(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176779
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】周波数変換伝送システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/61 20110101AFI20221122BHJP
H04N 21/2383 20110101ALI20221122BHJP
H04B 1/18 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H04N21/61
H04N21/2383
H04B1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083377
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100199820
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 博志
(72)【発明者】
【氏名】川上 勇人
(72)【発明者】
【氏名】八木 勝司
(72)【発明者】
【氏名】比留間 利通
(72)【発明者】
【氏名】市川 勇
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 顕真
【テーマコード(参考)】
5C164
5K062
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164SB23P
5C164TA04S
5C164TA05S
5C164TA22P
5K062AA09
5K062AA11
5K062AB13
5K062AD03
5K062AE01
5K062AE04
(57)【要約】
【課題】 既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号の放送チャンネルを伝送することができる周波数変換伝送システムを安価で提供すること。
【解決手段】 周波数変換装置10は、UHF地デジ信号の周波数帯を低い周波数帯にダウンコンバートすると共に、BS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号の周波数帯を、UHF地デジ信号の周波数帯がダウンコンバートされて空いた周波数帯にダウンコンバートして伝送する。端末機22は、伝送されてきたIF受信信号を元の周波数帯に戻したBS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号と、周波数変換されたUHF地デジ信号とをTV23に入力する。TV23は、パススルーの機能により周波数変換されたUHF地デジ信号が受信可能とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信部と受信部との間が伝送路で接続されている周波数変換伝送システムであって、
前記送信部は、
UHF帯で放送されている地デジ放送のUHF地デジ信号の第1の周波数帯を、前記伝送路で伝送できる周波数帯であって、該UHF地デジ信号の周波数帯より低い空いている第2の周波数帯にダウンコンバートする第1のダウンコンバータと、
BS左旋あるいはCS左旋の中間周波数信号である第1IF受信信号の第3の周波数帯を、前記第1のダウンコンバータによりダウンコンバートされて空いた前記第1の周波数帯を含む第4の周波数帯にダウンコンバートする第2のダウンコンバータと、
前記第1のダウンコンバータにより前記第2の周波数帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号と、前記第2のダウンコンバータによりダウンコンバートされた前記第4の周波数帯の第1IF受信信号と、BS右旋およびCS右旋の中間周波数信号である第2IF受信信号とを混合した混合受信信号を前記伝送路に伝送する混合手段とを備え、
前記受信部は、
前記伝送路で伝送されてきた前記第4の周波数帯の第1IF受信信号を元の前記第3の周波数帯の第1IF受信信号に戻すアップコンバータを備え、
前記伝送路で伝送されてきた前記第2の周波数帯のUHF地デジ信号と、前記アップコンバータによりアップコンバートされた前記第3の周波数帯の第1IF受信信号と、前記伝送路で伝送されてきた前記第2IF受信信号とが前記受信部から出力されることを特徴とする周波数変換伝送システム。
【請求項2】
1台の前記送信部が共同住宅内に設置されて、前記送信部から前記伝送路に伝送された前記混合受信信号が共同住宅内の各宅内に引き込まれ、各宅内に設置された前記受信部とされる端末機が前記混合受信信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項3】
前記第2のダウンコンバータは、局部発振周波数が異なる第1局部発振器と第2局部発信器とを有しており、前記第1局部発信器に切り換えることにより、BS左旋の前記第3の周波数帯が選定されて前記第4の周波数帯にダウンコンバートされ、前記第2局部発信器に切り換えることにより、CS左旋の前記第3の周波数帯が選定されて前記第4の周波数帯にダウンコンバートされることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項4】
前記第2のダウンコンバータにおける局部発振周波数が調整可能とされ、前記伝送路に設けられているブースタで伝送可能な周波数範囲に所望のチャンネルを含む周波数帯がダウンコンバートされるように前記局部発振周波数が調整されることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項5】
前記第1のダウンコンバータは、複数の第1周波数変換ブロックを有しており、前記UHF地デジ信号の前記第1の周波数帯が複数の周波数帯に分割されると共に、前記第2の周波数帯が複数の周波数帯に分割されて、前記第1の周波数帯の分割された各周波数帯が前記複数の第1周波数変換ブロックにより、前記第2の周波数帯の分割された各周波数帯にダウンコンバートされ、前記第2の周波数帯の分割された各周波数帯の間にガードバンドが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項6】
前記伝送路に設けられているブースタは、前記混合受信信号を異なる周波数帯で分波した複数の分波受信信号を、それぞれ増幅する増幅手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【請求項7】
前記受信部からの出力はデジタル放送受信機器で受信され、前記デジタル放送受信機器は、パススルーの機能により前記第2の周波数帯のUHF地デジ信号が受信可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の受信設備により高度広帯域衛星デジタル放送を伝送可能とする周波数変換伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本における衛星放送の歴史は、BSアナログ放送開始、BSデジタル放送開始、110°CS放送開始と続き、それに対するBS・CS中間周波数信号(BS・CS-IF信号)を伝送する周波数帯も順次更新され、最高伝送周波数が1335MHz→1550MHz→2150MHz→2602MHzと拡張されてきた。
