(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176581
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】推進装置、及び流体機械
(51)【国際特許分類】
B63H 21/17 20060101AFI20221122BHJP
B63H 21/14 20060101ALI20221122BHJP
B63C 11/48 20060101ALI20221122BHJP
B63C 11/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B63H21/17
B63H21/14
B63C11/48 D
B63C11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083087
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】西田 健彦
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】磯部 真一
(72)【発明者】
【氏名】山田 航
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓慶
(72)【発明者】
【氏名】三上 晃
(57)【要約】
【課題】効率がさらに向上した推進装置、及び流体機械を提供する。
【解決手段】推進装置は、軸線方向に延びる機体と、軸線回りに回転可能な第一プロペラと、第一プロペラよりも下流側に設けられて軸線回りに回転可能な第二プロペラと、第一プロペラ及び第二プロペラの一方を回転駆動する電動モータと、第一プロペラ及び第二プロペラの他方を回転駆動する熱機関と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる機体と、
前記軸線回りに回転可能な第一プロペラと、
前記第一プロペラよりも下流側に設けられて前記軸線回りに回転可能な第二プロペラと、
前記第一プロペラ及び前記第二プロペラの一方を回転駆動する電動モータと、
前記第一プロペラ及び前記第二プロペラの他方を回転駆動する熱機関と、
を備える推進装置。
【請求項2】
前記機体を外周側から囲うように設けられて、前記機体との間に流路を形成するシュラウドと、
前記流路に設けられる前記第一プロペラと、
前記流路における前記第一プロペラよりも下流側に設けられる前記第二プロペラと、
前記シュラウド内に設けられる前記電動モータと、
前記機体に設けられる前記熱機関と、
を備える請求項1に記載の推進装置。
【請求項3】
前記第一プロペラと前記第二プロペラとの回転方向が反対である請求項1又は2に記載の推進装置。
【請求項4】
前記電動モータは、
前記シュラウドに固定されたステータ、及び、該ステータの径方向内側で前記第一プロペラ及び前記第二プロペラのうちの一方の外周部に固定されたロータを備える外周駆動モータである請求項2又は3に記載の推進装置。
【請求項5】
前記電動モータ、及び前記熱機関の動作を制御する制御部をさらに備え、
該制御部は、前記推進装置による速度が予め定められた閾値未満である場合には前記電動モータのみを動作させ、前記閾値以上である場合には前記熱機関を動作させる請求項1から4のいずれか一項に記載の推進装置。
【請求項6】
前記電動モータは、バッテリーから供給された電力によって前記第一プロペラ及び前記第二プロペラの一方を回転駆動する請求項1から5のいずれか一項に記載の推進装置。
【請求項7】
流体機械本体と、
該流体機械本体に設けられた請求項1から6のいずれか一項に記載の推進装置と、を備える流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推進装置、及び流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
水中を航行する機械に搭載される推進装置として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に係る装置は、ガスタービンで駆動する発電機と、この発電機が発生させた電力によって駆動する電動モータと、発電した電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、を備えている。
【0003】
