(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176660
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】火災報知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20221122BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20221122BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B25/04 H
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083199
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 芽衣
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
5K038
【Fターム(参考)】
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA37
5C087BB74
5C087DD04
5C087DD26
5C087DD36
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF04
5C087FF24
5C087GG08
5C087GG10
5C087GG17
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5G405AA01
5G405AA06
5G405AA08
5G405AD07
5G405BA04
5G405CA19
5G405CA22
5G405CA25
5G405CA30
5G405CA31
5K038AA06
5K038CC11
5K038DD15
5K038DD16
5K038GG02
(57)【要約】
【課題】集合住宅において火災が発生した場合に、個人情報も守りつつ、迅速かつ簡便に火災発生場所を確認する。
【解決手段】火災報知システムは、住戸内に設けられ、火災を検知する火災報知器と、住戸内に設けられ、火災時に火災表示を行う表示部を備えたインターホン親機と、火災報知器とインターホン親機と信号線を介して接続され、管理室に設けられる火災受信機とを備え、火災受信機が、住戸内で火災が発生した際に、火災報知器またはインターホン親機から出力される信号に基づいて、火災が発生した住戸を特定できる、複数の住戸から構成される集合住宅の火災報知システムにおいて、火災発生住戸とその周辺の複数住戸を一つの火災エリアとして設定し、火災発生住戸から火災エリアを決定する決定手段を設け、火災時には、火災受信機から火災エリア情報を複数の住戸に出力し、インターホン親機は、表示部に、火災エリア情報を表示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸内に設けられ、火災を検知する火災報知器と、住戸内に設けられ、火災時に火災表示を行う表示部を備えたインターホン親機と、前記火災報知器と前記インターホン親機と信号線を介して接続され、管理室に設けられる火災受信機とを備え、
前記火災受信機が、
住戸内で火災が発生した際に、前記火災報知器または前記インターホン親機から出力される信号に基づいて、火災が発生した住戸を特定できる、
複数の住戸から構成される集合住宅の火災報知システムにおいて、
火災発生住戸とその周辺の複数住戸を一つの火災エリアとして設定し、火災発生住戸から前記火災エリアを決定する決定手段を設け、
火災時には、前記火災受信機から火災エリア情報を前記複数の住戸に出力し、
前記インターホン親機は、前記表示部に、火災エリア情報を表示することを特徴とする火災報知システム。
【請求項2】
集合住宅に設置され、火災を検知した場合、前記火災が発生した住戸を特定できる火災報知信号を出力する自動火災報知器と、
前記集合住宅における複数の住戸を示す全体マップと、前記複数の住戸が火災エリアとしてグループ分けされた火災エリア情報とを記憶する記憶部を具備し、前記自動火災報知器から出力された前記火災報知信号を受信し、前記受信した火災報知信号に含まれる前記住戸情報により示される前記火災が発生した住戸を含む前記火災エリアを前記記憶部に記憶された前記火災エリア情報に基づいて決定し、前記決定された前記火災エリアの住戸が他の住戸と異なるように表示する前記全体マップを出力する火災受信機と、
前記火災受信機から出力された前記全体マップを表示するインターホン親機と
を具備する火災報知システム。
【請求項3】
