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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176557
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】車両用充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221122BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221122BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/00 A
H02J7/00 303C
H02J7/00 Y
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083052
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】大西 康正
(72)【発明者】
【氏名】井上 大地
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宏二
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB07
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GC04
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB08
5H030FF42
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】無効電流の抑制と第1バッテリの電力により充電される第2バッテリの劣化の抑制との両立を図ることができる、車両用充電制御装置を提供する。
【解決手段】バッテリシステム1の始動時には、補機バッテリ3の充電が行われる。DC-DCコンバータ4の作動時間がG以上かつH以下の範囲内であるときに、バッテリ電流がE以下に低下した場合、バッテリ電流がE以下に低下してからの時間がJに達すると、補機バッテリ3の充電が終了される。一方、システム停止時間がDを超えていた場合、または、DC-DCコンバータ4の作動時間がHに達するまでに、バッテリ電流がE以下に低下しなかった場合には、バッテリ電流がEよりも小さいF以下に低下してからの時間がKに達するまで、補機バッテリ3の充電が継続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリと、前記第1バッテリから出力される電力を降圧するDC-DCコンバータと、前記DC-DCコンバータから供給される充電電流により充電される第2バッテリとを含むバッテリシステムを搭載した車両に用いられて、前記第2バッテリの充電を制御する装置であって、
前記充電電流を検出する電流検出手段と、
前記バッテリシステムの始動時に、前記DC-DCコンバータを制御して、前記第2バッテリの充電を開始する充電開始手段と、
前記第2バッテリの充電の開始から前記電流検出手段により検出される前記充電電流が所定値に低下するまでの時間および前記バッテリシステムが始動前に停止されていた時間に基づいて、前記第2バッテリを満充電未満の所定状態まで充電するか、または、前記第2バッテリを満充電状態まで充電するかを判断する判断手段と、を含む、車両用充電制御装置。
【請求項2】
前記判断手段により前記第2バッテリを前記所定状態まで充電すると判断された場合に、前記電流検出手段により検出される前記充電電流が第1値に低下してからの前記第2バッテリの充電継続時間が第1時間に達すると、前記第2バッテリの充電が完了したと判定する第1判定手段、をさらに含む、請求項1に記載の車両用充電制御装置。
【請求項3】
前記判断手段により前記第2バッテリを前記満充電状態まで充電すると判断された場合に、前記電流検出手段により検出される前記充電電流が前記第1値よりも小さい第2値に低下してからの前記第2バッテリの充電継続時間が第2時間に達すると、前記第2バッテリの充電が完了したと判定する第2判定手段、をさらに含む、請求項2に記載の車両用充電制御装置。
【請求項4】
前記判断手段により前記第2バッテリを前記満充電状態まで充電すると判断された場合に、前記電流検出手段により検出される前記充電電流が第2値に低下してからの前記第2バッテリの充電継続時間が第2時間に達すると、前記第2バッテリの充電が完了したと判定する第2判定手段、をさらに含む、請求項1に記載の車両用充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)など、モータを走行用の駆動源として搭載した電動車両が知られている。
【0003】
電動車両のバッテリシステムには、モータの駆動のための電力を蓄える高電圧バッテリに加え、エンジンのみを走行用の駆動源とするコンベンショナルな車両と同様に、ウォータポンプやラジエータファンなどの補機の駆動のための電力を蓄える補機バッテリが備えられている。高電圧バッテリと補機バッテリとの間には、高電圧バッテリから出力される電力を降圧するDC-DCコンバータが設けられており、補機バッテリは、DC-DCコンバータから供給される電流により充電される。
