(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176770
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/29 20060101AFI20221122BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20221122BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C11D1/29
C11D1/52
B08B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083364
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】397056042
【氏名又は名称】セッツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】大八木 伸
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
【Fターム(参考)】
3B201BA02
3B201BB01
3B201BB94
4H003AB31
4H003AC13
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA09
4H003DA12
4H003DB02
4H003DC02
4H003ED02
4H003FA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物であって、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物であって、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記硬質表面が、金属表面、プラスチック表面、又はガラス表面である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び前記脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率が80質量%以上の洗浄剤原液である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
質量基準で5倍から100倍に水で希釈して使用される、請求項3に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
100℃以下の温度で使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物を用意する工程と、
前記洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着したワックス成分を含む化粧料を洗浄する洗浄工程と、
前記硬質表面を水ですすぐ工程と、
を備える、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄剤組成物は、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び前記脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率が80質量%以上の洗浄剤原液であり、
前記洗浄工程の前に、前記洗浄剤原液を、質量基準で5倍から100倍に水で希釈して、洗浄剤組成物を調製する工程をさらに備える、請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄工程において、前記硬質表面は100℃以下の温度で洗浄される、請求項6又は7に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅化粧料、メイクアップ化粧料などには、ワックス成分などが多く配合されており、化粧品の製造工程において、タンク、配管、撹拌器具などの硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料は、市販の洗浄剤を用いた水洗では除去しにくいという問題がある。
【0003】
また、レストラン、家庭などにおいて、口紅などの汚れが付着した食器についても、汚れが除去しにくいという問題がある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況下、本発明は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該洗浄剤組成物を利用した、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を効率的に洗浄できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物であって、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物。
項2. 前記硬質表面が、金属表面、プラスチック表面、又はガラス表面である、項1に記載の洗浄剤組成物。
項3. 前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び前記脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率が80質量%以上の洗浄剤原液である、項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
項4. 質量基準で5倍から100倍に水で希釈して使用される、項3に記載の洗浄剤組成物。
項5. 100℃以下の温度で使用される、項1~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
項6. ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物を用意する工程と、
前記洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着したワックス成分を含む化粧料を洗浄する洗浄工程と、
前記硬質表面を水ですすぐ工程と、
を備える、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄方法。
項7. 前記洗浄剤組成物は、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び前記脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率が80質量%以上の洗浄剤原液であり、
前記洗浄工程の前に、前記洗浄剤原液を、質量基準で5倍から100倍に水で希釈して、洗浄剤組成物を調製する工程をさらに備える、項6に記載の洗浄方法。
