(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176685
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】物理量検出装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/696 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G01F1/696 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083232
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高本 智基
(72)【発明者】
【氏名】小田部 晃
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035AA02
2F035EA08
2F035EA09
(57)【要約】
【課題】外部装置からの指令に応じて流量検出センサのヒータを遅延なく停止し、流量検出センサの検出精度の悪化を抑制することを目的とする。
【解決手段】物理量検出装置1は、検出面にヒータが設けられた流量検出センサ3と、湿度センサ4と、流量検出センサ3の信号と湿度センサ4の信号とを受信し、ヒータを制御する集積回路2と、集積回路2及び外部装置と通信するマイコン6と、マイコン6と集積回路2とを双方向に通信可能に接続する信号線MOSI,MISOと、マイコン6と集積回路2とを接続する信号線HSWと、を備える。信号線MOSI,MISOは、集積回路2から出力された湿度センサ4の信号をマイコン6に伝達し、信号線HSWは、マイコン6から出力されたヒータへの給電を停止する制御信号を集積回路2に伝達する。集積回路2は、信号線HSWから伝達された制御信号に応じてヒータへの給電を停止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出気体の検出面にヒータが設けられた流量検出センサと、
前記流量検出センサとは異なる第1センサと、
前記流量検出センサから出力された信号と前記第1センサから出力された信号とを受信し、前記ヒータを制御する集積回路と、
前記集積回路及び外部装置のそれぞれと通信するマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータと前記集積回路とを双方向に通信可能に接続する第1信号線と、
前記マイクロコンピュータと前記集積回路とを接続する第2信号線と、を備え、
前記第1信号線は、前記集積回路から出力された前記第1センサの信号を前記マイクロコンピュータに伝達し、
前記第2信号線は、前記外部装置からの指令に応じて前記マイクロコンピュータから出力された前記ヒータへの給電を停止する制御信号を前記集積回路に伝達し、
前記集積回路は、前記第2信号線から伝達された前記制御信号に応じて前記ヒータへの給電を停止する
ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項2】
前記流量検出センサ及び前記第1センサとは異なる第2センサを更に備え、
前記第2センサは、前記第1信号線に接続され、
前記第1信号線は、前記第2センサから出力された信号を前記マイクロコンピュータに伝達する
ことを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項3】
前記第1センサは湿度センサであり、前記第2センサは圧力センサである
ことを特徴とする請求項2に記載の物理量検出装置。
【請求項4】
前記流量検出センサは、前記集積回路を構成する半導体チップに一体として搭載される
ことを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理量検出装置は、例えば湿度センサや流量検出センサ等のセンサが物理量を検出して出力する信号を、演算処理回路(プロセッサ等の集積回路やマイクロコンピュータ)が演算処理することにより、検出された物理量を表すデータを取得する装置である。物理量検出装置は、取得されたデータを、内燃機関を制御するエンジンコントロールユニット(以下「ECU」とも称する)等の外部装置に送信する。
【0003】
特許文献1は、熱式の流量検出センサと、温湿度センサと、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」とも称する)とを備える物理量検出装置の回路構成を開示している。特許文献1に開示された熱式の流量検出センサでは、被検出気体の検出面に、ヒータ及び抵抗体が設けられる。この流量検出センサは、ヒータにより温められた抵抗体の抵抗値が、被検出気体の流動によって変化することを利用して、被検出気体の流量を検出する。この流量検出センサでは、被検出気体の流動が殆ど無い時にヒータが給電されたままであると、被検出気体に含まれるオイル等の不純物が、検出面に堆積及び固着することがある。これにより、流量検出センサでは、検出精度が悪化する可能性がある。
【0004】
