(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176592
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】収容容器及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/06 20060101AFI20221122BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
B65D77/06 B
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083103
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸田 広史
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA04
3E067AB01
3E067AB81
3E067BA02B
3E067BA02C
3E067BB01B
3E067BB11C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB25B
3E067BC01B
3E067BC03C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067CA04
3E067EA32
3E067EB27
3E067FA04
(57)【要約】
【課題】環境負荷を低減できる収容容器を提供する。
【解決手段】内部空間に取替容器を取替可能に収容する収容容器である。上部に開口部を有する有底筒状の容器本体と、容器本体の開口部に取り付けられて取替容器の上端を下方に押える内蓋部と、容器本体の開口部及び内蓋部を開閉可能に塞ぐ蓋部と、を有する。蓋部は、内蓋部と対向する面から下方に延びて内蓋部を押圧する押圧リブを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に取替容器を取替可能に収容する収容容器であって、
上部に開口部を有する有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の前記開口部に取り付けられて前記取替容器の上端を下方に押える内蓋部と、
前記容器本体の前記開口部及び前記内蓋部を開閉可能に塞ぐ蓋部と、を有し、
前記蓋部は、前記内蓋部と対向する面から下方に延びて前記内蓋部を押圧する押圧リブを有する収容容器。
【請求項2】
前記内蓋部は、円環状である請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記内蓋部は、
前記容器本体の前記開口部の内周面と接触する内蓋筒部と、
前記内蓋筒部の上端から外方に広がるとともに前記容器本体の上面と接触するフランジ部と、を有する請求項1又は請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記内蓋部は、
前記容器本体の前記開口部の内周面と接触する内蓋筒部と、
前記内蓋筒部の上端から外方に広がるとともに前記容器本体と接触するフランジ部と、を有し、
前記容器本体と前記内蓋部とを嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部は、前記開口部の内周面及び前記内蓋部の外周面の少なくとも一方に他方に向かって突出する嵌合突起と、前記開口部の内周面及び前記内蓋部の外周面の前記嵌合突起が形成される側と反対側に形成されて前記嵌合突起を嵌合可能な嵌合凹部を有する請求項1又は請求項2に記載の収容容器。
【請求項5】
前記内蓋部は、弾性変形可能な材料で形成される請求項1から請求項4のいずれかに記載の収容容器。
【請求項6】
前記容器本体と前記蓋部とは、係合部にて係合され、
前記係合部は、
前記容器本体に形成された雄ねじ部と、
前記蓋部に形成されて前記雄ねじ部と螺合可能な雌ねじ部と、を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の収容容器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の収容容器と、
