(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176747
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20221122BHJP
G02B 30/56 20200101ALI20221122BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G02B30/56
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083328
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 貴博
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB17
2H199BB18
2H199BB20
2H199BB59
3D344AA08
3D344AA21
3D344AA27
3D344AC25
3D344AD01
3D344AD05
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、表示画面20に表示画像21を表示する表示部2と、表示画面20から出力された光25の光路26を変更して空中の表示領域35に結像させ、表示画像21に基づく空中結像36を生成する光路変更部3と、表示部2を第1の位置11と第2の位置12に駆動し、第1の位置11では表示画像21をユーザに直接呈示し、第2の位置12では表示画像21を光路変更部3に向けて空中結像36をユーザに呈示する駆動部4と、を備えて構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示画像を表示する表示部と、
前記表示画面から出力された光の光路を変更して空中の表示領域に結像させ、前記表示画像に基づく空中結像を生成する光路変更部と、
前記表示部を第1の位置と第2の位置に駆動し、前記第1の位置では前記表示画像をユーザに直接呈示し、前記第2の位置では前記表示画像を前記光路変更部に向けて前記空中結像をユーザに呈示する駆動部と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記表示部を回転可能に支持すると共に、ユーザ側の前面部が開閉可能な筐体を備え、
前記表示部は、下側の端部であって前記表示画面の左右方向に回転軸を有し、
前記駆動部は、前記表示部を前記第1の位置から前記第2の位置に駆動する場合、前記筐体の前記前面部を開けて前記回転軸を軸として前記表示部を前記第2の位置に回転させた後、前記前面部を閉じ、前記第2の位置から前記第1の位置に駆動する場合、前記前面部を開けて前記回転軸を軸として前記表示部を前記第1の位置に回転させた後、前記前面部を閉じる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部を回転可能に支持すると共に、前記光路変更部を開閉可能に支持する筐体を備え、
前記表示部は、下側の端部であって前記表示画面の左右方向に回転軸を有し、
前記駆動部は、前記表示部を前記第1の位置から前記第2の位置に駆動する場合、前記光路変更部を開けて前記回転軸を軸として前記表示部を前記第2の位置に回転させた後、前記光路変更部を閉じ、前記第2の位置から前記第1の位置に駆動する場合、前記光路変更部を開けて前記回転軸を軸として前記表示部を前記第1の位置に回転させた後、前記光路変更部を閉じる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記第1の位置において前記表示画面が反対側となるように前記表示部を180°回転させ、さらに前記第2の位置まで移動させる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光路変更部は、入射した光を入射方向と平行な方向に反射する再帰反射部材と、入射した光の一部を透過させ、その他を反射させるビームスプリッタと、を有し、
前記表示部は、前記第2の位置において前記再帰反射部材及び前記ビームスプリッタに前記表示画面からの光が出力される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示部の周囲の照度を測定する照度測定部と、
前記照度測定部が測定した照度に基づいて前記表示部の前記第1の位置及び前記第2の位置を切り替えるように前記駆動部を制御する制御部と、
を備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
検出対象による前記空中結像に対する操作を検出する操作検出部を有し、
前記制御部は、前記操作検出部の検出結果に基づいて前記空中結像に含まれる操作対象画像に対する操作が検出された場合、前記操作対象画像に割り当てられた機能を実行させる操作情報を出力する、
