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特開2022-176601包装袋のガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機並びに包装袋のガス濃度測定方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176601
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】包装袋のガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機並びに包装袋のガス濃度測定方法。
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20221122BHJP
   B65B 31/02 20060101ALI20221122BHJP
   G01N 21/39 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
B65B31/02 D
G01N21/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083115
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G059
3E053
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059EE01
2G059GG01
2G059GG06
2G059HH01
2G059KK02
3E053AA06
3E053BA01
3E053BA10
3E053CA01
3E053DA03
3E053DA04
3E053FA01
3E053GA02
3E053JA10
(57)【要約】
【課題】レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保すると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる包装袋のガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機並びに包装袋のガス濃度測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の包装袋のガス濃度測定装置G1は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装袋H内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器31を有するレーザー発生部32と、発信器31から発振されるレーザー光Lを受光する受信器33を有するレーザー受光部34とを備え、レーザー発生部32とレーザー受光部34とが包装袋Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計35とを有し、レーザー発生部32およびレーザー受光部34は、先端部36,37に袋当接用ガイド板39を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装袋の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計とを有し、
前記レーザー発生部および前記レーザー受光部は、それぞれの先端部と前記包装袋とを密閉させるための袋当接用ガイド板を有していることを特徴とする包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記レーザー発生部および前記レーザー受光部の先端面は、正面視において上側が内側に位置し下側が外側に位置する傾斜面に形成され、該傾斜面に前記袋当接用ガイドが傾斜して配されている請求項1に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、前記包装袋を吸着可能とする吸着機構を有している請求項1または2に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を、前記包装袋に対して内外に往復動させる往復動機構を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記ガス濃度測定装置は、前記包装袋の姿勢を変更するための包装袋姿勢変更板を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記請求項1ないし5のいずれかに記載のガス濃度測定装置を備えていることを特徴とする包装機。
【請求項7】
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが包装袋の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を有したガス濃度測定装置における包装袋のガス濃度測定方法であって、
前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部に設けられた袋当接用ガイド板により、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部と前記包装袋とをそれぞれ密閉させて測定することを特徴とする包装袋のガス濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋内の特定ガスの濃度を測定することができる包装袋のガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機並びに包装袋のガス濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物が特に食品の場合、保存期間、賞味期限を長くするために、包装時に包装袋内に残留する空気を排除して窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。例えば特許文献1には、包装袋内に被包装物を投入すると共に、包装袋に挿入したノズルから不活性ガスを充填して不活性ガスと包装袋内の酸素との置換作用を行なう不活性ガス充填方法が開示されている。
【0003】
そして、製品検査において、被包装物を包装した包装袋内に残存する酸素濃度を計測する方法として、本件出願人が、例えば特許文献2にレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法を提案している。
【0004】
ところで、このレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法は、大半のガス分子が特定波長の光を吸収するという性質を利用し、一定距離内におけるガス分子の数を計測してガス濃度を測定するものである。そのため、レーザー式ガス濃度測定装置のレーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が重要となる。
【0005】
しかし、被包装物を包装した包装容器が袋の場合、上記密着性が不十分となり、また、包装袋内の検知空間を十分に確保することができず、測定精度を劣化させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3742042号公報
【特許文献2】特許第5124719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の課題は、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保すると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる包装袋のガス濃度測定装置およびそれを備えた包装機並びに包装袋のガス濃度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが前記包装袋の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計とを有し、前記レーザー発生部および前記レーザー受光部は、それぞれの先端部と前記包装袋とを密閉(密着)させるための袋当接用ガイド板を有していることを特徴とする包装袋のガス濃度測定装置である(請求項1)。
