IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三井ハイテックの特許一覧

特開2022-176771鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置
<>
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図1
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図2
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図3
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図4
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図5
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図6
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図7
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図8
  • 特開-鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176771
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/03 20060101AFI20221122BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H01F41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083365
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】吉住 謙佑
【テーマコード(参考)】
5E062
5H622
【Fターム(参考)】
5E062AA06
5E062AC13
5E062AC20
5H622CA02
5H622CA07
5H622CB03
5H622CB05
5H622PP03
(57)【要約】
【課題】本開示は、鉄心製品を効率的に生産することが可能な鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置を説明する。
【解決手段】鉄心製品の製造方法は、保持ユニットに設けられている第1の保持部が第1の挿入物を保持し、保持ユニットに設けられている第2の保持部が第2の挿入物を保持する第1の工程と、第1の工程の後に、第1の受入物の第1の主面に設けられた第1の受入部の開口に第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第1の主面に設けられた第2の受入部の開口に第2の挿入物の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の工程と、第2の工程の後に、保持ユニットが第1の主面に面するように配置された状態で、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入する第3の工程とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持ユニットに設けられている第1の保持部が第1の挿入物を保持し、前記保持ユニットに設けられている第2の保持部が第2の挿入物を保持する第1の工程と、
前記第1の工程の後に、第1の受入物の第1の主面に設けられた第1の受入部の開口に前記第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、前記第1の主面に設けられた第2の受入部の開口に前記第2の挿入物の姿勢が対応するように、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記保持ユニットが前記第1の主面に面するように配置された状態で、前記第1の挿入物を前記第1の保持部から前記第1の受入部へと挿入し、且つ、前記第2の挿入物を前記第2の保持部から前記第2の受入部へと挿入する第3の工程とを含む、鉄心製品の製造方法。
【請求項2】
前記第3の工程の後に、前記第1の保持部が第3の挿入物を保持し、前記第2の保持部が第4の挿入物を保持する第4の工程と、
前記第4の工程の後に、前記第1の主面に設けられた第3の受入部の開口に前記第3の挿入物の姿勢が対応し、且つ、前記第1の主面に設けられた第4の受入部の開口に前記第4の挿入物の姿勢が対応するように、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第5の工程と、
前記第5の工程の後に、前記保持ユニットが前記第1の主面に面するように配置された状態で、前記第3の挿入物を前記第1の保持部から前記第3の受入部へと挿入し、且つ、前記第4の挿入物を前記第2の保持部から前記第4の受入部へと挿入する第6の工程とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の主面における前記第1の受入部及び前記第3の受入部の開口は、一体化されて一つの共通した開口部を構成しており、
前記第6の工程において、前記開口部のうち前記第3の受入部の開口に対応する第1の部分は、前記開口部のうち前記第1の受入部の開口に対応する第2の部分に向けて下るように前記第2の部分よりも上方に位置している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記鉄心製品は回転子鉄心であり、
前記第1の受入部は、前記第1の主面のうちの第1の領域に位置しており、
前記第2の受入部は、前記第1の主面のうち前記第1の領域とは異なる第2の領域に位置しており、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、前記回転子鉄心において構成される複数の磁極のうち異なる磁極に対応している、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の受入物は、前記第1の主面と反対側に位置する第2の主面をさらに含み、
前記第1の受入部及び前記第2の受入部はそれぞれ、前記第1の主面から前記第2の主面まで延びる貫通孔であり、
前記第3の工程は、前記保持ユニットが前記第1の主面に対して面するように配置され、且つ、前記第2の主面における前記第1の受入部の開口及び前記第2の受入部の開口を閉塞するように閉塞部材が前記第2の主面に配置された状態で、前記第1の挿入物を前記第1の保持部から前記第1の受入部へと挿入し、且つ、前記第2の挿入物を前記第2の保持部から前記第2の受入部へと挿入することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の工程の後に、前記第1の受入部が第2の受入物の第5の受入部と連通し、且つ、前記第2の受入部が前記第2の受入物の第6の受入部と連通するように、前記第1の受入物と前記第2の受入物とが配置された状態で、前記第1の受入部内の前記第1の挿入物を前記第5の受入部へと挿入し、且つ、前記第2の受入部内の前記第2の挿入物を前記第6の受入部へと挿入する第7の工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第7の工程は、第3の受入物の全ての受入部にそれぞれ挿入物を挿入している間に、前記第1の受入物の全ての受入部に配置されている各挿入物をそれぞれ、前記第2の受入物のうちの対応する受入部に挿入することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1の主面と、前記第1の主面に開口が設けられた第1の受入部と、前記第1の主面に開口が設けられた第2の受入部とを含む受入物と、