特許文献2は、センサの汚れを低減するための装置及び方法を開示している。特許文献2に開示された方法では、内燃機関の惰性運転時に、流量検出センサへの給電を停止することによって、流量検出センサの検出精度の悪化を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6453790号公報
【特許文献2】特許第4542133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、特許文献2に開示された方法を特許文献1に開示された物理量検出装置に適用することを検討した。検討された物理量検出装置では、流量検出センサ及び湿度センサのそれぞれに接続される集積回路と、集積回路から湿度センサの信号を受信するマイコンと、を備える構成とした。検討した物理量検出装置では、ECU等の外部装置から発行された、流量検出センサのヒータへの給電を停止する指令(以下「給電停止指令」とも称する)を、マイコンにて受信する。そして、マイコンが、ヒータへの給電を停止する制御信号を、マイコンと集積回路との間の信号線を介して集積回路に送信する。そして、集積回路が、この制御信号に応じて、流量検出センサのヒータへの給電を停止する。
【0007】
上記のように検討された物理量検出装置において、マイコンと集積回路との通信周期は、湿度センサの検出周期よりも長く設定されることが好ましい。すなわち、マイコンと集積回路との通信タイミングは、湿度センサの検出タイミングよりも頻繁に到来するわけではない。マイコンと集積回路との通信タイミングによっては、ECU等の外部装置から発行された給電停止指令をマイコンが受信しても、集積回路は、流量検出センサのヒータへの給電を直ちに停止することができないことがある。これにより、流量検出センサの検出精度の悪化を十分に抑制することができない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、外部装置からの指令に応じて流量検出センサのヒータを遅延なく停止し、流量検出センサの検出精度の悪化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の物理量検出装置は、被検出気体の検出面にヒータが設けられた流量検出センサと、前記流量検出センサとは異なる第1センサと、前記流量検出センサから出力された信号と前記第1センサから出力された信号とを受信し、前記ヒータを制御する集積回路と、前記集積回路及び外部装置のそれぞれと通信するマイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータと前記集積回路とを双方向に通信可能に接続する第1信号線と、前記マイクロコンピュータと前記集積回路とを接続する第2信号線と、を備え、前記第1信号線は、前記集積回路から出力された前記第1センサの信号を前記マイクロコンピュータに伝達し、前記第2信号線は、前記外部装置からの指令に応じて前記マイクロコンピュータから出力された前記ヒータへの給電を停止する制御信号を前記集積回路に伝達し、前記集積回路は、前記第2信号線から伝達された前記制御信号に応じて前記ヒータへの給電を停止する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部装置からの指令に応じて流量検出センサのヒータを遅延なく停止し、流量検出センサの検出精度の悪化を抑制することができる。
上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の物理量検出装置の回路構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示す回路構成の変形例1を模式的に示す図である。
【
図3】
図1に示す回路構成の変形例2を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各実施形態において同一の符号を付された構成は、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態の物理量検出装置1の回路構成を模式的に示す図である。
図1では、物理量検出装置1の各構成要素に接続されるグラウンドGND線及び内部電源VCC線の図示が省略されている。
図2及び
図3でも同様に、GND線及びVCC線の図示が省略されている。
【0014】
物理量検出装置1は、例えば湿度センサ4、流量検出センサ3及び圧力センサ5等のセンサが物理量を検出して出力する信号を、集積回路2やマイコン6等の演算処理回路が演算処理することにより、検出された物理量を表すデータを取得する装置である。物理量検出装置1は、取得されたデータをECU等の外部装置に送信する。本実施形態では、この外部装置がECUであるとして説明する。
【0015】
物理量検出装置1は、集積回路2と、流量検出センサ3と、湿度センサ4と、圧力センサ5と、マイコン6と、トランシーバ7とを備える。
【0016】
流量検出センサ3は、被検出気体の検出面にヒータが設けられた熱式の流量検出センサである。被検出気体は、内燃機関の吸入空気等である。流量検出センサ3、湿度センサ4及び圧力センサ5は、それぞれ、被検出気体の流量、湿度(又は温湿度)及び圧力を検出する。
