(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176670
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
A47J 41/00 20060101AFI20221122BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20221122BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20221122BHJP
B65D 77/04 20060101ALN20221122BHJP
B65D 47/06 20060101ALN20221122BHJP
【FI】
A47J41/00 304B
A47J41/02 104B
A47G19/22 D
B65D77/04 A
B65D47/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083213
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】服部 修治
(72)【発明者】
【氏名】辻 颯人
(72)【発明者】
【氏名】黒田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】森本 慎也
【テーマコード(参考)】
3B001
3E067
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB01
3B001CC12
3B001DB06
3B001DC01
3E067AA03
3E067AB26
3E067BA01B
3E067BA01C
3E067BB11B
3E067BB11C
3E067CA18
3E067GA11
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
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3E084CC03
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3E084KB01
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3E084LC01
3E084LD01
4B002AA02
4B002BA16
4B002BA25
4B002CA15
4B002CA24
4B002CA32
(57)【要約】
【課題】開閉部材を閉じたときに栓パッキンにより飲み口を封止でき、かつ、設計も容易で、製品の小型化を実現できる飲料容器を提供する。
【解決手段】この飲料容器1は、有底筒状の容器本体と、容器本体の上部の開口を覆う蓋体と、を備える。蓋体は、蓋部材と、開閉部材23と、栓パッキン26とを有する。蓋部材は、上下方向に貫通する飲み口28を有する。開閉部材23は、飲み口28を覆う閉鎖状態と、飲み口28を開放する開放状態との間で、回動する。栓パッキン26は、固定部と、環状のリップ部32とを有する。固定部は、開閉部材23に固定される。リップ部32は、開閉部材23が閉鎖状態のときに、飲み口28の縁部に接触する。これにより、飲み口28が封止される。また、リップ部で封止する構造を採ることにより、栓パッキンの可撓性に関する難しい設計が不要となり、製品を高さ方向に小型化することも容易となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に飲料を貯留する飲料容器であって、
有底筒状の容器本体と、
前記容器本体の上部の開口を覆う蓋体と、
を備え、
前記蓋体は、
上下方向に貫通する飲み口をもつ蓋部材と、
前記飲み口を覆う閉鎖状態と前記飲み口を開放する開放状態との間で回動する開閉部材と、
前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記飲み口を封止する栓パッキンと、
を有し、
前記栓パッキンは、
前記開閉部材に固定される固定部と、
前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記飲み口の縁部に接触する環状のリップ部と、
を有する、飲料容器。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器であって、
前記栓パッキンは、
前記固定部から突出するリブ
をさらに有し、
前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記リブは、前記固定部の下面から前記飲み口の内側へ向けて突出し、かつ、前記飲み口の縁部に接触しない、飲料容器。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料容器であって、