そして、2018年12月1日から高度広帯域衛星デジタル放送(ISDB-S3,4K8K放送,BS・CS左旋放送)の本放送が開始されている。高度広帯域衛星デジタル放送では、2224MHzないし3224MHzの周波数帯とされるBS・CS左旋IF信号がさらに追加されている。このため、共同受信設備等の棟宅内TV信号受信設備において、高度広帯域衛星デジタル放送のBS・CS左旋IF信号を伝送するには、同軸ケーブル、増幅器、分岐器・分配器、受信者端子、直列ユニット等の受信設備の全てが2224MHz~3224MHzの周波数帯を伝送可能な機器に改修する必要がある。
【0003】
しかしながら、既設の受信設備は建設された時期により、最高伝送周波数がそれぞれ異なっており、高度広帯域衛星デジタル放送を受信するために、最高伝送周波数が3224MHzの機器へ全ての受信設備を改修するには、多額の改修費用が必要となったり、設備によっては変更が不可能あるいは困難なことがあった。
そこで、既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号における放送チャンネル(周波数帯)を伝送することができる周波数変換伝送システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
ここで、従来提案されているBS・CS左旋IF信号の放送チャンネルを伝送することができる周波数変換伝送システム100の構成を示す機能ブロック図を
図11に示し、
図11に示す周波数変換伝送システム100にかかる伝送周波数配列を
図12(a)(b)(c)に示す。
これらの図に示すように、周波数変換伝送システム100は、BS/CSアンテナ111とUHFアンテナ112とを備えており、BS/CSアンテナ111から出力される受信信号は、BS右旋IF信号と110°CS右旋IF信号、および、BS左旋IF信号と110°CS左旋IF信号となり、その周波数帯が
図12(a)に示されている。また、UHFアンテナ112から出力される受信信号は、UHF地デジ信号となり、その周波数帯が
図12(a)に示されている。BS/CSアンテナ111とUHFアンテナ112とから出力される受信信号は周波数変換装置110の入力端子(IN)aに入力される。周波数変換装置110では、BS/CSアンテナ111の受信信号が分波器(DIM)aに入力されて、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、BS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号とに分波される。分波されたBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号は、アンプ(AMP)aおよびアッテネータ(ATT)aにより所定レベルになるようレベル調整される。また、分波されたBS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号は、AMPbにより所定レベルになるよう増幅されて、分配器(DIV)aでm分配される。
【0005】
分配器(DIV)aでm分配されたBS左旋IF信号と110°CS左旋IF信号とは、それぞれバンドパスフィルタ(BPF)a1~BPFm1に入力されて所定のBS左旋チャンネルあるいはCS左旋チャンネルの周波数帯がチャンネル毎に抽出される。抽出された所定のBSチャンネルあるいはCSチャンネルの受信信号は、それぞれコンバータ(CONV)a1~CONVm1で周波数変換される。CONVa1~CONVm1では、BS左旋チャンネルあるいはCS左旋チャンネルの周波数帯を共同受信設備ラインの伝送できる周波数帯であるCATV帯にダウンコンバートしている。例えば、
図12(a)(b)に示すように2224.41MHz~3223.25MHzの周波数帯における3つのBS左旋チャンネルと5つのCS左旋チャンネルとがチャンネル毎にCATV帯にダウンコンバートされている。この場合、CATV帯において470MHz~770MHzの周波数帯はUHF地デジ信号の伝送に使用されることから、ダウンコンバートに使用できる周波数帯は90MHz~470MHzの周波数帯とされている。
【0006】
CONVa1~CONVm1でダウンコンバートされたBS左旋チャンネルとCS左旋チャンネルのそれぞれのチャンネルの受信信号はBPFa2~BPFm2により不要波成分が除去されて当該チャンネル毎の周波数帯が取り出され、ATTa1~ATTm1により所定のレベルになるようレベル調整されて混合器(MIX)aで全チャンネルの受信信号が混合される。
また、UHFアンテナ112から出力されるUHF地デジ信号は周波数変換装置110のINbに入力されてAMPcおよびATTbにより所定レベルになるようレベル調整される。ダウンコンバートされたBS左旋チャンネルとCS左旋チャンネルとの受信信号と、ATTbからのUHF地デジ信号とはMIXcで混合され、さらに、MIXcで混合された受信信号と、ATTaからのBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号とがMIXbで混合されて、出力端子OUTaを介して周波数変換装置110から出力される。出力端子OUTaから出力される受信信号の伝送周波数配列は
図12(b)に示すようになる。この受信信号は、共同受信設備ラインに伝送されていき、ブースタ(AMP)dで増幅されてからDIVbで複数に分配され、分配された1つの受信信号は縦続接続されたDIVa1、DIVb1で順次に分配されていき、DIVb1の分配出力の1つが共同住宅120の宅内に引き込まれている。
【0007】
共同住宅120の各宅内には、DIVc1が設けられており、DIVc1で分配された分配信号を各部屋に供給することができる。部屋には壁面端子Taと端末機122とテレビジョン(TV)123とが設置されており、宅内に引き込まれた受信信号は、DIVc1で分配されて、分配された1つが壁面端子Taに供給されている。そして、壁面端子Taと端末機122のINcとがケーブルで接続されて、INcに
図12(b)に示す伝送周波数配列の受信信号が入力される。
端末機122では、INcから入力された
図12(b)に示す伝送周波数配列とされた受信信号はDIMbに入力されて、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、BS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号ならびにUHF地デジ信号とに分波される。分波されたBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号は、AMPfにより所定レベルになるよう増幅される。また、分波されたBS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号ならびにUHF地デジ信号は、DIMcに入力されて、BS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号と、UHF地デジ信号とに分波される。分波されたBS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号は、AMPgにより所定レベルになるよう増幅されて、DIVcでm分配される。
【0008】
DIVcでm分配されたBS左旋IF信号と110°CS左旋IF信号とは、それぞれBPFa3~BPFm3に入力されてダウンコンバートされた左旋チャンネルおよびCS左旋チャンネルの周波数帯がチャンネル毎に抽出される。抽出されたBSチャンネルおよびCSチャンネルの受信信号は、それぞれCONVa2~CONVm2でチャンネル毎に周波数変換される。CONVa2~CONVm2では、BS左旋チャンネルおよびCS左旋チャンネルをチャンネル毎に元の周波数帯になるようアップコンバートしている。例えば、
