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特開2022-176659筒状の帯状積層体の製造装置、および筒状の帯状積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176659
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】筒状の帯状積層体の製造装置、および筒状の帯状積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/12 20060101AFI20221122BHJP
   B05C 1/08 20060101ALI20221122BHJP
   B31B 70/18 20170101ALI20221122BHJP
   B31B 70/62 20170101ALI20221122BHJP
【FI】
B32B37/12
B05C1/08
B31B70/18
B31B70/62
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083198
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】521211608
【氏名又は名称】有限会社染原化工
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】森 一敏
【テーマコード(参考)】
3E075
4F040
4F100
【Fターム(参考)】
3E075AA15
3E075BA66
3E075CA02
3E075DA14
3E075DB13
3E075DD02
3E075DD03
3E075DE23
3E075GA02
3E075GA04
4F040AA22
4F040AB01
4F040AC01
4F040BA26
4F040CB06
4F040CB16
4F100AK54A
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100CB00B
4F100DC22A
4F100EH46B
4F100EJ32
4F100EK09
4F100GB15
(57)【要約】
【課題】筒状部となる開口部分の幅を調整しやすく、紙やフィルムなどの多様な基材を接着させて利用することができる、筒状の帯状積層体の製造装置を提供する。
【解決手段】搬送方向に送り出された帯状の第一の基材11の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的な接着部を設ける塗工部4と、第一の基材11の第一の面に、接着部を挟んで第二の基材21を貼り合わせた積層体3とする積層ロール61、62と、積層体3の接着部を搬送方向に沿って切断する切断部73と、を有する、筒状の帯状積層体の製造装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的な接着部を設ける塗工部と、
前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層部と、
前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断部と、を有する、筒状の帯状積層体の製造装置。
【請求項2】
前記塗工部が、凹版部に接着剤を収容するグラビアロールと、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込む圧胴とで、前記第一の基材に接着剤を塗工するものであり、
前記圧胴が、前記圧胴の周方向に設けられた凸条部を、前記圧胴の幅方向に複数列設けたものであり、
前記圧胴の凸条部が、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込むことで、前記圧胴の凸条部と対応する位置の前記第一の基材に接着剤を塗工する、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記塗工部が、凹版部に接着剤を収容するグラビアロールと、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込む圧胴とで、前記第一の基材に接着剤を塗工するものであり、
前記グラビアロールが、前記接着剤を収容する前記凹版部を、幅方向に複数列設けたものであり、
前記圧胴と、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込むことで、前記接着剤を収容する前記凹版部と対応する位置の前記第一の基材に接着剤を塗工する、請求項1または2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記積層体に、切込み部および/または切抜き部を設ける加工部を有する、請求項1~3のいずれかに記載の製造装置。
【請求項5】
搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的に接着部を設ける塗工工程と、
前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層工程と、