【0009】
前記レーザー発生部および前記レーザー受光部の先端面は、正面視において上側が内側に位置し下側が外側に位置する傾斜面に形成され、該傾斜面に前記袋当接用ガイドが傾斜して配されていることが好ましい(請求項2)。前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、前記包装袋を吸着可能とする吸着機構を有していることが好ましい(請求項3)。前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を、前記包装袋に対して内外に往復動させる往復動機構を有していることが好ましい(請求項4)。前記ガス濃度測定装置は、前記包装袋の姿勢を変更するための包装袋姿勢変更板を有していることが好ましい(請求項5)。
【0010】
また、上記課題を解決するものは、前記請求項1ないし5のいずれかに記載のガス濃度測定装置を備えていることを特徴とする包装機である(請求項6)。
さらに、上記課題を解決するものは、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備え、前記レーザー発生部と前記レーザー受光部とが包装袋の両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計を有したガス濃度測定装置における包装袋のガス濃度測定方法であって、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部に設けられた袋当接用ガイド板により、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部と前記包装袋とをそれぞれ密閉(密着)させて測定することを特徴とする包装袋のガス濃度測定方法。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部に袋当接用ガイドが設けられることで、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が確保されると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項2に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋の膨らみに対応してレーザー発生部およびレーザー受光部の先端面を包装袋に密着させることができると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項3に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、吸着機構による吸引によって、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が確保されると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項4に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋に応じてレーザー発生部の先端およびレーザー受光部の先端の間隔を調整することができ、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保できる。
請求項5に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項6に記載の包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機によれば、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保すると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項7に記載の包装袋のガス濃度測定方法によれば、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部に袋当接用ガイドが設けられることで、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が確保されると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の包装袋のガス濃度測定装置の一実施例を説明するための正面概略図である。
図2図1に示した包装袋のガス濃度測定装置におけるレーザー発光部およびレーザー受光部を説明するための一部断面図である。
図3図1に示した包装袋のガス濃度測定装置におけるレーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を説明するための説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は右側面図であり、(d)は平面図であり、(e)は縦断面図である。
図4図1に示した包装袋のガス濃度測定装置における袋当接用ガイド板を説明するための説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は平面図である。
図5図1に示した包装袋のガス濃度測定装置における往復動機構を説明するための正面図である。
図6】本発明の、包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機の一実施例を説明するための平面概略図である。
図7図6に示した包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機におけるガス濃度測定装置を説明するための説明図である。
図8図6に示した包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機における包装袋姿勢変更板の作用を説明するための説明図であり、(a)は姿勢変更前の斜視図であり、(b)は姿勢変更後の斜視図である。
図9図6に示した包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機における包装袋姿勢変更板の作用を説明するための説明図であり、(a)は姿勢変更前の側面概略図であり、(b)は姿勢変更後の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、レーザー発生部32およびレーザー受光部34が、先端部36,37に袋当接用ガイド板39を有していることで、レーザー発光部32の先端やレーザー受光部34の先端と被測定物(包装袋)Hとの密着性を確保すると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる包装袋のガス濃度測定装置G1,G2およびそれらを備えた包装機Pを実現した。
【実施例0014】
本発明の包装袋のガス濃度測定装置を図1ないし図5に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装袋のガス濃度測定装置G1は、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装袋H(食品を充填した包装袋に限定されず、例えば医療用輸液を充填した輸液バッグなどの食品以外を充填した包装袋も含む。)内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器31を有するレーザー発生部32と、発信器31から発振されるレーザー光Lを受光する受信器33を有するレーザー受光部34とを備え、レーザー発生部32とレーザー受光部34とが包装袋Hの両側に対向して配されるレーザー式ガス濃度計35と、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37を、包装袋Hに対して内外に往復動させる往復動機構38を有し、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37は、袋当接用ガイド板39をそれぞれ有している。以下、各構成について順次詳述する。