【0017】
集積回路2は、流量検出センサ3から出力された信号(流量検出信号)と、湿度センサ4から出力された信号(湿度検出信号又は温湿度検出信号)とを受信する。集積回路2は、流量検出センサ3のヒータを制御するヒータ制御回路21を内蔵する。マイコン6は、ECU及び集積回路2のそれぞれと通信する。トランシーバ7は、マイコン6とECUとの通信を行うために各種信号変換を行う。トランシーバ7は、ECUから供給されるバッテリ電圧Vbatから内部電源VCCを発生するレギュレータREGを内蔵する。
【0018】
流量検出センサ3と集積回路2とは、信号線BQH,BQLによって接続される。信号線BQHとBQLの差電圧は、流量検出信号を示す。流量検出センサ3は、これらの信号線を介して、流量検出信号を集積回路2に送信する。集積回路2は、流量検出信号をデジタル値に変換し、補正処理を行う。集積回路2は、補正処理が行われた流量検出データを、周波数信号に変換し、端子FoutからECUに送信する。
【0019】
また、流量検出センサ3と集積回路2とは、信号線BHH,BHLとヒータ電源線VHとによって接続される。信号線BHHとBHLとの差電圧は、ヒータ温度検出信号を示す。流量検出センサ3は、これらの信号線を介して、ヒータ温度検出信号を集積回路2に送信する。集積回路2のヒータ制御回路21は、ヒータ温度検出信号を受信する。ヒータ制御回路21は、ヒータ温度検出信号に基づいて、ヒータ電源線VHに供給する電圧レベルを制御する。これにより、ヒータ制御回路21は、流量検出センサ3のヒータへの給電を制御する。
【0020】
湿度センサ4と集積回路2とは、I2C(Inter Integrated Circuit)等のシリアル通信によって通信する。湿度センサ4と集積回路2とは、信号線SDA,SCLによって接続される。信号線SDAは、データ信号を伝達する信号線である。信号線SCLはクロック信号を伝達する信号線である。湿度センサ4は、湿度検出信号又は温湿度検出信号をこれらの信号線に出力することによって、湿度検出信号又は温湿度検出信号を集積回路2に送信する。
【0021】
圧力センサ5と集積回路2とマイコン6とは、マイコン6をマスタ、圧力センサ5及び集積回路2をスレーブとして、SPI(Serial Peripheral Interface)等のシリアル通信によって通信する。圧力センサ5と集積回路2とマイコン6とは、信号線MOSI,MISO,SCKによって接続される。信号線MOSIは、マスタであるマイコン6から、スレーブである圧力センサ5又は集積回路2に対してデータ信号を伝達する信号線である。信号線MISOは、スレーブである圧力センサ5又は集積回路2から、マスタであるマイコン6に対してデータ信号を伝達する信号線である。すなわち、信号線MOSI,MISOは、圧力センサ5又は集積回路2とマイコン6とを双方向に通信可能に接続する。信号線SCKは、クロック信号を伝達する信号線である。信号線MOSI,MISO,SCKは、圧力センサ5と集積回路2とマイコン6とによって共用されている。
【0022】
圧力センサ5は、圧力検出信号を信号線MISOに出力することによって、圧力検出信号をマイコン6に送信する。集積回路2は、湿度センサ4から送信された湿度検出信号又は温湿度検出信号に対して補正処理を行う。集積回路2は、補正処理が行われた湿度検出信号又は温湿度検出信号を信号線MISOに出力することによって、湿度検出信号又は温湿度検出信号をマイコン6に送信する。マイコン6は、圧力センサ5から送信された圧力検出信号と、集積回路2から送信された湿度検出信号又は温湿度検出信号とに対して、補正処理を行う。マイコン6は、補正処理が行われた圧力検出信号、湿度検出信号又は温湿度検出信号を、トランシーバ7に送信する。トランシーバ7は、マイコン6から送信された圧力検出信号、湿度検出信号又は温湿度検出信号を、端子LINから、LIN(Local Interconnect Network)等の車載ネットワークを介して、ECUに送信する。
【0023】
また、圧力センサ5とマイコン6とは、信号線CSPによって接続される。集積回路2とマイコン6とは、信号線CSLによって接続される。信号線CSPは、マイコン6がデータ信号の送信先として圧力センサ5を選択したことを示すセレクト信号を伝達する信号線である。信号線CSLは、マイコン6がデータ信号の送信先として集積回路2を選択したことを示すセレクト信号を伝達する信号線である。マイコン6は、信号線CSP又は信号線CSLにセレクト信号を出力すると共にデータ信号を信号線MOSIに出力することによって、圧力センサ5又は集積回路2の何れか一方にデータ信号を送信する。
【0024】
更に、集積回路2とマイコン6とは、信号線HSWによって接続される。信号線HSWは、流量検出センサ3のヒータへの給電を停止する制御信号をマイコン6から集積回路2に伝達するために用いられる専用の信号線である。
【0025】
