(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176776
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】フェイスシールド取付具、およびフェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221122BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 L
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083373
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】591200715
【氏名又は名称】加賀産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】溝口 治
(72)【発明者】
【氏名】辻川 仁
(72)【発明者】
【氏名】国分 博史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良司
(72)【発明者】
【氏名】浅野 喜昭
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA12
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】容易に装着でき利便性に優れたフェイスシールドが得られるフェイスシールド取付具を提供する。
【解決手段】フェイスシールド材20に取り付けられるシールド保持部材101と、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を含む外周面を有し、フェイスシールド材20の左右方向が軸心方向と平行なるよう、シールド保持部材101に設けられた回転軸102と、頭部用衣類のつばに対して着脱自在に取り付けられるクリップ103と、連結された2つの第二の挟圧片1041を有し、連結部分の内側に、回転軸102を、軸心が略水平かつ頭部用衣類の正面に対し略平行となるよう着脱自在に保持する回転軸保持部材104とを備え、第二の挟圧片1041の連結部分の内側に回転軸102に嵌合する形状の嵌合孔1043が設けられ、回転軸102が嵌合孔1043にはめ込まれ、段階的に回転自在となるよう保持するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
つば付きの頭部用衣類のつばにフェイスシールド材を取り付けるためのフェイスシールド取付具であって、
フェイスシールド材の上部に着脱自在に取り付けられて、当該フェイスシールド材を保持するシールド保持部材と、
等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を含む外周面を有しており、前記シールド保持部材に取り付けられるフェイスシールド材の左右方向が軸心方向と平行なるよう、前記シールド保持部材に対して設けられた回転軸と、
上下に対向するよう配置され、前端間が連結された2つの第一の挟圧片を有しており、第一の挟圧片間に前記頭部用衣類のつばを挟み込んで、当該つばに対して着脱自在に取り付けられるクリップと、
上下に対向するよう配置され、前端または後端間が連結された2つの第二の挟圧片を有しており、前記回転軸を、前記第二の挟圧片の連結部分の内側に、当該回転軸の軸心が、略水平かつ前記クリップが固定される前記頭部用衣類の正面に対して略平行となるよう着脱自在に保持する回転軸保持部材とを備え、
前記回転軸保持部材は、前記クリップの下部または上部に設けられており、
前記回転軸保持部材の、前記第二の挟圧片の連結部分の内側には、前記回転軸に嵌合する形状の嵌合孔が前記上下の第二の挟圧片間の間隙に連通して設けられており、前記回転軸は、前記嵌合孔にはめ込まれることにより、段階的に回転自在となるよう保持されるフェイスシールド取付具。
【請求項2】
前記回転軸保持部材は、前記クリップの上部に設けられており、
前記2つの第二の挟圧片は、後端間が連結されており、
前記第一の挟圧片のうちの上側の第一の挟圧片の後端と、前記第二の挟圧片のうちの下側の第二の挟圧片の前端とが連結されており、
前記クリップと前記回転軸保持部材とは、一体成型されており、
前記回転軸は、等角度間隔で設けられた幅が等しい4つの平面部と、隣り合う平面部間にそれぞれ設けられた円弧部とを含む外周面を有しており、
前記クリップは、頭部用衣類の正面のつばの、左右方向における中心近傍に取り付けられる請求項1記載のフェイスシールド取付具。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のフェイスシールド取付具と、
当該フェイスシールド取付具のシールド保持部材に取り付けられたフェイスシールド材とを備えたフェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスシールド等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、一枚のフィルム片からなり、装着時に顔面の前方に位置するシールド部と、装着時に額と前記シールド部との間に位置し、前記顔面と前記シールド部との間にスペースを形成するスペーサー部と、を有するフェイスシールドが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6830559号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来においては、フェイスシールドの後方に取り付けた紐を頭部に巻き付けることにより、フェイスシールドを装着するため、フェイスシールドを容易に装着できない、という課題があった。
【0005】
また、シールド部の取付角度を装着後に変更できないため、例えば、シールド部を使用者の顔面前方から一時的に取り外したり、飲食時や、顔面を拭いたりするために、シールド部と使用者の顔面との間の距離を開きたい場合には、フェイスシールドを取り外さなければならず、利便性が悪いという課題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、容易に装着できるとともに利便性に優れたフェイスシールドを得ることができるフェイスシールド取付具、およびこれを用いたフェイスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフェイスシールド取付具は、つば付きの頭部用衣類のつばにフェイスシールド材を取り付けるためのフェイスシールド取付具であって、フェイスシールド材の上部に着脱自在に取り付けられて、フェイスシールド材を保持するシールド保持部材と、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を含む外周面を有しており、シールド保持部材に取り付けられるフェイスシールド材の左右方向が軸心方向と平行なるよう、シールド保持部材に対して設けられた回転軸と、上下に対向するよう配置され、前端間が連結された2つの第一の挟圧片を有しており、第一の挟圧片間に頭部用衣類のつばを挟み込んで、つばに対して着脱自在に取り付けられるクリップと、上下に対向するよう配置され、前端または後端間が連結された2つの第二の挟圧片を有しており、回転軸を、第二の挟圧片の連結部分の内側に、回転軸の軸心が、略水平かつクリップが固定される頭部用衣類の正面に対して略平行となるよう着脱自在に保持する回転軸保持部材とを備え、回転軸保持部材は、クリップの下部または上部に設けられており、回転軸保持部材の、第二の挟圧片の連結部分の内側には、回転軸に嵌合する形状の嵌合孔が上下の第二の挟圧片間の間隙に連通して設けられており、回転軸は、嵌合孔にはめ込まれることにより、段階的に回転自在となるよう保持されるフェイスシールド取付具である。