【0015】
本発明のガス濃度測定装置は、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装袋H内の特定ガスである酸素濃度をレーザー式ガス濃度計5によって測定するものであり、単独の測定装置として使用され、または、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機内の検査工程に設置して包装機内の一装置として使用され、さらに、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程に設置して使用される。
【0016】
この実施例のガス濃度測定装置G1は、各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程に設置され、図1または図2に示すように、コンベアベルトB上に配されて順次に搬送される、ガス置換をして包装された包装袋Hのガス濃度を順次測定する装置である。
【0017】
レーザー式ガス濃度計35は、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器31を有するレーザー発生部32と、発信器31から発振されるレーザー光Lを受光する受信器33を有するレーザー受光部34とを備えており、レーザー発生部32とレーザー受光部34とが包装袋Hの両側に対向して配されるように構成されている。この実施例では、レーザー発生部32とレーザー受光部34は、コンベアベルトBの幅方向の両側にそれぞれ配置されている。
【0018】
レーザー式ガス濃度計35は、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(測定ガス:この実施例では酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、それを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。
【0019】
具体的には、レーザー発生部32の発信器31から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部32の先端部36内を通過して包装袋H内に侵入し、レーザー受光部34の受信器33に受光されるように構成されている。発信器31から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、包装袋H内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部34の受信器33に受光されたレーザー光の吸光度に基づいて包装体H内に残留している酸素ガスのガス濃度が測定されるように構成されている。
【0020】
レーザー発生部32は、発信器31から発振されるレーザー光Lの波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部40を有している。制御部40は、半導体レーザー素子(図示しない)から出力されるレーザー光Lの波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光Lが所定の入射光強度で射出されるように増幅制御する。
【0021】
レーザー受光部34は、包装袋Hを透過したレーザー光Lを受光する受信器33と、受信器33からの受光信号に基づいてガス濃度を測定する測定部41とを有している。
【0022】
受信器33は、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、例えばフォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的に処理することができる。
【0023】
測定部41は、透過光強度に係る透過光信号と、発信器31から発振されたレーザー光Lの入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装袋H内の特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
【0024】
本発明のガス濃度測定装置は、レーザー発生部の先端部とレーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、包装袋を吸着可能とする吸着機構を有している。この実施例のガス濃度測定装置G1は、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37の双方に、包装袋Hを吸着可能とする吸着機構42、43を有している。これにより、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37と被測定物(包装袋H)との密着性を確保できると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0025】
具体的には、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37は、図1または図2に示すように、吸引穴44,45を備えた連通路46,47に流量調整弁(図示しない)や圧力計(図示しない)を介して真空ポンプ等の真空源(図示しない)が取り付けられてそれぞれ吸引可能な吸着機構42,43をそれぞれ有している。
【0026】
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度計35は、連通路46,47とレーザー経路48,49とがそれぞれ連通し、吸着機構42,43による吸引により、レーザー発光部32とレーザー受光部34のレーザー経路48,49内も真空雰囲気下となるように構成されている。これにより、レーザー経路48,49内の残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めることができる。
【0027】
レーザー発生部32の先端部36の先端面50およびレーザー受光部34の先端部37の先端面51は、図2または図3に示すように、正面(図1または図2中、手前側から奥に向かう方向)視において、それぞれ上側が内側(包装袋H側)に位置し下側が外側(制御部40,測定部41側)に位置する傾斜面に形成されている。これにより、コンベアベルトB上に、厚さ方向を上下に配された包装袋Hの膨らみに対応してレーザー発生部32およびレーザー受光部34の先端面50,51を包装袋Hに密着させることができると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0028】
そして、本発明のガス濃度測定装置G1は、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37に、袋当接用ガイド板39をそれぞれ有している。これにより、レーザー発光部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37と被測定物(包装袋)Hとの密着性(密閉性)が確保される(隙間なく付着させ空気を入れない状態を確保できる)と共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。すなわち、吸引機構42,43による吸引に伴って袋当接用ガイド板39に沿った形状に包装袋Hを変形させることで包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0029】