紙製の前記取替容器と、を有する包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取替容器を収容可能な収容容器及び取替容器を収容容器に収容した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
整髪料等の消耗品である内容物を収容する従来の容器は特許文献1に開示される。この容器は容器本体及び蓋部を備える。この容器は、内容物の乾燥を抑制し、におい成分が外部に漏出することを抑制するため、樹脂が用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の容器によると、内容物を消費し終わるごとに、樹脂製の容器を廃棄するため、樹脂の廃棄量が増え、環境負荷の増大につながる虞がある。
【0005】
本発明は、環境負荷を低減できる収容容器及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にかかる収容容器は、内部空間に取替容器を取替可能に収容する。収容容器は、上部に開口部を有する有底筒状の容器本体と、前記容器本体の前記開口部に取り付けられて前記取替容器の上端を下方に押える内蓋部と、前記容器本体の前記開口部及び前記内蓋部を開閉可能に塞ぐ蓋部と、を有する。前記蓋部は、前記内蓋部と対向する面から下方に延びて前記内蓋部を押圧する押圧リブを有する。
【0007】
このように構成することで、内容物を使い切った後、収容容器を再利用し、取替容器のみを取り替えるため、収容容器を廃棄する場合に比べて、廃棄される樹脂の量を減らすことができる。これにより、環境負荷を低減できる。
【0008】
上記構成の収容容器において、前記内蓋部は、円環状である。この構成によると、内蓋部の取り付けが容易である。
【0009】
上記構成の収容容器において、前記内蓋部は、前記容器本体の前記開口部の内周面と接触する内蓋筒部と、前記内蓋筒部の上端から外方に広がるとともに前記容器本体の上面と接触するフランジ部と、を有する。この構成によると、収容容器の内部空間を密閉することが可能であり、長期間にわたって内容物を保存することができる。これにより、内容物を含む収容容器及び取替容器の廃棄量を減らすことができ、環境負荷を低減できる。
【0010】
上記構成の収容容器において、前記内蓋部は、前記容器本体の前記開口部の内周面と接触する内蓋筒部と、前記内蓋筒部の上端から外方に広がるとともに前記容器本体と接触するフランジ部と、を有する。前記容器本体と前記内蓋部とを嵌合する嵌合部を有する。前記嵌合部は、前記開口部の内周面及び前記内蓋部の外周面の少なくとも一方に他方に向かって突出する嵌合突起と、前記開口部の内周面及び前記内蓋部の外周面の前記嵌合突起が形成される側と反対側に形成されて前記嵌合突起を嵌合可能な嵌合凹部を有する。これにより、内蓋部を容器本体により強固に固定できる。その結果、内蓋部で収容容器の回転を抑制して固定することが可能である。
【0011】
上記構成の収容容器において、前記内蓋部は、弾性変形可能な材料で形成される。これにより、より確実に内部空間を密閉することができる。
【0012】
上記構成の収容容器において、前記容器本体と前記蓋部とは、係合部にて係合され、前記係合部は、前記容器本体に形成された雄ねじ部と、前記蓋部に形成されて前記雄ねじ部と螺合可能な雌ねじ部と、を有する。
【0013】
本発明にかかる包装体は、上述のいずれかの収容容器と、紙製の前記取替容器と、を有する包装体。紙製のブランク板を折り曲げることで形成され、有底筒状の容器本体に被嵌される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、環境負荷を低減できる収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかる包装体の一例の上方から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示す包装体の中心軸を含む平面で切断した断面図である。
【
図6】容器本体と内蓋部とを嵌合する嵌合部の一例の拡大断面図である。
【
図7】内蓋部を着脱している状態を示す包装体の斜視図である。
【
