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特開2022-176635サンプルホルダーおよび位置測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176635
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】サンプルホルダーおよび位置測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083166
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏次
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA07
2F065AA14
2F065BB02
2F065BB28
2F065CC17
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065MM03
2F065PP12
2F065PP24
2F065QQ31
2F065TT02
(57)【要約】
【課題】撓みのある金属薄板の表裏面に形成されたパターンの位置ずれを正確に測定できる測定技術を提供する。
【解決手段】金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルが撓んでいても、前記測定サンプルを装着することにより前記測定サンプルの撓みを矯正した状態で光学的な位置測定装置のステージに固定することができるサンプルホルダーであって、
前記測定サンプルを、該測定サンプルの一方の面から支持する第2ホルダーと、
前記測定サンプルの前記第2ホルダーと対向する面から前記測定サンプルを挟持することにより、前記測定サンプルの撓みを矯正する第1ホルダーと、を備えているサンプルホルダー。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルが撓んでいても、前記測定サンプルを装着することにより前記測定サンプルの撓みを矯正した状態で光学的な位置測定装置のステージに固定することができるサンプルホルダーであって、
前記測定サンプルを、該測定サンプルの一方の面から支持する第2ホルダーと、
前記測定サンプルの前記第2ホルダーと対向する面から前記測定サンプルを挟持することにより、前記測定サンプルの撓みを矯正する第1ホルダーと、を備えており、
前記第1ホルダーには、少なくとも、
四隅の開口部と、
前記四隅の開口部より内側に備えられた複数の内側開口部と、
前記第1ホルダーと前記第2ホルダーを互いに圧迫することにより、前記測定サンプルの撓みを矯正する第1留め具と、
前記サンプルホルダーを前記ステージに固定する第2留め具と、
が備えられており、
前記第2ホルダーには、少なくとも、前記第1ホルダーに対応して、
四隅の開口部と、
前記四隅の開口部より内側に備えられた複数の内側の開口部と、
を備えていることを特徴とするサンプルホルダー。
【請求項2】
金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルを挟み、表裏面のパターンの位置ずれを正確に測定するための光学的な位置測定装置であって、
請求項1に記載のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダーを載置するステージと、
前記サンプルホルダーの表裏面側に配置され、前記サンプルホルダーに装着された前記測定サンプルの前記パターンを顕微鏡観察により画像データを取得する少なくとも一対の顕微鏡カメラと、
を備えていることを特徴とする光学的な位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板の表裏面に形成したレジストパターンの位置測定装置と、その位置測定装置に使用するサンプルホルダー(基板固定治具)に関する。
【背景技術】
【0002】
金属薄板の表裏面にレジストパターンを目合わせして形成し、エッチング加工することが行われている。例えば、金属薄板の表裏面に数μm以内の精度にて位置合わせしたレジストパターンを形成した後、表裏両面からエッチング加工する場合がある。
【0003】
金属薄板は、不透明であるため、表面と裏面に形成したレジストパターンなどの位置合わせ状態を確認するためには、それぞれ、表面と裏面において反射光を用いた顕微鏡カメラによって取得した画像を使用して、表裏面に形成したパターンの位置ずれ量を測定する必要がある。
【0004】
