(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176687
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ボイラ
(51)【国際特許分類】
F23N 1/02 20060101AFI20221122BHJP
F22B 35/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F23N1/02 Z
F22B35/00 Z
F23N1/02 104
F23N1/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083236
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】伊東 航
(72)【発明者】
【氏名】手島 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】三好 俊平
【テーマコード(参考)】
3K003
3L021
【Fターム(参考)】
3K003AB03
3K003AB06
3K003AC07
3K003BA01
3K003BB01
3K003CA03
3K003CA05
3K003DA03
3L021AA05
3L021BA08
3L021DA25
3L021DA26
3L021DA38
3L021FA12
3L021FA13
(57)【要約】
【課題】実際に供給される燃焼用空気または燃料の流量を正しく検出できない状況下においても、誤検出の影響を抑えることができるボイラを提供することである。
【解決手段】ボイラ本体に燃焼用空気を供給し、供給される燃焼用空気の流量を検出し、当該検出結果に応じた第1情報を特定し、検出される燃焼用空気の流量にかかわらない値であって、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る第2情報を特定し、第1情報と第2情報とを含む複数の情報に基づいて、供給する燃料の流量を調整するボイラ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ本体に燃焼用空気、または、燃料を供給する供給手段と、
供給される燃焼用空気の流量、または、燃料の流量を検出し、当該検出結果に応じた第1情報を特定する第1情報特定手段と、
前記検出される燃焼用空気の流量、または、前記検出される燃料の流量にかかわらない値であって、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る第2情報を特定する第2情報特定手段と、
前記第1情報と前記第2情報とを含む複数の情報に基づいて、供給する燃料の流量、または、供給する燃焼用空気の流量を調整する流量調整手段とを備える、ボイラ。
【請求項2】
前記第2情報は、ボイラの燃焼率、前記送風機の周波数率、および、燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量のうちの少なくともいずれかに基づく情報である、請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記第2情報は、前記第1情報特定手段が検出し得る最大範囲に係る値に基づく情報である、請求項1または請求項2に記載のボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ノズルなどの噴出部に燃料を供給する燃料供給ライン上に調整弁を設けて、燃焼用空気の流量と連動させて比例弁(調整弁)を制御して燃料の流量を調整することにより、多位置制御(高燃焼、中燃焼、低燃焼など)や比例制御を行う燃焼装置を備えたボイラがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなボイラにおいては、供給される燃焼用空気の流量に応じて燃料の流量調整を行うものであって、具体的に、空気供給通路内を流れる空気圧力を検出するための空気圧検出導管が当該空気供給通路に接続されており、空気圧検出導管を通じて伝わる空気の圧力に基づいて燃料比例弁の開度が調整されて燃料供給量の調節が行われる。このようなボイラにおいて、例えば、空気圧検出導管などが故障した場合や燃焼段階の移行時、さらには気温の過渡的な変化などの状況において空気流量検出手段が実際に供給される燃焼用空気の流量を誤検出したときには、この誤った燃焼用空気の流量に基づいて燃料供給量の調整が行われてしまうこととなる。その結果、空気比(燃料に対する燃焼用空気の比率)の変動を招いてしまい、何も対処しない場合は、失火、一酸化酸素増大等の燃焼異常を生じさせてしまう虞があった。