図8】容器本体から使用済みの取替容器を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】容器本体に未使用の取替容器を取り付ける状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態の包装体Aについて図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる包装体Aの一例の上方から見た斜視図である。
図2は、
図1に示す包装体Aの中心軸Cxを含む平面で切断した断面図である。
図3は、
図1に示す包装体Aの分解斜視図である。
図4は、蓋部20の下から見た斜視図である。
図5は、蓋部20を開いた状態の包装体Aの斜視図である。本明細書において、重力方向を下方とし、その反対方向を上方として説明する。
【0017】
<包装体A>
図1~
図3に示すように、包装体Aは、収容容器1と、収容容器1の内部に形成される内部空間1Sに収容される取替容器2と、を有する。取替容器2は、収容容器1の内部空間に取替可能に収容される。
【0018】
包装体Aにおいて、取替容器2の内部には、内容物Sが収容される。なお、内容物としては、例えば、ゲル状の整髪料を想定しているが、これに限定されない。例えば、ヨーグルト、ジャム等のゲル状の食品、グリース等の潤滑剤等を挙げることができる。内容物Sとしては、少量ずつ使用する物品を広く採用することができる。そして、取替容器2の内容物Sを使い切った後、取替容器2を収容容器1から取り出すとともに、内容物Sが充填されている、換言すると、新品の取替容器2を収容容器1に収容する。このようにすることで、内容物Sを使い切った後も収容容器1を利用し続けることができる。
【0019】
<収容容器1>
収容容器1は、容器本体10と、蓋部20と、内蓋部30と、を有する。蓋部20は、容器本体10に着脱可能に取り付けられる。換言すると、蓋部20は、容器本体の後述する開口部100を開閉可能に塞ぐ。容器本体10及び蓋部20は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂で形成されてもよい。また、容器本体10及び蓋部20は、これらの樹脂に限定されず、成形が容易な樹脂を広く採用することができる。また、金属又は合金等の金属材料で形成されていてもよい。なお、本実施形態では、容器本体10と、蓋部20とは、同じ材料で形成される構成としているが、これに限定されず、容器本体10と、蓋部20とは、別の材料で形成されてもよい。
【0020】
<容器本体10>
図1~
図3に示すように、容器本体10は、上部に開口部100を有する有底筒状である。容器本体10は、底板部11と、側壁部12と、上筒部13とを有する。
【0021】
底板部11は、円板状である。しかしながら、これに限定されず、取替容器2の下端部を支持することができる形状を広く採用することができる。
【0022】
側壁部12は、中心軸Cxを中心とし、上下に延びる筒状である。
図2に示すように、側壁部12の中心軸Cxを含む平面で切断した断面形状は、上下方向の中間部分が径方向外側に膨らんだ曲線状である。しかしながら、これに限定されず、上方に向かって線形に広がる断面形状であってもよい。取替容器2を容易に着脱可能な形状を広く採用することができる。底板部11は、側壁部12の下端よりも上方にずれた位置から、径方向内側に広がる。つまり、側壁部12の下端部は、底板部11の形状に合わせた形状である。
【0023】
例えば、底板部11が正方形状の場合がある。このような場合において、側壁部12は、下端が正方形状に合わせた形状である。この場合であっても、側壁部12の上端面は、円環状である。
【0024】
上筒部13は、側壁部12の上端面から中心軸Cxに沿って上方に延びる円筒状である。上筒部13の外径は、側壁部12の上端の外径よりも小さい。また、上筒部13の内径は、側壁部12の内径と同じである。つまり、側壁部12の内周面と上筒部13の内周面とは、滑らかに接続する。上筒部13の外周面には、後述する係合部40の雄ねじ部41が形成される。
【0025】
また、上筒部13の上端には、開口部100が形成される。開口部100には、内蓋部30が取り付けられる。詳細は後述するが、開口部100は、内容物Sを消費した後に、内部に配置された取替容器2を取り出す取り出し口として利用可能である。このことから、開口部100の内径は、取替容器2のフランジ部203の外径と同じか、それよりも大きい。