前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断工程と、を有する、筒状の帯状積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の帯状積層体の製造装置に関する。また、筒状の帯状積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋の成形などにあたっては、インフレーション成形によるチューブフィルムの製造などが行われている。インフレーション成形は、1パスで1つの列のチューブフィルムを搬送するものとなるため多数の列のチューブフィルムを得たい場合には適してない場合がある。
【0003】
熱可塑性フィルムを用いる加工食品の複数列式連続包装装置について、特許文献1が開示されている。ここでは、搬送されている二枚の熱可塑性フイルムシートを容器状にするために側面を連続的に複数列に融着させる加熱ロール又は袋形成加熱圧着棒は、搬送された2枚のフイルムシートを一定の容器にするために、連続してフィルムを熱融着させることができる2個の加熱圧着ロール又は加熱圧着棒からなっている(特許文献1段落0015)。
【0004】
特許文献2は、長尺の帯状のフィルムを長尺方向に沿って複数条の帯状の包装フィルムにスリットし、当該複数条にスリットされた包装フィルムのそれぞれの両端を合わせて略筒状にフォーミングし、それぞれの合わせ部を、列数に応じた間隔で複数配設される一対の縦シール用回転ローラー間に挟み込んで縦シールを施すロール式縦シール装置を備えた多列自動包装機の包装フィルム搬送調整装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-12857号公報
【特許文献2】特開2011-84325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インフレーション成形では、前述のように筒状のフィルムを、1列しか得ることができない。また、その幅も成形機の吐出部の形状や吐出量、空気量、巻取り速度などで調整されるため、条件調整が難しい場合がある。
【0007】
また、特許文献1の接着手法は、加熱圧着を行うもののため、熱可塑性樹脂フィルムのような基材でなければ接着ができない。また、特許文献2では、スリット後に、折り返して両端を合わせるため、この合わせ機構を製造したい包装フィルムの幅に合わせて多数配置しなければならず、幅の調整が難しい場合がある。
【0008】
かかる状況下、本発明は、筒状部となる開口部分の幅を調整しやすく、紙やフィルムなどの多様な基材を接着させて利用することができる、筒状の帯状積層体の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0010】
<1> 搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的な接着部を設ける塗工部と、前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層ロールと、前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断部と、を有する、筒状の帯状積層体の製造装置。
<2> 前記塗工部が、凹版部に接着剤を収容するグラビアロールと、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込む圧胴とで、前記第一の基材に接着剤を塗工するものであり、前記圧胴が、前記圧胴の周方向に設けられた凸条部を、前記圧胴の幅方向に複数列設けたものであり、前記圧胴の凸条部が、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込むことで、前記圧胴の凸条部と対応する位置の前記第一の基材に接着剤を塗工する、前記<1>に記載の製造装置。
<3> 前記塗工部が、凹版部に接着剤を収容するグラビアロールと、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込む圧胴とで、前記第一の基材に接着剤を塗工するものであり、前記グラビアロールが、前記接着剤を収容する前記凹版部を、幅方向に複数列設けたものであり、前記圧胴と、前記グラビアロールとの間に前記第一の基材を挟み込むことで、前記接着剤を収容する前記凹版部と対応する位置の前記第一の基材に接着剤を塗工する、前記<1>または<2>に記載の製造装置。
<4> 前記積層体に、切込み部および/または切抜き部を設ける加工部を有する、前記<1>~<3>のいずれかに記載の製造装置。
<5> 搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的に接着部を設ける塗工工程と、前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層工程と、前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断工程と、を有する、筒状の帯状積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の筒状の帯状積層体の製造装置や製造方法によれば、筒状部となる開口部分の幅を調整しやすく、紙やフィルムなどの多様な基材を接着させて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る製造装置の概要図である。