ガスタービンは常に高出力域で運転されて発電機を駆動する。発電した電力は、電動モータ、及び電力貯蔵装置へ供給される。電力貯蔵装置が所要の最大充電量に達するとガスタービンを停止するとされている。また、電動モータによって1つのみのプロペラが回転駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に係る構成では、ガスタービンの動力を発電機で電力に変換する際にエネルギーの損失が発生してしまう。また、電動モータのみによってプロペラの駆動力を賄う必要があることから、当該電動モータが大型化してしまう。その結果、推進装置の効率が損なわれる虞がある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、効率がさらに向上した推進装置、及び流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る推進装置は、軸線方向に延びる機体と、前記機体を外周側から囲うように設けられて、前記機体との間に流路を形成するシュラウドと、前記流路に設けられて、前記軸線回りに回転可能な第一プロペラと、前記流路における前記第一プロペラよりも下流側に設けられて前記軸線回りに回転可能な第二プロペラと、前記シュラウド内に設けられて前記第一プロペラ及び前記第二プロペラの一方を回転駆動する電動モータと、前記機体に設けられて前記第一プロペラ及び前記第二プロペラの他方を回転駆動する熱機関と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、効率がさらに向上した推進装置、及び流体機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る推進装置、及び水中航走体(流体機械)の構成を示す断面図である。
【
図2】燃料電池システム及び燃機関の効率特性の一例を示すグラフである。
【
図3】電動モータ及び熱機関の効率特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(水中航走体の構成)
以下、本開示の実施形態に係る水中航走体100(流体機械)について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、水中航走体100は、航走体本体80(流体機械本体)と、推進装置90と、を備えている。航走体本体80は、軸線Oに沿って延びる耐圧性容器によって構成されている。航走体本体80内には、例えば水中航走に必要な各種機器、電源、通信設備、センサ等が収容されている。
【0011】
(推進装置の構成)
推進装置90は、航走体本体80の後部に一体に取り付けられている。推進装置90は、水中航走体100を水中で推進させるための装置である。推進装置90は、機体1と、シュラウド2と、第一プロペラ3と、第二プロペラ4と、電動モータ5と、熱機関6と、変速機7と、インバータ8と、バッテリー9と、第一軸受部10と、第二軸受部11と、回転軸71と、制御部200と、を有している。
【0012】
(機体の構成)
機体1は、航走体本体80に一体に設けられている。機体1は、航走体本体80の一部であってもよい。機体1は軸線Oに沿って延びている。本実施形態の機体1は、軸線O方向一方側(以下、「上流側」と称する」)から軸線O方向他方側(以下、「下流側」と称する)に向かうにしたがって縮径する円錐台形状をなしている。
【0013】
(シュラウドの構成)
シュラウド2は、機体1を外側から覆う筒状をなしている。シュラウド2は、軸線Oを含む断面視で、翼型の断面形状を有している。本実施形態では、シュラウド2は、上流側から下流側に向かうに従って次第に縮径している。なお、シュラウド2の形状は航走体本体80の形状に対応させて種々に変更することが可能である。
【0014】
シュラウド2は、機体1に対して複数のストラット2aによって固定されている。ストラット2aは、機体1から径方向外側に向かって延びている。ストラット2aは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。また、ストラット2aは、径方向外側に向かうに従って下流側に向かって斜めに延びている。ストラット2aの径方向外側の端部は、シュラウド2の上流側の端部近傍に固定されている。シュラウド2と機体1との間の空間は、水が流通する流路Fとされている。
【0015】
(第一プロペラの構成)
第一プロペラ3は、内周側リング31と、第一羽根32と、を有している。内周側リング31は、軸線Oを中心とする円環状をなしている。内周側リング31は、機体1の外周面に設けられた第一軸受部10によって軸線O回りに回転可能に支持されている。第一軸受部10は、上流側スラスト軸受10aと、下流側スラスト軸受10bと、ジャーナル軸受10cと、を有している。上流側スラスト軸受10aは、内周側リング31に上流側から対向することで上流側に向かうスラスト荷重(軸線O方向の荷重)を負担する。下流側スラスト軸受10bは、内周側リング31に下流側から対向することで下流側に向かうスラスト荷重を負担する。ジャーナル軸受10cは、内周側リング31に対して径方向内側から対向することで径方向の荷重を負担する。
