(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176603
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】包装袋のガス濃度測定装置および包装袋のガス濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/39 20060101AFI20221122BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01N21/39
G01N21/59 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083117
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059EE01
2G059GG01
2G059HH01
2G059HH06
2G059KK02
(57)【要約】
【課題】測定する包装袋毎に、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を往復動機構により移動させて包装袋の表裏面に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋の厚みに左右されることなく包装袋のガス濃度を測定でき、包装袋の厚みに対応させてレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部の離隔距離を調整する必要もない包装袋のガス濃度測定装置および包装袋のガス濃度測定方法を提供する。
【解決手段】包装袋のガス濃度測定装置Gは、レーザー発生部2の先端部とレーザー受光部4の先端部のいずれもが包装袋Hの片面(例えば表面Ha)側に対向配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部のいずれもが、前記包装袋の片面側に対向配置されていることを特徴とする包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部は、前記包装袋を吸着可能な吸盤部を有している請求項1に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記吸盤部は、袋ガイド板を有している請求項1または2に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記吸盤部は、厚さ方向を上下に配置された包装袋に対して斜め上方から前記包装袋を吸引するように配されている請求項1ないし3のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記レーザー発生部の先端に設けられた吸盤部は、前記発信器から発振されるレーザー光を屈折させて前記受信器に受光させるレンズを有している請求項1ないし4のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記包装袋のガス濃度測定装置は、前記包装袋を載置するための包装袋載置部と、前記包装袋載置部を往復動するための載置部往復動機構を有している請求項1ないし5のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項7】
前記レーザー発生部および前記レーザー受光部は、先端部に袋当接用ガイド板を有している請求項1に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項8】
前記レーザー発生部および前記レーザー受光部の先端面は、正面視において上側が内側に位置し下側が外側に位置する傾斜面に形成され、該傾斜面に前記袋当接用ガイドが傾斜して配されている請求項7に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項9】
前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、前記包装袋を吸着可能とする吸着機構を有している請求項7または8に記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項10】
前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を前記包装袋に対して内外に往復動させて前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部間の離隔距離を設定するための往復動機構を有している請求項7ないし9のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項11】
前記包装袋のガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部を昇降させるための昇降用往復動機構を有している請求項7ない10のいずれかに記載の包装袋のガス濃度測定装置。
【請求項12】
特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有する包装袋のガス濃度測定装置を用いて被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定方法であって、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を、前記包装袋の片面側に対向配置させてガス濃度を測定することを特徴とする包装袋のガス濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋内の特定ガスの濃度を測定することができる包装袋のガス濃度測定装置および包装袋のガス濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物が特に食品の場合、保存期間や賞味期限を長くするために、包装時に包装袋内に残留する空気を排除して窒素、二酸化炭素等の不活性ガスを充填するガス置換包装が行われている。例えば特許文献1には、包装袋内に被包装物を投入すると共に、包装袋に挿入したノズルから不活性ガスを充填して、不活性ガスと包装袋内の酸素との置換作用を行なう不活性ガス充填方法が開示されている。
【0003】
そして、製品検査において、被包装物を包装した包装袋内に残存する酸素濃度を計測する方法として、本件出願人が、例えば特許文献2にレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法を提案している。
【0004】
このレーザー式ガス濃度測定装置による計測方法は、大半のガス分子が特定波長の光を吸収するという性質を利用して、包装袋の表裏面間の一定距離内のガス分子の数を計測しガス濃度を測定するものである。
【0005】
そのため、
図10または