【0008】
かかる構成により、容易に装着できるとともに利便性に優れたフェイスシールドを得ることができる。
【0009】
また、本発明のフェイスシールド取付具は、前記フェイスシールド取付具において、回転軸保持部材は、クリップの上部に設けられており、2つの第二の挟圧片は、後端間が連結されており、第一の挟圧片のうちの上側の第一の挟圧片の後端と、第二の挟圧片のうちの下側の第二の挟圧片の前端とが連結されており、クリップと回転軸保持部材とは、一体成型されており、回転軸は、等角度間隔で設けられた幅が等しい4つの平面部と、隣り合う平面部間にそれぞれ設けられた円弧部とを含む外周面を有しており、クリップは、頭部用衣類の正面のつばの、左右方向における中心近傍に取り付けられるようにしてもよい。
【0010】
かかる構成により、クリップと回転軸保持部材とを簡単な構造として容易に製造することができる。また、フェイスシールド材を2段階で上下に開閉させることができる。また、クリップを頭部用衣類の正面の一か所に取り付けるだけで、フェイスシールドをバランスよく取り付けることができ、フェイスシールドの装着が容易となる。
【0011】
また、本発明のフェイスシールドは、前記のフェイスシールド取付具と、フェイスシールド取付具のシールド保持部材に取り付けられたフェイスシールド材とを備えたフェイスシールドである。
【0012】
かかる構成により、容易に装着できるとともに利便性に優れたフェイスシールドを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に装着できるとともに利便性に優れたフェイスシールドを得ることができるフェイスシールド取付具等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態におけるフェイスシールド取付具を示す図(
図1(a)-
図1(f))
【
図2】同フェイスシールド取付具が有する第一の部材を示す図(
図2(a)-
図2(f))
【
図3】同フェイスシールド取付具が有する第二の部材を示す図(
図3(a)-
図3(f))
【
図4】同フェイスシールド取付具の斜視図(
図4(a))、第一の部材を示す斜視図(
図4(b))、および第二の部材を示す斜視図(
図4(c))
【
図5】同フェイスシールドを示す図(
図5(a)-
図5(f))
【
図6】同フェイスシールドの斜視図(
図6(a))、およびフェイスシールド材の斜視図(
図6(b))
【
図7】同フェイスシールドをつばに取り付けた状態を示す図(
図7(a)-
図7(c))
【
図8】同留め具の斜視図(
図8(a))、および留め具によるフェイスシールド材の取り付け方を説明するための図(
図8(b)-
図8(d))
【
図9】同フェイスシールドの組み立て方を説明するための斜視図
【
図10】同フェイスシールド取付具の、回転軸の軸心に垂直な切断部端面図(
図10(a))、回転軸を第二の挟圧片間に挿入している状態を示す切断部端面の模式図(
図10(b)、
図10(c))
【
図11】同フェイスシールドが取り付けられた帽子を示す側面図(
図11(a)、
図11(b))
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、フェイスシールド取付具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるフェイスシールド取付具の正面図(
図1(a))、背面図(
図1(b))、右側面図(
図1(c))、
図1(a)のId-Id線による断面図(
図1(d))、平面図(
図1(e))、および底面図(
図1(f))である。なお、左側面図は、右側面図と対称につき省略している。
【0017】
図2は、本実施の形態におけるフェイスシールド取付具が有する第一の部材の、第二の部材から取り外されている状態を示す正面図(
図2(a))、背面図(
図2(b))、右側面図(
図2(c))、
図2(a)のIId-IId線による断面図(
図2(d))、平面図(
図2(e))、および底面図(
図2(f))である。なお、左側面図は、右側面図と対称につき省略している。
【0018】
図3は、本実施の形態におけるフェイスシールド取付具が有する第二の部材の、第一の部材から取り外されている状態を示す正面図(
図3(a))、背面図(
図3(b))、右側面図(
図3(c))、嵌合孔近傍の拡大右側面図(
図3(d))、平面図(
図3(e))、および底面図(
図3(f))である。なお、左側面図は、右側面図と対称につき省略している。
【0019】
図4は、本実施の形態におけるフェイスシールド取付具の斜視図(
図4(a))、第一の部材の、第二の部材から取り外されている状態を示す斜視図(
図4(b))、第二の部材の、第一の部材から取り外されている状態を示す斜視図(
図4(c))である。
【0020】
図5は、本実施の形態におけるフェイスシールドの正面図(
図5(a))、背面図(
図1(b))、右側面図(
図5(c))、
図5(a)のVd-Vd線による断面図(
図5(d))、平面図(
図5(e))、および底面図(
図5(f))である。なお、左側面図は、右側面図と対称につき省略している。
【0021】
図6は、本実施の形態におけるフェイスシールドの斜視図(
図6(a))およびフェイスシールド材の斜視図(
図6(b))である。
【0022】
図7は、本実施の形態におけるフェイスシールドをつば付きの頭部用衣類のつばに取り付けた状態の一例を示す斜視図(
図7(a))、正面図(
図7(b))、右側面図(
図7(c))である。
図10(a)は、本実施の形態におけるフェイスシールド取付具が有する回転軸の、軸心に垂直な切断部端面図である。
【0023】
フェイスシールド1は、フェイスシールド取付具10およびフェイスシールド材20を備える。
【0024】
フェイスシールド取付具10は、第一の部材10aと、第二の部材10bとを備える。
第一の部材10aは、シールド保持部材101および回転軸102を備える。
第二の部材10bは、クリップ103および回転軸保持部材104を備える。
【0025】
フェイスシールド取付具10は、つば付きの頭部用衣類のつばにフェイスシールド材20を取り付けるためのものである。フェイスシールド1は、例えば、人間の頭部等に装着され、人間の顔面を覆うものである。フェイスシールド1は、例えば、人の咳やくしゃみ等による飛沫や花粉、ウイルスを遮断する用途に用いられる。ただし、フェイスシールド1の使用用途等はこれに限定されない。