【0016】
内周側リング31の外周面は、下流側に向かうに従って次第に縮径することでテーパ状をなしている。したがって、機体1の外周面と内周側リング31の外周面とは実質的に面一となっている。内周側リング31の外周面には、第一羽根32が設けられている。第一羽根32は、内周側リング31から径方向外側に向かって延びるとともに、周方向に間隔をあけて複数配列されている。これら第一羽根32は、内周側リング31とともに軸線O回りに回転駆動されることで下流側に向かう推進力を発生させる。
【0017】
(電動モータの構成)
電動モータ5は、第一プロペラ3を回転駆動するための装置である。電動モータ5は、シュラウド2の内部に設けられている。つまり、この電動モータ5は外周駆動モータである。電動モータ5は、シュラウド2の内周面に形成された凹部に収容されている。電動モータ5は、シュラウド2側に固定されたステータ51と、第一羽根32の径方向外側の端部に固定されたロータ52と、を有している。ステータ51は複数のコイルを有し、ロータ52は永久磁石を有している。このうち、ステータ51にはバッテリー9の電力がインバータ8を介して供給される。これらバッテリー9、及びインバータ8は機体1の内部に収容されている。
【0018】
(第二プロペラの構成)
第二プロペラ4は、機体1の下流側の端部に軸線Oを回転軸として設けられている。つまり、第二プロペラ4は第一プロペラ3よりも下流側に位置している。また、第二プロペラ4の回転方向は、第一プロペラ3の回転方向とは反対である。つまり、これら第一プロペラ3と第二プロペラ4は二重反転プロペラを構成している。
【0019】
第二プロペラ4は、ボス部41と、第二羽根42と、を有している。ボス部41は、軸線Oを中心とする円盤状をなしている。第二羽根42は、ボス部41の外周面から径方向外側に向かって延びるとともに周方向に間隔をあけて複数配列されている。上述のようにシュラウド2が下流側に向かうに従って縮径していることから、第二羽根42の径方向の寸法は、第一羽根32の径方向の寸法よりも小さく設定されている。
【0020】
ボス部41の中心(つまり、軸線Oの位置)には、回転軸71が取り付けられている。回転軸71は、軸線Oに沿って延びる棒状をなしている。回転軸71は、機体1の下流側の端部に設けられた第二軸受部11によって軸線O回りに回転可能に支持されている。第二軸受部11はジャーナル軸受である。
【0021】
(熱機関、変速機の構成)
熱機関6は、第二プロペラ4を回転駆動するための装置である。熱機関6として具体的にはガスタービンが好適に用いられる。熱機関6は、タンク61から供給された燃料によって駆動する。熱機関6の回転駆動力はまず変速機7に伝達される。変速機7には、上記の回転軸71の上流側の端部が接続されている。変速機7は、回転軸71の回転数を調節するための装置である。なお、変速機7を設けず、熱機関6のみによって直接的に回転軸71を回転させる構成を採ることも可能である。
【0022】
(制御部の構成)
制御部200は、電動モータ5、及び熱機関6の動作を制御するための装置である。水中航走体100が低速域にある場合には、制御部200は電動モータ5のみを駆動する。つまり、低速域では第一プロペラ3のみが回転駆動された状態となる。一方で、水中航走体100が高速域にある場合には、制御部200は電動モータ5に加えて熱機関6を駆動する。これにより、第一プロペラ3及び第二プロペラ4が回転駆動された状態となる。
【0023】
(作用効果)
次いで、水中航走体100、及び推進装置90の動作について説明する。推進装置90を動作させるに当たって、制御部200はまずバッテリー9の電力によって電動モータ5を駆動する。電動モータ5が駆動することで、第一プロペラ3が軸線O回りに回転する。これにより、流路F内の水が下流側に向かって押し出され、水中航走体100に推進力が与えられる。水中航走体100の速度が予め定められた閾値未満にあるときは、このように電動モータ5による第一プロペラ3の駆動のみによって推進力を得る。
【0024】
一方で、水中航走体100の速度が上記の閾値以上となった場合、制御部200は電動モータ5に加えて、熱機関6を駆動する。これにより、第二プロペラ4も回転し、水中航走体100の速度がさらに高くなる。速度域が変化するごとに、上記のような駆動源の切り替えと切り離しを繰り返して水中航走体100が水中を航走する。
【0025】