【0026】
<蓋部20>
蓋部20は、容器本体10の上部に着脱可能に配置される。さらに説明すると、蓋部20は、容器本体10の上筒部13の上部に着脱可能に配置される。蓋部20が容器本体10の上部に装着されることで、容器本体10の上部の開口部100に取り付けられた内蓋部30の後述する上開口部34が閉じられる。また、蓋部20が容器本体10から離脱されることで開口部100に取り付けられた内蓋部30の上開口部34が閉じられる(
図2、
図5参照)。
【0027】
蓋部20は、天板部21と、蓋筒部22と、押圧リブ23と、を有する。天板部21は、中心が中心軸Cxと重なる円板である。蓋筒部22は、天板部21の外縁部より下方に延びる。蓋筒部22は、中心軸Cxを中心とする円筒状である。蓋筒部22の内周面には、係合部40の後述する雌ねじ部42が形成される。
【0028】
押圧リブ23は、天板部21の下面から中心軸Cxに沿って下方に延びる。
図4に示すように、押圧リブ23は、円筒状である。蓋部20を容器本体10の上部に取り付けたとき、内蓋部30の後述する上フランジ部32と接触する。さらに詳しく述べると、押圧リブ23は、内蓋部30と密着する。なお、密着とは、内容物Sの乾燥が抑制され、内容物Sのにおい成分が漏出しない程度に密である状態を示す。以下の説明における密着は、同様の状態を指す。
【0029】
<内蓋部30>
内蓋部30は、容器本体10に取り付けられる。内蓋部30は、例えば、シリコーン、ポリエチレン等の弾性変形可能な部材で形成される。内蓋部30は、中心軸Cxに沿う方向に延びる円筒状である。
図3等に示すように、内蓋部30は、内蓋筒部31と、上フランジ部32と、下フランジ部33と、を有する。内蓋筒部31は、円筒状であり、外径が容器本体10の開口部100の内径と同じである。内蓋筒部31は、上端に上開口部34を有する。
【0030】
上フランジ部32は、内蓋筒部31の外周面の上端より径方向外方に向かって拡がる円環状である。上フランジ部32は、中心軸Cxと直交する。内蓋部30を容器本体10の開口部100に取り付けたとき、上フランジ部32は、上筒部13の上面131と接触する。上フランジ部32が上筒部13の上面131と接触することで、内蓋部30の中心軸Cx方向の位置決めがなされる。
【0031】
下フランジ部33は、内蓋筒部31の下端より径方向内方に向かって拡がる円環状である。下フランジ部33は、中心軸Cxと直交する。内蓋部30を容器本体10の開口部100に取り付けたとき、下フランジ部33は、取替容器2のフランジ部203の上面と接触する。
【0032】
下フランジ部33の径方向内側には、中心軸Cxに沿う方向に貫通した下開口部35が形成される。下開口部35を介して、内部空間1Sに収容される取替容器2に収容された内容物Sが取り出される。さらに説明すると、下開口部35を介して取替容器2から取り出された内容物Sは、内蓋筒部31を通過して上開口部34から外部に取り出される。
【0033】
内蓋部30は、容器本体10の開口部100に圧入される。さらに説明すると、内蓋部30の内蓋筒部31は、外周面を開口部100の内周面に接触しつつ、開口部100に挿入される。これにより、内蓋筒部31の外周面と開口部100の内周面との摩擦力が強くなる。その結果、内蓋部30が、容器本体10から抜けにくい。換言すると、内蓋部30を開口部100に押し込むことで、下フランジ部33が、取替容器2のフランジ部203を押圧する。これにより、内蓋部30は、取替容器2を容器本体10の内部に回転しないように固定する。
【0034】
また、
図6に示すように、容器本体10と内蓋部30とを、嵌合部50で嵌合してもよい。
図6は、容器本体10と内蓋部30とを嵌合する嵌合部50の一例の拡大断面図である。
図6の左側に示すように、嵌合部50は、容器本体10の開口部100の内周面から径方向内方に突出する嵌合突起511と、内蓋部30の内蓋筒部31の外周面から径方向内方に凹む嵌合凹部521とを有する。嵌合突起511が嵌合凹部521に嵌合することで内蓋部30が容器本体10に取り付けられる。
【0035】
また、