前記リブは、
互いに間隔をあけて配列された複数の凸頂部
を有する、飲料容器。
【請求項4】
請求項3に記載の飲料容器であって、
前記飲み口は、上面視において長径と短径とを有する長孔であり、
前記リブは、前記長径方向に並ぶ2つの前記凸頂部を有する、飲料容器。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の飲料容器であって、
前記リブは、
前記複数の凸頂部をなだらかに繋ぐ凹状部
をさらに有する、飲料容器。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記リブは、飲み口に対して前方へ偏心した位置に配置される、飲料容器。
【請求項7】
請求項2から請求項6までのいずれか1項に記載の飲料容器であって、
前記リブの表面は、凹凸の無い滑らかな面である、飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に飲料を貯留する飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料を内部に貯留する蓋付きの飲料容器が知られている。飲料容器は、有底筒状の容器本体と、容器本体の上部の開口を覆う蓋体とを有する。蓋体は、貫通孔である飲み口と、飲み口を覆う開閉部材とを有する。飲料容器のユーザは、開閉部材を開き、飲み口を介して飲料容器内の飲料を飲む。
【0003】
従来の飲料容器については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の飲料容器では、開閉部材の下面に、栓パッキンが設けられている。開閉部材が閉じられた状態において、栓パッキンは、飲み口を封止する。特許文献1に記載のように、従来の栓パッキンは、飲み口に接触する弾性突起部を有していた。そして、弾性突起部を弾性変形させるために、弾性突起部の内部が中空となっていた。すなわち、従来の構造では、開閉部材と弾性突起部との間に、空間が設けられていた。
【0006】
しかしながら、従来の構造では、栓パッキン自体の可撓性を考慮しながら、栓パッキンの内側に上記空間を設ける必要があった。そのため、栓パッキンの設計が容易ではなく、上記空間の分だけ高さ方向に製品が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、開閉部材を閉じたときに栓パッキンにより飲み口を封止でき、かつ、設計も容易で、製品の小型化を実現できる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の飲料容器は、内部に飲料を貯留する飲料容器であって、有底筒状の容器本体と、前記容器本体の上部の開口を覆う蓋体と、を備え、前記蓋体は、上下方向に貫通する飲み口をもつ蓋部材と、前記飲み口を覆う閉鎖状態と前記飲み口を開放する開放状態との間で回動する開閉部材と、前記飲み口を封止する栓パッキンと、を有し、前記栓パッキンは、前記開閉部材に固定される固定部と、前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記飲み口の縁部に接触する環状のリップ部と、を有する。
【0009】
本発明によれば、環状のリップ部により飲み口を封止できる。また、当該リップ部で封止する設計は、栓パッキンの可撓性に関する難しい設計が不要であるため、設計が容易化される。また、リップ部の高さを低くすることができるため、製品の小型化を実現することができる。
【0010】
また、前記栓パッキンは、前記固定部から突出するリブをさらに有し、前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記リブは、前記固定部の下面から前記飲み口の内側へ向けて突出し、かつ、前記飲み口の縁部に接触しないことが好ましい。これにより、栓パッキンのリップ部に溜まった飲料を、表面張力によりリブへ引き寄せ、リブから飲み口を介して容器本体内へ飲料を落とすことができる。
【0011】
また、前記リブは、互いに間隔をあけて配列された複数の凸頂部を有することが好ましい。この場合、複数の凸頂部により、リブの外周面が、1つの連続した環状面ではなく、間欠的に配列された複数の面となる。これにより、リブの外周面に付着可能な飲料の量を減らし、リブから下方へ飲料を導いて、効率よく落とすことができる。
【0012】