図11に示すように、測定する包装袋H毎に、レーザー発光部60の先端部およびレーザー受光部61の先端部を、往復動機構(例えばシリンダーやサーボモーター等)63により移動させて包装袋Hの表裏面Ha,Hbに接近させることが必要でありその分包装時間を要した。
【0006】
また、測定する包装袋Hの厚み(表面Haと裏面Hb間の離隔距離)が異なる場合は、往復動機構63により、レーザー式ガス濃度測定装置G3のレーザー発光部60の先端部とレーザー受光部61の先端部の離隔距離を被測定物(包装袋)Hの厚みに対応させるべく測定毎に調整する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3742042号公報
【特許文献2】特許第5124719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、測定する包装袋毎に、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を往復動機構により移動させて包装袋の表裏面に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋の厚みに左右されることなく包装袋のガス濃度を測定でき、包装袋の厚みに対応させてレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部の離隔距離を調整する必要もない包装袋のガス濃度測定装置および包装袋のガス濃度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものは、被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有し、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部のいずれもが、前記包装袋の片面側に対向配置されていることを特徴とする包装袋のガス濃度測定装置である(請求項1)。
【0010】
前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部は、前記包装袋を吸着可能な吸盤部を有していることが好ましい(請求項2)。前記吸盤部は、袋ガイド板を有していることが好ましい(請求項3)。前記吸盤部は、厚さ方向を上下に配置された前記包装袋に対して斜め上方から前記包装袋を吸引するように配されていることが好ましい(請求項4)。前記レーザー発生部の先端に設けられた吸盤部は、前記発信器から発振されるレーザー光を屈折させて前記受信器に受光させるレンズを有していることが好ましい(請求項5)。前記包装袋のガス濃度測定装置は、前記包装袋を載置するための包装袋載置部と、前記包装袋載置部を往復動するための載置部往復動機構を有していてもよい(請求項6)。前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部は、袋当接用ガイド板を有していることが好ましい(請求項7)。前記レーザー発生部および前記レーザー受光部の先端面は、正面視において上側が内側に位置し下側が外側に位置する傾斜面に形成され、該傾斜面に前記袋当接用ガイドが傾斜して配されていることが好ましい(請求項8)。前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、前記包装袋を吸着可能とする吸着機構を有していることが好ましい(請求項9)。前記ガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を前記包装袋に対して内外に往復動させて前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部間の離隔距離を設定するための往復動機構を有していることが好ましい(請求項10)。前記包装袋のガス濃度測定装置は、前記レーザー発生部の先端部と前記レーザー受光部の先端部を昇降させるための昇降用往復動機構を有していてもよい(請求項11)。
【0011】
また、上記課題を解決するものは、特定波長のレーザー光を照射する発信器を有するレーザー発生部と、前記発信器から発振されるレーザー光を受光する受信器を有するレーザー受光部とを備えたレーザー式ガス濃度計を有する包装袋のガス濃度測定装置を用いて被包装物を充填しガス置換して包装された包装袋内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定方法であって、前記レーザー発生部の先端部および前記レーザー受光部の先端部を、前記包装袋の片面側に対向配置させてガス濃度を測定することを特徴とする包装袋のガス濃度測定方法である(請求項12)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、測定する包装袋毎に、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を往復動機構により移動させて包装袋の表裏面に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋の厚みに左右されることなく包装袋のガス濃度を測定でき、包装袋の厚みに対応させてレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部の離隔距離を調整する必要もない。
請求項2に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と被測定物(包装袋)との密着性を確保できると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項3に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、吸盤部の吸引に伴って袋ガイド板に沿った形状に包装袋を変形させることで包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項4に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋の膨らみに対応して、吸盤部をより被測定物(包装袋)に密着させることができると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項5に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、発信器から発振されるレーザー光を屈折させて受信器との光軸を調整し、レーザー光を受信器に確実に受光させることができる。
請求項6に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、順次測定する被包装物を包装した包装袋を、設定位置に配置されたレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部に接近または離隔させることができる。
