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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176595
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】滑り部材及び空気ばね装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20221122BHJP
   F16F 9/05 20060101ALI20221122BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F16F9/32 V
F16F9/05
F16F15/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083107
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】長峰 洋一
(72)【発明者】
【氏名】前村 直也
【テーマコード(参考)】
3J048
3J069
【Fターム(参考)】
3J048AA03
3J048BA08
3J048BE02
3J048BG04
3J048EA36
3J069AA28
3J069DD39
(57)【要約】
【課題】摺動部材として用いた滑り部材に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材から滑り材が剥離することを抑止できる滑り部材及び空気ばね装置を提供することを目的とする。
【解決手段】金属製板材2に接着層4によって滑り材3が接合された滑り部材1において、金属製板材2の上面21に形成した装着溝22に装着する滑り材3の周囲に沿って囲む側壁23のうち開放側Loを開放した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製板材に滑り材が接着層により接合された滑り部材であって、
前記金属製板材に、前記滑り材の周囲に沿って囲んで規制する規制部が設けられ、
前記規制部に、前記滑り材の全周のうち少なくとも一部を開放する開放部が設けられた
滑り部材。
【請求項2】
前記滑り材及び前記規制部は、前記金属製板材の表面に対向する側から視て四角形状に形成された
請求項1に記載の滑り部材。
【請求項3】
前記開放部は、前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における四辺のうちいずれか一辺に形成された
請求項2に記載の滑り部材。
【請求項4】
前記開放部は、
前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における四辺において二組の対向する辺のうち辺同士の間隔が広い側の組の一辺に形成された
請求項2に記載の滑り部材。
【請求項5】
前記滑り材及び前記規制部は、前記金属製板材の表面に対向する側から視て扇形環状に形成された
請求項1に記載の滑り部材。
【請求項6】
前記開放部は、前記扇形環状に形成された前記規制部における径内側及び径外側のうちいずれか一方に形成された
請求項5に記載の滑り部材。
【請求項7】
前記扇形環状に形成された前記滑り材及び前記規制部が径方向に複数配置された
請求項6に記載の滑り部材。
【請求項8】
第1部材と、第2部材と、
前記第1部材及び前記第2部材の間に配置されて前記第1部材及び前記第2部材を連結する、筒状の筒状可撓性部材と、
前記第1部材及び前記第2部材における互いに対向する側に、前記第1部材及び前記第2部材が近接した状態で当接するとともに摺動する摺動当接部とが設けられ、
一方の前記摺動当接部が、請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の滑り部材で構成された
空気ばね装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、摺動箇所に用いられる滑り部材及び滑り部材を備えた空気ばね装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に示すように、第1部材及び第2部材を連結する可撓性を有する筒状可撓性部材が設けられた空気ばね装置における、第1部材及び第2部材における互いに対向する側に、第1部材及び第2部材が近接した状態で当接するとともに摺動する摺動当接部が設けられている。
【0003】
このような空気ばね装置における摺動当接部の一方には、滑り性を確保するため、金属製板材に滑り材が接着層により接合された滑り部材が用いられる。
このような滑り部材を用いることで滑り性を確保でき、前記第1部材及び前記第2部材が近接し摺動当接部が当接した状態で、第1部材と第2部材が水平方向に相対移動した場合であっても、滑り部材で構成された摺動当接部はスムーズに摺動することができる。
【0004】
このような滑り部材は金属製板材と滑り材とを接着して構成するが、例えば、偏荷重などの外力が作用して、滑り部材における滑り材に局所的な負荷が作用した状態で摺動すると、滑り材は摺動方向に引っ張られて金属製板材と滑り材との接着層が剥がれ、スムーズに摺動できなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-177407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、滑り部材に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材から滑り材が剥離することを抑止できる滑り部材及び空気ばね装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、金属製板材に滑り材が接着層により接合された滑り部材であって、前記金属製板材に、前記滑り材の周囲に沿って囲んで規制する規制部が設けられ、前記規制部に、前記滑り材の全周のうち少なくとも一部を開放する開放部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