【0004】
補機バッテリの充電は、CPUおよびメモリなどを含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)によって制御される。ECUには、補機バッテリを充電する充電電流と補機バッテリから放電される放電電流とを区別して検出可能な電流センサが接続されている。ECUでは、電流センサの検出信号から充電電流または放電電流の電流値が取得されて、充電電流または放電電流の電流値の積分により、補機バッテリへの充電量または補機バッテリからの放電量が算出される。そして、それらの電気量(充電量、放電量)の積算により、補機バッテリの充電残量(バッテリ残量)が算出され、補機バッテリの充電容量に対する充電残量の比率を示すSOC(State Of Charge)が算出される。
【0005】
補機バッテリが満充電状態(SOC100%)に達した後、補機バッテリの充電が継続されると、電解液中の水が電気分解されて、補機バッテリ内に無効電流が流れ、水の電気分解による発熱が生じる。これを防止する方策として、たとえば、補機バッテリが満充電未満の一定のSOCまで充電されたときにその充電を停止することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-219570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バッテリシステムの停止中、補機バッテリから特定の負荷に暗電流(待機電流)が流れて、補機バッテリのSOCが低下する。そのため、バッテリシステムの始動時には、ECUが補機バッテリのSOCを正確に把握できず、ECUによるSOCの計算値がSOCの実値よりも大きい場合がある。この場合に、ECUによるSOCの計算値が満充電未満の一定のSOCに達したために、補機バッテリの充電が停止されると、補機バッテリのSOCの実値が満充電未満の一定のSOCよりも低い状態が続き、補機バッテリの早期劣化を招くおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、無効電流の抑制と第1バッテリの電力により充電される第2バッテリの劣化の抑制との両立を図ることができる、車両用充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両用充電制御装置は、第1バッテリと、第1バッテリから出力される電力を降圧するDC-DCコンバータと、DC-DCコンバータから供給される充電電流により充電される第2バッテリとを含むバッテリシステムを搭載した車両に用いられて、第2バッテリの充電を制御する装置であって、第2バッテリを充電する充電電流を検出する電流検出手段と、バッテリシステムの始動時に、DC-DCコンバータを制御して、第2バッテリの充電を開始する充電開始手段と、第2バッテリの充電の開始から電流検出手段により検出される充電電流が所定値に低下するまでの時間およびバッテリシステムが始動前に停止されていた時間に基づいて、第2バッテリを満充電未満の所定状態まで充電するか、または、第2バッテリを満充電状態まで充電するかを判断する判断手段とを含む。
【0010】
この構成によれば、バッテリシステムでは、第1バッテリから出力される電力を降圧するDC-DCコンバータが設けられており、第2バッテリは、DC-DCコンバータから供給される充電電流により充電される。
【0011】
バッテリシステムが始動されると、第2バッテリの充電が行われる。第2バッテリの充電が開始されると、その充電開始から充電電流が所定値に低下するまでの時間が計測される。また、バッテリシステムが始動前に停止されていた時間が取得される。そして、それらの時間に基づいて、第2バッテリを満充電未満の所定状態まで充電するか、または、第2バッテリを満充電状態まで充電するかが判断される。
【0012】
第2バッテリのSOCが大きくなるにつれて、第2バッテリに受け入れられる充電電流が小さくなる。たとえば、第2バッテリの充電開始から所定時間が経過しても、第2バッテリに供給される充電電流が所定値まで低下しない場合、第2バッテリの充電開始時のSOCが小さく、バッテリシステムの停止中における第2バッテリからの放電量(暗電流により消費された電気量)が大きかったと考えられる。
【0013】
また、バッテリシステムが始動前に停止されていた時間が所定の基準を超えている場合も、バッテリシステムの停止中における第2バッテリからの放電量が大きいと考えられる。
【0014】
バッテリシステムの停止中における第2バッテリからの放電量が大きいと、その停止中における暗電流を考慮しても、車両用充電制御装置による第2バッテリのSOCの計算値がSOCの実値からずれ、たとえば、SOCの計算値が満充電未満の一定のSOCに達したことに応じて、第2バッテリの充電が停止されると、第2バッテリのSOCの実値が満充電未満の一定のSOCよりも低い状態が続き、第2バッテリの早期劣化を招くおそれがある。そのため、第2バッテリの充電開始から所定時間が経過しても、第2バッテリに供給される充電電流が所定値まで低下しない場合、または、バッテリシステムが始動前に停止されていた時間が所定の基準を超えている場合には、第2バッテリが満充電状態まで充電されるとよい。これにより、第2バッテリの劣化を抑制することができる。
