(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176645
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】貼着制御装置、印刷装置及び貼着方法
(51)【国際特許分類】
A45D 31/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
A45D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083179
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智文
(57)【要約】
【課題】チップを生成して装飾対象に正しく貼着することのできる貼着制御装置、印刷装置及び貼着方法を提供する。
【解決手段】貼着制御装置1が、搬送経路上のチップNtを搬送する搬送機構2と、チップNtを装飾対象である爪Tに貼り付ける貼着機構50と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路上のチップを搬送する搬送機構と、
前記チップを装飾対象に貼り付ける貼着機構と、
を備えたことを特徴とする貼着制御装置。
【請求項2】
シートを切断する切断機構をさらに備え、
前記チップは、前記切断機構によって前記シートが切断されることで生成されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の貼着制御装置。
【請求項3】
前記装飾対象に関する情報を取得する情報取得部をさらに備え、
前記切断機構は、前記情報取得部により取得された前記装飾対象に関する情報に基づいて前記シートを切断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の貼着制御装置。
【請求項4】
前記装飾対象を撮影して画像を取得する撮影装置をさらに備え、
前記情報取得部は、前記装飾対象に関する情報として、前記画像から前記装飾対象の輪郭形状を含む情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の貼着制御装置。
【請求項5】
前記装飾対象は、ユーザの爪であり、
前記情報取得部は、前記装飾対象に関する情報として、前記ユーザの爪を撮影した画像から爪の輪郭形状を含む情報を取得することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の貼着制御装置。
【請求項6】
前記切断機構は、前記輪郭形状を含む情報に基づいて前記シートを切断する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の貼着制御装置。
【請求項7】
前記貼着機構は、前記輪郭形状を含む情報に基づいて前記チップを前記装飾対象に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
【請求項8】
前記貼着機構は、
先端部分に把持部を有し、
前記把持部に前記チップを把持させ、把持させた前記チップを前記装飾対象に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
【請求項9】
前記貼着機構は、シートから一部分が剥離した状態の前記チップを前記把持部に把持させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の貼着制御装置。
【請求項10】
前記装飾対象は、装置内であって、前記搬送機構に対して、チップの搬送方向とは異なる第2の方向にずれた位置に配置され、
前記貼着機構は、少なくとも前記第2の方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の貼着制御装置と、
シート又はチップ上に印刷を施す印刷機構と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
搬送経路上のチップを搬送する搬送工程と、
前記チップを装飾対象に貼り付ける貼着工程と、
を含むことを特徴とする貼着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼着制御装置、印刷装置及び貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等の装飾対象に貼着するチップ(ネイルシール)等を生成する装置が知られている。
例えば特許文献1には、爪をスキャンして爪画像を表示させ、爪のサイズに対応したアート画像を作成して、アート画像を印刷したシールを生成するアートシール自動販売機が開示されている。
【0003】
爪等の装飾対象に貼着するチップ(ネイルシール)等を自動で生成することができれば、チップ(ネイルシール)を貼り替えるだけで簡易に様々なデザイン(ネイルアート等)を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生成したチップ(ネイルシール)等を装飾対象(例えば、爪)に正確に貼り付けるには集中力を要し、手間がかかる。
特に利き手の爪に、逆側の手でチップ(ネイルシール)等を貼り付けることは難しい。このため、チップ(ネイルシール)を貼り付ける位置がずれてきれいな仕上がりとならない場合もある。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、チップを生成して装飾対象に正しく貼着することのできる貼着制御装置、印刷装置及び貼着方法を提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の貼着制御装置は、
搬送経路上のチップを搬送する搬送機構と、
前記チップを装飾対象に貼り付ける貼着機構と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、チップを生成して装飾対象に正しく貼着することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態における貼着制御装置を含む印刷装置の外観構成を示す要部斜視図である。
【
図2】本実施形態の貼着制御装置を含む印刷装置の内部構成を模式的に示す要部上面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線に沿う模式的な断面図である。
【
図4】
図2におけるIV-IV線に沿う模式的な断面図である。
【
図5】本実施形態の貼着制御装置を含む印刷装置の機能的構成を示す要部ブロック図である。
【
図6】(a)は、本実施形態におけるシートの構成を示す模式的な断面図であり、(b)は、シートからチップを切り出す際の切断位置を示す模式図であり、(c)は、把持部によってチップを把持する様子を示す模式図であり、(d)は、把持部によって把持したチップをシートから取り外す様子を示す模式図であり、(e)は、シートから取り外したチップを爪に貼着する様子を示す模式図であり、(f)は、チップが爪に貼着された状態を示す模式図である。
【
図7】本実施形態における貼着処理を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態における貼着処理を示すフローチャートである。
【
図9】搬送機構の一変形例を示す模式的な断面図である。
【
図10】シートに施される印刷の一変形例を示す平面図である。
【
図11】貼着制御装置を含む印刷装置の一変形例の内部構成を模式的に示す要部上面図である。
【
図12】
図11に示す装置を用いた貼着処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図8を参照しつつ、本発明に係る貼着制御装置及び貼着制御装置を備える印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、本実施形態における貼着制御装置を備える印刷装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、貼着制御装置を備える印刷装置の要部内部構造を示す平面図である。
図3は、
図2におけるIII-III線に沿う断面図である。また
図4は、
