第1位置にあるとき前記光学デバイスの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置にあるとき前記光学デバイスの前方を避ける位置に配置される遮蔽カバーと、前記背面カバーの縁より枠内側で、少なくとも前記操作ノブの前記第1位置から前記第2位置までの動作範囲にわたって延在する板材と、を備え、前記シート体は前記板材に固定されている。
【0011】
このような電子機器では、板材が少なくとも操作ノブの第1位置から第2位置までの動作範囲にわたって枠内側部分に設けられており、ここにシート体が固定される。したがって、この部分でシート体は板材に対して浮きあがりなどがなく安定して固定され、見栄えがよく、しかも経時的にシート体が剥がれることを防止できる。
【0012】
前記連接部は前記板材の後面に対して当接および摺動してもよい。これにより、操作ノブおよび遮蔽カバーを備えるカバーユニットの抜けが防止される。
【0013】
前記連接部は、前記光学デバイスが収納されているデバイス収納室の底面に対して当接および摺動してもよい。これにより、操作ノブおよび遮蔽カバーを備えるカバーユニットが位置決めされて安定する。
【0014】
前記板材の枠内側端には、後方に曲がる屈曲部が設けられていてもよい。この屈曲部により板材が補強される。
【0015】
前記板材は、前記背面カバーの縁に沿って前記光学デバイスの前方を越えて延在しており、記光学デバイスの前方位置に孔が形成されていてもよい。これにより、板材の配置自由度が高まる。
【0016】
前記遮蔽カバーは前記連接部と段差部を介して接続されて前記孔に入り込んでいてもよい。これにより遮蔽カバーと連接部とを干渉なく接続することができる。
【0017】
前記光学デバイスはカメラであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、板材が少なくとも操作ノブの第1位置から第2位置までの動作範囲にわたって枠内側部分に設けられており、ここにシート体が固定される。したがって、この部分でシート体は板材に対して浮きあがりなどがなく安定して固定され、見栄えがよく、しかも経時的にシート体が剥がれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる電子機器を示す斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、操作ノブが第1位置にある状態におけるディスプレイ筐体の上方部分の拡大正面図である。
【
図2B】
図2Bは、操作ノブが第2位置にある状態におけるディスプレイ筐体の上方部分の拡大正面図である。
【
図3】
図3は、ディスプレイ筐体の上方部分でシートベゼルを取り外した状態の拡大正面図である。
【
図4】
図4は、ディスプレイ筐体の上方部分の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、カバーユニットの一部拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、ディスプレイ筐体の操作ノブの近傍における断面斜視図である。
【
図7】
図7は、ディスプレイ筐体の第1集音孔の近傍における断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態である電子機器10を示す斜視図である。電子機器10はノートブック型PCである。本発明にかかる電子機器はノートブック型PCに限らず、例えばデスクトップ型PC、モバイル型タブレット端末または多機能携帯電話などでもよい。
【0022】
電子機器10は、本体筐体14に対してディスプレイ筐体16がヒンジ18により開閉可能となっており、ディスプレイ筐体16を閉じることによってコンパクトになりモバイル用途に好適である。本体筐体14の上面にはキーボード20が設けられている。
【0023】
以下の説明では、ディスプレイ筐体16を基準として左右方向をX方向、高さ方向をY方向、ディスプレイ22の厚み方向をZ方向とも表す。ディスプレイ筐体16については、ヒンジ18で本体筐体14と接続されている側を下、その逆側を上とする。なお、ディスプレイ筐体16について後述する上枠24aの部分では、上側が枠外側、下側が枠内側に相当する。また、次に説明するディスプレイ22の表示面側を前方、その逆側を後方とする。
【0024】
ディスプレイ筐体16は、前面つまりディスプレイ面に設けられたディスプレイ22と、該ディスプレイ22の周辺部を囲む枠体であるシートベゼル(シート体)24と、背面カバー26とを有する。背面カバー26はディスプレイ22よりも面積がやや大きく該ディスプレイ22の後面を覆っている。
【0025】
ディスプレイ22は薄型矩形のカラー液晶型であって、ディスプレイ筐体16における前面の大部分を占めている。シートベゼル24は狭幅となっており、いわゆるナローベゼルである。