図6の右側に示すように、嵌合部50が、内蓋部30の内蓋筒部31の外周面から径方向外方に突出する嵌合突起512と、容器本体10の開口部100の内周面から径方向外方に凹む嵌合凹部522とを有してもよい。嵌合突起512と嵌合凹部522とを嵌合することでも、内蓋部30が容器本体10に取り付けられる。
【0036】
嵌合部50を利用して、容器本体10に内蓋部30を取り付けることで、内蓋部30を、更に、容器本体10から抜けにくくなり、取替容器2のフランジ部203を押圧が安定する。これにより、確実に取替容器2の回転を抑制して固定することが可能である。なお、嵌合部50は、嵌合突起511と嵌合凹部521とを有してもよいし、嵌合突起512と嵌合凹部522とを有してもよい。また、これらのすべてを有してもよい。
【0037】
<係合部40>
蓋部20は、係合部40によって容器本体10に係合される。係合部40は、容器本体10の上筒部13の外周面に形成された雄ねじ部41と、蓋部20の蓋筒部22の内周面に形成された雌ねじ部42とを有する。雌ねじ部42は、雄ねじ部41に螺合可能な形状である。
【0038】
蓋部20を容器本体10の上部に配置し、中心軸Cxに沿う方向の上方から見て、蓋部20を時計回り方向に回転させる。これにより、雌ねじ部42が雄ねじ部41と螺合する。これにより、蓋部20が容器本体10に係合される。また、蓋部20を反時計回り方向に回転させることで、蓋部20を容器本体10から分離することができる。
【0039】
係合部40は、ねじ機構で形成される。そのため、係合部40が締まる方向(ここでは、右ねじが締まる方向)に蓋部20を回転することで、蓋部20は、中心軸Cxに沿って下方に、換言すると、容器本体10の底板部11に接近するように移動する。これにより、蓋部20の天板部21の下面に形成された押圧リブ23が、内蓋部30の上フランジ部32を押圧する。
【0040】
これにより、上フランジ部32が、容器本体10の上筒部13の上面131と密着するとともに、押圧リブ23の下面と密着する。つまり、上フランジ部32は、容器本体10と蓋部20との間の隙間を塞ぐパッキンとしての役割を果たす。また、上述したように、容器本体10の内周面と内蓋筒部31の外周面とは密着する。そのため、包装体Aでは、蓋部20を容器本体10の上部に係合させることで、内部空間1Sに塵、埃、水分等の異物の進入を抑制できる。
【0041】
<取替容器2>
取替容器2は、収容容器1の内部空間1Sに収容される。取替容器2は、内部空間1Sから取り出すことが可能である。すなわち、取替容器2は、収容容器1に対して取替可能である。
【0042】
取替容器2は、有底筒状であり、例えば、紙を基材とし、内部に耐水性、ガスバリア性等を有するコーティング層を有する構成を挙げることができる。耐水性を有するコーティング層には、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等による樹脂層を挙げることができる。また、ガスバリア性を有するコーティング層には、アルミ層を挙げることができる。すなわち、内部に形成される層は、収納される物品と反応しない材料で形成される。
【0043】
なお、取替容器2は、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の熱可塑性樹脂の成型体であってもよい。また、取替容器2は、これらの樹脂に限定されず、成型が容易な樹脂を広く採用することができる。なお、取替容器2を、食品の収容に用いる場合、少なくとも内面には、人体に対して毒性が無い又は毒性が略無い材料が採用される。成型方法としては、例えば、射出成型、絞り加工等を挙げることができるが、これに限定されない。
【0044】
図2、
図3に示すように、取替容器2は、底部201と、側壁部202と、フランジ部203と、を有する。側壁部202は、上下に延びる筒状である。取替容器2において、側壁部202は、1枚の板状の部材を環状に曲げて両端を接着することで形成される。
図2、
図3等に示すように、側壁部202は、上方に向かうにつれて広がる形状である。しかしながら、これに限定されず、全長に渡って等しい断面の形状であってもよいし、上方に向かって狭くなる形状であってもよい。
【0045】
取替容器2において、側壁部202の下部は、底部201によって塞がれる。底部201は、側壁部202の下端部よりも上方にずれた位置に固定される(