図4は、金属薄板1の表面にドライフィルムパターン(表)2-1と、裏面にドライフィルムパターン(裏)2-2と、を形成したサンプルを測定する例を示した断面図である。表と裏に、それぞれ、合わせパターン3-1と3-2を備えている測定対象のサンプル5-1をステージ(図示省略)上に載置した後、ステージの上下に配置された上側カメラ(顕微鏡カメラ4-1)と下側カメラ(顕微鏡カメラ4-2)によって、合わせパターン3-1と合わせパターン3-2を撮像し、それらの2つの画像を同じ画面上で重ねて表示することで、または、それら2つの画像の共通する原点に対する座標を算出し、画像の対応する点同士を対比することで、ずれ量を測定することが可能となる。
【0005】
しかしながら、図5図8に例示したように、ステージ6上に載置された測定対象のサンプルは、様々な要因によって、サンプルの測定すべき部分が、ステージ6の面と平行を保持することができない場合がある。そのような場合には、正確な測定ができなくなる。
【0006】
例えば、図5は、ステージ6上に測定対象のサンプル5-2が、ステージ6より大きい場合には、測定対象のサンプル5-2がステージ6からはみ出す部分が出てしまう場合を示している。そのような状況ではステージ6の外側にはみ出した部分が自重によって下側に撓むことにより、ステージ6上の部分が逆に上側に撓む。そのため、ステージ6との平行が保てなくなり、正確な測定ができなくなる。
【0007】
また、図6は、ステージ6より大きな測定対象のサンプル5-3の周辺部を枠状の把持具であるサンプルホルダー7によって把持した場合は、サンプル5-3の中央部が下側に撓んでしまうため、やはりステージ6との平行が保てなくなる場合を示している。この場合も、正確にずれ量を測定することが不可能となる。
【0008】
図7は、ロール状に巻いてあった金属薄板を用いて測定対象のサンプル5-4を作製した場合について示している。このようなサンプル5-4をステージ6上に載置すると、例えば、ステージ6の表面に上方に凸な曲面またはその逆方向に凸な曲面が形成され、ステージ6との平行が保てなくなる場合がある。そのため、正確にずれ量を測定することが不可能となる。
【0009】
図8は、測定対象のサンプルを切断して、ステージ6より小さくした場合を示している。この例は、切断によって金属薄板に発生する様々な方向の歪によって複雑な変形が起こる場合を示している。そのような測定対象のサンプル5-5をステージ6上に載置した場合においても、やはりステージ6との平行が保てなくなる場合がある。そのため、正確にずれ量を測定することが不可能となる。
【0010】
以上、図5図8に例示したように、ステージ6上に載置した測定対象のサンプルがステージ6の平面と平行でない場合は、図4に示したような表裏面から測定対象のサンプル5-1の合わせマーク3-1と3-2を撮像し、それらの位置ずれを測定しようとしても、正確な位置ずれを測定することが不可能となる。
【0011】
このような問題を解決することに関連する先行技術としては、特許文献1に、透明基板の表裏面にパターンが形成されたフォトマスク基板の表裏面の位置ずれを測定する方法が開示されている。この技術は、フォトマスク基板の表裏面の位置ずれを測定する顕微鏡のステージに傾きがあると表裏面のパターンに位置にズレが生じるが、その問題を解決する方法を提案している。具体的には、基板の表面に形成されたパターンと、該基板の裏面に形成されたパターンとの位置ずれを測定する基板表裏面パターン位置測定方法において、回転可能なステージ上に該基板を載置した第1状態で、該ステージの180°回転前後の2回の測定により該基板の表面のパターンと裏面のパターンの第1の位置ずれ量を求める第1位置ずれ量測定ステップと、該第1状態から該基板自身を測定用ステージに対して90°もしくは180°回転させた第2状態で、該ステージの180°回転前後の2回の測定により該基板の表面のパターンと裏面のパターンの第2の位置ずれ量を求める第2位置ずれ量測定ステップと、該第1の位置ずれ量と該第2の位置ずれ量とから真の位置ずれ量を算出する真値位置ずれ量算出ステップと、からなることを特徴とする基板表裏面パターン位置測定方法である。
【0012】
しかしながら、この技術は、透明な基板の表裏面にパターンが形成されたフォトマスクの表裏面のパターンの位置測定を正確に行う技術であって、金属薄板のような不透明な基板の表裏面に形成されたパターンの位置測定を、金属基板に撓みがあっても、正確に実施可能とし、表裏面のパターンの位置ずれを正確に測定する技術とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4911305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の事情に鑑み、本発明は、撓みのある金属薄板の表裏面に形成されたパターンの位置ずれを正確に測定できる測定技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルが撓んでいても、前記測定サンプルを装着することにより前記測定サンプルの撓みを矯正した状態で光学的な位置測定装置のステージに固定することができるサンプルホルダーであって、
