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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176684
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H04N1/00 519
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083231
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ドック・タィン
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB33
5C062AC02
5C062AD02
5C062AD06
(57)【要約】
【課題】装置のコストとサイズの増大を抑えて、原稿を読み取る読取部を覆う蓋部の開放位置を特定位置に維持できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】蓋側ヒンジ部28は係合部30を有し、本体側ヒンジ部25は、係合部30を係止する係止部34と、係止部30からオープン方向に延びて蓋部22をオープン方向に回動させるときに係合部30と摺動するオープン方向傾斜部32と、係止部34からクローズ方向に延びて蓋部22をクローズ方向に移行させるときに係合部30と摺動するクローズ方向傾斜部36とを有し、蓋側ヒンジ部28は付勢部材38により本体側ヒンジ部25に向けて付勢され、係合部30が係止部34に係止して、蓋部22が所定の開放角度で静止支持する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取部と、
前記読取部を覆う第1位置と前記読取部を表出させる第2位置とを回動可能な蓋部と、
前記読取部に配置され前記蓋部と接続可能な本体側ヒンジ部と、
前記蓋部に配置され前記本体側ヒンジ部と回転軸で回動可能に軸支される蓋側ヒンジ部と、
前記蓋側ヒンジ部を前記回転軸の回転軸線の方向において前記本体側ヒンジ部に向けて付勢する付勢部材と
を備え、
前記本体側ヒンジ部または前記蓋側ヒンジ部のいずれか一方は、係合部を有し、他方は、前記係合部と係合する被係合部を有し、
前記被係合部は、
前記係合部を係止する係止部と、
前記係止部から、前記蓋部をオープン方向に回動させるときに前記係合部が回転軸線回りに相対的に移動する前記オープン方向に延びて回転軸線方向において前記係合部に向けて傾斜し、前記係合部と摺動するオープン方向傾斜部と、
前記係止部から、前記蓋部をクローズ方向に回動させるときに前記係合部が前記回転軸線回りに相対的に移動する前記クローズ方向に延びて、前記回転軸線方向において前記係合部に向けて傾斜し、前記係合部と摺動するクローズ方向傾斜部と
を有し、
前記係合部は、前記係止部に係止して、前記蓋部が前記第1位置と前記第2位置との間の所定の開放角度で静止支持する、画像読取装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記回転軸に外挿されたコイルバネである、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記係合部と前記被係合部は、前記回転軸の円周方向に離れて複数設けられている、請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記被係合部は、前記蓋部を前記第1位置と前記第2位置の間の複数の開放角度に対応する複数の前記係止部と複数の前記クローズ方向傾斜部を有し、
前記係合部は、前記係止部に順次係止することにより、前記蓋部を複数の開放角度で選択的に静止支持する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
複数の前記クローズ方向傾斜部は、前記蓋部の開放角度が小さい位置に形成されるものほど、前記回転軸の回転軸線方向に対するクローズ方向傾斜角が小さく形成され、
前記オープン方向傾斜部の前記回転軸の回転軸線方向に対するオープン傾斜角は、いずれの前記クローズ方向傾斜部の前記クローズ方向傾斜角よりも大きい、請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記被係合部は、前記蓋部が所定の開放角度から前記第1位置まで回動するまでに渡って前記係合部が摺動する緩衝傾斜面を有し、