前記規制部は、金属製板材に設けた凹部に滑り材が接合された滑り部材における凹部の内側面や、金属製板材の表面に滑り材が接合された滑り部材において、金属製板材の表面から突出する壁部、あるいは、金属製板材に設けた凹部に滑り材が接合された滑り部材における凹部の内側面と、表面から突出する壁部と両方であってもよい。
【0009】
前記滑り材は、ポリアミド樹脂(PA)やポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の滑り性の高い樹脂製、あるいはその他の樹脂、さらには金属、グラファイト、セラミックス等の樹脂以外の材質であってもよい。
【0010】
この発明により、摺動箇所に用いた滑り部材に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材から滑り材が剥離することを抑止できる。
詳述すると、前記金属製板材に、前記滑り材の周囲に沿って囲んで規制する規制部が設けられているため、滑り部材に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても、規制部によって滑り材が摺動方向に引っ張られることを規制する。そのため、規制部によって摺動方向に引っ張られることを規制された滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0011】
なお、前記滑り材の全周に亘って前記規制部が設けられると、摺動方向がいずれの方向であっても、局所的に作用する外力によって引っ張られることを規制することができる。しかしながら、金属製板材と滑り材とを接着層によって接合する際に、金属製板材と滑り材との対向する接着面全体に接着層を形成するために配置した接着剤の余剰分の逃げ場がなくなり、金属製板材と滑り材の間に余剰分の接着剤が残りやすく、しっかりと接合できなくなるおそれがあった。
【0012】
これに対し、前記滑り材の全周のうち少なくとも一部を開放する開放部を前記規制部に設けているため、上述の余剰分の接着剤を開放部から外部に逃がすことができ、しっかりと金属製板材と滑り材とを接合することができる。したがって、しっかりと金属製板材に接合された滑り材が摺動方向に引っ張られることを規制部によって規制し、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記滑り材は、前記金属製板材の表面に対向する側から視て四角形状に形成されてもよい。
この発明により、単純な形状の滑り材を単純な形状の規制部で囲んで、前記金属製板材に、前記滑り材を確実に接合することができる。したがって、しっかりと金属製板材に接合された滑り材が摺動方向に引っ張られることを規制部によって規制し、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることをより抑止することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記開放部は、前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における四辺のうちいずれか一辺に形成されてもよい。
前記開放部が形成される前記規制部における四辺のうちいずれか一辺とは、一辺全体が開放されてもよいし、その中央部分の一部や角部近傍が開放されてもよい。
この発明により、四角形状の滑り材の少なくとも三方向を規制部で囲って規制できるため、滑り材が引っ張られて、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記開放部は、前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における四辺において二組の対向する辺のうち辺同士の間隔が広い側の組の一辺に形成されてもよい。
上述の二組の対向する辺のうち辺同士の間隔が広い側の組の一辺とは、長方形状の規制部における長手方向の両側の短辺部分の一方であることを意味している。
【0016】
この発明により、少なくとも三方向を規制部で囲まれた四角形状の滑り材において、開放部の側へ滑り材が引っ張られたとしても、引っ張り方向の外力に十分抗する接着面積があり、滑り材が引っ張られて、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記滑り材及び前記規制部は、前記金属製板材の表面に対向する側から視て扇形環状に形成されてもよい。
上記扇形環状は、所定幅の帯状が円弧状をなす形状である。
【0018】
この発明により、複数の扇形環状の滑り材を周方向にずらして同心状に配置することで全体として、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることが抑止された略円形状の滑り材を構成することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記開放部は、前記扇形環状に形成された前記規制部における径内側及び径外側のうちいずれか一方に形成されてもよい。