図2におけるIV-IV線に沿う断面図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向、Z方向は、各図に示した方向をいうものとする。
また
図5は、本実施形態における貼着制御装置を含む印刷装置の機能的構成を示す要部ブロック図である。
【0012】
図2及び
図5等に示すように、印刷装置100は、貼着制御装置1、印刷機構4等を備えている。
図1に示すように、印刷装置100は、ほぼ箱形に形成された筐体11を有しており、貼着制御装置1や印刷機構4等は筐体11内に収容されている。
【0013】
筐体11の上面(天板)には、操作部12が設けられている。操作部12は、例えば貼着制御装置1を含む印刷装置100の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置70に出力され、制御装置70が操作信号に従った制御を行い、貼着制御装置1を含む印刷装置100の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて貼着制御装置1を含む印刷装置100の電源がON/OFFされる。
【0014】
筐体11各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。
例えば、操作部12は、筐体11の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、貼着制御装置1を含む印刷装置100が図示しない端末装置等の外部装置の操作部から入力された操作信号に従って動作してもよく、この場合には、筐体11に操作部12を設けない構成としてもよい。また、筐体11には、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0015】
また、筐体11の前面側(印刷装置100の正面側、
図1において前側)には、上下方向のほぼ中央部分であって、左右方向のいずれかの側(本実施形態では右側)に開口部13が形成されている。開口部13は、指Uを装置内部に挿入する挿入口である。
印刷装置100の内部であって開口部13に対応する位置には、装飾対象となる爪Tを有する指Uを配置する指配置部14が設けられている。指配置部14は、指受け部材15を備えている。指受け部材15は、開口部13から挿入された指Uを下側から支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。なお、指配置部14の構成は特に限定されず、例えば指受け部材15を備えない構成でもよい。
【0016】
本実施形態における貼着制御装置1を含む印刷装置100は、シートNSからチップNt(本実施形態では爪Tに貼着するネイルチップ、
図2参照)を生成して装飾対象の表面に貼着するものである。
以下の実施形態では、貼着制御装置1を含む印刷装置100の装飾対象が手の指Uの爪Tである場合を例に説明する。なお、本発明における装飾対象は手の指Uの爪Tに限るものではなく、例えば足の指の爪等を装飾対象としてもよい。また、手の甲の皮膚等が装飾対象であってもよい。
【0017】
図2及び
図5等に示すように、貼着制御装置1は、搬送機構2、切断機構3、貼着動作部5、情報取得部として機能する制御部71(
図5参照)等を備えている。
【0018】
搬送機構2は、シートNS(本実施形態ではロール状のシート、これを以下「シートNSr」という。なお、単にシートNSとしたときは、ロール状のシートNSr以外の態様のシートを含むものとする。)を所定の方向に搬送するものである。
図2に示すように、本実施形態では、装置の後方から前方に向かう方向(図中白抜き太矢印で示す方向)が搬送方向Y1である。
図3に示すように、搬送機構2は、使用前の長尺のシートNSrが巻かれたシートロール21と、シートNSrからチップNtを切り出した後の使用後のシートNSrを巻き取る巻き取りローラ22とを備えている。
【0019】
シートNSrはシートロール21から引き出されて引き出し端側から巻き取りローラ22に巻き取られるように巻き掛けられており、
図3において白抜き矢印で示す搬送方向Y1に沿う搬送経路20を構成する。
また、シートNSrの搬送経路20上には複数の搬送ローラ23が設けられている。本実施形態では2つの搬送ローラ23a,23bが配置されている。搬送経路20のうち、搬送ローラ23a,23bの間は平坦部210となっている。この平坦部210では、後述する切断機構3による切断動作や印刷機構4による印刷動作が行われるようになっており、切断動作や印刷動作の際にシートNSの表面にしわ等が寄らないように、シートNSに適度なテンションがかかるようになっている。
なお、平坦部210の終端部分(搬送ローラ23bに対応する部分)では、巻き取りローラ22に巻き取られていくシートNSrの剥離層S1からチップNtの端部(搬送方向Y1の下流側の端部)が多少浮き上がった状態となる(
図2、
図3及び
図6(c)参照)。
【0020】
搬送機構2は、搬送用モータ24(
図5参照)を含んでおり、巻き取りローラ22は、搬送用モータ24と接続されて回転する駆動ローラとなっている。搬送用モータ24の駆動は制御部71によって制御される。なお、搬送ローラ23(搬送ローラ23a,23b)の一部又は全部もモータと接続される駆動ローラであってもよい。この場合には、巻き取りローラ22によるシートNSの巻き取りタイミングに合わせて全ての駆動ローラが動作するように制御部71によって制御される。
【0021】
シートNSrのサイズ(シートNSrが巻かれたシートロール21の幅や1つのシートロール21に巻かれるシートNSrの長さ)は特に限定されない。
本実施形態では
図2に示すように、片手5本分の爪Tに対応するチップNtをシートNSrの幅方向に並ぶように生成することができるようになっており、シートNSr(シートNSrが巻かれたシートロール21)は、5つのチップNtが一列に並ぶことが可能な程度の幅を有している。
なお、チップNtをシートNSr上にどのように配置するかは特に限定されない。シートNSrを無駄なく使うことができるように、最小限の隙間を開けてチップNtを配置することが好ましい。各チップNtは幅方向に一列に並べなくてもよく、例えば千鳥状に交互に互い違いにずらして配置されてもよい。
【0022】
ここで、本実施形態において用いられるシートNSについて説明する。
本実施形態においてシートNS(ここではロール状のシートNSr)は、
図6(a)等に示すように剥離層S1の上に粘着層S2が形成され、さらに粘着層S2の上にベース層S3が形成されたものである。
後述するように、チップNtは、このうち、粘着層S2及びベース層S3がシートNS(シートNSの剥離層S1)から切り離されたものであり、粘着層S2によって爪Tの表面に貼着される。
【0023】
剥離層S1は、未使用時において粘着層S2を被覆し使用時に粘着層S2から剥離される剥離紙である。剥離層S1は、例えば50μm程度の厚みのPETフィルム等から構成される。
粘着層S2は、剥離層S1の上に例えばアクリル系の粘着剤を塗工することで形成されている。
ベース層S3は、粘着層S2の上に形成されるシートNSの本体部分である。シートNSからチップNtが切り出された際には、ベース層S3が粘着層S2によって爪T等の装飾対象の表面に貼着される。
ベース層S3の表面は、インク受容層S3aとなっており、後述する印刷機構4によって印刷が行われた際にインクを定着させるようになっている。
【0024】
なおベース層S3は、表面に印刷が施される際の下地となるものであるため、インクの発色が良くなるように、白色や白に近い色(例えば薄いピンク色や薄い水色等)の層であることが好ましい。なお、ベース層S3は白色等に限定されず、透明、半透明等であってもよい。この場合には、爪Tに貼着した際、印刷が施されていない部分では下の爪Tが透けて見える。このため、部分的にワンポイント柄等を施す場合やフレンチネイルのようなデザインを印刷した場合には、生爪に直接ネイルプリントを施したかのような仕上がりを実現することができる。
またベース層S3は、蛍光剤を含むものであってもよい。この場合も全体が白っぽくなり、美しい仕上がりのベース層S3を構成する。
【0025】
ベース層S3は、例えば、粘着層S2を構成する粘着剤(例えば上記のアクリル系の粘着剤)が十分に乾燥したのちにネイルベース構成材を塗工し乾燥させることで形成される。