ECUは、被検出気体の流動が所定値以下の時(例えば、被検出気体の流動が殆ど無いアイドル時や惰性運転時)、流量検出センサのヒータへの給電を停止する給電停止指令を発行することができる。ECUから発行された給電停止指令は、車載ネットワーク及びトランシーバ7を介して、マイコン6に送信される。マイコン6は、給電停止指令に応じて、流量検出センサ3のヒータへの給電を停止する制御信号を生成し、信号線HSWに出力する。この制御信号は、ヒータ制御回路21が流量検出センサ3のヒータへの給電を停止するよう、ヒータ制御回路21を制御するための信号である。信号線HSWは、マイコン6から出力された当該制御信号を集積回路2に伝達する。ヒータ制御回路21は、信号線HSWによって伝達された当該制御信号に応じて、ヒータ電源線VHに供給する電圧レベルを、例えばグラウンド電圧に制御する。これにより、ヒータ制御回路21は、流量検出センサ3のヒータへの給電を停止する。
【0026】
物理量検出装置1では、湿度センサ4の検出周期(又は湿度センサ4と集積回路2との通信周期)よりも、マイコン6と集積回路2とのシリアル通信周期を長く設定することが好ましい。すなわち、物理量検出装置1では、マイコン6と集積回路2とのシリアル通信のタイミングは、湿度センサ4の検出タイミングほど頻繁に到来するわけではない。これは、湿度センサ4の検出周期毎に更新された検出データを確実に取得するためであり、且つ、マイコン6と集積回路2との通信に係る消費電力を抑制するためである。したがって、流量検出センサ3のヒータへの給電を停止する制御信号を、信号線MOSIを介してマイコン6から集積回路2に送信する場合、マイコン6と集積回路2との通信タイミングによっては、マイコン6が給電停止指令を受信しても、集積回路2は、流量検出センサ3のヒータへの給電を直ちに停止することができない可能性がある。これにより、流量検出センサ3の検出精度の悪化を十分に抑制することができない可能性がある。
【0027】
そこで、本実施形態の物理量検出装置1では、ECUからの給電停止指令に応じてマイコン6から出力されたヒータへの給電を停止する制御信号を集積回路2に伝達するために用いられる専用の信号線HSWを備える。これにより、マイコン6は、マイコン6と集積回路2との通信タイミングに関わらず、給電停止指令を受信すると直ちに、ヒータへの給電を停止する制御信号を信号線HSWに出力して、集積回路2に送信することができる。集積回路2のヒータ制御回路21は、信号線HSWによって伝達された当該制御信号に応じて、流量検出センサ3のヒータへの給電を直ちに停止することができる。よって、本実施形態の物理量検出装置1は、ECUからの給電停止指令に応じて、流量検出センサ3のヒータを遅延なく迅速に停止し、流量検出センサ3の検出精度の悪化を抑制することができる。
【0028】
更に、物理量検出装置1は、圧力センサ5が信号線MOSI,MISOに接続され、信号線MISOが圧力センサ5から出力された圧力検出信号をマイコン6に伝達する。すなわち、マイコン6と集積回路2との通信に用いられる信号線MOSI,MISOが、圧力センサ5と共用されている。この場合、物理量検出装置1では、マイコン6と圧力センサ5との通信が完了するのを待って、マイコン6と集積回路2との通信を開始することがある。したがって、流量検出センサ3のヒータへの給電を停止する制御信号を、信号線MOSIを介してマイコン6から集積回路2に送信する場合、マイコン6と集積回路2との通信タイミングによっては、マイコン6が給電停止指令を受信しても、集積回路2は、流量検出センサ3のヒータへの給電を直ちに停止することができない可能性がある。
【0029】
本実施形態の物理量検出装置1は、信号線HSWを備えることにより、信号線MOSI,MISOが圧力センサ5と共用されていても、マイコン6が、給電停止指令を受信すると直ちに、ヒータへの給電を停止する制御信号を集積回路2に送信することができる。よって、本実施形態の物理量検出装置1は、ECUからの給電停止指令に応じて、流量検出センサ3のヒータを遅延なく且つ確実に停止し、流量検出センサ3の検出精度の悪化を確実に抑制することができる。
【0030】
更に、本実施形態の物理量検出装置1において、信号線MOSI,MISOを介してマイコン6に検出信号を送信するセンサは、湿度センサ4及び圧力センサ5である。但し、湿度センサ4は、I2Cの通信方式で用いられる信号線SDAによって集積回路2に接続される。湿度センサ4は、集積回路2を経由して湿度検出信号等をマイコン6に送信する。一方、圧力センサ5は、SPIの通信方式で用いられる信号線MOSI,MISOに接続される。圧力センサ5は、集積回路2を経由せずに圧力検出信号をマイコン6に送信する。
【0031】
従来の物理量検出装置1は、湿度センサ4及び圧力センサ5の両方が集積回路2を経由せずに検出信号をマイコン6に送信していた。この場合、マイコン6の半導体チップは、湿度センサ4及び圧力センサ5の両方の検出信号を処理する演算回路等を搭載する必要がある。更に、湿度センサ4の通信方式はI2Cが一般的であり、圧力センサ5の通信方式はSPIが一般的であることから、マイコン6の半導体チップは、I2CとSPIの両方の通信方式に対応した通信制御回路を搭載する必要がある。よって、従来の物理量検出装置1は、マイコン6の半導体チップの面積を小型化することが容易ではなく、低コスト化を図ることが容易ではなかった。