項8. 前記洗浄工程において、前記硬質表面は100℃以下の温度で洗浄される、項6又は7に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供することができる。さらに、本発明は、当該洗浄剤組成物を利用した、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄方法を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物である。本発明の洗浄剤組成物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含むことを特徴としている。
【0010】
本発明の洗浄剤組成物は、これらの構成を備えていることにより、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を効率的に洗浄することができる。
【0011】
以下、本発明の洗浄剤組成物、及び当該洗浄剤組成物を利用した洗浄方法について、詳述する。なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
【0012】
1.洗浄剤組成物
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄剤組成物である。本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む。
【0013】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、ポリオキシアルキレンのアルキレン部分としては、特に制限されないが、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、エチレン、プロピレン、及びブチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましく、エチレンを含んでいることがさらに好ましい。特に、ポリオキシアルキレンは、ポリオキシエチレンであることが好ましい。
【0014】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、ポリオキシアルキレンの繰り返し単位の数(オキシアルキレン基の数)としては、特に制限されないが、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、好ましくは2~10程度、より好ましくは3~9程度、さらに好ましくは4~8程度が挙げられる。
【0015】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、アルキルエーテル部分の炭素数としては、特に制限されないが、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、好ましくは5~20程度、より好ましくは6~18程度、さらに好ましくは8~16程度が挙げられる。
【0016】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの中でも、特に、ポリオキシエチレンアルキル(C12~C14)エーテルが好ましい。
【0017】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0018】
脂肪酸アルカノールアミドの脂肪酸残基(脂肪酸からカルボキシ基を除いた1価の炭化水素基)であるアルキル基またはアルケニル基は、直鎖状でも分岐を有してもよく、直鎖状が好ましい。前記脂肪酸残基の炭素数は8~22が好ましく、10~18がより好ましく、12~14が特に好ましい。脂肪酸アルカノールアミドは、モノアルカノールアミド構造を有するものであってもよく、ジアルカノールアミド構造を有するものであってもよい。硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、ジアルカノールアミド構造を有するものが好ましい。
【0019】
脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、イソステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、脂肪酸N-メチルエタノールアミド等の脂肪酸モノアルカノールアミド;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸モジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジイソプロパノールアミド等の脂肪酸ジアルカノールアミドなどが挙げられる。これらの中でも、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが好適である。
【0020】
脂肪酸アルカノールアミドは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと脂肪酸アルカノールアミドの質量比(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル:脂肪酸アルカノールアミド)としては、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、好ましくは10:90~90:10程度、より好ましくは20:80~50:50程度、さらに好ましくは25:75~40:60程度が挙げられる。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物に含まれるポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率は、本発明の効果を発揮することを限度として、特に制限されない。例えば、本発明の洗浄剤組成物を原液とし、用時に水で希釈して用いる場合であれば、原液としての本発明の洗浄剤組成物(洗浄剤原液ということがある)に含まれるポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上が挙げられる。
【0023】
なお、洗浄剤原液において、水の含有量は、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。本発明の洗浄剤原液において、水の含有量は、実質的に0質量%(不可避的に含まれる水については許容される)とすることも好ましい。
【0024】
洗浄剤原液は、質量基準で5倍から100倍に水で希釈して使用することができる。洗浄剤原液の希釈倍率は、質量基準で例えば5倍から100倍とすることができ、好ましくは10倍から80倍、より好ましくは15倍から50倍、、特に好ましくは20倍から40倍である。
【0025】