【0026】
フェイスシールド材20は、透光性を有する樹脂製シートまたはフィルムである。フェイスシールド材20は、好ましくは、透明な樹脂製シートまたはフィルムであることが好ましい。フェイスシールド材20の厚さは問わない。フェイスシールド材20の正面のサイズは、人間の顔面前方に配置した場合に、人間の顔面を覆うサイズであることが好ましい。ここでは、
図5(a)に示すように、フェイスシールド材10の正面形状は、フェイスシールド取付具10に取り付けられた状態で略矩形形状となっている。フェイスシールド材10の正面形状は、例えば、四隅が丸められた角丸四角形形状であってもよく、下辺が下側に凸になるよう湾曲した形状であってもよい。フェイスシールド材20は、下辺の長さが上辺の長さよりも短い台形形状等であってもよい。なお、フェイスシールド材20の形状は、上記の形状に限定されない。
【0027】
フェイスシールド材20は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、左右の端部側が背面側に位置するよう湾曲した形状を有している。例えば、フェイスシールド材20は、
図7(a)に示すように、フェイスシールド材20が取り付けられるつば付きの頭部用衣類のつばに沿って、左右の端部側が背面側に位置するよう湾曲した形状を有していることが好ましい。フェイスシールド材20は、後述する湾曲する板状部材1010の外側の形状に沿って左右の端部側が、左右方向における中心側の部分に対して背面側に位置するよう湾曲した形状を有していてもよい。背面側は、後方側と考えてもよい。フェイスシールド材20は、後述する板状部材1010に、全体が接していてもよく、部分的に接していてもよく、接していなくてもよい。ここでは、フェイスシールド材20の左右の部分が、後述する留め具105で板状部材1010に対して留められて、板状部材1010の外側の部分に接しており、中心側の部分が、板状部材1010の外側の部分(言い換えれば、正面側の部分)に接していないよう、フェイスシールド取付具10に対して取り付けられている例を示している。なお、フェイスシールド材20の形状やサイズ等は、上記の形状やサイズ等に限定されない。また、フェイスシールド材20は、上記のように予め湾曲してもよく、上記のように湾曲するよう、後述する板状部材1010の正面に沿って、フェイスシールド取付具10に取り付けられるものであって、取り付ける前は湾曲していないものであってもよい。また、フェイスシールド材20は、上記のように湾曲していなくてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態においては、フェイスシールド取付具10にフェイスシールド材20が取り付けられて保持されているものが、フェイスシールド1であるとする。また、第二の部材10bは、例えば、シールド保持用クリップと考えてもよい。
【0029】
つば付きの頭部用衣類とは、つば付きの帽子や、サンバイザーや、つば付きのフード等である。つばは、庇やブリム等と呼ばれる場合がある。つば付きの帽子は、つば付きのヘルメット等を含むと考えてもよい。つば付きの頭部用衣類は、前つば付きの帽子や、全周につばを有する帽子等の、少なくとも頭部用衣類を着用したユーザの正面側につばを有する頭部用衣類であることが好ましい。
【0030】
以下、本実施の形態においては、フェイスシールド取付具10によりフェイスシールド材20が取り付けられるつば付きの頭部用衣類が、
図7(a)-
図7(c)等に示すような、野球帽のように正面側につば50を有するいわゆる前つば付きの帽子5である場合を主な例に挙げて説明する。ただし、帽子5以外の、他のつば付きの頭部用衣類のつばに取り付けて使用してもよいことはいうまでもない。
【0031】
シールド保持部材101は、フェイスシールド材20の上部に着脱自在に取り付けられて、フェイスシールド材20を保持する。シールド保持部材101は、左右方向に長く、幅(ここでは、高さ方向の長さ)が狭い板状部材1010と、この板状部材1010の背面側に設けられた一対の挟持アーム1011とを有している。
【0032】
板状部材1010の正面形状は、左右方向の中心周辺の下辺が上側に向かって凹んでいるとともに、左右の端部周辺の上片が、それぞれ、端部に向かって下側に下がっている。ただし、板状部材1010の正面形状は、上記の形状に限定されない。板状部材1010は、左右の端部側が、中心側よりも背面側(言い換えれば後方側)に位置するよう湾曲している。板状部材1010の平面形状は、例えば、フェイスシールド取付具10が取り付けられるつば付きの頭部用衣類の正面側のつばの縁部の形状に沿った形状であることが好ましい。例えば、通常、前つば付きの帽子5の前つばの縁部の平面形状は略U字形状となっている。このため、ここでは、フェイスシールド取付具10が取り付けられる頭部用衣類を前つば付きの帽子5と想定し、板状部材1010の平面形状を、帽子5の前つばの縁部と同様の略U字形状としている。湾曲する板状部材1010の外側の縁は、ここでは、水平方向に対して垂直な面となっている。フェイスシールド材20は、例えば、湾曲する板状部材1010の外側の面に沿って配置され、板状部材1010に取り付けられる。ただし、板状部材1010の外側の面と、フェイスシールド材20とは平行に取り付けられていても、平行に取り付けられていなくてもよい。なお、板状部材1010の平面形状やサイズ等は、上記の形状やサイズ等に限定されない。
【0033】
板状部材1010の左右の端部は、他の部分よりも幅が狭く(言い換えれば、高さ方向の長さが短い)なっている。この左右の端部は、後述する留め具105の環状部材1055をはめ込むためのはめ込み部1015として用いられる。板状部材1010の上部の、はめ込み部1015と、はめ込み部1015の前方側の部分と、の間には、ここでは、段差1016が設けられている。段差1016は、後述する留め具105の前方へのずれを防止のためのものであり、この段差1016に、後述する留め具105のはめ込み部1015にはめた環状部材1053が当接されることで、留め具105が段差1016よりも前方にずれないようにすることができる。ただし、段差は省略してもよい。
【0034】
図2(a)-
図2(f)等に示すように、シールド保持部材101の左右の端部側には、それぞれ、フェイスシールド材20を取り付けるために用いられる係止孔1012が設けられている。ここでは、板状部材1010の左右の側面側の、はめ込み部1015よりも前方側の部分に係止孔1012が設けられている。なお、ここでは、一つの係止孔1012が設けられている例について説明するが、左右の側面にそれぞれ設けられた係止孔の数は、1以上であれば、その数は問わない。例えば、前後方向の異なる位置にそれぞれ係止孔1012を設けることで、横方向の長さがフェイスシールド材を取り付けることが可能となる。
【0035】
図8(a)は、フェイスシールド材20をシールド保持部材101に取り付けるための留め具105の斜視図、および
図8(b)-
図8(d)は、留め具によるフェイスシールド材20の取り付け方を説明するための、シールド保持部材101の板状部材1010の、正面から見て左端となる部分の近傍を模式的に示す斜視図である。
【0036】
