(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176709
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
H05K3/34 501F
H05K3/34 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083265
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】川合 悟
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC16
5E319AC18
5E319CC22
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】接続信頼性の高いプリント配線板の提供。
【解決手段】実施形態のプリント配線板は、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されているパッドと、前記樹脂絶縁層と前記パッド上に形成され、前記パッドを露出する開口部を有する最上の樹脂絶縁層と、前記開口部から露出する前記パッド上に形成されているビア導体と、前記ビア導体と前記ビア導体周りの前記最上の樹脂絶縁層上に形成されている金属ポストと、前記金属ポストと前記金属ポスト周りの前記最上の樹脂絶縁層を覆うめっき膜、とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層上に形成されているパッドと、
前記樹脂絶縁層と前記パッド上に形成され、前記パッドを露出する開口部を有する最上の樹脂絶縁層と、
前記開口部から露出する前記パッド上に形成されているビア導体と、
前記ビア導体と前記ビア導体周りの前記最上の樹脂絶縁層上に形成されている金属ポストと、
前記金属ポストと前記金属ポスト周りの前記最上の樹脂絶縁層を覆うめっき膜、とを有するプリント配線板。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記金属ポストの側面は前記最上の樹脂絶縁層に向かって裾を引いている。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記金属ポストは隣接する第1金属ポストと第2金属ポストを含み、前記第1金属ポスト上の前記めっき膜と前記第2金属ポスト上の前記めっき膜との間の間隔は20μm以上である。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記最上の樹脂絶縁層を覆う前記めっき膜の長さは5μm以下である。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記めっき膜は、スズ膜、または、ニッケル膜と前記ニッケル膜上のスズ膜で形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、導電パッドを備える基板と、基板上に形成され、導電パッドを露出する開口部を有する絶縁層と、開口部内の導電パッド上に形成され、前記絶縁層の側壁に沿って前記絶縁層の上部面より高く形成される剥離防止層と、剥離防止層上に形成される柱形端子と、柱形端子上に形成されるはんだバンプとを有するパッケージ基板を開示する。剥離防止層は銅によって形成されている。柱形端子はスズと銅の合金によって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1のパッケージ基板の製造過程では、はんだバンプの形成後に、剥離防止層及び柱形端子を形成するためのドライフィルムパターンが取り除かれる。その後、絶縁層上に形成されためっきシード層がエッチングによって取り除かれる。
【0005】
しかしながら、めっきシード層と剥離防止層はともに銅によって形成されているため、めっきシード層が除去される際に、絶縁層の上面から突出する剥離防止層の一部がエッチング液によって部分的に除去されると考えられる。その結果、剥離防止層が部分的に細くなり、導体パッドとの接続信頼性が低下すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプリント配線板は、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されているパッドと、前記樹脂絶縁層と前記パッド上に形成され、前記パッドを露出する開口部を有する最上の樹脂絶縁層と、前記開口部から露出する前記パッド上に形成されているビア導体と、前記ビア導体と前記ビア導体周りの前記最上の樹脂絶縁層上に形成されている金属ポストと、前記金属ポストと前記金属ポスト周りの前記最上の樹脂絶縁層を覆うめっき膜、とを有する。