水としては、特に制限されず、水道水などを使用することができる。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物を用いて硬質表面を洗浄する際、洗浄剤組成物(水で希釈後の洗浄剤組成物)に含まれるポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率は、0.1~30質量%程度であり、好ましくは0.3~20質量%程度、より好ましくは0.5~10質量%程度、さらに好ましくは1~5質量%程度である。
【0027】
洗浄剤組成物には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドに加えて、アルカリ成分が含まれていてもよい。アルカリ成分としては、特に制限されず、公知の洗浄剤に配合されているものを用いることができる。
【0028】
アルカリ成分の具体例としては、例えば、エタノールアミンなどのアミン化合物が挙げられる。エタノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0029】
洗浄剤組成物にアルカリ成分が含まれる場合、例えば洗浄剤原液中の含有率としては、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0030】
洗浄剤組成物には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドに加えて、溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、特に制限されず、公知の洗浄剤に配合されているものを用いることができる。
【0031】
溶剤の具体例としては、エタノール、プロパノールなどの炭素数1~3のアルコール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコールなどの炭素数1~3のアルキレングリコール;ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。溶剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0032】
洗浄剤組成物に溶剤が含まれる場合、例えば洗浄剤原液中の含有率としては、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0033】
その他、洗浄剤組成物は、公知の洗浄剤に配合されている添加剤(例えば、カチオン界面活性剤など)を含んでいてもよい。洗浄剤組成物に添加剤が含まれる場合、例えば洗浄剤組成物中の有率としては、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0034】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、トリアルキルモノメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N‘-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POE-アルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0035】
洗浄剤組成物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、及び必要に応じて、前述のアルカリ成分、溶剤、添加剤、水を混合することによって調製することができる。
【0036】
本発明の洗浄剤原液は、常温環境(25℃)だけでなく、例えば-5~10℃程度の低温環境においても高い流動性を備えており、水で容易に希釈することができる。
【0037】
本発明の洗浄方法が洗浄対象とする硬質表面は、ワックス成分を含む化粧料が付着したものであれば、特に制限されないが、例えば、金属表面(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなどの表面)、プラスチック表面、ガラス表面が好適である。また、本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料を除去することが求められる、化粧品の製造現場、レストラン、一般家庭などの幅広い場所で好適に使用することができる。特に、化粧品の製造現場においては、ワックス成分を含む化粧料の製造に用いられるタンク、配管、攪拌器などが大型であり、高い洗浄力が求められることから、本発明の洗浄剤組成物は、ワックス成分を含む化粧料の製造工程において、特に好適に使用することができる。
【0038】
洗浄対象となるワックス成分を含む化粧料としては、特に制限されないが、その多くには、ワックス成分、顔料などが含まれている。なお、ワックス成分を含む化粧料としては、基礎化粧品、仕上げ化粧品などが挙げられる。基礎化粧品としては、化粧水、乳液、洗顔料、クレンジング剤、美容液、クレームなどが挙げられる。また、仕上げ化粧品としては、ファンデーション、眉墨(アイブロー)、マスカラ、アイシャドウ、アイライン、口紅、グロス、頬紅(チーク)、マニキュアなどが挙げられる。本発明の洗浄剤組成物は、これらの中でも、口紅の洗浄に特に好適である。
【0039】
洗浄対象となる化粧料に含まれるワックス成分としては、化粧料に使用されているものであれば特に制限されす、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、オレンジラフィー油、ミツロウ、ラノリン、モンタンロウなどが挙げられる。化粧料に含まれるワックス成分は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物を用いた洗浄方法については、後述の通りであり、例えば、本発明の洗浄剤組成物中に硬質表面を浸漬させる方法、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に液の状態で付着させ、ブラシなどで擦り洗いする方法、本発明の洗浄剤組成物をフォーマーなどでフォーム状にして硬質表面に付着させて、ブラシなどで擦り洗いする方法などが挙げられる。なお、洗浄剤組成物をフォーム状するためには、市販のフォーマーを使用すればよい。
【0041】
本発明の洗浄剤組成物の使用温度としては、特に制限されず、例えば100℃以下とすることができ、好ましくは5~80℃程度、より好ましくは10~70℃程度である。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物によって硬質表面を洗浄した後、硬質表面を水ですすぐことで、洗浄剤組成物と共に、ワックス成分を含む化粧料を洗い流すことができる。水で洗い流した後には、必要に応じて、水の拭き取りや、乾燥を行う。
【0043】
2.洗浄方法