【0015】
一方、第2バッテリの充電開始から所定時間が経過するまでに、第2バッテリに供給される充電電流が所定値まで低下し、かつ、バッテリシステムが始動前に停止されていた時間が所定の基準を超えていない場合には、第2バッテリが満充電未満の所定状態まで充電された時点で、第2バッテリの充電が停止されるとよい。これにより、第2バッテリが満充電状態に達した後に第2バッテリの充電が継続されることによる無効電流の増加を抑制でき、第2バッテリの充電のための第1バッテリからの電力の持ち出しを低減できる。その結果、バッテリシステムが搭載された電動車両の電費ないしは燃費の向上を図ることができる。
【0016】
車両用充電制御装置は、判断手段により第2バッテリを満充電未満の所定状態まで充電すると判断された場合、電流検出手段により検出される充電電流が第1値に低下してからの第2バッテリの充電継続時間が第1時間に達すると、第2バッテリの充電が完了したと判定する第1判定手段をさらに含む構成であってもよい。
【0017】
また、車両用充電制御装置は、判断手段により第2バッテリを満充電状態まで充電すると判断された場合、電流検出手段により検出される充電電流が第2値に低下してからの第2バッテリの充電継続時間が第2時間に達すると、第2バッテリの充電が完了したと判定する第2判定手段をさらに含む構成であってもよい。
【0018】
第2バッテリを満充電状態まで充電するために、第2値は、第1値よりも小さい値に設定されるとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、無効電流の抑制と第1バッテリの電力により充電される第2バッテリの劣化の抑制との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るECUとともに電動車両に搭載されるバッテリシステムの構成を示す図である。
図2】始動時充電制御の流れを示すフローチャートである。
図3】条件1-1~5の内容を示す図である。
図4】条件2-1,2の内容を示す図である。
図5】条件3-1~5の内容を示す図である。
図6】充電完了判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】条件4-1~4の内容を示す図である。
図8】リフレッシュ充電制御の流れを示すフローチャートである。
図9】条件5-1,2の内容を示す図である。
図10】条件6-1~3の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
<バッテリシステム>
図1は、電動車両のバッテリシステム1の構成を示す図である。
【0023】
バッテリシステム1は、電動車両に搭載される電源システムであり、高電圧バッテリ2、補機バッテリ3およびDC-DCコンバータ4を含む。電動車両は、駆動モータを走行用の駆動源とする車両であれば、とくに限定はなく、エンジンおよびエンジンの動力で発電する発電モータを搭載したハイブリッド車両(HV:Hybrid Vehicle)であってもよいし、エンジンを搭載していない電気自動車(EV:Electric Vehicle)であってもよい。
【0024】
高電圧バッテリ2は、複数個の電池セルを直列に接続してモジュール化された組電池であり、たとえば、約200~350V(ボルト)の直流電力を出力する。各電池セルは、リチウムイオン電池などの二次電池からなる。駆動モータの力行運転時には、高電圧バッテリ2から出力される直流電力がインバータにより交流電力に変換されて、その交流電力が駆動モータに供給される。一方、駆動モータの回生運転時には、駆動モータで発生する交流電力がインバータにより直流電力に変換されて、その直流電力で高電圧バッテリ2が充電される。
【0025】
補機バッテリ3は、駆動モータ以外の補機(たとえば、ウォータポンプやラジエータファンなど)を含む負荷5の電源として使用される二次電池であり、12V(ボルト)の直流電力を出力する鉛蓄電池からなる。
【0026】
DC-DCコンバータ4は、絶縁トランスを備える絶縁型DC-DCコンバータである。DC-DCコンバータ4の一次側は、高電圧バッテリ2に接続され、二次側は、補機バッテリ3に接続されている。
【0027】
また、電動車両には、複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が搭載されている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラ)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
【0028】
複数のECUには、バッテリシステム1を制御するためのECU6が含まれる。ECU6には、補機バッテリ3のプラス端子を流れる電流を検出する電流センサ7が接続されている。電流センサ7には、補機バッテリ3のプラス端子を流れる充電電流と補機バッテリ3のプラス端子を流れる放電電流とを区別して検出可能なものが採用されている。また、ECU6には、補機バッテリ3の端子電圧であるバッテリ電圧が入力される。