また、前記飲み口は、上面視において長径と短径とを有する長孔であり、前記リブは、前記長径方向に並ぶ2つの前記凸頂部を有することが好ましい。これにより、飲み口の縁部と凸頂部との間に間隙を確保しつつ、2つの凸頂部を効率よく配置できる。また、2つの凸頂部の間に間隙を設けることで、飲み口の間隔が狭い短径方向において、飲み口の縁部とリブとの間に飲料が付着して溜まることを抑制できる。
【0013】
また、前記リブは、前記複数の凸頂部をなだらかに繋ぐ凹状部をさらに有することが好ましい。これにより、複数の凸頂部による外観上の違和感を低減できる。また、複数の凸頂部の強度を高めることができる。また、複数の凸頂部の間に汚れが溜まりにくくなる。
【0014】
また、前記開閉部材が前記閉鎖状態のときに、前記リブは、飲み口に対して前方へ偏心した位置に配置されることが好ましい。このようにすれば、リブの後方において、リブと飲み口の縁との間隔を、より広くとることができる。これにより、リブへ引き寄せられた飲料を、容器本体内へ、より効率よく落とすことができる。
【0015】
また、前記リブの表面は、凹凸の無い滑らかな面であることが好ましい。これにより、リブへ引き寄せられた飲料を、容器本体内へ、より効率よく落とすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、環状のリップ部により飲み口を封止できる。また、当該リップ部で封止する設計は、栓パッキンの可撓性に関する難しい設計が不要であるため、設計が容易化される。また、リップ部の高さを低くすることができるため、製品の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<1.飲料容器の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る飲料容器1の側面図である。
図2は、飲料容器1の縦断面図である。
図3は、飲料容器1の上部付近の部分縦断面図である。この飲料容器1は、お茶やミネラルウォーターなどの飲料(液体)を内部に貯留可能な、蓋付きのタンブラーである。飲料容器1のユーザは、飲料が貯留された飲料容器1をバッグなどに入れて持ち運び、必要に応じて、飲料容器1の後述する開閉部材23を開けて中の飲料を飲むことができる。
図1~
図3に示すように、飲料容器1は、容器本体10と蓋体20とを備える。
【0020】
容器本体10は、飲料を内部に貯留する本体部品である。容器本体10の材料には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。容器本体10は、有底筒状の外形を有する。すなわち、容器本体10は、円板状の底部11と、底部11の縁から上方へ向けて延びる略円筒状の側壁部12と、を有する。底部11および側壁部12は、それぞれ、二重構造となっており、内面と外面との間に真空層を有する。これにより、容器本体10の内部に貯留された飲料を保温または保冷することができる。
【0021】
側壁部12の外周面は、円錐台を倒立させた形状を有する。すなわち、側壁部12の外周面の径は、上方へ向かうにつれて徐々に大きくなる。容器本体10の上端部の外径は、容器本体10の下端部の外径よりも大きい。このように、側壁部12の外周面を、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状とすることにより、ユーザが側壁部12の外周面を掴んだときに、ユーザの手から容器本体10が滑り落ちることを抑制できる。
【0022】
側壁部12の内周面は、第1内周面121、傾斜面122、および第2内周面123を有する。第1内周面121は、容器本体10の中心軸Aを中心とする円筒状の面である。第1内周面121の上端部付近には、貯留可能な飲料の上限を示す満水線124が形成されている。傾斜面122は、第1内周面121の上端部から、上方へ向かうにつれて半径方向外側へ広がる面である。傾斜面122の内径は、上方へ向かうにつれて徐々に拡大する。
【0023】
第2内周面123は、中心軸Aを中心とする円筒状の面である。第2内周面123は、傾斜面122の上端部から、上方へ向けて延びる。第2内周面123の内径r2は、第1内周面121の内径r1よりも大きい。第2内周面123には、雌ねじ13が形成されている。雌ねじ13は、螺旋状の溝である。
【0024】
蓋体20は、容器本体10の上部の開口を覆う部品である。蓋体20は、容器本体10の上部に対して、着脱可能である。ユーザは、容器本体10に蓋体20を取り付けた状態で、飲料容器1を持ち運ぶ。また、ユーザは、飲料を補充するときや、飲料容器1を洗浄するときには、容器本体10から蓋体20を取り外す。容器本体10に蓋体20を取り付けた状態において、蓋体20の一部分は、容器本体10の上部の開口に挿入される。
【0025】
図2および