集合住宅に設置され、火災を検知した場合、前記火災が発生した住戸を特定できる火災報知信号を出力する自動火災報知器と、
前記自動火災報知器から出力された前記火災報知信号を受信し、前記受信した火災報知信号に含まれる前記住戸情報を出力する火災受信機と、
前記集合住宅における複数の住戸を示す全体マップと、前記複数の住戸が火災エリアとしてグループ分けされた火災エリア情報とを記憶する記憶部を具備し、前記火災受信機から出力された前記住戸情報により示される前記火災が発生した住戸を含む前記火災エリアを前記記憶部に記憶された前記火災エリア情報に基づいて決定し、前記決定された前記火災エリアの住戸が他の住戸と異なるように表示する前記全体マップを表示するインターホン親機と
を具備する火災報知システム。
【請求項4】
前記インターホン親機は、前記自動火災報知器から出力された前記火災報知信号に応じて、前記火災が発生したことを音声により報知する
請求項2又は3に記載の火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅の各居室に設けられるインターホンを用いた火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合住宅の各居室には、インターホンが設置され、平常時は、来客があった場合に音声及び映像などにより報知し、集合玄関の開錠を行うものとして機能する。一方で、火災を感知する火災感知器等と接続し、火災があった場合、インターホンが音声で火災が発生した居室の部屋番号が付加された警報音声を出力するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された火災報知システムでは、集合住宅において、火災が発生した居室の部屋番号が付加された警報音声を同一の警戒区域の近隣に設置される居室内に出力すると、警報音声が誤報であった場合に以下の問題が生ずる。警報音声が誤報であった場合、火災が発生した居室の住民は、他住戸の住民へ大きな迷惑をかけたことを気にしたり、近隣住民との付き合いが悪くなったりすることも考えられる。また、居室の部屋番号が付加された警報音声を出力することは、個人情報保護の観点からも適当とは言えない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、集合住宅において火災が発生した場合に、個人情報も守りつつ、迅速かつ簡便に火災発生場所を確認することができる火災報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災報知システムは、住戸内に設けられ、火災を検知する火災報知器と、住戸内に設けられ、火災時に火災表示を行う表示部を備えたインターホン親機と、前記火災報知器と前記インターホン親機と信号線を介して接続され、管理室に設けられる火災受信機とを備え、前記火災受信機が、住戸内で火災が発生した際に、前記火災報知器または前記インターホン親機から出力される信号に基づいて、火災が発生した住戸を特定できる、複数の住戸から構成される集合住宅の火災報知システムにおいて、火災発生住戸とその周辺の複数住戸を一つの火災エリアとして設定し、火災発生住戸から前記火災エリアを決定する決定手段を設け、火災時には、前記火災受信機から火災エリア情報を前記複数の住戸に出力し、前記インターホン親機は、前記表示部に、火災エリア情報を表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火災発生住戸とその周辺の複数住戸を一つの火災エリアとして設定し、火災発生住戸から火災エリアを決定する決定手段を設け、火災時には、火災受信機から火災エリア情報を複数の住戸に出力し、インターホン親機は、表示部に、火災エリア情報を表示する。これにより、本発明の火災報知システムによれば、インターホン親機が表示する火災エリア情報には火災が発生した住戸の個人情報は特定されていないものの、その住戸が属する火災エリアが表示される。このため、集合住宅において火災が発生した場合に、個人情報も守りつつ、迅速かつ簡便に火災発生場所をユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムにおける火災受信機のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムが設置される集合住宅の全体マップを示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムにおけるインターホン親機のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムの動作について説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る火災報知システムにおけるインターホン親機の表示部に火災エリアが表示された全体マップを示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る火災報知システムにおける火災報知システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施の形態に係る火災報知システムについて説明する。