図12(b)(c)に示すように470MHzまでのCATV帯で伝送された3つのBS左旋チャンネルと5つのCS左旋チャンネルとのチャンネル毎の周波数帯が、2224.41MHz~3223.25MHzの元の周波数帯になるようアップコンバートされている。
【0009】
CONVa2~CONVm2でアップコンバートされたBS左旋チャンネルとCS左旋チャンネルのそれぞれの受信信号はBPFa4~BPFm4により不要波成分が除去されて当該チャンネル毎の周波数帯が取り出されて、MIXdで全チャンネルの受信信号が混合される。MIXdで混合されたアップコンバートされたBS左旋チャンネルとCS左旋チャンネルの受信信号と、AMPfからのBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号とは、MIXeで混合されて端末機122のOUTbから出力される。また、DIMcで分波されたUHF地デジ信号はAMPhで所定レベルになるよう増幅されて、端末機122のOUTcから出力される。端末機122のOUTbおよびOUTcとTV123との入力端子とをケーブルで接続することにより、TV123においてUHF地デジ信号、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号、BS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号を受信することができる。すなわち、TV123で地デジ放送チャンネル、BS右旋およびBS左旋のBS放送チャンネル、110°CS右旋および110°CS左旋のCS放送チャンネルを視聴することができる。
このように、周波数変換伝送システム100では、既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号における放送チャンネル(周波数帯)を伝送することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来提案されている周波数変換伝送システムでは、既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号における放送チャンネル(周波数帯)を伝送することができるものの、TVに前置して設置される端末機ではチャンネル毎にアップコンバートしているため、アップコンバートするコンバータの構成が複雑になる。通常、BPFはチャンネル毎の周波数帯を抽出していることから、急峻な遮断特性のBPF、例えばSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタがアップコンバートするチャンネル数だけ必要とされて、端末機が高額となってしまう問題点があった。また別の方法として、入力信号を一括してデジタル信号に変換した後、チャンネル毎に周波数変換するようなデジタル処理を行うLSI(Large Scale Integration)を用いてアップコンバートする場合もある。しかしながら、当該LSIは周波数変換機能だけでなく急峻なデジタルフィルタや、AD・DAコンバータなどの機能も装備しなければならず、部品としては高価なものになってしまうことから、端末機の価格も高額となってしまう問題点があった。
さらに、従来提案されている周波数変換伝送システムでは、周波数変換装置は共同住宅に1台あれば良く、一世帯当たりの負担額はそれほどではないが、端末機は、BS・CS左旋IF信号の放送チャンネルを視聴したい世帯毎に必要となるため、負担額が大きくなるという問題点もあった。
【0012】
そこで、本発明は、既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号における放送チャンネルを伝送することができる周波数変換伝送システムを安価で提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の周波数変換伝送システムは、送信部と受信部との間が伝送路で接続されている周波数変換伝送システムであって、前記送信部は、UHF帯で放送されている地デジ放送のUHF地デジ信号の第1の周波数帯を、前記伝送路で伝送できる周波数帯であって、該UHF地デジ信号の周波数帯より低い空いている第2の周波数帯にダウンコンバートする第1のダウンコンバータと、BS左旋あるいはCS左旋の中間周波数信号である第1IF受信信号の第3の周波数帯を、前記第1のダウンコンバータによりダウンコンバートされて空いた前記第1の周波数帯を含む第4の周波数帯にダウンコンバートする第2のダウンコンバータと、前記第1のダウンコンバータにより前記第2の周波数帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号と、前記第2のダウンコンバータによりダウンコンバートされた前記第4の周波数帯の第1IF受信信号と、BS右旋およびCS右旋の中間周波数信号である第2IF受信信号とを混合した混合受信信号を前記伝送路に伝送する混合手段とを備え、前記受信部は、前記伝送路で伝送されてきた前記第4の周波数帯の第1IF受信信号を元の前記第3の周波数帯の第1IF受信信号に戻すアップコンバータを備え、前記伝送路で伝送されてきた前記第2の周波数帯のUHF地デジ信号と、前記アップコンバータによりアップコンバートされた前記第3の周波数帯の第1IF受信信号と、前記伝送路で伝送されてきた前記第2IF受信信号とが前記受信部から出力されることを最も主要な特徴としている。
【0014】
本発明の周波数変換伝送システムにおいて、1台の前記送信部が共同住宅内に設置されて、前記送信部から前記伝送路に伝送された前記混合受信信号が共同住宅内の各宅内に引き込まれ、各宅内に設置された前記受信部とされる端末機が前記混合受信信号を受信している。
また、本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記第2のダウンコンバータは、局部発振周波数が異なる第1局部発振器と第2局部発信器とを有しており、前記第1局部発信器に切り換えることにより、BS左旋の前記第3の周波数帯が選定されて前記第4の周波数帯にダウンコンバートされ、前記第2局部発信器に切り換えることにより、CS左旋の前記第3の周波数帯が選定されて前記第4の周波数帯にダウンコンバートされている。
さらに、本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記第1のダウンコンバータは、複数の第1周波数変換ブロックを有しており、前記UHF地デジ信号の前記第1の周波数帯が複数の周波数帯に分割されると共に、前記第2の周波数帯が複数の周波数帯に分割されて、前記第1の周波数帯の分割された各周波数帯が前記複数の第1周波数変換ブロックにより、前記第2の周波数帯の分割された各周波数帯にダウンコンバートされ、前記第2の周波数帯の分割された各周波数帯の間にガードバンドが設けられている。
さらにまた、本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記伝送路に設けられているブースタは、前記混合受信信号を異なる周波数帯で分波した複数の分波受信信号を、それぞれ増幅する増幅手段を有している。
さらにまた、本発明の周波数変換伝送システムにおいて、前記受信部からの出力はデジタル放送受信機器で受信され、前記デジタル放送受信機器は、パススルーの機能により前記第2の周波数帯のUHF地デジ信号が受信可能とされている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の周波数変換伝送システムにおける送信部では、UHF帯で放送されている地デジ放送のUHF地デジ信号の周波数帯を、伝送路で伝送できる周波数帯の空いている周波数帯にダウンコンバートし、空いたUHF帯を含む周波数帯にBS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号の周波数帯をダウンコンバートして、ダウンコンバートされたUHF地デジ信号と共に伝送する。受信部では、ダウンコンバートされたIF受信信号を元の周波数帯のIF受信信号の周波数帯にアップコンバートして戻して、伝送されたUHF地デジ信号と共に出力する。この場合、UHF地デジ信号はダウンコンバートされて伝送されているが、受信部の出力を受信するデジタル放送受信機器は、パススルーの機能によりダウンコンバートされたUHF地デジ信号が受信可能とされている。