【0029】
ECU6は、バッテリシステム1の作動中、電流センサ7の検出信号から充電電流または放電電流の電流値を取得し、充電電流または放電電流の電流値の積分により、補機バッテリ3への充電量または補機バッテリ3からの放電量を算出する。さらに、ECU6は、充電量および放電量の積算により、補機バッテリ3の充電残量(バッテリ残量)を算出し、補機バッテリ3の充電容量に対する充電残量の比率を示すSOC(State Of Charge)を算出する。ECU6で算出されたSOCは、ECU6の不揮発性メモリに上書きで記憶される。
【0030】
<始動時充電制御>
図2は、始動時充電制御の流れを示すフローチャートである。
【0031】
バッテリシステム1の始動時には、ECU6により、始動時充電制御が行われる。電動車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられると、ECU6は、バッテリシステム1を始動させる。また、イグニッションスイッチがオフである間、ECU6は、定期的に自己起動し、補機バッテリ3のバッテリ電圧(以下、単に「バッテリ電圧」という。)を取得して、バッテリ電圧が所定の始動電圧以下に低下しているか否かを判断する。バッテリ電圧が始動電圧以下に低下している場合、ECU6は、バッテリシステム1を始動させる。バッテリシステム1は、高電圧バッテリ2とDC-DCコンバータ4との間に介在されているリレーがオフの状態で動作を停止し、そのリレーがオフからオンに切り替えられると始動する。バッテリ電圧が始動電圧よりも高い場合には、ECU6は、バッテリシステム1を始動させずに、自らの動作を停止する。
【0032】
始動時充電制御では、まず、DC-DCコンバータ4が制御されて、補機バッテリ3の充電が開始される(ステップS11:始動時充電開始)。すなわち、DC-DCコンバータ4が始動されて、高電圧バッテリ2から出力される直流電力が所定の充電電圧に降圧され、その降圧された直流電力がDC-DCコンバータ4から補機バッテリ3に供給されることにより、補機バッテリ3の充電が開始される。
【0033】
次に、図3に示される条件1-1~5のすべてが成立しているか否かが判断される(ステップS12)。条件1-1は、補機バッテリ3のバッテリ液の温度であるバッテリ液温がA(℃)以上かつB(℃)以下の範囲内であるという条件である。A(℃)およびB(℃)は、それぞれ補機バッテリ3の充電を良好に行うことができるバッテリ液温範囲の上限値および下限値に設定される。たとえば、補機バッテリ3の周囲温度を検出する温度センサが設けられており、バッテリ液温は、その温度センサにより検出される周囲温度から推定される。条件1-2は、バッテリ電圧がC(V)以上であるという条件である。C(V)は、補機バッテリ3の公称電圧よりも大きい値に設定される。条件1-3は、DC-DCコンバータ4が作動しているという条件である。条件1-4は、バッテリシステム1の動作モードが補機バッテリ3を充電する充電モードであるという条件である。条件1-5は、バッテリシステム1が始動前に停止されていた時間(バッテリシステム1の停止から始動までの時間)であるシステム停止時間がD(sec)以下であるという条件である。システム停止時間は、イグニッションスイッチがオフされている時間と等しい。D(sec)は、イグニッションスイッチがオフされている間に、補機バッテリ3のSOCが暗電流により補機バッテリ3の劣化を促進させる値まで低下するのに要する時間以上に設定されている。
【0034】
条件1-1~5のすべてが成立している場合(ステップS12のYES)、ECU6の揮発性メモリに設けられているSOC推定条件判定フラグに1がセットされる(ステップS13)。条件1-1~5のいずれか1つでも成立していない場合には(ステップS12のNO)、SOC推定条件判定フラグが0にリセットされる(ステップS14)。SOC推定条件判定フラグは、始動時充電制御の開始時に0にリセットされている。
【0035】
その後、図4に示される条件2-1が成立しているか否かが判断される(ステップS15)。条件2-1は、補機バッテリ3に供給される充電電流(以下、「バッテリ電流」という。)がE(A)以下であるという条件である。
【0036】
条件2-1が成立していない場合(ステップS15のNO)、つづいて、図4に示される条件2-2が成立しているか否かが判断される(ステップS16)。条件2-2は、バッテリ電流がF(A)以下であるという条件である。F(A)は、E(A)よりも小さい値であり、補機バッテリ3が満充電状態(実SOC100%)であるときに補機バッテリ3に流れる無効電流に応じた値に設定されている。
【0037】
条件2-1が成立している場合(ステップS15のYES)、つまりバッテリ電流がE(A)以下である場合には、ECU6の揮発性メモリに設けられている第1カウンタのカウント値がカウントアップされる(ステップS17)。第1カウンタは、補機バッテリ3にE(A)以下のバッテリ電流が供給されている時間を計測するカウンタであり、発振器からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタからなる。第1カウンタのカウント値は、始動時充電制御の開始時に0にリセットされている。