ネイルベース構成材は、例えば、アクリレーツコポリマー、ニトロセルロース、(アジピン酸/ネオペンチルギリコール/無水トリメリット酸)コポリマー、クエン酸アセチルトリブチル、トリフェニルリン酸、ジメチコン、エトクリレン、トリメチルシロキシケイ酸、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール等を含んで構成されている。
【0026】
切断機構3は、搬送機構2によるシートNSrの搬送経路20上において、後述する情報取得部としての制御部71により取得された情報に基づいて装飾対象である爪Tの輪郭形状に沿うようにシートNSrを切断してチップNtを生成する。
切断機構3は、例えば情報取得部としての制御部71が爪Tの輪郭形状を、線を表すX,Y座標値のデータ(例えばベクターデータ)として取得すると、当該データにしたがって動作し、シートNSrから爪Tの輪郭形状のデータ通りにチップNtを切り出すカッティングプロッタである。
【0027】
切断機構3は、例えば、金属製等の刃を備える切断部31と、切断部31を移動させる駆動部32とを備えている。
筐体11内であって装置の後方側には、装置の左右方向(X方向)に延在するガイドレール16が設けられており、駆動部32はガイドレール16に取り付けられている。切断部31は支持部33を介して駆動部32に取り付けられている。
切断部31は、シートNS(シートNSr)のうち、少なくとも粘着層S2とベース層S3とを切断(ハーフカット)するようになっている。なお、切断部31は剥離層S1まで含めたシートNSの厚み方向の全体を切断(フルカット)するようになっていてもよい。また、ハーフカットとフルカットとが選択的に切り替えられてもよい。
【0028】
駆動部32は、図示しないモータを含んでおり、モータが駆動することでガイドレール16に沿って支持部33に支持された切断部31を装置の左右方向(X方向)に移動させる。
なお、適切に切断部31による切断動作を行うことができるように、切断部31はシートNSrの搬送速度等に応じて移動する。具体的には、切断部31の移動速度や移動方向(左右方向のいずれに移動するか)は、制御部71が適宜駆動部32(駆動部32のモータ)を制御することにより、調整される。
【0029】
なお、切断機構3は、爪Tの輪郭形状に沿ったチップNtを切り出すことができるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。
例えば切断機構3はカッティングプロッタに限定されない。また、切断部31の構成についても刃を備えるものに限定されない。例えば切断部31はレーザーカッタ等で構成されてもよい。切断部31がレーザーカッタである場合には、レーザー発振器や加工光学系等を含み、各部は適宜制御部71の制御にしたがって動作する。
【0030】
印刷機構4は、シートNS(本実施形態ではロール状のシートNSr)上に印刷を施すものである。印刷機構4は、制御部71等によって生成された印刷データにしたがってシートNSの所定の位置に印刷を行う。なお、印刷機構4による印刷は、切断機構3による切断の前後いずれのタイミングで行われてもよい。
印刷機構4は、印刷動作を行う印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構42等を備えている。
【0031】
印刷ヘッド41は、例えば微滴化したインクを印刷対象面(すなわち、爪Tの表面)に吹き付けて印刷を行うインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の種類は特に限定されない。例えばサーマルプリントヘッド等、各種方式で印刷を行うヘッドを採用可能である。
印刷ヘッド41が吐出可能な色やヘッドの数等は限定されないが、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインクを吐出するようになっており、各種デザインを精緻に描くことが可能となっている。
【0032】
印刷ヘッド41は、ホルダ43に保持された状態でガイドレール16に取り付けられている。
本実施形態のヘッド移動機構42は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないモータを含んでいる。ヘッド移動機構42は、モータが駆動することで、ホルダ43に保持された印刷ヘッド41をガイドレール16に沿って装置の左右方向(X方向)に移動させる。
印刷ヘッド41のインク吐出動作及びヘッド移動機構42のモータ駆動は、シートNSの搬送速度等に応じて適宜制御部71により制御される。
なお、
図2に示すように本実施形態では、切断機構3(切断機構3の支持部33)もガイドレール16に取り付けられている。このように、切断機構3と印刷機構4とが、同一の動作機構であるガイドレール16に取り付けられて動作することで、装置構成が簡素化でき、部品点数を少なく抑えることができる。
【0033】
貼着動作部5は、貼着機構50の先端部に把持部51を有し、この把持部51によってチップNtを把持し、装飾対象である爪Tの表面に貼着するマニピュレータである。把持部51は、例えばピンセットのような構造を有しており、精緻な把持動作等を行うことが可能となっている。
本実施形態における貼着動作部5は、貼着機構50、支持部52、ガイド部53と、駆動機構としてのX方向移動機構54、Y方向移動機構55、アーム動作機構56等を備えている。
【0034】
装飾対象である爪Tは、装置内であって、搬送機構2に対して、シートNSの搬送方向Y1とは異なる第2の方向にずれた位置に配置されており、貼着動作部5の貼着機構50は、少なくとも第2の方向に移動可能に構成されている。
本実施形態では、爪Tが配置されている指配置部14は、搬送機構2よりも、X方向の右側(
図2において右側)にずれて配置されており、第2の方向は、シートNSの搬送方向Y1に直交するX方向である。
【0035】
筐体11内であって装置の前方側には、装置の左右方向(X方向)に延在するガイドレール17が設けられており、貼着動作部5の支持部52は、ガイドレール17に取り付けられている。
X方向移動機構54は、図示しないモータを含んでおり、モータが駆動することで支持部52がガイドレール17に沿って装置の左右方向(X方向)に移動する。これにより、貼着動作部5の貼着機構50は、シートNSが設けられた搬送機構2に対応する位置から、搬送機構2よりもX方向右側にずれて配置されている爪Tに対応する位置まで移動することが可能となっている。
【0036】
またガイド部53は、支持部52に固定されており、支持部52内から装置の後方に向って、X方向に直交するY方向に延出するガイドレールである。ガイド部53には貼着機構50の基端側が取り付けられている。
またY方向移動機構55は、図示しないモータを含んでおり、モータが駆動することで貼着機構50がガイド部53に沿って装置の前後方向(Y方向)に移動する。
【0037】
アーム動作機構56は、把持部51を含む貼着機構50を動作させるものである。アーム動作機構56は、図示しないモータ等を備えており、モータが駆動することで把持部51の把持動作等が可能となる。また、貼着機構50は、ガイド部53に取り付けられている基端部分を支点としてY方向に沿って揺動可能に構成されている。アーム動作機構56は、貼着機構50を揺動させるモータ等(図示せず)も含んでいる。
【0038】
貼着動作部5のX方向移動機構54、Y方向移動機構55、アーム動作機構56は、制御部71により適宜動作が制御されるようになっている。
これにより、貼着機構50の先端に取り付けられた把持部51は、シートNS(シートNSr)に形成されたチップNtに対応する対応する位置から、指配置部14に配置された指Uの爪Tに対応する位置までX方向に沿った移動が可能になるとともに、必要に応じて貼着機構50及び把持部51がガイド部53に沿ってY方向に移動する。さらに、必要に応じて貼着機構50が揺動し、把持部51がチップNtを把持して爪Tの上に貼着する把持動作及び貼着動作を行う。
【0039】
なお、貼着動作部5の構成はここに例示したものに限定されない。例えば、把持部51を含む貼着機構50は上下方向にも移動可能に構成されていてもよい。この場合には貼着機構50を上下方向(
図3等に示すZ方向)に移動させるZ方向の移動機構が、貼着動作部5にさらに設けられる。
またZ方向の移動機構を備える場合には、貼着動作部5にY方向移動機構55を備えなくてもよい。
【0040】
その他、