前記測定サンプルを、該測定サンプルの一方の面から支持する第2ホルダーと、
前記測定サンプルの前記第2ホルダーと対向する面から前記測定サンプルを挟持することにより、前記測定サンプルの撓みを矯正する第1ホルダーと、を備えており、
前記第1ホルダーには、少なくとも、
四隅の開口部と、
前記四隅の開口部より内側に備えられた複数の内側開口部と、
前記第1ホルダーと前記第2ホルダーを互いに圧迫することにより、前記測定サンプルの撓みを矯正する第1留め具と、
前記サンプルホルダーを前記ステージに固定する第2留め具と、
が備えられており、
前記第2ホルダーには、少なくとも、前記第1ホルダーに対応して、
四隅の開口部と、
前記四隅の開口部より内側に備えられた複数の内側の開口部と、
を備えていることを特徴とするサンプルホルダーである。
【0016】
また、第2の態様は、金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルを挟み、表裏面のパターンの位置ずれを正確に測定するための光学的な位置測定装置であって、
第1の態様に記載のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダーを載置するステージと、
前記サンプルホルダーの表裏面側に配置され、前記サンプルホルダーに装着された前記測定サンプルの前記パターンを顕微鏡観察により画像データを取得可能とする少なくとも一対の顕微鏡カメラと、
前記画像データに基づき、前記金属薄板の表裏面に形成されたパターンの位置ずれ量を算出する演算装置と、
を備えていることを特徴とする光学的な位置測定装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のサンプルホルダーによれば、金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定サンプルに撓みがあっても、サンプルホルダーを構成する第1ホルダーと第2ホルダーの間に、測定サンプルを挟持し、第1ホルダーと第2ホルダーを圧迫して固定することにより、測定サンプルの撓みが矯正される。さらに、第1ホルダーには、金属薄板の一方の面に形成されたパターンの位置を測定するための複数の開口部を備えている。また、第2ホルダーには、第1ホルダーに形成されている複数の開口部に対応する位置に、金属薄板のもう一方の面に形成されたパターンの位置を測定するための複数の開口部を備えている。そのため、本発明のサンプルホルダーに装着された測定サンプルは、撓みが矯正された状態で保持できるため、測定サンプルの表裏面に形成されたパターンの位置を正確に測定できる状態となる。
【0018】
本発明の位置測定装置によれば、本発明のサンプルホルダーを使用して測定サンプルを測定する。そのため、測定サンプルに撓みがあった場合でも、測定サンプルの撓みが無い状態で、測定サンプルの表裏面に形成されたパターンの位置を正確に測定可能である。そのため、測定サンプルの表裏面に形成されたパターンの位置ずれを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の位置測定装置の構成を例示する断面説明図。
図2】本発明のサンプルホルダーの上側ホルダーと下側ホルダーによって測定サンプルを挟み込む状況を説明する俯瞰説明図。
図3】本発明のサンプルホルダーの上側ホルダーの構成を例示する俯瞰説明図。
図4】金属基材の両裏面にドライフィルムパターンを形成した測定対象のサンプルの表裏面を、顕微鏡カメラを備えた位置測定装置によって測定する状況を例示した断面説明図。
図5】位置測定装置のステージ上に載置した測定対象のサンプルがステージの表面と平行状態にならない状況を例示する断面説明図。
図6】位置測定装置のステージ上に載置した測定対象のサンプルがステージの表面と平行状態にならない状況を例示する断面説明図。
図7】位置測定装置のステージ上に載置した測定対象のサンプルがステージの表面と平行状態にならない状況を例示する断面説明図。
図8】位置測定装置のステージ上に載置した測定対象のサンプルがステージの表面と平行状態にならない状況を例示する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<サンプルホルダー>