【0007】
本発明の実施形態のプリント配線板によると、金属ポストと金属ポスト周りの最上の樹脂絶縁層がめっき膜で覆われる。そのため、プリント配線板の製造過程において、最上の樹脂絶縁層上に形成されたシード層がエッチングによって取り除かれる場合であっても、金属ポストの一部がエッチング液によって除去されることが抑制される。その結果、金属ポストが部分的に細くなることが抑制される。金属ポスト及びビア導体とパッドとの間の高い接続信頼性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す断面図。
【
図2】導体ビアと金属ポストを模式的に示す拡大断面図。
【
図3A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3J】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
図1は、実施形態のプリント配線板1の一部を示す断面図である。
図1に示されるように、プリント配線板1は、樹脂絶縁層2と、複数個のパッド12、14と、最上の樹脂絶縁層20と、ビア導体32a、34aと、金属ポスト32b、34bと、めっき膜52、54とを有している。
【0010】
樹脂絶縁層2はコア基板を形成することができる。樹脂絶縁層2はビルドアップ層を形成する樹脂絶縁層を形成することができる。樹脂絶縁層2は熱硬化性樹脂を用いて形成される。樹脂絶縁層2はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。樹脂絶縁層2はガラスクロス等の補強材を含んでもよい。
【0011】
パッド12、14は樹脂絶縁層2上に設けられている。
図1は2個のパッド12、14のみを示しているが、樹脂絶縁層2上には2個のパッド12、14以外のパッド(図示しない)も設けられていてもよい。パッド12とパッド14は隣接して設けられている。パッド12、14は電子部品を搭載するためのパッドである。パッド12、14は、銅を主成分とする導電性金属で形成される。
【0012】
最上の樹脂絶縁層20は、樹脂絶縁層2とパッド12、14上に形成されている。最上の樹脂絶縁層20は、パッド12を露出する開口部22と、パッド14を露出する開口部24とを有する。最上の樹脂絶縁層20は、UV光(紫外線)によって硬化するタイプのソルダーレジスト(いわゆるUV硬化型ソルダーレジスト)によって形成される。他の例では、最上の樹脂絶縁層20は熱硬化性樹脂を用いて形成されてもよい。
【0013】
ビア導体32aは、開口部22から露出するパッド12上に形成されている。ビア導体32aは開口部22内を充填している。金属ポスト32bは、ビア導体32aとビア導体32a周りの最上の樹脂絶縁層20上に形成されている。ビア導体32aと金属ポスト32bは銅を主成分とする導電性金属で形成される。ビア導体32aと金属ポスト32bは、シード層40とシード層40上の電解めっき膜42で形成されている。
【0014】
図2は、ビア導体32aと金属ポスト32bを示す拡大断面図である。
図2に示されるように、ビア導体32aと金属ポスト32bは一体に形成されている。ビア導体32aは最上の樹脂絶縁層20の開口部22内に埋まった部分であり、金属ポスト32bは、最上の樹脂絶縁層20の上面より上方に突出している部分である。金属ポスト32bの一部は開口部22の周囲の最上の樹脂絶縁層20上に形成されている。金属ポスト32bの側面は、最上の樹脂絶縁層20に向かって裾を引いている。金属ポスト32bの側面のうち、最上の樹脂絶縁層20の近傍の部分は外側に向かって広がっている。
【0015】
図1に示されるように、ビア導体34aは、開口部24から露出するパッド14上に形成されている。ビア導体34aは開口部24内を充填している。金属ポスト34bは、ビア導体34aとビア導体34a周りの最上の樹脂絶縁層20上に形成されている。ビア導体34aと金属ポスト34bは銅を主成分とする導電性金属で形成される。ビア導体34aと金属ポスト34bは、シード層40とシード層40上の電解めっき膜42で形成されている。
【0016】