第1の挿入物を保持可能に構成された第1の保持部と、第2の挿入物を保持可能に構成された第2の保持部とを含む保持ユニットと、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の保持部及び前記第2の保持部を制御して、前記第1の保持部に前記第1の挿入物を保持させ、前記第2の保持部に前記第2の挿入物を保持させる第1の処理と、
前記第1の処理の後に、前記保持ユニットを制御して、前記第1の受入部の開口に前記第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、前記第2の受入部の開口に前記第2の受入部の姿勢が対応するように、前記第1の保持部及び前記第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の処理と、
前記第2の処理の後に、前記受入物及び前記保持ユニットの少なくとも一つを制御して、前記保持ユニットが前記第1の主面に面するように前記保持ユニットを前記受入物に対して配置する第3の処理と、
第3の処理の後に、前記保持ユニットを制御して、前記第1の挿入物を前記第1の保持部から前記第1の受入部へと挿入し、且つ、前記第2の挿入物を前記第2の保持部から前記第2の受入部へと挿入する第4の処理とを実行するように構成されている、鉄心製品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は、回転軸の延在方向に延びる複数の磁石挿入孔が設けられた本体(コア)と、複数の磁石挿入孔にそれぞれ配置された複数の永久磁石とを備える回転子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-161828号公報
【特許文献2】特開2020-088879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、鉄心製品を効率的に生産することが可能な鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鉄心製品の製造方法の一例は、保持ユニットに設けられている第1の保持部が第1の挿入物を保持し、保持ユニットに設けられている第2の保持部が第2の挿入物を保持する第1の工程と、第1の工程の後に、第1の受入物の第1の主面に設けられた第1の受入部の開口に第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第1の主面に設けられた第2の受入部の開口に第2の挿入物の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の工程と、第2の工程の後に、保持ユニットが第1の主面に面するように配置された状態で、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入する第3の工程とを含んでいてもよい。
【0006】
鉄心製品の製造装置の一例は、第1の主面と、第1の主面に開口が設けられた第1の受入部と、第1の主面に開口が設けられた第2の受入部とを含む受入物と、第1の挿入物を保持可能に構成された第1の保持部と、第2の挿入物を保持可能に構成された第2の保持部とを含む保持ユニットと、制御部とを備えていてもよい。制御部は、第1の保持部及び第2の保持部を制御して、第1の保持部に第1の挿入物を保持させ、第2の保持部に第2の挿入物を保持させる第1の処理と、第1の処理の後に、保持ユニットを制御して、第1の受入部の開口に第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第2の受入部の開口に第2の受入部の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の処理と、第2の処理の後に、受入物及び保持ユニットの少なくとも一つを制御して、保持ユニットが第1の主面に面するように保持ユニットを受入物に対して配置する第3の処理と、第3の処理の後に、保持ユニットを制御して、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入する第4の処理とを実行するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る鉄心製品の製造方法及び鉄心製品の製造装置によれば、鉄心製品を効率的に生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、回転子積層鉄心の一例を示す正面図である。
図2図2は、挿入装置の一例の一部を示す斜視図である。
図3図3は、挿入装置の一例の一部を示す斜視図である。
図4図4は、挿入治具の一例を示す正面図である。
図5図5は、図4のV-V線断面図である。
図6図6は、挿入治具に挿入物を挿入する方法を説明するための図である。
図7図7は、挿入治具に挿入物を挿入する方法を説明するための図である。
図8図8は、挿入治具に挿入物を挿入する方法を説明するための図である。
図9図9は、挿入治具に挿入物を挿入する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0010】
[回転子積層鉄心]
まず、図1を参照して、回転子積層鉄心10(鉄心製品)の構成について説明する。回転子積層鉄心10は、積層体12(受入物)と、複数の挿入物14と、複数の固化樹脂16とを備える。
【0011】
積層体12は、円筒状を呈している。積層体12の中央部には、中心軸Axに沿って延びるように積層体12を貫通する軸孔12aが設けられている。軸孔12aは、積層体12の積層方向(高さ方向)に延びている(以下では、積層体12の積層方向を単に「積層方向」と称する。)。積層体12は中心軸Ax周りに回転するので、中心軸Axは回転軸でもある。軸孔12a内には、シャフトが挿通される。
【0012】
積層体12には、複数の受入部18が形成されている。図1の例では、24個の受入部18が積層体12に形成されている。受入部18は積層体12の外周縁に沿って所定間隔で並んでいてもよい。受入部18は、中心軸Axに沿って延びるように積層体12の一方の主面Sからその反対側に位置する他方の主面(図示せず)まで貫通する貫通孔であってもよい。受入部18は、積層体12の一方の主面Sから中心軸Axに沿って延びるが他方の主面には到達しない凹部であってもよい。
【0013】
積層方向から積層体12の主面Sを見たときに、主面Sにおける受入部18の開口形状や開口の向きは特に限定されない。主面Sにおける受入部18の開口形状は、例えば、矩形状、弧状、屈曲形状などを呈していてもよい。図1に示される例では、主面Sにおける受入部18の開口は、矩形状を呈している。
【0014】
積層体12は、複数の打抜部材W(図3参照)が積み重ねられて構成されている。打抜部材Wは、金属板(例えば、電磁鋼板)が所定形状に打ち抜かれた板状体であり、積層体12に対応する形状を呈している。高さ方向において隣り合う打抜部材W同士は、カシメによって締結されていてもよいし、接着剤によって接合されていてもよいし、溶接によって結合されていてもよい。積層体12は、いわゆる転積又はスキューによって構成されていてもよい。
【0015】
挿入物14は、例えば永久磁石などの磁性体であってもよい。挿入物14の形状は特に制限されないが、例えば、四角柱状を呈していてもよい。一つの挿入物14が一つの受入部18に挿入されていてもよいし、複数の挿入物14が一つの受入部18に挿入されていてもよい。図1の例では、永久磁石である挿入物14が、受入部18に対して一つずつ挿入されている。この場合、回転子積層鉄心10は、24個の挿入物14を備える。
【0016】
固化樹脂16は、挿入物14が配置されている受入部18内に充填された溶融樹脂の固化物である。固化樹脂16は、挿入物14を受入部18内に固定するように構成されていてもよい。固化樹脂16は、積層方向で隣り合う打抜部材W同士を接合するように構成されていてもよい。図1の例では、回転子積層鉄心10は、受入部18と同数の24個の固化樹脂16を備える。
【0017】
ここで、積層方向から積層体12の主面Sを見たときに、主面Sは、複数の領域(図1の例では6つの領域RA~RF)を含んでいてもよい。複数の領域は、積層体12の外周縁に沿って並んでいてもよい。図1の例では、領域RA~RFは、積層方向から主面Sを見たときに、中心軸Axを基準とした時計回りに並んでいてもよい。