以上、説明したように、上記構成によれば、電動モータ5によって第一プロペラ3が回転駆動され、熱機関6によって第二プロペラ4が回転駆動される。これにより、例えば速度域ごとに使用する駆動源を変えることが可能となる。その結果、推進装置90をより効率的に運用することが可能となる。
【0026】
さらに、上記構成によれば、上流側の第一プロペラ3と下流側の第二プロペラ4との回転方向を反転させた二重反転プロペラとすることで、第一プロペラ3で生じた旋回流を第二プロペラ4で回収することができる。そのため、第二プロペラ4の後流での旋回損失を低減させることができる。これにより、推進装置90の推進性能をさらに向上させることができる。
【0027】
加えて、上記構成によれば、電動モータ5は機体1内部ではなくシュラウド2内に設けられた外周駆動モータであることから、シュラウド2の周囲を流れる水によって常態的に冷却された状態となる。これにより、他の冷却装置を設けることなく電動モータ5を冷却することができる。その結果、推進装置90の効率性をさらに向上させることができる。
【0028】
また、電動モータ5と熱機関6の2系統の動力源が互いに独立しているので、熱機関6から電動モータ5に電力を供給する発電機、減速機、補機類の追加が不要で、システムの複雑化や設置スペースの増大を回避することができる。
【0029】
ここで
図2に示すように、駆動源として燃料電池システムを用いた場合、負荷が小さい低速域では特に高い効率特性を示し、負荷が大きい高速域でも、ある程度高い効率特性を示す。一方で、駆動源としてディーゼルエンジンや火花点火エンジン等の熱機関を用いた場合には、負荷が小さい低速域での効率特性が低下する傾向がある。熱機関としてガスタービンを用いた場合にも同様の傾向を示す。
これに対して、上記構成によれば、速度が閾値未満の低速域では電動モータ5のみによって第一プロペラ3を駆動する。即ち、
図3のグラフに示すように、電動モータ5は熱機関6に比べて低出力域での効率特性が優れていることから、上記構成によって推進装置90の効率性を向上させることができる。また、電動モータ5のみによる駆動であることから低速域での静粛性も高めることができる。
【0030】
さらに、速度が閾値以上の高速域では電動モータ5に加えて熱機関6も動作させることで、さらなる出力の向上を図ることができる。上述した通り、熱機関6としてのガスタービンは低速域での効率特性が電動モータ5に劣る。そこで、上記のように低速域では電動モータ5を主体として駆動し、高速域に達した段階で熱機関6を駆動することで、電動モータ5及び熱機関6の効率特性をお互いに補い合うことができる。
【0031】
また、上記構成によれば、熱機関6とは独立したバッテリー9から供給された電力を用いて電動モータ5を駆動する。これにより、例えば熱機関6によって発電した電力を電動モータ5に供給する構成を採った場合の熱機関による負荷が小さい低速域での効率低下を回避でき、電力変換時に生じる損失もなくすことができる。このため、推進装置90の効率をさらに高めることができる。
【0032】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば実施形態では、第一プロペラ3を電動モータ5で駆動し、第二プロペラ4を熱機関6で駆動する構成とした。しかしながらこれに限定されることはなく、第一プロペラ3を熱機関6で駆動し、第二プロペラ4電動モータ5で駆動する構成としてもよい。
【0033】
さらに、上記実施形態では、シュラウド2の断面形状を翼型にした例について説明したが、必ずしも翼型でなくてもよい。シュラウド2の断面形状は流線形状であることが好ましいが、例えば、矩形状等の他の形状であってもよい。この場合であっても、シュラウド2は下流側に向かって縮径することで、流路断面積が下流側程小さくなる流路を区画形成する。
【0034】
また、上記実施形態では、本開示に係る推進装置90を水中航走体100に適用した例について説明した。しかしながらこれに限定されることはなく、例えば、水上を航行する船舶等に推進装置90を適用してもよい。また、推進装置90の構成をポンプ等の他の水中で用いられる流体機械に適用してもよい。また、水を圧送する流体機械のみならず、油等の他の液体を圧送する流体機械に本発明を適用してもよい。
【0035】
<付記>
各実施形態に記載の推進装置90、及び水中航走体100(流体機械)は、例えば以下のように把握される。
【0036】
(1)第1の態様に係る推進装置90は、軸線O方向に延びる機体1と、前記軸線O回りに回転可能な第一プロペラ3と、前記第一プロペラ3よりも下流側に設けられて前記軸線O回りに回転可能な第二プロペラ4と、前記第一プロペラ3及び前記第二プロペラ4の一方を回転駆動する電動モータ5と、前記第一プロペラ3及び前記第二プロペラ4の他方を回転駆動する熱機関6と、を備える。
