(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176754
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】二酸化チタン粒子分散体及びそれを配合した化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20221122BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20221122BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20221122BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221122BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221122BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20221122BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/29
A61K8/36
A61K8/37
A61Q19/00
A61K8/9789
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083335
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】吉田 遼平
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 里菜
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵太
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 亮
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB222
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC351
4C083AC352
4C083BB13
4C083BB25
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD28
4C083DD39
4C083EE07
4C083EE11
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】 非シリコーン系の二酸化チタン粒子分散体を提供する。また、高濃度であっても、分散性や経時安定性に優れる非シリコーン系の二酸化チタン粒子分散体を提供する。
【解決手段】 次の成分(a)~(c):
(a)二酸化チタンに対して4.0~8.5質量%の脂肪酸で表面処理された二酸化チタン粒子
(b)ポリヒドロキシステアリン酸
(c)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする二酸化チタン粒子分散体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)~(c):
(a)二酸化チタンに対して4.0~8.5質量%の脂肪酸で表面処理された二酸化チタン粒子
(b)ポリヒドロキシステアリン酸
(c)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする二酸化チタン粒子分散体。
【請求項2】
上記成分(a)中の脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の二酸化チタン粒子分散体。
【請求項3】
上記成分(a)は、水酸化アルミニウム、含水ケイ酸のうち1種類又は2種類で表面処理された二酸化チタン粒子が、更に脂肪酸で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の二酸化チタン粒子分散体。
【請求項4】
上記成分(c)の非シリコーン系油剤が、エステル油または果実油であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の二酸化チタン粒子分散体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の二酸化チタン粒子分散体を配合することを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン粒子分散体及びそれを配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化チタン粒子や酸化亜鉛粒子は紫外線遮蔽性や透明性が高いため、日焼け止め化粧料などで紫外線散乱剤として用いられてきた。これらの粉体は、未処理の状態であると表面が親水性であるため、汗や雨などで流れてしまうおそれがある。このため、特に化粧品などの用途では粒子表面に撥水処理をして利用することが多い。また、一般に微粒子の無機粉体は一次粒子が凝集しやすいため、分散媒中に分散させた分散体を化粧料原料として使用することが広く行われている。化粧品業界では分散媒としてシリコーンオイルが処方系で主流として使用されてきたため、微粒子無機粉体の表面にシリコーン処理を施し、これをシリコーン系溶媒に分散した分散体がよく用いられている。