請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両のインストルメントパネルに配置され、格納可能なディスプレイを備えた表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この表示装置は、非使用時には、ディスプレイがハウジングに格納されてカバーで覆われ、使用時には、カバーが上方にスライドしてディスプレイがハウジングから展開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の表示装置は、ディスプレイにより前方の視界が妨げられたり、乗員に閉塞感を与えたりする可能性があり、またその対策として非使用時にディスプレイを格納すると、必要な情報を見ることができず利便性が低下する問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、利便性を向上させることができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、表示画面に表示画像を表示する表示部と、表示画面から出力された光の光路を変更して空中の表示領域に結像させ、表示画像に基づく空中結像を生成する光路変更部と、表示部を第1の位置と第2の位置に駆動し、第1の位置では表示画像をユーザに直接呈示し、第2の位置では表示画像を光路変更部に向けて空中結像をユーザに呈示する駆動部と、を備える表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、第1の実施の形態に係る表示装置の表示部の表示画面の一例を示す図であり、
図1(b)は、空中結像の一例を示す図であり、
図1(c)は、表示装置のブロック図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、第1の実施の形態に係る表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図2(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3(a)は、変形例に係る表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図3(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)は、第2の実施の形態に係る表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図5(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6(a)は、第3の実施の形態に係る表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図6(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る表示装置は、表示画面に表示画像を表示する表示部と、表示画面から出力された光の光路を変更して空中の表示領域に結像させ、表示画像に基づく空中結像を生成する光路変更部と、表示部を第1の位置と第2の位置に駆動し、第1の位置では表示画像をユーザに直接呈示し、第2の位置では表示画像を光路変更部に向けて空中結像をユーザに呈示する駆動部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
表示装置は、第1の位置では表示画像をユーザに呈示し、第2の位置では空中結像をユーザに呈示するので、この構成を採用しない場合と比べて、表示画像の呈示では空中結像の呈示よりも環境光の影響を受け難く表示画像が見易くなり、空中結像の呈示では表示画像の呈示よりもユーザに閉塞感を与えたり、視界の妨げになったりすることを抑制することができる。従って表示装置は、利便性を向上させることができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(表示装置1の概要)
図1(a)は、表示部の表示画面の一例を示す図であり、
図1(b)は、空中結像の一例を示す図であり、
図1(c)は、表示装置のブロック図の一例である。
図2(a)は、表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図2(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。この
図2(a)及び
図2(b)は、紙面の左方がユーザ側である。なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(c)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。また上下左右は、特に断らない限り車両8の上下左右を基準としている。
【0013】
表示装置1は、一例として、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両8に搭載され、運転席と助手席の間となるダッシュボード80の中央付近に配置されている。なお表示装置1は、ダッシュボード80の中央付近に限定されず、ダッシュボード80の他の位置に配置されても良いし、ダッシュボード80以外に配置されても良く、また車両8以外に配置されても良い。
【0014】
本実施の形態の表示装置1は、
図1(c)に示すように、被制御装置85が要求する画像を表示するように構成されている。この被制御装置85は、車両8に搭載されるナビゲーション装置、空調装置、音楽及び映像再生装置、車両制御装置などであり、また有線又は無線で接続された携帯端末などである。
【0015】
車両制御装置は、例えば、車両8を総合的に制御するものであり、警告に関する画像、自動運転に関する画像や車両8の設定に関する画像などを表示装置1に表示させる。携帯端末は、例えば、モバイルパソコン、スマートフォン、タブレット端末、ファブレット端末、スマートウオッチなどである。なおこれらの画像は、図形、記号及び文字などの画像やこれらを組み合わせた画像である。