なお、供給される燃料の流量に応じて燃焼用空気の流量調整を行うものにおいても、実際に供給される燃料の流量を正しく検出できていないときには同様の不具合を生じさせてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、実際に供給される燃焼用空気または燃料の流量を正しく検出できない状況下においても、誤検出の影響を抑えることができるボイラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うボイラは、ボイラ本体に燃焼用空気、または、燃料を供給する供給手段と、供給される燃焼用空気の流量、または、燃料の流量を検出し、当該検出結果に応じた第1情報を特定する第1情報特定手段と、前記検出される燃焼用空気の流量、または、前記検出される燃料の流量にかかわらない値であって、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る第2情報を特定する第2情報特定手段と、前記第1情報と前記第2情報とを含む複数の情報に基づいて、供給する燃料の流量、または、供給する燃焼用空気の流量を調整する流量調整手段とを備える。
【0007】
上記の構成によれば、第1情報のみならず、検出される流量にかかわらない値であってボイラの稼働態様に応じて変動し得る第2情報をも含む情報に基づいて供給する流量を調整することにより、第1情報が実際に供給される流量からずれた場合であっても、その影響を受けない第2情報を含む情報に基づいて供給する流量が調整されるため、誤検出の影響を抑えることができる。
【0008】
好ましくは、前記第2情報は、ボイラの燃焼率、前記送風機の周波数率、および、燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量のうちの少なくともいずれかに基づく情報である。
【0009】
上記の構成によれば、第2情報としてボイラの稼働態様に応じたより適切な情報を用いて供給する流量が調整される。
【0010】
好ましくは、前記第2情報は、前記第1情報特定手段が検出し得る最大範囲に係る値に基づく情報である。
【0011】
上記の構成によれば、第2情報としてボイラの稼働態様に応じたより適切な情報を用いて供給する流量が調整される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ボイラの概略構成を説明するための図である。
【
図2】ボイラの制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<概略構成について>
以下に、
図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るボイラ1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るボイラ1の構成を模式的に示す図である。
【0014】
ボイラ1は、燃料を燃焼させて蒸気を生成するボイラ本体2と、空気供給路30を介してボイラ本体2内に空気を送り込む送風機(送風手段)3と、ボイラ本体2からの排ガスなどを導出する煙道4と、ボイラ本体2に燃料を供給する燃料供給ライン(燃料供給路)5とを備えている。なお、燃料は、ガスである例について説明するが、ガスなどの気体に限らず、油などの液体であってもよい。
【0015】
燃料供給ライン5は、空気供給路30に接続されている。燃料供給ライン5から供給される燃料は、空気供給路30において、送風機3から送風される空気と混合されて、ボイラ本体2内のバーナ20に供給される。
【0016】
送風機3から供給される空気は、燃焼用空気として空気供給路30を介してボイラ本体2内のバーナ20に供給される。燃焼用空気の流量の調整は、空気供給路30にダンパ7を設けて、ダンパ7の位置(開度)を調整するか、これに代えてまたはこれに加えて、インバータを用いて送風機3のファンの回転速度を変えることでなされる。本実施の形態では、燃焼用空気の流量は、ダンパ7の開度制御および送風機3のインバータ制御により調整される。
【0017】
燃料供給ライン5には、流路を開閉するための開閉弁(電磁弁)11,12と、燃料供給量調整弁13とが設けられている。燃料供給量調整弁13は、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整可能である圧力調整弁として機能するとともに遮断機能をも備える。燃料供給量調整弁13は、開閉弁11,12よりも下流側に設けられており、制御装置6によって開度が調整されるモータバルブである。なお、燃料供給量調整弁13は、燃料の流量を調整するものであればモータバルブに限らず、例えば、空気式制御弁であってもよい。
【0018】
制御装置6は、内部にメモリ、タイマ、および演算処理部を含むコンピュータにより実現され、電気的に接続される各センサからの信号に基づいて、燃料供給量調整弁13や送風機3、ダンパ7の制御を行う。
【0019】