図2】本発明に係る第一の実施形態の塗工部の概要図である。
図3】本発明に係る第一の実施形態の塗工部の概要図である。
図4】本発明に係る第一の実施形態の塗工部周辺を平面視した概要図である。
図5】本発明に係る第一の実施形態の塗工部に用いる圧胴の概要図である。
図6】本発明に係る第一の実施形態の切断部や巻取部の概要図である。
図7】本発明により製造される積層体の概要図である。
図8】本発明に係る他の実施形態の加工部や、切断部、巻取部の概要図である。
図9】本発明に係る第二の実施形態の塗工部の概要図である。
図10】本発明に係る第二の実施形態の塗工部の概要図である。
図11】本発明に係る塗工部に用いる圧胴の他の実施形態の概要図である。
図12】本発明に係る加工部による切抜き部の他の実施形態の概要図である。
図13】本発明の製造方法のフロー図である。
図14】本発明に係る圧胴やグラビアロールの例の像である。
図15】本発明に係る本発明の製造方法により製造された帯状積層体の製造例の像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0014】
[本発明の製造装置]
本発明の製造装置は、搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的な接着部を設ける塗工部と、前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層ロールと、前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断部と、を有する、筒状の帯状積層体の製造装置である。
【0015】
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法は、搬送方向に送り出された帯状の第一の基材の第一の面に、接着剤を塗工した部分であり幅方向に間欠的に接着部を設ける塗工工程と、前記第一の基材の第一の面に、前記接着部を挟んで第二の基材を貼り合わせた積層体とする積層工程と、前記積層体の前記接着部を搬送方向に沿って切断する切断工程と、を有する、筒状の帯状積層体の製造方法である。
【0016】
本願において本発明の製造装置により本発明の製造方法を行うこともでき、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。本発明の製造装置や製造方法によれば、接着部を設ける位置を替えることで任意の幅で筒状部となる開口部分の幅を調整でき、接着剤により接着させるため紙やフィルムなどの多様な基材を接着させて利用することができる。
【0017】
[第一の実施形態]
[製造装置10]
図1は、本発明に係る製造装置の概要図である。製造装置10は、第一の基材11と、第二の基材21とを積層した積層体3を切断して帯状積層体31を製造するための装置である。製造装置10は、塗工部4と、積層部6と、切断部73を有する。
【0018】
製造装置10において、第一の基材11は第一ロール1から送り出される。第一の基材11は、圧胴41とグラビアロール42とを有する塗工部4で接着剤を塗工した接着部が設けられた基材12となる。基材12は、接着剤を予備処理する予備処理部70で処理した後に第二の基材21を貼り合わせる。第二の基材21は第二ロール2から送り出される。基材12と第二の基材21とは、積層部6の積層ロール61、62で積層して貼り合わせられる。積層された後、硬化部71で接着剤を硬化させて積層体3となる。この積層体3に適宜、加工部72で加工を行い、切断部73で切断する。切断されて多列の帯状積層体31等は、巻取部911、912、92に巻き取られる。
【0019】
図2~4は、本発明に係る第一の実施形態の塗工部の概要図である。図5は、塗工部に用いる圧胴の概要図である。図6は、本発明に係る第一の実施形態の切断部や巻取部の概要図である。図7は、本発明により製造される積層体の概要図である。図8は、本発明に係る他の実施形態の加工部や、切断部、巻取部の概要図である。図1における左右であり、全体の搬送方向となる水平方向をX方向、搬送方向と直交する図1における奥行をY方向、X方向とY方向に直交する鉛直方向をZ方向とする。
【0020】
[第一の基材11]
第一の基材11は、塗工部4で接着部121(図4参照)を設ける対象となる基材である。第一の基材11は、第一ロール1から搬送方向に送り出される。第一の基材11の第一の面に接着部121が設けられる。第一の面は、グラビアロール42側の面である。
【0021】
[第二の基材21]
第二の基材21は、第一の基材11と、接着部121を挟んで貼り合わせられる基材である。第二の基材21は、第二ロール2から搬送方向に送り出される。
【0022】