請求項7に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部に袋当接用ガイドが設けられることで、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が確保されると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項8に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋の膨らみに対応してレーザー発生部およびレーザー受光部の先端面を包装袋に密着させることができると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項9に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、吸着機構による吸引によって、レーザー発光部の先端やレーザー受光部の先端と被測定物(包装袋)との密着性が確保されると共に、包装袋内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
請求項10に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、包装袋に応じてレーザー発生部の先端部およびレーザー受光部の先端部の間隔を設定することができ、レーザー発光部の先端部やレーザー受光部の先端部と被測定物(包装袋)との密着性をより確保できる。
請求項11に記載の包装袋のガス濃度測定装置によれば、順次搬送されて来る包装袋に対して、レーザー発生部の先端部およびレーザー受光部の先端部を接近または離隔させることができる。
請求項12に記載の包装袋のガス濃度測定方法によれば、測定する包装袋毎に、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を往復動機構により移動させて包装袋の表裏面に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋の厚みに左右されることなく包装袋のガス濃度を測定でき、包装袋の厚みに対応させてレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部の離隔距離を調整する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の包装袋のガス測定装置の一実施例を説明するための正面概略図である。
【
図2】
図1に示した包装袋のガス測定装置を説明するための部分拡大縦断面図である。
【
図3】
図1に示した包装袋のガス測定装置の袋ガイドを説明するための説明図であり、(a)は正面概略図であり、(b)は左側面図であり、(c)は平面図である。
【
図4】本発明の包装袋のガス濃度測定装置の他の実施例を説明するための正面概略図である。
【
図5】
図4に示した包装袋のガス濃度測定装置におけるレーザー発光部およびレーザー受光部を説明するための一部断面図である。
【
図6】
図4に示した包装袋のガス濃度測定装置におけるレーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を説明するための説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は右側面図であり、(d)は平面図であり、(e)は縦断面図である。
【
図7】
図4に示した包装袋のガス濃度測定装置における袋当接用ガイド板を説明するための説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は左側面図であり、(c)は平面図である。
【
図8】
図4に示した包装袋のガス濃度測定装置における往復動機構を説明するための正面図である。
【
図9】本発明の包装袋のガス濃度測定装置の他の実施例を説明するための正面概略図である。
【
図10】従来の包装袋のガス濃度測定装置を説明するための正面図である。
【
図11】従来の包装袋のガス濃度測定装置を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、レーザー発生部の先端部とレーザー受光部の先端部のいずれもが、前記包装袋の片面側に対向配置されていることで、測定する包装袋毎に、レーザー発光部の先端部およびレーザー受光部の先端部を往復動機構により移動させて包装袋の表裏面に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋の厚みに左右されることなく包装袋のガス濃度を測定でき、包装袋の厚みに対応させてレーザー発光部の先端部とレーザー受光部の先端部の離隔距離を調整する必要もない包装袋のガス濃度測定装置および包装袋のガス濃度測定方法を実現した。
【実施例0015】
本発明の包装袋のガス濃度測定装置を
図1ないし
図3に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装袋のガス濃度測定装置Gは、被包装物Sを充填しガス置換して包装された包装袋H内の特定ガスの濃度を測定する包装袋のガス濃度測定装置であって、特定波長のレーザー光を照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光を受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えたレーザー式ガス濃度計5を有し、レーザー発生部2の先端部とレーザー受光部4の先端部のいずれもが、包装袋Hの片面(表面Ha)側に対向配置されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0016】
この実施例のガス濃度測定装置被包装物Gは、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装袋H内の特定ガスである酸素濃度をレーザー式ガス濃度計5によって測定するものであり、単独の測定装置として使用され、または、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機内の検査工程に設置して使用され、さらには、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程に設置して使用される。
【0017】
レーザー式ガス濃度計5は、
図1または
図2に示すように、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器1を有するレーザー発生部2と、発信器1から発振されるレーザー光Lを受光する受信器3を有するレーザー受光部4とを備えており、レーザー発生部2とレーザー受光部4とが包装袋Hの両側に対向して配されるように構成されている。
【0018】
レーザー式ガス濃度計5は、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(測定ガス:この実施例では酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、これを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。