この発明により、前記扇形環状の滑り材の両側辺部分と、径内側及び径外側のうちいずれか一方との少なくとも三方向を規制部で囲って規制できるため、滑り材が引っ張られて、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記扇形環状に形成された前記滑り材及び前記規制部が径方向に複数配置されてもよい。
この発明により、前記扇形環状に形成された規制部の開放部が設けられた側に前記滑り材が引っ張られても、開放部が設けられた側の径方向に隣り合う前記扇形環状を囲む規制部によって規制できるため、全周に規制部を設けずとも、全周に規制部を設けた場合と同様に、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
【0021】
またこの発明は、第1部材と、第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材の間に配置されて前記第1部材及び前記第2部材を連結する、筒状の筒状可撓性部材と、前記第1部材及び前記第2部材における互いに対向する側に、前記第1部材及び前記第2部材が近接した状態で当接するとともに摺動する摺動当接部とが設けられ、一方の前記摺動当接部が、上述の滑り部材で構成された空気ばね装置であることを特徴とする。
【0022】
この発明により、空気ばね装置の稼働時において、前記摺動当接部に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材から滑り材が剥離することを抑止でき、耐久性のある空気ばね装置を構成することができる。
【0023】
この発明の態様として、前記接着層が前記金属製板材の表面と前記滑り材との間に設けられ、前記接着層は加熱硬化型接着剤で構成されてもよい。
この発明により、金属製板材と滑り材を接合するための加熱によって、接着層を構成する接着剤や滑り材は膨張するものの、膨張した余剰分の接着剤を金属製板材と滑り材との間から外部に排出し、しっかりと金属製板材と滑り材とを接合することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記開放部は、前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における辺部分に形成されてもよい。
この発明により、少なくとも4つの角部分を規制部で囲って規制しているため、滑り材が引っ張られて、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
なお、開放部は四辺のすべてに設けてもよいが、四辺のうち少なくとも一辺に設けてもよい。
【0025】
またこの発明の態様として、前記開放部は、前記四角形状の前記滑り材に沿って形成された前記規制部における角部分に形成されてもよい。
この発明により、少なくとも四辺の中央部分を規制部で囲って規制しているため、滑り材が引っ張られて、滑り材と金属製板材との接着層が剥がれることを抑止できる。
なお、開放部は四つの角部すべてに設けてもよいが、四つの角部のうち少なくともひとつの角部に設けてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、滑り部材に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材から滑り材が剥離することを抑止できる滑り部材及び空気ばね装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】滑り部材の概略説明図。
図2】滑り部材の概略断面図。
図3】別の滑り部材の概略説明図。
図4】また滑り部材の概略説明図。
図5】また滑り部材の概略説明図。
図6】さらにまた別の滑り部材の概略説明図。
図7】空気ばね装置の概略説明図。
図8】空気ばね装置の摺動当接部の説明図。
図9】空気ばね装置の別の摺動当接部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は滑り部材1の概略説明図を示し、図2は滑り部材1の概略断面図を示している。詳しくは、図1(a)は滑り部材1の概略斜視図を示し、図1(b)は滑り部材1の分解概略斜視図を示している。また、図2(a)は図1(a)のA-A矢視図を示し、図2(b)は図1(a)のB-B矢視図を示している。
なお、平面視長方形状に形成した金属製板材2の長手方向を長辺方向L、短手方向を短辺方向Wとしている。
【0029】
滑り部材1は、金属製板材2と、滑り材3と、接着層4とで構成している。
金属製板材2は、一対の対向する長辺と短辺とで構成した平面視長方形状の板材であり、上面21に装着溝22を設けている。
【0030】
装着溝22は、所定の深さで形成され、平面視長方形状の金属製板材2の対向する一対の長辺縁から所定の間隔を隔てるとともに、長辺の両端に備えた短辺縁の一方から所定の間隔を隔てて配置され、他方の短辺(図1(b)において左手前側)まで延びる溝状である。
【0031】
換言すると、装着溝22は、長辺方向Lに沿った一対の長辺側壁23aと、長辺側壁23aの一端を短辺方向Wに連結する短辺側壁23bを有し、他方の短辺部分が開放された、平面視コ字状となる三方向の側壁23(23a,23b)を有する溝状である。
なお、以下の説明において、長辺方向Lのうち、他方の短辺部分が開放された側を開放側Loとし、その反対側、つまり短辺側壁23bが配置された側を反開放側Lcとしている。
【0032】
滑り材3は、金属製板材2より小さく装着溝22に装着可能な平面視長方形状であり、装着溝22の深さより厚みのある板状に形成され、滑り性の高い樹脂で構成されている。