【0038】
条件2-2が成立している場合(ステップS16のYES)、つまりバッテリ電流がF(A)以下である場合には、ECU6の揮発性メモリに設けられている第2カウンタのカウント値がカウントアップ(+1)される(ステップS18)。第2カウンタは、補機バッテリ3にF(A)以下のバッテリ電流が供給されている時間を計測するカウンタであり、発振器からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタからなる。第2カウンタのカウント値は、始動時充電制御の開始時に0にリセットされている。
【0039】
なお、条件2-2が成立する場合、条件2-1は不成立と判断される。したがって、条件2-1は、バッテリ電圧がF(A)よりも大きくかつE(A)以下であるという条件と言い換えられてもよい。
【0040】
条件2-1,2のいずれも成立していない場合には(ステップS16のNO)、第1カウンタおよび第2カウンタのカウントアップは行われない。
【0041】
その後、図5に示される条件3-1~3のすべてまたは条件3-4が成立しているか否かが判断される(ステップS19)。条件3-1は、SOC推定条件判定フラグに1がセットされているという条件である。条件3-2は、バッテリ電流がE(A)以下であるという条件である。条件3-3は、DC-DCコンバータ4の作動時間がG(sec)以上かつH(sec)以下であるという条件である。G(sec)は、DC-DCコンバータ4の動作が安定するのに要する時間に設定されている。H(sec)は、バッテリシステム1の停止中の補機バッテリ3のSOCの低下量が正常である場合に、補機バッテリ3の充電開始からバッテリ電流(充電電流)がE(A)以下まで低下するのに要する時間に設定されている。条件3-4は、1制御周期前のSOC推定判定フラグの状態が1であるという条件である。SOC推定判定フラグは、ECU6の揮発性メモリに設けられており、始動時充電制御の開始時に0にリセットされている。
【0042】
条件3-1~3の少なくとも1つが成立せず、かつ、条件3-4が成立していない場合(ステップS19のNO)、図5に示される条件3-5が成立しているか否かが判断される(ステップS20)。条件3-5は、試算SOCがI(%)以下であるという条件である。I(%)は、補機バッテリ3のSOCがその値以下になると、補機バッテリ3の劣化が促進する値に設定されている。バッテリシステム1の作動中は、ECU6により補機バッテリ3のSOCが算出されて、その算出されたSOCがECU6の不揮発性メモリに上書きで記憶される。一方、バッテリシステム1の停止中は、ECU6によるSOCの算出が行われず、ECU6の不揮発性メモリに記憶されているSOCが更新されない。バッテリシステム1の停止時間が長いほど、バッテリシステム1の停止中に、補機バッテリ3から負荷5に流れる暗電流により補機バッテリ3のSOCが低下する。そのため、バッテリシステム1の始動時にECU6の不揮発性メモリに記憶されているSOCは、補機バッテリ3のSOCの実値(実SOC)よりも大きい値にずれる。そこで、ECU6では、バッテリシステム1の始動時に不揮発性メモリに記憶されているSOCからバッテリシステム1の停止時間に応じた補正値が減算されて、その減算値が補機バッテリ3の試算SOCとして算出され、始動時充電制御中は、試算SOCが補機バッテリ3への充電量の積算により更新される。
【0043】
条件3-1~3のすべてが成立するか、または、条件3-4が成立している場合(ステップS19のYES)、SOC推定判定フラグに1がセットされる(ステップS21)。
【0044】
条件3-5が成立している場合(ステップS20のYES)、SOC推定判定フラグが0にリセットされる(ステップS22)。
【0045】
条件3-1~3の少なくとも1つが成立せず、かつ、条件3-4が成立せず、かつ、条件3-5が成立していない場合(ステップS20のNO)、1制御周期前のSOC推定判定フラグの状態がそのまま維持される(ステップS23)。
【0046】
始動時充電制御では、1制御周期ごとに、ステップS12からステップS21,S22,S23までの処理が繰り返される。そして、後述する充電完了判定処理により、ECU6の揮発性メモリに設けられている充電完了判定フラグに1がセットされると、それに応じて、始動時充電制御が終了される。
【0047】
<充電完了判定処理>
図6は、充電完了判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
始動時充電制御と並行して、ECU6により、充電完了判定処理が行われる。
【0049】
充電完了判定処理では、図7に示される条件4-1,3の両方または条件4-2,4の両方が成立しているか否かが判断される(ステップS31)。条件4-1は、第1カウンタのカウント値に対応する時間がJ(sec)以上であるという条件である。J(sec)は、バッテリ電流がE(A)に低下した時点からF(A)に低下するまでに要する時間よりも短い時間に設定されている。条件4-2は、第2カウンタのカウント値に対応する時間がK(sec)以上であるという条件である。K(sec)は、補機バッテリ3にF(A)以下のバッテリ電流が供給されることによって、補機バッテリ3の実SOCが確実に100%となる時間に設定されている。条件4-3は、SOC推定判定フラグの状態が1であるという条件である。条件4-4は、SOC推定判定フラグの状態が0であるという条件である。