第一の基材11および第二の基材21は、いずれも、ロール状に巻取りでき、搬送可能な基材である。これらの基材は、例えば、紙や、樹脂フィルム、不織布、金属箔膜などの、シートやフィルム、膜などである。第一の基材11および第二の基材21のいずれも、加熱等により自己接着するものでなくてもよく、接着剤により接着させることができる。
【0023】
[塗工部4]
塗工部4は、搬送方向に送り出された帯状の第一の基材11の第一の面に接着部121を設けるための部分である。接着部121が設けられたものが基材12である。接着部121は、接着剤を塗工した部分である。また、接着部121は、幅方向に間欠的に設けられる。また、接着部121は、第一の基材11の搬送方向(いわゆるMD方向)に連続的に設けられる。このMD方向の接着部は、連続的なものとして継続して塗工してもよいし、間欠的なものとしてもよい。
【0024】
図2~4は、本発明に係る第一の実施形態の塗工部4の概要図である。塗工部4は、凹版部に接着剤を収容するグラビアロール42と、グラビアロール42との間に第一の基材11を挟み込む圧胴41とで、第一の基材11に接着剤を塗工するものである。
【0025】
[圧胴41]
図5は、本発明に係る第一の実施形態の塗工部に用いる圧胴の概要図である。圧胴41は、周方向に設けられた凸条部411を、幅方向に複数列設けたものである。圧胴41は軸410を中心に回転する。
【0026】
幅方向の接着部121間には、接着部121が設けられていない非接着部120が得られる。積層体3は、接着部121間に非接着部120があることで、接着部121間に中空部が形成される筒状部を有するものとなる。
【0027】
圧胴41は、グラビア印刷用ローラーの素材に準じるものを用いることができる。例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)や、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン(登録商標)ゴム)等を用いることができる。この圧胴は、例えばビッカース硬度が、50~75程度(例えば65程度)のものを用いることができる。
【0028】
図2、3に示すように圧胴41とグラビアロール42が第一の基材11を挟み込む。第一の基材11に圧胴41の凸条部411の部分に、グラビアロール42から接着剤が転写して、接着部121が設けられる。接着部が設けられていない部分は非接着部121となる。
【0029】
図5は圧胴41の構造を説明するための図である。圧胴41は、軸410を軸として回転する。圧胴41の周方向には、凸条部411が設けられている。この凸条部411は、幅方向に間欠的に設けられている。凸条部411は圧胴41における大径部である。凸条部411間は、凸条部411よりも低い段の溝部412となる。この溝部412は圧胴41における小径部である。
【0030】
凸条部411は図5における左から順に、w1、w2、w3、w4、w5、w6の幅のものが6つ設けられている。凸条部の間には、左から順に、g12、g23、g34、g45、g56の隙間がある。凸条部411は、高さh1である。
【0031】
凸条部411の幅w1~w6は、接着部121の幅に対応する。また、g12~g56は、平坦に巻き取ったときの筒状部の幅に対応する。この幅w1~w6や、g12~g56は、筒状の帯状積層体の用途などに応じて適宜設定できる。幅w1~w6はその間を切断するため、安定して切断しやすいように5mm以上や10mm以上とすることができる。接着部121の幅が広すぎる場合、十分な幅の筒状部を設けることができない場合があるため、30mm以下や、20mm以下の上限を設けてもよい。g12~g56は、筒状に広げやすいように、例えば、30mm以上や、50mm以上、70mm以上などとできる。上限は特に設けなくてもよいが、製造装置10の幅の上限などを考慮し、1m以下や、0.8m以下、0.5m以下としてもよい。
【0032】
h1は、1mm以上であればよいが、3mm以上や、5mm以上とすることがより好ましい。上限は特に設けなくてもよいが、圧胴41の製造しやすさなどを考慮して、適宜、10mm以下や8mm以下程度の上限を設けてもよい。圧胴41の高さh1は、わずかな差でも、グラビアロール42から、第一の基材11に転写するために大きな圧力がかかっていることが多いため、十分に、接着部121と非接着部120との塗分けができる。
【0033】
このような圧胴41を用いれば、従来のグラビアコーターを用いたラミネート装置により、圧胴を切り替えるだけで、本発明にかかる接着部を得ることができる。また、圧胴41の凸部の位置を変えることで、様々な接着部や非接着部のそれぞれの幅や、波状などのパターンなども調整することができる。このため、このような設備は接着部の精密な制御が行いやすい。また、このような設備はメンテナンスもしやすく、導入コストも低廉にできる。さらに、巻替えなどを行う回数も少なく、設備の導入や維持管理にかかる作業や設備も少なく、帯状積層体の製造にかかるコストも低廉にできる。
【0034】
[グラビアロール42]