図2に示されるように、ビア導体34aと金属ポスト34bは一体に形成されている。ビア導体34aは最上の樹脂絶縁層20の開口部24内に埋まった部分であり、金属ポスト34bは、最上の樹脂絶縁層20の上面より上方に突出している部分である。金属ポスト34bの一部は開口部22の周囲の最上の樹脂絶縁層20上に形成されている。金属ポスト34bの側面は、最上の樹脂絶縁層20に向かって裾を引いている。金属ポスト34bの側面のうち、最上の樹脂絶縁層20の近傍の部分は外側に向かって広がっている。
【0017】
図1、
図2に示されるように、めっき膜52は、金属ポスト32bと金属ポスト32b周りの最上の樹脂絶縁層20を覆っている。めっき膜52は、スズ膜、または、ニッケル膜と前記ニッケル膜上のスズ膜で形成されている。
図2に示されるように、めっき膜52のうち、最上の樹脂絶縁層20を覆う部分の長さLは5μm以下である。
図1に示されるように、めっき膜54は、金属ポスト34bと金属ポスト34b周りの最上の樹脂絶縁層20を覆っている。めっき膜52は、スズ膜、または、ニッケル膜と前記ニッケル膜上のスズ膜で形成されている。
図2に示されるように、めっき膜54のうち、最上の樹脂絶縁層20を覆う部分の長さLは5μm以下である。
【0018】
図1に示されるように、めっき膜52とめっき膜54との間の間隔Dは、20μm以上である。間隔Dは、めっき膜52の最上の樹脂絶縁層20を覆う部分のうちの最もめっき膜54に近い部分と、めっき膜54の最上の樹脂絶縁層20を覆う部分のうちの最も外側の部分との間の距離と言うことができる。間隔Dが20μm以上であるため、プリント配線板1の製造過程においてめっき膜52とめっき膜54の短絡の発生が抑制される。
【0019】
実施形態のプリント配線板1によると、金属ポスト32b、34bと金属ポスト32b、34b周りの最上の樹脂絶縁層20がめっき膜52、54で覆われている。そのため、プリント配線板1の製造過程において、最上の樹脂絶縁層20上に形成されたシード層40がエッチングによって取り除かれる場合であっても、金属ポスト32b、34bの一部がエッチング液によって除去されることが抑制される。その結果、金属ポスト32b、34bが部分的に細くなることが抑制される。金属ポスト32b、34b及びビア導体32a、34aとパッド12、14との間の高い接続信頼性が確保される。金属ポスト32b、34bと最上の樹脂絶縁層20との間の高い密着性も確保される。実施形態の金属ポスト32b、34bが「第1金属ポスト」、「第2金属ポスト」の一例である。
【0020】
[実施形態のプリント配線板1の製造方法]
図3A~
図3Jは実施形態のプリント配線板1の製造方法を示す。
図3A~
図3Jは断面図である。
図3Aは、樹脂絶縁層2と樹脂絶縁層2上のパッド12、14を示している。パッド12、14はSAP(Semi Additive Process)法によって形成される。パッド12、14はサブトラクティブ法によって形成されてもよい。
【0021】
図3Bに示されるように、樹脂絶縁層2とパッド12、14上に、開口部22、24を有する最上の樹脂絶縁層20が形成される。開口部22からパッド12が露出する。開口部24からパッド14が露出する。最上の樹脂絶縁層20は、UV硬化型ソルダーレジストフィルムの貼付、開口部22、24が形成される範囲へのマスク配置、露光処理、現像処理が順に行われることによって形成される。
【0022】
図3Cに示されるように、最上の樹脂絶縁層20と開口部22、24から露出するパッド12、14上に、シード層40が形成される。シード層40は非電解めっきによって形成される。
【0023】
図3Dに示されるように、シード層40上にUV硬化型のドライレジストフィルム70が貼り付けられる。他の例では、ドライレジストフィルム70に代えて、液状のUV硬化型のレジストが塗布されてもよい。この時点では、ドライレジストフィルム70は硬化されていない。ドライフィルム70はシード層40の全面に貼り付けられる。ドライフィルム70は開口部22、24を充填する。
【0024】
図3Eに示されるように、ドライレジストフィルム70上にマスク80が配置される。マスク80は、開口部22、24の上方に対応する範囲をカバーするように配置される。この状態で、ドライレジストフィルム70に対して、上方からUV光が照射される(図中矢印90参照)。ドライレジストフィルム70のうちマスク80でカバーされている第1領域70aにはUV光が照射されない。そのため第1領域70aは硬化しない。一方、ドライレジストフィルム70のうちマスク80でカバーされていない第2領域70bにはUV光が照射される。そのため第2領域70bは硬化する。ただし、第2領域70bは上面から見てシード層40に近くなるほどUV光の透過率が下がる。そのため、第2領域70bのうち上面に近い部分は硬化率が高いが、シード層40に近い部分は硬化率が低くなる。第2領域70bの硬化率は、ドライレジストフィルム70の上面からシード層40に向かって徐々に低くなる。