【0003】
しかしながら、シリコーン系分散剤は、分散安定化のために分子量が大きく設計されており、べたつきや、のび広がりの悪さなど、使用性に問題があった。また、近年、非シリコーン系の処方が市場で増えてきている。
そこで、上記のような分散体においても、無機粉体の撥水性表面処理剤、分散媒ともに非シリコーン系のものが求められてきている。
【0004】
上記のような状況の中、分散媒に非シリコーン系油剤を使用するものとして、トリアルコキシシランで表面処理された微粒子金属酸化物の非シリコーン分散体が提案されている(特許文献1)。
また、アルキルチタネートで表面処理された微粒子金属酸化物の非シリコーン分散体が提案されている(特許文献2)。
【0005】
しかしながら、上記トリアルコキシシランやアルキルチタネートといった撥水性表面処理剤は、コスト面等で未だ満足いくものではなく、まだ改良の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-184178号公報
【特許文献2】特開2011-225419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑み、非シリコーン系の二酸化チタン粒子分散体を提供することを目的とするものである。また、高濃度であっても、分散性や経時安定性に優れる非シリコーン系の二酸化チタン粒子分散体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
次の成分(a)~(c):
(a)二酸化チタンに対して4.0~8.5質量%の脂肪酸で表面処理された二酸化チタン粒子
(b)ポリヒドロキシステアリン酸
(c)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする二酸化チタン粒子分散体である。
【0009】
上記成分(a)中の脂肪酸が、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記成分(a)は、水酸化アルミニウム、含水ケイ酸のうち1種類又は2種類で表面処理された二酸化チタン粒子が、更に脂肪酸で表面処理されたものであることが好ましい。
【0010】
上記成分(c)の非シリコーン系油剤がエステル油または果実油であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記二酸化チタン粒子分散体を配合することを特徴とする化粧料でもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、非シリコーン系の二酸化チタン粒子分散体を提供できる。また、本発明の分散体は、高濃度であっても、分散性や経時安定性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、
次の成分(a)~(c):
(a)二酸化チタンに対して4.0~8.5質量%の脂肪酸で表面処理された二酸化チタン粒子
(b)ポリヒドロキシステアリン酸
(c)非シリコーン系油剤
を含有することを特徴とする二酸化チタン粒子分散体である。
【0014】
本発明の分散体は、実質的に非シリコーン系の素材のみからなる分散体を製造するにあたり、二酸化チタン粒子を、特定量の脂肪酸で表面処理することにより、分散性や経時的安定性に優れた脂肪酸処理二酸化チタン粒子の非シリコーン分散体が作製できるものである。また、分散体中の二酸化チタン粒子が比較的高濃度であっても、分散性や経時での安定性に優れたものである。
特に、非シリコーン系油剤を使用することに加えて、天然由来成分である脂肪酸を使用することにより、非シリコーン系の分散体とすることができるものである。
よって、本発明の分散体は、非シリコーン系で高い安定性が図られたものであり、化粧料に使用するのに好適である。
【0015】
本発明において、成分(a)として、二酸化チタン粒子を使用する。二酸化チタン粒子は、透明性に優れ、かつ、優れた紫外線散乱性能を有する点で好ましい。
【0016】
本発明の分散体は二酸化チタン粒子を含む。二酸化チタン粒子の平均一次粒子径は、3~200nmのものが好ましく、5~100nmのものがより好ましく、10~50nmのものが更に好ましい。このような粒子径を有する二酸化チタン粒子は、可視光透過性が高く、且つ、紫外線遮蔽領域が好適となる。
二酸化チタン粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡下でランダムに選択した200個の粒子の粒子径を計測し、その粒子径の平均値として算出する。
【0017】
二酸化チタン粒子の形状は特に限定されず、球状、棒状、針状、紡錘状、板状等の任意の形状のものを用いることができる。球状以外の形状の場合の上記平均一次粒子径については、棒状、針状、紡錘状粒子の場合は短軸側の長さの平均で規定し、板状の場合は面の対角線長さの平均で規定する。
二酸化チタン粒子の長軸径/短軸径(アスペクト比)は、9以下が好ましい。二酸化チタン粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡下でランダムに選択した200個の粒子の長軸径/短軸径の平均値として算出する。
