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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176781
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20221122BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02K1/27 501C
H02K1/27 501K
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083380
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】遠山 俊平
(72)【発明者】
【氏名】脇本 裕章
(72)【発明者】
【氏名】生井 美帆
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC02
5H601CC05
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA32
5H601GB13
5H601GB34
5H601GC12
5H601KK08
5H601KK12
5H601KK21
5H622CA02
5H622CB05
5H622PP03
5H622PP12
5H622PP19
(57)【要約】
【課題】永久磁石を押圧力で磁石収容孔内に固定しながら、永久磁石にかかる応力を低減させることが可能なロータを提供する。
【解決手段】このロータ100は、軸方向に沿って延びるように設けられる複数の磁石収容孔4を含み、複数の電磁鋼板10が軸方向に積層されることにより形成されているロータコア1と、複数の磁石収容孔4の各々に収容される永久磁石5と、複数の磁石収容孔4の各々において永久磁石の外表面50を覆うように設けられる絶縁性を有する絶縁紙6とを備える。また、ロータコア1は、複数の磁石収容孔4の各々に配置される永久磁石5を、絶縁紙6を介してかしめる複数の突出部7(かしめ部、第1突出部)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延びるように設けられる複数の磁石収容孔を含み、複数の電磁鋼板が前記軸方向に積層されることにより形成されているロータコアと、
前記複数の磁石収容孔の各々に収容される永久磁石と、
前記複数の磁石収容孔の各々において前記永久磁石の外表面を覆うように設けられる絶縁性を有する絶縁紙とを備え、
前記ロータコアは、前記複数の磁石収容孔の各々に配置される前記永久磁石を、前記絶縁紙を介してかしめる複数のかしめ部を含む、ロータ。
【請求項2】
少なくとも前記かしめ部によりかしめられる前記永久磁石の部分と、前記絶縁紙とは、互いに接着されている、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記かしめ部は、前記磁石収容孔の前記軸方向の一方側の端部に設けられ、前記磁石収容孔の外周縁から前記永久磁石に向かって突出する第1突出部を含み、
前記第1突出部は、前記永久磁石の前記軸方向の一方側の端面を覆うように設けられる前記絶縁紙の部分を介して、前記軸方向の一方側から前記端面をかしめるように設けられている、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記ロータコアの前記軸方向の他方側の端部に配置された前記電磁鋼板またはプレート部材により前記軸方向の他方側から支持された状態で、前記軸方向の一方側から前記絶縁紙を介して前記第1突出部によりかしめられている、請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記かしめ部は、前記永久磁石のうち前記軸方向に沿って延びる一の側面との間で前記絶縁紙を挟むように設けられる前記磁石収容孔の内周面から前記一の側面に向かって突出する第2突出部を含み、
前記第2突出部は、前記一の側面を覆うように設けられる前記絶縁紙の部分を介して、側方から前記一の側面をかしめるように設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石を備えるロータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の永久磁石回転子(ロータ)は、複数の永久磁石収容孔を有する鉄心を備えている。複数の永久磁石収容孔の各々には、永久磁石が収容されている。また、永久磁石回転子の中心には、軸方向に延びる中心穴が設けられている。中心穴と永久磁石収容孔との間の鉄心が内径側から押圧されることによって、永久磁石収容孔に突出する永久磁石押圧部が形成されている。永久磁石収容孔に収容された永久磁石は、永久磁石押圧部によって永久磁石収容孔の内面に押圧されることにより固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-251795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には明記されていないが、永久磁石は、絶縁被膜により被覆されることによって鉄心と絶縁されていると考えられる。