本実施の形態における空気供給路30には、ダンパ7より下流にパンチングメタル等の燃焼用空気減圧部材8が設けられている。空気流量検出部9は、燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧を検出する差圧センサを備えており、検出した差圧を特定可能な差圧情報を出力する。空気流量検出部9は、制御装置6と電気的に接続されている。これにより、空気流量検出部9からの差圧情報を制御装置6に入力することができる。なお、空気流量検出部9から出力されるアナログ信号はデジタル信号に変換されて、制御装置6に入力される。
【0020】
制御装置6は、燃焼量が異なる複数種類の燃焼段階として、例えば、低燃焼段階L、中燃焼段階M、高燃焼段階Hのいずれかの燃焼段階に制御する。制御装置6は、設定されている目標蒸気圧と蒸気ヘッダの蒸気圧とに応じて、燃焼段階を制御する。制御装置6は、制御されている燃焼段階に応じた態様(例えば、回転数、周波数)となるよう送風機3を制御し、燃焼段階に応じた量の燃焼用空気を供給する。制御装置6は、空気流量検出部9が検出した差圧情報に基づいて、ボイラ本体2に実際に供給されているであろう燃焼用空気の流量を算出(検出)する。
【0021】
制御装置6は、第1情報としての差圧情報と、第2情報としての特定情報とを含む複数の情報に基づいて、燃料供給量調整弁13の開度調整を行う。例えば、燃焼用空気の流量が増加すれば、燃料供給量調整弁13の開度を大きくして燃料の流量を増加させる一方、燃焼用空気の流量が減少すれば、燃料供給量調整弁13の開度を小さくして燃料の流量を減少させる。なお、特定情報については、後述する。
【0022】
制御装置6は、制御部61と記憶部62とを備える。制御部61は、記憶部62に予め記憶された開度調整情報に基づいて、燃料供給量調整弁13に対して開度を特定するための開度特定信号を送信する。これにより、燃料供給量調整弁13は、開度調整情報に応じた開度に制御されて、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整することができる。なお、開度調整情報とは、例えば、差圧情報等に応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定可能なテーブルであってもよく、また差圧情報等に応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定するための演算式であってもよい。
【0023】
燃料供給量調整弁13の開度を、例えば特定情報を考慮せずに差圧情報に基づき調整する場合においては、空気流量検出部9等の故障により燃焼用空気減圧部材8の前後の差圧を誤検出したときや燃焼段階の移行時などの過度的な状態において空気比が大きく変動したときなどであって、実際に供給される燃焼用空気の流量を正しく検出できていないときには、その誤った値(誤った燃焼用空気の流量)に基づいて燃料供給量の調整が行われてしまうこととなる。その結果、実際に供給される燃焼用空気の流量に応じた燃料を供給できなくなり、空気比の変動を招いてしまい、失火、一酸化酸素増大等の燃焼異常が生じることとなる。そこで、本実施の形態では、差圧情報のみならず、空気流量検出部9により検出される差圧(燃焼用空気の流量)にかかわらない値であって、ボイラ1の稼働態様に応じて変動し得る特定情報をも含む複数の情報に基づいて、燃料供給量調整弁13の開度調整(燃料の流量の調整)を行う。
【0024】
具体的に説明する。記憶部62には、開度調整情報に加えて、空気流量検出部9により検出される差圧(燃焼用空気の流量)にかかわらない値であって、ボイラ1の稼働態様に応じて変動し得る特定情報など、ボイラ1に関する各種の情報が記憶されている。本実施形態における特定情報は、例えば、「現在の燃焼段階の燃焼量/高燃焼段階Hの燃焼量」の値となるボイラ1の燃焼率に応じて変動し得る値を加味(考慮)した値であり、燃焼率が高くなる程、燃料供給量調整弁13の開度として大きな開度を特定する値(燃料供給量が多くなる値)が定められている。なお、特定情報としては、例えば、所定のテーブルを記憶部62に記憶し、当該テーブルを参照してボイラ1の燃焼率に応じて特定可能となるものとするが、これに限らず、所定の演算式を記憶部62に記憶し、当該演算式を用いてボイラ1の燃焼率に応じて特定可能となるものであってもよい。
【0025】
制御部61は、記憶部62に予め記憶された開度調整情報に基づいて、空気流量検出部9からの差圧情報と、テーブルから特定される特定情報のうち燃焼率に応じた特定情報とを含む複数の情報に応じた燃料供給量調整弁13の開度を特定し、当該開度を特定するための開度特定信号を燃料供給量調整弁13に対して送信する。具体的に、制御部61は、記憶部62に予め記憶された開度調整情報に基づいて、空気流量検出部9からの差圧情報と、記憶部62に予め記憶された特定情報のうち燃焼率に応じた特定情報とを用いて算出される値(例えば、差圧情報の値と、特定情報の値との和など)に応じた燃料供給量調整弁13の開度を特定する。これにより、燃料供給量調整弁13は、差圧情報と特定情報とに応じた開度に制御されて、ボイラ本体2に供給する燃料の流量を調整することができる。また、仮に空気流量検出部9が実際に供給される燃焼用空気の流量を正しく検出できていないときであっても、特定情報についてはその影響を受けないため、誤検出の影響により燃料の流量を変化させてしまう量・割合を緩和・低減でき、誤検出による影響を大きく受けてしまうことを防止できる。