【0016】
表示装置1は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、表示画面20に表示画像21を表示する表示部2と、表示画面20から出力された光25の光路26を変更して空中の表示領域35に結像させ、表示画像21に基づく空中結像36を生成する光路変更部3と、表示部2を第1の位置11と第2の位置12に駆動し、第1の位置11では表示画像21をユーザに直接呈示し、第2の位置12では表示画像21を光路変更部3に向けて空中結像36をユーザに呈示する駆動部4と、を備えて構成されている。
【0017】
また表示装置1は、表示部2を回転可能に支持すると共に、ユーザ側の前面部100が開閉可能な筐体10を備えている。この筐体10は、ダッシュボード80に配置されている。また筐体10は、上部がダッシュボード80に露出するように構成されている。表示装置1は、前面部100が開閉することにより表示部2の移動経路を確保することができる。さらに表示装置1は、前面部100により、表示画像21を呈示している際の表示部2を格納する空間を隠すことができる。
【0018】
表示部2は、下側の端部22であって表示画面20の左右方向に回転軸23を有している。駆動部4は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、表示部2を第1の位置11から第2の位置12に駆動する場合、筐体10の前面部100を開けて回転軸23を軸として表示部2を第2の位置12に回転させた後、前面部100を閉じ、第2の位置12から第1の位置11に駆動する場合、前面部100を開けて回転軸23を軸として表示部2を第1の位置11に回転させた後、前面部100を閉じるように構成されている。
【0019】
また表示装置1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、表示部2の周囲の照度を測定する照度測定部5と、照度測定部5が測定した照度に基づいて表示部2の第1の位置11及び第2の位置12を切り替えるように駆動部4を制御する制御部7と、を備えている。
【0020】
さらに表示装置1は、
図1(c)に示すように、検出対象による空中結像36に対する操作を検出する操作検出部6を備えている。制御部7は、操作検出部6の検出結果に基づいて空中結像36に含まれる操作対象画像に対する操作が検出された場合、操作対象画像に割り当てられた機能を実行させる操作情報S
6を出力するように構成されている。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)には、一例として、矩形状の操作対象画像15を示している。この操作対象画像15は、被制御装置85の機能が割り当てられている。ユーザは、検出対象となる操作指9によって所望の機能の操作対象画像15に対してタッチ操作を行うと、被制御装置85に所望の機能を実行させることができる。
【0022】
(表示部2の構成)
表示部2は、例えば、タッチ操作などを受け付けるタッチパネルであるがこれに限定されず、ディスプレイのみで構成されても良い。表示部2は、一例として、表示画像21を表示する有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイと、表示画像21に対するタッチ操作などを検出するタッチセンサと、を備えている。表示部2は、液晶ディスプレイなどであっても良い。このタッチセンサは、一例として、静電容量式のタッチセンサであり、交差する複数の透明電極を用いて構成されている。
【0023】
表示部2は、
図1(c)に示すように、制御部7から出力された表示情報S
1に基づいて表示画像21を表示する。この表示情報S
1は、制御部7が被制御装置85から所得した画像情報S
7に基づいて生成した表示部2に表示させる画像の情報である。
【0024】
また表示部2は、操作指9の接触が検出された場合、接触が検出された表示画面20上の座標の情報を含む検出情報S2を制御部7に出力する。
【0025】
本実施の形態の表示部2は、
図2(a)に示すように、第1の位置11において直立しているがこれに限定されず、空中結像36が表示される表示領域35に応じて傾斜した位置を第1の位置11としても良い。また表示部2は、ユーザが傾斜角を変更できるように支持されていても良い。
【0026】
(光路変更部3の構成)
本実施の形態の光路変更部3は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、入射した光25を入射方向と平行な方向に反射する再帰反射部材30と、入射した光25の一部を透過させ、その他を反射させるビームスプリッタ31と、を備えている。表示部2は、
図2(b)に示す第2の位置12において再帰反射部材30及びビームスプリッタ31に表示画面20からの光25を出力する。
【0027】
再帰反射部材30は、プリズム型又はマイクロビーズ型の再帰反射素子である。本実施の形態の再帰反射部材30は、一例として、マイクロビーズ型の再帰反射素子である。再帰反射部材30は、およそ屈折率2の微小な複数のボールレンズが入射面300の縦横方向に並んで配置されている。
【0028】
再帰反射部材30は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第2の位置12の表示部2とおよそ90°の角度となるように配置されている。なお再帰反射部材30と表示部2の角度は、90°に限定されない。
