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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176564
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】契約書情報の提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20221122BHJP
【FI】
G06Q50/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083066
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】519061974
【氏名又は名称】LIRIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀幸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】業務上のニーズに適合し、信頼性の高い契約書情報の提供方法を提供する。
【解決手段】提供者端末と、利用者端末と、サーバ端末とがネットワークを介して各々接続されるシステムにおける契約書情報の提供方法であって、サーバ端末の制御部は、利用者端末から受信した契約書に関する取得要求に基づいて、提供者から取得した契約書に関する契約書雛形及び提供者とは異なる評価者から提供された評価情報を含む契約書情報を、利用者端末に提供し、提供者の提供者端末に対して報酬を付与する報酬付与処理を実行する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約書情報の提供方法であって、
サーバ端末の制御部は、
利用者端末から受信した、契約書に関する取得要求に基づいて、提供者から取得した契約書に関する契約書情報を前記利用者端末に提供し、
前記提供者の提供者端末に対して報酬を付与する報酬付与処理を実行する、
契約書情報の提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記契約書情報は、契約書雛形であり、前記提供者とは異なる評価者から提供された評価情報を含むことを特徴とする、契約書情報の提供方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記取得要求は、契約書に関する検索要求を含み、
前記制御部は、
前記検索要求に基づいて、前記サーバ端末の記憶部に格納された、複数の契約書情報の中から候補となる契約書情報を抽出し、
前記候補となる契約書情報を前記利用者端末に提供する、契約書情報の提供方法。
【請求項4】
請求項2に記載の提供方法であって、
前記評価情報は、前記評価者のうち、所定の属性を有する評価者のみから提供を受け付けることを特徴とする、契約書情報の提供方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記報酬は、前記提供者が、利用者として契約書情報の提供を受ける権利に関することを特徴とする、契約書情報の提供方法。
【請求項6】
法律文書の提供方法であって、
サーバ端末の制御部は、
利用者端末から受信した、法律文書に関する取得要求に基づいて、提供者から取得した法律文書に関する情報を前記利用者端末に提供し、
前記法律文書に対する、前記提供者とは異なる評価者からの評価情報を受け付ける、
提供方法。
【請求項7】
請求項6に記載の提供方法であって、
前記評価情報は、前記評価者のうち、所定の属性を有する評価者のみから提供を受け付けることを特徴とする、提供方法。









【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約書情報の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、法律業界において、契約関連業務のデジタル化が進行しており、企業の法務担当者等が契約書を作成する場面においても、社内のデータベースやウェブ上から契約書の雛形を取得し、利用することも多くなってきている。
【0003】
例えば、特許文献1において、契約種別に応じた契約書テンプレートを用いて、顧客情報、商品情報、商談内容等の項目を選択することで契約書作成を簡素化する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-269551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、予め決められた契約種別、契約内容に基づいて契約書作成をするためには有用であるが、実務上、企業の法務担当者の課題として、自社のデータベース内に業務に合った契約書が見つからないケースや、新規事業等事業の変化に適合した契約書が無いケースが起こり得る。そこで、ウェブ上で契約書雛形を見つけようとするも、信頼性に欠ける不確かな内容のものしか見つからなかったり、他方、弁護士等の外部専門家に業務に合った契約書の作成を依頼しても相応の費用がかかる等が挙げられる。
【0006】
そこで、本発明は、業務上のニーズに適合し、信頼性の高い契約書情報の提供方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、契約書情報の提供方法であって、サーバ端末の制御部は、利用者端末から受信した、契約書に関する取得要求に基づいて、提供者から取得した契約書に関する契約書情報を前記利用者端末に提供し、前記提供者の提供者端末に対して報酬を付与する報酬付与処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、業務上のニーズに適合し、信頼性の高い契約書の提供方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の提供システムを示すブロック構成図である。