【0018】
各領域RA~RFは、回転子積層鉄心10の一つの磁極を構成していてもよい。各領域RA~RFには、それぞれ同じ数の受入部18(図1の例では4つの受入部18)で構成される受入部群が配置されていてもよい。
【0019】
本明細書において、領域RAに配置される4つの受入部18を「受入部18A」と称し、これらの4つの受入部18Aを個々に「受入部18A」、「受入部18A」、「受入部18A」、「受入部18A」と称することとする。受入部18A~18Aは、積層方向から主面Sを見たときに、中心軸Axを基準とした時計回りに並んでいてもよい。また、受入部18A~18Aに挿入されている挿入物14をそれぞれ「挿入物14A」、「挿入物14A」、「挿入物14A」、「挿入物14A」と称することとする。他の領域RB~RFにおける受入部18及び挿入物14についても同様とする。
【0020】
図1に示される例では、受入部18A,18Aは、中心軸Ax側の端部が領域RAの内側を向くように径方向に沿って延びている。受入部18A,18Aは、周方向に沿って延びている。領域RAにおいて周方向外側に位置する受入部18Aの端部は、受入部18Aの中心軸Ax側の端部と向かい合っている。領域RAにおいて周方向外側に位置する受入部18Aの端部は、受入部18Aの中心軸Ax側の端部と向かい合っている。そのため、図1に示される例では、受入部18A~18Aは全体として、領域RAにおいて、数字の「3」状又はアルファベットの「M」字状に配置されている。
【0021】
[挿入装置]
続いて、図2図5を参照して、挿入装置100(鉄心製品の製造装置)の構成について説明する。挿入装置100は、挿入物14を受入部18に挿入するように構成されている。挿入装置100は、図2及び図3に示されるように、計量部200と、保持ユニット300と、治具ユニット400と、閉塞ユニット500と、保持ユニット600と、押出ユニット700と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0022】
計量部200は、挿入物14の一端部が空中に位置するように複数の挿入物14を支持するように構成されている。計量部200は、例えば、積層体12の各領域RA~RFに配置されている受入部18の数と同数の挿入物14(図2の例では4つの挿入物14)を支持するように構成されていてもよい。複数の挿入物14は、所定間隔をおいて一列に略水平に並ぶように計量部200に支持されてもよい。計量部200は、図2に示されるように、載置された個々の挿入物14の重量を計量し、そのデータをコントローラCtrに送信するように構成されている。
【0023】
保持ユニット300は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、計量部200に支持されている複数の挿入物14を保持して、これらの位置及び/又は姿勢を変化させる(変位させる)ように構成されている。保持ユニット300は、ベース部310と、複数の保持部320と、複数の押出部材330と、駆動部340とを含む。
【0024】
ベース部310は、複数の保持部320を支持するように構成されている。図2に例示されるように、ベース部310は、鉛直方向に沿って拡がる板状体を呈していてもよい。ベース部310には、複数の案内路312が設けられている。図2の例では、ベース部310には、4つの案内路312が設けられている。これらの案内路312を、図2の右から左の順にそれぞれ「案内路312」、「案内路312」、「案内路312」、「案内路312」と称することとする。
【0025】
案内路312は、自身の延在方向に沿って保持部320を案内するように構成されている。案内路312は、直線状を呈していてもよいし、曲線状を呈していてもよいし、屈曲していてもよい。案内路312は、保持部320の基端部が係合されるように構成されていてもよい。例えば、案内路312は、ベース部310を貫通する長孔であってもよいし(図2の例を参照)、ベース部310を貫通しない凹溝であってもよいし、ベース部310の主面から突出する突条(レール)であってもよい。
【0026】
図2の例では、案内路312~312は、上下方向に沿って延びる直線状の長孔である。案内路312~312の上端部は、計量部200に支持される複数の挿入物14の間隔と略等しい間隔で、水平方向に並んでいる。案内路312~312は、下方に向かうにつれて水平方向において外側に拡がるように延びている。案内路312~312の下端部の位置は、ベース部310が後述の治具410と対向した状態において、治具410の所定の受入部412に対応するように設定されている。例えば、図2に例示されるように、案内路312,312は、案内路312,312よりも長さが短く、且つ、案内路312,312よりも傾斜が大きくなるように設定されていてもよい。
【0027】
複数の保持部320はそれぞれ、対応する案内路312と係合している。図2の例では、案内路312~312に対応して、図2の右から左の順にそれぞれ保持部320~320が並んでいる。
【0028】
保持部320は、ベース部310から計量部200に向かうように水平方向に沿って延びている。保持部320は、内部に挿入物14が配置可能な筒状を呈していてもよい。保持部320は、駆動部340によって駆動されることで、計量部200に支持される挿入物14を保持するように構成されている。保持部320は、例えば、負圧で挿入物14を吸着する真空チャックであってもよいし、物理的に挿入物14を挟持するメカニカルチャックであってもよい。保持部320は、駆動部340によって駆動されることで、案内路312に沿って移動するように構成されている(図2の矢印Ar1参照)。
【0029】
保持部320は、案内路312内において、自身の中心部を通る仮想軸周りに回動可能(回転を含む。)に構成されていてもよい(図2の矢印Ar2参照)。保持部320は、例えば、案内路312に沿った移動中に回動してもよいし、案内路312の上端部又は下端部に到達したときに回動してもよい。そのため、保持部320の姿勢(回動角)は、保持部320が案内路312の上端部に位置している状態と、保持部320が案内路312の下端部に位置している状態とで、異なっていてもよい。
【0030】
複数の押出部材330は、棒状を呈している。複数の押出部材330はそれぞれ、対応する保持部320内に基端部側から挿入されている。図2の例では、保持部320~320に対応して、図2の右から左の順にそれぞれ押出部材330~330が並んでいる。
【0031】
押出部材330は、自身の長手方向に沿って進退可能に構成されている。保持部320が挿入物14の保持を解除した状態で、押出部材330が保持部320の先端部に向けて前進することで、保持部320内の挿入物14が前方に押し出される。
【0032】
駆動部340は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、保持ユニット300の各部(ベース部310、保持部320及び押出部材330)を駆動するように構成されている。駆動部340は、例えば、多関節型のロボットアームであってもよい。
【0033】
駆動部340は、図2及び図3のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向にベース部310を移動させるように構成されている。すなわち、ベース部310は、計量部200に近接又は離間する方向(図2及び図3の矢印Ar3参照)と、計量部200と治具410とが並ぶ方向(図2の矢印Ar4参照)と、上下方向(図2の矢印Ar5参照)とで、移動可能に構成されている。
【0034】
駆動部340は、X軸を中心軸としてベース部310を回動(回転を含む。)させるように構成されている。すなわち、ベース部310は、X軸方向(保持ユニット300から計量部200に向かう方向)から見たときに、時計回り又は反時計回りに回動可能(回転を含む。)に構成されている(図2の矢印Ar6参照)。
【0035】
治具ユニット400は、複数の治具410(受入物)と、接続部材420と、回動軸430と、駆動部440とを含む。図3の例では、治具ユニット400は、2つの治具410を含んでいるが、3つ以上の治具410を含んでいてもよい。以下では、図3に例示される2つの治具410のうち、一方を「治具410A」と称し、他方を「治具410B」と称することとする。
