(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176715
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083275
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】篠丸 恭史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 秀基
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA05
3E035AA11
3E035BA08
3E035BC02
3E035BD02
3E035BD04
3E035CA04
3E035CA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異物混入の可能性を無くし、且つ、袋口部側の上部を絞った包装体を提供する。
【解決手段】重なり合うプラスチックフィルム12からなる包装袋に内容物が収容された包装体10において、包装体の周縁近傍の重なり合うプラスチックフィルムを、蛇腹状に折り畳んだ状態で溶着された絞り部16を備え、包装袋が平面略矩形状であり、包装袋の袋口部近傍に絞り部が形成され、包装袋の袋口部がシールにより封緘されていることを特徴とする包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり合うプラスチックフィルムからなる包装袋に内容物が収容された包装体において、
前記包装体の周縁近傍の重なり合う前記プラスチックフィルムを、蛇腹状に折り畳んだ状態で溶着された絞り部を備えることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記包装袋が平面略矩形状であることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記包装袋の袋口部近傍に、前記絞り部が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の包装体。
【請求項4】
前記包装袋の前記袋口部がシールにより封緘されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の包装体。
【請求項5】
前記プラスチックフィルムが多層構成であり、基材層とシーラント層を少なくとも備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の包装体。
【請求項6】
前記基材層が、融点が180℃以下の樹脂を主成分とする延伸フィルムであることを特徴とする請求項5記載の包装体。
【請求項7】
前記基材層及び前記シーラント層が、ポリエチレンからなることを特徴とする請求項5又は6に記載の包装体。
【請求項8】
前記絞り部が、ヒートシールにより溶着されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の包装体。
【請求項9】
前記絞り部が、超音波シールにより溶着されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関し、具体的には食品や非食品を包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装体として、例えば、特許文献1には、
図3に示すように、漬物等の内容物110が熱可塑性合成樹脂のインフレーションチューブ製包装袋112に収容され、袋口部が結束具114により閉じられた包装体100が提案されている。
この包装体は、平袋であっても袋口部側の上部を絞ることで立体的なボリューム感がある包装ができると共に立たせた状態での陳列が可能であり、また上部が扇形となることで見栄えが良く、更に調味液が入った内容物の場合には、少ない調味液で内容物を漬すことができる等の有効な包装形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の包装形態においては、結束具等の部材を使用することから、包装体内に異物が混入するおそれがある。
そこで、本発明は、異物混入の可能性を無くし、且つ、袋口部側の上部を絞った包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明によると以下の包装体が提供される。
[1]重なり合うプラスチックフィルムからなる包装袋に内容物が収容された包装体において、前記包装体の周縁近傍の重なり合う前記プラスチックフィルムを、蛇腹状に折り畳んだ状態で溶着された絞り部を備えることを特徴とする包装体が提供され、
[2]前記包装袋が平面略矩形状であることを特徴とする[1]の包装体が提供され、
[3]前記包装袋の袋口部近傍に、前記絞り部が形成されることを特徴とする[1]又は[2]の包装体が提供され、
[4]前記包装袋の前記袋口部がシールにより封緘されていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか記載の包装体が提供され、
[5]前記プラスチックフィルムが多層構成であり、基材層とシーラント層を少なくとも備えることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか記載の包装体が提供され、
[6]前記基材層が、融点が180℃以下の樹脂を主成分とする延伸フィルムであることを特徴とする[5]の包装体が提供され、
[7]前記基材層及び前記シーラント層が、ポリエチレンからなることを特徴とする[5]又は[6]に記載の包装体が提供され、
[8]前記絞り部が、ヒートシールにより溶着されていることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか記載の包装体が提供され、
[9]前記絞り部が、超音波シールにより溶着されていることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか記載の包装体が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装体は、包装体の周縁近傍の重なり合うプラスチックフィルムを蛇腹状に折り畳んだ状態で溶着された絞り部を備えることで結束具等の別部材を使用する必要がないことから、包装体内に異物が混入するおそれが無い等の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態を表す包装体の上部を示す拡大平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の包装体の製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態を表す包装体の上部を示す拡大平面図である。