【0029】
ビームスプリッタ31は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、光25が入射する入射面310と、入射面310の裏側の面であり、光25が出射する出射面311と、を備えている。ビームスプリッタ31は、一例として、銀やアルミニウムの薄膜により形成された反射膜を入射面310に有している。
【0030】
ビームスプリッタ31は、入射面310に入射した光25の一部を反射し、その他を出射面311から表示領域35に出射する。
【0031】
ビームスプリッタ31は、筐体10の上部に配置され、出射面311がダッシュボード80の上面800に露出するように配置されている。第2の位置12の表示部2の表示画面20と表示領域35は、ビームスプリッタ31を対称面として面対称の関係にある。また言い換えるなら表示画面20と表示領域35は、
図2(b)の紙面においてビームスプリッタ31の中心を通る直線を軸として回転対称の関係にある。
【0032】
なおビームスプリッタ31は、筐体10の中が見え難くなるように、光の透過率を抑制したスモーク処理が出射面311になされても良い。
【0033】
・表示画像21と空中結像36について
第2の位置12における表示部2の表示画面20から出射される光25の光路26は、まずビームスプリッタ31によって変更される。次にビームスプリッタ31の入射面310に入射した光25は、一部が再帰反射部材30の方向に反射し、光路26が変更される。
【0034】
次に再帰反射部材30の入射面300に入射した光25は、入射した光25と平行でかつ反対方向に反射し、光路26が変更される。再帰反射部材30を反射した光25は、ビームスプリッタ31の入射面310に入射し、一部が透過して出射面311から出射して収束して表示領域35において空中結像36を生成する。
【0035】
図2(b)に示す表示部2側の実線の矢印は、表示部2に表示された表示画像21である。また
図2(b)に示す表示領域35側の実線の矢印は、表示領域35に表示された空中結像36である。なお矢印の方向は、一例として、表示される画像の向きを示している。
【0036】
第1の位置11において表示画面20に表示された表示画像21と第2の位置12において表示領域35に表示された空中結像36とは、同じ向きの画像なので、表示部2は、第1の位置11及び第2の位置12において表示画像21を反転させる必要がない。
【0037】
なお空中結像36の位置は、主に、表示部2とビームスプリッタ31の位置によって定まる。従って空中結像36は、一例として、
図2(b)の紙面からユーザ側に傾斜させる、つまり反時計回りに傾斜させる場合、表示部2とビームスプリッタ31を反時計回りに移動させれば良い。
【0038】
(駆動部4の構成)
駆動部4は、例えば、表示部2と前面部100を個別に駆動し、モータやギアを含んで構成されている。駆動部4は、制御部7と接続され、制御部7から出力される駆動信号S3に基づいて表示部2及び前面部100を駆動する。
【0039】
駆動部4は、
図2(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第1の位置11から第2の位置12に表示部2を駆動する場合、まず回転軸101を軸として反時計回りに前面部100を回転させた後、回転軸23を軸として反時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第2の位置12に回転させた後、前面部100を時計回りに回転させる。この前面部100の回転軸101は、表示部2の回転軸23と平行である。
【0040】
第1の位置11から第2の位置12までの角度は、一例として、225°であるがこれに限定されない。また前面部100が開いた際に形成される開口部102は、
図2(b)に示すように、表示部2が回転できる程度の大きさを有している。なお表示装置1は、表示部2の第2の位置12を規定するストッパを設けていても良い。
【0041】
駆動部4は、
図2(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第2の位置12から第1の位置11に表示部2を駆動する場合、まず回転軸101を軸として反時計回りに前面部100を回転させた後、回転軸23を軸として時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第1の位置11に回転させた後、前面部100を時計回りに回転させる。
【0042】
なお前面部100は、回転に限定されず、左右方向のスライドや上下方向のスライドを行うように構成されても良い。
【0043】
(照度測定部5の構成)
照度測定部5は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、表示部2及び表示領域35の近くの筐体10の上面10aに配置されている。なお照度測定部5は、表示部2及び表示領域35の近くのダッシュボード80の上面800に配置されても良い。
【0044】
この照度測定部5は、例えば、フォトダイオードを用いて構成された照度センサである。照度測定部5は、測定した照度の情報を含む照度情報S4を制御部7に出力する。
【0045】
なお表示装置1は、照度測定部5を備えない場合、例えば、車両8のヘッドライトがオフの状態では表示部2を第2の位置12に切り替え、オンの状態では第1の位置11に切り替えても良く、また第1の位置11と第2の位置12を切り替えるスイッチを備えた構成とされても良い。