本発明のサンプルホルダーについて図1図4を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の位置測定装置13の全体構成を例示した断面説明図である。測定サンプル(以後、単にサンプルとも記す。)5を装着した本発明のサンプルホルダー8が、位置測定装置13のステージ6に固定された状態を例示したものである。本発明のサンプルホルダー8にサンプル5が装着されていることにより、サンプル5に撓みがあった場合であっても、サンプル5から撓みが無い状態となって、ステージ6に固定され、サンプルホルダー8の表裏面に配置されている顕微鏡カメラ4-1、4-2によって撮像される。すなわち、サンプル5の表裏面に形成されているパターンの位置情報を、顕微鏡カメラ4-1、4-2によって取得した画像データから正確に読み取ることが可能である。
【0022】
このように、本発明のサンプルホルダー8は、金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定対象のサンプル5が撓んでいても、サンプル5を本発明のサンプルホルダー8に装着することにより、サンプル5の撓みを矯正した状態で光学的な位置測定装置13のステージ6に固定することができるサンプルホルダーである。
【0023】
サンプルホルダー8は、サンプル5をそのサンプル5の一方の面(図1におけるステージ6側の面)から支持する第2ホルダー8-2と、サンプル5の第2ホルダー8-2と対向する面(図1におけるステージ6とは反対側の面)からサンプル5を挟持することにより、サンプル5の撓みを矯正する第1ホルダー8-1と、を備えている。
【0024】
鉛直方向において、第1ホルダー8-1は、第2ホルダー8-2の上側(地面から遠い位置)に配置される。すなわち、地面に近い方から、第2ホルダー8-2とサンプル5と第1ホルダー8-1の順に配置される。そのため、第1ホルダー8-1は、第2ホルダー8-2により重いことが好ましい。例えば、サンプル5の撓みを矯正し得るほどに第1ホルダー8-1が重い場合には、撓みを持っているサンプル5の上に第1ホルダー8-1を置くだけで、サンプル5の撓みは矯正され、正確な位置情報を取得可能となる。
【0025】
本発明のサンプルホルダー8の第1ホルダー8-1には、少なくとも、サンプル5の四隅を顕微鏡カメラ4-1が観察可能とするための開口部である、四隅の開口部11と、四隅の開口部11より内側に備えられた複数の内側の開口部12と、を備えている。さらに、第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2を互いに引き付けて、圧迫することにより、サンプル5の撓みを矯正する第1留め具9と、サンプルホルダー8をステージ6に固定する第2留め具10と、が備えられている。
【0026】
第1留め具9は、第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2を互いに引き付けて、圧迫することができる手段であれば特に限定されない。例えば、第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2を、ボルトとナットで締め付ける機構であっても構わない。
【0027】
第2留め具10は、サンプルホルダー8を位置測定装置13のステージ6に固定することができる手段であれば特に限定されない。例えば、ステージ6に形成した雌ねじに、ねじ込むことが可能な雄ねじを備えたボルトを使用して締め付ける機構であっても良い。
【0028】
また、第2ホルダー8-2には、少なくとも、第1ホルダー8-1に対応して、サンプル5の四隅を顕微鏡カメラ4-2が観察可能とする四隅の開口部11´と、四隅の開口部
11´より内側に備えられた複数の内側の開口部12´と、を備えている。
【0029】
以上のようにして、本発明のサンプルホルダー8によって測定サンプル5の撓みを矯正することが可能となる。さらに、測定サンプル5を装着したサンプルホルダー8を、位置測定装置13のステージ6に固定し、測定サンプル5の表裏面に形成されたパターンを測定することによって、表面に形成されたパターンと裏面に形成されたパターンとの間の正確な位置ずれを測定することが可能となる。
【0030】
(測定サンプル)
測定サンプル5は、金属薄板の表裏面にパターンが形成された物品である。金属薄板は、例えば、銅、銅を含む合金、ステンレス鋼やインバー合金などの鉄-ニッケル系合金の薄板やそれらを含む積層体等を挙げることができる。このような金属薄板は、コイル状の巻回された形態で製造されるため、巻き癖がついているのが通常である。また、このような金属薄板を使用するサイズに断裁する際に、様々な加工歪が加わる。そのため、金属薄板には様々な撓みが発生する。そのように様々な撓みがある金属薄板は、フォトリソグラフィ工程を経てエッチング加工されるが、フォトリソグラフィ工程においては大きな問題とならない。例えば、感光性ドライフィルムを金属薄板にラミネートする工程、フォトマスクを用いたドライフィルムの露光工程(コンタクト露光)、現像工程、エッチング工程、などでは多少の金属薄板の撓みは問題とならない。しかしながら、例えば、コンタクト露光工程と現像工程によって金属薄板の表裏面に形成されたドライフィルムパターンの位置ずれを計測する場合は、金属薄板の撓みによって、位置ずれの測定を正確に実施することができなくなる。