【0026】
また、特定情報は、ボイラ1の燃焼率に加えて、空気流量検出部9が備える差圧センサが検出可能な最大圧力値(フルスケール)にかかわる値(例えば、最大圧力値、あるいは最大圧力値の95%~105%の範囲内の値等、以下、最大圧力定数ともいう)に応じた情報(例えば、最大圧力定数と燃焼率の積など)であってもよい。これにより、特定情報としてボイラの稼働態様に応じたより適切な情報を用いて供給する流量が調整される。以上のように、特定情報は、例えば、ボイラの稼働態様に応じて変動し得るボイラ1の燃焼率と、最大圧力定数との双方に基づく情報であることが好ましく、例えば、双方の積や、一方(例えば、ボイラ1の燃焼率)をn乗(例えば、2乗。nは、2以上の整数であればよい。)したものとの積など適宜の演算により算出されるものであってもよい。
【0027】
<ボイラの制御処理について>
図2は、本発明のボイラの制御の一例を説明するためのフローチャートである。制御装置6は、一定期間(例えば1秒)毎に本制御を行い、ボイラ1の運転中は継続して本制御を実行する。
【0028】
ステップS01では、検出された蒸気ヘッダにおける蒸気圧と、目標蒸気圧とに基づき、燃焼段階の移行が必要であるか否かを判定する。ステップS01において燃焼段階の移行が必要であると判定されなかったときには、ステップS04に移行する。一方、ステップS01において燃焼段階の移行が必要であると判定されたときには、ステップS02に移行する。
【0029】
ステップS02では、燃焼段階を移行する。ステップS03では、ステップS02で移行した燃焼段階に応じた態様(燃焼段階に応じた回転数、あるいは燃焼段階に応じた周波数となる態様)で、送風機3を制御する。ステップS04では、空気流量検出部9の検出結果に応じた差圧情報(燃焼用空気の空気流量)を特定する。ステップS05では、差圧情報(燃焼用空気の空気流量)にかかわらない、ボイラ1の燃焼率と空気流量検出部9が備える差圧センサの最大圧力定数とに応じた特定情報を特定する。ステップS06では、開度調整情報に基づいて、ステップS04で特定した差圧情報とステップS05において特定した特定情報とに応じた燃料供給量調整弁13の開度を特定し、当該開度に制御することにより供給する燃料の流量を調整する。
【0030】
以上のように、本実施の形態では、
図2のステップS04~S06で説明したように、空気流量検出部9の検出結果に応じた差圧情報(燃焼用空気の空気流量)のみならず、差圧情報(燃焼用空気の空気流量)にかかわらない値であって、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る特定情報をも含む複数の情報に基づいて燃料供給量調整弁13の開度を制御して、供給する流量を調整することにより、仮に空気流量検出部9が実際に供給される燃焼用空気の流量を正しく検出できていないときであっても、特定情報についてはその影響を受けないため、誤検出の影響により燃料の流量を変化させてしまう量・割合を緩和・低減でき、誤検出による影響を大きく受けてしまうことを防止できる。
【0031】
また、本実施の形態では、ステップS04で示すように、第2情報が、差圧情報(燃焼用空気の空気流量)にかかわらない、ボイラの燃焼率に応じた(考慮した)情報であるため、第2情報としてボイラの稼働態様に応じたより適切な情報を用いて供給する流量が調整される。
【0032】
また、本実施の形態では、ステップS04で示すように、第2情報が、差圧情報(燃焼用空気の空気流量)にかかわらない、空気流量検出部9が備える差圧センサの最大圧力定数に応じた(考慮した)情報であるため、第2情報としてボイラの稼働態様に応じたより適切な情報を用いて供給する流量が調整される。
【0033】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例などについて説明する。
【0034】
上記実施の形態においては、燃焼段階に応じた態様で送風機3を制御し、
図2のステップS04で示したように空気流量検出部9の検出結果に応じた差圧情報に基づき空気流量(燃焼用空気の供給流量)を特定し、ステップS05で示したように、差圧情報(燃焼用空気の空気流量)にかかわらない、ボイラ1の燃焼率と空気流量検出部9が備える差圧センサの最大圧力定数とに応じた特定情報を特定した上で、ステップS06で示したように当該差圧情報と特定情報とに基づき燃料供給量調整弁13の開度(燃料の供給流量)を制御することにより、空気比を調整する例を説明した。しかし、空気比を調整するための処理は、これに限らず、例えば、燃焼段階に応じた開度となるように燃料供給量調整弁13の開度を制御した上で、実際の燃料の供給流量を検出し、当該燃料の供給流量と特定情報とに基づく空気流量(燃焼用空気の供給流量、例えば送風機3)を制御することにより、空気比を調整するようにしてもよい。