【0026】
図2Aは、操作ノブ32が第1位置にある状態におけるディスプレイ筐体16の上方部分の拡大正面図である。
図2Bは、操作ノブ32が第2位置にある状態におけるディスプレイ筐体16の上方部分の拡大正面図である。
【0027】
シートベゼル24の上枠24aには5つの孔がX方向に整列して設けられている。左から順に第1集音孔28a、カメラランプ孔28b、カメラ孔28c、赤外線ポート孔28d、第2集音孔28eである。このうち、第1集音孔28a、カメラランプ孔28b、第2集音孔28eは比較的小さく、カメラ孔28c、赤外線ポート孔28dは比較的大きい。カメラ孔28c、赤外線ポート孔28dには透明の窓28ca,28daが設けられている。カメラ孔28cは略左右中央位置に設けられている。
【0028】
背面カバー26の四周には幅の狭い縁壁30が設けられている。シートベゼル24の外周壁は縁壁30の内周壁にほぼ接している。縁壁30は前面に向かってやや突出している。シートベゼル24の前面は縁壁30の前面端よりもわずかに突出しており、本体筐体14の平面部と当接するようになっている。
【0029】
縁壁30の上枠24a部分における略中央部には溝30aが形成されている。溝30aには操作ノブ32が設けられている。操作ノブ32は溝30aより横幅が狭い。操作ノブ32と縁壁30とはY方向幅が等しい。操作ノブ32は、前面に向かって縁壁30と同程度に突出している。操作ノブ32は小さく、Y方向およびZ方向について縁壁30の幅内に収まって目立つことがなく、外観上好適である。
【0030】
操作ノブ32は後述するカバーユニット58(
図5参照)の一部であり、該カバーユニット58とともにX方向にスライドする。操作ノブ32は溝30aの幅の範囲内で、
図2Aに示す第1位置と
図2Bに示す第2位置との間でスライド可能になっている。操作ノブ32には切欠32aが形成されており、指または爪で操作しやすい。切欠32aは後述する第1遮蔽カバー66aのちょうど上方部分に設けられており、直感的操作が可能である。
【0031】
図3は、ディスプレイ筐体16の上方部分でシートベゼル24を取り外した状態の拡大正面図である。ディスプレイ筐体16の上方部分中央にはブラケット(板材)34が固定されており、その左右にはシート固定台部36が設けられている。シート固定台部36は、ブラケット34が設けられている箇所を除いてディスプレイ筐体16の全周に沿って設けられている。シート固定台部36はシートベゼル24を貼る貼り代部分である。
【0032】
シート固定台部36はディスプレイ筐体16の一部である。縁壁30はシート固定台部36の外周縁から前面に向かって突出している。ディスプレイ22はシート固定台部36の内側に設けられる。シート固定台部36の幅はシートベゼル24と同じ程度か、またはやや狭くなっている。
【0033】
ブラケット34は横方向に長い部材であり、シート固定台部36が設けられていないデバイス収納室(
図4参照)38の前方部分を橋渡しするように固定されている。ブラケット34は、少なくとも操作ノブ32の第1位置から第2位置までの動作範囲に亘って延在し、操作ノブ32よりも下側部分に設けられているとよい。
【0034】
ブラケット34は、主板34aと、該主板34aの下側端から後方に向かって屈曲する屈曲部34bとを有する。屈曲部34bは主板34aのほぼ全長に亘って設けられている。主板34aの両端には短いビス座34cが設けられている。ビス座34cは背面カバー26のボス42にビス39で固定する部分である。ビス座34cは主板34aよりもやや後方にオフセットしており、ビス39のヘッドが主板34aよりも前方に突出することがない。主板34aのY方向幅はシート固定台部36の幅と等しく設定されている。ブラケット34の主板34aはシート固定台部36とともにシートベゼル24を貼る貼り代部分となっている。主板34aは屈曲部34bによって曲げ強度が担保されており、シートベゼル24を安定して固定することができる。
【0035】
主板34aには5つの孔がX方向に略整列して設けられている。左から順に位置決め孔40a、第1集音孔40b、カメラランプ孔40c、矩形孔40d、第2集音孔40eである。位置決め孔40aはやや横長の小さい孔であり、後述する突起59が挿入されることによりブラケット34の位置決めがなされる。位置決め孔40aによれば、特にY方向の位置決めが正確に行われる。第1集音孔40b、カメラランプ孔40cおよび第2集音孔40eは、順にシートベゼル24における第1集音孔28a、カメラランプ孔28bおよび第2集音孔28eの後方に位置している。矩形孔40dは、ブラケット34における他の孔よりも大きく、シートベゼル24におけるカメラ孔28cから赤外線ポート孔28dにわたる領域の後方に位置している。
【0036】