前記クローズ方向傾斜部の端部から前記緩衝傾斜面は前記クローズ方向に延びて前記回転軸の回転軸線方向において前記係合部に向けて傾斜する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取部は、
原稿を載置するプラテンガラスと、
前記プラテンガラス上に載置された原稿を副走査方向に移動しながら読み取る光学系と
を備え、
前記回転軸の回転軸線は前記副走査方向に沿って延び、
前記付勢部材は前記蓋側ヒンジ部を前記副走査方向の下流側に向けて付勢する、請求項6に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、原稿カバーが開閉される際のヒンジ機構について、圧縮コイルバネが回動部を静止部に対してヒンジ軸回りに閉方向に付勢している。ユーザーが原稿カバーを開いて所定の中立位置を越えると、圧縮コイルバネの付勢力が原稿カバーの自重による閉方向の回転モーメントに打ち勝ち、任意の開放角度に保持される画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-51966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧縮コイルバネは経時劣化によって付勢力が弱まるため、原稿カバーを任意の位置に保持するための保持機構が複雑になり、装置のコストとサイズが増大する。
【0005】
本発明は、装置のコストとサイズの増大を抑えるとともに、原稿を読み取る読取部を覆う蓋部の開放位置を特定位置に維持できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像読取装置は、読取部と、蓋部と、本体側ヒンジ部と、蓋側ヒンジ部と、付勢部材とを備える。前記読取部は、原稿を読み取る。前記蓋部は、前記読取部を覆う第1位置と前記読取部を表出させる第2位置とを回動可能である。前記本体側ヒンジ部は、前記読取部に配置され前記蓋部と接続可能である。前記蓋側ヒンジ部は、前記蓋部に配置され前記本体側ヒンジ部と回転軸で回動可能に軸支される。前記付勢部材は、前記蓋側ヒンジ部を前記回転軸の回転軸線の方向において前記本体側ヒンジ部に向けて付勢する。前記本体側ヒンジ部または前記蓋側ヒンジ部のいずれか一方は、係合部を有し、他方は、被係合部を有する。前記被係合部は、前記係合部と係合する。前記被係合部は、係止部と、オープン方向傾斜部と、クローズ方向傾斜部とを有する。前記係止部は、前記係合部を係止する。前記オープン方向傾斜部は、前記係止部から、前記蓋部を前記オープン方向に回動させるときに前記係合部が回転軸線回りに相対的に移動する前記オープン方向に延びて回転軸線方向において前記係合部に向けて傾斜し、前記係合部と摺動する。前記クローズ方向傾斜部は、前記係止部から、前記蓋部を前記クローズ方向に回動させるときに前記係合部が前記回転軸線回りに相対的に移動する前記クローズ方向に延びて前記回転軸線方向において前記係合部に向けて傾斜し、前記係合部と摺動する。前記係合部は、前記係止部に係止して、前記蓋部が前記第1位置と前記第2位置との間の所定の開放角度で静止支持する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の画像読取装置によれば、装置のコストとサイズの増大を抑えるとともに、原稿を読み取る読取部を覆う蓋部の開放位置を特定位置に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置を備える複合機を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像読取装置の構成を示す外観図である。
図3図2に示す範囲Aの拡大図である。
図4】本体側ヒンジ部および蓋側ヒンジ部のIV-IV断面図である。
図5】本体側ヒンジ部および蓋側ヒンジ部の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す。Z軸は鉛直面に平行であり、X軸およびY軸は水平面に平行である。
【0010】