図2図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
図3図1の提供者端末200を示す機能ブロック構成図である。
図4】サーバ100に格納される提供者データの一例を示す図である。
図5】サーバ100に格納される利用者データの一例を示す図である。
図6】サーバ100に格納される契約書データの一例を示す図である。
図7】サーバ100に格納される評価データの一例を示す図である。
図8】本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の登録方法の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の第一実施形態に係る、評価情報の登録方法の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の提供方法の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第一実施形態に係る、弁護士検索のための画面例である。
図12】本発明の第一実施形態に係る、弁護士検索結果を示す画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の提供システムを示すブロック構成図である。本システム1は、例えば、企業や法律事務所等の提供者より提供された契約書雛形等の契約書情報を格納し、契約書情報を利用者に対して提供するマーケットプレイス事業者に関連づけられるサーバ端末100、契約書情報を提供する提供者に関連づけられる提供者端末200、及び契約書情報を利用する利用者端末300を含む。なお、説明の便宜上、各端末を単一または特定数のものとして記載しているが、各々、数は制限されず、複数のサーバ端末、提供者端末及び利用者端末で構成されてもよい。
【0012】
サーバ端末100、提供者端末200及び利用者端末300は、ネットワークNW1を介して各々接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
提供者端末200及び利用者端末300は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン端末等の情報処理装置であるが、携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0015】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100、提供者端末200、及び利用者端末300を備え、各端末のユーザが各々の端末を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各ユーザが直接操作を行う機能を備えても良い。
【0016】
図2は、図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0017】
通信部110は、ネットワークNW1を介して提供者端末200、利用者端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0018】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、契約書情報を提供する提供者に関連する各種データを格納する、提供者データ格納部121、契約書情報を利用する利用者に関連する各種データを格納する、利用者データ格納部122、契約書情報に関連する各種データを格納する、契約書データ格納部123、及び契約書に関する評価に関連する各種データを格納する評価データ格納部124を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0019】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、各端末からの情報を受け付ける情報受付部131と、提供者に関連する各種データを参照し、処理する、提供者情報処理部132と、利用者に関連する各種データを参照し、処理する、利用者情報処理部133と、契約書情報に関連する各種データを参照し、処理する、契約書情報処理部134と、評価に関連する各種データを参照し、処理する、評価情報処理部135とを有する。この情報受付部131、提供者情報処理部132、利用者情報処理部133、契約書情報処理部134及び評価情報処理部135は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0020】
情報受付部131は、サーバ端末100が提供し、提供者端末200、利用者端末300から通信部110を介して情報を受付ける。例えば、提供者端末200からは、提供者に関する情報及び契約書に関する情報(例えば、後述する提供者データ1000、契約書データ3000等)等を、利用者端末200からは、利用者に関する情報及び契約書に関する要求(例えば、後述する利用者データ2000等)等を各々受信する。
【0021】
提供者情報処理部132は、提供者端末200から受信した提供者に関連する各種データ(例えば、後述する提供者データ1000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0022】
利用者情報処理部133は、提供者端末200から受信した利用者に関連する各種データ(例えば、後述する利用者データ2000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0023】