具体的には、滑り材3は、図2(b)に示すように、装着溝22の短辺方向Wの間隔と略同一の幅と、図2(a)に示すように、開放側Loが開放された装着溝22の長辺方向Lの長さが短い、平面視長方形状に形成している。そして、滑り材3の反開放側Lcの短辺が短辺側壁23bと接するように装着される。そのため、滑り材3は、開放側Loの短辺部分を除く、平面視三方向が側壁23(23a,23b)によって規制された状態で装着される。
【0033】
滑り材3は、ポリアミド樹脂(PA)やポリ四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の滑り性の高い樹脂製で構成されているが、その他の樹脂、さらには金属、グラファイト、セラミックス等の樹脂以外の材質であってもよい。
【0034】
接着層4は、金属製板材2の装着溝22に装着した滑り材3を接合するための接着剤であり、図2(a)のa部拡大図に示すように、装着溝22の溝底面と滑り材3の底面との間に配置されている。なお、接着層4は、一定の熱を与えることにより、硬化剤が活性化し硬化するエポキシ系接着剤などの加熱硬化型接着剤である。
【0035】
上述のように各要素が構成された滑り部材1の組み付けは、先ず、装着溝22の溝底面における滑り材3が配置される箇所に接着層4を形成する接着剤を塗布する(図1(b)参照)。装着溝22における接着剤が塗布された箇所に滑り材3を配置するとともに、加圧しながら加熱して接着層4で装着溝22に滑り材3を接着する。
【0036】
このとき、装着溝22に配置された滑り材3は開放側Loの短辺部分を除く、平面視三方向が規制部として機能する側壁23(23a,23b)によって規制され、開放側Lo(図2(a)の左側)が開放されている。そのため、接着層4を構成する接着剤の余剰分が開放側Lo(図2(a)の左側)の開放部分から抜け出る。よって、接着層4は均一な厚みで滑り材3の底面全体に行き亘り、装着溝22に配置した滑り材3を金属製板材2に接合することができる。
【0037】
上述のように滑り部材1は、金属製板材2に接着層4によって滑り材3が接合されており、滑り材3の周囲に沿って囲む側壁23のうち長辺側壁23aおよび短辺側壁23bにより規制されているため、摺動部材として用いた滑り部材1に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材2から滑り材3が剥離することを抑止できる。
【0038】
詳述すると、滑り材3の周囲に沿って囲む側壁23が設けられているため、摺動部材として用いた滑り部材1に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても、側壁23によって滑り材3が摺動方向に引っ張られることを規制する。そのため、側壁23によって摺動方向に引っ張られることを規制された滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0039】
なお、滑り材3の四方向のすべてに亘って側壁23が設けられると、摺動方向がいずれの方向であっても、局所的に作用する外力によって引っ張られることを規制することができる。しかしながら、金属製板材2と滑り材3とを接着層4によって接合する際に、金属製板材2と滑り材3との対向する接着面全体に接着層4を形成するために配置した接着剤の余剰分の逃げ場がなくなり、金属製板材2と滑り材3の間に余剰分の接着剤が残りやすく、しっかりと接合できなくなるおそれがあった。
【0040】
これに対し、側壁23は開放側Loが開放されているため、上述の余剰分の接着剤を滑り材3の開放側Loから外部に逃がすことができ、しっかりと金属製板材2と滑り材3とを接合することができる。したがって、しっかりと金属製板材2に接合された滑り材3が摺動方向に引っ張られることを側壁23によって規制し、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0041】
また、金属製板材2の表面と滑り材3との間に設けられ、金属製板材2に滑り材3を接合する接着層4が加熱硬化型接着剤で構成されているため、金属製板材2と滑り材3を接合するための加熱によって、接着層4を構成する接着剤や滑り材3は膨張するものの、膨張した余剰分の接着剤を金属製板材2と滑り材3との間から外部に排出し、しっかりと金属製板材2と滑り材3とを接合することができる。
【0042】
また、滑り材3は、平面視四角形状に形成されているため、単純な形状の滑り材3を単純な形状の装着溝22の側壁23で囲んで、金属製板材2に、滑り材3を確実に接合することができる。したがって、しっかりと金属製板材2に接合された滑り材3が摺動方向に引っ張られることを側壁23によって規制し、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることをより抑止することができる。
【0043】
また、側壁23による規制は、四角形状に形成された滑り材3における四辺のうちいずれか一辺部分に対応する開放側Loが開放されているため、四角形状の滑り材3の三方向を側壁23で囲んで規制でき、滑り材3が引っ張られて、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0044】
また、開放側Loは、四角形状に形成された滑り材3の短辺方向Wと長辺方向Lのうち間隔が広い長辺方向Lの一方側であるため、三方向を側壁23で囲まれた四角形状の滑り材3において、開放側Loへ滑り材3が引っ張られたとしても、引っ張り方向の外力に十分抗する接着面積があり、滑り材3が引っ張られて、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0045】