留め具105は、フェイスシールド材20をシールド保持部材101に正面側に取り付けるためのものである。留め具105としては、一般的なフェイスシールドに利用可能な留め具と同様の物が利用可能である。留め具105としては、例えば、
図8(a)に示すように、上記の嵌め込み部105にはめ込まれる環状部材1053と、長手方向の第一の端部側の表面に係止突起1052が突設され、長手方向の第二の端部側が環状部材1053に対して揺動可能に取り付けられた板状片1051とを備えたものが用いられる。環状部材1053は、その開口部が板状片1051の長手方向を向くよう板状片1051に取り付けられている。留め具105の第一の端部側は、留め具105をシールド保持部材101に取り付ける際に第二の端部に対して正面側となる側である。また、環状部材1053は、はめ込み部1051にはめ込んだ状態で、板状片1051の表面が、板状部材1010の外側の面に対向するように板状片1051に取り付けられている。環状部材1053の長手方向の長さは、例えば、5-10mmであるが、これに限定されない。係止突起1052は、上記の係止孔1012に挿入可能な径を有しているとともに、先端部分1052aが、先端以外の部分よりも径が大きくなっており、係止孔1012に挿入された状態で係止する。係止突起1052の先端部分1052aは、係止孔1012にはめ込みやすくなるよう、先端に向かって先細りとなる形状となっている。係止突起1052先端部分1052a以外の部分の長さ(言い換えれば高さ)は、例えば、係止孔1012の長さと、シールド材20の厚さとを加算した長さと同程度の長さである。
【0037】
留め具105は、例えば、弾性を有する、合成ゴムや、シリコンゴム等のゴム状の樹脂であることが好ましい。ただし、留め具105の材質は、これらに限定されない。
【0038】
フェイスシールド材20は、
図6(b)、および
図8(b)等に示すように、フェイスシールド材20の上部(例えば、上辺近傍部分や、上辺から100mm以内の部分)の左右には、板状部材1010の正面側にフェイスシールド材20の上部が位置し、かつ、フェイスシールド材20の左右方向の中心が、板状部材1010の左右の中心が略一致するよう、フェイスシールド材20を湾曲するよう配置した場合に、板状部材1010の左右の係止孔1012と重なる位置に、それぞれ、フェイスシールド材20を、板状部材1010に取り付けるための孔201が設けられている。孔201は、留め具105の係止突起1052を挿入可能なサイズを有している。
【0039】
フェイスシールド材20の左辺および右辺の、フェイスシールド取付具10に取り付ける際にフェイスシールド材20の左右のはめ込み部1015と重なる位置には、それぞれ、水平方向に内側に向かって凹んでいる凹部202が設けられている。凹部202は、フェイスシールド材20の左右の上部に設けられた孔201と略同じ高さ位置に設けられている。この凹部202は、板状片1051の表面をフェイスシールド材20の表面に対向させ、長手方向をフェイスシールド材20の左右方向に向けた状態の留め具105の環状部材1053を差し込み可能な形状を有している。例えば、凹部202の、フェイスシールド材20の左右方向の長さおよび高さ方向の長さは、環状部材1053の、留め具105の長手方向および幅方向における長さと同じ、またはほぼ同じ長さである。における長さおよび幅ほうこうの留め具105の係止突起1052は、上記のように凹部202内に環状部材1053を配置した状態で、フェイスシールド材20の孔201にはめ込み可能な位置に突設されている。フェイスシールド材20の凹部202に環状部材1053を差し込んでシールド保持部材101にフェイスシールド20を取り付けることにより、フェイスシールド材101が凹部202に係合して、フェイスシールド材20が左右の係止突起1052の周りを回動することを防ぐことができる。ただし、凹部202の形状やサイズは、上記に限定されない。また凹部202は省略してもよい。
【0040】
フェイスシールド材20を、シールド保持部材101に取り付ける場合、まず、
図8(a)に示すような留め具105を2つ用意し、それぞれの環状部材1053を、シールド保持部材101の板状部材1010の左右の端部の嵌め込み部1015にはめ込む。環状部材1053は、板状片1051の表面側が、板状部材1010の外側に対向するようはめ込まれる。次に、フェイスシールド材20を、シールド保持部材101の板状部材1010の正面側(言い換えれば、板状部材1010の外側)に、シールド保持部材101の左側の係止孔1012と、フェイスシールド材2の左上の孔201とを重なるように配置する。ここでは、
図8(b)に示すように、フェイスシールド材20の左右の辺を、留め具105と、板状部材1010との間に挟み込むように配置するとともに、左右の凹部202に、はめ込み部1015にはめ込んだ環状部材1053が差し込まれるようにする。
【0041】
上記のように、係止孔1012と孔201とを重ねた状態で、重ねた孔に、外側から係止突起1052を挿入する。ここでは、前方側の係止孔1012と、フェイスシールド材2の左上の孔201とを重なるように配置し、この重ねた孔に、
図8(c)に示すように、外側から係止突起1052を挿入する。係止突起1052が、孔201を経て、係止孔1012に挿入され、係止孔1012に係止することで、
図8(d)に示すように、フェイスシールド材20の左上を、シールド保持部材101の板状部材1010の左側に留め具105により留めることができる。留め具105が弾性を有しているため、係止突起1052を係止孔1012に係止させることで、フェイスシールド材20は、留め具105の板状片1051と、板状部材1010との間に挟まれて保持される。
【0042】
同様にして、シールド保持部材101の右側の係止孔1012とフェイスシールド材20の右上の孔201とを重ね合わせた状態で、この重ねた孔に、上記と同様に、右側の嵌め込み部1015にはめ込んだ留め具105の係止突起1052を挿入することにより、フェイスシールド材20の右上を、シールド保持部材101の板状部材1010の右側に留め具105により留めることができ、これにより、2つの留め具105を用いてフェイスシールド材20の上部をフェイスシールド取付具10に取り付けて、フェイスシールド取付具10により、フェイスシールド材20を着脱可能に保持することができる。なお、フェイスシール材20のシールド保持部材101への取り付け方は、上記に限定されない。例えば、ここでは、フェイスシールド取付具10の左側から先にフェイスシールド材20を取り付けるようにしたが、右側から先にフェイスシールド材20を取り付けるようにしてもよいことはいうまでもない。また、例えば、フェイスシールド材20の左右のそれぞれにおいて、孔201に留め具105の係止突起1052を挿入し、凹部202に留め具105の環状部材1053を差し込んだ後、環状部材1053を、左右の嵌め込み部1015にはめ込み、孔201に挿入した係止突起1052を、係止孔1012に挿入するようにしてもよい。
【0043】