図2参照)。このように構成することで、底部201の剛性を高めることができる。なお、取替容器2が樹脂の一体成型体の場合、底部201は側壁部202の下端部に連結してもよい。
【0046】
そして、側壁部202の上端部には、内部に収容された内容物Sを出し入れするための開口204が形成される。開口204は、底部201と上下に対向している。フランジ部203は、側壁部202の外周面の上端から径方向外側に拡がる。すなわち、フランジ部203は、開口204の外側に配置される。
【0047】
<樹脂シート205>
包装体Aにおいて、取替容器2は、収容容器1の内部に取替可能に収容される。例えば、取替容器2の内部に収容されている内容物Sを使い切った後、別途、未使用の取替容器2に取り替えて使用する。未使用の取替容器2の上端部は、樹脂シート205にて封止される。
【0048】
樹脂シート205は、側壁部202の上端の開口204を覆うとともにフランジ部203にシールされる。樹脂シート205として、例えば、PE樹脂及びPE樹脂フィルム、PET樹脂フィルム又はこれらの積層体等、シール性、耐水性、ガスバリア性等の密閉に必要な機能を有する樹脂フィルム又はその積層体を広く採用することができる。樹脂シート205のフランジ部203へのシールは、例えば、ヒートシールにて行われるが、ヒートシール以外のシール方法を採用してもよい。
【0049】
<包装体Aの使用について>
図1及び
図2に示すように、包装体Aにおいて、蓋部20を容器本体10に係合させることで内蓋部30の上開口部34が閉じられる。また、蓋部20を容器本体10から分離することで、内蓋部30の上開口部34が開かれる(
図5参照)。
【0050】
蓋部20が容器本体10から分離されることで、包装体Aは開かれる。そして、使用者は、手指又はスプーン等の道具(内容物Sによって異なる)を、上開口部34から挿入して、取替容器2内の内容物Sを取り出す。上述したとおり、内蓋部30は、容器本体10の開口部100に圧入又は突起嵌合されている。
【0051】
そのため、下フランジ部33を含む内蓋部30の下端部が取替容器2のフランジ部203を下方に押圧した状態で維持される。これにより、蓋部20が取り外された状態のときでも、取替容器2は内蓋部30によって押圧されて固定される。そのため、使用者の手指又はスプーン等の道具が、取替容器2の側壁部202の内周面に沿って移動して、側壁部202に周方向の力が付与されても取替容器2の回転は、抑制される。これにより、使用者は、取替容器2の内部に残っている内容物Sが少なくなっても、簡単かつ確実に取り出すことができる。
【0052】
内容物Sを取り出した後、蓋部20を容器本体10の上端に取り付ける。このとき、蓋部20の押圧リブ23が内蓋部30の上フランジ部32を押圧し、上フランジ部32は、容器本体10の上筒部13の上面131に押圧される。これにより、容器本体10と蓋部20とは、密着する。このように、蓋部20で開口部100を閉じることで、内容物Sの乾燥等の劣化を抑制し、内容物Sのにおい粒子が外部に漏れることを抑制できる。
【0053】
取替容器2の内部の内容物Sを使い終わると、取替容器2を内部空間1Sから取り出して、新しい取替容器2を内部空間1Sに収容する。すなわち、空の取替容器2を未使用の取替容器2に取り替える。次に、包装体Aにおける取替容器2の取り替えの手順について図面を参照して説明する。
図7は、内蓋部30を着脱している状態を示す包装体の斜視図である。
図8は、容器本体10から使用済みの取替容器2を取り外した状態を示す斜視図である。
図9は、容器本体10に未使用の取替容器2を取り付ける状態を示す斜視図である。
【0054】
図5に示すように、容器本体10から蓋部20を取り外す。そして、
図7に示すように、容器本体10の開口部100に取り付けられている内蓋部30を取り外す。なお、内蓋部30は開口部100に圧入されている。そのため、内蓋部30を取り外すときには、使用者の手指又はマイナスドライバ等の工具を下開口部35に挿入し、下フランジ部33の下面に引っ掛けて引き上げる。これにより、内蓋部30は弾性変形しつつ、開口部100から取り外される。
【0055】