【0018】
二酸化チタン粒子の結晶構造については特に限定されず、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などのものを用いることができる。光触媒活性を抑制する観点から、ルチル型のものを用いることが好ましい。
【0019】
二酸化チタン粒子は、各種公知の方法によって製造することができる。比較的小さな平均一次粒子径を有する二酸化チタン粒子の製造方法としては、例えば、四塩化チタン水溶液をアルカリで中和加水分解し、得られた含水二酸化チタンを焼成する方法(これを、本発明では「焼成法」とも称する。)や、四塩化チタン水溶液をアルカリで中和加水分解して得られた含水二酸化チタンを水酸化ナトリウムで加熱処理し、得られた反応生成物を酸で加熱熟成する方法(これを、本発明では「湿式法」とも称する。)などを用いることができる。一般に、上記焼成法では球状の二酸化チタン粒子を得ることができ、上記湿式法では紡錘状の二酸化チタン粒子を得ることができる。また、焼成法、湿式法ともに、ルチル型の二酸化チタン粒子を得ることができる。また、焼成法で得られる二酸化チタン粒子は、アスペクト比が概ね3以下であり、好ましくは1~2の球状粒子を得ることができる 。
【0020】
二酸化チタン粒子は、製造上不可避の各種不純物を含んでいてもよい。不純物元素としては、Al、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Ni、Zn、Zr、Ag、Pb、Cl、Nbなどが挙げられる。ここで、不純物元素のうち、鉛(Pb)の 含有量は、TiO2の質量基準で3ppm以下であることが好ましい。鉛(Pb)をはじめとした不純物元素の含有量の測定は、原子吸光分光光度計を用いる。
本発明の分散体を化粧料に用いる場合、鉛の含有量を非常に小さく(3ppm以下)とすることで、人体への影響を少なくすることができる。また、化粧料以外の用途で、本発明の分散体を自然環境に放出するような使い方をする場合(例えば研磨用組成物など、使い捨てされるものに用いる場合)にも好適に使用することができる。
【0021】
鉛(Pb)の含有量が上記範囲である二酸化チタン粒子を効率よく得ることができる方法としては、上述の四塩化チタンを出発物質とした焼成法、あるいは湿式法等が挙げられる。
【0022】
本発明の成分(a)を構成する二酸化チタン粒子は、表面に脂肪酸による表面処理層を有するものである。撥水性表面処理剤として、環境適応性が高い脂肪酸であることが最も望ましい。
なお、ここでの表面処理とは、二酸化チタン粒子表面の水との親和性を低下させるための撥水性処理であり、処理を施した後において水に溶解しやすい材料、又は水に分散する材料による表面処理は本発明の「撥水性処理」には該当しない。
【0023】
本発明で使用する脂肪酸としては、撥水性が強いことが好ましい。無機粉体と何らかの化学結合をする化合物が好ましいが、物理吸着する化合物であってもある程度の効果を得ることができる。
上記脂肪酸は、炭素数10~30の高級脂肪酸が分散体中での二酸化チタン粒子の分散性をより向上させることができる点から好ましく、具体的には、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この中でも、特に構造が単純なために安価で安定性も高く、強い撥水性を持つという観点から、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましい。
また、より環境負荷の小さい分散剤とするためには、植物由来の脂肪酸を使用することが好適である。
【0024】
脂肪酸の被覆量は、二酸化チタン粒子を均一に被覆できる程度であることが好ましい。具体的には、二酸化チタンに対して4.0~8.5質量%とすることが必要である。この範囲とすることで、二酸化チタン粒子を均一に被覆することができ、二酸化チタン粒子に良好な撥水性を付与し、分散体における十分な分散性及び経時安定性を確保することができる。また、被覆量が過剰とならないようにすることで、余分の脂肪酸が遊離して、分散性が悪くなったり、分散体に発泡が生じたりすることを防ぐことができる。また、上記範囲とすることで、遊離する脂肪酸が少ないため、粘度上昇が起きないと推測される。
上記下限は、4.5質量%であることがより好ましい。上記上限は、8.0質量%であることがより好ましい。
【0025】
脂肪酸を二酸化チタン粒子の表面に被覆する方法としては、例えば、脂肪酸と二酸化チタン粒子を、イソプロピルアルコール、エタノール等の溶媒中に添加、混合した後、乾燥し、粉砕するなどして行うことができる。
【0026】
また、本発明に用いる二酸化チタン粒子は、その粒子表面をその他の無機化合物で被覆したものであることが好ましい。すなわち、成分(a)は、その他の無機化合物で表面処理された二酸化チタン粒子が、更に脂肪酸で表面処理されたものであることが好ましい。
被覆材料は公知の無機表面処理材料を用いることができ、例えば、Al、Si、Zr又はSn等の酸化物又は水酸化物のうちの1種又は複数種で被覆したものである。
先に、これらで表面処理することにより、脂肪酸が二酸化チタン粒子表面により付着しやすくなる。
また、二酸化チタン粒子は、光触媒活性を有しているが、無機化合物を被覆すると光触媒活性を抑えることができ、そのような用途(例えば、化粧料など)においては、無機化合物を被覆したものが好ましい。