グラビアロール42は、表面に圧胴の凸条部が、グラビアロールとの間に第一の基材を挟み込むことで、圧胴の凸条部と対応する位置の第一の基材に接着剤を塗工する。グラビアロール42は、軸420を中心に回転する。グラビアロール42には、グラビアロール42の周方向の表面全体に凹部が設けられ、その凹部内に接着剤を収容することができる凹版加工面421が設けられている。
【0035】
[接着部121]
グラビアロール42と、圧胴41の凸条部411が挟み込む部分に、接着部121が設けられる。接着部121は、幅方向に見たとき、間欠的に設けられる。
【0036】
[接着剤]
接着剤は、ラミネートに用いられている各種接着剤などを用いることができる。例えばイソシアネート系の硬化剤などを用いることができる。また、接着剤は、液状で、グラビアロール42の凹版部に入り込むものなどを用いることができ、熱硬化するものや、UV硬化するものなどを用いることができる。接着剤は、チャンバードクターなどから供給することができる。
【0037】
[予備処理部70]
予備処理部70は、接着部121の接着剤を、第二の基材21との接着に適した状態にするために、過剰な溶媒等を除去して液だれや滑りを防止したり、接着性を調整処理する部分である。
【0038】
[積層部6]
積層部6は、第一の基材11と第二の基材21を貼り合わせる部分である。積層部6は積層ロール61と積層ロール62を有する。積層ロール61、62が、第一の基材11の第一の面に、接着部121を挟んで第二の基材21を貼り合わせた積層体3とするロールである。
【0039】
[硬化部71]
硬化部71は、積層した第一の基材11と接着部121と第二の基材21とを貼り合わせた積層体を硬化する部分である。硬化部71は、接着剤の種類に合わせて、必要に応じて設定される。例えば、加熱処理したり、UV照射する部分である。
【0040】
[積層体3]
図7は、本発明により製造される積層体の概要図である。積層体3は、第一の基材11と、接着部121と、第二の基材21とを有する。接着部121の位置の略中央に合わせて、それぞれ切断部73に設けた切断刃731~736で切り取る。切り取った積層体31は、幅方向の両端に接着部121由来の接着部分を有し、幅方向の中央は非接着領域となり、筒状の帯状積層体となる。
【0041】
[切断部73]
図6は、本発明に係る第一の実施形態の切断部や巻取部の概要図である。切断部73は、積層体3の接着部121を搬送方向に沿って切断する部分である。
【0042】
[巻取部911、912、92]
巻取部911、912は切断された帯状積層体を巻き取る。巻取部911は、帯状積層体31を巻き取り、巻取部912は帯状積層体32を巻き取る。また、巻取部92は、帯状積層体(31等)をとった後の、積層体3の端部(エッジ)を回収するように巻き取る。これにより、効率よく連続して、帯状積層体31、32等を得ることができる。
【0043】
帯状積層体31、32は、用途に応じた長さで切断して、積み重ねてもよいし、筒状部を拡げて収容対象のものを収容したり、幅方向に横断するような接着等を行って袋状としたりしてもよい。
【0044】
[加工部72]
図8は、本発明に係る他の実施形態の加工部や、切断部、巻取部の概要図である。加工部72は、積層体3に切込み部や切抜き部を設けるなどの各種加工を行う部分である。この実施形態では、積層体3に、複数の円状の切込み部721(図8)を設けている。この切込み部や切抜き部は、通気や、内容物の確認用の窓、開口自体の形状を意匠性がある装飾用の開口部などの目的で設ける。切込み部や切抜き部は、トムソン加工や歯形加工、レーザー加工などを利用することができる。
【0045】
加工部は、このような切込み部や切抜き部を設けるほかにも、幅方向に横断するような接着を行って、袋状をなすものとしたり、筒や袋の持手部などを設けるような切り込みを設けたりすることができる。また、文字や図形、記号、模様などの印刷などを行ってもよい。
【0046】
[第二の実施形態]
図9は、本発明に係る第二の実施形態の塗工部の概要図である。図10は、本発明に係る第二の実施形態の塗工部の概要図である。ここでは、図1における製造装置10において、塗工部4を、図2図5で説明した圧胴41、グラビアロール42等を用いるものに替えて、圧胴43、グラビアロール44を用いる構成である。
【0047】
[圧胴43、グラビアロール44]
第二の実施形態において、グラビアロール44は軸440を中心に回転する。グラビアロール44は、幅方向に間欠的に設けられた凹版部441に接着剤を収容する。このとき、凹版部441間は、接着剤を含まない非塗工部442となる。このグラビアロール44と、圧胴43との間に、第一の基材11を挟み込むことで、凹版部441から第一の基材11に接着剤を転写するように塗工する。
【0048】
圧胴43は、軸430を中心に回転し、その周方向は平坦な押圧面431である。グラビアロール44に対する圧胴は、圧胴43のような周方向の面が平坦なものとして、グラビアロール44の全体を均等に押圧するものでもよいし、図2~5に示したような凸条部411を有する圧胴41を用いてもよい。圧胴41を用いる場合、凸条部411と、グラビアロール44の凹版部441とが対応する部分に接着部121が設けられる。
【0049】