【0050】
条件4-1,3の両方が成立するか、または、条件4-2,4の両方が成立した場合(ステップS31のYES)、すなわち、SOC推定判定フラグの状態が1であり、かつ、バッテリ電流がE(A)以下に低下してからJ(sec)以上の時間が経過した場合、または、SOC推定判定フラグの状態が0であり、かつ、バッテリ電流がF(A)以下に低下してからK(sec)以上の時間が経過した場合、ECU6の揮発性メモリに設けられている充電完了判定フラグに1がセットされる(ステップS32)。充電完了判定フラグは、充電完了判定処理の開始時に0にリセットされている。充電完了判定フラグに1がセットされると、その時点で始動時充電制御が終了される。
【0051】
一方、SOC推定判定フラグの状態が1であり、バッテリ電流がE(A)以下に低下していないか、または、バッテリ電流がE(A)以下に低下してからの時間がJ(sec)未満である場合には、充電完了判定フラグが0にリセットされた状態に維持される(ステップS33)。また、SOC推定判定フラグの状態が0であり、バッテリ電流がF(A)以下に低下していないか、または、バッテリ電流がF(A)以下に低下してからの時間がK(sec)未満である場合には、充電完了判定フラグが0にリセットされた状態に維持される(ステップS33)。充電完了判定フラグの状態が0である間は、始動時充電制御が終了されず、条件4-1,3の両方または条件4-2,4の両方が成立しているか否かが繰り返し判断される(ステップS31)。
【0052】
充電完了判定フラグに1がセットされると、SOC推定判定フラグの状態が1であるか否かが判断される(ステップS34)。そして、SOC推定判定フラグの状態が1である場合には(ステップS34のYES)、補機バッテリ3のSOCが98%にセットされて(ステップS35)、充電完了判定処理が終了される。一方、SOC推定判定フラグの状態が0である場合には(ステップS34のNO)、補機バッテリ3のSOCが100%にセットされて(ステップS36)、充電完了判定処理が終了される。
【0053】
<効果>
始動時充電制御では、たとえば、条件1-1~5のすべてが成立し、SOC推定条件判定フラグに1がセットされた後、DC-DCコンバータ4の作動時間がG(sec)以上かつH(sec)以下の範囲内であるときに、バッテリ電流がE(A)以下に低下すると、第1カウンタのカウントアップが開始されるとともに、条件3-1~3のすべてが成立して、SOC推定判定フラグに1がセットされる。SOC推定判定フラグに1がセットされると、その後は、条件3-4が成立するので、SOC推定判定フラグに1がセットされた状態が維持される。
【0054】
始動時充電制御の開始時の試算SOCがI(%)以下である場合には、条件1-5が成立するので、SOC推定判定フラグが0にリセットされたままにされる。その後、補機バッテリ3の充電が進み、試算SOCがI(%)を上回り、条件3-5が成立しなくなっても、条件3-1~3のすべてが成立しない限り、SOC推定判定フラグの状態が1制御周期前のSOC推定判定フラグの状態に維持されるので、SOC推定判定フラグが0にリセットされた状態が続く。条件3-1~3のすべてが成立した場合には、SOC推定判定フラグに1がセットされ、その後は、条件3-4が成立することにより、SOC推定判定フラグに1がセットされた状態が維持される。
【0055】
充電完了判定処理では、SOC推定判定フラグに1がセットされている場合、第1カウンタのカウント値に対応する時間、つまりバッテリ電流がE(A)以下に低下してからの時間がJ(sec)に達したか否かが判断される。そして、バッテリ電流がE(A)以下に低下してからの時間がJ(sec)に達すると、充電完了判定フラグに1がセットされる。充電完了判定フラグに1がセットされると、始動時充電制御が終了されて、補機バッテリ3の充電(始動時充電)が終了される。J(sec)は、バッテリ電流がE(A)に低下した時点からF(A)に低下するまでに要する時間よりも短い時間に設定される。これにより、補機バッテリ3の充電が終了される時点において、バッテリ電流はF(A)まで低下しておらず、補機バッテリ3は満充電状態に達していない満充電未満の所定状態である。そのため、補機バッテリ3が満充電状態に達した後に補機バッテリ3の充電が継続されることによる無効電流の増加を抑制でき、補機バッテリ3の充電のための高電圧バッテリ2からの電力の持ち出しを低減できる。その結果、バッテリシステム1が搭載された電動車両の電費ないしは燃費の向上を図ることができる。
【0056】
そして、この場合、補機バッテリ3のSOCが98%にセットされる。これにより、補機バッテリ3の計算値を実SOCとほぼ一致させることができる。
【0057】