図1に示す包装体10は、重なり合うプラスチックフィルム12からなる包装袋に内容物が収容された包装体10において、包装体の周縁13近傍の重なり合うプラスチックフィルム12を、蛇腹状に折り畳んだ状態で溶着された絞り部16を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明における包装体10の包装形態は特に限定されるものではなく、例えば、内容物が収容される前の包装袋が、三方シールや四方シールの平袋や、インフレーションチューブからなる平袋、ピロー包装袋、ガゼット袋等の袋に内容物を収容した後、包装体10の周縁13近傍の重なり合うプラスチックフィルム12に上記絞り部16を形成したものが挙げられる。
このうち、包装袋としては平袋、特に平面が略矩形状の平袋が好ましい。絞り部16を備えることで、平袋であっても周縁13近傍を絞ることで立体的なボリューム感がある包装ができると共に立たせた状態での陳列が可能であり、また絞り部16により周縁部17が扇形となることで見栄えが良く、更に調味液が入った内容物の場合には、少ない調味液で内容物を漬すことができる包装体とすることができる。
【0011】
包装体に収納する内容物についても特に限定されるものではなく、食品、非食品のいずれにおいても良い。このうち特に食品が好ましく、更に液体に漬す必要がある食品、例えば、漬物や海産物、野菜、果物などが特に好ましい。
【0012】
そして、本発明においては、包装体の周縁13近傍に、プラスチックフィルム12が蛇腹状に折り畳まれた状態で溶着された絞り部16を備えることを特徴とする。
絞り部16は、包装体の周縁13近傍における表裏2枚のプラスチックフィルム12を重ね合わせた状態で、山折り谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳み、折り畳んだ状態で蛇腹を圧縮する方向に力をかけ、互いに接触するプラスチックフィルム同士を溶着させて形成されたものである。
【0013】
絞り部16を形成するためのプラスチックフィルム同士を溶着させる手段としては、ヒートシールや、インパスルスシール、超音波シール、高周波シールなどのシール方法で行うことができる。このうち、加熱してフィルム同士を溶融させて接着するヒートシールが好ましい。
【0014】
包装袋10を構成するプラスチックフィルム12は、単層構成のフィルムでも多層構成のフィルムでも良い。単層構成の場合、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。
多層構成であれば、少なくとも基材層とシーラント層を備えるラミネートフィルムであることが好ましい。シーラント層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とすることが好ましい。
基材層としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂などを使用することが好ましい。基材層は延伸フィルムまたは未延伸フィルムのどちらを採用しても良いが、フィルム強度の観点から延伸フィルムであることが好ましい。基材層に使用される延伸フィルムは、一軸延伸でも二軸延伸でも良いが、二軸延伸フィルムを使用することで強度に優れたフィルム構成とすることができ、一軸延伸(特に、長手方向(MD)に延伸)されたフィルムを使用することで延伸方向(長手方向(MD)に延伸した場合は長手方向)への引裂き性に優れるフィルム構成とすることができる。
【0015】
そして、本発明においては、プラスチックフィルム12の表層をなす基材層同士を溶着させて絞り部16を形成するものであることから、溶着手段に適した基材層を選定する必要がある。
絞り部16におけるプラスチックフィルム12同士をヒートシールにより溶融させる場合、表層をなす基材層は、樹脂の融点が低いものであることが好ましい。具体的には、融点が180℃以下、好ましくは150℃以下、更には130℃以下であることが好ましい。
融点が低い樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアミド等が挙げられ、これらの樹脂からなるフィルムあるいはこれらの樹脂の表面がコートされたフィルムが好ましく、特にポリエチレンフィルムが好ましい。
【0016】
多層のプラスチックフィルム12における基材層とシーラント層との積層は、公知のラミネート方法を用いれば良く、例えば、押出ラミネートやドライラミネートなどが挙げられる。また、多層のプラスチックフィルム12においては、基材層とシーラント層の間に、アルミ箔や、蒸着層を備えるフィルム等のバリア層を中間層として配置しても良い。
【0017】
次に、本発明に係る包装体10の一実施形態の製造方法を、
図2を基に説明する。
図2(a)に示すように、重なり合うプラスチックフィルム12にサイドシール24と底シール26の三方をシールした、開口した袋口部14を備える包装袋11を用意する。次に、
図2(b)に示すように、包装袋11内に内容物(図示しない)を収容した後、袋口部14側をヒートシール(袋口部ヒートシール部18)して封緘する。
袋口部ヒートシール部18は、サイドシール24や底シール26よりも幅広に設けられ、絞り部16が作られる位置までシールされていることが好ましい。
【0018】
次に、
図2(c)に示すように、袋口部14側を両サイドから絞る袋口部折り畳み手段20により、袋口部ヒートシール部18プラスチックフィルム12を蛇腹状に折り畳む。袋口部14側を折り畳んだ後、
図2(d)及び
図2(e)に示すように、蛇腹状に折り畳まれたプラスチックフィルム12をシールバー22により蛇腹を圧縮する方向に押圧し、プラスチックフィルム12の表層をなす基材層同士を溶着させる。これにより、絞り部16が形成される。
【0019】
本実施形態のプラスチックフィルム12は、外側から、MD方向に一軸延伸されたポリエチレンフィルム(MDOフィルム)/押出ポリエチレン樹脂層/未延伸ポリエチレンフィルム(シーラントフィルム)の3層構成からなる。表層をなす基材層に、MDOフィルムとして融点が低いポリエチレン樹脂を使用していることから、基材層同士をシールバー22により溶着させることができる。また、本実施形態のプラスチックフィルム12は単一の樹脂からなることから、使用後のリサイクルが可能である。
【0020】
図2に示す本実施形態では、絞り部16が、袋口部14を封緘する袋口部ヒートシール部18と重複している位置に配置されているが、袋口部ヒートシール部18よりも内側の内容物収容空間28に絞り部16が配置されていても良い。また、袋口部ヒートシール部18はヒートシールにより封緘したものであるが、インパスルスシールや超音波シール、高周波シールなどのシール方法で封緘した袋口部シールとしても良い。更に、袋口部14にシールを施さず、絞り部16における融着により包装袋を封緘することであっても良い。
【符号の説明】
【0021】
10 包装体
11 包装袋
12 プラスチックフィルム
13 周縁
14 袋口部
16 絞り部
17 周縁部
18 袋口部ヒートシール部
20 袋口部折り畳み手段
22 シールバー
24 サイドシール
26 底シール
28 内容物収容空間
100 包装体
110 内容物
112 インフレーションチューブ製包装袋
114 結束具