図5等に示すように、本実施形態の印刷装置100(貼着制御装置1)は、撮影部6、表示部8、通信部9、制御装置7等を備えている。
【0041】
撮影部6は、例えば
図4に示すように筐体11内の天面内側等に配置されている。
撮影部6は、例えばカメラ等である撮影装置61と、例えば白色LED等で構成され、撮影対象である爪Tを照明する照明装置62とを含んでいる。
撮影装置61は、指配置部14の指受け部材15上に支持された指Uの爪T(装飾対象)を撮影して、爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像」という。)を取得する。
撮影装置61によって撮影された爪画像は、制御部71において取得され、後述するように、画像解析等が行われる。
【0042】
また、撮影装置61は、搬送機構2によって搬送されるシートNSr(シートNSrから切り出されたチップNt)を撮影することのできるような、画角の広いものであってもよい。
チップNtの位置は、切断機構3による切断動作や印刷機構4による印刷動作を行う際のデータから各位置がX,Y座標として装置側に把握されているが、生成されたチップNtを撮影装置61によって撮影できるようにすることで、把持部51によって把持すべきチップNtの位置を画像からより正確に把握することが可能となる。なお、チップNtの位置等を確認するための画像を取得するために、撮影部6と同様の構成の撮影部を、シートNSrの上方等に別途設けてもよい。
なお、撮影装置61によって撮影された爪画像等の画像データは、後述する記憶部72に記憶されてもよい。
【0043】
表示部8は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、表示部8の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが操作部12としても機能する。
【0044】
表示部8は制御部71の制御にしたがって各種画面を表示させる。
本実施形態では、ユーザが操作部12から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示部8に表示可能となっている。
なお、表示部8は、動画像を随時ライブビュー表示できるものであってもよい。この場合には、例えば撮影装置61としてライブビュー表示可能な動画像を撮影可能なものを適用する。これにより、貼着動作部5の把持部51がチップNtを把持して爪Tの表面に貼着する様子を表示部8にライブビュー表示させることも可能となる。
【0045】
通信部9は、例えば印刷装置100(貼着制御装置1)と各種外部装置(例えば、各種の端末装置)との間で通信するものである。
通信部9を介する通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置100(貼着制御装置1)と外部装置との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
通信部9は、通信相手となる外部装置の通信部との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、制御部71によって動作が制御される。通信部9は外部装置との間で通信を行うことのできるものであればよく、外部装置の通信部の通信規格と合致するものが適用される。
【0046】
印刷装置100(貼着制御装置1)の制御装置7は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部71と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部72とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部72の一部又は全部は別構成とし、制御装置7の外部に設けるようにしてもよい。
記憶部72には、印刷装置100(貼着制御装置1)を動作させるための各種プログラム(例えば切断処理、印刷処理、貼着処理等を行うためのプログラム等)や各種データ等が格納されており、制御部71がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部71において実行されることによって、印刷装置100(貼着制御装置1)の各部が統括制御されるようになっている。
【0047】
特に本実施形態では、制御部71は、画像(撮影装置61によって取得された爪画像)から装飾対象である爪Tの輪郭形状を含む情報を取得する情報取得部として機能する。
爪Tの輪郭形状を含む情報とは、例えば、爪Tの領域を画する輪郭線をX,Y座標等で表したベクターデータ等である。
また、制御部71は、指配置部14に配置されている指Uの爪Tや、シートNSから切り出されたチップNtの正確な位置を把握するための画像を、撮影装置61に撮影させ取得してもよい。このような画像を取得した場合には、制御部71は、当該画像を解析し、チップNtと、チップNtの貼着対象である爪Tとの精密な位置合わせを行うための情報を取得してもよい。
【0048】
次に、
図6(a)から
図6(f)、
図7、
図8等を参照しつつ、本実施形態の印刷装置100(貼着制御装置1)による貼着方法について説明する。
【0049】
本実施形態の印刷装置100(貼着制御装置1)を用いてチップNtの生成及び爪Tへの貼着を行う前提として、爪Tの輪郭形状を取得する場合には、ユーザは、印刷装置100(貼着制御装置1)の電源を入れて装置を起動させる。
図7は、爪の輪郭形状の取得処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず制御部71は、チップNtを生成したい爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するよう、ユーザに促すメッセージを、表示部8等に表示させる(ステップS1)。
【0050】
そして、制御部71は、撮影装置61等を制御して、指配置部14に配置された指U及びその爪Tを撮影させ、爪画像を取得する(ステップS2)。
爪画像が取得されると、制御部71は当該爪画像を画像解析する等により爪Tの輪郭形状を取得する(ステップS3)。なお、制御部71は輪郭形状以外の各種爪情報(例えば爪Tの湾曲度合い(曲率)等の情報)についても爪画像から取得してもよい。
さらに制御部71は、他にチップNtを生成したい爪Tがあるか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、例えば他にチップNtを生成したい爪Tがあるか否かをユーザに問い合わせるメッセージを表示部8等に表示させ、制御部71がユーザの入力操作等に基づいて判断する。なお、予め片手の5本の指Uの爪T、両手の10本の指Uの爪T等、チップNtを生成したい爪Tの情報を登録している場合には、登録された内容に応じた本数に達したか否かで、他の爪Tの有無を判断してもよい。
【0051】
チップNtを生成したい爪Tが他にない場合(ステップS4;NO)には、爪Tの輪郭形状の取得処理を終了する。
他方、チップNtを生成したい爪Tが他にもある場合(ステップS4;YES)には、制御部71は、次の爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するよう、ユーザに促すメッセージを、表示部8等に表示させ(ステップS5)、ステップS2に戻って処理を繰り返す。
制御部71によって取得された爪Tの情報(輪郭形状の情報等)は、記憶部72等に登録されてもよい。
【0052】
図8は、チップの生成及びチップの爪への貼着方法を示すフローチャートである。
チップNtの生成処理及びチップNtの爪Tへの貼着処理は、爪Tの輪郭形状の取得処理に引き続いて連続的に行われてもよいし、輪郭形状の情報等を一旦記憶部72等に保存しておき、後日行ってもよい。
また、
図7に示す爪Tの輪郭形状の取得処理と同時並行的に、チップNtの切断処理及び印刷処理を行ってもよい。すなわち、例えば複数の爪TについてチップNtを生成する場合、爪Tを順次撮影して爪画像を取得し爪Tの輪郭形状を取得するのと並行して、既に取得された爪Tの輪郭形状に基づいて切断及び印刷を行う。このように同時並行的に処理を行うことで、より迅速に全ての爪TについてのチップNtを生成することができる。
【0053】
チップNtの生成処理及びチップNtの爪Tへの貼着処理を行う場合には、