本実施形態において、Y軸方向を「主走査方向」と記述することがある。また、X軸方向を「副走査方向」と記述することがある。Z軸方向を「主走査方向および副走査方向と直交する方向」と記述することがある。
【0011】
図1図5を参照して、複合機1の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置2を備える複合機1を示す図である。図2は、画像読取装置2の構成を示す外観図である。図3は、図2に示す範囲Aの拡大図である。図4は、本体側ヒンジ部25および蓋側ヒンジ部28のIV-IV断面図である。図5は、本体側ヒンジ部25および蓋側ヒンジ部28の詳細を示す図である。
【0012】
図1に示すように、複合機1は、画像読取装置2と、画像形成装置3とを備える。複合機1は、例えば、スキャナー、複写機、プリンター、コピー機、ファクシミリその他の機能を組み合わせたMFP(Multi Function Printer)である。
【0013】
図2に示すように、画像読取装置2は、読取部20と、蓋部22、およびヒンジ部24を有する。画像読取装置2は、原稿G(図1)を読み取り、画像データを生成し、出力する。
【0014】
読取部20は、原稿Gを読み取る。読取部20は、プラテンガラス21と、光学系27とを有する。原稿Gは、プラテンガラス21に載置されて読み取られる。光学系27は、例えば、発光部と、レンズと、反射鏡と、受光部とを有する。発光部の一例は、レーザー発光素子である。発光部は主走査方向に延在し、主走査方向に直交する副走査方向に移動しながらプラテンガラス21に載置された原稿Gを照射する。受光部の一例は、CCD(Charged Coupled Device)である。受光部は、原稿Gに反射した反射光を受光し、画像データを出力する。
【0015】
蓋部22は、読取部20を覆い、プラテンガラス21に対向する第1位置と、プラテンガラス21を表出させる第2位置とに回動可能である。蓋部22は、外光を遮光する機能を有する。蓋部22が第1位置にある場合、蓋部22は読取部20を覆い、プラテンガラス21に対向する。蓋部22が第2位置にある場合、蓋部22はプラテンガラス21を表出させ、プラテンガラス21上への原稿Gの載置と引き取りを可能にする。プラテンガラス21の副走査方向の上流側端部には原稿ガイド23が設けられている。
【0016】
原稿ガイド23は、プラテンガラス21の上面よりも突出して1mm程度の段差部を形成し、段差部の位置が読取部20の副走査方向の基準位置になっている。ユーザーは蓋部22を開放して、原稿Gの端部をプラテンガラス21上で原稿ガイド23の段差部に当接させることで、基準位置に簡単にセットすることができる。
【0017】
ヒンジ部24は、蓋部22を読取部20に対して回動可能に軸支し、蓋部22を第1位置と第2位置とに回動可能にする。ヒンジ部24の詳細は、図3を参照して後述する。
【0018】
画像形成装置3は、プリンター制御部10と、プリンター駆動部11と、給送装置12と、シート給送部13と、シート搬送部14と、画像形成部15と、定着部16と、シート排出部17と、シート排出トレイ18とを備える。
【0019】
プリンター制御部10は、画像形成装置3の各部の動作を制御する。プリンター制御部10は、画像読取装置2の各部の動作を制御する制御部として機能してもよい。プリンター制御部10の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
【0020】
プリンター駆動部11は、画像形成装置3の各部を駆動させる。プリンター駆動部11は、画像読取装置2の各部を駆動させてもよい。プリンター駆動部11の具体例は、電気モーター、電磁ソレノイド、油圧シリンダー、空気圧シリンダーである。
【0021】
給送装置12は、シートSを給送する。給送装置12は、シートトレイと、昇降装置とを含んでもよい。シートSは、記録媒体の一例である。シート給送部13は、シートトレイに積載されたシートSをピックアップして給送する。シート給送部13の具体例は、ピックアップローラーである。
【0022】
シート搬送部14は、シートトレイから給送されたシートSを搬送する。シート搬送部14は、搬送路を有する。搬送路は、シートトレイを始点として、画像形成部15、定着部16を介して、シート排出部17まで延びる。シート搬送部14は、搬送路に搬送ローラーと、レジストローラーとを含んでもよい。