ここで、永久磁石の絶縁被膜は、厚みが比較的小さく、かつ、機械的強度が比較的低いため、永久磁石押圧部から永久磁石にかかる応力が比較的分散されにくく、応力が集中しやすい。この場合、永久磁石にかかる応力が比較的大きくなる。ここで、永久磁石に比較的大きい応力がかかると、永久磁石からの磁力が低下(減磁)するため、モータの性能が低下することが考えられる。したがって、永久磁石を押圧力で磁石収容孔内に固定しながら、永久磁石にかかる応力を低減させることができるロータが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、永久磁石を押圧力で磁石収容孔内に固定しながら、永久磁石にかかる応力を低減させることができるロータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるロータは、軸方向に沿って延びるように設けられる複数の磁石収容孔を含み、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることにより形成されているロータコアと、複数の磁石収容孔の各々に収容される永久磁石と、複数の磁石収容孔の各々において永久磁石の外表面を覆うように設けられる絶縁性を有する絶縁紙とを備え、ロータコアは、複数の磁石収容孔の各々に配置される永久磁石を、絶縁紙を介してかしめる複数のかしめ部を含む。
【0008】
この発明の一の局面によるロータでは、上記のように、ロータコアは、永久磁石を絶縁紙を介してかしめるかしめ部を含む。ここで、一般的に、絶縁紙は、絶縁被膜よりも厚みが大きく、かつ、機械的強度が高いので、外部からの応力を分散させやすい。これにより、絶縁被膜を介してかしめ部を永久磁石にかしめる場合に比べて、絶縁紙を介してかしめ部を永久磁石にかしめることによって、かしめ部から永久磁石に加えられる応力を絶縁紙によってより低減させることができる。その結果、かしめ部による押圧力により永久磁石を磁石収容孔内に固定しながら、永久磁石にかかる応力を低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、永久磁石を押圧力で磁石収容孔内に固定しながら、永久磁石にかかる応力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による回転電機の構成を示す平面図である。
図2】第1および第2実施形態による永久磁石および絶縁紙の構成を示す斜視図である。
図3】第1および第2実施形態による絶縁紙の構成を示す展開図である。
図4図1の300-300線に沿った断面図である。
図5】第1および第2実施形態による絶縁紙の構成を示す断面図である。
図6】第2実施形態によるロータコアの構成を示す部分拡大平面図である。
図7図6の400-400線に沿った断面図である。
図8】第1実施形態の第1変形例によるロータコアの断面図である。
図9図8の平面図である。
図10】第1実施形態の第2変形例によるロータコアの断面図である。
図11】第2実施形態の第1変形例によるロータコアの部分拡大平面図である。
図12】第1および第2実施形態の絶縁紙の構成の変形例を示す断面図ある。
図13】第1実施形態の第3変形例によるロータコアの断面図である。
図14】第2実施形態の変形例によるロータコアの断面図である。(図14(a)は、第2実施形態の第2変形例によるロータコアの断面図である。図14(b)は、第2実施形態の第3変形例によるロータコアの断面図である。図14(c)は、第2実施形態の第4変形例によるロータコアの断面図である。)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1図5を参照して、第1実施形態によるロータ100について説明する。
【0013】
本願明細書では、「軸方向」とは、ロータ100の回転軸線Cに沿った方向を意味し、図中のZ方向を意味する。また、「径方向」とは、ロータ100の径方向(R1方向またはR2方向)を意味し、「周方向」は、ロータ100の周方向(E1方向またはE2方向)を意味する。
【0014】
(ロータの構成)
図1に示すように、ロータ100は、ステータ101と共に回転電機102を構成する。また、ロータ100およびステータ101は、それぞれ、円環状に形成されている。そして、ロータ100は、ステータ101の径方向内側に対向して配置されている。すなわち、回転電機102は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。
【0015】
ロータ100は、ロータコア1を備える。また、ロータ100には、ロータシャフト2が設けられている。ロータシャフト2は、ロータコア1の径方向内側に配置されている。ロータシャフト2は、ギア等の回転力伝達部材を介して、エンジンや車軸等に接続されている。たとえば、回転電機102は、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成されており、車両に搭載されるように構成されている。