なお、図面において、同一の構成要素には同一符号を付して説明し、重複説明は必要な場合にのみ行なう。また、以下の実施の形態では、複数設けられている構成要素については、当該構成要素の符号の末尾にアンダーバーと数字を付加することで互いに区別する。しかしながら、複数の当該構成要素をまとめて説明する場合、あるいは、当該構成要素のうちの1つを代表として説明する場合には、アンダーバーと数字を付けずに説明を行うこととする。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、火災報知システム100は、集合住宅101内に設けられている。
図1においては、4階建の階毎に4住戸がある集合住宅101を示している。
【0011】
集合住宅101の各住戸r_1_1~r_4_4には、自動火災報知器a_1_1~a_4_4がそれぞれ設けられている。
【0012】
1階の住戸r_1_1~r_1_4にそれぞれ設けられた自動火災報知器a_1_1~a_1_4と、発信機10_1とは直列に接続される。発信機10_1は終端抵抗TE_1に接続され、自動火災報知器a_1_1は、火災受信機1に接続される。2階の住戸r_2_1~r_2_4にそれぞれ設けられた自動火災報知器a_2_1~a_2_4と、発信機10_2とは直列に接続される。発信機10_2は終端抵抗TE_2に接続され、自動火災報知器a_2_1は、火災受信機1に接続される。3階の住戸r_3_1~r_3_4にそれぞれ設けられた自動火災報知器a_3_1~a_3_4と、発信機10_3とは直列に接続される。発信機10_3は終端抵抗TE_3に接続され、自動火災報知器a_3_1は、火災受信機1に接続される。4階の住戸r_4_1~r_4_4にそれぞれ設けられた自動火災報知器a_4_1~a_4_4と、発信機10_4とは直列に接続される。発信機10_4は終端抵抗TE_4に接続され、自動火災報知器a_4_1は、火災受信機1に接続される。
【0013】
各自動火災報知器a_1_1~a_4_4は、火災を検知した場合に、火災が発生した火災発生場所の住戸を示す住戸情報を含む火災報知信号を火災受信機1へ出力する。住戸情報は、各自動火災報知器の固有アドレスや、各自動火災報知器が設置される住戸の部屋番号、位置情報などによって火災受信機1で特定することができる。発信機10_1~10_4は、各階の共用部分(住戸r_1_1~r_4_4を除く場所)に設けられ、手動により火災報知信号を出力する。なお、発信機10_1~10_4から出力される火災報知信号は、それぞれ発信機10_1~10_4の場所情報を含む。
【0014】
また、各住戸r_1_1~r_4_4には、インターホン親機I_1_1~I_4_4がそれぞれ設けられている。インターホン親機I_1_1~I_4_4は、それぞれ信号線を介して火災受信機1に接続される。
【0015】
各インターホン親機I_1_1~I_4_4は、表示部を有し、火災受信機1から出力された全体マップの表示等の処理を行う。全体マップとは、
図3に示すような、集合住宅101における住戸r_1_1~r_4_4の火災エリアが表示された全体地図を指す。
【0016】
火災受信機1は、例えば、集合住宅101の管理人室に設けられている。火災受信機1は、集合住宅101における複数の住戸r_1_1~r_4_4の全体マップと、複数の住戸r_1_1~r_4_4が火災エリアとしてグループ分けされた火災エリア情報とを記憶する記憶部を具備する。火災受信機1は、自動火災報知器a_1_1~a_4_4から出力された火災報知信号を受信し、受信した火災報知信号に含まれる住戸情報により示される火災が発生した住戸を含むグループを記憶部に記憶された火災エリア情報に基づいて決定する。そして、火災受信機1は、決定されたグループの住戸が他の住戸と異なるように表示された全体マップを出力する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100における火災受信機1のハードウェア構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、火災受信機1は、バス11に接続されたCPU12、メモリ13、入力部14、通信部15及び記憶装置16を有する。