また、ここでは、板状部材1010とフェイスシールド材20との左右の2か所を、それぞれ、留め具105により留めるようにしたが、左右の2か所に加えて、さらに板状部材1010とフェイスシールド材20の上部との重なり合う位置に、1以上の箇所に孔を設けて、3以上の箇所を留め具105と同様の係止突起1052を有する留め具により留めるようにしてもよい。なお、留め具105は、フェイスシールド1の一部と考えても、考えなくてもよい。
【0044】
また、板状部材1010に対するフェイスシールド材20の留め方は、上記のような留め具105を用いた留め方に限定されない。例えば、上記以外の留め具を用いて留めるようにしてもよい。また、例えば、留め具を用いずに留めるようにしてもよい。例えば、板状部材1010の正面の、上記の孔1012と対向する位置に、上記の係止突起1052等と同様の、先端が先端以外の部分よりも太い係止突起(図示せず)を設けるようにし、この係止突起を、フェイスシールド材20に設けられた孔201に押し込むことで、板状部材1010にフェイスシールド材20を取り付けられるようにしてもよい。また、クリップ(図示せず)等で、板状部材1010と、フェイスシールド材20の上部とを挟んで止めるようにしてもよく、板状部材1010の正面側に設けられた複数のフック等に、フェイスシールド材20の上部に設けられた孔等を引掛けるようにしてもよい。また、粘着テープ等により、板状部材1010と、フェイスシールド材20の上部とを止めるようにしてもよい。留め具を用いない場合、留め具は省略してよい。ただし、フェイスシールド材20を板状部材1010に対して着脱自在に留められるようにすることが好ましい。
【0045】
また、上記においては、フェイスシールド材20を板状部材1010の正面に取り付けるようにしたが、フェイスシールド材20を板状部材1010の背面側に取り付けてもよい。また、板状部材1010の底面側に、正面と背面との間に左右に伸びる溝(図示せず)を設け、この溝に、フェイスシールド材20の上辺を挟むようにしてもよい。また、板状部材1010にフェイスシールド材20をクリップ等(図示せず)でぶら下げてもよい。
【0046】
回転軸102は、シールド保持部材101に設けられている。
図2(d)および
図10(a)に示すように、回転軸102は、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部1021を含む外周面102aを有している。平面部1021は、回転軸102の軸心を中心とする円の接線に平行な平面である。各平面部1021は、例えば、回転軸102の軸心方向と平行な方向に伸びる帯状の平面である。各平面部1021の幅とは、例えば、各平面部1021の回転軸102の軸心を中心とする円の接線方向の長さである。各平面部1021の幅は、例えば、各平面部1021の回転軸の軸心に対して垂直な方向の長さと考えてもよい。ここでの平面部1021の間隔とは、例えば、隣り合う平面部1021の、回転軸102を通る法線がなす角度である。平面部1021が、等角度間隔で設けられているということは、例えば、隣り合う平面部102の、回転軸102の軸心を通る法線同士がなす角度が等しくなるよう複数の平面部102が設けられていることである。例えば、外周面が有する平面1021の数がn(nは4以上の整数)である場合、各平面部1021は、回転軸102の軸心の周りに(360÷n)度の間隔ごとに設けられている。
【0047】
外周面102aの隣り合う平面部1021間には、それぞれ、軸心から離れる方向に凸となる円弧部1022が設けられている。円弧部1022の曲率半径は、円弧部1022と隣り合う平面部1021とがなす辺から、回転軸102の軸心までの距離であることが好ましい。例えば、円弧部1022は、回転軸102の軸心を中心とする円であって、円弧部1022と隣り合う平面部1021とがなす辺から、回転軸102の軸心までの距離を半径とする円の外周と重なる円弧形状(あるいはこの円の外周の一部を切り出した円弧形状)であることが好ましい。例えば、回転軸102は、円柱の外周面を複数の平面で切り欠いたような形状であってもよく、この平面で切り欠いた部分を平面部1021とし、平面で切り欠かれずに残った部分を曲面部1022としてもよい。平面部1021および円弧部1022は、例えば、各平面部1021と各円弧部1022とが接する辺が、等角度間隔となるよう設けられていることが好ましい。例えば、各平面部1021および各円弧部1022の、回転軸102の軸心を中心とする円の接線方向の長さは、同じ長さであることが好ましい。
【0048】
本実施の形態においては、
図2(d)および
図10(a)に示すように、回転軸102が、等角度間隔で設けられた幅が等しい4つの平面部1021と、隣り合う平面部1021間にそれぞれ設けられた円弧部1022とを含む外周面102aを有している場合を主な例に挙げて説明する。また、本実施の形態の回転軸102においては、4つの平面部1021が90度間隔で設けられており、各平面部1021および各円弧部1022の、回転軸102の軸心を中心とする円の接線方向の長さが同じ長さであり、各円弧部1022が、円弧部1022と隣り合う平面部1021とがなす辺から、回転軸102の軸心までの距離を半径とする、回転軸102の軸心を中心とする円の外周と重なる円弧形状であるものとする。
【0049】
なお、回転軸102は、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を含む外周面を有しているものであれば、上記のような円弧部102を有していないものであってもよく、例えば、回転軸1022は、軸心方向が高さ方向となる正角柱であってもよい。この場合、回転軸102の外周面を構成する各平面が、平面部1021となる。ここでの高さ方向は、言い換えれば、正角柱の底面に垂直な方向である。回転軸102は、例えば、正n角柱(nは、3以上の整数)形状を有している。回転軸102は、例えば、正四角柱形状-正十角柱形状のいずれかの形状を有していることが好ましく、正八角柱形状を有していることがより好ましい。また、この場合、正角柱の外周面の角の部分は、回転軸102の回転が容易となるよう丸められていてもよい。この場合、丸められた部分を上記のような円弧部1022と考えてもよい。
【0050】
回転軸102の軸心方向の長さは、12mm-45mmであり、好ましくは、17mm-30mmであり、より好ましくは、20mm-26mmである。回転軸102の角柱形状部分の、軸心から、隣り合う側面同士がなす角の部分までの距離は、2mm-4mmであり、好ましくは、2.5mm-3.5mmである。ただし、これらのサイズに限定されない。
【0051】
回転軸102は、後述する回転軸保持部材104の嵌合孔1043にはめ込まれる部分のうちの、嵌合孔1043の長さの5割以上、好ましくは8割以上の長さの部分、好ましくは全体が、少なくとも上記のような4以上の平面部1021を含む外周面を有していることが好ましい。嵌合孔1043の長さとは、例えば、嵌合孔1043が伸びる方向の長さと考えてもよい。
【0052】