実際の燃料の供給流量の検出に際しては、例えば、燃料供給ライン5にオリフィス等を複数箇所に設けて差圧を検出し、当該差圧に基づいて燃料の供給流量を検出するものであってもよい。この場合における特定情報は、燃料の供給流量を差圧情報とともに特定する情報ではなく、空気流量(燃焼用空気の供給流量)を差圧情報とともに特定する情報である。具体的に、制御装置6は、第1情報としての差圧情報と、第2情報としての特定情報とを含む複数の情報に基づいて、送風機3のダンパ7の開度あるいは送風機3の回転数の制御を行う。例えば、燃料の流量が増加すれば、送風機3のダンパ7の開度を大きくして空気の流量を増加させる一方、燃料の流量が減少すれば、送風機3のダンパ7の開度を小さくして空気の流量を減少させる。
【0035】
上記の実施の形態においては、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る第2情報である特定情報として、ボイラ1の燃焼率と、最大圧力定数とに基づく情報を例示したが、特定情報は、ボイラの燃焼率、送風機3の周波数率、燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量、および、最大圧力定数のうちの少なくともいずれかに基づく情報であればよい。
【0036】
例えば、特定情報は、ボイラ1の燃焼率に替えてあるいは加えて、送風機3の周波数率に基づく情報であってもよい。送風機3の周波数率については、例えば、「現在の送風機の周波数/高燃焼段階Hの送風機の周波数」の値である。この場合、特定情報は、例えば、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る送風機3の周波数率と、最大圧力定数との双方に基づく情報であることが好ましく、例えば、双方の積や、一方(例えば、送風機3の周波数率)をn乗(例えば、2乗。nは、2以上の整数であればよい。)したものとの積など適宜の演算により算出されるものであってもよい。また、特定情報は、最大圧力定数に替えてあるいは加えて、燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量に基づく情報であってもよい。燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量については、燃焼量毎に予め定められている目標とすべき流量である。この場合、特定情報は、例えば、ボイラの稼働態様に応じて変動し得る値として、例えばボイラ1の燃焼率と、焼量に応じた燃焼用空気の目標流量との双方に基づく情報であることが好ましく、例えば、双方の積や、一方(例えば、燃焼用空気の目標流量)をn乗(例えば、2乗。nは、2以上の整数であればよい。)したものとの積など適宜の演算により算出されるものであってもよい。送風機の周波数率あるいは燃焼量に応じた燃焼用空気の目標流量が大きい程、燃料供給量調整弁13の開度として大きな開度を特定する値(燃料供給量が多くなる値)が定められている。
【0037】
上記の実施の形態においては、空気流量検出部9の検出結果に応じた差圧情報と、差圧情報にかかわらない特定情報とに応じて燃料供給量調整弁13の開度を特定するが、当該特定された開度を運転状態中における使用環境・状況等に応じて制御装置6により随時補正してもよい。制御装置6は、例えば、排ガスの酸素濃度を随時検出し、検出された排ガスの酸素濃度と予め定められている基準酸素濃度とに基づいて、例えば、排ガスの酸素濃度>基準酸素濃度となるときには高空気比となっているため燃料の供給量を増やし、排ガスの酸素濃度<基準酸素濃度となるときには低空気比となっているため燃料の供給量を減らすよう、差圧情報と特定情報とに応じて特定された燃料供給量調整弁13の開度を調整するものであってもよい。これに替えて、あるいは加えて、制御装置6は、例えば、燃料の温度や燃焼用空気の温度等に応じて、差圧情報と特定情報とに応じて特定された燃料供給量調整弁13の開度を調整するものであってもよい。なお、燃焼段階に応じた開度となるように燃料供給量調整弁13の開度を制御した上で、実際の燃料の供給流量を検出し、当該燃料の供給流量と特定情報とに基づく空気流量を制御する場合においては、差圧情報(、燃料の供給流量)と特定情報とに応じて特定された送風機3のダンパ7の開度あるいは送風機3の回転数を、運転状態中における使用環境・状況等に応じて制御装置6により随時補正してもよい。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
1 ボイラ
2 ボイラ本体
3 送風機(送風手段)
4 煙道
5 燃料供給ライン(燃料供給路)
6 制御装置
61 制御部
62 記憶部
7 ダンパ
8 燃焼用空気減圧部材
9 空気流量検出部(流量検出手段)
11 開閉弁
12 開閉弁
13 燃料供給量調整弁
20 バーナ
30 空気供給路