なお、上述の滑り部材1の説明においては、金属製板材2の上面21に装着溝22を設けて、装着溝22に滑り材3を配置したが、図3に示すように、上面21に平面視コ字状の規制枠24を設け、規制枠24の内部に滑り材3を配置してもよい。図3(a)は滑り部材1aの概略斜視図を示し、図3(a)におけるC-C矢視図を示している。
【0046】
滑り部材1aは、金属製板材2の上面21に、平面視コ字状の規制枠24が設けられ、規制枠24の内側の上面21に接着層4を構成する接着剤を塗布するとともに、滑り材3を配置して接合して構成している。
【0047】
規制枠24は、長辺方向Lに沿った一対の長辺部24aと、長辺部24aの反開放側Lcの端部を短辺方向Wに連結する短辺部24bを有し、開放側Loの短辺部分が開放された、コ字状を形成する平面視三方向の辺部24a,24bを有する枠状に構成している。
【0048】
そして、規制枠24の内側において滑り材3の反開放側Lcの短辺が短辺部24bと接するように装着される。そのため、滑り材3は、開放側Loの短辺部分を除く、平面視三方向が辺部24a,24bによって規制された状態で装着される。
【0049】
上述のように滑り部材1aは、上述の滑り部材1と同様に、金属製板材2に滑り材3が接合されており、金属製板材2に、滑り材3の周囲に沿って囲む規制枠24が設けられ、規制枠24は、滑り材3の全周のうち開放側Loが開放されているため、摺動部材として用いられた滑り部材1aに局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材2から滑り材3が剥離することを抑止できる。
【0050】
上述の滑り部材1,1aでは、滑り材3の平面視三方向が規制部として機能する側壁23や規制枠24で規制されていたが、図4,5に示す滑り部材1b,1cのように、平面視四方向は規制されるものの、開放部が設けられてもよい。
【0051】
なお、図4(a)は滑り部材1bの分解斜視図を示し、図4(b)は滑り部材1bの平面図を示している。また、図4(c)は、図4(b)におけるD-D矢視断面図である。
また、図5(a)は滑り部材1cの分解斜視図を示し、図5(b)は滑り部材1cの平面図を示している。また、図5(c)は、図5(b)におけるE-E矢視断面図である。
以下の説明において、上述の滑り部材1,1aにおける構成と同じ構成については同じ符号を付してその説明を書略する。
【0052】
図4に示すように、滑り部材1bは、滑り材3と略同一の平面視長方形状の装着溝22bを金属製板材2bの上面21に設けている。
装着溝22bは、所定の深さで形成され、平面視長方形状の金属製板材2の対向する一対の長辺縁及び短辺縁からそれぞれ所定の間隔を隔てて配置された溝状である。
【0053】
換言すると、装着溝22bは、長辺方向Lに沿った一対の長辺側壁23aと、長辺側壁23aの両端をそれぞれ短辺方向Wに連結する一対の短辺側壁23bを有し、平面視四方向の側壁23(23a,23b)を有する溝状である。
【0054】
そして、装着溝22bは、長辺側壁23aの中央部分と、短辺側壁23bの中央部分とのそれぞれに、平面視外側に拡がり、開放部として機能する拡幅部25を備えている。
具体的には、長辺側壁23aにおける長辺方向Lの中央部分に短辺方向Wの外側に拡がるとともに、長辺方向Lの所定長さを有する拡幅部25を設け、短辺側壁23bにおける短辺方向Wの中央部分に長辺方向Lの外側に拡がるとともに、短辺方向Wの所定長さを有する拡幅部25を設けている。なお、拡幅部25は装着溝22bと同じ深さで形成され、装着溝22bと拡幅部25とは連続している。
【0055】
このように構成された滑り部材1bは、装着溝22bに滑り材3を装着すると、長辺側壁23aと短辺側壁23bとの中央に設けた拡幅部25の部分が開放された状態で、滑り材3の長辺が長辺側壁23aによって規制され、滑り材3の短辺が短辺側壁23bによって規制される。
【0056】
上述のように各要素が構成された滑り部材1bの組み付けは、先ず、装着溝22bの溝底面における滑り材3が配置される箇所に接着層4を形成する接着剤を塗布する(図4(a)参照)。装着溝22bにおける接着剤が塗布された箇所に滑り材3を配置するとともに、加圧しながら加熱して接着層4で装着溝22bに滑り材3を接着する。
【0057】
このとき、装着溝22bに配置された滑り材3は、上述したように、長辺側壁23aと短辺側壁23bとの中央に設けた拡幅部25の部分が開放された状態で、滑り材3の長辺が長辺側壁23aによって規制され、滑り材3の短辺が短辺側壁23bによって規制されるため、接着層4を構成する接着剤の余剰分が拡幅部25から抜け出る。そのため、接着層4は均一な厚みで滑り材3の底面全体に行き亘り、装着溝22bに配置した滑り材3を金属製板材2に接合することができる。
【0058】
上述のように滑り部材1bは、滑り部材1と同様に、金属製板材2に滑り材3が接合されており、滑り材3の周囲に沿って囲む側壁23のうち、各辺部分の中央部分に拡幅部25が設けられているため、摺動部材として用いた滑り部材1bに局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材2から滑り材3が剥離することを抑止できる。
【0059】
また、拡幅部25は、四角形状の滑り材3に沿って形成された装着溝22bの側壁23における辺部分の中央に形成されているため、少なくとも4つの角部分を側壁23で囲って規制しているため、滑り材3が引っ張られて、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