図4は、ディスプレイ筐体16の上方部分の分解斜視図である。上記のとおり、ディスプレイ筐体16の上方部分でシート固定台部36が設けられていない箇所には、ブラケット34で覆われるデバイス収納室38が設けられている。デバイス収納室38はディスプレイ22の縁と背面カバー26の縁との間に設けられている。
【0037】
デバイス収納室38の両端には、ブラケット34をビス39で固定するボス42が設けられている。なお、ブラケット34の固定手段はビス39に限らず、例えばクリップ式などでもよい。すなわち、ブラケット34はシートベゼル24を安定して貼り付け可能なように設けられていればよい。デバイス収納室38には両端のボス42の間に、クリック発生機構部44、位置決め突起46、第1集音部48、カメラランプ(光学デバイス)50、カメラ(光学デバイス)52、赤外線ポート54、第2集音部56およびカバーユニット58が設けられている。
【0038】
このうち第1集音部48、カメラランプ50、カメラ52、赤外線ポート54、第2集音部56は前方を指向している。主板34aは、これらのデバイスの前方を越えて延在しているが、各デバイスの前方位置には孔40a~40eが形成されている。また、デバイス収納室38で第1集音部48の左側近傍には小さい突起59が前方に突出している。突起59は位置決め孔40aに嵌合してブラケット34を位置決めする。デバイス収納室38には、縁壁30に沿って延在して前方に向かって立設する2つの壁60a,60bが設けられている。2つの壁60a,60bはカメラランプ50、カメラ52の近傍部を避けて左右に分かれて配置されている。縁壁30と壁60a,60bとの間にはスライド溝62a,62bが形成されている。
【0039】
クリック発生機構部44はデバイス収納室38の左端に設けられている。クリック発生機構部44はカバーユニット58がスライドするときにクリック感を発生させるための機構部である。クリック発生機構部44は他のデバイスより大きく、他のデバイスの配置の支障とならないようにデバイス収納室38内の端部に設けられている。
【0040】
第1集音部48および第2集音部56は音をステレオ式に入力する部分であり、左右にやや離れて配置されている。第1集音部48の前方部には第1集音孔28aおよび第1集音孔40bがある。第2集音部56の前方部は第2集音孔28eおよび第2集音孔40eが開口している。
【0041】
カメラランプ50はカメラ52の動作状態を示すインジケータであり、例えばLEDである。カメラランプ50の前方部にはカメラランプ孔28bおよびカメラランプ孔40cがあり、ユーザが点灯状態を確認することができる。ただし、カメラランプ50は後述する第2遮蔽カバー66bによって遮蔽され得る。
【0042】
カメラ52は撮像をする光学デバイスであり、少なくともレンズおよび受光素子を含んでいる。カメラ52の前方部には矩形孔40dおよびカメラ孔28cがあり前方の撮像が可能である。ただし、カメラ52は後述する第1遮蔽カバー66aによって遮蔽され得る。
【0043】
赤外線ポート54は赤外線通信を行うデバイスである。赤外線ポート54の前方部には矩形孔40dおよび赤外線ポート孔28dがあり、赤外線の送受信が可能である。
【0044】
図5は、カバーユニット58の一部拡大斜視図である。カバーユニット58は上記の操作ノブ32を含んでいる。カバーユニット58は、さらにX方向に長いアーム部(連接部)64と、該アーム部64に取り付けられた第1遮蔽カバー66aおよび第2遮蔽カバー66bとを有する。アーム部64は第1遮蔽カバー66aおよび第2遮蔽カバー66bと操作ノブ32とを連接する連接部になっている。
【0045】
なお、アーム部64は、
図5の左上方向にさらに延在しており、その端部がクリック発生機構部44(
図4参照)に入っており、カバーユニット58のスライド操作にクリック感が発生するようになっている。カバーユニット58は、クリック発生機構部44の作用により左寄りの第1位置と右寄りの第2位置のいずれか一方に配置されるように案内される。
【0046】
アーム部64の断面形状はY方向よりZ方向がやや長い略矩形となっている。アーム部64の前面側には筋状突起64aが設けられ、後面側には筋状突起64bが設けられ、下側面には平行する2本の筋状突起64cが設けられている。筋状突起64a~64cはX方向つまりカバーユニット58のスライド方向に延在する。アーム部64の右寄りの箇所の上面側には接続部68を介して操作ノブ32が接続されている。アーム部64、接続部68および操作ノブ32は樹脂の一体成型品である。操作ノブ32は、アーム部64よりもやや上側で、アーム部64の前面よりもやや前方に突出するように設けられている。
【0047】