具体的には、この実施例の袋当接用ガイド板39は、図1に示すように、傾斜面に形成された、レーザー発生部32の先端部36の先端面50およびレーザー受光部34の先端部37の先端面51の内側(包装袋H側)に、それぞれ傾斜して配されている。
【0030】
袋当接用ガイド板39は、図4に示すように、屈曲された板状体にて構成されており、レーザー発生部32の先端部36の先端面50およびレーザー受光部34の先端部37の先端面51に面当接して配される傾斜面部39aと、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37の外側後方部に袋当接用ガイド板39をそれぞれ固定するための固定用屈曲部39bと、傾斜面部39aの中央付近に設けられたレーザー光通過用貫通穴39cと、固定用屈曲部39bに設けられた固定用ボルト挿通穴39dを有している。
【0031】
往復動機構38は、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37を、包装袋Hに対して内外に往復動させるための機構である。これにより、包装袋Hのサイズに応じてレーザー発生部32の先端およびレーザー受光部34の先端の間隔を調整することができ、レーザー発光部32の先端やレーザー受光部34の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保できる。
【0032】
具体的には、この実施例の往復動機構38は、図5に示すように、レーザー発生部32を固定した第1往復動部38aと、レーザー受光部34を固定した第2往復動部38bと、第1往復動部38aと第2往復動部38bとをそれぞれ往復動可能に取り付けた送りねじ機構38cと、送りねじ機構38cを操作するための操作部38dとを有し、操作部38dを正逆回転させることにより、レーザー発生部32とレーザー受光部34が相対的に内外に移動してレーザー発生部32の先端およびレーザー受光部34の先端の間隔が調整可能に構成されている。
【0033】
なお、この実施例の往復動機構38は、同一サイズの包装袋Hに対して、レーザー発生部32とレーザー受光部34の相対的位置を位置決めするものであるため、操作部38dは手動であるが、これに限定されるものではなく、レーザー発生部とレーザー受光部間は、包装袋Hのサイズに応じて、自動的に接近及び離隔可能に構成された往復動機構も本発明の範疇に包含される。具体的には、レーザー発生部とレーザー受光部をそれぞれ、シリンダーやサーボモーターなどにより順次測定される包装袋Hに対して内外に移動可能に構成する。
【0034】
また、順次測定される包装袋Hがそれぞれ異なる幅を有する場合は、レーザー発生部32とレーザー受光部34間の離隔距離を測定し、当該離隔距離における測定値から基準となる一定距離に換算した数値を算出して補正することにより包装袋H内の特定ガスの濃度を測定することができる。
【0035】
具体的には、離隔距離は、例えば第1往復動部38aと第2往復動部38bの移動距離などを基にして算出され、離隔距離:測定値=基準となる一定距離:ガス濃度X(換算して補正された数値)から、ガス濃度X(ガス濃度X=測定値×基準となる一定距離/離隔距離)の数値が算出され表示されるように構成されている。これにより、包装袋Hによってレーザー発生部32とレーザー受光部34間における被測定物(包装袋H)の幅が異なる場合でも、異なったままガス濃度を高精度で測定することができる。
【0036】
つぎに、本発明の包装袋のガス濃度測定装置を備えた包装機の一実施例について説明する。
この実施例の包装袋のガス濃度測定装置G2を備えた包装機Pは、図6に示すように、ロータリー式ガス充填包装機であり、給袋工程(1)、賞味期限等の印字工程(2)、包装袋の開口工程(3)、被包装物の充填工程(4)、ノズル挿入及び仮付けシール工程(5)、ガス置換・モミホグシ工程(6・7)、トップシール工程(8)、シール冷却・ガス置換検知工程(9)、製品取出し工程(10)の10工程を経て製品(例えばレトルト食品)を量産する包装機である。
【0037】
このガス濃度測定装置G2を備えた包装機Pの機台60上には、縦向きの間欠回転軸(図示しない)を回転自由に支持したスタンド(図示しない)を設け、その間欠回転軸に取り付けた円盤状回転体61には、包装袋Hを掴着又は釈放するための10個のグリップ対gが等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。そして、この実施例の包装袋のガス濃度測定装置G2は、シール冷却・ガス置換検知工程(9)に配置されている。
【0038】
なお、この実施例のガス濃度測定装置G2を備えた包装機Pは、移動体(円盤状回転体)61を間欠回転駆動させるロータリー式包装機であるが、本発明の包装機はこれに限定されるものではなく、公知の直線移動方式(トラック方式)の包装機でもよい。この直線移動方式の給袋包装機とは、例えば直線部とその両端の半円形部からなる環状通路を水平移動する移動体に多数のグリップ対を直立姿勢または水平姿勢に変換自在に設け、給袋工程で供給される包装袋を各グリップ対に支持して当該包装袋を開口工程、充填工程、袋口のシール工程等の各工程に間欠停止させて被包装物の袋詰めを行うようにした構造のものをいう。
【0039】
また、本発明のガス濃度測定装置を備えた包装機は、シート状のフィルムを製袋しつつ被包装物を当該袋内に充填包装する縦ピロー包装機または横ピロー包装機であってもよく、包装機の製品排出経路であるコンベアに包装袋のガス濃度測定装置Gが配置されたものであってもよい。
【0040】
この実施例のガス濃度測定装置G2において、レーザー式ガス濃度計35については、図7に示すように、前述したガス濃度測定装置G1と同様の構成であるため、同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0041】
この実施例のガス濃度測定装置G2を備えた包装機Pの特徴は、包装袋Hの姿勢を変更するための包装袋姿勢変更板62を有している点である。これにより、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
【0042】
具体的には、このガス濃度測定装置G2を備えた包装機Pは、図8(a)または図9(a)に示すように、包装袋Hがグリップ対gに吊り下げ状に支持されてシール冷却・ガス置換検知工程(9)に間欠移動されると、図8(b)または図9(b)に示すように、グリップ対gの下部付近に配された包装袋姿勢変更板62が包装袋Hを傾動させるように構成されている。
【0043】
より具体的には、包装袋姿勢変更板62は、図8(b)に示すように、包装袋Hの姿勢変更前は、垂直方向に延在するように配置されており、包装袋Hを傾動させる際は、シリンダーやサーボモーターなどの往復動機構(図示しない)により下端62a側を回動させ、包装袋Hの裏面側下部付近を押圧する。これにより、図9(b)に示すように、包装袋Hも傾動し包装袋H内部の上部付近に検知空間Qが確保される。そして、包装袋Hの表面(片面)側がレーザー発生部32の先端部およびレーザー受光部34の先端部に押し当てられて包装袋H内のレーザー光Lが測定され、ガス濃度の測定が高精度で行われるように構成されている。
【符号の説明】
【0044】
G1、G2 包装袋のガス濃度測定装置
M レーザー式ガス濃度計
B コンベアベルト
P 包装機
H 包装袋
g グリップ対
31 発信器
32 レーザー発生部
33 受信器
34 レーザー受光部
35 レーザー式ガス濃度計
36 レーザー発生部の先端部
37 レーザー受光部の先端部
38 往復動機構
39 袋当接用ガイド板
39a 傾斜面部
39b 固定用屈曲部
39c レーザー光通過用貫通穴
40 制御部
41 測定部
42,43 吸着機構
44,45 吸引穴
46,47 連通路
48,49 レーザー経路
50,51 先端面
60 機台
61 円盤状回転体
62 包装袋姿勢変更板
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図9