図8に示すように、まず印刷機構4によってシートNSに印刷されるデザイン(ネイルデザイン)が選択される(ステップS11)。具体的には、例えばユーザが操作部12等を操作してチップNtに印刷したいデザインを選ぶと操作信号が制御部71に出力されて、当該デザインがシートNSに印刷されるデザインとして選択される。
なお、チップNtが切り出されるシートNSは平板状のものを想定しているが、本実施形態においてチップNtが貼着される装飾対象である爪Tは、多少なりとも湾曲している。このため、上述のように爪Tの輪郭形状を取得する処理の中で、爪Tの湾曲度合い(曲率)等の情報も取得しておき、チップNtを印刷する際のデザイン(ネイルデザイン)のデータは、爪Tの湾曲度合い(曲率)を考慮して、例えば幅方向の長さ寸法を上面視された際の輪郭形状よりも大きくしたり、幅方向の端部が多少引き延ばされたような絵柄となる等、適宜補正を施すことが好ましい。これにより、印刷後のチップNtを爪Tに貼着したときに、チップNtがより自然に爪T全体を覆うようにすることができる。
【0054】
デザインが決定すると、制御部71は、搬送機構2の搬送用モータ24を動作させてシートNSrの搬送を開始する(ステップS12)。
そして、制御部71は、Y方向の切断位置をシートNSrの搬送速度等によって調整しながら、爪Tの輪郭形状の情報に基づいて切断機構3の駆動部32を動作させ、輪郭形状に沿うようにシートNSを切断し、チップNtを切り出す(ステップS13、
図6(b)参照)。本実施形態では
図2に示すように、片手の5つの爪Tに対応する5つのチップNtがシートNSの幅方向に並ぶように切断を行う。
【0055】
そして、制御部71は、印刷機構4の印刷ヘッド41及びヘッド移動機構42を制御して当該チップNtの範囲内にネイルデザインの印刷を行わせる(ステップS14)。なお、
図6(b)等では、ベース層S3の表面のインク受容層S3aのうち、印刷によってインクが乗った部分を黒色の網掛けで表している。
【0056】
切断機構3による切断動作及び印刷機構4による印刷動作が行われることにより、チップNtが完成する。
なお、切断動作や印刷動作の際に、制御部71は、シートNSrを搬送方向Y1だけでなく、適宜逆方向に搬送できてもよい。
また切断機構3による切断動作及び印刷機構4による印刷動作を行う順番は、いずれが先でも構わない。
【0057】
制御部71は、輪郭形状を取得した全ての爪Tに対応するチップNtの生成が完了したか否かを判断し(ステップS15)、まだチップNtの生成が完了していない場合(ステップS15;NO)には、ステップS13に戻って処理を繰り返す。
他方、チップNtの生成が全て完了した場合(ステップS15;YES)には、制御部71は、シートNSを所定位置まで搬送させる(ステップS16)。具体的には制御部71は、搬送機構2を制御して、チップNtが配列された部分が平坦部210の終端部分(搬送ローラ23bに対応する部分)にかかる程度までシートNSrを搬送させる。
前述のように、平坦部210の終端部分では、チップNtにおける搬送方向Y1の下流側の端部がシートNSrの剥離層S1から多少浮き上がった状態となる(
図2、
図3及び
図6(c)参照)。
【0058】
シートNSが所定位置まで搬送されると、制御部71は、1つ目の爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するようにユーザに促すメッセージを表示部8に表示させる(ステップS17)。
そして、制御部71は、指配置部14に配置された指Uを撮影装置61に撮影させて爪画像を取得し(ステップS18)、当該爪画像から爪Tの正確な位置を認識する(ステップS19)。
なお、シートNSの搬送(ステップS16)と、ステップS17からステップS19は、順序が逆でもよく、爪Tの位置が確認されてからシートNSを所定位置まで搬送させてもよい。
【0059】
この状態において、制御部71は、貼着動作部5のX方向移動機構54、Y方向移動機構55、アーム動作機構56の動作を制御して、まず、1つ目の爪Tに対応するチップNt(1つ目のチップNt)を把持することのできる位置に把持部51を移動させ、把持部51によって当該チップNtを把持させる(ステップS20、
図6(c)及び
図6(d)参照)。
前述のように、平坦部210の終端部分にチップNtの搬送方向Y1下流側の端部がかかった状態となると、チップNtの一部分(チップNtの搬送方向Y1下流側の端部の粘着層S2とベース層S3)がシートNSrの剥離層S1から多少浮き上がった状態となる(
図2、
図3及び
図6(c)参照)。
本実施形態では、貼着機構50は、このようにシートNSrから一部分が剥離した状態のチップNtを把持部51に把持させる。
【0060】
そして、チップNtを把持したまま、把持部51を爪Tの上まで移動させ(ステップS21)、位置を調整しながらチップNtを爪Tに貼着する(ステップS22)。具体的には、例えば貼着機構50をY方向に移動させるとともに適宜揺動させて、爪Tの先端側から付け根に向ってチップNtを貼着させていく(
図6(e)参照)。なお、爪Tへの貼着は、爪Tの先端側から付け根側に向って行う場合に限定されない。爪Tの配置方向や貼着動作部5の配置によっては、爪Tの付け根側から先端側に向って貼着してもよい。
爪Tへの貼着が完了すると、把持部51による1つ目のチップNtの把持状態を解除する(ステップS23、
図6(f)参照)。
【0061】
制御部71は、シートNSr上に生成された全てのチップNtを爪Tに貼着したか否かを判断し(ステップS24)、全て貼着した場合(ステップS24;YES)には、処理を終了する。
他方、未だ爪Tに貼着していないチップNtがある場合(ステップS24;NO)には、次の爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するよう促すメッセージを表示部8等に表示させ(ステップS25)、ステップS18に戻って以降の処理を繰り返す。
これにより、爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成し、これを自動的に爪Tの表面に貼着することができる。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、貼着制御装置1が、チップNtを所定の方向(搬送方向Y1)に搬送する搬送機構2と、チップNtを装飾対象(爪T)に貼り付ける貼着機構50と、を備えている。
これにより、ユーザの手を煩わせずに、チップNt(ネイルチップ)を装飾対象(爪T)上に貼着して仕上がりのよいネイルアート等を簡易に実現することができる。
【0063】
また、本実施形態では、シートNSを切断する切断機構3を備え、チップNtは切断機構3によってシートNSが切断されることで生成される。
これにより、シートNSからチップNtを切り出す作業も貼着制御装置1において自動で行うことができる。このため、ユーザの手を煩わせずに、簡易にチップNt(ネイルチップ)を生成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、装飾対象(本実施形態では爪T)に関する情報を取得する情報取得部としての制御部71をさらに備え、切断機構3は、制御部71により取得された装飾対象(爪T)に関する情報に基づいてシートNSを切断する。
これにより、装飾対象である爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成することが可能となる。そして、このようにして生成されたチップNtを装飾対象(爪T)の表面に自動的に貼着することができる。このため、ユーザの手を煩わせずに、チップNt(ネイルチップ)を装飾対象(爪T)上の適切な位置に貼着して仕上がりのよいネイルアート等を簡易に実現することができる。
【0065】
また、本実施形態では、装飾対象(本実施形態では爪T)を撮影して画像を取得する撮影装置61をさらに備え、情報取得部である制御部71は、取得された画像から装飾対象に関する情報として、装飾対象(爪T)の輪郭形状を含む情報を取得する。
これにより、装飾対象(爪T)の輪郭形状を正確に把握することができ、装飾対象(爪T)の形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成することができる。
【0066】