回転軸102は、その軸心方向が、シールド保持部材101に取り付けられるフェイスシールド材20の左右方向に対して平行になるよう、シールド保持部材101に対して設けられている。ここでは、回転軸102は、板状部材1010の後方に向かって伸びている2つの挟持アーム1011の間に挟持されるよう、板状部材1010の後方側に設けられている例について説明する。回転軸102は、2つの挟持アーム1011の後端近傍に挟持されるよう、設けられている。回転軸102は、2つの挟持アーム1011に固定されている。回転軸102は、例えば、その軸心と、板状部材1010の最も前方側の位置との距離が、40mm-50mmとなる、好ましくは、44-46mmとなる位置に設けられている。ただし、この距離に限定されない。2つの挟持アーム1011は、ここでは、シールド保持部材101の板状部材1010の背面側に設けられている。2つの挟持アーム1011は、ここでは、シールド保持部材101の板状部材1010の背面および上面に設けられている。2つの挟持アーム1011は、板状部材1010の長手方向に所望の間隔を隔てて設けられている。2つの挟持アームの、シールド保持部材101の正面に対して垂直な方向の長さは、41mm-55mmとなる、好ましくは、45-49mmである。ただし、長さはこれに限定されない。一対の挟持アーム1011は、板状部材1010の左右方向の中心近傍に設けられていることが好ましく、左右方向の中心に対して線対称となる位置に設けられていることがさらに好ましい。ここでは、2つの挟持アーム1011の後方側の部分は、後方に向かうにしたがって両者が接近するような形状を有している。また、ここでは2つの挟持アーム1011の正面側の部分は、後方側に向かうにしたがって上方に伸びるような形状を有している。このため、ここでは、回転軸102は、板状部材1010の正面から見て、板状部材1010の上辺よりも上方に配置されている。ここでは、回転軸102は、一の平面部1021が、シールド保持部材101の正面に対して略平行となるよう設けられている。ただし、一の平面が略平行でなくてもよい。
【0053】
なお、回転軸102を挟持する挟持アーム1011の形状やサイズ、取り付け位置等は上記に限定されない。挟持アーム1011は、板状部材1010の上面や下面や正面に取り付けられていてもよい。また、回転軸102の、板状部材1010に対する前後方向の位置は上記に限定されない。例えば、回転軸102は、板状部材1010に対して、上記よりも近い位置に設けられていてもよく、離れた位置に設けられていてもよい。また、回転軸102は、板状部材1010の後方側に設けられていなくてもよく、例えば、板状部材1010の前方側に設けられていてもよい。ただし、回転軸102は、板状部材1010の後方側に設けられていることが好ましい。回転軸102の、板状部材1010に対する左右方向の位置は、板状の部材1010の左右方向の中心近傍であることが好ましい
【0054】
また、回転軸102は、2つの挟持アーム1011により挟持されていなくてもよい。例えば、回転軸102は、板状部材1010の左右方向の中心近傍に設けられていてもよい。つまり、板状部材1010の中心近傍が、軸心方向が左右方向である回転軸102となっていてもよい。また、回転軸102は、板状部材1010と同じ高さや、板状部材1010よりも下方に設けられていてもよい。また、回転軸102は、板状部材1010に取り付けられた後方に伸びる一つのアーム(図示せず)に設けられていてもよい。
【0055】
クリップ103は、上下に対向するよう配置された2つの第一の挟圧片1031を有している。第一の挟圧片1031は、例えば、対向配置された板状片である。2つの第一の挟圧片1031は、前端間が連結されている。ここでの前端とは、正面側の端部である。前端間の連結は、前端縁間の連結であってもよい。ここでは、2つの第一の挟圧片1031の前端縁間が、2つの第一の挟圧片1031を連結しつつ、接近させる方向へ弾性付勢する付勢部1032により連結されている。クリップ103は、例えば、側面形状が略U字形状を有している。2つの第一の挟圧片1031は、平面形状の幅が10mm-40mmの板状片である。2つの第一の挟圧片1031の平面形状の幅は20mm-30mmであることが好ましい。ただし、幅等はこれに限定されない。ここでは、2つの第一の挟圧片1031の平面形状および側面形状が異なる形状である例について説明するが、2つの第一の挟圧片1031は、平面形状または側面形状が同じ形状であってもよい。また、側面形状については、線対称となる形状であってもよい。本実施の形態においては、クリップ103は合成樹脂製であるが、その材質は、合成樹脂に限定されるものではなく、例えば、少なくとも一部が金属製であってもよい。また、クリップ103は、金属板等の心材を有していてもよい。また、クリップ103は、第一の挟圧片1031と、付勢部1032とが異なる材質であってもよい。
【0056】
クリップ103は、第一の挟圧片1031間に頭部用衣類のつばを挟み込んで、このつばに対して着脱自在に取り付けられる。クリップ103は、通常、つばの縁を挟み込む。クリップ103は、好ましくは、頭部用衣類の正面のつばの、左右方向における中心近傍を挟み込んで取り付けられる。クリップ103は、例えば、帽子5の前つばの前縁の、左右方向における中心近傍を挟み込んで取り付けられる。クリップ103は、例えば、正面のつばを前方から挟み込んで取り付けられる。クリップ103は、2つの第一の挟圧片1031の、連結されていない後端側の間の開口部分から、2つの第一の挟圧片1031間に、帽子のつばを、連結された前端側に向かって挿入していくことにより、付勢部1032により接近させる方向へ弾性付勢された上下の2つの第一の挟圧片1031によりつばを挟み込んでつばに対して取り付けられる。なお、クリップ103は、上下の第一の挟圧片1031間に頭部用衣類のつばを挟み込んで、このつばに対して着脱自在に取り付けられるものであれば、上記のような構造のものに限定されない。
【0057】
回転軸保持部材104は、第二の挟圧片1041、付勢部1042、および嵌合孔1043を備える。
【0058】
回転軸保持部材104は、クリップ103の上部に設けられている。回転軸保持部材104は、上下に対向するよう配置された2つの第二の挟圧片1041を有している。第二の挟圧片1041は、例えば、対向配置された板状片である。2つの第二の挟圧片1041は、後端間が連結されている。ここでの後端端とは、背面側の端部である。後端間の連結は、後端縁間の連結であってもよい。ここでは、2つの第二の挟圧片1041の後端縁間が、2つの第二の挟圧片1041を連結しつつ、接近させる方向へ弾性付勢する付勢部1042により連結されている。回転軸保持部材104は、例えば、側面形状が略U字形状を有している。2つの第二の挟圧片1041は、平面形状の幅が10mm-40mmの板状片である。2つの第二の挟圧片1041の平面形状の幅は15mm-25mmであることが好ましく、18mm-21mmであることが好ましい。ただし、幅等はこれに限定されない。ここでは、2つの第二の挟圧片1041の平面形状および側面形状が異なる形状である例について説明するが、2つの第二の挟圧片1041は、平面形状または側面形状が同じ形状であってもよい。また、側面形状については、線対称となる形状であってもよい。本実施の形態においては、回転軸保持部材104は合成樹脂製であるが、その材質は、合成樹脂に限定されるものではなく、例えば、少なくとも一部が金属製であってもよい。また、回転軸保持部材104は、金属板等の心材を有していてもよい。また、回転軸保持部材104は、第二の挟圧片1041と、付勢部1042とが異なる材質であってもよい。