一方、始動時充電制御では、システム停止時間がD(sec)を超えていた場合、条件1-5が成立しないので、SOC推定条件判定フラグに1がセットされず、SOC推定条件判定フラグが0のままにされる。この場合、条件3-1が成立せず、また、1制御周期前のSOC推定判定フラグが0であるから、条件3-4も成立しない。そのため、試算SOCがI(%)以下である場合には、条件3-5が成立して、SOC推定判定フラグが0にリセットされた状態に維持され、試算SOCがI(%)より大きくても、SOC推定判定フラグの状態が1制御周期前のSOC推定判定フラグの状態に維持されるので、SOC推定判定フラグが0にリセットされた状態が続く。
【0058】
また、条件1-1~5のすべてが成立し、SOC推定条件判定フラグに1がセットされた場合であっても、DC-DCコンバータ4の作動時間がH(sec)に達するまでに、バッテリ電流がE(A)以下に低下しなかった場合には、条件3-2が成立しないので、SOC推定判定フラグに1がセットされず、試算SOCがI(%)以下である場合には、条件3-5が成立して、SOC推定判定フラグが0にリセットされた状態に維持され、試算SOCがI(%)より大きくても、SOC推定判定フラグの状態が1制御周期前のSOC推定判定フラグの状態に維持されるので、SOC推定判定フラグが0にリセットされた状態が続く。
【0059】
充電完了判定処理では、SOC推定判定フラグに0がセットされている場合、第2カウンタのカウント値に対応する時間、つまりバッテリ電流がF(A)以下に低下してからの時間がK(sec)に達したか否かが判断される。そして、バッテリ電流がF(A)以下に低下してからの時間がK(sec)に達すると、充電完了判定フラグに1がセットされる。充電完了判定フラグに1がセットされると、始動時充電制御が終了されて、補機バッテリ3の充電(始動時充電)が終了される。F(A)は、補機バッテリ3が満充電状態であるときに補機バッテリ3に流れる無効電流に応じた値に設定されている。そのため、バッテリ電流がF(A)以下に低下してからの経過時間がK(sec)に達するまで補機バッテリ3の充電が継続されることにより、補機バッテリ3が押し込み充電される。これにより、補機バッテリ3の実SOCが低い状態が続くことを抑制でき、補機バッテリ3の劣化を抑制することができる。
【0060】
<リフレッシュ充電制御>
図8は、リフレッシュ充電制御の流れを示すフローチャートである。
【0061】
バッテリシステム1が動作中であり、そのバッテリシステム1の動作モードが充電モード以外のモード、つまり燃費モードであるときには、ECU6により、リフレッシュ充電制御が行われる。燃費モードでは、ECU6により、補機バッテリ3のSOCが98%に保持されるように、補機バッテリ3の充電(DC-DCコンバータ4の動作)がフィードバック制御される。
【0062】
リフレッシュ充電制御では、図9に示される条件5-1,2の両方が成立しているか否かが判断される(ステップS41)。条件5-1は、燃費モードの継続時間がL(sec)以上であるという条件である。L(sec)は、燃費モードが継続されても、補機バッテリ3の実SOCが所定の低SOC(たとえば、97%)に低下しない時間に設定されている。条件5-2は、ECU6の揮発性メモリに設けられているリフレッシュ完了フラグの状態が1であるという条件である。始動時充電制御の終了時、リフレッシュ完了フラグに1がセットされる。
【0063】
条件5-1,2の両方が成立するまで、処理は先に進められず(ステップS41のNO)、条件5-1,2の両方が成立すると(ステップS41のYES)、ECU6の揮発性メモリに設けられているリフレッシュ開始フラグに1がセットされ、ECU6の揮発性メモリに設けられているリフレッシュ開始フラグが0にリセットされる(ステップS42)。
【0064】
また、DC-DCコンバータ4が制御されて、補機バッテリ3のリフレッシュ充電が開始される(ステップS43:リフレッシュ充電開始)。
【0065】
そして、ECU6の揮発性メモリに設けられている第3カウンタのカウント値がカウントアップ(+1)される(ステップS43)。第3カウンタは、補機バッテリ3のリフレッシュ充電が行われている時間(以下、「リフレッシュ充電時間」という、)を計測するカウンタであり、発振器からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタからなる。第3カウンタのカウント値は、リフレッシュ充電制御の開始時に0にリセットされている。
【0066】
その後、図10に示される条件6-1,2の両方が成立するか、または、条件6-1が成立せず、かつ、条件6-3が成立するかが判断される(ステップS45)。条件6-1は、SOC推定判定フラグの状態が1であるという条件である。条件6-2は、リフレッシュ充電時間がM(sec)以上であるという条件である。M(sec)は、リフレッシュ充電によって、補機バッテリ3が満充電未満の所定状態(たとえば、SOCが98%の状態)になるのに十分な時間に設定されている。条件6-3は、リフレッシュ充電時間がN(sec)以上であるという条件である。N(sec)は、M(sec)よりも大きい値であり、リフレッシュ充電によって、補機バッテリ3が満充電状態になるのに十分な時間に設定されている。
【0067】
条件6-1,2の両方が成立するか、または、条件6-1が成立せず、かつ、条件6-3が成立するまで、補機バッテリ3のリフレッシュ充電が続けられ、第3カウンタのカウントアップが続けられる(ステップS44)。
【0068】