契約書情報処理部134は、提供者から提供された契約書に関連する情報(例えば、後述する契約書データ3000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0024】
評価情報処理部135は、提供者のうち、法律事務所に所属する弁護士等から提供された契約書の評価に関連する情報(例えば、後述する評価データ4000等)を参照し、所定の処理を行う。
【0025】
また、制御部130は、図示しない、画面生成部を有することもでき、求めに応じて、提供者端末200及び利用者端末300各々のユーザーインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された(図示しない)画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザーインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザーインターフェースを生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0026】
図3は、図1の提供者端末200を示す機能ブロック構成図である。提供者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0027】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0028】
表示操作部220は、提供者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザーインターフェースであり、提供者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、提供者端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である提供者端末200により実行される。
【0029】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0030】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、提供者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0031】
なお、利用者端末300についても、提供者端末200と基本構成は同等であり、目的や用途に応じて適宜改変したものを用いることができ、詳細な説明は省略する。
【0032】
図4は、サーバ100に格納される提供者データの一例を示す図である。
【0033】
図4に示す提供者データ1000は、契約書情報を提供者に関連する各種データを格納する。図4において、説明の便宜上、一提供者(提供者ID「10001」で識別される提供者)の例を示すが、複数の提供者の情報を格納することができる。提供者に関連する各種データとして、例えば、提供者に関する基本情報(例えば、企業の場合、企業名、業種、従業員数、資本金、売上規模、上場/未上場の種別等、法律事務所の場合、法律事務所名、弁護士名等)、提供者情報が提供する契約書情報(例えば、後述する契約書データと紐づける識別子等)、及び報酬情報(契約書情報に提供に対する報酬(利用者として所定回数の契約書情報を取得する権利(例えば、所定回数契約書雛形をダウンロードする権利)、金銭による報酬付与の場合は金額の情報等))を含むことができる。ここで、基本情報に含まれる一部の情報(例えば、企業の場合は資本金、売上規模、法律事務所の場合は法律事務所名、弁護士名)については、秘密情報であったり、信用にかかわる情報であったりするため、任意提供とすることができ、提供者が当該情報を提供しない場合は提供者データとして格納せず、情報を加工する場合は、加工された情報(例えば、匿名や非表示)として格納することができる。また、提供者は、信用の観点から法人、法律事務所に限定し、個人事業主等の個人は除外することもできる。マーケットプレイス事業者は、事前に提供者の信用を含め適格について審査することもできる。
【0034】
図5は、サーバ100に格納される利用者データの一例を示す図である。
【0035】
利用者データ2000は、利用者に関連する各種データを格納する。図5において、説明の便宜上、一利用者(利用者ID「20001」で識別される利用者)の例を示すが、複数の利用者に関連する情報を格納することができる。利用者(ここで、利用者は、個人または組織である場合を含む)に関連する各種データとして、例えば、利用者の基本情報(例えば、利用者の氏名または名称、住所または所在地、利用者が所属する企業名等)、利用者が参照または取得した契約書情報(例えば、後述する契約書データに紐づけられる識別子等)、及び支払情報(例えば、月額プラン及び種別等、都度支払いの場合は支払額等、決済情報等)を含むことができる。ここで、月額プランの場合は、契約書雛形のダウンロード数の上限を設け、上限を超える場合は都度支払い(1契約書当たりの金額を支払う)を行うプランとすることができる。ダウンロード可能数の上限に応じて、「ベーシック」、「プロ」等のプランを設定することもできる。
【0036】
図6は、サーバ100に格納される契約書データの一例を示す図である。
【0037】