なお、上述の説明では、平面視長方形状に形成した装着溝22bの四辺すべてに拡幅部25を設けたが、何れか一辺あるいは複数辺に拡幅部25を設けてもよい。
【0060】
図5に示すように、滑り部材1cは、滑り部材1bと同様に、滑り材3と略同一の平面視長方形状の装着溝22cを金属製板材2cの上面21に設けている。
装着溝22cは、平面視四方向の側壁23(23a,23b)を有する溝状であり、各角部に角拡幅部26を備えている。
【0061】
具体的には、角拡幅部26は、装着溝22cを構成する長辺側壁23aと短辺側壁23bとが交差する角部を跨ぎ、長辺方向L及び短辺方向Wに延びる平面視L型状に形成されている。なお、角拡幅部26は装着溝22cと同じ深さで形成され、装着溝22cと角拡幅部26とは連続している。
【0062】
このように構成された滑り部材1cは、装着溝22cに滑り材3を装着すると、長辺側壁23aと短辺側壁23bとの角部に設けた角拡幅部26の部分が開放された状態で、滑り材3の長辺が長辺側壁23aによって規制され、滑り材3の短辺が短辺側壁23bによって規制される。
【0063】
上述のように各要素が構成された滑り部材1cの組み付けは、滑り部材1bと同様に、先ず、装着溝22cの溝底面に接着層4を構成する接着剤を塗布し(図4(a)参照)、装着溝22cに滑り材3を配置するとともに、加圧しながら加熱して接着層4で装着溝22cに滑り材3を接着する。
【0064】
このとき、装着溝22cに配置された滑り材3は、上述したように、長辺側壁23aと短辺側壁23bとの角部に設けた角拡幅部26の部分が開放された状態で、滑り材3の長辺が長辺側壁23aによって規制され、滑り材3の短辺が短辺側壁23bによって規制されるため、接着層4を構成する接着剤の余剰分が角拡幅部26から抜け出る。そのため、接着層4は均一な厚みで滑り材3の底面全体に行き亘り、装着溝22cに配置した滑り材3を金属製板材2に接合することができる。
【0065】
上述のように滑り部材1cは、滑り部材1と同様に、金属製板材2に滑り材3が接合されており、滑り材3の周囲に沿って囲む側壁23に角拡幅部26が設けられているため、摺動部材として用いた滑り部材1cに局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材2から滑り材3が剥離することを抑止できる。
【0066】
また、角拡幅部26は、四角形状の滑り材3に沿って形成された装着溝22cの側壁23における角部分に形成されているため、少なくとも四辺の中央部分を側壁23で囲って規制しているため、滑り材3が引っ張られて、滑り材3と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
なお、上述の説明では、平面視長方形状に形成した装着溝22cの四つの角部辺すべてに角拡幅部26を設けたが、何れか一つの角部あるいは複数の角部に角拡幅部26を設けてもよい。
【0067】
上述の滑り部材1~1cは、平面視長方形状の金属製板材2,2b,2cに対して平面視長方形状の滑り材3を装着して構成したが、例えば、図6に示す滑り部材1dのように、平面視円形状に形成してもよい。
また、図6(a)は滑り部材1dの分解斜視図を示し、図6(b)は滑り部材1dの平面図を示している。また、図6(c)は、図6(b)におけるF-F矢視断面図である。
以下の説明において、上述の滑り部材1,1aにおける構成と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0068】
図6に示すように、滑り部材1dは、上述の滑り部材1~1cと異なり、平面視円形状の金属製板材2dと、平面視円形状の滑り材3dと、金属製板材2dと滑り材3dとの間に配置して、金属製板材2dと滑り材3dとを接合する接着層4とで構成している。
【0069】
金属製板材2dは、平面視円形状の板状であり、上面21に平面視円形状の円形装着溝22dを設けている。
円形装着溝22dは、所定の高さの周側面23dを有する所定の深さの溝状であり、周縁部に沿って複数の径外拡大部27が所定間隔を隔てて配置している。
【0070】
径外拡大部27は、円形装着溝22dの外周縁から径外側に拡がり、円形装着溝22dと同じ深さに形成され、円形装着溝22dと連続している。本実施形態では、径外拡大部27を、所定間隔を隔てて8箇所設けているが、径外拡大部27は8箇所より多くても、少なくてもよい。
【0071】
滑り材3dは、円形装着溝22dと略同一の平面視円形状であり、円形装着溝22dの深さより厚い厚みを有する円盤状である。なお、滑り材3dは上述の滑り材3と、形状以外は同じ構成であるため、説明を省略する。
【0072】
このように構成された滑り部材1dは、円形装着溝22dに滑り材3dを装着すると、周側面23dに設けた径外拡大部27の部分が開放された状態で、滑り材3dの外周が周側面23dによって規制される。
【0073】
上述のように各要素が構成された滑り部材1dの組み付けは、先ず、円形装着溝22dの溝底面における滑り材3dが配置される箇所に接着層4を形成する接着剤を塗布する(図6(a)参照)。円形装着溝22dにおける接着剤が塗布された箇所に滑り材3dを配置するとともに、加圧しながら加熱して接着層4で円形装着溝22dに滑り材3dを接着する。
【0074】
このとき、円形装着溝22dに配置された滑り材3dは、上述したように、周側面23dに設けた径外拡大部27の部分が開放された状態で、滑り材3dの外周が周側面23dによって規制されるため、接着層4を構成する接着剤の余剰分が径外拡大部27から抜け出る。そのため、接着層4は均一な厚みで滑り材3dの底面全体に行き亘り、円形装着溝22dに配置した滑り材3dを金属製板材2に接合することができる。
【0075】