【0046】
また表示装置1は、表示部2の表示画面20、及び空中結像36に表示された画像に対してユーザがタッチ操作やプッシュ操作などを行うことにより、第1の位置11及び第2の位置12を切替可能に、つまり表示画像21の呈示か空中結像36の呈示かを切替可能に構成されても良い。
【0047】
(操作検出部6の構成)
操作検出部6は、一例として、表示領域35から検出対象までの距離を測定する距離センサである。操作検出部6は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、表示部2から離れたビームスプリッタ31の端部312側であって筐体10の上面10aに配置されているがこれに限定されず、ダッシュボード80の上面800でも良い。なお操作検出部6は、距離センサに限定されず、表示領域35を撮像するカメラにより検出対象による空中結像36に対する操作を検出する構成であっても良い。
【0048】
操作検出部6は、表示領域35から検出対象としての操作指9までの距離に基づいて操作指9が接触した表示領域35の位置を測定し、位置の情報を含む操作検出情報S5を制御部7に出力する。また操作検出部6は、表示領域35になされたなぞり操作やタッチ操作などを検出したり、表示領域35の近傍でなされた手を払ったり、特定の図形を描くなどのジェスチャを検出したりし、ジェスチャの情報を含む操作検出情報S5を制御部7に出力する。
【0049】
(制御部7の構成)
制御部7は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部7が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0050】
制御部7は、照度しきい値70を有している。制御部7は、照度測定部5が測定した照度が照度しきい値70以上である場合、ユーザに表示部2の表示画像21を呈示し、照度しきい値70より小さい場合、ユーザに空中結像36を呈示する。
【0051】
表示装置1は、一例として、ユーザが車両8の電源を投入した際には空中結像36を呈示するものとするがこれに限定されず、ユーザが設定可能であっても良いし、車両8の電源が投入された際の照度に基づいて定められても良い。
【0052】
制御部7は、被制御装置85から所得した画像情報S7に基づいて表示部2に表示画像21を表示させる。また制御部7は、操作検出部6から所得した操作検出情報S5と、被制御装置85から所得した画像情報S7と、に基づいて操作がなされた空中結像36の操作対象画像15を判定する。
【0053】
制御部7は、判定の結果、操作対象画像15に対して操作がなされていた場合、操作がなされた操作対象画像15の情報を含む操作情報S6を生成して被制御装置85に出力する。被制御装置85は、取得した操作情報S6に基づいて操作がなされた操作対象画像15に割り当てられた機能を実行する。
【0054】
なお制御部7は、照度が照度しきい値70より小さく、表示する画像が前方の視界確保より優先される内容の画像である場合、空中結像36の呈示ではなく、表示部2による表示画像21を優先して呈示する。また制御部7は、照度が照度しきい値70より小さく、前方の視界確保より優先されない内容の画像である場合、空中結像36を呈示する。
【0055】
(変形例について)
図3(a)は、変形例の表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図3(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【0056】
この変形例では、光路変更部3が再帰反射部材30とビームスプリッタ31ではなく、入射面320に入射する表示部2の光25を出射面321から出射させ、表示領域35において空中結像36として結像させる結像部材32として構成されている。この結像部材32は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、筐体10の上面10aに出射面321が露出するように配置されている。
【0057】
結像部材32は、例えば、多数のマイクロミラー、多数の微小孔、多数の2面反射体などによって構成されている。本実施の形態の結像部材32は、一例として、孔の側面に直角に組み合わさったマイクロミラーを作成し、これを縦横に並べて構成されている。
【0058】
結像部材32は、
図3(b)に示すように、結像部材32を対称面として面対称の位置に空中結像36を結像する。つまり結像部材32から表示部2の表示画面20までの角度αは、
図3(b)に示すように、結像部材32から表示領域35までの角度αと等しい。
【0059】
なお結像部材32は、
図3(b)に示すように、光25が結像部材32から出射した後に交差するので、表示部2に表示された表示画像21を反転させた空中結像36を生成する。従って制御部7は、第1の位置11における表示画像21を第2の位置12では反転させた表示画像21を表示させる。
【0060】
以下では、本実施の形態の表示装置1の動作の一例について
図4のフローチャートに従って説明する。なお表示装置1は、ユーザが車両8の電源を投入した後、空中結像36を呈示しているものとする。
【0061】
(動作)
表示装置1の制御部7は、照度測定部5から照度情報S4を取得すると(Step1)、照度情報S4に基づく照度と照度しきい値70とを比較する。