【0027】
特に、水酸化アルミニウム、含水ケイ酸のうち1種類又は2種類で表面処理したものを使用することが環境や人体に無害であり、かつ高い活性抑制を持つ点で好ましい。
【0028】
上記無機表面処理材料の被覆量は、二酸化チタンに対して1~30質量%が好ましい。この範囲であれば、十分な活性抑制を持ち、二酸化チタンの特性への影響が小さい。
上記下限は、3質量%であることがより好ましい。上記上限は、20質量%であることがより好ましい。
【0029】
上記無機表面処理材料での表面処理方法は、特に限定されず、周知の一般的な方法によって行うことができる。
【0030】
本発明において、上記成分(a)は、分散体全量中で40~60質量%の割合で含有することが好ましい。このような配合量の範囲において特に本発明の効果が顕著となるものである。
上記下限は、42質量%であることがより好ましく、45質量%であることが更に好ましい。
【0031】
特に、本発明においては、分散体中の成分(a)の濃度を45質量%以上と比較的高くしても、分散性が良好で、分散体の粘度が低く、また、粘度が経時的に保たれる。
【0032】
本発明の分散体は、成分(b)として、ポリヒドロキシステアリン酸を含有する。当該化合物は分散剤として機能し、これを配合することで、成分(a)が非シリコーン系油剤中で良好に分散するという点で好ましい。
ポリヒドロキシステアリン酸を使用すると、比較的少量でも良好な分散を行うことができ、化粧料等としての使用時にも、撥水性表面処理層を有する二酸化チタン粒子が水で流れにくくなる点で特に好ましいものである。
【0033】
ヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位の炭素に結合していることが好ましく、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3~12が好ましく、更に好ましくは重合度4~8である。市販品としては、サラコス HS-6C(日清オイリオ社製)、ARLACEL P-100(ユニケマ社製)等が挙げられる。
【0034】
上記ポリヒドロキシステアリン酸の配合量は、分散体中、0.1~10質量%以下であることが好ましい。上記下限は1質量%であることがより好ましく、上記上限は7質量%以下であることがより好ましい。上記割合とすることで、溶媒の含有量が増えて化粧料配合時の処方への適合性が高い点で特に好ましい。
【0035】
本発明の分散体は、成分(c)として、非シリコーン系油剤を含有する。非シリコーン系油剤は成分(a)を分散させる媒体であり、ポリシロキサン骨格を持たない油剤である。常温(15~25℃)で液状である液体油が、成分(a)の分散性の観点から好適である。例えば、エステル油、果実油、その他の油脂類等が挙げられる。中でも、エステル油、果実油が、化粧品に使用する際に使用しやすいという点で好適である。具体的には、下記が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
上記エステル油としては、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オ クチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリカプリル酸グリセリル、イソノナン酸 イソオクチル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチレングリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、ホホバ油、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジ グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸 /ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、オレイン脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)等が挙げられる。
【0037】
上記果実油としては、オリーブ果実油、アオモジ果実油、ウイキョウ果実油、キャラウェイ果実油、コショウ果実油、コリアンダー果実油、セイヨウネズ果実油、バニラ果実油、ベルガモット果実油、レモン果実油等が挙げられる。
【0038】
上記その他の油脂類としては、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ココナッツ油、アーモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、カカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、馬脂、ミンク油、乳脂、卵黄油、タートル油、モクロウ、カメリア油等が挙げられる。
【0039】
上記成分(c)の配合量は、分散体中、5~60質量%であることが好ましい。上記割合とすることで、化粧料等への配合時の油に馴染みやすくなる点で好適である。
上記下限は、10質量%であることが更に好ましく、上記上限は55質量%であることが更に好ましい。
【0040】
