(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176768
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】防水シート接合用粘着テープ及び防水シート接合体
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20221122BHJP
C09J 123/22 20060101ALI20221122BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20221122BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20221122BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20221122BHJP
E04D 5/14 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J123/22
C09J11/04
C09J11/08
C09J11/06
E04D5/14 N
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083362
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高津 知道
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真佐之
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004AB01
4J004BA02
4J004FA08
4J040DA141
4J040DA142
4J040EL012
4J040HA356
4J040HC16
4J040HD05
4J040HD20
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA26
4J040KA31
4J040LA06
4J040LA08
4J040MA10
4J040MA12
4J040MB03
4J040MB09
(57)【要約】
【課題】
そこで、本発明は、常温での硬化性及び貯蔵安定性に優れ、施工後に防水シートの表面を塗装したときに紫外線によって生じる黄変に対する耐黄変性が改善された防水シート接合用粘着テープ及び防水シート接合体を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明によれば、ブチルゴム100質量部、無機充填材50~400質量部、軟化剤10~200質量部、粘着付与剤樹脂10~100質量部、架橋促進剤0.1~10質量部、架橋剤0.1~10質量部を含み、前記架橋促進剤が、チアゾール系化合物であり、前記架橋剤がキノンジオキシム系化合物である、防水シート接合用粘着テープが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチルゴム100質量部、無機充填材50~400質量部、軟化剤10~200質量部、粘着付与剤樹脂10~100質量部、架橋促進剤0.1~10質量部、架橋剤0.1~10質量部を含み、
前記架橋促進剤が、チアゾール系化合物であり、前記架橋剤がキノンジオキシム系化合物である、防水シート接合用粘着テープ。
【請求項2】
前記粘着付与剤樹脂が脂環族飽和炭化水素樹脂である、請求項1に記載の防水シート接合用粘着テープ。
【請求項3】
前記脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点が、100~125℃である、請求項1又は2記載の防水シート接合用粘着テープ。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の防水シート接合用粘着テープを用いた防水シート接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート接合用粘着テープ及びこの粘着テープを用いた防水シート接合体に関する。より詳しくは、屋外で使用され、施工後に表面に塗装が施される防水シート接合用粘着テープ及び防水シート接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの屋上等のコンクリート構造物の防水方法として、エチレン・プロピレン・ジエンゴムやポリ塩化ビニルを成形したシートをコンクリート表面に敷設した防水工法が採用されている。このような防水シートの継ぎ目部分は、水密性を確保して漏水を防止するため、常温で架橋反応が進行する自然架橋タイプのブチルゴム接着テープを用いてシートの端部同士が貼り合わされている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
特許文献1,2に記載の防水シートの接着方法では、塩素化ポリプロピレンにエポキシ樹脂を配合した溶液や、イソブチレンとp-メチルスチレン共重合体の臭素化物を主成分とする溶液をプライマーとして塗布した後、常温で自着性のあるブチルゴムを主成分とする自然架橋テープ状接着剤を介在して接着している。また、特許文献3に記載の防水シートの接着方法では、部分架橋度が25~80%の部分架橋型ブチルゴムと、部分架橋していない一般のブチルゴム及び架橋剤、架橋促進剤、粘着剤、軟化剤とを、特定割合で配合したゴム組成物からなる高強度粘着テープを用いている。特許文献4に記載の防水シートの接着方法では、酸化亜鉛と、チアゾール化合物及びスルフェンアミド化合物から選択される少なくとも1種の加硫促進剤を含有する粘着テープを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-17236号公報
【特許文献2】特開2001-40106号公報
【特許文献3】特開平10-36597号公報
【特許文献4】特開2015-199786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の防水シートは、一般に、カーボンブラックによって補強されており、黒色であるため、屋外構造物の美観を確保する目的で、表面が塗料により塗装されていることが多い。しかしながら、塗装が施された防水シートは、長期間紫外線に暴露されると、接合部の塗装面が黄変するという問題がある。