また、本実施形態における装飾対象はユーザの爪Tであり、情報取得部としての制御部71は、ユーザの爪Tを撮影した画像から装飾対象に関する情報として爪Tの輪郭形状を取得する。
これにより、ユーザの爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を生成して爪Tに貼着することができる。
すなわち、このように制御部71が爪Tの輪郭形状を含む情報を取得する場合、この情報に基づいて切断機構3がシートNSを切断する。このため、ユーザの爪Tの形状に合った形状にチップNt(ネイルチップ)を切り出すことができる。
【0067】
さらに、貼着機構50がチップNtを装飾対象である爪Tに貼り付ける際にも輪郭形状を含む情報に基づいて動作させることで、チップNt(ネイルチップ)を装飾対象(爪T)上の適切な位置に貼着して仕上がりのよいネイルアート等を簡易に実現することができる。
【0068】
また、本実施形態の貼着機構50は、先端部分に把持部51を有し、把持部51にチップNtを把持させ、把持させたチップNtを装飾対象(爪T)に貼り付ける。
このように、本実施形態では、把持部51によってチップNtを装飾対象(爪T)に貼り付ける繊細な動作を行うことが可能となっている。
【0069】
また、本実施形態では、平坦部210の終端部分にチップNtの搬送方向Y1下流側の端部がかかった状態となると、チップNtの一部分(チップNtの搬送方向Y1下流側の端部の粘着層S2とベース層S3)がシートNSrの剥離層S1から多少浮き上がった状態となる。貼着機構50は、このようにシートNSから一部分が剥離した状態のチップNtを把持部51に把持させる。
このため、チップNtをより簡易かつ確実に把持部51によって把持させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、装飾対象である爪Tが、装置内であって、搬送機構2に対して、シートNSの搬送方向Y1とは異なる第2の方向(本実施形態では装置の左右方向であるX方向)にずれた位置に配置され、貼着機構50は、少なくとも第2の方向(X方向)に移動可能に構成されている。
このように、搬送されるシートNSの位置とチップNtの貼着対象である爪Tの位置とを平面的にずらすことで、貼着機構50が第2の方向(X方向)に移動することで円滑にチップNtの移動及び貼着動作を行うことができる。
【0071】
また、本実施形態の印刷装置100は、実施形態に示すような貼着制御装置1と、シートNS又はチップNt上に印刷を施す印刷機構4と、を備えている。
このため、爪Tの形状に合わせて切り出されたチップNt(ネイルチップ)に各種のネイルデザインを印刷することができ、仕上がりの美しい、バリエーションに富んだネイルチップを生成して、装飾対象である爪Tに貼着することができる。
【0072】
また、本実施形態では、切断機構3と印刷機構4は、同一のガイドレール16に取り付けられて装置の左右方向(X方向)に移動するようになっている。
このように、切断機構3、印刷機構4、貼着機構50のうち少なくとも一部が、同一の動作機構によって動作するようにすれば、装置内に設けられるガイドレール16等の数を減らすことができ、部品の削減や装置構成の簡易化、軽量化に資する。
【0073】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0074】
例えば、本実施形態では、シートNSとして、シートロール21に巻回された長尺なロール状のシートNSrを用いる場合を例示したが、シートNSはこれに限定されない。
例えば、所定のサイズに断裁された枚葉タイプのシートNS(これを「シートNSc」とする。
図9参照)であってもよい。
【0075】
枚葉タイプのシートNScを用いる印刷装置200の場合には、例えば
図9に示すように、装置内部にシートNScが積層されたシートホルダ(ストッカー)201を備える。そして、搬送機構2bは、送り出しローラ202によってシートホルダ201から1枚ずつシートNS(枚葉タイプのシートNSc)が搬送経路20b上に送り出されるように構成する。
搬送経路20b上には、さらに複数の搬送ローラ203(図示例では、搬送ローラ203a、203b、203c、203d)が配置される。
【0076】
送り出しローラ202と、搬送ローラ203a、203b、203c、203dのうち、少なくとも搬送経路20bの最下流に位置する搬送ローラ203dは、図示しないモータが接続された駆動ローラであり、制御部の制御にしたがって動作し、シートNS(枚葉タイプのシートNSc)を搬送する。
この場合にも、少なくとも切断機構3による切断動作や印刷機構4による印刷動作が行われる個所(例えば図示例では、搬送ローラ203c、203dの間)ではシートNS(枚葉タイプのシートNSc)にしわ等が寄らないように、ある程度のテンションがかかった状態が保たれることが好ましい。
【0077】
またこの場合、
図9に示すように、筐体11の前面側であって、搬送機構2bの搬送経路20bに対応する箇所には、排出口204が設けられている。
チップNtを切り出した後のシートNScは、排出口204から排出されるようになっており、排出口204の近傍には、シートNScを排出口204から排出させる排出ローラ205が設けられる。なお、筐体11の外側であって排出口204に対応する位置に、排出口から排出されたシートNScを受ける図示しないシート受け部(排出トレイ等)が設けられていてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、シートNSから切り出されたチップNtを全て貼着動作部5によって装飾対象である爪Tに自動的に貼着する場合を例示したが、全てのチップNtを装置内で爪Tに貼着することは必須ではない。
例えば、チップNtを作成後、チップNtを取り外さないままシートNSを装置から排出させ、装置外においてユーザが自ら爪Tに貼着してもよい。
この場合、シートNSが枚葉タイプのシートNScである場合には、チップNtを載せたままのシートNSを
図9に示す排出口204から排出する。
また、シートNSがロールタイプのシートNSrである場合には、生成されたチップNtが載った部分のシートNSを図示しない断裁部によって断裁し長尺なロール状のシートから切り離す。そして、当該切り離されたシートNS部分を図示しない排出口から排出させる構成とする。
【0079】
チップNtを生成後、シートNSから取り外さずにシートNSごと排出させる場合としては、例えば両手の指Uの爪T全てについてチップNtを生成した上で、利き手側の手の指Uの爪Tには装置内で貼着動作部5によって自動で貼着を行い、利き手ではない側の手の指Uの爪Tには、生成したチップNSを装置外でユーザ自身が貼着する場合が考えられる。
利き手で逆側の指Uの爪TにチップNSを貼着することは比較的容易であるが、利き手ではない側の手で利き手の指Uの爪TにチップNtを貼着することは難しい。このため、自分ではうまく貼着できない側だけ、装置を利用して自動でチップNtを貼着することで、両手の指Uの爪Tに仕上がりよくネイルアートを施すことができる。
また、友人等、他人の爪Tについて、輪郭形状の登録データを取得して当該輪郭形状に合うチップNtを生成し、チップNtの載ったシートNSを当該友人等にプレゼントする等してもよい。
【0080】
なお、チップNtを載せたままのシートNSを装置外に排出して、装置外において爪Tへの貼着を行う場合には、例えば
図10に示すように、各チップNtがいずれの指の爪Tに対応するものであるか否かを示す指標記載M(例えば、「右手親指」「左手小指」等の記載)を、印刷機構4によって各チップNtに対応する位置に印刷させることが好ましい。
これにより、あとでユーザが各チップNtを自分の爪Tに貼着する際にいずれのチップNtをいずれの爪Tに貼着すればいいかが分かりやすくなり、チップNtを爪Tに貼着する際に間違えずに済む。
【0081】
また、本実施形態では、例えば片手の5指に対応する5つのチップNtを横(X方向)に並べて配置できる程度の幅を有するシートNSを用いてチップNtの生成及び貼着を行う場合を例示したが、シートNSはこのような幅を有するものに限定されない。
例えば
図11に示すように、幅方向に爪T1本分のチップNtを生成することのできる、テープ状のシートNSを用いてもよい。この場合、シートNSは、最も大きい爪T(例えば大人の親指)の最大幅よりも多少広い横幅のものが適用される。その他の構成は、実施形態で説明したものと同様であるため、同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