なお、内蓋部30に取り外し用の凸部が設けられていてもよい。取り外し用の凸部としては、例えば、内蓋筒部31の上端から径方向内側に延びる凸部を挙げることができる。取り外し用の凸部を有する場合、凸部をつまんで持ち上げることで、内蓋部30を容器本体10から取り外すことができる。
【0056】
容器本体10から内蓋部30を取り外すことで、容器本体10の内部空間1Sの内部に収容された取替容器2を上方に移動可能となる。取替容器2を上方に持ち上げることで、取替容器2は容器本体10から取り出される(
図8参照)。
【0057】
そして、未使用の取替容器2を取り付ける。内容物Sをすぐに使用する場合又は近い将来に使用する予定がある場合、樹脂シート205をフランジ部203から剥離して、除去した後、取替容器2を容器本体10の内部に配置する(
図9参照)。一方で、内容物Sを長期間、容器本体10の内部に収容して保管する場合がある。この場合、樹脂シート205を剥離せずに、取替容器2を内部空間1Sに収容する。
【0058】
取替容器2が収容された容器本体10の上部の開口部100に内蓋部30を圧入する(
図7参照)。これにより、取替容器2のフランジ部203が内蓋部30の下面に押される。その結果、取替容器2が容器本体10に固定される(
図5参照)。その後、蓋部20を容器本体10の上部に配置し、蓋部20を右回りに回転させることで、係合部40の雄ねじ部41と雌ねじ部42とが螺合する。係合部40をしっかり締めることで、蓋部20の押圧リブ23が内蓋部30の上フランジ部32を押圧する。これにより、容器本体10の内部空間1Sは密閉される。
【0059】
以上のようにして、収容容器1の内部空間1Sは、密閉される。これにより、取替容器2の内部の内容物Sの乾燥等による劣化を抑制することができる。また、におい成分の漏出を抑制した状態で、内容物Sを内部空間1Sに収容して保持できる。
【0060】
なお、近い将来に内容物Sを使用する予定はない場合、樹脂シート205を取り付けたまま、容器本体10の内部に配置してもよい。このように、樹脂シート205を取り付けた状態を維持することで、内容物Sの劣化を抑制することができる。
【0061】
本発明にかかる包装体Aでは、内容物Sを使い切った後に、取替容器2を取り替えることで、内容物Sを補充する。そのため、収容容器1を長期間にわたって使用可能であり、内容物Sがなくなるごとに収容容器1を廃棄する場合に比べて、合成樹脂で構成される部材の消費量を減らすことが可能である。これにより、合成樹脂の消費量及び廃棄量を減らすことができ、環境負荷を低減できる。また、取替容器2を紙製とすることで、合成樹脂の使用量及び廃棄量をさらに減らすことが可能であり、さらに環境負荷を低減できる。
【0062】
また、例えば、色、形状等が異なる複数種類の収容容器1と、内容物Sが異なる複数の取替容器2を予め使用者の好みに合わせて組み合わせることが可能である。これにより、使用者は、気に入った収容容器1を使い続けることができる。そのため、使用者の嗜好性にあった包装体Aを提供することができる。さらに、内容物Sによって、収容容器1の外観を変更するようにしてもよい。このようにすることで、使用者は、収容容器1の外観で内容物Sを判別できるため、蓋部20を開けて確認せずに複数種類の内容物Sを正確に使い分けることが可能である。
【0063】
なお、本発明は上述した構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる構成にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によると、取替容器のみを取り換えることで長期間にわたり、整髪料、食品等の内容物を収容する容器として利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 収容容器
1S 内部空間
2 取替容器
201 底部
202 側壁部
203 フランジ部
204 開口
205 樹脂シート
10 容器本体
100 開口部
11 底板部
12 側壁部
13 上筒部
131 上面
20 蓋部
21 天板部
22 蓋筒部
23 押圧リブ
30 内蓋部
31 内蓋筒部
32 上フランジ部
33 下フランジ部
34 上開口部
35 下開口部
40 係合部
41 雄ねじ部
42 雌ねじ部
50 嵌合部
511 嵌合突起
521 嵌合凹部
512 嵌合突起
522 嵌合凹部
A 包装体
S 内容物