【0032】
本実施形態の物理量検出装置1は、湿度センサ4が集積回路2を経由して湿度検出信号等をマイコン6に送信するので、湿度検出信号等を処理する演算回路等やI2Cの通信方式に対応した通信制御回路は、マイコン6よりも安価な集積回路2に搭載することができる。これにより、本実施形態の物理量検出装置1は、マイコン6の半導体チップの面積を小型化することができ、低コスト化を図ることができる。
【0033】
また、物理量検出装置1では、内燃機関周辺の複数箇所の圧力を検出するべく、圧力センサ5が複数設けられることがある。圧力センサ5とマイコン6との通信方式は、I2Cよりも通信速度が速いSPIの通信方式であることが好ましい。
【0034】
本実施形態の物理量検出装置1は、湿度センサ4がI2Cの通信方式で用いられる信号線SDAによって集積回路2に接続され、圧力センサ5がI2Cよりも通信速度が速いSPIの通信方式で用いられる信号線MOSI,MISOに接続される。これにより、本実施形態の物理量検出装置1は、複数の圧力センサ5を備える場合でも圧力検出信号を比較的迅速にマイコン6に送信することを可能にしつつ、マイコン6の半導体チップの面積を小型化することができ、低コスト化を図ることができる。
【0035】
なお、信号線MOSI,MISOは、特許請求の範囲に記載された「第1信号線」の一例である。信号線HSWは、特許請求の範囲に記載された「第2信号線」の一例である。湿度センサ4は、特許請求の範囲に記載された「第1センサ」の一例である。圧力センサ5は、特許請求の範囲に記載された「第2センサ」の一例である。また、マイコンと集積回路とを双方向に通信可能に接続する「第1信号線」は、信号線MOSI,MISOのような信号線対に限定されず、例えばI2Cの通信方式で用いられる信号線SDAのような信号線であってもよい。
【0036】
[変形例]
図2は、
図1に示す回路構成の変形例1を模式的に示す図である。
【0037】
図1に示す物理量検出装置1では、湿度センサ4が信号線SDAによって集積回路2に接続され、圧力センサ5が信号線MOSI,MISOに接続される構成である。しかしながら、物理量検出装置1は、
図2に示すように、湿度センサ4が信号線MOSI,MISOによってマイコン6に接続されてもよい。すなわち、物理量検出装置1は、マイコン6と集積回路2との通信に用いられる信号線MOSI,MISOが、圧力センサ5及び湿度センサ4と共用されてもよい。この場合、湿度センサ4とマイコン6とは、信号線CSHによって接続される。信号線CSHは、マイコン6がデータ信号の送信先として湿度センサ4を選択したことを示すセレクト信号を伝達する信号線である。
【0038】
図3は、
図1に示す回路構成の変形例2を模式的に示す図である。
【0039】
図1に示す物理量検出装置1では、流量検出センサ3が集積回路2と別体であり、流量検出センサ3と集積回路2とは通信する構成である。しかしながら、物理量検出装置1は、
図3に示すように、流量検出センサ3が集積回路2を構成する半導体チップに一体として搭載されてもよい。この場合、物理量検出装置1では、流量検出センサ3及び集積回路2の各半導体チップにおいて信号線BQH,BQL,VH,BHH,BHLと接続される電極パッドが不要になる。これにより、物理量検出装置1では、流量検出センサ3及び集積回路2の全体として半導体チップの面積を小型化することができ、低コスト化を図ることができる。加えて、物理量検出装置1では、当該電極パッドと外部端子との接続、及び、流量検出センサ3と回路基板との接続が不要になるので、信頼性を向上させることができる。
【0040】
[その他]
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、或る実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、或る実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0041】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路にて設計する等によりハードウェアによって実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアによって実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テープ、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(solid state drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0042】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…物理量検出装置、2…集積回路、21…ヒータ制御回路、3…流量検出センサ、4…湿度センサ(第1センサ)、5…圧力センサ(第2センサ)、6…マイクロコンピュータ、MOSI,MISO…信号線(第1信号線)、HSW…信号線(第2信号線)