【0059】
回転軸保持部材104は、回転軸102を、2つの第二の挟圧片1041の連結部分の内側に着脱自在に保持する。回転軸保持部材104は、回転軸102の軸心が略水平となり、かつ回転軸102の軸心が、クリップ103が固定される頭部用衣類の正面に対して略平行となるよう回転軸102を、連結部分の内側に保持する。2つの第二の挟圧片1041の連結部分の内側とは、例えば、付勢部1042の内側の部分と、2つの第二の挟圧片1041の付勢部1042側の内側の部分である。内側の部分とは、例えば、2つの第二の挟圧片1041および付勢部1042によって囲まれる部分や、付勢部1042によって折り曲げられているように見える回転軸保持部材104の内側の部分である。
【0060】
回転軸保持部材104の、第二の挟圧片1041の連結部分の内側には、回転軸102に嵌合する嵌合孔1043が上下の第二の挟圧片1041間の間隙に連通して設けられている。嵌合孔1043は、例えば、クリップ103が固定される頭部用衣類の正面に対して略平行となり、かつ略水平となる方向に直線状に伸びる貫通孔である。嵌合孔1043は、例えば、回転軸保持部材104の左右方向に伸びる貫通孔である。回転軸102に嵌合する嵌合孔1043は、例えば、縦断面形状が、回転軸102の4以上の平面部1021を含む部分における軸心に垂直な断面と、形状およびサイズがほぼ同じである孔である。例えば、回転軸102が、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を有している場合、嵌合孔1043は、内周の形状が、等角度間隔で設けられた幅が等しい4以上の平面部を含む形状を有する貫通孔とする。例えば、本実施の形態においては、回転軸102が、上記のように、等角度間隔で設けられた幅が等しい4つの平面部1021と、隣り合う平面部1021間にそれぞれ設けられた円弧部1022とを含む外周面102aを有しているため、嵌合孔1043は、内周面が、回転軸102の外周面102aと同様に、等角度間隔で設けられた幅が等しい4つの平面部1043aと、隣り合う平面部1021間にそれぞれ設けられた円弧部1043bとを含む形状を有する貫通孔とする。円弧部1043bは、例えば、嵌合孔1043の外周方向に凸となる形状を有している。ただし、嵌合孔1043は、上下の第二の挟圧片1041間の間隙に連通しているため、側面形状が、回転軸102の軸心に垂直な断面に対して、この間隙に連通する部分を切り欠いた形状となっている。ここでの縦断面形状は、例えば、嵌合穴1043の伸びる方向に垂直な断面である。縦断面形状とは、例えば、正面に対して垂直かつ、水平面に対して垂直な断面である。上下の第二の挟圧片1041間の厚さは、回転軸102の最も細い部分の太さ(例えば、軸心を介して対向する平面部1021間の距離)よりも薄くなっており、嵌合孔1043に嵌合された回転軸102が、第二の挟圧片1041から容易に抜け落ちないようになっている。ここでは、一例として、嵌合孔1043の平面部1043aの一つは、回転軸保持部材104の正面に対して略平行となっている。ただし、必ずしも略平行にしなくてもよい。
【0061】
回転軸102は、嵌合孔1043にはめ込まれることにより、段階的に回転自在となるよう回転軸保持部材104により保持される。例えば、回転軸保持部材104の上下の第二の挟圧片1041間の厚さが、回転軸102の平面部1021を含む部分の最も細い部分の太さ(例えば、軸心を介して対向する側面間の距離等)よりも薄くなっているとともに、上下の第二の挟圧片1041が、互いに近づく方向に付勢されているため、嵌合孔1043に嵌合した状態の回転軸102は、第二の挟圧片1041間を通って回転軸保持部材104から容易に抜け落ちないようになっている。回転軸102を回転させるために、ユーザが回転軸102の回転方向に力を加えると、回転軸102の外周面の平面部1021の、回転軸102の幅方向の端部や、平面部1021に隣接する円弧部1022等が、正角柱形状の嵌合孔1043の内側の平面部1043a(例えば、上下の平面部1043a等)に係合して、平面に対して外側方向の力が加えられて、互いに近づく方向に付勢されている上下の第二の挟圧片1041に対して、逆方向に力を加えることとなり、回転軸102を回転可能とする。ただし、ユーザが回転する力を加えていない状態においては、上下の第二の挟圧片1041等が、互いに近づく方向に付勢されているため、回転軸102が、嵌合孔1043に嵌合していない状態では、回転軸102が不安定となり、回転軸102は、嵌合孔1043に嵌合した状態で保持される。
【0062】
回転軸102の形状が、n(nは4以上の整数)個の平面部1021を有する場合、回転軸102を、(360/n)度回転させても、回転の前後で同じ形状となり、嵌合孔1043に嵌合することとなるため、回転軸保持部材104が、回転軸102を、(360/n)度ごとに段階的に回転可能となるように保持することができる。例えば、回転軸102が、上記のように4つの平面部1021を有する場合、回転軸保持部材104は、回転軸102を、90度単位で段階的に回転するように保持することができる。なお、回転軸102および嵌合孔1043は、回転軸102を嵌合孔1043にはめ込んだ状態であって、回転軸102を段階的に回転させた場合の一の段階において、第一の部材10aの正面と、第二の部材10bの正面とが略平行となるよう設けられていることが好ましい。
【0063】
なお、第二の挟圧片1041の嵌合孔1043等が設けられている部分の上方から見た幅は、回転軸102の長さと同じ長さ、または回転軸102よりも長い長さとする。ただし、第二の挟圧片1041の幅と回転軸102の長さの差は、5mm以下とすることが好ましく、1mmから3mmの範囲内とすることが好ましく、1.5mmから2.5mmの範囲内とすることがより好ましい。また、第二の挟圧片1041の幅や形状は、回転軸102を嵌合孔1043内において回転させた場合に、一対の挟持アーム1011と接触ないような幅および形状とすることが好ましい。
【0064】
本実施の形態においては、クリップ103の2つの第一の挟圧片1031のうちの上側の第一の挟圧片1031の後端と、回転軸保持部材104の2つの第二の挟圧片1041のうちの下側の第二の挟圧片1041の前端とが連結されており、クリップ103と回転軸保持部材104とは一体成型されている。つまり、第二の部材10bを一体成型している。具体的には、合成樹脂により一体成型したクリップ103と回転軸保持部材104とを用いている。クリップ103と回転軸保持部材104とを一体成型していることにより、クリップ103と回転軸保持部材104とを簡単な構造で実現でき、クリップ103と回転軸保持部材104とを容易にかつ安価に製造することができる。なお、金属製のクリップ103と回転軸保持部材104とを一体成型するようにしてもよい。
【0065】
なお、上記において、クリップ103と回転軸保持部材104とは、一体成型したものに限定されるものではない。また、回転軸保持部材104の下側の第二の挟圧片1041を、クリップ103の上側の第一の挟圧片1031上に設けるようにしてもよい。