【0036】
治具410は、積層体12の受入部18に挿入するための挿入物14を一時的に保持するように構成されている。治具410は、図3及び図4に例示されるように、円柱状を呈していてもよい。治具410には、複数の受入部412が形成されている。図3及び図4の例では、24個の受入部412が治具410に形成されている。受入部412は治具410の外周縁に沿って所定間隔で並んでいてもよい。受入部412は、中心軸Axに沿って延びるように積層体12の一方の主面S1からその反対側に位置する他方の主面S2(図5参照)まで貫通する貫通孔であってもよい。受入部412は、治具410の一方の主面S1から中心軸Axに沿って延びるが他方の主面S2には到達しない凹部であってもよい。
【0037】
X軸方向から治具410の主面S1を見たときに、主面S1における受入部412の開口形状や開口の向きは特に限定されない。主面S1における受入部412の開口形状は、例えば、矩形状、弧状、屈曲形状などを呈していてもよい。図4及び図5に例示されるように、主面S1における受入部412の開口は、周方向において隣り合う他の受入部412の開口と一体化されて一つの共通した開口部OPを構成していてもよい。
【0038】
X軸方向から治具410の主面S2を見たときに、主面S2における受入部412の開口形状や開口の向きは特に限定されない。主面S2における受入部412の開口形状は、例えば、矩形状、弧状、屈曲形状などを呈していてもよい。図5に例示されるように、主面S2における受入部412の開口は、周方向において隣り合う他の受入部412の開口とは一体化されていなくてもよい。
【0039】
図5に例示されるように、主面S1において一つの共通した開口部OPをなし、且つ、主面S2において互いに独立した開口を構成する2つの受入部412が、主面S1から主面S2に到達するまで治具410を貫通するように延びていてもよい。この場合、2つの受入部412は、主面S1から主面S2に向かうにつれて断面積が小さくなるように構成されていてもよい。
【0040】
図5に例示されるように、2つの受入部412は、主面S2側において、開口面積が略一定となる基端部分(開口の断面形状がほぼ変化しない基端部分)を含んでいてもよい。当該基端部分の開口の断面形状は、挿入物14の断面形状と略同じか、挿入物14の断面形状よりもわずかに大きくなるように設定されていてもよい。この場合、当該基端部分において、治具410が挿入物14を容易に保持することが可能となる。
【0041】
ここで、X軸方向から治具410の主面S1を見たときに、主面S1は、複数の領域(図4の例では6つの領域TA~TF)を含んでいてもよい。複数の領域は、積層体12の複数の領域(図1の例では6つの領域RA~RF)にそれぞれ対応しており、外周縁に沿って並んでいてもよい。図4の例では、領域TA~TFは、X軸方向から主面S1を見たときに、治具410の中心を基準とした時計回りに並んでいてもよい。各領域TA~TFには、それぞれ同じ数の受入部412(図4の例では4つの受入部412)で構成される受入部群が配置されていてもよい。
【0042】
本明細書において、領域TAに配置される4つの受入部412を「受入部412A」と称し、これらの4つの受入部412Aを個々に「受入部412A」、「受入部412A」、「受入部412A」、「受入部412A」と称することとする。受入部412A~412Aは、X軸軸方向から主面S1を見たときに、治具410の中心を基準とした時計回りに並んでいてもよい。図4の例では、受入部412A,412Aが一つの共通した開口部OPAをなしており、受入部412A,412Aが一つの共通した開口部OPAをなしている。他の領域TB~TFにおける受入部412についても同様とする。
【0043】
図4に示される例では、受入部412A,412Aは、中心軸Ax側の端部が領域TAの内側を向くように径方向に沿って延びている。受入部412A,412Aは、周方向に沿って延びている。領域TAにおいて周方向外側に位置する受入部412Aの端部は、治具410の中心側における受入部412Aの端部と一体化されて、一つの共通した開口部OPAをなしている。領域TAにおいて周方向外側に位置する受入部412Aの端部は、治具410の中心側における受入部412Aの端部と一体化されて、一つの共通した開口部OPAをなしている。そのため、図4に示される例では、開口部OPA,OPAは、アルファベットの「V」字状を呈しており、頂部が治具410の中心側に向かう姿勢となるように主面S1に配置されている。
【0044】
図3に戻って、接続部材420は、複数の治具410を接続するように構成されている。回動軸430は、X軸方向に沿って延びるように、接続部材420に接続されている。回動軸430は、駆動部440によって駆動されることで、自身の中心部を通る仮想軸周りに回動可能(回転を含む。)に構成されている。回動軸430の回動に伴い、接続部材420を介して、複数の治具410が時計回り又は反時計回りに回動する(図3の矢印Ar7参照)。
【0045】
駆動部440は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、回動軸430を駆動するように構成されている。駆動部440は、例えば、モータであってもよい。
【0046】
閉塞ユニット500は、閉塞部材510と、駆動部520とを含む。閉塞部材510は、治具410の主面S2に配置された状態で、主面S2における受入部412の開口を閉塞するように構成されている。図3に例示されるように、閉塞部材510は、鉛直方向に沿って拡がる板状体を呈していてもよい。
【0047】
駆動部520は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、閉塞部材510を駆動するように構成されている。駆動部520は、例えば、直動アクチュエータであってもよい。駆動部520は、図3のX軸方向に閉塞部材510を移動させるように構成されている。すなわち、閉塞部材510は、治具410に近接又は離間する方向(図3の矢印Ar8参照)に移動可能に構成されている。
【0048】
保持ユニット600は、治具610と、駆動部620とを含む。治具610は、例えば、図示しないプレス装置で形成された積層体12を保持して、挿入装置100に搬送するように構成されていてもよい。治具610は、ベース部611と、挿通ポスト612とを含む。ベース部611は、板状体を呈していてもよい。
【0049】
挿通ポスト612は、ベース部611の略中央部に位置しており、ベース部611の主面から、当該主面に対して直交する方向に沿って突出している。挿通ポスト612は、円柱形状を呈しており、積層体12の軸孔12aに対応する外形を有する。積層体12は、挿通ポスト612が軸孔12a内に挿通され且つ積層体12の一方の主面がベース部611に当接することにより、治具610に搭載された状態となる。なお、治具610がプレス装置から挿入装置100に到着するまでは、治具610の姿勢が正立状態(挿通ポスト612が上方に向けて延びる状態)とされ、積層体12がベース部611に載置されていてもよい。その後、治具610が挿入装置100に到着したときには、治具610の姿勢が横倒れ状態(挿通ポスト612が治具410に向かうように水平方向に沿って延びる状態)とされ、積層体12が挿通ポスト612で保持されていてもよい。
【0050】
駆動部620は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、挿入装置100に到達した治具610を駆動するように構成されている。駆動部620は、例えば、直動アクチュエータであってもよい。駆動部620は、図3のX軸方向に治具610を移動させるように構成されている。すなわち、治具610は、治具410に近接又は離間する方向(図3の矢印Ar10参照)に移動可能に構成されている。
【0051】
押出ユニット700は、治具410の受入部412に保持されている挿入物14を、治具610に保持されている積層体12の受入部18に向けて押し出すように構成されている。押出ユニット700は、ベース部710と、複数の押出部材720と、駆動部730とを含む。