本発明の分散体には、上記成分の他、適宜目的に応じて、防腐剤、pH調整剤、純水等を配合するようにしてもよい。
【0041】
本発明の分散体は、下記評価方法による初期粘度が、2500mPa・s以下であることが好ましい。この範囲であれば、粘性が低く、分散後のビーズ分離が容易である。
また、2400mPa・s以下であることがより好ましい。
【0042】
(初期粘度評価方法)
9mlのスクリュー瓶に、製造直後の分散体7ml以上入れ、B型粘度計(東京計器製、TVB-10)でローターNo.4を使用し、60rpmで回転させ、回転開始から60秒後の粘度(25℃)を測定した。
【0043】
また、本発明の分散体は、下記評価方法による7日後の経時粘度が、5000mPa・s以下であることが好ましい。この範囲であれば、粘性が高くなく容器などからの取り出しも容易で取り扱いが良好である。
また、4500mPa・s以下であることがより好ましい。
【0044】
(経時粘度評価方法)
9mlのスクリュー瓶に製造直後の分散体7ml以上入れ、40℃恒温槽にて7日間保管し、B型粘度計(東京計器製、TVB-10)でローターNo.4を使用し、60rpmで回転させ、回転開始から60秒後の粘度(40℃)を測定した。
【0045】
本発明の分散体は、その製造方法を特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、成分(a)~成分(c)を原料として使用して、その他の成分と混合、撹拌等することで得ることができる。
【0046】
本発明の分散体は、実質的に水を含まない油性分散体であることが好ましい。さらに、上述した成分(a)~(c)以外の成分の含有量は1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることが更に好ましい。また、上述した成分(a)~(c)のみからなるものであってもよい。本発明の分散体は、特に化粧料製造用原料として使用することができるものである。このため、処方上の制限を生じないようにするため、上述した以外の成分はできるだけ含まないことが好ましい。
【0047】
本発明の二酸化チタン粒子分散体は、二酸化チタン以外の無機粒子を配合するものであってもよい。併用することができる無機粒子としては特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛等を挙げることができる。
特に、酸化亜鉛を二酸化チタンと併用した場合には、増粘という問題が顕著になりやすいものであることから、酸化亜鉛と併用したときに、本発明の効果はより顕著なものとなる。紫外線防御用化粧料における紫外線遮蔽剤として二酸化チタンを使用する場合には、紫外線の遮蔽域が異なる酸化亜鉛粒子を併用することがあるため、このような場合にも本発明は有用なものである。
【0048】
本発明においては、併用して使用する酸化亜鉛粒子は特に限定されないが、脂肪酸で表面処理された酸化亜鉛粒子を使用することが好適である。
また、酸化亜鉛粒子への脂肪酸の被覆量は、酸化亜鉛に対して2.3~4.0モル%であることが好適である。脂肪酸の種類は、酸化亜鉛に使用するものと同様の脂肪酸が挙げられる。
また、二酸化チタン粒子と同様に、水酸化アルミニウムや含水ケイ酸で処理を行った後、脂肪酸で処理を施したものが好ましい。
【0049】
酸化亜鉛粒子の表面処理は、上述した二酸化チタン粒子へ処理と同様の方法によって行うことができる。
【0050】
上記酸化亜鉛粒子は、平均一次粒子径が100nm以下のものを使用することが好ましい。酸化亜鉛粒子の粒子径が100nmを超えると、隠蔽力が大きく、白くなり、透明性が低い。酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径の下限は、特に、限定されるものではないが、通常、5nmである。
酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径は、BET法による比表面積値から換算した粒子径200個の平均値である。
【0051】
酸化亜鉛粒子の一次粒子径は、BET法によって求められる比表面積と同一の表面積を有する球の直径に相当する。すなわち、粒子径は、全自動BET比表面積測定装置Macsorb(Mountech社製)により測定して求めた比表面積:Sgと、酸化亜鉛の真比重:ρから、下記計算式により求めた値である。
粒子径(μm)=[6/(Sg×ρ)]
(Sg(m2/g):比表面積、ρ(g/cm3):粒子の真比重)
なお、粒子の真比重:ρは、酸化亜鉛の真比重の値である5.6を上記計算に用いた。
【0052】
酸化亜鉛粒子の形状は特に限定されず、球状、棒状、針状、紡錘状、板状等の任意の形状のものを用いることができる。球状以外の形状の場合の上記平均一次粒子径については、棒状、針状、紡錘状粒子の場合は短軸側の長さの平均で規定し、板状の場合は面の対角線長さの平均で規定する。
酸化亜鉛粒子の長軸径/短軸径(アスペクト比)は、3以下が好ましく、1~2がより好ましい。酸化亜鉛粒子のアスペクト比は、電子顕微鏡下でランダムに選択した200個の粒子の長軸径/短軸径の平均値として算出する。
【0053】
酸化亜鉛等の二酸化チタン以外の無機粒子を使用する場合、成分(a)と酸化亜鉛等の二酸化チタン以外の無機粒子との合計量が、二酸化チタン粒子分散体全量中、40~70質量%であることが好ましい。