【0066】
ここでは、上下の第二の挟圧片1041の正面側部分は、正面側に向かって下方向に傾斜している。ただし、第二の挟圧片1041の形状は、このような形状に限定されない。
【0067】
また、回転軸保持部材104の2つの第二の挟圧片1041を後端において、付勢部1042において連結するようにしたが、2つの第二の挟圧片1041を、前端において付勢部1042等により連結するようにしてもよい。また、この場合においても、上側の第一の挟圧片1031と、下側の第二の挟圧片1041とを一体化して、クリップ103と回転軸保持部材104とを一体成型するようにしてもよい。
【0068】
また、上記において、回転軸保持部材104を、クリップ103の下部に設けるようにしてもよい。例えば、回転軸保持部材104の上側の第二の挟圧片1041を、クリップ103の下側の第一の挟圧片1031の下側に設けるようにしてもよい。
【0069】
図9は、フェイスシールド1の組み立て方を説明するための、フェイスシールド材20が取り付けられた第一の部材10aと、前つば付きの帽子5のつば50に取り付けられた第二の部材10bとを示す斜視図である。
【0070】
図10(b)および
図10(c)は、回転軸保持部材104の上下の第二の挟圧片1041間に回転軸102が挿入される状態を説明するための、回転軸保持部材104近傍の、回転軸102の軸心に垂直な切断部端面の模式図である。
【0071】
図11(a)および
図11(b)は、フェイスシールドが取り付けられた帽子を示す右側面図である。
【0072】
次に、第一の部材10a、第二の部材10b、およびフェイスシールド材20を用いたフェイスシールド1の組み立て方および使い方について一例を挙げて説明する。ここでは、第一の部材10aが第二の部材10bに取り付けられておらず、第一の部材10aのシールド保持部材101にもフェイスシールド材20が取り付けられていない状態であるとする。
【0073】
まず、上記で説明したように、
図8(a)に示す留め具105を2つ用いて、
図8(b)-
図8(d)に示すように、フェイスシールド材20の上部を、シールド保持部材101の板状部材1010の正面側に取り付ける。
【0074】
また、帽子5の正面のつば50の左右方向の中心に、前方から第二の部材10bのクリップ103を取り付ける。
【0075】
フェイスシールド材20を取り付けた状態の第一の部材10a、および帽子5にクリップ103で取り付けられた状態の第二の部材10bは、
図9のようになる。
【0076】
次に、フェイスシールド材20を取り付けた状態の第一の部材10aの、挟持アーム1011に挟持された回転軸102を、
図10(b)に示すように、回転軸保持部材104の2つの第二の挟圧片1041間の、付勢部1042により連結されていない正面側部分から、軸心方向が略水平となるようにして挿入し、
図10(c)に示すように、嵌合孔1043に、回転軸102をはめ込む。2つの第二の挟圧片1041間は、両者が近付く方向に付勢されているため、この第二の挟圧片1041間に回転軸102を挿入する場合には、例えば、回転軸102を嵌合孔1043方向に押し込むようにする。
【0077】
これにより、
図7(a)-
図7(c)に示すように、組み立てられたフェイスシールド1を、帽子5のつば50に装着することができる。
【0078】
回転軸102には、上記のように、軸心に対して平行にフェイスシールド材20が取り付けられるため、フェイスシールド材20や、板状部材1010等に対して、回転軸102の回転方向にユーザが力を加えると、回転軸102が、嵌合孔1043内において回転する。ここでは、回転軸102が等角度間隔で設けられたため、上述したように、回転軸102が90度単位で段階的に回転し、フェイスシールド材20の正面を90度単位で、段階的に上下に開閉(言い換えれば、上げ下げ)することができ、
図11(a)および
図11(b)に示すように、フェイスシールド材20を、ユーザの画面に対して段階的に上下に開閉することができる。回転軸102が4つの平面部1021aを含む外周面102aを有している場合、フェイスシールド材20が帽子5や帽子5を被ったユーザに当たることを考慮すると、フェイスシールド材20を、
図11(a)および
図11(b)に示すような2段階で上下に開閉することが可能となる。
【0079】
なお、フェイスシールド材20を、第一の部材10aに取り付ける順番と、第一の部材10aを第二の部材10bに取り付ける順番と、帽子5のつば50に第二の部材10bを取り付ける順番は、上記で説明した順番に限定されない。例えば、フェイスシールド材20を、第一の部材10aのシールド保持部材101に取り付け、次に、第一の部材10aの回転軸102を第二の部材10bの回転軸保持部材104に取り付けた後に、第二の部材10bのクリップ103を帽子5のつば50に取り付けてもよく、第一の部材10aの回転軸102を第二の部材10bの回転軸保持部材104に取り付けた後に、第二の部材10bのクリップ103を帽子5のつば50に取り付け、その後に、フェイスシールド材20を、第一の部材10aのシールド保持部材101に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
以上、本実施の形態によれば、クリップ103により帽子等の頭部用衣類の正面のつばに装着できるとともに、回転軸102を段階的に回転自在としてフェイスシールド材20を段階的に上下に開閉させることができるため、容易に装着できるとともに利便性に優れたフェイスシールドを得ることができるフェイスシールド取付具、およびこれを用いたフェイスシールドを提供することができる。
【0081】
また、フェイスシールド材20が、第一の部材10aのシールド保持部材101に対して着脱自在に取り付けられるため、フェイスシールド材20を容易に交換することができる。
【0082】
また、第一の部材10aが、第二の部材10bに対して着脱自在に取り付けられるため、第一の部材10aを容易に取り外したり、第一の部材10aを容易に交換したりすることができる。
【0083】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかるフェイスシールド取付具等は、フェイスシールド材を取り付けてフェイスシールドとして用いられるものと適しており、特に、フェイスシールド材を取り付けて帽子等の頭部用衣類を利用して装着されるフェイスシールドとして用いられるものとして有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 フェイスシールド
10 フェイスシールド取付具
10a 第一の部材
10b 第二の部材
20 フェイスシールド材
101 シールド保持部材
102 回転軸
102a 外周面
103 クリップ
104 回転軸保持部材
105 留め具
201 孔
1010 板状部材
1011 挟持アーム
1012 係止孔
1015 はめ込み部
1016 段差
1021 平面部
1022 円弧部
1031 第一の挟圧片
1032、1042 付勢部
1041 第二の挟圧片
1043 嵌合孔
1043a 平面部
1043b 円弧部
1051 板状片
1052 係止突起
1053 環状部材