図3に示すように、本実施形態の蓋体20は、下部材21、上部材22、開閉部材23、第1パッキン24、第2パッキン25、および栓パッキン26を有する。下部材21、上部材22、および開閉部材23は、それぞれ、弾性変形しにくい合成樹脂により形成されている。
【0026】
下部材21は、蓋体20の下部を構成する略円筒状の部材である。容器本体10に蓋体20を取り付けた状態において、下部材21は、容器本体10の上部の開口に挿入される。下部材21の外周面には、容器本体10の雌ねじ13と螺合可能な雄ねじ27が形成されている。雄ねじ27は、螺旋状の突起である。蓋体20は、この雄ねじ27を、容器本体10の雌ねじ13に螺合させることにより、容器本体10に取り付けられる。
【0027】
上部材22は、下部材21の上側に位置する略円板状の部材である。上述した下部材21は、複数の爪部211を有する。爪部211は、下部材21の外周部から上方へ向けて延びるとともに、その先端が、半径方向外側へ向けて突出する。上部材22は、爪部211が係合可能な段差部221を有する。複数の爪部211は、段差部221に係合する。これにより、上部材22と下部材21とが固定されて、一体化される。
【0028】
下部材21および上部材22は、本発明における「蓋部材」の一例である。すなわち、本実施形態では、下部材21および上部材22の2部材で、「蓋部材」が構成されている。ただし、「蓋部材」は、単一の部材で構成されていてもよく、あるいは、3つ以上の部材で構成されていてもよい。下部材21および上部材22は、飲み口28を有する。飲み口28は、下部材21および上部材22を上下方向に貫通する貫通孔である。また、飲み口28は、下部材21および上部材22の中央よりも、前方(注出側)へ偏心した位置に設けられている。
【0029】
開閉部材23は、上部材22の飲み口28を開閉するための部材である。開閉部材23は、飲み口28を覆う閉鎖状態と、飲み口28を開放する開放状態との間で、上部材22に設けられたヒンジ222を中心として回動する。また、蓋体20は、操作ボタン29を有する。開閉部材23は、操作ボタン29と係合することによって、閉鎖状態に維持される。また、ユーザが操作ボタン29を押すと、操作ボタン29と開閉部材23の係合が外れて、開閉部材23を、閉鎖状態から開放状態へ回動させることができる。
【0030】
第1パッキン24および第2パッキン25は、容器本体10と蓋体20との間から飲料が漏れ出すことを防止するためのシール部材である。第1パッキン24および第2パッキン25は、中心軸Aを中心とする円環状である。また、第1パッキン24および第2パッキン25は、弾性伸縮可能なエラストマーにより形成される。
【0031】
第1パッキン24は、下部材21の上述した雄ねじ27よりも下側の位置に固定される。容器本体10の雌ねじ13に蓋体20の雄ねじ27を螺合させると、第1パッキン24は、容器本体10の内周面に接触する。より具体的には、第1パッキン24が、第1内周面121と傾斜面122との境界部125に、弾性変形しつつ密着する。これにより、第1内周面121の上端部と第1パッキン24との間の隙間が封止される。
【0032】
第2パッキン25は、蓋体20の上述した雄ねじ27よりも上側の位置に固定される。容器本体10の雌ねじ13に蓋体20の雄ねじ27を螺合させると、第2パッキン25は、容器本体10の内周面に接触する。より具体的には、第2パッキン25が、容器本体10の第2内周面123の雌ねじ13よりも上側の部分に対して、弾性変形しつつ密着する。これにより、第2内周面123と第2パッキン25との間の隙間が封止される。
【0033】
栓パッキン26は、開閉部材23を閉鎖状態としたときに、飲み口28を封止するためのシール部材である。栓パッキン26は、弾性伸縮可能なエラストマーにより形成される。
図4は、栓パッキン26の縦断面図である。
図5は、栓パッキン26の下面図である。
図4および
図5に示すように、栓パッキン26は、固定部31、リップ部32、およびリブ34を有する。
【0034】
固定部31は、開閉部材23の下面(閉鎖状態における下面)に固定される。より具体的には、固定部31は、開閉部材23の下面に、接着剤で固定される。これにより、開閉部材23と栓パッキン26とが、一体化されている。開閉部材23と固定部31の接着面は、凹凸形状となっている。これにより、接着面の面積が増加するため、開閉部材23に対して固定部31を強固に固定できる。
【0035】
リップ部32は、弾性変形可能な薄肉状の部分である。リップ部32は、固定部31の下端部の周縁部から、外側かつ下側へ向けて突出する。開閉部材23を閉鎖状態にすると、栓パッキン26のリップ部32が、飲み口28の縁部に接触する。より具体的には、飲み口28の縁部の上面は、飲み口28へ向かうにつれて徐々に縮径する傾斜面となっている。リップ部32は、この傾斜面に、弾性変形しつつ密着する。これにより、飲み口28が封止される。