これにより、本発明の周波数変換伝送システムでは、UHF地デジ信号の周波数帯、および、BS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号の周波数帯をダウンコンバートしていることから、当該周波数帯における複数のチャンネルを一括してダウンコンバートすることができる。また、BS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号の周波数帯をアップコンバートしていることから、当該周波数帯における複数のチャンネルを一括してアップコンバートすることができる。これにより、本発明の周波数変換伝送システムの構成が簡素化されて安価に提供できるようになる。なお、本発明の周波数変換伝送システムでは、既存の伝送路で伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS左旋あるいはCS左旋の放送チャンネルを伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例の周波数変換伝送システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおけるU/V変換部の変形例の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおけるCONV1(CONV3)の変形例および他の変形例の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおけるBPF1の変形例の構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにかかる伝送周波数配列を示す図である。
【
図6】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにかかる他の伝送周波数配列を示す図である。
【
図7】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおけるAMP4(AMP5)の変形例の構成を示す図である。
【
図8】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにおけるAMP4(AMP5)の他の変形例の構成を示す図である。
【
図9】本発明の実施例の周波数変換伝送システムにかかるUHF帯の伝送周波数配列を示す図である。
【
図10】本発明の応用例の周波数変換伝送システムの構成を示す機能ブロック図、周波数配列の概略を示す図である。
【
図11】従来の周波数変換伝送システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図12】従来の周波数変換伝送システムの伝送周波数配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の周波数変換伝送システムでは、送信部において、UHF帯で放送されている地デジ放送のUHF地デジ信号の周波数帯を、伝送路で伝送できる周波数帯の空いている周波数帯にダウンコンバートして伝送する。伝送路において伝送できる周波数帯の上限周波数は、2150MHzあるいは2602MHzまでとされている。そして、ダウンコンバートされて空いたUHF帯を含む周波数帯にBS左旋あるいはCS左旋のIF受信信号の周波数帯をダウンコンバートして伝送する。受信部では、伝送路で伝送されてきたIF受信信号の周波数帯をアップコンバートして元の周波数帯に戻す。戻したIF受信信号と伝送されたUHF地デジ信号とはデジタル放送受信機器に入力される。UHF地デジ信号はダウンコンバートされているが、デジタル放送受信機器のパススルー(登録商標)機能によりダウンコンバートされたUHF地デジ信号を受信することが可能とされる。これにより、本発明の周波数変換伝送システムでは、既存の伝送できる周波数帯が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS左旋あるいはCS左旋の放送チャンネルを伝送することができる。そして、周波数帯における複数のチャンネルを一括してダウンコンバート(アップコンバート)することができるため、本発明の周波数変換伝送システムの構成が簡素化されて、本発明の周波数変換伝送システムを安価に提供できるという本発明の目的を達成した。
なお、パススルー(登録商標)とは、地デジ放送や衛星放送を変調方式を変更せずにそのまま伝送する方式であり、伝送する際に同じ周波数帯で放送を伝送する同一周波数パススルー方式と、伝送する際に周波数帯を変更して放送を伝送する周波数変換パススルー方式とがある。デジタル放送受信機器では、同じ周波数帯で伝送された放送を受信できることは当然であるが、多くのデジタル放送受信機器は、周波数変換パススルー方式に対応しており、規定の周波数帯に変更されて伝送された放送を受信することができる。本発明は、デジタル放送受信機器が周波数変換パススルー方式に対応していることを前提としている。
【実施例0018】
本発明の実施例の周波数変換伝送システム1は、伝送路において伝送できる周波数帯の上限周波数が2150MHzあるいは2602MHzまでであっても、BS・CS左旋IF信号における放送チャンネルを伝送することができ、本発明の実施例の周波数変換伝送システム1の構成を示す機能ブロック図を
図1に示し、
図1に示す周波数変換伝送システム1にかかる伝送周波数配列を
図5(a)(b)(c)に示す。
これらの図に示すように、本発明の実施例の周波数変換伝送システム1は、BS/CSアンテナ11およびUHFアンテナ12と、送信部とされる周波数変換装置10と、伝送路である共同受信設備ライン30と、受信部とされる端末機22とから構成されている。なお、共同受信設備ライン30では伝送できる周波数帯の上限が2150MHzあるいは2602MHzとされており、端末機22は共同住宅20の各宅内に設置される。BS/CSアンテナ11から出力される受信信号は、BS右旋IF信号と110°CS右旋IF信号、および、BS左旋IF信号と110°CS左旋IF信号となり、その周波数帯が
図5(a)にBS右旋、110°CS右旋、BS左旋、110°CS左旋として示されている。
図5(a)は、周波数変換装置10に入力される受信信号の周波数配列を示している。
図5(a)に示す周波数配列において、90MHz~108MHzの周波数帯はVHF-Loバンド、108MHz~170MHzの周波数帯はMIDバンド、170MHz~222MHzの周波数帯はVHF-Hiバンド、222MHz~470MHzの周波数帯はスーパーハイバンドと規定されており、いずれも共同受信設備ライン30において伝送できる周波数帯とされている。また、UHFアンテナ12から出力される受信信号は、UHF地デジ信号となり、その周波数帯が
図5(a)にUHF地デジとして示されている。UHF地デジ信号の周波数帯(UHF帯)は、470MHz~770MHzの周波数帯とされ、共同受信設備ライン30の伝送できる周波数帯とされている。そして、BS/CSアンテナ11から出力される受信信号は周波数変換装置10の入力端子(IN)1に入力され、UHFアンテナ12とから出力される受信信号は周波数変換装置10の入力端子(IN)2に入力される。