このように幅の狭いシートNSを用いた装置の場合には、装置の幅方向(X方向)の長さを小さくすることができ、貼着制御装置及びこれを備える印刷装置300の装置全体をコンパクトにすることができる。
【0082】
図12は、
図11に示す印刷装置300(貼着制御装置を含む印刷装置300)を用いて、チップNtの生成及び貼着を行う場合の処理を示すフローチャートである。
図11に示す装置を用いる場合、
図12に示すように、まず制御部71は、チップNtを生成したい爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するよう、ユーザに促すメッセージを、表示部8等に表示させる(ステップS31)。
【0083】
そして、制御部71は、撮影装置61等を制御して、指配置部14に配置された指U及びその爪Tを撮影させ、爪画像を取得する(ステップS32)。
爪画像が取得されると、制御部71は当該爪画像を画像解析する等により爪Tの輪郭形状及び爪の位置情報を取得する(ステップS33)。
そして、シートNSに印刷されるデザイン(ネイルデザイン)が選択される(ステップS34)と、制御部71は、搬送機構2の搬送用モータ24を動作させてシートNSrの搬送を開始する(ステップS35)。
【0084】
制御部71は、Y方向の切断位置をシートNSrの搬送速度等によって調整しながら、爪Tの輪郭形状の情報に基づいて切断機構3の駆動部32を動作させ、輪郭形状に沿うようにシートNSを切断し、チップNtを切り出す(ステップS36)。
さらに、制御部71は、印刷機構4の印刷ヘッド41及びヘッド移動機構42を制御して当該チップNtの範囲内にネイルデザインの印刷を行わせ、チップNtを生成する(ステップS37)。
なお、切断動作や印刷動作の際に、制御部71は、シートNSrを搬送方向Y1だけでなく、適宜逆方向に搬送できてもよい。また切断機構3による切断動作及び印刷機構4による印刷動作を行う順番は、いずれが先でも構わないことは前述の実施形態の場合と同様である。
【0085】
チップNtが生成されると、制御部71は、貼着動作部5の把持部51がチップNtを把持しやすいように、シートNSを所定位置まで搬送させる(ステップS38)。
シートNSが所定位置まで搬送されると、制御部71は、貼着動作部5のX方向移動機構54、Y方向移動機構55、アーム動作機構56の動作を制御して、把持部51によってチップNtを把持させる(ステップS39)。そして、チップNtを把持したまま、把持部51を爪Tの上まで移動させ(ステップS40)、位置を調整しながらチップNtを爪Tに貼着する(ステップS41)。具体的な貼着の仕方は前述の実施形態で説明したものと同様であるため説明を省略する。
爪Tへの貼着が完了すると、把持部51によるチップNtの把持状態を解除する(ステップS42)。
【0086】
制御部71は、他にもチップNtを貼着したい爪Tがあるか否かを判断し(ステップS43)、他にもチップNtを貼着した爪Tがある場合(ステップS43;YES)には、次の爪Tに対応する指Uを指配置部14に配置するよう促すメッセージを表示部8等に表示させ(ステップS44)、ステップS32に戻って以降の処理を繰り返す。
これにより、爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成し、これを自動的に爪Tの表面に貼着することができる。
なお、このようにチップNtの生成及び貼着を爪T1つずつ順に行う場合にも、爪Tの輪郭形状については、事前に取得して記憶されているものを用いてもよい。
この場合には、ステップS33において、爪画像から爪Tの現在の正確な位置のみを取得すればよい。このため、例えばステップS31からステップS33の処理を、チップNtが生成された後(例えばステップS38の前やステップS39の前)に行ってもよい。
【0087】
このように、
図11に示す装置を用いる場合には、チップNtがシートNS上のほぼ同じ位置に生成される。このため、把持部51によってチップNtを把持する位置もほぼ同じとなり、チップNtの位置を撮影装置等で確認しなくても正確にチップNtを把持することができる。
【0088】
また、本実施形態では、撮影装置61によって取得された爪画像から、情報取得部としての制御部71が装飾対象である爪Tの輪郭形状を含む情報を取得して、この輪郭情報に基づいてシートNSの切断、印刷等を行う場合を例示したが、シートNSの切断、印刷等を行うための爪Tの輪郭情報は、制御部71が爪画像から取得したものに限定されない。
例えば、爪画像は、カメラ機能を有する携帯端末装置等の外部装置において取得されたものを制御部71が取得してもよい。
また、外部装置の制御部等において爪画像等から輪郭形状等の情報を取得してもよい。この場合には、情報取得部としての制御部71は、外部装置から輪郭形状の情報を取得する。
【0089】
さらに、ユーザが各指Uの爪Tについて予め輪郭情報を登録している場合(例えば、予め爪画像を撮影して、当該爪画像から輪郭形状等の情報を取得し、記憶部72等に登録している場合)には、改めて爪画像の取得や輪郭形状の検出等を行わなくても、制御部71が必要な情報を記憶部72等から読みだして適用してもよい。この場合には、爪Tの輪郭形状を取得するための撮影や画像解析の時間が不要となり、チップNtの生成及び貼着を迅速に行うことができる。
なお、爪Tは随時伸びていくため、上記のように予め登録された情報を用いる場合には、当該情報が取得されてからの経過時間に応じて爪Tの長さ方向の寸法を適宜調整してもよい。例えば輪郭情報が取得されてから1週間経過している場合には、輪郭形状として記憶されている爪Tの長さに1mm程度プラスした寸法でチップNtを生成するように、切断機構3や印刷機構4を制御してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、貼着制御装置1が印刷機構4とともに印刷装置100の内部に一体化されている場合を例示したが、例えば貼着制御装置1が単体の装置として構成されてもよい。
例えば、シートNSの全面にストライプ柄やチェック柄等の総柄が施されている場合、ピンク色等の無地のシートである場合等であれば、何ら印刷を施さずに切断機構3によってシートNSを切断するだけで、チップNtを生成することができる。
また、単に爪Tを保護する保護フィルムとしてチップNtを用いたい場合等であれば、何ら印刷を施さない、透明や白色等のシートNSを切断機構3によって切断するだけでチップNtを生成することができる。
このような場合は、印刷機構4を設けずに貼着制御装置1単体として使用してもよい。
この場合にも、装置側で爪Tの輪郭形状を取得して、切断機構3はこの輪郭形状に沿うようにチップNtを切り出す。このため、ユーザの爪Tに合ったサイズ及び形状のチップNtを生成することができ、これを各爪Tに貼着することができる。
【0091】
また、切断機構3、印刷機構4、貼着動作部5(貼着動作部5の貼着機構50)のうち少なくとも一部が、同一の動作機構によって動作することが望ましく、本実施形態では、切断機構3と印刷機構4とが同一のガイドレール16に取り付けられ、同一のガイドレール16に案内されて動作する場合を例示したが、同一の動作機構によって動作する構成はこれに限定されない。
例えば、共用される動作機構はガイドレールに限定されず、例えばモータ等を共用し、同一のモータが複数の機構の動作を担当するように構成してもよい。
また、同一のガイドレール16に取り付けられるのは、切断機構3と印刷機構4とに限定されない。
例えば、チップNtの貼着対象である爪Tを配置する位置を、装置の前側ではなく、側方や後方等に変更することで貼着動作部5の動作範囲を変更し、切断機構3と貼着動作部5、印刷機構4と貼着動作部5、又は切断機構3、印刷機構4、貼着動作部5の全てを同一のガイドレール16に取り付けて動作させるようにしてもよい。
【0092】
装飾対象である爪Tは、装置内であって、搬送機構2に対して、シートNSの搬送方向Y1とは異なる第2の方向にずれた位置に配置されており、貼着動作部5の貼着機構50は、少なくとも第2の方向に移動可能に構成されている。
本実施形態では、爪Tが配置されている指配置部14が、搬送機構2よりも、X方向の右側(