【0052】
図3に例示されるように、ベース部710は、鉛直方向に沿って拡がる板状体を呈していてもよい。複数の押出部材720は、ベース部710の主面から、当該主面に対して直交する方向に沿って突出している。複数の押出部材720は、ベース部710が治具410の主面S1と対向した状態において、治具410の各受入部412に対応する位置に配置されている。
【0053】
駆動部730は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、ベース部710を駆動するように構成されている。駆動部730は、例えば、直動アクチュエータであってもよい。駆動部730は、図3のX軸方向にベース部710を移動させるように構成されている。すなわち、ベース部710は、治具410に近接又は離間する方向(図3の矢印Ar10参照)に移動可能に構成されている。
【0054】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、挿入装置100の各駆動部を動作させるための信号を生成するように構成されている。コントローラCtrは、挿入装置100の各駆動部に当該信号をそれぞれ送信するように構成されている。
【0055】
[挿入物の挿入方法]
続いて、図2図3及び図6図9を参照して、挿入物14の挿入方法(回転子積層鉄心10の製造方法)について説明する。なお、挿入装置100の初期状態として、複数の保持部320が、対応する案内路312の上端部に位置し、Y軸方向において一列に並んでいるものとする。また、当該初期状態として、図3に示されるように、治具410Aと閉塞部材510とがX軸方向において並び、且つ、治具410Bと、積層体12を保持する横倒れ状態の治具610と、ベース部710とが、X軸方向において並んでいるものとする。
【0056】
まず、図2に示されるように、図示しない搬送機構(例えば、ロボットアーム)などにより、計量部200に4つの挿入物14を載置する。計量部200は、個々の挿入物14の重量を計測し、そのデータをコントローラCtrに送信する。コントローラCtrは、当該データに基づいて、挿入物14の重量が所定範囲にあるか否かを判断してもよい。コントローラCtrは、挿入物14の重量が所定範囲にないと判断した場合には、挿入物14に欠け、割れ等の欠陥が存在していたり、規定数以上の挿入物14が計量部200に誤って載置されているといったエラーが発生していると判断してもよい。この場合、コントローラCtrは、作業者に対してエラーの発生を報知してもよいし、エラーの対象である挿入物14を計量部200から排除するように搬送機構を制御してもよい。
【0057】
続いて、コントローラCtrが駆動部340に指示して、ベース部310を計量部200に近づけ、4つの保持部320によって計量部200上の4つの挿入物14をそれぞれ保持させる。ここでは、図2及び図6に例示されるように、保持部320が挿入物14Fを保持し、保持部320が挿入物14Aを保持し、保持部320が挿入物14Aを保持し、保持部320が挿入物14Bを保持するものとする。
【0058】
続いて、コントローラCtrが駆動部340に指示して、X軸方向においてベース部310が治具410Aと対面するように、ベース部310を移動させる(図2及び図3参照)。このとき、保持部320に保持されている挿入物14が挿入される治具410Aの受入部412の位置に応じて、コントローラCtrが駆動部340に指示して、ベース部310の姿勢を変化させるように、ベース部310を回動させてもよい。
【0059】
また、ベース部310の移動中又は移動の前後において、コントローラCtrが駆動部340に指示して、保持部320が案内路312の下端部に位置するように保持部320を移動させる(図3参照)。このとき、図6に示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Fは、X軸方向から見たときに治具410Aの受入部412Fと重なり合い、且つ、主面S1における受入部412Fの開口に対応する姿勢となるように、変位する。保持部320に保持されている挿入物14Aは、X軸方向から見たときに治具410Aの受入部412Aと重なり合い、且つ、主面S1における受入部412Aの開口に対応する姿勢となるように、変位する。保持部320に保持されている挿入物14Aは、X軸方向から見たときに治具410Aの受入部412Aと重なり合い、且つ、主面S1における受入部412Aの開口に対応する姿勢となるように、変位する。保持部320に保持されている挿入物14Bは、X軸方向から見たときに治具410Aの受入部412Bと重なり合い、且つ、主面S1における受入部412Bの開口に対応する姿勢となるように、変位する。
【0060】
続いて、コントローラCtrが駆動部340,520に指示して、閉塞部材510を治具410Aの主面S2に当接させつつ(図5参照)、挿入物14を治具410Aの受入部412に挿入させる。例えば、コントローラCtrが駆動部340に指示して、保持部320による挿入物14の保持(チャック)を解除した状態で、押出部材330を前進させることにより、挿入物14が治具410Aの受入部412に挿入される。
【0061】
具体的には、図6及び図7(a)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Fは、治具410Aの受入部412Fに挿入される。すなわち、開口部OPFを構成する2つの受入部412F,412Fのうち下方に位置する受入部412Fに、挿入物14Fが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Aは、治具410Aの受入部412Aに挿入される。すなわち、開口部OPAを構成する2つの受入部412A,412Aのうち下方に位置する受入部412Aに、挿入物14Aが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Aは、治具410Aの受入部412Aに挿入される。すなわち、開口部OPAを構成する2つの受入部412A,412Aのうち下方に位置する受入部412Aに、挿入物14Aが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Bは、治具410Aの受入部412Bに挿入される。すなわち、開口部OPBを構成する2つの受入部412B,412Bのうち下方に位置する受入部412Bに、挿入物14Bが配置される。
【0062】
保持部320が計量部200から挿入物14を保持する処理から受入部412に挿入する処理までの間に、新たな4つの挿入物14が搬送機構によって計量部200に載置されてもよい。この新たな4つの挿入物14も、計量部200による計量後に、既に保持部320に挿入された挿入物14と同様に、保持ユニット300によって対応する受入部412に挿入される。この一連の処理が繰り返されることにより、治具410Aの全ての受入部412に挿入物14が挿入される。
【0063】
ここで、挿入物14F,14A,14A,14Bに続く新たな4つの挿入物14が、挿入物14A,14B,14B,14Cである場合について説明する。図7(b)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Aは、治具410Aの受入部412Aに挿入される。すなわち、開口部OPAを構成する2つの受入部412A,412Aのうち上方に位置する受入部412Aに、挿入物14Aが配置される。この際、受入部412Aには既に挿入物14Aが挿入されているので、挿入物14Aが受入部412Aに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Bは、治具410Aの受入部412Bに挿入される。すなわち、開口部OPBを構成する2つの受入部412B,412Bのうち下方に位置する受入部412Bに、挿入物14Bが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Bは、治具410Aの受入部412Bに挿入される。すなわち、開口部OPBを構成する2つの受入部412B,412Bのうち上方に位置する受入部412Bに、挿入物14Bが配置される。この際、受入部412Bには既に挿入物14Bが挿入されているので、挿入物14Bが受入部412Bに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Cは、治具410Aの受入部412Cに挿入される。すなわち、開口部OPCを構成する2つの受入部412C,412Cのうち下方に位置する受入部412Cに、挿入物14Cが配置される。