【0019】
周波数変換装置10では、IN1に入力されたBS/CSアンテナ11の受信信号が分波器(DIM)1に入力されて、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、BS左旋IF信号および110°CS左旋IF信号とに分波される。分波されたBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号は、アンプ(AMP)1およびアッテネータ(ATT)1により所定レベルになるようレベル調整されて、混合器(MIX)1に入力される。
また、分波された2224.1MHz~2680.87MHzの周波数帯のBS左旋IF信号および2708.75MHz~3223.25MHzの周波数帯の110°CS左旋IF信号は、AMP2により所定レベルになるよう増幅されて、バンドパスフィルタ(BPF)1で不要波成分が除去される。この場合、BPF1の通過域は、2224.1MHz~2680.87MHzの周波数帯と2708.75MHz~3223.25MHzの周波数帯とのいずれかが選定されている。すなわち、選定されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号がBPF1を通過するようになる。
【0020】
BPF1で選定されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯は、コンバータ(CONV)1でダウンコンバートされる。この場合、CONV1における局部発振器(Lo)ではBPF1で選定されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯に対応した局部発振周波数(Lo周波数)とされており、BS左旋IF信号が選定された場合のLo周波数は1911MHzとされ、110°CS左旋IF信号が選定された場合のLo周波数は2454MHzとされる。これにより、BS左旋IF信号が選定された場合は、BS左旋IF信号の周波数帯が313.41MHz~769.87MHzの周波数帯にダウンコンバートされ、110°CS左旋IF信号が選定された場合は、110°CS左旋IF信号の周波数帯が254.75MHz~769.25MHzの周波数帯にダウンコンバートされる。このように、CONV1では、選定されたIF信号の周波数帯における複数のチャンネルが一括してダウンコンバートされる。また、CONV1では、選定された共同受信設備ライン30で伝送できる周波数帯を超える周波数帯のBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号を、共同受信設備ライン30で伝送できる周波数帯の空いている周波数帯とされるスーパーハイバンドおよびUHF帯の広帯域の周波数帯にダウンコンバートしている。
図5(b)には、110°CS左旋IF信号が選定された場合が示されている。
【0021】
CONV1でダウンコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号はATT2により所定のレベルになるようレベル調整されて混合器(MIX)2に入力される。
また、IN2に入力されたUHFアンテナ12から出力されるUHF地デジ信号はAMP3により所定レベルになるようレベル調整されて、U/V変換部13に入力される。U/V変換部13において、UHF地デジ信号は470MHz~770MHzの周波数帯を通過域とするBPF2により不要波成分が取り除かれて、CONV2に入力される。CONV2では、UHF地デジ信号の周波数帯がVHF-LoバンドないしVFH-HiバンドのVHF帯にダウンコンバートされる。現在、VHF放送は行われていないためVHF帯は空いている。CONV2では、UHF地デジ信号の周波数帯における複数のチャンネルが一括してダウンコンバートされる。CONV2によりVHF帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号は、ATT3により所定レベルになるようレベル調整されてMIX2に入力される。MIX2では、ダウンコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号と、ダウンコンバートされたUHF地デジ信号とが混合されてMIX1に入力される。MIX1では、ATT1からのBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、MIX2からの混合された受信信号とが混合されて、出力端子(OUT)1から出力される。
【0022】
送信部とされる周波数変換装置10のOUT1から出力された受信信号の周波数配列は、
図5(b)に示すようになる。この受信信号は、共同受信設備ライン30で伝送される。この場合、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯は広帯域とされるが、UHF帯を含む周波数帯を使用してダウンコンバートできるため、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号を伝送できるようになる。共同受信設備ライン30で伝送された受信信号は、ブースタ(AMP)4で増幅されてから分配器(DIV)2で複数に分配され、分配された1つの受信信号はブースタ(AMP)5で増幅されてから縦続接続されたDIV3、DIV4で順次に分配されていき、DIV4の分配出力の1つが共同住宅20の宅内に引き込まれている。
共同住宅20の各宅内には、DIV5が設けられており、DIV5で分配された分配信号を各部屋に供給することができる。部屋には壁面端子21と端末機22とテレビジョン(TV)23とが設置されており、宅内に引き込まれた受信信号は、DIV5でさらに分配されて、分配された1つが壁面端子21に供給されている。そして、壁面端子21と端末機22のIN3とがケーブルで接続されて、IN3に
図5(b)に示す伝送周波数配列の受信信号が入力される。
【0023】
端末機22では、IN3から入力された
図5(b)に示す伝送周波数配列とされた受信信号がDIM6に入力されて、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号ならびにUHF地デジ信号とに分波される。分波されたBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号は、AMP6により所定レベルになるよう増幅されて、MIX3に入力される。また、分波されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号ならびにUHF地デジ信号は、AMP7により所定レベルになるよう増幅されてからDIM7に入力される。DIM7では、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号と、UHF地デジ信号とに分波される。分波されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号は、CONV3に入力されてBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯が元の周波数帯になるよう一括してアップコンバートされる。この場合、
図5(b)に示すように110°CS左旋IF信号が選定されて254.75MHz~769.25MHzの周波数帯にダウンコンバートされて伝送されている場合は、110°CS左旋IF信号の周波数帯が2708.75MHz~3223.25MHzの周波数帯にアップコンバートされる。CONV3では、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯における複数のチャンネルが一括してアップコンバートされる。そして、CONV3におけるLo周波数は、周波数変換装置10のCONV1におけるLo周波数と同じ周波数とされることから、2454MHzとされる。