契約書データ3000は、契約書に関連する各種データを格納する。図6において、説明の便宜上、一契約書(契約書ID「30001」で識別される契約書)の例を示すが、複数の契約書に関連する情報を格納することができる。契約書に関連する各種データとして、例えば、契約書名、契約種別(例えば、売買基本契約、業務委託契約、雇用契約、代理店契約、秘密保持契約等)、提供者の契約書上の立場(例えば、「売主」、「買主」等)、契約の対象、種類(例えば、物産(「貴金属」等)、不動産、債権等)、想定ケース(例えば、「商品の継続的な売買を行う際に使用」等)、ポイントその他説明(例えば、契約書上の論点、重要な条項等の説明、例えば、「購入した商品や原材料に不良があった場合の「契約不適合責任」に関する契約条項について、具体的に記載されています」等)、ページ数(例えば、「5ページ」等)、最終更新日(例えば、「2021/3/8」等)、契約書雛形のドキュメントファイル(例えば、Wordファイル、エクセルファイル、テキストファイル等)、契約書に対する評価情報(例えば、後述する評価データと紐づける識別子等)を含むことができる。上述の通り、契約書データとして、契約書雛形に関する契約書情報を含むことができ、信用の観点から、企業または法律事務所の弁護士のみから契約書情報を受け付けることができる。ここで、契約書情報は、サーバ端末100がオンラインで提供者から受け付けた情報を契約書データ3000として契約書データ格納部123に格納することもできるし、オフラインでマーケットプレイス事業者が提供者から提供を受けた契約書情報を、マーケットプレイス事業者が自らアップロードすることで、契約書データ3000として契約書データ格納部123に格納することもできる。
【0038】
図7は、サーバ100に格納される評価データの一例を示す図である。
【0039】
評価データ4000は、契約書情報(例えば、契約書雛形等)に対する評価に関連する各種データを格納する。図7において、説明の便宜上、一評価(評価ID「40001」で識別される評価)の例を示すが、複数の評価に関連する情報を格納することができる。評価に関連する各種データとして、例えば、契約書の評価を行う評価者情報(例えば、弁護士名、法律事務所名等)、契約書情報(例えば、評価対象となる契約書情報を紐づけるための識別子等)、評価(例えば、総合評価、項目別(条項別を含む)評価、及びコメント(例えば、弁護士による契約書に対するコメント)を含むことができる。ここで、評価者について、属性として、個人や企業法務担当者というよりも、弁護士による評価とすることで、契約書情報に対するより高い信頼性を担保することができる。また、ここで、評価者は、契約書情報の提供者とは異なる者であって、他の契約書情報提供者もしくは利用者としてのユーザであってもよいが、上述の通り、弁護士という属性のユーザであることが好ましい。
【0040】
<処理の流れ>
図8を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する契約書情報の登録方法の処理の流れについて説明する。図8は、本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の登録方法の一例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS101の前段の処理として、本システム1を利用するために、提供者は、各端末のウェブブラウザまたはアプリケーション等を利用してサーバ端末100にアクセスし、初めてサービスを利用する場合は、前述の提供者の基本情報等を入力することでユーザ登録を行う。サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、提供者端末200から、ユーザ登録に必要な情報を受信する。サーバ端末100の制御部130の提供者情報処理部131は、受信した情報を、記憶部120の提供者データ格納部121に、提供者データ1000として格納する。ここで、サーバ端末100は、提供者に対し、契約書情報の提供者であることを示す情報を入力させる等により、提供者であることが判別することができれば、このように、提供者データ1000として格納することもできるし、契約書情報の提供者であるか、利用者であるかを区別なく提供者データ1000若しくは利用者データ2000として、提供者に関する情報を格納することもできる。なお、提供者が既にユーザ登録済であって、ユーザアカウントを取得済の場合は、例えばIDとパスワードを入力する等の所定の認証を受けてログインすることで、サービスが利用可能となる。この認証後、ウェブサイト、アプリケーション等を介して所定のユーザーインターフェースが提供され、ステップS101へ進む。
【0042】
続いて、ステップS101の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、提供者端末200から、契約書情報を取得する。例えば、契約書情報として、図6において説明したように、契約書雛形のドキュメントファイルのほか、契約書名、契約書種別(業務委託契約、委任契約、秘密保持契約等)、提供者の契約書上の立場(売主または買主等)、契約の対象、種類(物産、不動産、商品、債権等)、想定ケース(甲が乙に商品の製造を委託する等)、ポイントその他説明(契約書上の論点、重要な条項等の説明)、ページ数、最終更新日等の情報を含むことができる。
【0043】
本ステップにおいては、上述した通り、サーバ端末100を管理するマーケットプレイス事業者が、オフラインにて、提供者から契約書雛形のファイルその他情報を受領し、受領した情報をサーバ端末100にアップロードすることで実行することもできるし、提供者からネットワークを介してオンラインにて契約書情報を受信する形態とすることもできる。
【0044】