本発明の洗浄方法は、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料の洗浄方法である。本発明の洗浄方法は、少なくとも、以下の工程1~3を順に備えている。
(1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、洗浄剤組成物を用意する工程1
(2)洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着したワックス成分を含む化粧料を洗浄する洗浄工程2
(3)硬質表面を水ですすぐ工程3
【0044】
(工程1)
工程1では、洗浄剤組成物を用意する。洗浄剤組成物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドを含む、本発明の洗浄剤組成物である。本発明の洗浄剤組成物の詳細について、前述の通りである。
【0045】
(工程2)
工程2では、工程1で調製した洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着したワックス成分を含む化粧料を洗浄する洗浄工程を行う。
【0046】
本発明の洗浄方法が洗浄対象とする硬質表面について、前述の通りである。
【0047】
洗浄工程を行う際の環境温度としては、特に制限されないが、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、前記の通り、例えば100℃以下とすることができ、好ましくは5~80℃程度、より好ましくは10~70℃程度である。
【0048】
また、洗浄工程において、洗浄剤組成物で硬質表面からワックス成分を含む化粧料を除去する方法としては、前述の通り、例えば、本発明の洗浄剤組成物中に硬質表面を浸漬させる方法、本発明の洗浄剤組成物を硬質表面に液の状態で付着させ、ブラシなどで擦り洗いする方法、本発明の洗浄剤組成物をフォーマーなどでフォーム状にして硬質表面に付着させて、ブラシなどで擦り洗いする方法などが挙げられる。
【0049】
また、洗浄工程においては、洗浄剤を硬質表面に接触させればよいが、硬質表面に付着したワックス成分を含む化粧料をより効率的に洗浄可能とする観点から、洗浄剤を硬質表面に接触させた状態を、例えば1~30分間程度、好ましくは5~20分間程度保持することが好ましい。保持している間は、ブラシなどで硬質表面を磨いてもよいし、洗浄剤が硬質表面に付着した状態で静置してもよい。
【0050】
工程2の洗浄工程に先立ち、工程1で用意した洗浄剤原液を、質量基準で5倍から100倍に水で希釈する工程を設けてもよい。例えば、工程1において、洗浄剤組成物として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び脂肪酸アルカノールアミドの合計含有率が80質量%以上の洗浄剤原液を用意し、洗浄工程の前に、洗浄剤原液を、質量基準で5倍から100倍に水で希釈して、洗浄剤組成物を調製する工程をさらに備えることができる。
【0051】
洗浄剤原液の希釈などについては、前述の通りである。
【0052】
(工程3)
工程3では、工程2で洗浄した硬質表面を水ですすぐ工程を行う。
【0053】
本発明の洗浄剤組成物は、水で好適にすすぐことができる。水ですすぐ時間は特に制限されず、洗浄剤が十分に取り除かれる時間とすればよい。水としては、特に制限されず、水道水などを使用することができる。また、洗浄剤を水ですすぐ際の水の温度としては、特に制限されず、例えば5~60℃程度、好ましくは10~70℃程度が挙げられる。
【0054】
水ですすぐ際の環境温度は、工程2の洗浄工程と同様とすることができる。
【0055】
工程3の後には、必要に応じて、水の拭き取りや、乾燥を行う。
【実施例0056】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0057】
(実施例1,2及び比較例1,2)
[洗浄剤組成物の調製]
実施例1~3においては、表1に記載の質量比となるようにして、ポリオキシエチレンアルキル(C12~C14、EO5mol)エーテル(ポリオキシエチレンラウリルアルコール(株式会社日本触媒製のソフタノール-50))と、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社製の商品名アミゾールFDE(ジエタノールアミン4質量%を含む))とを混合して、洗浄剤原液を調製し、さらに、得られた洗浄剤原液を表1に記載の組成となるようにして水で希釈して洗浄剤組成物を得た。また、比較例1,2においては、ポリオキシエチレンアルキル(C12~C14、EO5mol)エーテル(ポリオキシエチレンラウリルアルコール(株式会社日本触媒製のソフタノール-50))、又は、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社製の商品名アミゾールFDE(ジエタノールアミン4質量%を含む))を、それぞれ、表1に記載の組成となるようにして水で希釈して洗浄剤組成物とした。
【0058】
[口紅の洗浄評価]
洗浄剤組成物を用いて、以下の手順で口紅洗浄評価を行った。まず、ステンレスプレートの表面に、口紅(商品名「メルティリップ」、製造販売元「アサヌマコーポレーション」)を均一に塗布(塗布量は0.03g)したものを試験片とした。次に、予め50℃に調整した洗浄剤組成物中に試験片を15分間浸漬した後、水で1分間すすぎを行い、試験片を乾燥させた。洗浄前後の試験片の重量を測定して、試験片表面から除去され口紅の割合((洗浄前口紅重量-洗浄後口紅重量)÷洗浄前口紅重量×100%重量%)を洗浄力(%)とした。結果を表1に示す。
【0059】
[ミツロウの洗浄評価]
洗浄剤組成物を用いて、以下の手順でミツロウの洗浄評価を行った。まず、ステンレスプレートの表面に、ミツロウを均一に塗布(塗布量は0.6g)したものを試験片とした。次に、予め60℃に調整した洗浄剤組成物中に試験片を15分間浸漬した後、水で1分間すすぎを行い、試験片を乾燥させた。洗浄前後の試験片の重量を測定して、試験片表面から除去されミツロウの割合((洗浄前ミツロウ重量-洗浄後ミツロウ重量)÷洗浄前ミツロウ重量×100%重量%)を洗浄力(%)とした。結果を表1に示す。
【0060】
【0061】
(比較例3~6)
市販の洗浄剤を表2に記載の濃度となるように水で希釈して(又は原液のまま)、比較例3~6の洗浄剤組成物とした。市販の洗浄剤として、比較例3は、台所用中性洗剤(P&G社製の商品名JOY)、比較例4は、アルカリ性レンジ用洗浄剤(花王社製の業務用マジックリン)、比較例5は、アルカリ性自動織機洗浄剤(セッツ社製のビューティークリーンSL)、比較例6は、アルカリ性レンジ用洗浄剤(セッツ社製のレンジスターストロング)を使用した。
【0062】
比較例3~6の洗浄剤組成物についても、前記の[口紅の洗浄評価]及び[ミツロウの洗浄評価]と同様にして、洗浄力の評価を行った。結果を表2に示す。
【0063】