第1遮蔽カバー66aおよび第2遮蔽カバー66bは共通の取付片70によってアーム部64の下側面に固定されている。取付片70は、アーム部64の下面組付けられたのちにアーム部64のピン64dと溶着されることによって固定されている。第1遮蔽カバー66aは取付片70の右端部に対して段差部66aaを介してつながっており、該段差部66aaを介して取付片70に対して90度屈曲し、下方に延在するように形成されている。第2遮蔽カバー66bは取付片70の左端部につながっており、取付片70に対して90度屈曲し、下方に延在するように形成されている。第1遮蔽カバー66aと第2遮蔽カバー66bとの距離は、カメラ52とカメラランプ50との距離に等しい。第1遮蔽カバー66a、第2遮蔽カバー66bはアーム部64の前面端よりもやや前方の位置に配置されて下方に突出している。第1遮蔽カバー66aの左右中心位置は、操作ノブ32の切欠32aとX方向について等しい位置である。
【0048】
カバーユニット58は、アーム部64の右側部分がスライド溝62b(
図4参照)に嵌り、左側部分がスライド溝62aに嵌り、さらに操作ノブ32が縁壁30の溝30a(
図4参照)に配置され、それぞれ左右方向に案内されることによってスライドする。カバーユニット58が左寄りの第1位置にあるときには、第1遮蔽カバー66aがカメラ52の前方を覆うとともに、第2遮蔽カバー66bがカメラランプ50の前方を覆う(
図2A参照)。カバーユニット58が右寄りの第2位置にあるときには、第1遮蔽カバー66aがカメラ52の前方を避ける位置に配置されるとともに、第2遮蔽カバー66bがカメラランプ50の前方を避ける位置に配置される(
図2B参照)。ユーザは操作ノブ32を操作してカバーユニット58を第1位置に配置させることによりカメラ52を第1遮蔽カバー66aで覆い、意図しない撮影が行われることを確実に防止することができる。
【0049】
図6は、ディスプレイ筐体16の操作ノブ32の近傍における断面斜視図である。
図6に示すように、操作ノブ32は接続部68によってデバイス収納室38内にあるアーム部64と接続されていることから、少なくとも操作ノブ32がスライドする範囲ではシートベゼル24を貼るシート固定台部36(
図3参照)のような貼り代部分を背面カバー26の一部として形成することは困難である。仮に、この部分でシートベゼル24の貼り代部分を設けないとすると、該シートベゼル24が浮いた状態となり、見栄えが悪く、経時的にシート体が剥がれる原因となり得る。
【0050】
これに対して本実施の形態では、ブラケット34の主板34aが少なくとも操作ノブ32の第1位置から第2位置までの動作範囲にわたって該操作ノブ32からみて下側部分に設けられており、ここにシートベゼル24が固定されている。したがって、この部分でシートベゼル24は主板34aに対して浮きあがりなどがなく安定して固定され、見栄えがよく、しかも経時的にシート体がめくれ上がる又は剥がれることを防止できる。このような作用は可撓性に富むシートベゼル24に有効であるが、適用されるシートベゼル24は多少の剛性があるものでも構わない。
【0051】
シートベゼル24は、例えば粘着テープ72によって主板34aに固定するとよい。また、矩形孔40dが設けられている箇所では、貼り代部分としての主板34aの幅が狭くなるが、シートベゼル24は上縁近傍を主板34aに固定するとともに下縁近傍をディスプレイ22の一部に固定されて安定している。
【0052】
第1遮蔽カバー66aおよび第2遮蔽カバー66bは、シートベゼル24と主板34aとの間に配置される。第1遮蔽カバー66aは段差部66aaを介して矩形孔40dに入り込んでいる。これにより、第1遮蔽カバー66aとアーム部64とを干渉なく接続することができる。
【0053】
アーム部64は前方の筋状突起64aが主板34aの後面に当接して摺動する。これによってアーム部64が前方に抜けることが防止される。また、アーム部64は後方の筋状突起64bがデバイス収納室38の底面38aに当接して摺動する。これによりアーム部64がZ方向について位置決めされるとともに、摩擦の少ないスムーズなスライドが可能になっている。さらに、上記のとおりアーム部64の右側部分はスライド溝62bに嵌っている。アーム部64の右側部分では2本の筋状突起64cがスライド溝62bの下側壁に当接して摩擦を低減することによりスムーズなスライドが可能になっている。
【0054】
図7は、ディスプレイ筐体16の第1集音孔28aの近傍における断面斜視図である。
図7に示すように、主板34aに孔が形成されていない箇所は、その上下方向全幅をシートベゼル24の固定に用いることができる。また、
図6に示す箇所とは異なり操作ノブ32および接続部68がないことから、縁壁30の近傍に多少のシート固定台部74を設けることが可能である。したがってこのような箇所で、シートベゼル24はシート固定台部74、主板34aおよびディスプレイ22にわたって粘着テープ72により固定することができる。
【0055】