次に、ステップS102の処理として、サーバ端末100の制御部130の契約書情報処理部134は、取得した契約書情報を登録する。例えば、契約書情報処理部134は、アップロードまたは受信した契約書情報について、契約書データ3000として記憶部120の契約書データ格納部123に格納する。既に当該契約書情報についてデータが格納されている場合は、データの変更または追加/削除箇所についてデータを更新する。これにより契約書情報の登録が完了し、利用者は登録された契約書情報にアクセスすることができる。
【0045】
図9は、本発明の第一実施形態に係る、評価情報の登録方法の一例を示すフローチャートである。
【0046】
登録された契約書情報(契約書雛形)に対し、評価者(本例においては、法律事務所の弁護士)から評価情報を受け付ける。ここで、評価情報は、契約書雛形に対する総合的な評価、項目(条項別)評価、及びコメントを含む。
【0047】
ステップS201の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、評価者の端末(例えば、提供者としての弁護士であれば、提供者端末200、または、利用者としての弁護士であれば利用者端末300)から、評価に関する情報を受け付ける。例えば、企業の法務担当者や法律事務所の弁護士等の提供者は、特定の契約書雛形を参照し、選択または指定したうえで、その契約書に対し、総合評価(例えば、5段階評価)、項目別評価(例えば、契約書の網羅性、明確性、専門性、立場への配慮、わかりやすさについて5段階評価)を入力のうえ、投稿することができる。
【0048】
続いて、ステップS202の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、提供者端末200から、評価に関する情報を受け付ける。例えば、評価者は、上記選択または指定した契約書雛形について、コメントとして、「最新の法改正にも対応した、非常に使い勝手のよい雛形です。第5条は自社の事情に即した内容に書き換えると良いでしょう」といった自由記載を入力することができる。なお、ステップS201、ステップS202の処理は前後してもよく、同時に評価とコメントとを受け付けることでもよく、また、ステップS203の処理を省略することもできる。
【0049】
次に、ステップS203の処理として、サーバ端末100の制御部130の評価情報処理部135は、取得した評価情報を登録する。例えば、契約書情報処理部133は、受信した評価情報について、評価データ4000として、評価対象となる契約書情報と紐づけて記憶部120の評価データ格納部124に格納する。既に当該契約書情報について評価データが格納されている場合は、データを更新する。これにより評価情報の登録が完了し、利用者は契約書情報について評価情報を参照することができる。
【0050】
図10は、本発明の第一実施形態に係る、契約書情報の提供方法の一例を示すフローチャートである。
【0051】
利用者は、検索要求等の利用要求を通じて、サーバ端末100に登録された契約書情報(契約書雛形)にアクセスし、利用したい契約書情報(契約書雛形)を、ダウンロード等を通じて取得する。
【0052】
ステップS301の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、通信部110を介して、利用者端末300から、契約書情報に対する利用要求を受け付ける。例えば、企業の法務担当者等の利用者は、マーケットプレイス事業者が提供するサービスのランディングページ(LP)等において、利用したい契約書雛形に関連するキーワードを入力することで利用要求を行うことができる。例えば、利用者が売買契約について契約書雛形を参照したい場合、「売買」等のキーワードを入力する。また、利用者は、詳細検索を通じ、契約の種別、立場等、図6を用いて例示した契約書情報に含まれる情報をキーとして検索要求を行うこともできる。なお、LPには、検索機能に限らず、マーケットプレイス事業者が受け付けた新着の契約書雛形を提示したり、契約書の種別をカテゴリとして契約書雛形を提示することもでき、利用者は、提示された契約書雛形を個別に選択することもできる。
【0053】
続いて、ステップS302の処理として、サーバ端末100の制御部130の契約書情報処理部134は、受信した利用要求に含まれる情報に基づいて、契約書情報を参照する処理を行う。例えば、契約書情報処理部134は、利用者から受け付けた検索要求に「売買」というキーワードが含まれる場合、契約書データ格納部123に格納された契約書データ3000に含まれる契約書に関する情報と比較し、該当する契約書情報を候補として抽出することができる。本例においては、利用要求に基づいて、売買基本契約の雛形を抽出する。ここで、契約書データ3000に、予め検索用のタグ(例えば、契約書の種別に基づいて、「売買」、「業務委託」、「雇用」等のタグ)を含めることができ、タグに基づいて候補となる契約書雛形を抽出することができる。
【0054】
次に、ステップS303の処理として、契約書情報処理部134は、利用者端末300に対し、利用要求に基づいて抽出した契約書情報を提供する。例えば、契約書情報処理部134は、利用要求に基づき抽出した売買基本契約の雛形を、利用者端末300に対して送信し、表示させる処理を行う。ここで、売買基本契約の雛形を表示させるに対し、キーワード検索及び/または詳細検索に含まれるキーワードとのマッチング度が高い順、新着順、または、総合評価の高い順に表示させることができる。このように、利用者は、契約書雛形にアクセスすることができ、実際に利用したい契約書雛形についてダウンロード等を通じて取得することができる。ここで、利用者は、サブスクリプションプラン(月額プラン)に加入している場合、当該プランの範囲内で、所定のダウンロード回数分だけダウンロードを行うことができ、回数が上限に達した場合は、都度課金を行うことで、ダウンロードを行うことができる。