【0006】
特許文献4では、チアゾール化合物及びスルフェンアミド化合物から選択される加硫促進剤を含有する粘着テープを用いて防水シートを接合することによって、接合部の塗装面の黄変を抑制することが試みられている。そして、特許文献4の実施例では、上記加硫促進剤を配合した実施例においては、352時間の紫外線照射試験において、接合部の塗装面の黄変が抑制されることが確認されている。
【0007】
しかし、本発明者らによる検討によると、特許文献4の構成の粘着テープを用いた場合、紫外線照射試験の時間を1000時間まで伸ばすと、接合部の塗装面が黄変してしまうことが分かった。
【0008】
そこで、本発明は、常温での硬化性及び貯蔵安定性に優れ、施工後に防水シートの表面を塗装したときに紫外線によって生じる黄変に対する耐黄変性が改善された防水シート接合用粘着テープ及び防水シート接合体を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の通りである。
[1]
ブチルゴム100質量部、無機充填材50~400質量部、軟化剤10~200質量部、粘着付与剤樹脂10~100質量部、架橋促進剤0.1~10質量部、架橋剤0.1~10質量部を含み、
前記架橋促進剤がチアゾール系化合物であり、前記架橋剤がキノンジオキシム系化合物である、防水シート接合用粘着テープ。
[2]
前記粘着付与剤樹脂が脂環族飽和炭化水素樹脂である、[1]に記載の防水シート接合用粘着テープ。
[3]
前記脂環族飽和炭化水素樹脂の軟化点が、100~125℃である、[1]又は[2]に記載の防水シート接合用粘着テープ。
[4]
[1]乃至[3]のうちいずれか1に記載の防水シート接合用粘着テープを用いた防水シート接合体。
【0010】
本発明に係る防水シート接合体は、前述した防水シート接合用粘着テープを用いたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐黄変性を向上させることができるため、架橋前後の接着性及び貯蔵安定性に優れ、施工後に防水シートの表面を塗装したときに紫外線によって生じる黄変に対する耐黄変性が改善された防水シート接合用粘着テープ及び防水シート接合体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】引張剪断接着強さ及び耐黄変性の評価に用いた試験片を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態の防水シート接合用粘着テープは、ブチルゴム100質量部、無機充填材50~400質量部、軟化剤10~200質量部、粘着付与剤樹脂10~100質量部、架橋促進剤0.1~10質量部、架橋剤0.1~10質量部を含む。架橋促進剤はチアゾール系化合物であり、架橋剤はキノンジオキシム系化合物である。
【0014】
<ブチルゴム>
本実施形態の粘着テープに配合されるブチルゴム(イソブチレン・イソプレン共重合体)としては、非架橋タイプの一般的なブチルゴム、部分的な架橋構造を有する部分架橋ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等が挙げられる。また、タイヤのゴムチューブの熱分解品を用いた再生ブチルゴムを使用してもよい。
【0015】
<無機充填材>
本実施形態の粘着テープに配合される無機充填材としては、例えば、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、亜リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、けい酸カルシウム等のカルシウム塩;珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、フライアッシュ、無機中空フィラー、パーライト、黒曜岩、真珠岩、松脂岩、珪藻土、脱水汚泥、ホウ素、四ホウ酸ナトリウム水和物(ホウ砂)などが挙げられる。これらの無機充填材は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0016】
無機充填材の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、50~400質量部であり、好ましくは100~330質量部、さらに好ましくは150~270質量部である。無機充填材が少なすぎると、架橋後の粘着テープが軟らかすぎてしまい、架橋後の接着強度が低下することがある。無機充填材が多すぎると、架橋前の粘着テープが硬すぎてしまい、接着強度が低下することがある。
【0017】
<軟化剤>
本実施形態の粘着テープに配合される軟化剤としては、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイル、フタル酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらの軟化剤は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0018】
軟化剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、10~200質量部であり、好ましくは35~160質量部、さらに好ましくは60~125質量部である。軟化剤が少なすぎると、硬すぎてしまい粘着テープの架橋前の接着強度が低下することがある。軟化剤が多すぎると、架橋後であっても軟らかすぎてしまい粘着テープの架橋後の接着強度が低下することがある。
【0019】
<粘着付与剤樹脂>