また、酸化亜鉛等の二酸化チタン以外の無機粒子を使用する場合、本発明の目的を阻害しない範囲で無機粒子を配合すればよく、例えば、酸化亜鉛等の二酸化チタン以外の無機粒子の配合量は、二酸化チタンの質量に対して2倍量以下であることが好ましい。
【0054】
本発明の分散体は、非シリコーン系の分散体であることが好ましい。非シリコーン系であるとは、シリコーン系の素材を実質的に含まないものであり、シリコーン系油剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーン系の表面処理剤によって表面処理された無機粒子を実質的に含有しないことが好ましい。
【0055】
本発明の分散体は、化粧料原料として特に好適に使用される。化粧料としては、特に限定するものではないが、スキンケア製品、頭髪製品、メークアップ製品、紫外線防御製品等、皮膚や毛髪に外用される化粧料に配合できる。また、製品の形態についても特に限定はないが、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等に適用が可能である。
【0056】
本発明の化粧料は、本発明の分散体の他の原料は、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、水溶性の天然及び半合成、合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、有機系紫外線遮蔽剤、各種抽出液等が挙げられる。
また、必要に応じ、各種粉体として無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、その他薬剤成分として、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、乳化増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、抗炎症剤、美白剤、皮膜剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
また、本発明の目的を阻害しない範囲で、酸化亜鉛、酸化セリウム等の紫外線散乱剤の無機粉体を使用してもよい。
なお、本発明の化粧料は、ノンシリコーン系の処方とすることもできるし、目的に応じて、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン系油剤等のシリコーン系の素材を含有する処方とすることもできる。
【0057】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ジカプリン酸プロピレングリコール、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル等を挙げることができる。
【0058】
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤を挙げることができる。
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0059】
上記親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類(例えばポリソルベート60)、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0060】
上記その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0061】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0062】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0063】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1- ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0064】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0065】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0066】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0067】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0068】
有機系紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等を挙げることができる。
【0069】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0070】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で撥水化処理して使用してもよい。
【0071】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤;タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0072】