【0023】
搬送ローラーは、搬送路に複数配置されてもよく、シートSを搬送する。レジストローラーは、シートSを画像形成部15に搬送するタイミングを調節する。シート搬送部14は、シートトレイから、画像形成部15、定着部16を経由して、シート排出部17までシートSを搬送する。
【0024】
画像形成部15は、文書画像データに基づいて、電子写真方式によってシートSに図示しないトナー像を形成する。文書画像データは、例えば、原稿Gの画像を示す。
【0025】
定着部16は、シートSに現像されたトナー像を加熱および加圧して、シートSにトナー像を定着させる。
【0026】
シート排出部17は、複合機1(画像形成装置3)の筐体の外部にシートSを排出する。シート排出部17の具体例は、排出ローラーである。
【0027】
シート排出トレイ18は、シート排出部17により排出されたシートSを積載する。
【0028】
次に、引き続き、図3を参照して、ヒンジ部24の構造を詳細に説明する。図3は、図2に示すヒンジ部24を示す点線の範囲Aを拡大した拡大図である。
【0029】
図3に示すように、画像読取装置2のヒンジ部24は、本体側ヒンジ部25と、蓋側ヒンジ部28とを有する。本体側ヒンジ部25は、読取部20に配置され、蓋部22と連結(接続)可能である。蓋側ヒンジ部28は、蓋部22に配置され、本体側ヒンジ部25と回転軸26で回動可能に軸支される。
【0030】
蓋側ヒンジ部28は、回転軸26の回転軸線と同心の円筒部を有し、円筒部の端部において、円周方向にそれぞれ中心角120度の間隔で配置された3つの係合部30を有する。各係合部30によって、本体側ヒンジ部25と蓋側ヒンジ部28とが係合する。各係合部30は、図3において蓋側ヒンジ部28に配置されているが(図3では1つの係合部30のみが見えている)、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれに配置されていてもよい。
【0031】
係合部30が本体側ヒンジ部25に配置されている場合、本体側ヒンジ部25の係合部30は、蓋側ヒンジ部28と係合する。係合部30が蓋側ヒンジ部28に配置されている場合、蓋側ヒンジ部28の係合部30は、本体側ヒンジ部25と係合する。本実施形態では、係合部30が蓋側ヒンジ部28に配置される実施形態を説明する。
【0032】
本体側ヒンジ部25は、回転軸26と同心の円筒部を有し、円筒部の端部は各中心角が120°である範囲に形成された3つの被係合部31を備える。
【0033】
係合部30と被係合部31は、回転軸26の円周方向に離れて複数設けられてもよい。各被係合部31は各係合部30に対応している。各被係合部31は複数のオープン方向傾斜部32と、係止部34と、クローズ方向傾斜部36とを有する。
【0034】
被係合部31は、蓋部22を第1位置と第2位置の間の複数の開放角度に対応する複数の係止部34と複数のクローズ方向傾斜部36とを有してもよい。
【0035】
オープン方向傾斜部32は、係止部34から、蓋部22をオープン方向に回動させるときに係合部34が回転軸線回りに相対的に移動するオープン方向に延びて、回転軸線方向において係合部34に向けて傾斜し、蓋部22をオープン方向に回動させるときに係合部30と摺動して、蓋部22を図3において右方向に移動させる。オープン方向傾斜部32は、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれに配置されていてもよい。
【0036】
オープン方向傾斜部32が本体側ヒンジ部25に配置されている場合、蓋側ヒンジ部28の係合部30は、オープン方向傾斜部32を摺動する。オープン方向傾斜部32が蓋側ヒンジ部28に配置されている場合、本体側ヒンジ部25の係合部30は、オープン方向傾斜部32を摺動する。本実施形態では、オープン方向傾斜部32が本体側ヒンジ部25に配置される実施形態を説明する。
【0037】
係止部34は、係合部30を係止する。係止部34は、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれに配置されていてもよい。
【0038】
係合部30は、係止部30に順次係止することにより、蓋部22を複数の開放角度で選択的に静止支持してもよい。
【0039】