【0064】
次に、挿入物14A,14B,14B,14Cに続く新たな4つの挿入物14が、挿入物14B,14C,14C,14Dである場合について説明する。図8(a)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Bは、治具410Aの受入部412Bに挿入される。すなわち、開口部OPBを構成する2つの受入部412B,412Bのうち上方に位置する受入部412Bに、挿入物14Bが配置される。この際、受入部412Bには既に挿入物14Bが挿入されているので、挿入物14Bが受入部412Bに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Cは、治具410Aの受入部412Cに挿入される。すなわち、開口部OPCを構成する2つの受入部412C,412Cのうち下方に位置する受入部412Cに、挿入物14Cが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Cは、治具410Aの受入部412Cに挿入される。すなわち、開口部OPCを構成する2つの受入部412C,412Cのうち上方に位置する受入部412Cに、挿入物14Cが配置される。この際、受入部412Cには既に挿入物14Cが挿入されているので、挿入物14Cが受入部412Cに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Dは、治具410Aの受入部412Dに挿入される。すなわち、開口部OPDを構成する2つの受入部412D,412Dのうち下方に位置する受入部412Dに、挿入物14Dが配置される。
【0065】
次に、挿入物14B,14C,14C,14Dに続く新たな4つの挿入物14が、挿入物14E,14F,14F,14Aである場合について説明する。図8(b)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Eは、治具410Aの受入部412Eに挿入される。すなわち、開口部OPEを構成する2つの受入部412E,412Eのうち下方に位置する受入部412Eに、挿入物14Eが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Fは、治具410Aの受入部412Fに挿入される。すなわち、開口部OPFを構成する2つの受入部412F,412Fのうち上方に位置する受入部412Fに、挿入物14Fが配置される。この際、受入部412Fには既に挿入物14Fが挿入されているので、挿入物14Fが受入部412Fに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Fは、治具410Aの受入部412Fに挿入される。すなわち、開口部OPFを構成する2つの受入部412F,412Fのうち下方に位置する受入部412Fに、挿入物14Fが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Aは、治具410Aの受入部412Aに挿入される。すなわち、開口部OPAを構成する2つの受入部412A,412Aのうち上方に位置する受入部412Aに、挿入物14Aが配置される。この際、受入部412Aには既に挿入物14Aが挿入されているので、挿入物14Aが受入部412Aに落下することが抑制されている。
【0066】
次に、挿入物14E,14F,14F,14Aに続く新たな4つの挿入物14が、挿入物14D,14E,14E,14Fである場合について説明する。図9(a)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Dは、治具410Aの受入部412Dに挿入される。すなわち、開口部OPDを構成する2つの受入部412D,412Dのうち下方に位置する受入部412Dに、挿入物14Dが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Eは、治具410Aの受入部412Eに挿入される。すなわち、開口部OPEを構成する2つの受入部412E,412Eのうち上方に位置する受入部412Eに、挿入物14Eが配置される。この際、受入部412Eには既に挿入物14Eが挿入されているので、挿入物14Eが受入部412Eに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Eは、治具410Aの受入部412Eに挿入される。すなわち、開口部OPEを構成する2つの受入部412E,412Eのうち下方に位置する受入部412Eに、挿入物14Eが配置される。保持部320に保持されている挿入物14Fは、治具410Aの受入部412Fに挿入される。すなわち、開口部OPFを構成する2つの受入部412F,412Fのうち上方に位置する受入部412Fに、挿入物14Fが配置される。この際、受入部412Fには既に挿入物14Fが挿入されているので、挿入物14Fが受入部412Fに落下することが抑制されている。
【0067】
次に、挿入物14D,14E,14E,14Fに続く新たな4つの挿入物14が、挿入物14C,14D,14D,14Eである場合について説明する。図9(b)の斜線で示されるように、保持部320に保持されている挿入物14Cは、治具410Aの受入部412Cに挿入される。すなわち、開口部OPCを構成する2つの受入部412C,412Ctrのうち上方に位置する受入部412Cに、挿入物14Cが配置される。この際、受入部412Cには既に挿入物14Cが挿入されているので、挿入物14Cが受入部412Cに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Dは、治具410Aの受入部412Dに挿入される。すなわち、開口部OPDを構成する2つの受入部412D,412Dのうち上方に位置する受入部412Dに、挿入物14Dが配置される。この際、受入部412Dには既に挿入物14Dが挿入されているので、挿入物14Dが受入部412Dに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Dは、治具410Aの受入部412Dに挿入される。すなわち、開口部OPDを構成する2つの受入部412D,412Dのうち上方に位置する受入部412Dに、挿入物14Dが配置される。この際、受入部412Dには既に挿入物14Dが挿入されているので、挿入物14Dが受入部412Dに落下することが抑制されている。保持部320に保持されている挿入物14Eは、治具410Aの受入部412Eに挿入される。すなわち、開口部OPEを構成する2つの受入部412E,412Eのうち上方に位置する受入部412Eに、挿入物14Eが配置される。この際、受入部412Eには既に挿入物14Eが挿入されているので、挿入物14Eが受入部412Eに落下することが抑制されている。
【0068】
治具410Aの全ての受入部412に挿入物14が挿入されると、コントローラCtrが駆動部440に指示して、治具410A,410Bの位置が入れ替わるまで、接続部材420及び回動軸430を介して治具410A,410Bを回動させる(図3参照)。これにより、治具410Aと、積層体12を保持する横倒れ状態の治具610と、ベース部710とが、X軸方向において並ぶ。一方、治具410Aと位置が入れ替わった治具410Bと、閉塞部材510とがX軸方向において並ぶ。これにより、積層体12の受入部18と、治具410Aの受入部412と、押出部材720とが、X軸方向において重なり合った状態となる。
【0069】
続いて、コントローラCtrが駆動部620,730に指示して、積層体12及びベース部611と、ベース部710とで、治具410Aを挟持させる。これにより、押出部材720が、受入部412内における挿入物14を積層体12の受入部18に向けて押し出す。これにより、積層体12の全ての受入部18に挿入物14が略同時に挿入される。