【0016】
また、ロータコア1は、複数の電磁鋼板10(図4参照)が軸方向(Z方向)に積層されることにより形成されている。電磁鋼板10は、円環状に形成されている。
【0017】
ロータコア1は、回転軸線C回りに回転される。また、ロータコア1は、軸方向(Z方向)に延びるシャフト挿入孔3を含む。シャフト挿入孔3は、軸方向に沿って見て、ロータコア1の中央部に設けられている。ロータシャフト2は、シャフト挿入孔3に挿入されている。ロータシャフト2が回転することにより、ロータコア1にロータシャフト2の回転力が伝達され、ロータコア1が回転するように構成されている。
【0018】
また、ロータコア1は、軸方向(Z方向)に沿って延びるように設けられる複数(第1実施形態では16個)の磁石収容孔4を含む。複数の磁石収容孔4は、互いに間隔を隔てて周状に配置されている。複数の磁石収容孔4の各々は、軸方向に沿って見て、周方向に沿って延びるように設けられている。すなわち、複数の磁石収容孔4の各々は、軸方向に沿って見て、矩形形状を有している。なお、磁石収容孔4は、複数の電磁鋼板10の孔部10bが軸方向に積み重ねられることにより形成されている。
【0019】
ロータ100は、複数の磁石収容孔4の各々に収容(挿入)される永久磁石5を備える。すなわち、回転電機102は、埋込永久磁石型モータ(IPMモータ:Interior Permanent Magnet Motor)として構成されている。なお、複数の磁石収容孔4の各々には、樹脂等の固定材は充填されていない。
【0020】
なお、ステータ101は、ステータコア101aと、ステータコア101aに巻回(配置)されたコイル101bとを含む。ステータコア101aは、ロータコア1の径方向外側に配置されている。ステータコア101aは、たとえば、複数の電磁鋼板(珪素鋼板)が軸方向に積層されており、磁束を通過可能に構成されている。コイル101bは、外部の電源部に接続されており、電力(たとえば、3相交流の電力)が供給されるように構成されている。そして、コイル101bは、電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。また、ロータ100およびロータシャフト2は、コイル101bに電力が供給されない場合でも、エンジン等の駆動に伴って、ステータ101に対して回転するように構成されている。なお、図1では、コイル101bの一部のみを図示しているが、コイル101bは、ステータコア101aの全周に亘って配置されている。
【0021】
永久磁石5は、軸方向に沿って見て、矩形形状を有している。言い換えると、永久磁石5は、軸方向に直交する断面が長方形形状を有している。たとえば、永久磁石5は、磁化方向(着磁方向)が短手方向となるように構成されている。
【0022】
また、ロータ100は、複数の磁石収容孔4の各々において永久磁石5の外表面50を覆うように設けられる絶縁性を有する絶縁紙6を備える。なお、絶縁紙は、一般的に、絶縁被膜よりも機械的強度が高いので、外部からの応力を分散させやすい。
【0023】
具体的には、図2に示すように、絶縁紙6は、永久磁石5の外表面50のうち、径方向(R方向)と直交するように延びる側面51と、径方向に沿って延びる側面52と、軸方向の一方側(Z1方向側)の端面53と、を覆うように設けられる絶縁紙60を含む。また、絶縁紙6は、永久磁石5の外表面50のうち、径方向(R方向)と直交するように延びる側面54と、径方向に沿って延びる側面55と、軸方向の他方側(Z2方向側)の端面56と、を覆うように設けられる絶縁紙61を含む。なお、側面51は、側面54の径方向内側(R1側)に設けられている。また、側面52は、側面55の周方向の一方側(E1側)に設けられている。また、絶縁紙60と絶縁紙61とは、互いに別個に設けられている。すなわち、永久磁石5は、2枚の絶縁紙(60、61)により覆われている。
【0024】
図3に示すように、絶縁紙60は、側面51を覆う部分60aと、側面52を覆う部分60bと、端面53を覆う部分60cとを有する。部分60bおよび部分60cの各々は、部分60aに接続されている。また、絶縁紙61は、側面54を覆う部分61aと、側面55を覆う部分61bと、端面56を覆う部分61cとを有する。部分61bおよび部分61cの各々は、部分61aに接続されている。なお、以下では、特に断りがない場合には、絶縁紙60と絶縁紙61とは区別せず絶縁紙60と記載(図示)して説明を行う。
【0025】
複数の磁石収容孔4の各々に収容される永久磁石5の外表面50は、絶縁被膜により被覆されずに絶縁紙6により覆われている。すなわち、永久磁石5には、熱処理等による絶縁処理(被膜形成処理)が行われておらず、永久磁石5の外表面50が絶縁紙6により覆われている。
【0026】
これにより、ロータ100の製造工程から永久磁石5の絶縁被膜を形成する絶縁処理を省略することが可能である。ここで、絶縁被膜を形成するために必要な熱処理は、絶縁紙6により永久磁石5を覆う作業に比べて時間がかかる。したがって、熱処理に要する時間を省略できる分、ロータ100の製造に要する時間を短縮することが可能である。
【0027】