本実施形態の粘着テープに配合される粘着付与剤樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、水素化ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水素化テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、スチレン系樹脂、クマロン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1,3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂(脂肪族系樹脂)、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂(芳香族系樹脂)、C5/C9系石油樹脂(脂環族炭化水素樹脂)、及びこれらの石油樹脂を水素化した水素化石油樹脂や脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤樹脂は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。これらの粘着付与剤樹脂の中で、防水シートの表面を塗装しても紫外線による黄変が生じにくい脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましい。
【0020】
粘着付与剤樹脂の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して、10~100質量部であり、好ましくは25~75質量部、さらに好ましくは35~60質量部である。粘着付与剤樹脂が少なすぎると、粘着テープの架橋前の接着強度が低下することがある。粘着付与剤樹脂が多すぎると、耐黄変性が悪くなることがある。
【0021】
粘着付与剤樹脂の軟化点は、100~125℃であることが好ましい。なお、軟化点は環球法によって測定した値である。
【0022】
<架橋剤>
本実施形態の粘着テープに配合される架橋剤には、キノンジオキシム系化合物の架橋剤を使用する。これにより、本実施形態の粘着テープを用いて防水シートを接合した際に、防水シート塗装面の紫外線による黄変を抑えることができる。
【0023】
キノンジオキシム系化合物は、キノンジオキシム又はその誘導体(例:エステル)であり、好ましくは、p-キノンジオキシム又はその誘導体である。キノンジオキシム系化合物としては、例えば、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0024】
架橋剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して0.1~10質量部であり、好ましくは0.4~6質量部、さらに好ましくは0.7~3質量部である。架橋剤が少なすぎると、粘着テープの架橋後の接着強度が低下することがある。架橋剤が多すぎると、粘着テープの耐黄変性や貯蔵安定性が低下することがある。
【0025】
<架橋促進剤>
本実施形態の粘着テープに配合される架橋促進剤には、チアゾール系化合物の架橋促進剤を使用する。これにより、本実施形態の粘着テープを用いて防水シートを接合した際に、防水シート塗装面の紫外線による黄変を抑えることができる。
【0026】
チアゾール系化合物は、チアゾール環(好ましくは、ベンゾチアゾール環)を有し、かつスルフェンアミド結合を有さない化合物である。スルフェンアミド結合を有する化合物は、スルフェンアミド系化合物に分類される。チアゾール系化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの架橋促進剤は単独で配合してもよく、また、2種以上組み合わせて配合することもできる。
【0027】
架橋促進剤の配合量は、ブチルゴム100質量部に対して0.1~10質量部であり、好ましくは0.4~6質量部、さらに好ましくは0.7~3質量部である。架橋促進剤が少なすぎると、粘着テープの架橋後の接着強度が低下することがある。架橋促進剤が多すぎると、粘着テープの耐黄変性や貯蔵安定性が低下することがある。
【0028】
<その他の成分>
本実施形態の粘着テープには、前述した各成分以外の成分が配合されていてもよい。本実施形態の粘着テープに配合されるその他の成分としては、スコーチ防止剤、分散剤、離型剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤等が挙げられる。
【0029】
<製造方法>
本実施形態の粘着テープは、例えば原料を配合し混練する工程と、混練物をテープ化する工程により製造することができる。配合原料の混練は、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、オープンニーダー等の公知の混練機を使用することができる。また、架橋剤や架橋促進剤の分解が生じないように、架橋剤や架橋促進剤を添加した後は、120℃以下の温度で混練することが好ましい。
【0030】
テープ化は、ダイス部に所定の形状の口金を備えた押出機に、混練した配合原料を投入してテープ化する方法、又は、カレンダーロール等に混練した配合原料を投入し、所定の厚みに加工後、スリッター等の裁断機により所望の幅に加工する方法を適用することができる。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
[粘着テープの作製]
表1~表5に示す組成(質量比)に従って、以下の方法により、実施例・比較例の粘着テープを作製した。
【0033】
まず、(A)ブチルゴムゴム、(B)無機充填材、(C)軟化剤を、3L加圧ニーダーに投入し、120℃で1時間混練した。その後、(D)粘着付与剤樹脂、(E)架橋剤、(F)架橋促進剤を添加し、非加圧下80℃で30分間混練することにより粘着テープ用コンパウンドを作製した。このコンパウンドを、スクリュー径70mmφのベント付き押出機に投入し、70℃にて幅80mm、厚さ1.0mmのテープ形状に押出することにより、粘着テープを作製した。
【0034】
<使用原料>
(A)ブチルゴム
・JSR株式会社製「ブチル268」
【0035】
(B)無機充填材
・含水珪酸アルミニウム(クレー):合名会社群馬長石製「FA-80」
【0036】
(C)軟化剤
・ポリブテン:JXエネルギー株式会社製「HV-300」
【0037】
(D)粘着付与剤樹脂
・フェノール樹脂:日立化成株式会社社製「ヒタノール1501」、軟化点95℃
・テルペン樹脂:ヤスハラケミカル株式会社社製「YSレジンPX1000」、軟化点100℃
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル株式会社製「YSレジンTO-115」、軟化点115℃