【0062】
制御部7は、照度が照度しきい値70よりも小さい場合(Step2:Yes)、空中結像36の呈示を継続する(Step3)。
【0063】
ここでステップ2において制御部7は、照度が照度しきい値70以上である場合(Step2:No)、駆動信号S3を駆動部4に出力する。駆動部4は、空中結像36の呈示から表示画像21の呈示に切り替える(Step4)。
【0064】
駆動部4は、取得した駆動信号S3に基づいて回転軸101を軸として反時計回りに前面部100を回転させた後、回転軸23を軸として時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第1の位置11に回転させた後、前面部100を時計回りに回転させる。
【0065】
なお制御部7は、空中結像36から表示画像21に切り替えた後、照度が照度しきい値70より小さくなっても表示画像21の呈示を継続しても良いし、予め定められた時間以内であれば、表示画像21の呈示を継続し、その後照度が照度しきい値70より小さくなれば空中結像36に切り替えても良い。
【0066】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る表示装置1は、利便性を向上させることができる。具体的には、表示装置1は、第1の位置11では表示画像21をユーザに呈示し、第2の位置12では空中結像36をユーザに呈示するので、この構成を採用しない場合と比べて、表示画像21の呈示では空中結像36の呈示よりも表示画像21が見易くなり、空中結像36の呈示では表示画像21の呈示よりもユーザに閉塞感を与えたり、視界の妨げになったりすることを抑制することができる。従って表示装置1は、利便性を向上させることができる。
【0067】
表示装置1は、表示部2がタッチ操作などを受け付けるタッチパネルとして構成され、また空中結像36に対するタッチ操作などを検出する操作検出部6を備えているので、この構成を採用しない場合と比べて、他に操作部を備える必要がなく、コストが抑制されると共に操作性が高い。
【0068】
表示装置1は、1枚のディスプレイで表示画像21の呈示と空中結像36の呈示を切り替えることができるので、複数のディスプレイを備える場合と比べて、コストが抑制される。
【0069】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、表示部2とビームスプリッタ31が回転する点で他の実施の形態と異なっている。
【0070】
図5(a)は、表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図5(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0071】
表示装置1は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、表示部2を回転可能に支持すると共に、光路変更部3を開閉可能に支持する筐体10を備えている。表示部2は、下側の端部22であって表示画面20の左右方向に回転軸23を有している。駆動部4は、表示部2を第1の位置11から第2の位置12に駆動する場合、光路変更部3を開けて回転軸23を軸として表示部2を第2の位置12に回転させた後、光路変更部3を閉じ、第2の位置12から第1の位置11に駆動する場合、光路変更部3を開けて回転軸23を軸として表示部2を第1の位置11に回転させた後、光路変更部3を閉じる。
【0072】
光路変更部3は、再帰反射部材30と、ビームスプリッタ31と、を備えている。本実施の形態の開閉可能な光路変更部3は、ビームスプリッタ31である。ビームスプリッタ31は、表示部2から離れた端部312に設けられた回転軸313を軸として回転するように構成されている。この回転軸313は、表示部2の回転軸23と平行である。表示装置1は、ビームスプリッタ31が回転することにより、開口部103が形成され、表示部2が回転可能となる。なおビームスプリッタ31は、回転に限定されず、左右方向のスライドを行うように構成されても良い。
【0073】
駆動部4は、
図5(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第1の位置11から第2の位置12に表示部2を駆動する場合、まず回転軸313を軸として時計回りにビームスプリッタ31を回転させた後、回転軸23を軸として時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第2の位置12に回転させた後、ビームスプリッタ31を反時計回りに回転させる。なお表示装置1は、表示部2の第2の位置12を規定するストッパを設けていても良い。また表示装置1は、ビームスプリッタ31の閉じた状態を規定するストッパを設けていても良い。
【0074】
また駆動部4は、
図5(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第2の位置12から第1の位置11に表示部2を駆動する場合、まず回転軸313を軸として時計回りにビームスプリッタ31を回転させた後、回転軸23を軸として反時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第1の位置11に回転させた後、ビームスプリッタ31を反時計回りに回転させる。
【0075】