【0036】
従来のように、栓パッキンの内部を中空とする場合、栓パッキン自体の可撓性を考慮しながら、栓パッキンの内側に空間を設ける必要があった。また、上記空間を確保する必要があるため、栓パッキンを高さ方向に小型化することが困難であった。これに対し、本実施形態のように、飲み口28を円環状のリップ部32で封止する構造にすれば、栓パッキン26の可撓性に関する複雑な設計が不要となる。したがって、栓パッキン26の設計が容易となる。また、栓パッキン26の内部の空間が不要となり、リップ部32の高さを低くすることができる。このため、栓パッキン26を高さ方向に小型化することが容易となる。
【0037】
また、この飲料容器1では、開閉部材23と栓パッキン26との間に、接着剤が隙間なく充填されている。このため、開閉部材23と栓パッキン26は、異なる材料で作製された別部品であるにもかかわらず、これらの部品の間に、飲料や汚れが溜まることがない。したがって、飲料容器1のユーザは、開閉部材23から栓パッキン26を取り外して洗浄する必要がない。これにより、飲料容器1を洗浄するときのユーザの作業負担を減らすことができる。
【0038】
図5に示すように、栓パッキン26の外形は、平面視において円形である。したがって、リップ部32は、平面視において円環状である。また、
図4に示すように、リップ部32の断面は、外側へ向けて膨らんだ円弧状となっている。このため、リップ部32の内周面は、内側へ向けて開いた円環状のポケット33を形成している。飲料容器1の使用時には、このリップ部32のポケット33に、飲料の一部が溜まる場合がある。その場合、開閉部材23を閉鎖位置から開放位置へ回動させるときに、ポケット33に溜まった飲料が、周囲へ飛散するおそれがある。
【0039】
そこで、本実施形態の栓パッキン26は、リップ部32のポケット33に溜まった飲料を下方へ落とすためのリブ34を有する。リブ34は、固定部31の下面(開閉部材23が閉鎖状態のときの固定部31の下面)から、リップ部32の内側の空間へ向けて突出する。
図5には、開閉部材23が閉鎖状態のときの、栓パッキン26に対する飲み口28の位置が、二点鎖線で示されている。
図5に示すように、開閉部材23が閉鎖状態のときに、リブ34は、固定部31の下面から飲み口28の内側へ向けて突出する。ただし、リブ34は、上部材22および下部材21の飲み口28の縁部には接触しない。
【0040】
図4中に破線で示したように、リップ部32のポケット33に溜まった飲料は、リップ部32の内側に配置されたリブ34に、表面張力によって、引き寄せられる。そして、リブ34へ引き寄せられた飲料は、自重により、リブ34の表面を伝って、下方へ落ちる。このとき、リブ34は、飲み口28の縁部と非接触であるため、飲料は、飲み口28の縁部とリブ34との間に溜まることなく、容器本体10内へ落ちる。その結果、リップ部32のポケット33に飲料が溜まることを抑制できる。
【0041】
なお、
図3および
図5に示すように、リブ34は、飲み口28に対して前方(注出側)へ偏心した位置に配置される。このようにすれば、リブ34の後方(注出側とは反対側)において、リブ34と飲み口28の縁との間隔を、より広くとることができる。これにより、リブ34へ引き寄せられた飲料が、飲み口28の縁とリブ34との間に溜まることを、より抑制できる。したがって、リブ34から容器本体10内へ、より効率よく飲料を落とすことができる。
【0042】
また、栓パッキン26のリブ34の表面には、パッキンに通常施されるシボ加工が、施されていない。このため、リブ34の表面は、凹凸の無い滑らかな面となっている。これにより、リブ34へ引き寄せられた飲料を、容器本体10内へ、より効率よく落とすことができる。具体的には、リブ34の表面粗さを、第1パッキン24および第2パッキン25の表面粗さより、小さくするとよい。また、栓パッキン26の表面のうち、リブ34の表面粗さを、リップ部32の表面粗さより、小さくしてもよい。
【0043】
特に、本実施形態のリブ34は、2つの凸頂部341を有する。2つの凸頂部341は、互いに間隔をあけて配置されている。開閉部材23が閉鎖状態のときに、2つの凸頂部341は、飲み口28の内側へ向けて、それぞれ突出する。このように、リブ34を、複数の凸頂部341を有する形状にすれば、リブ34の外周面が、1つの連続した環状の面ではなく、間欠的に配置された複数の面となる。これにより、リブ34の外周面に付着可能な飲料の量が低減する。したがって、リブ34から下方へ、飲料を効率よく落とすことができる。
【0044】
また、