【0019】
CPU12は、記憶装置16に記憶された実施の形態に係る火災エリア表示プログラム21と協働して、実施の形態に係る火災受信機1側の火災エリア表示処理を行なう他、火災受信機1全体の制御を司る。
【0020】
メモリ13は、火災エリア表示プログラム21を実行する際に必要とされるワークエリアなどとして使用される。入力部14は、記憶装置16に格納されるデータベース22を入力するためのキーボード等である。
【0021】
通信部15は、火災受信機1の外部との通信を司る。具体的には、通信部15は電線によって、自動火災報知器a_1_1~a_4_4、インターホン親機I_1_1~I_4_4及び発信機10_1~10_4に接続され、通信を行なう。
【0022】
記憶部である記憶装置16は、火災エリア表示プログラム21及びデータベース22を有する。火災エリア表示プログラム21は、実施の形態1に係る火災エリア表示処理の火災受信機1側の処理を行なうプログラムである。
【0023】
データベース22は、集合住宅101における複数の住戸r_1_1~r_4_4の全体マップmと、複数の住戸r_1_1~r_4_4が火災エリアとしてグループ分けされた火災エリア情報とを記憶する。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100が設置される集合住宅101の全体マップmを示す図である。全体マップmにおいて、住戸r_1_1~r_4_4は、それぞれ101号室~404号室として示されている。全体マップmには、住戸r_1_1~r_4_4のみならず、廊下、エントランス及び駐車場等の共用部分を含めることが可能である。
図3においては、エントランスを含めた場合の全体マップmを示している。火災エリアとしては、近隣の複数の住戸(例えば、上下及び/又は左右で隣り合う4~6戸)でグループ分けされる。つまり火災が発生した住戸と、その周辺の住戸をグループとしてまとめたエリアのことを火災エリアとして扱う。
図3においては、101号室(住戸r_1_1)、102号室(住戸r_1_2)、201号室(住戸r_2_1)及び202号室(住戸r_2_2)が第1グループとされる。301号室(住戸r_3_1)、302号室(住戸r_3_2)、401号室(住戸r_4_)及び402号室(住戸r_4_2)が第2グループとされる。103号室(住戸r_1_3)、104号室(住戸r_1_4)、203号室(住戸r_2_3)及び204号室(住戸r_2_4)が第3グループとされる。303号室(住戸r_3_3)、304号室(住戸r_3_4)、403号室(住戸r_4_3)及び404号室(住戸r_4_4)が第4グループとされる。
【0025】
データベース22は、火災エリア情報を有する。火災エリア情報は、火災エリアである第1グループ~第4グループを有し、第1グループ~第4グループは、以下の住戸rに関連付けられている。
火災エリア情報=第1グループ+第2グループ+第3グループ+第4グループ
第1グループ={住戸r_1_1、住戸r_1_2、住戸r_2_1、住戸r_2_2}
第2グループ={住戸r_3_1、住戸r_3_2、住戸r_4_1、住戸r_4_2}
第3グループ={住戸r_1_3、住戸r_1_4、住戸r_2_3、住戸r_2_4}
第4グループ={住戸r_3_3、住戸r_3_4、住戸r_4_3、住戸r_4_4}
なお、エントランスも火災エリア情報の第5グループとしても良い。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100におけるインターホン親機Iのハードウェア構成を示す図である。
【0027】
図4に示すように、インターホン親機Iは、バス31に接続されたCPU32、メモリ33、表示部34、音声出力部35、通信部36及び記憶装置37を有する。
【0028】
CPU32は、記憶装置37に記憶された実施の形態に係る親機インターホン側火災エリア表示プログラム41と協働して、実施の形態に係るインターホン親機I側の火災エリア表示処理を行なう他、インターホン親機Iの全体の制御を司る。
【0029】
メモリ33は、親機インターホン側火災エリア表示プログラム41を実行する際に必要とされるワークエリアなどとして使用される。表示部34は、例えば、液晶ディスプレイであり、火災受信機1から送信された火災エリアを表示する。音声出力部35は、火災受信機1から送信された火災情報を音声で出力する。
【0030】
通信部36は、火災受信機1との通信を行なう通信回路を含む。
【0031】
記憶部である記憶装置37は、親機インターホン側火災エリア表示プログラム41及びデータベース42を有する。親機インターホン側火災エリア表示プログラム41は、実施の形態1に係る火災エリア表示処理の親機インターホン側の処理を行なうプログラムである。