本発明の化粧料は、その製造方法を特に限定されるものではなく、化粧料の形態に応じた製造方法により製造すればよい。具体的には、例えば、本発明の分散体を、その他の成分と混合することで得ることができる。
【実施例0073】
以下に、実施例を挙げて具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の記載において特に限定なく、「%」「部」とある場合は「質量%」「質量部」を表す。
【0074】
(製造例1~12)
表1に示す組成の表面処理二酸化チタン粒子を下記の製造方法により調製し、各粉体について、「撥水性」について評価を行い、その結果も併せて表1に示した。なお、脂肪酸の(質量%)は、Alを除いた二酸化チタン単体を基準にした値である。
【0075】
【表1】
(注1)STR-100C(堺化学工業社製)(粒子径短軸20nm、長軸100nm、水酸化アルミニウム10%)
(注2)試薬特級 ステアリン酸、植物由来(富士フイルム和光純薬社製)
(注3)試薬特級 ミリスチン酸(富士フイルム和光純薬社製)
【0076】
(製造方法)
成分2又は3を各量の3倍量のイソプロピルアルコールと混合し、スターラーにて撹拌することで溶解させる。成分2又は3の溶解液と成分1とをポリ袋中でよく混合し、ベント型乾燥機にて120℃で16時間熱処理した。乾燥物をコーヒーミルで粉砕し、脂肪酸処理二酸化チタンを得た。
【0077】
(評価方法1)撥水性
100mLビーカー中に蒸留水50mLを入れ、脂肪酸処理二酸化チタン粒子1.0gを浮かべ、スパチュラで10回撹拌し、水の濁りを目視し、下記の評価基準に従って判断した。
〇:水に濁りがなく、透明
△:水が薄く濁り、半透明
×:水が白濁
【0078】
表1に示したように、脂肪酸含有量4.0%以上である製造例2~6、8~12は優れた撥水性を示した一方、脂肪酸含有量4.0%未満の製造例1、7は水が薄く濁っており、撥水性が不十分であったことがわかる。
【0079】
(実施例1~8および比較例1~9)
表2、3に示す組成の脂肪酸処理二酸化チタン粒子分散体を下記の製造方法により調製し、各試料について、「初期粘度」、「経時粘度」について評価を行い、その結果も併せて表2、3に示した。
【0080】
【表2】
(注1)ARLACEL P-100(ユニケマ社製)
(注2)CROPURE OL(クローダジャパン社製)
(注3)PALMESTER 1543(ミヨシ油脂社製)
【0081】
【表3】
(注1)ARLACEL P-100(ユニケマ社製)
(注2)CROPURE OL(クローダジャパン社製)
(注3)PALMESTER 1543(ミヨシ油脂社製)
【0082】
(製造方法)
(実施例1~4)
成分(a)として脂肪酸処理二酸化チタン粒子 45部、ポリヒドロキシステアリン酸 4部、成分(c)として非シリコーン系油剤 51部、φ0.5mmジルコニアビーズ 100部をマヨネーズ瓶に入れ、混合した後ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で30分処理した。その後、ビーズ分離することにより、脂肪酸処理二酸化チタン粒子分散体を得た。
【0083】
(実施例5,6、比較例1~9)
各成分の配合量を、表2又は3に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、脂肪酸処理二酸化チタン粒子分散体を得た。
【0084】
(実施例7,8)
各成分の配合量を、表2に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、脂肪酸処理二酸化チタン粒子及び後述の脂肪酸処理酸化亜鉛粒子の分散体を得た。
(脂肪酸処理酸化亜鉛粒子の製造)
ステアリン酸(富士フイルム和光純薬社製)9gを27gのイソプロピルアルコールと混合し、スターラーにて撹拌することで溶解させた。得られた溶解液と酸化亜鉛(堺化学工業社社製、FINEX-40A、平均一次粒子径27nm、水酸化アルミニウム4.5%、含水ケイ酸4.5%)100gをポリ袋中でよく混合し、ベント型乾燥機にて120℃で16時間熱処理した。乾燥物をコーヒーミルで粉砕し、脂肪酸処理酸化亜鉛粒子(酸化亜鉛に対する脂肪酸含有量2.8mol%)を得た。
【0085】
(評価方法2)初期粘度
9mlのスクリュー瓶に製造直後の分散体7ml入れ、B型粘度計(東京計器製、TVB-10)でローターNo.4を使用し、60rpmで回転させ、回転開始から60秒後の粘度(25℃)を測定した。
【0086】
(評価方法3)40℃経時粘度
分散後、9mlのスクリュー瓶に製造直後の分散体7ml入れ、40℃恒温槽にて7日間保管し、B型粘度計(東京計器製、TVB-10)でローターNo.4を使用し、60rpmで回転させ、回転開始から60秒後の粘度(40℃)を測定した。
【0087】
上記実施例及び比較例の結果より、本発明の分散体は、表面処理微粒子酸化チタンの濃度が高くても、表面処理二酸化チタン粒子の分散性が良好で、経時的にも安定していた。
これに対して、比較例の分散体は、実施例のものに比べて、表面処理二酸化チタン粒子が均一に分散していなかったか、経時的に凝集してしまい、分散体としては相応しくないものであった。
また、比較例の分散体は、初期粘度が高く、分散後にビーズ分離できないほど粘度が高いものがあった。もしくは、経時で大幅に増粘したものがあった。