【0031】
第1、第2留め具
(第1ホルダー)
第1ホルダー8-1には、図2に例示したように、平板上の基材に、測定サンプル5の四隅を観察し測定可能とする測定口である四隅の開口部11と、四隅の開口部11より内側に形成され、測定サンプル5の四隅部分より内側の部分を観察し測定可能とする複数の測定口である内側の開口部12と、が備えられている。第1ホルダー8-1が測定サンプル5の表側に配置されるとすると、第1ホルダー8-1の四隅の開口部11と内側の開口部12によって、測定サンプル5の表側に形成されたパターンを観察し測定可能となる。
【0032】
第1ホルダー8-1のサイズは特に限定されないが、例えば、厚さ10mmで、300mm(縦)×300mm(横)の正方形の物品とすることができる。重量は使用する材料によって変わるが、例えば1.5Kg程度とすることができる。
【0033】
また、第1ホルダー8-1には、図3に例示したように、第1留め具9と第2留め具10が備えられている。
【0034】
図3に例示したように、第1留め具9は複数個備えられており、図1に例示したように、第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2を均等に圧迫し固定する機能を備えている。図3は第1ホルダー8-1が平面視で正方形である場合を例示し、第1留め具9が、4つの辺の中点の内側に各1個が配置されている例を示したが、これに限定する必要は無い。第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2を均等に圧迫し固定する機能を備え、顕微鏡カメラ4-1、4-2(図1参照)による観察に支障がない範囲で、任意の位置に、任意の個数を備えることができる。第1留め具9の具体的な機構としては特に限定されないが、例えば、ボルトとナットによる締め付け機構を使用することができる。また、ネオジム磁石のような強力な吸引力を備えた磁石を用いた固定機能であっても構わない。
【0035】
また、図3に例示したように、第2留め具10は複数個備えられており、図1に例示したように、サンプルホルダー8を位置測定装置13のステージ6に固定する機能を備えて
いる。図3は第1ホルダー8-1が平面視で正方形である場合を例示し、第2留め具10が、4つの頂点の内側に各1個が配置されている例を示したが、これに限定する必要は無い。サンプルホルダー8をステージ6に固定する機能を備え、顕微鏡カメラ4-1、4-2(図1参照)による観察に支障がない範囲で、任意の位置に、任意の個数を備えることができる。第2留め具10の具体的な機構としては特に限定されないが、例えば、ボルトとステージ6側に形成したねじ穴による締め付け機構を使用することができる。
【0036】
第1ホルダー8-1を構成する基材の材料としては、撓みを持つ金属薄板からなる測定サンプル5の撓みを、第1ホルダー8-1と第2ホルダー8-2の間に挟み込んで押さえ付け、圧迫することで矯正可能な剛性率を備えていれば特に限定する必要は無い。例えば、ジュラルミンなどのアルミニウム-銅合金やステンレス鋼などの鉄系の金属を好適に使用することができる。
【0037】
(第2ホルダー)
第2ホルダー8-2には、図2に例示したように、平板上の基材に、測定サンプル5の四隅を観察し測定可能とする四隅の開口部11´と、四隅の開口部11´より内側に形成され、測定サンプル5の四隅部分より内側の部分を観察し測定可能とする複数の内側の開口部12´と、が備えられている。第2ホルダー8-2が測定サンプル5の裏側に配置されるとすると、第2ホルダー8-2の四隅の開口部11´と内側の開口部12´によって、測定サンプル5の裏側に形成されたパターンを観察し測定可能となる。
【0038】
なお、第2ホルダー8-2の四隅の開口部11´と内側の開口部12´は、測定サンプル5を介して、それぞれ、第1ホルダー8-1の四隅の開口部11と内側の開口部12と対向する位置に形成されている。
【0039】
第2ホルダー8-2を構成する基材の材料としては、第1ホルダー8-1と同様である。
【0040】
(ステージ)