【0032】
次に、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100の動作について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100の動作について説明するためのフローチャートである。
【0033】
実施の形態1では、302号室(住戸r_3_2)において火災が発生し、自動火災報知器a_3_2により火災が検知された場合について説明する。
【0034】
自動火災報知器a_3_2は、火災を検知した場合、火災が発生した火災発生場所の住戸を示す住戸情報(住戸r_3_2)を含む火災報知信号を出力する(ステップS1)。
【0035】
火災受信機1は、火災報知信号を受信した場合(ステップS2のYES)、火災報知信号に含まれる住戸情報(住戸r_3_2)により示される火災が発生した住戸を含む火災エリア(第2グループ)をデータベース22に記憶された火災エリア情報に基づいて決定する(ステップS3)。なお、ステップS3以降の処理は、火災が発生したことが確定した場合に行われるものである。火災が発生したことが確定した場合とは、例えば、火災が発生した住戸rの階の発信機10から火災報知信号を受信した場合である。火災受信機1は火災報知信号を受信しない場合(ステップS2のNO)、火災報知信号の受信を待機する。
【0036】
次に、火災受信機1は、決定された火災エリアの住戸rが他の住戸rと異なるように表示する全体マップm_1を各住戸r_1_1~r_4_4のインターホン親機I_1_1~I_4_4に出力する(ステップS4)。
【0037】
各住戸r_1_1~r_4_4のインターホン親機I_1_1~I_4_4は、火災受信機1から出力された全体マップmを表示部34に表示するとともに、音声出力部35から火災が発生したことを知らせる音声情報を出力する(ステップS5)。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態1に係る火災報知システム100におけるインターホン親機Iの表示部34に火災エリアが表示された全体マップm_1を示す図である。
【0039】
図6に示すように、火災が発生した302号室(住戸r_3_2)を含む第2グループの住戸r_3_1、住戸r_3_2、住戸r_4_1、住戸r_4_2が火災エリアとして全体マップm_1に表示される。
【0040】
全体マップm_1への火災エリアの表示は、例えば、第2グループの301号室(住戸r_3_1)、302号室(住戸r_3_2)、401号室(住戸r_4_1)及び402号室(住戸r_4_2)の色を他の住戸の色と異なるように表示するものとしたが、他と区別できる方法であれば火災エリアの表示方法は問わない。また、火災エリア以外の住戸のインターホン親機Iにおいては、火災エリアが上下左右など近隣である場合、表示部34での火災エリアの表示を点滅表示としたり、音声警報による報知をしたりすることで、近隣住戸での火災発生を強調して表示ないしは報知するものとしてもよい。
【0041】
また、火災受信機1は、火災が発生した住戸に設けられたインターホン親機Iにおいては、他の住戸とは異なる表示とすることができる。例えば、全体マップに火災エリアとして表示する方法ではなく、当該住戸のみを他の住戸と異なるように表示したり、表示部34の全体で火災発生を表示したりする等、火災発生住戸に対しては、迅速かつ明確に火災であることを報知できるような表示とすることが望ましい。
【0042】
実施の形態1においては、火災受信機1が全体マップm_1を全ての住戸r_1_1~r_4_4のインターホン親機I_1_1~I_4_4に送信する場合について説明したが、各自動火災報知器aの発報タイミングと連動して、火災発報があった住戸rを含むグループに属する住戸rに設けられたインターホン親機Iや、火災エリアの上下左右など、隣接する住戸rに設けられたインターホン親機Iにのみ送信しても良い。これにより、火災発生を知らせる範囲を最小限に抑えることができるため、非火災であった場合に、無用に多くの住戸の住民を巻き込む事態となること防ぎ、火災発生住戸の住民と他住民とのトラブル等を防止することができる。
【0043】