【0019】
具体的には、レーザー発生部2の発信器1から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部2の鏡筒部8内を通過して包装袋H内に侵入し、レーザー受光部4の受信器3に受光されるように構成されている。発信器1から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、包装袋H内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部4の受信器3に受光されたレーザー光の吸光度に基づいて包装体H内に残留している酸素ガスのガス濃度が測定されるように構成されている。
【0020】
レーザー発生部2は、発信器1から発振されるレーザー光Lの波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部9を有している。制御部9は、半導体レーザー素子(図示しない)から出力されるレーザー光Lの波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光Lが所定の入射光強度で射出されるように増幅制御する。
【0021】
レーザー受光部4は、包装袋Hを透過したレーザー光Lを受光する受信器3と、受信器3からの受光ケーブル10を介する受光信号に基づいてガス濃度を測定する測定部11とを有している。
【0022】
受信器3は、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、例えばフォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的に処理することができる。
【0023】
測定部11は、透過光強度に係る透過光信号と、発信器1から発振されたレーザー光Lの入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装袋H内の特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
【0024】
そして、本発明の包装袋のガス濃度測定装置被包装物Gは、レーザー発生部2の先端部とレーザー受光部4の先端部のいずれもが、包装袋Hの片面(表面Ha)側に対向配置されている。これにより、包装袋のガス濃度測定を包装袋Hの片面(表面Ha)側のみで行うことができるため、測定する包装袋H毎に、レーザー発光部2の先端部およびレーザー受光部4の先端部を往復動機構により移動させて包装袋Hの表裏面(Ha,Hb)に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋Hの厚みに左右されることなく包装袋H内のガス濃度を測定でき、包装袋Hの厚みに対応させてレーザー発光部2の先端部とレーザー受光部4の先端部の離隔距離を調整する必要もない。
【0025】
レーザー発生部2およびレーザー受光部4は、先端部に包装袋Hを吸着可能な吸盤部6,7をそれぞれ有している。これにより、レーザー発光部2の先端やレーザー受光部4の先端と被測定物(包装袋H)との密着性を確保できると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度が向上させることができる。
【0026】
具体的には、レーザー発生部2およびレーザー受光部4は、
図1または
図2に示すように、鏡筒部8,12の先端部に包装袋Hを吸着可能な吸盤部6,7をそれぞれ有している。これらの吸盤部6,7は、鏡筒部8,12に設けられた吸引穴13,14を備えた連通路15,16に流量調整弁(図示しない)や圧力計(図示しない)を介して真空ポンプ等の真空源(図示しない)が取り付けられてそれぞれ吸引可能に構成されている。
【0027】
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度計5は、連通路15,16とレーザー経路17,18とがそれぞれ連通し、吸盤部6,7による吸引により、レーザー発光部2とレーザー受光部4のレーザー経路17,18内も真空雰囲気下となるように構成されている。これにより、レーザー経路17,18内の残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めることができる。
【0028】
また、この実施例のレーザー式ガス濃度計5は、吸盤部6,7が、厚さ方向を上下に配置された包装袋Hに対して斜め上方から包装袋Hを吸引するように配されている。これにより、包装袋Hの膨らみに対応して、吸盤部6,7をより被測定物(包装袋)Hに密着させることができると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度が向上させることができる。
【0029】
具体的には、この実施例の吸盤部6,7は、
図3(a)中、中心線nに対して線対称の位置に設けられている。すなわち、この実施例の吸盤部6,7は、包装袋Hの中央を縦断し垂直方向に延在する中心線nに対して、同一角度で、かつ同一高さの位置に配されている。これにより、レーザー発光部2とレーザー受光部4間における包装袋Hの測定距離Wが一定に保持されるように構成されている。
【0030】
レーザー発生部2の先端に設けられた吸盤部6は、発信器1から発振されるレーザー光Lを屈折させて受信器3に受光させるレンズ19を有している。これにより、発信器1から発振されるレーザー光Lを屈折させて受信器3との光軸を調整し、レーザー光Lを受信器3に確実に受光させることができる。
【0031】
吸盤部6,7は、袋ガイド板20,21をそれぞれ有している。これにより、吸盤部6,7の吸引に伴って袋ガイド板20に沿った形状に包装袋Hを変形させることで包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度が向上させることができる。
【0032】
具体的には、この実施例の袋ガイド板20,21は、
図3に示すように、矩形の板状体にて構成されており、袋ガイド板20,21の中央付近には、円形の貫通穴22,23がそれぞれ設けられ、吸盤部6,7の先端側に設けられた細径部24,25を貫通穴22,23内にそれぞれ位置させて装着することで、吸盤部6,7の先端部に袋ガイド板20,21が取り付けられている。また、袋ガイド板20,21は、吸盤部6,7または鏡筒部8,12の軸方向に直交する方向に延在するよう配されている。そして、吸盤部6,7の吸引に伴い、袋ガイド板20,21の内側面20a,21bに沿って包装袋Hが引張されることにより、包装袋H内に十分な検知空間が確保されるように構成されている。
【0033】
また、この実施例の包装袋のガス濃度測定装置Gは、