また、上記のとおりアーム部64の左側部分はスライド溝62aに嵌っている。アーム部64の左側部分の上側面にはX方向に平行する2本の筋状突起64eが設けられている。下側面および上側面の各2本の筋状突起64c,64eはスライド溝62aの両壁に当接して摩擦を低減することによりスムーズなスライドが可能になっている。
【0056】
上記の例では、操作ノブ32、カバーユニット58、およびカメラ52等がディスプレイ筐体16の上縁およびその近傍に設けられているものとしたが、下縁や左右縁およびその近傍にあってもよい。これらの構成要素が下縁に設けられている場合、上側が枠内側で下側が枠外側に相当する。シートベゼル24は、ディスプレイ22の全周を囲うものに限らず、カメラ52および操作ノブ32の周辺部でディスプレイ22の縁と背面カバー26の縁との間の少なくとも一部を覆うものであってもよい。
【0057】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
10 電子機器
14 本体筐体
16 ディスプレイ筐体
22 ディスプレイ
24 シートベゼル(シート体)
24a 上枠
26 背面カバー
28b カメラランプ孔
28c カメラ孔
30 縁壁
30a 溝
32 操作ノブ
32a 切欠
34 ブラケット
34a 主板
34b 屈曲部
36,74 シート固定台部
38 デバイス収納室
38a 底面
40c カメラランプ孔
40d 矩形孔
50 カメラランプ(光学デバイス)
52 カメラ(光学デバイス)
54 赤外線ポート
58 カバーユニット
60a,60b 壁
64 アーム部(連接部)
66a 第1遮蔽カバー
66aa 段差部
66b 第2遮蔽カバー
72 粘着テープ
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイよりも面積が大きく該ディスプレイの後面を覆う背面カバーと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間に設けられて前方を指向する光学デバイスと、
前記背面カバーの縁に沿った第1位置と第2位置との間でスライド可能な操作ノブと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間の少なくとも一部を覆うシート体と、
前記操作ノブに対して連接部を介して接続され、前記操作ノブが前記第1位置にあるとき前記光学デバイスの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置にあるとき前記光学デバイスの前方を避ける位置に配置される遮蔽カバーと、
前記背面カバーの縁より枠内側で、少なくとも前記操作ノブの前記第1位置から前記第2位置までの動作範囲にわたって延在する板材と、
を備え、
前記シート体は前記板材に固定されており、
前記連接部は前記板材の後面に対して当接および摺動することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
ディスプレイと、
前記ディスプレイよりも面積が大きく該ディスプレイの後面を覆う背面カバーと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間に設けられて前方を指向する光学デバイスと、
前記背面カバーの縁に沿った第1位置と第2位置との間でスライド可能な操作ノブと、
前記ディスプレイの縁と前記背面カバーの縁との間の少なくとも一部を覆うシート体と、
前記操作ノブに対して連接部を介して接続され、前記操作ノブが前記第1位置にあるとき前記光学デバイスの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置にあるとき前記光学デバイスの前方を避ける位置に配置される遮蔽カバーと、
前記背面カバーの縁より枠内側で、少なくとも前記操作ノブの前記第1位置から前記第2位置までの動作範囲にわたって延在する板材と、
を備え、
前記シート体は前記板材に固定されており、
前記連接部は、前記光学デバイスが収納されているデバイス収納室の底面に対して当接および摺動することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器において、
前記板材の枠内側端には、後方に曲がる屈曲部が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記板材は、前記背面カバーの縁に沿って前記光学デバイスの前方を越えて延在しており、記光学デバイスの前方位置に孔が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、
前記遮蔽カバーは前記連接部と段差部を介して接続されて前記孔に入り込んで
いることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記光学デバイスはカメラであることを特徴とする電子機器。