【0070】
ここで、挿入物14を治具410Bの受入部412に挿入している間に、挿入物14を治具410Aから積層体12の受入部18に挿入する処理が行われてもよい。なお、新たな積層体12の受入部18に挿入物14を挿入するため、この処理が完了した後に、コントローラCtrが駆動部440に指示して、治具410A,410Bの位置が入れ替わるように治具410A,410Bを再び回動させてもよい。その後、押出部材720により、治具410Bの受入部412から新たな積層体12の受入部18に向けて挿入物14を挿入してもよい。
【0071】
受入部18に挿入物14が挿入された積層体12を保持する治具610は、正立状態となり、図示しない樹脂注入装置に搬送される。樹脂注入装置は、例えば、支持型と、樹脂ポット内に樹脂材料(例えば、樹脂タブレット、樹脂粉末など)が配置された加熱型とで、治具610と共に積層体12を挟持した状態で、樹脂ポット内の樹脂材料を溶融して受入部18に注入するように構成されていてもよい。その後、受入部18に注入された溶融樹脂が固化することにより、回転子積層鉄心10が完成する。
【0072】
[作用]
以上の例によれば、保持部320を変位させることにより、挿入物14の姿勢を受入部412に対応させた状態にしてから、挿入物14を受入部412に挿入している。そのため、複数の受入部412の態様(形状、姿勢など)が異なっていても、複数の挿入物14を対応する受入部412に略同時に挿入することができる。そのため、回転子積層鉄心10を効率的に生産することが可能となる。
【0073】
以上の例によれば、開口部OPのうち相対的に下方に位置する受入部412に対して先に挿入物14が挿入され、その後、開口部OPのうち相対的に上方に位置する受入部412に対して別の挿入物14が挿入されうる。この場合、先に開口部OPに挿入された挿入物14が下に移動してしまい、後から開口部OPに挿入された挿入物14と干渉するといった事態が防がれる。したがって、挿入物14を適切に受入部412に配置することが可能となる。
【0074】
以上の例によれば、保持部320によって保持されている一の挿入物14と他の挿入物14とが、治具410における異なる領域内の受入部412に略同時に挿入されうる。例えば、領域TA内の受入部412A,412Aと、領域TF内の受入部412Fと、領域TB内の受入部412Bとのそれぞれに、略同時に挿入物14が挿入されうる。すなわち、保持部320によって保持されている全ての挿入物14が、治具410における同一の領域内の受入部412に略同時に挿入されなくてもよい。この場合、挿入物14の挿入対象となる受入部412が比較的互いに離れて位置することとなるので、保持部320の変位に制約が生じ難い。したがって、全ての保持部320を有効利用することができるので、回転子積層鉄心10をより効率的に生産することが可能となる。
【0075】
以上の例によれば、押出部材330によって挿入物14を保持部320から治具410の受入部412に向けて押し出すことで、挿入物14を受入部412に挿入しうる。また、押出部材720によって受入部412を治具410から積層体12の受入部18に向けて押し出すことで、挿入物14を受入部18に挿入しうる。この場合、簡易な構成で素早く、挿入物14を受入部412,18に挿入することが可能となる。
【0076】
以上の例によれば、治具410の主面S2に閉塞部材510が配置された状態で、挿入物14を保持部320から治具410の受入部412に挿入しうる。この場合、受入部412に挿入物14を挿入する際に、挿入物14の受入部412からの脱落が防止される。そのため、受入部412に挿入物14をより確実に配置することが可能となる。
【0077】
以上の例によれば、挿入物14をいったん治具410の受入部412に挿入して挿入物14の姿勢を受入部412において整えた後、挿入物14を治具410から積層体12の受入部18に挿入しうる。この場合、挿入物14の最終的な移送先である積層体12の受入部18に対して、挿入物14を素早く且つ精度よく挿入することが可能となる。
【0078】
以上の例によれば、治具410Bの受入部412に挿入物14が補充されているときに、治具410Aの受入部412から、最終的な移送先となる積層体12の受入部18に対して、挿入物14が移されてもよい。この場合、挿入物14の補充と移送とが略同時期に行われるので、回転子積層鉄心10をより効率的に生産することが可能となる。
【0079】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0080】
(1)複数の挿入物14で構成される組物が一つの受入部18,412内に挿入されていてもよい。この場合、複数の挿入物14は、受入部18,412内において、受入部18,412の長手方向に並んでいてもよいし、当該長手方向に交差する方向に並んでいてもよい。一つの受入部18,412内に対して、複数の挿入物14が同時期に挿入されてもよいし、複数の挿入物14が別々に挿入されてもよい。
【0081】
(2)受入部18,412に対する挿入物14の挿入方向は、特に限定されない。すなわち、挿入方向は、水平方向に沿った方向であってもよいし、斜め上向き方向であってもよいし、斜め下向き方向であってもよいし、下方向であってもよいし、上方向であってもよい。受入部18,412に対して下から挿入物14を挿入する場合には、挿入装置100は、挿入物14が受入部18,412に挿入された後に挿入物14を支持する機構(例えば、シャッタ機構)をさらに備えていてもよい。
【0082】
(3)治具410における同じ領域内の複数の受入部412に対して、挿入物14を略同時に挿入してもよい。
【0083】
(4)複数の治具410を用いて、一つの積層体12の受入部18に対して挿入物14を挿入するようにしてもよい。例えば、複数の受入部18のうちの一部に対して、治具410Aの受入部412から挿入物14を挿入した後、複数の受入部18のうちの残部に対して、治具410Bの受入部412から挿入物14を挿入してもよい。
【0084】
(5)保持部320から積層体12の受入部18に対して挿入物14を直接挿入するようにしてもよい。
【0085】
(6)樹脂注入装置の加熱型の樹脂ポット内に樹脂材料を配置する際に、本技術を適用してもよい。すなわち、挿入物14が樹脂材料(例えば、樹脂タブレット、樹脂粉末)であってもよい。この場合も、挿入物14をいったん治具の受入部に挿入した後に、当該治具から加熱型の樹脂ポット内に樹脂材料を挿入するようにしてもよいし、保持部320から加熱型の樹脂ポット内に樹脂材料を直接挿入するようにしてもよい。
【0086】
(7)一つの案内路312は、治具410の複数の受入部412のうちの少なくとも2つに対応する複数の位置を含んでいてもよい。この場合、一つの保持部320がとりうる姿勢又は位置が増えるので、一つの案内路312を用いて、姿勢又は位置が異なる各種の受入物に対応することが可能となる。一つの案内路312は、例えば、治具410のうちの一の受入部412に対応する第1の位置と、治具410のうちの他の受入部412に対応する第2の位置とを含んでいてもよい。一つの案内路312は、例えば、一端から、第1の位置又は第2の位置に向かうために、途中で二股に分岐する長孔で構成されていてもよい。
【0087】
[他の例]
例1.鉄心製品の製造方法の一例は、保持ユニットに設けられている第1の保持部が第1の挿入物を保持し、保持ユニットに設けられている第2の保持部が第2の挿入物を保持する第1の工程と、第1の工程の後に、第1の受入物の第1の主面に設けられた第1の受入部の開口に第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第1の主面に設けられた第2の受入部の開口に第2の挿入物の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の工程と、第2の工程の後に、保持ユニットが第1の主面に面するように配置された状態で、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入する第3の工程とを含んでいてもよい。
【0088】