係止部34が本体側ヒンジ部25に配置されている場合、係止部34は、互いに隣接するオープン方向傾斜部32とクローズ方向傾斜部36とが合流する、蓋側ヒンジ部28から回転軸26の回転軸線方向に最も離れた合流点である。係止部34が蓋側ヒンジ部28に配置されている場合、係止部34は、互いに隣接するオープン方向傾斜部32とクローズ方向傾斜部36とが合流する、本体側ヒンジ部25から回転軸26の回転軸線方向に最も離れた合流点である。
【0040】
係止部34が本体側ヒンジ部25に配置されている場合、係止部34は蓋側ヒンジ部28の係合部30を係止する。係止部34が蓋側ヒンジ部28に配置されている場合、係止部34は本体側ヒンジ部25の係合部30を係止する。本実施形態では、係止部34が本体側ヒンジ部25に配置される実施形態を説明する。
【0041】
クローズ方向傾斜部36は、係止部34からクローズ方向に延びて蓋部22をクローズ方向に回動させるときに係合部30が回転軸線回りに相対的に移動するクローズ方向に延びて、回転軸線方向において係合部30に向けて傾斜し、係合部30と摺動して、蓋部22を図3において右方向に移動させる。クローズ方向傾斜部36は、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれに配置されていてもよい。
【0042】
クローズ方向傾斜部36が本体側ヒンジ部25に配置されている場合、蓋側ヒンジ部28の係合部30がクローズ方向傾斜部36を摺動する。クローズ方向傾斜部36が蓋側ヒンジ部28に配置されている場合、本体側ヒンジ部25の係合部30がクローズ方向傾斜部36を摺動する。本実施形態では、クローズ方向傾斜部36が本体側ヒンジ部25に配置される実施形態を説明する。
【0043】
係合部30は、係止部34に係止して、蓋部22が第1位置と第2位置との間の所定の開放角度で静止支持する。
【0044】
次に、図2図3に加え、図4図5を参照して、ヒンジ部24の内部構造を説明する。
【0045】
図4に示すように、画像読取装置2の本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれか一方は、一方を他方に付勢する付勢部材38を有してもよい。
【0046】
付勢部材38は、蓋側ヒンジ部28を回転軸26の回転軸線の方向において本体側ヒンジ部25に向けて付勢する。
【0047】
図3を参照して説明したように、係合部30がオープン方向傾斜部32およびクローズ方向傾斜部36に摺動し、または、係止部34に係止するため、本体側ヒンジ部25は、蓋側ヒンジ部28に接離可能なように、付勢部材38を有してもよい。付勢部材38の一例は、回転軸26に外挿されたコイルバネである。
【0048】
すなわち、図4および図5に示すように、蓋側ヒンジ部28は付勢部材38により本体側ヒンジ部25に向けて付勢されている。そのため、図2に示すように、ユーザーが蓋部22を第1位置からオープン方向に開くとき、蓋側ヒンジ部28の係合部30がオープン方向傾斜部32を摺動する際は、蓋部22が付勢部材38の付勢力に抗して左方向に移動し、クローズ方向傾斜部36を摺動する際は付勢部材38の付勢力により右方向に移動し、係止部34に係止する。
【0049】
係合部30が係止部34に係止すると、ユーザーが蓋部22から手を離しても、蓋部22はその角度で静止する。すなわち、蓋部22が自重によりクローズ方向に回動しようとしても、付勢部材38の付勢力により、係合部30がクローズ方向傾斜部36をクローズ方向に摺動して蓋部22が右方向に移動することが規制される。
【0050】
ユーザーが蓋部22をさらにオープン方向に開くと、蓋側ヒンジ部28の係合部30は、係止部34を離れてオープン方向傾斜部32を摺動する。係合部30がオープン方向傾斜部32から次のクローズ方向傾斜部36に至るまで、蓋側ヒンジ部28は、付勢部材38付勢力に抗して本体側ヒンジ部25から離れていく。
【0051】
本実施形態によれば、蓋部22をユーザーが開閉する場合に、蓋側ヒンジ部28の係合部30は、オープン方向傾斜部32、係止部34、およびクローズ方向傾斜部36に好適に接しながら摺動する。
【0052】
次に、図5を参照して、本体側ヒンジ部25および蓋側ヒンジ部28の詳細な構成について説明する。蓋部22は読取部20に対して開放角度が100度まで開放可能である。図5には、本体側ヒンジ部25の1つの被係合部31について、本体側ヒンジ部25の係合部30に対向する端部の形状(軸方向の高さ)を中心角の位相(蓋部22の開放角度と同期する)に対応させて示している。