サブスクリプションについては、例えば、ダウンロード回数の上限に応じて、ベーシックプラン、プロプランといったグレードを設け、月額金額を設定することができる。なお、本例では、契約書雛形そのものを提供する例を記載しているが、利用者の利用要求に応じて、参照したい条項のみを提供することもできる。例えば、利用者が、契約書のうち、損害賠償条項のみを参照したい場合、サーバ端末100において、条項別に提供された契約書情報を格納しておき、損害賠償条項のみを抽出し、利用者に対して提供することもできる。また、他の例として、利用者の利用要求によらず、利用者情報に基づいて、利用者にとってニーズがあると思われる契約書情報を推測し、提供することもできる。例えば、利用者の企業の業種、従業員数、サービス内容、上場の有無等の情報等を予め利用者データ2000として格納しておき、これらの情報を参照することで、類似した業種等の提供者が提供した契約書雛形を利用者端末300に対して提供することもできる。
【0055】
次に、ステップS304の処理として、提供者情報処理部132は、利用者による契約書情報の利用形態に基づいて、提供者に対して報酬を付与する処理を行う。例えば、上述のように、利用者が、提供された契約書雛形についてダウンロードを行う処理をした場合、利用者情報処理部133は、利用者データ格納部122に格納された利用者データ2000を参照し、利用者の支払情報について、ダウンロード回数の更新を行う処理を行い、また、ダウンロード対象となった契約書雛形について、契約書情報に紐づける処理を行う。また、提供者情報処理部133は、ダウンロード対象となった契約書情報を提供した提供者に対し、提供者データ格納部121に格納された提供者データ1000を参照し、提供者の報酬情報について、利用者としての、所定のダウンロード回数の特典を付与するよう更新する処理を行う。ここで、提供者に対する特典として、利用者としての所定のダウンロード回数の特典を付与することに限らず、例えば、ダウンロード1回当たり所定の金銭を付与する、といった特典であってもよい。その他、提供した契約書雛形に対し、評価を受けることができる権利であったり、提供者または利用者登録された弁護士に相談できる権利等の特典を付与することもできる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、利用者観点からみて、業務上のニーズに適合し、かつ、信頼性の高い契約書情報にアクセスすることができ、提供者観点からみて、契約書情報を提供することで、専門家からの評価を受けられたり、他の提供者から提供された契約書情報を有利に利用できる等のリターンを受けることができるので、契約書提供のインセンティブが働き、利用者及び提供者双方にメリットのある、契約書情報のシェアリングエコノミーを構築することができる。
【0057】
また、本実施形態において、高い信頼性を要する、提供者による契約書情報(例えば、契約書雛形)の共有について言及したが、本実施形態を、契約書情報に限らず、法律文書(例えば、就業規則等の社内規則、各種議事録(例えば、取締役会議事録、株主総会議事録)、各種通知(例えば、人事通知))の共有にも適用することができる。
【0058】
また、本実施形態の他の例によれば、利用者は、図11に示すように、本システムを通じて、弁護士検索を行うことができる。利用者は、弁護士検索に際して、キーワード検索により、例えば、契約書雛形を提供した、法律事務所名、弁護士名等のキーワードを使って弁護士を検索したり、弁護士が拠点を置く地域(例えば、都道府県別)に基づいて検索したり、弁護士の注力分野に基づいて検索したり、対応可能な連絡手段(例えば、電話、メール等)に基づいて検索したりすることができる。そして、検索結果として、サーバ端末100は、弁護士の一覧を利用者端末300に表示させ、利用者による弁護士の選択要求に応じて、図12に示すように、サーバ端末100は、利用者端末300に、弁護士に関する情報(例えば、弁護士名、所属法律事務所名、弁護士のアピール文、特徴、シェアした契約書雛形等)を表示させることができる。このように、提供者として、法律事務所の弁護士は契約書の雛形を利用者に対して共有を行い、利用者は所望の契約書雛形を利用できるとともに、弁護士は、契約書雛形を提供したことを契機として、または、利用者による検索に基づいて、利用者から契約書等に関する相談を受け付けることができる。
【0059】
さらに、本実施形態の他の例によれば、契約書情報を提供する提供者間のコミュニティを形成することができる。例えば、提供者をグループとしたオンラインによる掲示板を生成することで、一の提供者が提供した契約書雛形等の契約書に関する事項について議論を行うことができたり、利用者向けに提供していない契約書雛形を共有することができる。これにより、契約書に関する事項について、利用者の目を気にしない、より深い議論を図り、また、例えば企業法務のような、よりテーマを絞った議論を図ることができる。また、より詳細で具体的な契約書雛形等の契約書情報の共有を図ることができる。ここで、提供者グループとして、提供者全体のグループのほか、提供者の属性(例えば、企業または法律事務所、業種、従業員数、上場の有無等)別にグループを形成することもできる。
【0060】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行って実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行ったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 提供者端末、300 利用者端末、NW1 ネットワーク
図1
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