図2において右側)にずれて配置されており、貼着動作部5の貼着機構50が移動する第2の方向は、シートNSの搬送方向Y1に直交するX方向である場合を例示したが、貼着動作部5の貼着機構50が移動する第2の方向は、X方向に限定されない。
例えば、爪Tが配置されている指配置部14を搬送機構2の上方又は下方に設けてもよく、この場合には、貼着動作部5の貼着機構50が移動する第2の方向は、装置の高さ方向(
図1等に示すZ方向)となる。
このように、指配置部14を搬送機構2に対してZ方向にずれた位置に配置した場合には、装置の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0093】
また搬送装置2をユニットとして全体として移動可能に構成し、シートNSの切断処理、印刷処理を行った後に、チップNtを載せたシートNSを搬送機構2ごと爪Tの置かれた位置に近づけるように移動させてもよい。
このような構成とした場合には、貼着動作部5の把持部51を爪Tの近傍に配置させておき、短い距離の移動でチップNtの爪Tへの貼着を行うように構成することもできる。
【0094】
さらに本実施形態では、装飾対象が指Uの爪Tであり、チップNtが爪Tに貼着されるネイルチップである場合を例示したが、装飾対象は爪Tに限定されない。
例えば手の甲の皮膚等を装飾対象としてもよく、この場合には、チップNtは例えば皮膚に貼り付けることのできるタトゥーシール等である。
この場合にも、手の上の貼り付け位置を撮影装置61によって確認し、貼着動作部5によって適切な位置にチップNtを貼着する。
【0095】
また本実施形態では、貼着動作部5が把持部51を有し、この把持部51によって当該チップNtを把持(保持)させる構成としたが、貼着動作部5がチップを把持(保持)する手法はこれに限定されない。
例えば、貼着動作部5が吸盤状の動作部を備え、この吸盤状の動作部をチップNtの上から押し当てて、チップNtを吸着させることによって把持(保持)させる等の手法を用いてもよい。
【0096】
なお、貼着制御装置1やこれを備える印刷装置100は、各種の端末装置等の外部装置と連携して処理を行ってもよい。
例えば、爪Tの輪郭形状の取得については、外部装置に置いて画像解析等の処理を行い、貼着制御装置1やこれを備える印刷装置100は、外部装置から処理結果である爪Tの輪郭形状を示すデータ(例えばベクターデータ)等のみを取得してその後のチップNtの生成処理や貼着処理を行ってもよい。
このようにした場合には、貼着制御装置1やこれを備える印刷装置100側で行う演算処理を省くことができる。このため、制御部71や記憶部72の負担を減らすことができ、簡易な構成で高精度のチップNtの生成及び貼着処理を実現することができる。
【0097】
また、貼着制御装置1やこれを備える印刷装置100が、各種の端末装置等の外部装置と連携して処理を行う場合には、ユーザに対するメッセージ等の各種表示を端末装置等の外部装置の表示部で行うようにしてもよい。この場合には印刷装置100側には表示部8を備えない構成としてもよい。
【0098】
また本実施形態では、インクを吐出させて印刷を行う方式の印刷機構4を備える場合を例示したが、印刷機構の方式はこれに限定されない。
印刷機構は、例えば熱転写方式でもよいし、電子写真方式(レーザプリンタ)でもよい。
印刷機構が熱転写方式や電子写真方式である場合には、シートNSのベース層S3の表面にインク受容層S3aを備える必要がない。
【0099】
また、印刷機構は、デザインを印刷する印刷ヘッドとは別に、デザインの印刷後に透明なコート剤等を印刷するオーバーコート用の印刷ヘッドを備え、チップNtに対して自動的にオーバーコートを施してもよい。また、チップNtを爪Tに貼着した後、ユーザが手動でコート剤等を塗り、オーバーコートを施してもよい。
チップNtにオーバーコートを施すことで、チップNtの耐久性を向上させることができる。
【0100】
また本実施形態では、指配置部14に1本ずつ指Uを配置して、爪Tの撮影や爪TへのチップNtの貼着を行う例を示したが、指配置部14の構成はこれに限定されない。
例えば指配置部14及びこれに対応する開口部13の幅(装置の左右方向の幅)を広くして、複数本の指Uを同時に並べて配置し、爪Tの撮影等を同時的に行うことができるようにしてもよい。例えば片手5本分の指Uを並べて配置できるようにしてもよいし、両手10本分の指Uを並べて配置できるようにしてもよい。また、片手(例えば右手)の人差指から小指の4本の指Uと逆側の手(例えば左手)の親指を同時に指配置部上に配置できるようにしてもよい。
【0101】
このように指Uを複数本同時に配置できる構成とした場合には、貼着動作部5の貼着機構50や把持部51を複数設けて、複数本の指Uの爪Tについて同時並行的にチップNtの貼着を行うことができるように構成してもよい。
これにより、貼着処理を一層迅速に行うことができ、処理時間を短縮することができる。
【0102】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
搬送経路上のチップを搬送する搬送機構と、
前記チップを装飾対象に貼り付ける貼着機構と、
を備えたことを特徴とする貼着制御装置。
<請求項2>
シートを切断する切断機構をさらに備え、
前記チップは、前記切断機構によって前記シートが切断されることで生成されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の貼着制御装置。
<請求項3>
前記装飾対象に関する情報を取得する情報取得部をさらに備え、
前記切断機構は、前記情報取得部により取得された前記装飾対象に関する情報に基づいて前記シートを切断する、
ことを特徴とする請求項2に記載の貼着制御装置。
<請求項4>
前記装飾対象を撮影して画像を取得する撮影装置をさらに備え、
前記情報取得部は、前記装飾対象に関する情報として、前記画像から前記装飾対象の輪郭形状を含む情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の貼着制御装置。
<請求項5>
前記装飾対象は、ユーザの爪であり、
前記情報取得部は、前記装飾対象に関する情報として、前記ユーザの爪を撮影した画像から爪の輪郭形状を含む情報を取得することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の貼着制御装置。
<請求項6>
前記切断機構は、前記輪郭形状を含む情報に基づいて前記シートを切断する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の貼着制御装置。
<請求項7>
前記貼着機構は、前記輪郭形状を含む情報に基づいて前記チップを前記装飾対象に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
<請求項8>
前記貼着機構は、
先端部分に把持部を有し、
前記把持部に前記チップを把持させ、把持させた前記チップを前記装飾対象に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
<請求項9>
前記貼着機構は、シートから一部分が剥離した状態の前記チップを前記把持部に把持させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の貼着制御装置。
<請求項10>
前記装飾対象は、装置内であって、前記搬送機構に対して、チップの搬送方向とは異なる第2の方向にずれた位置に配置され、
前記貼着機構は、少なくとも前記第2の方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の貼着制御装置。
<請求項11>
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の貼着制御装置と、
シート又はチップ上に印刷を施す印刷機構と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
<請求項12>
搬送経路上のチップを搬送する搬送工程と、
前記チップを装飾対象に貼り付ける貼着工程と、
を含むことを特徴とする貼着方法。
【符号の説明】
【0103】
1 貼着制御装置
2 搬送機構
3 切断機構
4 印刷機構
5 貼着動作部
50 貼着機構
51 把持部
61 撮影装置
71 制御部(情報取得部)
100 印刷装置
NS シート
Nt チップ
T 爪(装飾対象)
U 指