条件6-1,2の両方が成立した場合(ステップS45のYES)、すなわち、SOC推定判定フラグの状態が1であって、リフレッシュ充電時間がM(sec)に達した場合、リフレッシュ充電が終了されて(ステップS46)、リフレッシュ開始フラグが0にリセットされ、リフレッシュ終了フラグに1がセットされる(ステップS47)。このとき、SOC推定判定フラグの状態が1であるから、SOC推定判定フラグの状態が1であるか否かの判断が肯定されて(ステップS48のYES)、補機バッテリ3のSOCが98%にセットされた後(ステップS49)、リフレッシュ充電制御が終了される。
【0069】
条件6-1が成立せず、かつ、条件6-2が成立した場合(ステップS45のYES)、すなわち、SOC推定判定フラグの状態が0であって、リフレッシュ充電時間がN(sec)に達した場合、リフレッシュ充電が終了されて(ステップS46)、リフレッシュ開始フラグが0にリセットされ、リフレッシュ終了フラグに1がセットされる(ステップS47)。このとき、SOC推定判定フラグの状態が0であるから、SOC推定判定フラグの状態が1であるか否かの判断が否定されて(ステップS48のNO)、補機バッテリ3のSOCが100%にセットされた後(ステップS49)、リフレッシュ充電制御が終了される。
【0070】
<作用>
燃費モードでは、補機バッテリ3のSOCが98%に保持されるように、補機バッテリ3の充電がフィードバック制御される。燃費モードの継続時間がL(sec)以上になると、補機バッテリ3のリフレッシュ充電が行われる。リフレッシュ充電により、補機バッテリ3の実SOCの低い状態が続くことを抑制でき、補機バッテリ3の劣化を抑制することができる。
【0071】
始動時充電制御において、SOC推定判定フラグに1がセットされて、バッテリ電流がE(A)以下に低下してからの時間がJ(sec)に達した時点で補機バッテリ3の始動時充電が終了された場合、つまり補機バッテリ3の充電が満充電未満の所定状態で終了された場合、リフレッシュ充電制御では、リフレッシュ充電時間がN(sec)よりも短いM(sec)に達した時点で補機バッテリ3のリフレッシュ充電が終了される。そのため、補機バッテリ3が満充電状態に達した後に補機バッテリ3の充電が継続されることによる無効電流の増加を抑制でき、補機バッテリ3のリフレッシュ充電のための高電圧バッテリ2からの電力の持ち出しを低減できる。その結果、バッテリシステム1が搭載された電動車両の電費ないしは燃費の向上を図ることができる。
【0072】
そして、この場合、補機バッテリ3のSOCが98%にセットされる。これにより、補機バッテリ3の計算値を実SOCとほぼ一致させることができる。
【0073】
一方、始動時充電制御において、SOC推定判定フラグに0がセットされて、バッテリ電流がF(A)以下に低下してからの時間がK(sec)に達した時点で補機バッテリ3の始動時充電が終了された場合、つまり補機バッテリ3の充電が満充電状態で終了された場合、リフレッシュ充電制御では、リフレッシュ充電時間が補機バッテリ3を満充電状態まで充電するのに十分な時間N(sec)に達した時点で、補機バッテリ3のリフレッシュ充電が終了される。これにより、補機バッテリ3の押し込み充電が行われて、補機バッテリ3の実SOCの低い状態が続くことを抑制でき、補機バッテリ3の劣化を抑制することができる。
【0074】
そして、この場合、補機バッテリ3のSOCが100%にセットされる。これにより、補機バッテリ3の計算値を実SOCとほぼ一致させることができる。
【0075】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0076】
たとえば、E(A)、F(A)、J(sec)、K(sec)、M(sec)およびN(sec)は、補機バッテリ3のバッテリ液温に応じて可変に設定されてもよい。E(A)およびF(A)は、たとえば、バッテリ液温が高くなるにつれて広義単調増加(単調非減少)するように設定されてもよい。また、J(sec)、K(sec)、M(sec)およびN(sec)は、たとえば、バッテリ液温が高くなるにつれて単調減少するように設定されてもよい。これにより、E(A)、F(A)、J(sec)、K(sec)、M(sec)およびN(sec)をバッテリ液温に応じた値に設定することができ、バッテリ液温にかかわらず、補機バッテリ3を満充電未満の所定状態または満充電状態まで良好に充電することができる。
【0077】
また、前述の実施形態では、補機バッテリ3のSOCが98%である状態を補機バッテリ3の満充電未満の所定状態の一例として取り上げたが、補機バッテリ3の満充電未満の所定状態は、補機バッテリ3のSOCが100%未満であれば、SOCが97%である状態など、SOCが98%以外の値をとる状態であってもよい。
【0078】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1:バッテリシステム
2:高電圧バッテリ(第1バッテリ)
3:補機バッテリ(第2バッテリ)
4:DC-DCコンバータ
6:ECU(車両用充電制御装置、電流検出手段、充電開始手段、判断手段)
7:電流センサ(電流検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10