【0025】
その後、ドライレジストフィルム70に対して現像処理が行われる。現像処理では、現像液(例えば希アルカリ水溶液)によって、ドライレジストフィルム70の未硬化部分が除去される。これにより、UV光が照射されておらず硬化されていない第1領域70aに相当する部分が除去される。さらに、第1領域70aに隣接する第2領域70bの一部も現像液によって除去される。この際、第1領域70aに隣接する第2領域70bは、その硬化度合いに応じて除去される度合いが異なる。第1領域70aに隣接する第2領域70bは、硬化度合いが低いほどより多く除去される。
【0026】
図3Fに示されるように、現像処理が行われることで、シード層40上にはめっきレジスト71が形成される。めっきレジスト71は、硬化された第2領域70bに対応する。めっきレジスト71はレジスト開口部72を有する。レジスト開口部72は除去された第1領域70aが配置されていた部分に形成される。レジスト開口部72は、ビア導体32a、34aと金属ポスト32b、34bとめっき膜52、54(
図1)を形成するための開口部である。めっきレジスト71の側面(レジスト開口部72に対向する面)のうち、シード層40に近い部分は内側にえぐれている。めっきレジスト71の側面のえぐれた部分は、第2領域70b(
図3E)の硬化率が低い部分が現像処理によってより多く除去されたことに起因して形成される。すなわち、レジスト開口部72は最上の樹脂絶縁層20に向かって裾を引いている。レジスト開口部72のうち最上の樹脂絶縁層20の近傍の部分は外側に向かって広がっている。
【0027】
図3Gに示されるように、めっきレジスト71から露出するシード層40上に、電解めっき膜42が形成される。電解めっき膜42は開口部22、24を充填する。電解めっき膜42はレジスト開口部72も充填する。シード層40とシード層40上に形成される電解めっき膜42によって、ビア導体32a、34aと金属ポスト32b、34bが形成される。ビア導体32a、34aは最上の樹脂絶縁層20の開口部22、24内に埋まった部分であり、金属ポスト32b、34bは、最上の樹脂絶縁層20の上面より上方に突出している部分である。
【0028】
図3Hに示されるように、形成された金属ポスト32b、34bの表面を粗化するためのエッチングが行われる。金属ポスト32b、34bの表面が粗化されることにより、金属ポスト32b、34bと後で形成されるめっき膜52、54(
図1)の密着性が向上する。エッチングが行われることで、金属ポスト32b、34bの一部が除去され、金属ポスト32b、34bの幅と高さが小さくなる。この結果、金属ポスト32b、34bとめっきレジスト71との間に隙間が形成される。
【0029】
図3Iに示されるように、めっき膜52、54が形成される。めっき膜52、54は電解めっきによって形成される。めっき膜52、54はスズ膜である。めっき膜52、54は、ニッケル膜と前記ニッケル膜上のスズ膜で形成されてもよい。めっき膜52、54は、金属ポスト32b、34bの上面に形成される。さらにめっき膜52,54は、金属ポスト32b、34bとめっきレジスト71との間の隙間(
図3I)にも形成される。この結果、金属ポスト32b、34bと金属ポスト32b、34b周りの最上の樹脂絶縁層20を覆うめっき膜52、54が形成される。
【0030】
図3Jに示されるように、めっきレジスト71が除去される。その後、めっき膜52、54から露出するシード層40が除去される。実施形態のプリント配線板1(
図1)が得られる。この際、金属ポスト32b、34bと金属ポスト32b、34b周りの最上の樹脂絶縁層20がめっき膜52、54で覆われているため、シード層40がエッチングによって取り除かれる場合であっても、金属ポスト32b、34bがエッチング液によって除去されることが抑制される。その結果、金属ポスト32b、34bが部分的に細くなることが抑制される。金属ポスト32b、34b及びビア導体32a、34aとパッド12、14との間の高い接続信頼性が確保される。金属ポスト32b、34bと最上の樹脂絶縁層20との間の高い密着性も確保される。
【符号の説明】
【0031】
1:プリント配線板
2:樹脂絶縁層
12、14:パッド
20:最上の樹脂絶縁層
22、24:開口部
32a、34a:ビア導体
32b、34b:金属ポスト
40:シード層
42:電解めっき膜
52、54:めっき膜
71:めっきレジスト
72:レジスト開口部