ステージ6は、位置測定装置13において、サンプルホルダー8の載置台としての機能を備え、且つ、サンプルホルダー8の四隅の開口部11、11´および内側の開口部12、12´から顕微鏡カメラ4-1、4-2が観察し、撮像可能とする機構を備えていても良い。例えば、ステージ6の平面と平行な方向に平行移動可能なXYステージを使用することができる。顕微鏡カメラ4-1、4-2がステージ6の平面と平行な方向に平行移動可能な機構に据え付けられている場合は、ステージ6は固定されていても良い。
ステージ6は、図1に例示したように、ステージ6上に固定されたサンプルホルダー8側に配置された顕微鏡カメラ4-1から測定サンプル5を撮像可能であると同時に、ステージ6の下、すなわち、ステージ6のサンプルホルダー8が固定された側とは反対側に配置された顕微鏡カメラ4-2からも測定サンプル5を撮像可能であることが必要である。そのため、ステージ6の、少なくとも、四隅の開口部11´と複数の内側の開口部12´に対応する部分は空間となっている。
【0041】
(顕微鏡カメラ)
顕微鏡カメラは、顕微鏡としての拡大光学系または拡大レンズ系を備えたカメラである。図1には2台の顕微鏡カメラ4-1と4-2が備えられている例を示したが、これに限定する必要は無い。例えば、顕微鏡カメラは顕微鏡カメラ4-1の1台とし、光学系の切り替えによって、顕微鏡カメラ4-2が配置されている側からの撮像が可能なものとしても良い。また、3台以上の顕微鏡カメラを用いて、同時に複数個所の撮像を可能としたものとしても構わない。
また、顕微鏡カメラは、スチルカメラであっても良いし、ビデオカメラであっても構わ
ない。
【0042】
顕微鏡カメラ4-1、4-2が取得した画像データは、デジタル画像データとして、演算処理装置に送られ、顕微鏡カメラ4-1が取得した測定サンプル5の一方の面のパターンの位置情報(座標)と、顕微鏡カメラ4-2が取得した測定サンプル5のもう一方の面のパターンの位置情報(座標)と、を比較することによって、測定サンプル5の表裏面に形成されたパターンの位置ずれを測定することが可能となる。
【0043】
(金属薄板)
金属薄板は、特に限定されないが、例えば、銅、銅を含む合金、ステンレス鋼やインバー合金などの鉄-ニッケル系合金等からなる薄板やそれらを含む積層体を好適に使用することができる。金属薄板の厚さは、0.2mm以下のものを好適に使用することができる。
【0044】
(パターン)
測定サンプル5の表裏面に形成されたパターンは特に限定する必要は無い。例えば、金属薄板の表裏面に形成された感光性ドライフィルムレジストのパターンであっても良いし、ドライフィルムレジストをエッチングマスクとして、エッチング加工することによって、金属薄板の表面に形成されたパターンであっても良い。
【0045】
<位置測定装置>
次に、本発明の位置測定装置について、図1を用いて説明する。
【0046】
本発明の位置測定装置13は、金属薄板の表裏面にパターンが形成された測定対象のサンプル5が撓んでいても、表裏面のパターンの位置ずれを正確に測定可能な光学的な位置測定装置である。
【0047】
本発明の位置測定装置13は、サンプルホルダー8と、サンプルホルダー8を載置するステージ6と、サンプルホルダー8の表裏面側に配置され、サンプルホルダー8に装着された測定サンプル5のパターンを顕微鏡観察により画像データを取得可能とする少なくとも一対の顕微鏡カメラ4-1、4-2と、画像データに基づき、金属薄板の表裏面に形成されたパターンの位置ずれ量を算出する演算装置と、を備えている。
【0048】
本発明の位置測定装置13は、本発明のサンプルホルダー8を使用して、サンプルホルダー8に装着された測定サンプル5の表裏面に形成されたそれぞれのパターンの位置を、サンプルホルダー8の表裏面側に配置された顕微鏡カメラ4-1、4-2によって取得した画像データに基づいて算出し、表裏面に形成されたパターンの位置ずれを測定することができる。そのため、サンプル5に撓みがあっても、その撓みが矯正された状態でパターンの位置ずれを測定することができるため、正確な位置ずれを測定することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・金属薄板
2-1・・・(表面の)ドライフィルムパターン
2-2・・・(裏面の)ドライフィルムパターン
3-1、3-2・・・合わせパターン
4-1、4-2・・・顕微鏡カメラ
5、5-1、5-2、5-3、5-4、5-5・・・測定対象のサンプルまたは測定サンプル
6・・・ステージ
7・・・サンプルホルダー
8・・・サンプルホルダー
8-1・・・第1ホルダー
8-2・・・第2ホルダー
9・・・第1留め具
10・・・第2留め具
11、11´・・・四隅の開口部
12、12´・・・(四隅の測定口より内側にある)内側の開口部
13・・・位置測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8