グラビアロール44の接着剤を収容した凹版部441は、グラビアロール44の凹版加工を選択的に行うことで、凹版部441にのみ接着剤を収容し、他の領域は接着剤を収容しないものとしてもよい。また、グラビアロール44の全体を、接着剤を収容できる凹版加工されたものとして、接着剤を塗工する部分にだけ、ドクターブレードなどを有するシリンダから接着剤を供給し、他の非接着部は閉じた構成としたり、シリンダを配置しないものとして、このシリンダからの接着剤の供給が行われている部分だけ接着剤を収容した状態とすることで達成してもよい。
【0050】
図11は、圧胴の変形例の概要図である。図11の圧胴45は、凸条部413と溝部414を有する。この凸条部413は、幅が増減する波状である。この波状の凸条部の幅に応じた接着部が転写される。
【0051】
図12は、加工部による加工形状の変形例の概要図である。図12(a)は、接着部間を幅方向に横断する直線状の切取り部722を設けるものである。図12(b)は、接着部間を幅方向に横断するU字状の切り取り部72を設けるものである。このように、加工部での切り取り部の形状は様々な形状に変更することができる。
【0052】
[フロー図]
図13は、本発明の製造方法のフロー図である。このフローは、図1に示す製造装置10により連続的に行ってもよいし、適宜、ラインスピードや設備レイアウトなどを考慮して、異なる装置でそれぞれ行ってもよい。例えば、接着剤の効果を十分に行う養生のために、貼り合わせ後に、養生室に移動させて硬化させてからそのあとのステップを行ってもよい。また、適宜、このフローには、予備処理や、後処理、追加加工などのステップを追加して行ってもよい。
【0053】
ステップS11は、幅方向に間欠的に接着部を設けるために、第一の基材に接着剤を塗工する工程である。ステップS21は、接着部を挟んで第一の基材に第二の基材を貼り合わせる工程である。ステップS31は、第一の基材と第二の基材とを接着部を介して接着させた積層体を得るために、接着剤を硬化させる工程である。ステップS41は、複数列の筒状の帯状積層体を得るために、接着剤を硬化させた接着部を切断する工程である。ステップS51は、帯状積層体を巻き取る工程である。
【0054】
本発明によれば、間欠的に設ける接着部の位置を変更することで、筒状部となる開口部分の幅を調整できる。また、接着剤により接着させるため、紙やフィルムなどの多様な基材を接着させて利用することができる。また、これは、圧胴や、グラビアロールのシリンダを調整することで、その幅などを変更でき、グラビアロールに収容させる接着剤を変更することで多様な接着剤を採用できるため、様々な基材に対応できる。また、ラミネートシートと同程度の厚さで嵩張らずに筒状の帯状積層体を製造でき、巻取も安定する。また、複数列を同時に製造できる。
【0055】
[製造例]
図14図15は、本発明の製造方法にかかる像を示すものである。図14(a)は、圧胴の製造例に係る像である。凸条部と、その間に溝部が設けられている。図14(b)は、凹版加工されたグラビアロールである。図14(b)における白色部に、接着剤を収容するための凹版部が設けられている。
【0056】
図15(a)は、接着部を設けて巻き取った積層体の像である。図15(b)は、図15(a)の積層体を切断し、奇数列と、偶数列とを別々のロールに巻き取った状態である。図15(c)は製造された帯状積層体の製造例の像である。
【0057】
図15(c)の帯状積層体は、次のように製造した。第一の基材、第二の基材として、紙を用いた。また、接着剤として、エーテル系接着剤を用いた。ラミネート装置として用いられるグラビアロールに接着剤を充填し、圧胴を、接着部に対応させた凸条としたものを用いた。接着部は、約15mmとし、接着部間(非接着部)を約95mmとして、積層体を得た。
【0058】
その後、接着部の中央を、搬送方向(MD方向)に沿って、連続的に切断して、帯状積層体を巻き取った。この帯状積層体が、図15(c)に示す筒状の帯状積層体である。製造直後は、薄いシート状であり、巻取りができ嵩張らないものである。幅方向の両端は接着部となっており、幅方向の中央は非接着部となっているため、開口部から広げることで、筒状となる。これは、筒状として連続しているため任意の長さで切断して利用できる筒状のものにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、筒状の帯状積層体に関し、この帯状積層体は各種包装容器などに利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 第一ロール
10 製造装置
11 第一の基材
12 基材
121 接着部
120 非接着部
2 第二ロール
21 第二の基材
3 積層体
31、32 帯状積層体
4 塗工部
410、420、430、440 軸
41、43、45 圧胴
411、413 凸条部
412、414 溝部
42、44 グラビアロール
421、441 凹版部
442 非塗工部
6 積層部
61、62 積層ロール
70 予備処理部
71 硬化部
72 加工部
721、722、723 切り取り部
73 切断部
731 切断刃
911、912、92 巻取部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15