【0024】
CONV3でアップコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号はMIX3に入力されて、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と混合される。MIX3で混合されたBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号ならびにBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号は、端末機22のOUT2から出力される。また、DIM7で分波されたUHF地デジ信号は、端末機22のOUT3から出力される。受信部とされる端末機22のOUT2およびOUT3とテレビジョン(TV)23との入力端子とをケーブルで接続することにより、TV23においてBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号、BS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号を受信することができる。また、伝送されたUHF地デジ信号はダウンコンバートされて基の周波数帯より低い周波数帯とされているが、TV23のパススルー(登録商標)機能により受信することができる。すなわち、TV23で地デジ放送チャンネル、BS右旋およびBS左旋のBS放送チャンネル、110°CS右旋および110°CS左旋のCS放送チャンネルを視聴することができる。
【0025】
<各部の構成>
周波数変換装置10におけるU/V変換部13の変形例の構成を示す機能ブロック図を
図2に示す。
図2に示す変形例のU/V変換部13’は、UHF地デジ信号の周波数帯を複数のブロックに分割して、ブロック毎に異なる周波数帯にダウンコンバートしている。ダウンコンバートの周波数配列を
図9(a)(b)に示し、U/V変換部13およびU/V変換部13’のダウンコンバートの周波数変換イメージを
図9(a)(b)を参照しながら説明する。
図9(a)は
図1に示すU/V変換部13の周波数変換イメージを示しており、U/V変換部13は1つの局部発振器(Lo)で周波数変換していることから、1Lo方式と表記できる。1Lo方式では
図9(a)に示すように、UHF地デジ信号のチャンネル(ch)の16ch~27chの周波数帯が398MHzのLoにより周波数変換されて90MHz~162MHzの周波数帯にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた周波数帯は、VHF-Lo帯およびMID帯からなる周波数帯となる。
また、変形例のU/V変換部13’では、UHF地デジ信号がDIV13aにより分配されるが、分配数はUHF地デジ信号が分割されるブロック数と同数とされる。DIV13aにより分配された分配信号のそれぞれがBPF2a~BPF2nに入力される。BPF2a~BPF2nのそれぞれは、分割されるブロック毎の周波数帯を通過域としており、BPF2a~BPF2nのそれぞれからブロック毎の周波数帯のUHF地デジ信号が出力される。ブロック毎の周波数帯のUHF地デジ信号はCONV2a~CONV2nに入力されて周波数変換される。CONV2a~CONV2nでは、ブロック毎の周波数帯がそれぞれ異なるVHF帯の規定の周波数帯にダウンコンバートされる。CONV2a~CONV2nでダウンコンバートされたブロック毎のUHF地デジ信号はBPF3a~BPF3nに入力されて、それぞれ不要波成分が除去される。BPF3a~BPF3nからの出力は、ATT3a~ATT3nによりブロック毎のUHF地デジ信号が所定レベルになるようレベル調整されてMIX13bに入力される。MIX13bでは、複数のブロック毎のUHF地デジ信号が混合される。
【0026】
図9(b)は
図2に示す変形例のU/V変換部13’の周波数変換イメージを示しており、U/V変換部13’は複数の局部発振器(Lo)で周波数変換していることから、複数Lo方式と表記できる。
図9(a)に示す場合は、ブロック数が3(=n)とされて、第1ブロックはUHFチャンネルの16ch~18chを含む周波数帯からなり、第2ブロックはUHFチャンネルの21ch~24chを含む周波数帯からなり、第3ブロックはUHFチャンネルの23ch~27chを含む周波数帯からなり、UHF地デジ信号の周波数帯が3つに分割されている。それぞれのブロックのUHF地デジ信号は、CONV2a,CONV2b,CONV2cにそれぞれ入力されて周波数変換される。CONV2aのLoは398MHzとされて、UHFチャンネルの16ch~18chの周波数帯は90MHz~108MHzの周波数帯のVHF-Lo帯(VHFチャンネルの1ch~3ch)の周波数帯にダウンコンバートされる。また、図示しないCONV2bのLoは348MHzとされて、UHFチャンネルの21ch~24chの周波数帯はVHF-Hi帯におけるVHFチャンネルの4ch~7chの周波数帯にダウンコンバートされる。さらに、図示しないCONV2cのLoは338MHzとされて、UHFチャンネルの23ch~27chの周波数帯は170MHz~222MHzの周波数帯のVHF-Hi帯におけるVHFチャンネルの8ch~12chの周波数帯にダウンコンバートされる。この場合、各ブロックは周波数配列毎にガードバンドを設けて周波数変換を行っている。また、VHFチャンネルの7chと8chはチャンネルの周波数割り当てが2MHz重なっていることから、7chと8chをガードバンドとして使うようにしている。このように、ガードバンドを設けることにより、遮断特性が急峻なBPFを必要としないことから、安価なフィルタ構成のBPF2a~BPF2nおよびBPF3a~BPF3nで周波数配列が実現可能となる。なお、VHFチャンネルの7chと8chにダウンコンバートされるUHFチャンネルの24chと23chは2MHz重なっているため、24’および23’として示しており、chの一部が重複するが、BPF3a~BPF3nによって振幅がカットされて偏差が大きくC/Nが悪くなるため受信されない。
上記の通りであるから、U/V変換部13が
図2に示す変形例のU/V変換部13’とされた複数Lo方式の場合に、共同受信設備ライン30で伝送されるUHF地デジ信号の伝送周波数配列は
図6(b)に示すようになる。
【0027】
次に、周波数変換装置10におけるCONV1(CONV3)の変形例を示す機能ブロック図を
図3(a)に、他の変形例を示す機能ブロック図を
図3(b)に示す。
図3(a)に示す変形例のCONV1’は、2つの局部発振器であるLo1とLo2とを有し、Lo1とLo2からの局部発振周波数(Lo周波数)をスイッチ(SW)1で切り換えてミキサーに供給している。BS左旋IF信号が選定された場合は、SW1をLo1側に切り換えてLo1のLo周波数である1911MHzがミキサーに供給され、BS左旋IF信号の周波数帯が313.41MHz~769.87MHzの周波数帯にダウンコンバートされる。また、110°CS左旋IF信号が選定された場合は、SW1をLo2側に切り換えてLo2のLo周波数である2454MHzがミキサーに供給され、110°CS左旋IF信号の周波数帯が254.75MHz~769.25MHzの周波数帯にダウンコンバートされる。この場合の変形例のCONV1’の周波数変換イメージは
図5(a)(b)に示す通りとなる。