実施の形態1に係る火災報知システム100によれば、集合住宅101において火災が発生した場合に、火災受信機1は、火災が発生した住戸rのみではなく、火災が発生した住戸rを含む火災エリアとして認識できるように表示された全体マップm_1を作成して、インターホン親機I_1_1~I_4_4に出力する。従って、実施の形態1に係る火災報知システム100によれば、火災発生住戸r以外の住戸rのインターホン親機Iには、火災発生場所が全体マップm_1上で火災エリアとして表示されるため、火災となった住戸を特定されずに、およその火災発生位置を把握することができるので、避難時は火災エリアを避けて避難することが可能となり、火災発生住戸rの住民に対しては個人情報を守りつつ、他住戸rの住民に対しては、迅速かつ簡便に火災発生場所を確認することができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態1においては、火災受信機1が全体マップm_1をインターホン親機I_1_1~I_4_4に出力する場合について説明した。実施の形態2においては、火災受信機1が住戸情報を出力し、インターホン親機Iが全体マップm_1を作成して表示する。
【0045】
実施の形態2においては、火災受信機1のデータベース22が全体マップmと火災エリアとを記憶せず、インターホン親機Iのデータベース42が全体マップmと火災エリアとを記憶する。具体的には、インターホン親機Iのデータベース42は、集合住宅101における複数の住戸r_1_1~r_4_4の全体マップmと、複数の住戸r_1_1~r_4_4が火災エリアとしてグループ分けされた火災エリア情報とを記憶する。
【0046】
図7は、本発明の実施の形態2に係る火災報知システム100における火災報知システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0047】
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、302号室(住戸r_3_2)において火災が発生し、自動火災報知器a_3_2により火災が検知された場合について説明する。
【0048】
自動火災報知器a_3_2は、火災を検知した場合、火災が発生した火災発生場所の住戸を示す住戸情報(住戸r_3_2)を含む火災報知信号を出力する(ステップS11)。
【0049】
火災受信機1は、火災報知信号を受信した場合(ステップS12のYES)、火災報知信号に含まれる住戸情報を出力する(ステップS13)。火災受信機1は火災報知信号を受信しない場合(ステップS12のNO)、火災報知信号の受信を待機する。
【0050】
次に、火災受信機1は、火災報知信号に含まれる住戸情報を出力する(ステップS13)。
【0051】
各住戸rのインターホン親機Iは、火災受信機1から出力された住戸情報により示される火災が発生した住戸を含む火災エリアを、記憶部であるデータベース42に記憶された火災エリア情報に基づいて決定する(ステップS14)。
【0052】
次に、各住戸rのインターホン親機Iは、決定された火災エリアの住戸が他の住戸と異なるように表示する全体マップm_2を表示する(ステップS15)。
【0053】
実施の形態2に係る火災報知システム100によれば、集合住宅101において火災が発生した場合に、インターホン親機I_1_1~I_4_4は、火災が発生した住戸rのみではなく、火災が発生した住戸rを含む火災エリアとして認識できるように表示された全体マップm_1を作成して、作成された全体マップm_1を表示する。従って、実施の形態2に係る火災報知システム100によれば、実施の形態1と同様に、火災発生住戸r以外の住戸rのインターホン親機Iには、火災発生場所が全体マップm_1上で火災エリアとして表示されるため、火災となった住戸が特定されずに、およその火災発生位置を把握することができるので、避難時は火災エリアを避けて避難することが可能となり、火災発生住戸rの住民に対しては個人情報も守りつつ、他住戸rの住民に対しては、迅速かつ簡便に火災発生場所を確認することができる。
【0054】
実施の形態は、例として提示したものであり、請求の範囲を限定することは意図していない。実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施の形態及びその変形は、実施の形態の範囲及び要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 火災受信機、10_1~10_4 発信機、11 バス、12 CPU、13 メモリ、14 入力部、15 通信部、16 記憶装置、21 火災エリア表示プログラム、22 データベース、31 バス、32 CPU、33 メモリ、34 表示部、35 音声出力部、36 通信部、37 記憶装置、41 親機インターホン側火災エリア表示プログラム、42 データベース、100 火災報知システム、101 集合住宅、a_1_1~a_4_4 自動火災報知器、I、I_1_1~I_4_4 インターホン親機、r、r_1_1~r_4_4 住戸、TE_1~TE_4 終端抵抗、m、m_1、m_2 全体マップ。