【0053】
図5に示すように、本体側ヒンジ部25には、複数組のオープン方向傾斜部32、係止部34、およびクローズ方向傾斜部36が、蓋部22のオープン方向に向かって、クローズ方向傾斜部36、係止部34、オープン方向傾斜部32の順に形成される。具体的には、蓋部22の開放角度の30度・60度・100度に対応する位置に係止部34が位置するように形成される。
【0054】
また、クローズ方向傾斜部36の回転軸26の回転軸線に対するクローズ方向傾斜角θ1は、オープン方向傾斜部32の回転軸26の回転軸線に対するオープン方向傾斜角θ2よりも小さい。また、蓋部22の開放角度30度に対応する係止部34に合流するクローズ方向傾斜部36のクローズ方向傾斜角θ1´は、開放角度60度に対応する係止部34に合流するクローズ方向傾斜部36のクローズ方向傾斜角θ1よりもさらに小さい。
【0055】
開放角度30度に対応する係止部34のクローズ方向傾斜部36は、緩衝傾斜部37と連接している。緩衝傾斜部37の回転軸26の回転軸線に対するクローズ方向傾斜角θ5は、クローズ方向傾斜角θ1よりも大きく、オープン方向傾斜角θ2よりも小さい。
【0056】
複数のクローズ方向傾斜部36は、蓋部22の開放角度が小さい位置に形成されるものほど、回転軸26の回転軸線方向に対するクローズ方向傾斜角θ1が小さく形成されてもよい。
【0057】
オープン方向傾斜部32の回転軸26の回転軸線方向に対するオープン傾斜角θ2は、いずれのクローズ方向傾斜部36のクローズ方向傾斜角θ1よりも大きくてもよい。
【0058】
本実施形態によれば、クローズ方向傾斜角θ1が小さいほど、係合部30が係止部34の位置からクローズ方向傾斜部36をクローズ方向に摺動しにくくなる。そのため、自重で蓋部22がクローズ方向に落下する(閉じる)ことを抑制できる。
【0059】
蓋部22を開放角度30度で保持する場合には、開放角度60度で保持する場合には蓋部22の自重によるクローズ方向の回転モーメントが大きくなる。クローズ方向傾斜角θ1よりもクローズ方向傾斜角θ1´を小さくすることにより、付勢部材38の付勢力を低減することが可能である。
【0060】
一方、オープン方向傾斜角θ2を大きくすることにより、係合部30は係止部34の位置からオープン方向傾斜部32をオープン方向に摺動し易くなる。そのため、ユーザーは容易に蓋部22をオープン方向に開くことができる。
【0061】
次に、蓋部22の読取部20に対する開放角度が90度より大きい場合、本体側ヒンジ部25には、オープン方向傾斜部32、係止部34、およびクローズ方向傾斜部36が、蓋部22のオープン方向に向かって、オープン方向傾斜部32、係止部34、クローズ方向傾斜部36の順に形成される。
【0062】
また、蓋部22の読取部20に対する開放角度が最大の100度の場合、蓋部22の自重による回転モーメントはオープン方向にしてクローズ方向には作用しないため、クローズ方向傾斜部36の回転軸26に対するクローズ方向傾斜角θ3は、オープン方向傾斜部32の回転軸26に対するオープン方向傾斜角θ4よりも大きい。
【0063】
本実施形態によれば、係合部30が係止部34の位置からオープン方向傾斜部32を摺動しにくくなる。そのため、自重で蓋部22がオープン方向に落下する(開く)ことを抑制できる。
【0064】
一方、係合部30は係止部34の位置からクローズ方向傾斜部36を摺動し易くなる。そのため、ユーザーは容易に蓋部22をクローズ方向に閉じることができる。また、開放状態の蓋部22に振動や室内の気流などの小さな外力が作用した程度では、係合部30が係止部34の位置からクローズ方向にクローズ方向傾斜部36を摺動することが抑制され、開放位置に安定して保持できる。
【0065】
なお、蓋部22の最大の開放角度を90度よりも大きい角度に設定する場合は、最大の開放角度には係止部34を設けずに、蓋部22の一部が読取部20に当接してそれ以上開放方向に回動するのを規制する構成も可能である。
【0066】
次に、ユーザーが原稿Gをプラテンガラス21の基準位置に載置して蓋部22を閉じた場合に、係合部30は開放角度30度の係止部34からクローズ方向傾斜部36を摺動して緩衝傾斜部37を摺動する。係合部30がクローズ方向傾斜部36と緩衝傾斜部37をクローズ方向に摺動する際には、蓋部22は付勢部材38の付勢力に抗して、読取部20に対して副走査方向の上流側に向かって移動する。