図1に示すように、包装袋Hを載置するための包装袋載置部26と、包装袋載置部26を往復動するための載置部往復動機構(例えばシリンダーやサーボモーター等)27を有している。これにより、順次測定する被包装物Sを包装した包装袋Hを、設定位置に配置されたレーザー発光部2の先端部とレーザー受光部4の先端部に接近または離隔させることができる。
この実施例のガス濃度測定装置G1も、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスによりガス置換をして包装された包装袋H内の特定ガスである酸素濃度をレーザー式ガス濃度計5によって測定するものであり、単独の測定装置として使用され、または、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機内の検査工程に設置して包装機内の一装置として使用され、さらに、ロータリー式包装機、トラック式包装機、製袋包装機等の各種包装機のアウトラインに設けられたコンベア式検査工程に設置して使用される。
レーザー式ガス濃度計35は、特定波長のレーザー光Lを照射する発信器31を有するレーザー発生部32と、発信器31から発振されるレーザー光Lを受光する受信器33を有するレーザー受光部34とを備えており、レーザー発生部32とレーザー受光部34とが包装袋Hの両側に対向して配されるように構成されている。この実施例では、レーザー発生部32とレーザー受光部34は、コンベアベルトBの幅方向の両側にそれぞれ配置されている。
レーザー式ガス濃度計35は、半導体レーザーを光源とする赤外線吸収分光法を利用するもので、測定対象の分子(測定ガス:この実施例では酸素ガス)に固有周波数の光を与えると光エネルギーを吸収し、それを測定することによりガス濃度の表示を行なうものである。
具体的には、レーザー発生部32の発信器31から発振されるレーザー光Lは、レーザー発生部32の先端部36内を通過して包装袋H内に侵入し、レーザー受光部34の受信器33に受光されるように構成されている。発信器31から発振される特定波長のレーザー光Lは、酸素ガスの場合、波長(固有周波数)760~770nmの範囲から選択される。そして、特定波長のレーザー光Lが、包装袋H内に残留している酸素ガスによって吸収されると、レーザー受光部34の受信器33に受光されたレーザー光の吸光度に基づいて包装体H内に残留している酸素ガスのガス濃度が測定されるように構成されている。
レーザー発生部32は、発信器31から発振されるレーザー光Lの波長を特定の波長に設定し、所定の光強度に調整する制御部40を有している。制御部40は、半導体レーザー素子(図示しない)から出力されるレーザー光Lの波長を測定対象の特定ガス固有の特定波長に調整して、レーザー光Lが所定の入射光強度で射出されるように増幅制御する。
レーザー受光部34は、包装袋Hを透過したレーザー光Lを受光する受信器33と、受信器33からの受光信号に基づいてガス濃度を測定する測定部41とを有している。
受信器33は、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的な透過光信号に変換する素子、例えばフォトダイオード(図示略)を有している。これによって、包装袋Hを透過したレーザー光Lの透過光強度を電気的に処理することができる。
測定部41は、透過光強度に係る透過光信号と、発信器31から発振されたレーザー光Lの入射光強度に係る入射光信号に基づいて透過率を計算し、当該透過率に基づいてレーザー光の特定ガスによる吸光度を求め、当該吸光度に基づいて包装袋H内の特定ガスの濃度を測定するように構成されている。
本発明のガス濃度測定装置は、レーザー発生部の先端部とレーザー受光部の先端部の少なくとも一方に、包装袋を吸着可能とする吸着機構を有している。この実施例のガス濃度測定装置G1は、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37の双方に、包装袋Hを吸着可能とする吸着機構42、43を有している。これにより、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37と被測定物(包装袋H)との密着性を確保できると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
なお、この実施例のレーザー式ガス濃度計35は、連通路46,47とレーザー経路48,49とがそれぞれ連通し、吸着機構42,43による吸引により、レーザー発光部32とレーザー受光部34のレーザー経路48,49内も真空雰囲気下となるように構成されている。これにより、レーザー経路48,49内の残存酸素率をほぼ0%として測定精度をより高めることができる。
そして、本発明の包装袋のガス濃度測定装置被包装物G1も、レーザー発生部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37のいずれもが、包装袋Hの片面(表面Ha)側に対向配置されている。これにより、包装袋のガス濃度測定を包装袋Hの片面(表面Ha)側のみで行うことができるため、測定する包装袋H毎に、レーザー発光部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37を往復動機構により移動させて包装袋Hの表裏面(Ha,Hb)に接近させる必要がなく包装時間を短縮できると共に、包装袋Hの厚みに左右されることなく包装袋H内のガス濃度を測定でき、包装袋Hの厚みに対応させてレーザー発光部32の先端部36とレーザー受光部34の先端部37の離隔距離を調整する必要もない。
レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37には、袋当接用ガイド板39がそれぞれ設けられている。これにより、レーザー発光部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37と被測定物(包装袋)Hとの密着性が確保されると共に、包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。すなわち、吸引機構42,43による吸引に伴って袋当接用ガイド板39に沿った形状に包装袋Hを変形させることで包装袋H内に十分な検知空間を確保して測定精度を向上させることができる。
往復動機構38は、レーザー発生部32の先端部36およびレーザー受光部34の先端部37を、包装袋Hに対して内外に往復動させるための機構である。これにより、包装袋Hのサイズに応じてレーザー発生部32の先端およびレーザー受光部34の先端の離隔距離を一定距離に設定することができ、レーザー発光部32の先端やレーザー受光部34の先端と被測定物(包装袋)との密着性を確保できる。
なお、この実施例の往復動機構38は、操作部38dが手動であるが、これに限定されるものではなく、レーザー発生部とレーザー受光部間は、包装袋Hのサイズに応じて自動的に接近及び離隔して設定可能に構成された往復動機構も本発明の範疇に包含される。具体的には、レーザー発生部とレーザー受光部をそれぞれ、シリンダーやサーボモーターなどにより包装袋Hに対して内外に移動可能に構成する。