図5中に二点鎖線で示したように、本実施形態の飲み口28は、上面視において長径と短径とを有する長孔となっている。そして、上述した2つの凸頂部341は、長径方向に並んでいる。このようにすれば、飲み口28の縁部と各凸頂部341との間に間隙を確保しつつ、2つの凸頂部341を効率よく配置できる。
【0045】
また、飲み口28が長孔の場合、間隔が狭い短径方向において、飲み口28の縁部とリブ34との間に飲料が溜まることにより、飲料が下方へ落ちにくい場合がある。しかしながら、本実施形態の形状では、長径方向に並ぶ2つの凸頂部341の間に、間隙が設けられている。このため、飲み口28の間隔が狭い短径方向において、飲み口28の縁部とリブ34との間(例えば、
図5中の符号Bで示した部分)に、飲料が溜まることを抑制できる。
【0046】
また、
図4および
図5に示すように、リブ34は、2つの凸頂部341の間に、凹状部342を有する。凹状部342は、凹状の曲面により、2つの凸頂部341をなだらかに繋ぐ。このようにすれば、2つの凸頂部341が急峻に突出している場合よりも、栓パッキン26の外観上の違和感を低減できる。また、2つの凸頂部341の強度を高めることができる。また、2つの凸頂部341の間に汚れが溜まりにくくなるので、栓パッキン26をより清潔に保ち易くなる。
【0047】
ただし、凹状部342の深さdが浅すぎると、2つの凸頂部341による飲料の落下促進効果が薄れる。このため、各凸頂部341から飲料を効率よく落とすために、凹状部342の深さdは、例えば、2.0mm以上とすることが望ましい。また、凹状部342の深さdは、2.5mm以上とすることが、より望ましい。また、凹状部342の深さdは、3.0mm以上とすることが、さらに望ましい。
【0048】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
上記の実施形態のリブ34は、2つの凸頂部341を有していた。しかしながら、リブは、互いに間隔をあけて配列された3つ以上の凸頂部を有していてもよい。
【0050】
また、上記の実施形態では、2つの凸頂部341が、なだらかな曲面を有する凹状部342により繋がれていた。しかしながら、リブは、このような凹状部を有していなくてもよい。すなわち、リブは、複数の凸頂部の間に、急峻な凹みを有するものであってもよい。
【0051】
また、リブは、複数の凸頂部を有するものでなくてもよい。すなわち、リブは、単一の凸頂部を有するものであってもよい。例えば、栓パッキン26は、
図6のような形状であってもよい。
図6に示すように、リブ34は、固定部から下方へ向けて、略台形状に突出し、その下面が平坦面であってもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、栓パッキン26がリブ34を有していた。しかしながら、栓パッキンは、リブを有していなくてもよい。
【0053】
また、上記の実施形態では、容器本体10の外周面が、上方へ向かうにつれて徐々に拡径するテーパ形状であった。しかしながら、容器本体の外周面は、ストレートな円筒状の面であってもよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、容器本体10の内周面が、第1内周面121、傾斜面122、および第2内周面123を有していた。しかしながら、容器本体の内周面は、傾斜面を有さない、ストレートな円筒状の面であってもよい。
【0055】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、容器本体10の上部の内周面に雌ねじ13を設け、当該雌ねじ13に、蓋体20に設けられた雄ねじ27を螺合させる方式(内ねじ式)であった。しかしながら、飲料容器は、容器本体の上部の外周面に雄ねじを設け、当該雄ねじに、蓋体に設けられた雌ねじを螺合させる方式(外ねじ式)であってもよい。
【0056】
また、上記の実施形態の飲料容器1は、蓋体20を有するタンブラーであった。しかしながら、飲料容器は、ステンレスマグであってもよい。
【0057】
また、飲料容器の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 飲料容器
10 容器本体
11 底部
12 側壁部
13 雌ねじ
20 蓋体
21 下部材
22 上部材
23 開閉部材
24 第1パッキン
25 第2パッキン
26 栓パッキン
27 雄ねじ
28 飲み口
29 操作ボタン
31 固定部
32 リップ部
33 ポケット
34 リブ
121 第1内周面
122 傾斜面
123 第2内周面
124 満水線
125 境界部
211 爪部
221 段差部
222 ヒンジ
341 凸頂部
342 凹状部
A 中心軸