・脂環族飽和炭化水素樹脂:荒川化学工業株式会社製「アルコンP-90」、軟化点90℃
・脂環族飽和炭化水素樹脂:荒川化学工業株式会社製「アルコンP-100」、軟化点100℃
・脂環族飽和炭化水素樹脂:荒川化学工業株式会社製「アルコンP-115」、軟化点115℃
・脂環族飽和炭化水素樹脂:荒川化学工業株式会社製「アルコンP-125」、軟化点125℃
・脂環族飽和炭化水素樹脂:荒川化学工業株式会社製「アルコンP-140」、軟化点140℃
なお、各軟化点は、環球法による測定値である。
【0038】
(E)架橋剤
・硫黄:細井化学工業株式会社製「硫黄末」
・キノンジオキシム系架橋剤:p-キノンジオキシム、大内新興化学工業株式会社製「バルノックGM-P」
・キノンジオキシム系架橋剤:p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、大内新興化学工業株式会社製「バルノックDGM」
・酸化亜鉛:堺化学工業株式会社製「第3種酸化亜鉛」
【0039】
(F)架橋促進剤
・チアゾール系架橋促進剤:2-メルカプトベンゾチアゾール、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーM-P」
・チアゾール系架橋促進剤:ジベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーDM-P」
・スルフェンアミド系架橋促進剤:N-シクロヘキシルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ-G」
・スルフェンアミド系架橋促進剤:N-tert-ブチルベンゾチアゾール-2-スルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーNS-P」
・ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤:ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーPZ」
・ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤:ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーZTC」
・チウラム系架橋促進剤:テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTOT-N」
【0040】
[粘着テープの評価]
前述した方法で作製した実施例及び比較例の粘着テープについて、以下に示す方法で評価した。
【0041】
<架橋前接着性>
直径50mm、重さ500gの円柱状治具外周に、厚さ1.0mm×幅10mmの実施例及び比較例の各粘着テープを巻き、下方に設置したエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)シート上に温度21℃の雰囲気下で10秒間静置させた後、引張試験機にて500mm/分の速度で垂直方向に引上げた際の剥離強度を測定し、以下の基準に従って判定した。
◎:垂直剥離強度が400gf以上
○:垂直剥離強度が300gf以上400gf未満
×:垂直剥離強度が300gf未満
【0042】
<架橋後接着性>
架橋後接着強度の評価には、
図1に示す試験片を用いた。具体的には、厚さ1.0mmのエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)製防水シート(以下、単に防水シートという)を、長さ100mm、幅25mmの形状に裁断し、2枚の防水シート3a,3bを準備し、それぞれ一方の面の端部から25mmまでの位置に、プライマー4a,4bとしてクロロプレンゴム系溶剤型接着剤(コニシ社製 「G10L」)を塗布した。
【0043】
常温にて30分間乾燥後、一方の防水シート3bのプライマー4b塗布面に、25mm四方に裁断した粘着テープ5を載せ、他方の防水シート3aのプライマー4a塗布面と重ね合わせた。重ね合わせ部(接合部1)を2kgのハンドローラーにて圧着し、接着試験片を得た。
【0044】
得られた接着試験片を80℃に調整したオーブンに7日間暴露後、21℃の環境にて引張速度10mm/分で引張剪断接着強度を測定し、以下の基準に従って判定した。
◎:引張剪断接着強度が30N/25mm以上
○:引張剪断接着強度が20N/25mm以上、30N/25mm未満
×:引張剪断接着強度が20N/25mm未満
【0045】
<耐黄変性>
図1に示す試験片の表面に、水性アクリル系塗料(アトミクス社製 「アトレーヌ水性シルバー」)を塗装し、その塗装面2に紫外線を照射した。紫外線の照射は、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製「S80」)を用いて、63℃シャワー有りの条件下で、1000時間行った。そして、紫外線照射前後の各試料片の接合部の塗装面の色差(ΔE)を、コニカミノルタ社製色差計「CR-400」を使用し測定し、以下の基準に従って判定した。
◎:色差(ΔE)が4.0以下
〇:色差(ΔE)が4.0超、8.0以下
×:色差(ΔE)が8.0超
【0046】
<貯蔵安定性>
実施例及び比較例の各粘着テープの(1)成形直後の針入度と(2)80℃に調整したオーブンにて7日間暴露した後の針入度を、JIS K2207に準拠し荷重100g、温度21℃において測定した。針入度は、規定の針を試験片に垂直に貫入させ、その深さを0.1mm単位で測定した。そして、(1)の針入度から(2)の針入度を差し引いた時の値を、以下の基準に従って判定した。
◎:(1)の針入度-(2)の針入度が12以下
○:(1)の針入度-(2)の針入度が12超、20以下
×:(1)の針入度-(2)の針入度が20超
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
ブチルゴム100質量部、無機充填材50~400質量部、軟化剤10~200質量部、粘着付与剤樹脂10~100質量部、架橋促進剤0.1~10質量部、架橋剤0.1~10質量部を含み、
前記架橋促進剤が、チアゾール系化合物であり、前記架橋剤がキノンジオキシム系化合物であり、
前記粘着付与剤樹脂が脂環族飽和炭化水素樹脂である、防水シート接合用粘着テープ。