また、変形例のCONV3’は変形例のCONV1’と同じ回路構成とされ、BS左旋IF信号が選定されている場合は、SW1をLo1側に切り換えてLo1のLo周波数である1911MHzがミキサーに供給されて伝送されたBS左旋IF信号の周波数帯が元の2224.1MHz~2680.87MHzの周波数帯にアップコンバートされる。また、110°CS左旋IF信号が選定されている場合は、SW1をLo2側に切り換えてLo2のLo周波数である2454MHzがミキサーに供給されて伝送された110°CS左旋IF信号の周波数帯が元の2708.75MHz~3223.25MHzの周波数帯にアップコンバートされる。この場合の変形例のCONV3’の周波数変換イメージは
図5(b)(c)に示す通りとなる。
【0028】
図3(b)に示す他の変形例のCONV1”(CONV3”)は、局部発振器がVCO(Voltage Controlled Oscillator)を有するPLL(Phase Locked Loop)から構成されており、ミキサーに供給されるVCOからのLo周波数を調整できるようにしている。これは、共同受信設備ライン30に挿入されているブースタ(AMP4,AMP5)がU・Vブースタとされて、VHF帯およびUHF帯のみの周波数帯において増幅動作を行い、スーパーハイバンドを含む他の周波数帯では増幅動作を行えない場合に対応させるためである。すなわち、変形例のCONV1”(CONV3”)ではLo周波数を調整することにより、U・VブースタとされているAMP4,AMP5により伝送できる所望のチャンネルを含む周波数帯を設定している。
他の変形例のCONV1”における衛星IF信号の周波数変換イメージを
図6(a)(b)に示す。
図6(a)に示すように、他の変形例のCONV1”では、VCOのLo周波数を1754MHz~1911MHzの間および2238MHz~2454MHzの間で調整可能とされている。これにより、選定されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号における所望のチャンネルを含む周波数帯をU・Vブースタが挿入された共同受信設備ライン30で伝送することができる。例えば、
図6(a)には、110°CS左旋IF信号の内の5チャンネルまたは2チャンネルを含む周波数帯を470MHz~770MHzのUHF帯にダウンコンバートして、U・Vブースタが挿入された共同受信設備ライン30で伝送する例が示されている。
また、他の変形例のCONV3”は、他の変形例のCONV1”と同じ回路構成とされ、他の変形例のCONV1”と同じ周波数範囲でVCOからのLo周波数を調整可能とされている。他の変形例のCONV3”では、VCOのLo周波数をCONV1”のVCOと同じLo周波数として、470MHz~770MHzのUHF帯にダウンコンバートされて伝送された所望のチャンネルを含むBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号の周波数帯を、元の周波数帯のBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号にアップコンバートしている。
【0029】
次に、周波数変換装置10におけるBPF1の変形例の構成を示す機能ブロック図を
図4に示す。
図4に示す変形例のBPF1’は、2224.1MHz~2680.87MHzの周波数帯を通過域とするBS左旋IF信号を通過させるBPF1aと、2708.75MHz~3223.25MHzの周波数帯を通過域とする110°CS左旋IF信号を通過させるBPF1bとが並列に配置されて、BPF1aおよびBPF1bの入力側と出力側に設けられた切換スイッチ(SW2,SW3)を備えている。SW2,SW3をBPF1a側に切り換えることでBS左旋IF信号が通過するようになり、SW2,SW3をBPF1b側に切り換えることで110°CS左旋IF信号が通過するようになる。この場合、SW2,SW3は選定されたBS左旋あるいはCS左旋のIF受信号に応じて切れ換えられる。
このように、変形例のBPF1’では、BS左旋IF信号を通過させるBPF1aと110°CS左旋IF信号を通過させるBPF1bとを備えており、SW2,SW3を切り換えることにより、選定されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号が通過するようされている。
【0030】
次に、共同受信設備ライン30に挿入されているブースタ(AMP4,AMP5)の変形例の構成を示す機能ブロック図を
図7に示す。変形例のAMP4’(AMP5’)は、共同受信設備ライン30で伝送されるUHF地デジ信号および衛星IF信号の伝送周波数配列が
図5(b)に示すようになっている場合のブースタに対応している。
図7に示す変形例のAMP4’(AMP5’)は衛星対応のCATVブースタとされており、2150MHzあるいは2602MHzまでの衛星IF信号の周波数帯を増幅するAMP41と、70MHz~770MHzの周波数帯のケーブルテレビで伝送できる周波数帯であるCATV帯を増幅するAMP42とを有している。具体的には、AMP4’(AMP5’)の入力端子INに入力された受信信号は、分波器DIM41で衛星IF帯とCATV帯との受信信号に分波されて、衛星IF帯の衛星IF信号はAMP41で増幅されてATT41により所定のレベルになるよう調整される。また、CATV帯の受信信号はAMP42で増幅されてATT42により所定のレベルになるよう調整される。ATT41からの所定のレベルに増幅された衛星IF信号と、ATT42からの所定のレベルに増幅されたCATV帯の受信信号とはMIX41で混合されてブースタ出力として出力端子OUTから出力される。
上記したように、変形例のAMP4’(AMP5’)は共同受信設備ライン30における伝送周波数配列が
図5(b)に示すようになっている衛星対応のCATVブースタとして動作しており、AMP42は広帯域とされるCATV帯の受信信号を増幅していることから、多波の電力に耐えうる高出力ブースターとして設計されている。また、出力端子OUTからの伝送周波数配列は
図5(b)に示すようになる。
【0031】
次に、共同受信設備ライン30に挿入されているブースタ(AMP4,AMP5)の他の変形例の構成を示す機能ブロック図を
図8に示す。他の変形例のAMP4”(AMP5”)は、U/V変換部13が
図2に示す変形例のU/V変換部13’とされると共に、CONV1が他の変形例のCONV1”とされて、共同受信設備ライン30で伝送されるUHF地デジ信号および衛星IF信号の伝送周波数配列が
図6(b)に示すようになっている場合のブースタに対応している。
図8に示す他の変形例のAMP4”(AMP5”)は衛星対応のU・Vブースタとされており、2150MHzあるいは2602MHzまでの衛星IF信号の周波数帯を増幅するAMP51と、470MHz~770MHzの周波数帯のUHF帯にダウンコンバートされた衛星IF信号を増幅するAMP52と、170MHz~222MHzの周波数帯のVHF-Hi帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号を増幅するAMP53と、90MHz~108MHzの周波数帯のVHF-Lo帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号を増幅するAMP54とを有している。具体的には、他の変形例のAMP4”(AMP5”)に入力された受信信号は、分波器DIM51でBS右旋IF信号と110°CS右旋IF信号との衛星IF帯が分波され、分波された衛星IF帯の受信信号はAMP51で増幅されてATT51により所定のレベルになるよう調整される。また、衛星IF帯が分波された受信信号はDIM52に入力されて、さらにUHF帯にダウンコンバートされて伝送されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号が分波され、分波されたUHF帯にダウンコンバートされて伝送された衛星IF信号はAMP52で増幅されてATT52により所定のレベルになるよう調整される。さらに、衛星IF帯およびUHF帯にダウンコンバートされて伝送された衛星IF信号が分波された受信信号はDIM53に入力されて、VHF-Hi帯とVHF-Lo帯とが分波される。分波されたVHF-Hi帯にダウンコンバートされて伝送されたUHF信号はAMP53で増幅されてATT53により所定のレベルになるよう調整され、分波されたVHF-Lo帯にダウンコンバートされて伝送されたUHF信号はAMP54で増幅されてATT54により所定のレベルになるよう調整される。ATT53およびATT54からの出力はMIX53に入力されて混合される。そして、MIX53からの混合出力とATT52からの出力とがMIX52に入力されて混合される。さらに、MIX52からの混合出力とATT51からの出力とがMIX51に入力されて混合されてブースタ出力として出力端子OUTから出力される。