上述のように滑り部材1dは、滑り部材1と同様に、金属製板材2dに滑り材3dが接合されており、金属製板材2dに、滑り材3dの周囲に沿って囲む円形装着溝22dの周側面23dが設けられるとともに、周側面23dに、滑り材3dの全周のうち一部を開放する径外拡大部27が設けられているため、摺動部材として用いた滑り部材1dに局所的な負荷が作用した状態で摺動しても金属製板材2dから滑り材3dが剥離することを抑止できる。
【0076】
続いて、上述したような構成の滑り材を用いた空気ばね装置100について図7乃至図9とともに説明する。
図7は空気ばね装置100の概略説明図を示し、図8は空気ばね装置100の円形突出部121の説明図を示し、図9は空気ばね装置100の別の円形突出部121aの説明図を示している。
【0077】
詳しくは、図7(a)は封止空間100sに気体が供給された状態の空気ばね装置100の断面図を示し、図7(b)は封止空間100sから気体が排出された状態の空気ばね装置100の断面図を示している。
図8(a)は円形突出部121の平面図を示し、図8(b)は図8(a)のG-G矢視図を示し、図9(a)は別の円形突出部121aの平面図を示し、図9(b)は図9(a)のH-H矢視図を示している。
【0078】
空気ばね装置100は、図示省略する上側部材に接続される第1部材110と、図示省略する下側部材に接続される第2部材120と、下側部材と第2部材120との間に配置される緩衝部材130と、第1部材110と第2部材120との間に配置され、可撓性を有する筒状体の筒状可撓性部材160とで構成している。
【0079】
第1部材110は、平面視円形であり、第2部材120の側(図7における下側)に突出する円形突出部111と、第1部材110及び円形突出部111を貫通する貫通孔141を有する固定軸140とを有している。
【0080】
第2部材120は、第1部材110より径小な平面視円形であり、第1部材110の側(図7における上側)に突出する円形突出部121を有している。円形突出部121の中央には板厚方向に貫通する貫通孔122を設けている。
【0081】
第2部材120における第1部材110の側とは反対側(図7において下側)には、平面視略円環状の緩衝部材130を備えている。
緩衝部材130は、平面視略円環状の金属板131と、平面視略円環状の緩衝部材132とが高さ方向に交互に複数積層されて構成されている。
【0082】
緩衝部材130の最下段の金属板131には、上下方向に貫通する貫通孔151を有する固定軸150を有している。
筒状可撓性部材160は、ゴムなどの可撓性素材で構成された円筒状であり、上端開口を円形突出部111に固定するとともに、下端開口を円形突出部121に固定して、第1部材110と第2部材120とを連結し、その内部に封止空間100sを形成している。
【0083】
また、固定軸140及び固定軸150には、気体供給手段や補助タンクが接続されている。また、固定軸140の貫通孔141、封止空間100s、貫通孔122、緩衝部材130の内部、及び貫通孔151は連通している。
また、上述の円形突出部111と円形突出部121との一方は上述の滑り部材で構成されており、本実施形態では円形突出部121が滑り部材で構成しているとして説明する。
【0084】
円形突出部121は、図8に示すように、金属製板材である円盤状であり、上面123に装着溝124が形成され、装着溝124に滑り材125を接合して構成している。
具体的には、平面視中央に貫通孔122を有する円盤状の円形突出部121の上面123に、所定幅の帯状が円弧状をなす扇形環状の装着溝124が形成され、装着溝124に扇形環状の滑り材125を接着層4で接合している。
【0085】
装着溝124は、上面123において凹状の所定深さの溝であり、周方向の1/4円程度の弧長と、半径の半分程度の径方向長さで形成されている。そして、装着溝124は、径方向に2つ且つ周方向に4つが並列配置し、全部で8つ配置されている。
【0086】
そして、径方向に複数配置した装着溝124同士の間、円形突出部121の外周縁並びに、貫通孔122の周縁、さらには、周方向に複数配置した装着溝124同士の間の部分を、以下において規制壁126と称する。
【0087】
装着溝124に装着する滑り材125は、装着溝124より幅狭の帯状が円弧状をなす扇形環状に形成されている。
幅狭の帯状が円弧状をなす扇形環状に形成された滑り材125は、装着溝124における径外側の規制壁126と、径方向に延びる規制壁126とによって、側方及び径外側が規制された状態で配置されている。そのため、滑り材125の径内側と、径内側の規制壁126との間に隙間が形成される。
【0088】
上述のように各要素が構成された円形突出部121の組み付けは、先ず、装着溝124の溝底面における滑り材125が配置される箇所に接着層4を形成する接着剤を塗布する(図6(a)参照)。装着溝124における接着剤が塗布された箇所に滑り材125を配置するとともに、加圧しながら加熱して接着層4で装着溝124に滑り材125を接着する。
【0089】
このとき、装着溝124に配置された滑り材125は、上述したように、径内側が開放された状態で、滑り材125の側方及び径外側が規制壁126によって規制されるため、接着層4を構成する接着剤の余剰分が径内側から抜け出る。そのため、接着層4は均一な厚みで滑り材125の底面全体に行き亘り、装着溝124に配置した滑り材125を円形突出部121に接合することができる。
【0090】
なお、円形突出部121の上面123と対向する円形突出部111の底面112は、研磨された滑り面で構成しているが、円形突出部121の上面123を滑り面で構成し、円形突出部111の底面112に滑り材を装着してもよい。