ところで、鉄心製品を製造する際に、受入物(例えば、鉄心製品を構成する本体、治具など)に設けられている複数の受入部に対してそれぞれ、挿入物(例えば、磁性体、樹脂タブレットなど)を挿入する工程が存在する。受入部の開口形状は、例えば、矩形状、弧状、屈曲形状など、鉄心製品の種類に応じて異なっていることがある。しかも、一の受入部の開口の向きが、他の挿入孔の開口の向きと異なっていることがある。そのため、全ての受入部に挿入物を一度に配置することが困難であった。したがって、作業者又は作業ロボットが、受入部の態様(受入部の開口形状や、受入部の開口の向きなど)に応じて挿入物の姿勢を合わせながら、挿入物を一つずつ受入部に挿入するのが一般的であり、作業に長時間を要していた。特に近年、モータの性能向上を目的として、受入部の数が増加すると共に、受入部の開口形状や開口姿勢が多様化する傾向にあり、生産性のさらなる向上が求められていた。
【0089】
しかしながら、例1によれば、少なくとも一つの保持部を変位させることにより、第1及び第2の挿入物の姿勢をそれぞれ第1及び第2の受入部に対応させた状態にしてから、第1及び第2の挿入物をそれぞれ第1及び第2の受入部に挿入している。そのため、第1及び第2の受入部の態様が異なっていても、第1及び第2の挿入物をそれぞれ第1及び第2の受入部に略同時に挿入することができる。そのため、鉄心製品を効率的に生産することが可能となる。
【0090】
例2.例1の方法は、第3の工程の後に、第1の保持部が第3の挿入物を保持し、第2の保持部が第4の挿入物を保持する第4の工程と、第4の工程の後に、第1の主面に設けられた第3の受入部の開口に第3の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第1の主面に設けられた第4の受入部の開口に第4の挿入物の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第5の工程と、第5の工程の後に、保持ユニットが第1の主面に面するように配置された状態で、第3の挿入物を第1の保持部から第3の受入部へと挿入し、且つ、第4の挿入物を第2の保持部から第4の受入部へと挿入する第6の工程とをさらに含んでいてもよい。
【0091】
例3.例2の方法において、第1の主面における第1の受入部及び第3の受入部の開口は、一体化されて一つの共通した開口部を構成しており、第6の工程において、開口部のうち第3の受入部の開口に対応する第1の部分は、開口部のうち第1の受入部の開口に対応する第2の部分に向けて下るように第2の部分よりも上方に位置していてもよい。この場合、開口部のうち相対的に下方に位置する第2の部分に対して先に第1の挿入物が挿入され、その後、開口部のうち相対的に上方に位置する第1の部分に対して第3の挿入物が挿入される。そのため、先に開口部に挿入された挿入物が下に移動してしまい、後から開口部に挿入された挿入物と干渉するといった事態が防がれる。したがって、挿入物を適切に受入部に配置することが可能となる。
【0092】
例4.例1又は例2の方法において、鉄心製品は回転子鉄心であり、第1の受入部は、第1の主面のうちの第1の領域に位置しており、第2の受入部は、第1の主面のうち第1の領域とは異なる第2の領域に位置しており、第1の領域と第2の領域とは、回転子鉄心において構成される複数の磁極のうち異なる磁極に対応していてもよい。ところで、第1の受入物の所定の領域に複数の受入部がある場合、これらの複数の受入部が互いに近接する傾向にある。そのため、当該所定の領域にある複数の受入部にそれぞれ挿入物を略同時に挿入しようとしても、保持ユニットの物理的な制約上、保持部を変位させることが困難となる場合がある。しかしながら、例4によれば、第1の受入部が第1の領域に位置しており、第2の受入部が、第1の領域とは異なる第2の領域に位置している。そのため、第1及び第2の受入部が比較的離れて位置することとなるので、保持部の変位に制約が生じ難い。したがって、全ての保持部を有効利用することができるので、鉄心製品をより効率的に生産することが可能となる。
【0093】
例5.例1~例4のいずれかの方法において、第1の受入物は、第1の主面と反対側に位置する第2の主面をさらに含み、第1の受入部及び第2の受入部はそれぞれ、第1の主面から第2の主面まで延びる貫通孔であり、第3の工程は、保持ユニットが第1の主面に対して面するように配置され、且つ、第2の主面における第1の受入部の開口及び第2の受入部の開口を閉塞するように閉塞部材が第2の主面に配置された状態で、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入することを含んでいてもよい。この場合、第1の受入物の受入部に挿入物を挿入する際に、挿入物の受入部からの脱落が防止される。そのため、第1の受入物の受入部に挿入物をより確実に配置することが可能となる。
【0094】
例6.例1~例5のいずれかの方法は、第3の工程の後に、第1の受入部が第2の受入物の第5の受入部と連通し、且つ、第2の受入部が第2の受入物の第6の受入部と連通するように、第1の受入物と第2の受入物とが配置された状態で、第1の受入部内の第1の挿入物を第5の受入部へと挿入し、且つ、第2の受入部内の第2の挿入物を第6の受入部へと挿入する第7の工程をさらに含んでいてもよい。この場合、挿入物は、いったん第1の受入物の受入部に挿入されて当該受入部において姿勢が整えられた後に、第1の受入物の受入部から第2の受入物の受入部へとさらに挿入される。そのため、挿入物の最終的な移送先である第2の受入物の受入部に対して、挿入物を素早く且つ精度よく挿入することが可能となる。
【0095】
例7.例6の方法において、第7の工程は、第3の受入物の全ての受入部にそれぞれ挿入物を挿入している間に、第1の受入物に全ての受入部に配置されている各挿入物をそれぞれ、第2の受入物のうちの対応する受入部に挿入することを含んでいてもよい。この場合、第7の工程において、第1及び第2の受入物とは別の第3の受入物の受入部に保持ユニットが挿入物を挿入するのと略同時期に、第1の受入物の受入部から第2の受入物の受入部に挿入物を挿入している。すなわち、第1及び第3の受入物のうち一方に対して挿入物が補充されているときに、第1及び第3の受入物のうち他方から、最終的な移送先となる受入物に対して、挿入物が移される。したがって、挿入物の補充と移送とが略同時期に行われるので、鉄心製品をより効率的に生産することが可能となる。
【0096】
例8.鉄心製品の製造装置の一例は、第1の主面と、第1の主面に開口が設けられた第1の受入部と、第1の主面に開口が設けられた第2の受入部とを含む受入物と、第1の挿入物を保持可能に構成された第1の保持部と、第2の挿入物を保持可能に構成された第2の保持部とを含む保持ユニットと、制御部とを備えていてもよい。制御部は、第1の保持部及び第2の保持部を制御して、第1の保持部に第1の挿入物を保持させ、第2の保持部に第2の挿入物を保持させる第1の処理と、第1の処理の後に、保持ユニットを制御して、第1の受入部の開口に第1の挿入物の姿勢が対応し、且つ、第2の受入部の開口に第2の受入部の姿勢が対応するように、第1の保持部及び第2の保持部の少なくとも一つを変位させる第2の処理と、第2の処理の後に、受入物及び保持ユニットの少なくとも一つを制御して、保持ユニットが第1の主面に面するように保持ユニットを受入物に対して配置する第3の処理と、第3の処理の後に、保持ユニットを制御して、第1の挿入物を第1の保持部から第1の受入部へと挿入し、且つ、第2の挿入物を第2の保持部から第2の受入部へと挿入する第4の処理とを実行するように構成されていてもよい。この場合、例1の方法と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0097】
10…回転子積層鉄心(鉄心製品)、12…積層体(受入物)、14…挿入物、18…受入部、100…挿入装置、300…保持ユニット、320…保持部、330…押出部材、400…治具ユニット、410…治具(受入物)、500…閉塞ユニット、510…閉塞部材、Ctr…コントローラ(制御部)、OP…開口部、RA~RF,TA~TF…領域、S,S1,S2…主面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9