上記したように、他の変形例のAMP4”(AMP5”)は衛星対応のU・Vブースタとして動作し、AMP51~AMP54は複数に分割された所定の周波数帯の受信信号をそれぞれ増幅していることから、AMP51~AMP54のそれぞれの負担を軽くすることができる。また、出力端子OUTの伝送周波数配列は
図6(b)に示すようになる。
【0032】
<本発明の応用例の周波数変換伝送システム>
本発明の応用例の周波数変換伝送システム2は、例えば、地デジ放送を受信することが困難な地域において、地デジ放送を共同受信する地域に適用される。本発明の応用例の周波数変換伝送システム2の構成を示す機能ブロック図を
図10(a)に示し、周波数変換伝送システム2におけるMIX1,MIX2から出力される受信信号の周波数配列の概略を
図10(b)に示す。
これらの図に示すように、本発明の応用例の周波数変換伝送システム2は、BS/CSアンテナ11aと、周波数変換装置10aと、1台以上の端末機22a,22b,・・・とから構成されており、本発明の応用例の周波数変換伝送システム2は住宅20aに設置されている。住宅20aには、図示しない共同受信設備からのCATVラインが引き込まれており、共同受信設備で伝送できる周波数帯は少なくとも90MHz~222MHzの周波数帯とされている。共同受信設備では、地デジ放送局を見通せるような地デジ放送を受信できる地点に設置されたUHFアンテナでUHF地デジ信号を受信して、受信したUHF地デジ信号の周波数帯を90MHz~222MHzの周波数帯にダウンコンバートしてCATVラインで伝送している。このCATVラインを上記地デジ放送を受信することが困難な地域の各住宅に引き込み、デジタル放送受信機器のパススルー(登録商標)機能により周波数帯がダウンコンバートされたUHF放送を各住宅で視聴できるようにしている。
【0033】
本発明の応用例の周波数変換伝送システム2では、BS/CSアンテナ11aから出力される受信信号が、周波数変換装置10aのIN1に入力されている。IN1に入力される受信信号は、BS右旋IF信号と110°CS右旋IF信号、および、BS左旋IF信号と110°CS左旋IF信号とされ、その周波数帯が前述した
図5(a)にBS右旋、110°CS右旋、BS左旋、110°CS左旋として示されている。また、CATVラインからの受信信号が周波数変換装置10aのIN2に入力され、IN2には、90MHz~222MHzの周波数帯にダウンコンバートされたUHF地デジ信号が入力されている。
【0034】
周波数変換装置10aは、前述した周波数変換装置10の通りに機能して、ダウンコンバートされてレベル調整されたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号がMIX2に入力される。MIX2では、ダウンコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号と、CATVラインで送られてきたダウンコンバートされたUHF地デジ信号とが混合されてMIX1に入力される。MIX2からの混合出力の周波数配列は
図10(b)の上段に示す通りとなり、CATVラインで伝送された90MHz~222MHzの周波数帯のUHF地デジ信号と、254.75MHz~770MHzの周波数帯にダウンコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号との混合出力となる。MIX2の混合出力はMIX1に入力され、MIX1では、ATT1からのBS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号と、MIX2からの混合された受信信号とが混合されて、OUT1から出力される。周波数変換装置10aのOUT1から出力される受信信号であるMIX1からの混合出力の周波数配列は、
図10(b)の下段に示す通りとなり、254.75MHz~770MHzの周波数帯にダウンコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号と、1032MHz~2071MHzあるいは1032MHz~2681MHzの周波数帯とされるBS右旋IF信号と110°CS右旋IF信号との混合出力となる。なお、
図10(b)の下段では90MHz~222MHzの周波数帯のUHF地デジ信号は省略されている。
【0035】
周波数変換装置10aのOUT1から出力された受信信号は、住宅20aに設けられた分配器(DIV)10に分配され、分配出力の1つが壁面端子21aを介して端末機22aに入力され、分配出力の他の1つが壁面端子21bを介して端末機22bに入力されている。さらに他の分配出力のそれぞれを、他に設けた端末機のそれぞれに入力することもできる。端末機22a,22bは、住宅20aの1階と2階や異なる部屋に設置されており、住宅20aの階数や部屋数に応じて端末機の設置台数が異なるようになる。
図10に図示する例では、2台の端末機22a、22bが住宅20aに設置されている。
【0036】
端末機22a,22bは、前述した端末機22の通りに機能して、元の周波数帯にアップコンバートされたBS左旋IF信号あるいは110°CS左旋IF信号と、BS右旋IF信号および110°CS右旋IF信号との混合信号が出力されて、デジタル放送受信機器であるTV23a,23bに供給される。また、CATVラインで送られてきた周波数帯のUHF地デジ信号が出力されて、TV23a,23bに供給される。TV23a,23bでは、BS右旋およびBS左旋のIF信号、110°CS右旋および110°CS左旋のIF信号を受信できると共に、パススルー機能によりCATVラインで送られてきた周波数帯のUHF地デジ信号を受信することができる。すなわち、TV23a,23bで地デジ放送チャンネル、BS右旋およびBS左旋のBS放送チャンネル、110°CS右旋および110°CS左旋のCS放送チャンネルを視聴することができる。また、端末機を3台以上住宅20aに設置している場合は、それぞれの端末機に接続されたデジタル放送受信機器において、地デジ放送チャンネル、BS右旋およびBS左旋のBS放送チャンネル、110°CS右旋および110°CS左旋のCS放送チャンネルを視聴することができるようになる。
1,2 周波数変換伝送システム、10,10a 周波数変換装置、11,11a BS/CSアンテナ、12 UHFアンテナ、13 U/V変換部、20 共同住宅、20a 住宅、21,21a,21b 壁面端子、22,22a,22b 端末機、30 共同受信設備ライン、100 周波数変換伝送システム、110 周波数変換装置、111 BS/CSアンテナ、112 UHFアンテナ、120 共同住宅、122 端末機