【0091】
このように構成した空気ばね装置100は、固定軸140や固定軸150に接続した気体供給手段等で気体を封止空間100sに供給すると、円形突出部111と円形突出部121は離間した充填状態となる(図7(a)参照)。
【0092】
逆に、固定軸140や固定軸150に接続した気体供給手段等で気体を封止空間100sから排気すると、円形突出部111の底面112と円形突出部121の上面123とが当接した排気状態となる(図7(b)参照)。
【0093】
排気状態において、円形突出部111の底面112と円形突出部121の上面123とが当接しているが、円形突出部111の底面112は滑り面で構成され、円形突出部121の上面123に滑り材125が装着されているため、上側部材と下側部材とが水平方向に相対移動しても、円形突出部111,121同士がスムーズに摺動することができる。
【0094】
上述のように、空気ばね装置100は、第1部材110と、第2部材120と、第1部材110及び第2部材120の間に配置されて第1部材110及び第2部材120を連結する、筒状の筒状可撓性部材160とが備えられている。
【0095】
また、空気ばね装置100は、第2部材120における対向する側に、第1部材110及び第2部材120が近接した状態で当接するとともに摺動する円形突出部111,121とが設けられ、一方の円形突出部121が上述の滑り材で構成されている。
【0096】
このように構成された空気ばね装置100は、稼働時において、円形突出部121に局所的な負荷が作用した状態で摺動しても円形突出部121から滑り材125が剥離することを抑止でき、耐久性のある空気ばね装置を構成することができる。
【0097】
また、滑り材125は、平面視扇形環状に形成されているため、複数の扇形環状の滑り材125を周方向にずらして同心状に配置することで全体として、滑り材125と金属製板材2との接着層4が剥がれることが抑止された略円形状の滑り材を構成することができる。
【0098】
また、扇形環状の滑り材125の両側辺部分と径外側との三方向を規制壁126で囲って規制できるため、滑り材125が引っ張られて、滑り材125と円形突出部121との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0099】
また、扇形環状に形成された滑り材125及び装着溝124が径方向及び周方向に複数配置されているため、扇形環状に形成された滑り材125が径内側に引っ張られても、径内側の滑り材125の径外側を規制する規制壁126によって規制できるため、全周に規制壁126を設けずとも、全周に規制壁126を設けた場合と同様に、滑り材125と金属製板材2との接着層4が剥がれることを抑止できる。
【0100】
なお、上述の空気ばね装置100の説明では、装着溝124より幅狭で形成した滑り材125の径内側に隙間が形成されるように滑り材125を接合したが、図9に示す円形突出部121aのように、装着溝124より幅狭で形成した滑り材125の径外側に隙間が形成されるように滑り材125を接合してもよい。
この場合、滑り材125の両側方と装着溝124の径内側の三方向が規制壁126で規制され、径外側が開放された状態となる円形突出部121aを形成することができる。
【0101】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本発明の金属製板材は、金属製板材2,2b,2c,2d,円形突出部121に対応し、
以下同様に、
滑り材は、滑り材3,3d,125に対応し、
滑り部材は、滑り部材1,1a,1b,1c,1d、円形突出部121に対応し、
規制部は、側壁23,規制枠24,規制壁126に対応し、
開放部は、装着溝22及び規制枠24における開放側Loの開放部分、拡幅部25、角拡幅部26,径外拡大部27,装着溝124の径内側に対応し、
接着層は、接着層4に対応し、
第1部材は、第1部材110に対応し、
第2部材は、第2部材120に対応し、
筒状可撓性部材は、筒状可撓性部材160に対応し、
摺動当接部は、円形突出部121に対応し、
空気ばね装置は、空気ばね装置100に対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0102】
例えば、滑り部材1において所定深さの装着溝22の側壁23によって滑り材3の三方向を規制し、滑り部材1aにおいて金属製板材2の上面21に設けた規制枠24で滑り材3の三方向を規制したが、装着溝22の深さを浅く形成するとともに、上面21に規制枠24を設けて、側壁23と規制枠24とが協働して滑り材3の三方向を規制するように構成してもよい。
【0103】
また、滑り部材1において、装着溝22の開放側Loが開放され、短辺側壁23bと一対の長辺側壁23aとで滑り材3の三方向を規制したが、短辺側壁23bを一対構成し、開放側Loの短辺側壁23bの一部を開放してもよい。滑り部材1aにおける規制枠24も同様に、開放側Loにも短辺部24bを備え、開放側Loの規制枠24の一部を開放してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1,1a,1b,1c,1d…滑り部材
2…金属製板材
3,3d,125…滑り材
4…接着層
23(23a,23b)…側壁
24(24a,24b)…規制枠
25…拡幅部
26…角拡幅部
27…径外拡大部
100…空気ばね装置
110…第1部材
120…第2部材
121,121a…円形突出部
124…装着溝
126…規制壁
160…筒状可撓性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9