なお変形例として光路変更部3は、上述の変形例と同様に、結像部材32によって構成されても良い。結像部材32は、ビームスプリッタ31と同様に、表示部2から離れた端部に回転軸を有している。
【0076】
この変形例において駆動部4は、駆動信号S3に基づいて第1の位置11から第2の位置12に表示部2を駆動する場合、まず回転軸を軸として時計回りに結像部材32を回転させた後、回転軸23を軸として時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第2の位置12に回転させた後、結像部材32を反時計回りに回転させる。
【0077】
また駆動部4は、駆動信号S3に基づいて第2の位置12から第1の位置11に表示部2を駆動する場合、まず回転軸を軸として時計回りに結像部材32を回転させた後、回転軸23を軸として反時計回りに表示部2を回転させる。そして駆動部4は、表示部2を第1の位置11に回転させた後、結像部材32を反時計回りに回転させる。
【0078】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の表示装置1は、ユーザから見え難いビームスプリッタ31が開閉すると共に車両8のビームスプリッタ31の方向に表示部2が回転するので、第1の位置11及び第2の位置12の切り替えの際、ユーザに表示部2を格納する空間、つまり筐体10の内部が見え難くなり見栄えが良い。
【0079】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、第1の位置で表示部が回転した後、第2の位置にスライドする点で他の実施の形態と異なっている。
【0080】
図6(a)は、表示装置が第1の位置にある際の一例を模式的に示す図であり、
図6(b)は、表示装置が第2の位置にある際の一例を模式的に示す図である。
【0081】
本実施の形態の駆動部4は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第1の位置11において表示画面20が反対側となるように表示部2を180°回転させ、さらに第2の位置12まで移動させるように構成されている。
【0082】
表示部2は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、回転軸23と、回転軸23と交差する方向に回転軸24と、を有している。この回転軸24は、表示画面20をユーザ側から車両8のフロントガラス83側に反転させる軸である。
【0083】
本実施の形態の駆動部4は、一例として、
図6(b)に示すように、第1の位置11において表示画面20が反対側となるように回転させた後、第3の位置13まで回転軸23を軸として回転させ、第3の位置13から筐体10の内部にスライドさせて表示部2を第2の位置12に移動させる。筐体10には、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、表示部2がスライド可能となるための開口部104が設けられている。
【0084】
この第3の位置13は、第2の位置12によって定まる位置である。第1の位置11から第3の位置13までの角度は、一例として、45°であるがこれに限定されない。
【0085】
表示部2は、第3の位置13から第2の位置12まで直線的にスライドする。
図6(a)及び
図6(b)に示すスライドガイド16は、表示部2の第3の位置13から第2の位置12のスライドを案内する。またスライドガイド16は、端部にストッパ17を有し、このストッパ17が表示部2の第2の位置12を規定している。
【0086】
駆動部4は、
図6(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第1の位置11から第2の位置12に表示部2を駆動する場合、まず第1の位置11において回転軸24を軸として表示部2を180°回転させ、表示画面20をフロントガラス83側にする。続いて駆動部4は、回転軸23を軸として反時計回りに表示部2を回転させた後、表示部2を第2の位置12までスライドガイド16に案内させてスライドさせる。
【0087】
駆動部4は、
図6(b)に示すように、駆動信号S
3に基づいて第2の位置12から第1の位置11に表示部2を駆動する場合、まず第2の位置12から第3の位置13までスライドガイド16に沿って移動させる。続いて駆動部4は、第3の位置13の位置において回転軸23を軸として表示部2を時計回りに第1の位置11まで回転させた後、さらに第1の位置11において回転軸24を軸として表示部2を180°回転させる。
【0088】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態の表示装置1は、光路変更部3が回転する場合と比べて、開口部104が小さいので、筐体10内への異物の侵入が抑制される。
【0089】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の表示装置1は、利便性を向上させることができる。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…表示装置、2…表示部、3…光路変更部、4…駆動部、5…照度測定部、6…操作検出部、7…制御部、10…筐体、11~13…第1の位置~第3の位置、20…表示画面、21…表示画像、22…端部、23,24…回転軸、25…光、26…光路、30…再帰反射部材、31…ビームスプリッタ、35…表示領域、36…空中結像、100…前面部、101…回転軸、313…回転軸