【0067】
したがって、蓋部22を開放角度30度から第1位置まで閉じる際に、付勢部材38の付勢力がダンパーとして作用して、蓋部22が読取部20に当接する際の衝撃が緩和される。また、蓋部22は副走査方向の上流側に向かって移動するため、原稿ガイド23に沿わせてプラテンガラス21上に載置した原稿Gが基準位置からずれるのを防止できる。
【0068】
本発明の画像読取装置によれば、装置のコストとサイズが増大するのを抑制して、原稿Gを読み取る読取部20を覆う蓋部22を特定の開放位置に維持できる。
【0069】
すなわち、係合部30は、経時劣化しにくく、係止部34に係止でき、蓋部22の開放位置を特定位置に維持できる。
【0070】
本実施形態によれば、蓋部22の開き具合に関わらず、蓋部22を所定の開き角度で静止させることができ、蓋部22が自重で閉じたり、開いたりすることを抑制することができる。
【0071】
次に、引き続き、図5を参照して、オープン方向傾斜部32、係止部34、およびクローズ方向傾斜部36の構成について説明する。
【0072】
図5に示すように、本実施形態に係る画像読取装置2において、係止部34は、蓋部22の読取部20に対する開放角度が90度より小さい場合、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれか一方に少なくとも2つ配置されてもよい。
【0073】
さらに、係止部34は、蓋部22の読取部20に対する開放角度が30度の場合および60度の場合、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれか一方に配置され、蓋部22の読取部20に対する開放角度が100度の場合、本体側ヒンジ部25または蓋側ヒンジ部28のいずれか一方に配置されてもよい。
【0074】
すなわち、画像読取装置2において、本体側ヒンジ部25の係止部34は、蓋部22の開放角度が30度の位置に配置されてもよい。クローズ方向傾斜部36は、係止部34からクローズ方向に延びて形成される。オープン方向傾斜部32は、係止部34からオープン方向に延びて形成される。
【0075】
本体側ヒンジ部25の係止部34は、蓋部22の開放角度が60度の位置に配置されてもよい。クローズ方向傾斜部36は、係止部34からクローズ方向に延びて形成される。オープン方向傾斜部32は、係止部34からオープン方向に延びて形成される。蓋部22の開放角度が60度の場合の係止部34から延びるクローズ方向傾斜部36は、蓋部22の開放角度が30度の場合の係止部34から延びるオープン方向傾斜部32に連続的に隣接して形成されてもよい。
【0076】
本体側ヒンジ部25の係止部34は、蓋部22の開放角度が100度の位置に配置されてもよい。クローズ方向傾斜部36は、係止部34からクローズ方向に延びて形成される。オープン方向傾斜部32は、係止部34からオープン方向に延びて形成される。
【0077】
蓋部22の開放角度が100度の場合の係止部34から延びるクローズ方向傾斜部36は、蓋部22の開放角度が60度の場合の係止部34から延びるオープン方向傾斜部32に連続的に隣接して形成されてもよい。
【0078】
本実施形態によれば、ユーザーが通常使用することが比較的多い蓋部22の開放角度において、蓋部22を静止させることができる。
【0079】
本実施形態によれば、ユーザーが通常使用することが比較的多い蓋部22の開放角度30度、60度、および100度において、蓋部22を静止させることができる。
【0080】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、画像読取装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 複合機
2 画像読取装置
20 読取部
22 蓋部
24 ヒンジ部
25 本体側ヒンジ部
26 回転軸
28 蓋側ヒンジ部
30 係合部
32 オープン方向傾斜部
34 係止部
36 クローズ方向傾斜部
38 付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5