【0037】
上記構成によれば、電動モータ5によって第一プロペラ3及び第二プロペラ4の一方が回転駆動され、熱機関6によって第一プロペラ3及び第二プロペラ4の他方が回転駆動される。これにより、例えば速度域ごとに使用する駆動源を変えることが可能となる。その結果、推進装置90をより効率的に運用することが可能となる。
【0038】
(2)第2の態様に係る推進装置90は、前記機体1を外周側から囲うように設けられて、前記機体との間に流路Fを形成するシュラウド2と、前記流路Fに設けられる前記第一プロペラ3と、前記流路Fにおける前記第一プロペラ3よりも下流側に設けられる前記第二プロペラ4と、前記シュラウド2内に設けられる前記電動モータ5と、前記機体1に設けられる前記熱機関6と、を備える。
【0039】
上記構成によれば、電動モータ5は機体1の内部ではなくシュラウド2内に設けられた外周駆動モータであることから、シュラウド2の周囲を流れる水によって常態的に冷却された状態となる。これにより、他の冷却装置を設けることなく電動モータ5を冷却することができる。その結果、推進装置90の効率性をさらに向上させることができる。
【0040】
(3)第3の態様に係る推進装置90では、前記第一プロペラ3と前記第二プロペラ4との回転方向が反対である。
【0041】
上記構成によれば、上流側の第一プロペラ3と下流側の第二プロペラ4との回転方向を反転させた二重反転プロペラとすることで、第一プロペラ3で生じた旋回流を第二プロペラ4で回収することができる。そのため、第二プロペラ4の後流での旋回損失を低減させることができる。
【0042】
(4)第4の態様に係る推進装置90では、前記電動モータ5は、前記シュラウド2に固定されたステータ51、及び、該ステータ51の径方向内側で前記第一プロペラ3及び前記第二プロペラ4のうちの一方の外周部に固定されたロータ52を備える外周駆動モータである。
【0043】
上記構成によれば、電動モータ5は機体1の内部ではなくシュラウド2内に設けられた外周駆動モータであることから、シュラウド2の周囲を流れる水によって常態的に冷却された状態となる。これにより、他の冷却装置を設けることなく電動モータ5を冷却することができる。その結果、推進装置90の効率性をさらに向上させることができる。
【0044】
(5)第5の態様に係る推進装置90では、前記電動モータ5、及び前記熱機関6の動作を制御する制御部200をさらに備え、該制御部200は、前記推進装置90による速度が予め定められた閾値未満である場合には前記電動モータ5のみを動作させ、前記閾値以上である場合には前記熱機関6を動作させる。
【0045】
上記構成によれば、速度が閾値未満の低速域では電動モータ5のみによって第一プロペラ3及び第二プロペラ4の一方を駆動する。電動モータ5は熱機関6に比べて低出力域での効率特性が優れていることから、上記構成によって推進装置90の効率性を向上させることができる。また、電動モータ5のみによる駆動であることから静粛性も高めることができる。さらに、速度が閾値以上の高速域では電動モータ5に加えて熱機関6も動作させることで、さらなる出力の向上を図ることができる。
【0046】
(6)第6の態様に係る推進装置90では、前記電動モータ5は、バッテリー9から供給された電力によって前記第一プロペラ3及び前記第二プロペラ4の一方を回転駆動する。
【0047】
上記構成によれば、熱機関6とは独立したバッテリー9から供給された電力を用いて電動モータ5を駆動する。これにより、例えば熱機関6によって発電した電力を電動モータ5に供給する構成を採った場合の熱機関による負荷が小さい低速域での効率低下を回避でき、電力変換時に生じる損失もなくすことができる。このため、推進装置90の効率をさらに高めることができる。
【0048】
(7)第7の態様に係る流体機械(水中航走体100)は、流体機械本体(航走体本体80)と、該流体機械本体に設けられた上記いずれか一態様に係る推進装置90と、を備える。
【0049】
上記構成によれば、流体機械の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 水中航走体
90 推進装置
1 機体
2 シュラウド
2a ストラット
3 第一プロペラ
4 第二プロペラ
5 電動モータ
6 熱機関
7 変速機
8 インバータ
9 バッテリー
10 第一軸受部
10a 上流側スラスト軸受
10b 下流側スラスト軸受
10c ジャーナル軸受
11 第二軸受部
31 内周側リング
32 第一羽根
41 ボス部
42 第二羽根
51 ステータ
52 ロータ
61 タンク
71 回転軸
80 航走体本体
200 制御部