また、図1に示すように、ロータコア1は、複数の磁石収容孔4の各々に配置される永久磁石5を、絶縁紙6を介してかしめる複数の突出部7を含む。突出部7は、永久磁石5を押圧することにより、磁石収容孔4内において永久磁石5を固定している。突出部7は、永久磁石5の外表面50には直接接触せずに、絶縁紙6を介して間接的に永久磁石5に接触(永久磁石5を押圧)している。なお、突出部7は、特許請求の範囲の「かしめ部」および「第1突出部」の一例である。
【0028】
ここで、一般的に、絶縁紙は、絶縁被膜よりも厚みが大きく、かつ、機械的強度が高いので、外部からの応力を分散させやすい。これにより、絶縁被膜を介して突出部7を永久磁石5にかしめる場合に比べて、絶縁紙6を介して突出部7を永久磁石5にかしめることによって、突出部7から永久磁石5に加えられる応力を絶縁紙6によってより低減させることができる。その結果、突出部7による押圧力により永久磁石5を磁石収容孔4内に固定しながら、永久磁石5にかかる応力を低減させることができる。
【0029】
図4に示すように、突出部7は、磁石収容孔4の軸方向の一方側(Z1方向側)の端部4aに設けられている。また、突出部7は、磁石収容孔4の外周縁4bから永久磁石5に向かって突出するように設けられている。具体的には、突出部7は、磁石収容孔4の外周縁4bのうち径方向内側(R1方向側)の部分から径方向外側に向かって突出するように設けられている。また、図1に示すように、軸方向の一方側(Z1方向側)から見て、突出部7は、磁石収容孔4の外周縁4bのうちの径方向内側の部分における中央部に設けられている。なお、突出部7は、複数の永久磁石5の各々に対して1つ設けられている。突出部7は、複数の永久磁石5の各々に対して複数設けられていてもよい。
【0030】
突出部7は、永久磁石5に対してかしめられる電磁鋼板10の所定の部分10aからなる。具体的には、突出部7は、ロータコア1の軸方向の一方側(Z1側)の端部に設けられる電磁鋼板10(図4ではZ1側から2枚の電磁鋼板10)の部分10aが変形されることにより形成されている。
【0031】
これにより、永久磁石5をかしめるための部材として電磁鋼板10以外の部材を用いる必要がない分、ロータ100の部品点数を低減することが可能であるとともにロータ100の構成を簡略化することが可能である。
【0032】
また、電磁鋼板10の部分10aは、磁石収容孔4の外周縁4b近傍がかしめ用の治具(パンチ)により軸方向の一方側から押圧される(図4の一点鎖線矢印参照)ことによって変形されることにより、永久磁石5側に突出するように形成されている。
【0033】
また、突出部7は、永久磁石5の軸方向の一方側(Z1側)の端面53を覆うように設けられる絶縁紙6(絶縁紙60)の部分60cを介して、軸方向の一方側から端面53をかしめるように設けられている。
【0034】
これにより、永久磁石5が軸方向の一方側に移動するのを突出部7により規制しながら、永久磁石5の軸方向の一方側(Z1側)の端面53にかかる応力を絶縁紙6(部分60c)により低減させることができる。
【0035】
具体的には、突出部7は、永久磁石5の、軸方向の一方側(Z1側)で、かつ、径方向内側(R1側)の縁部5aを、軸方向の一方側からかしめるように設けられている。詳細には、突出部7は、軸方向の一方側から見て、縁部5aの中央部をかしめる(図1参照)ように設けられている。なお、縁部5aは、特許請求の範囲の「かしめ部によりかしめられる永久磁石の部分」の一例である。
【0036】
また、図4に示すように、ロータコア1は、ロータコア1の軸方向の他方側(Z2側)の端部に配置されているエンドプレート8を含む。エンドプレート8は、磁石収容孔4を軸方向の他方側から塞いでいる。なお、エンドプレート8は、特許請求の範囲の「プレート部材」の一例である。
【0037】
すなわち、永久磁石5は、ロータコア1の軸方向の他方側(Z2側)の端部に配置されたエンドプレート8により軸方向の他方側から支持された状態で、軸方向の一方側(Z1側)から絶縁紙6(部分60c)を介して突出部7によりかしめられている。
【0038】
これにより、永久磁石5の軸方向の他方側(Z2側)をかしめるためのかしめ部(突出部)を形成することなく、永久磁石5を軸方向の他方側から支持することができる。その結果、永久磁石5の軸方向の下方側にもかしめ部(突出部)を形成する場合に比べて、かしめ部(突出部)を形成する工程を省略することができる分、ロータ100の製造プロセスを簡略化することができる。
【0039】
すなわち、永久磁石5は、突出部7により軸方向の一方側(Z1側)への移動が規制されているとともに、エンドプレート8により軸方向の他方側(Z2側)への移動が規制されている。
【0040】
また、永久磁石5の全面(側面51、側面52、端面53、側面54、側面55、および端面56)が絶縁紙6により覆われた状態で、永久磁石5は絶縁紙6を介して突出部7によりかしめられている。
【0041】
これにより、永久磁石5の全面が絶縁紙6により覆われていることによって、永久磁石5を電磁鋼板10に対して確実に絶縁することが可能である。
【0042】
また、少なくとも突出部7によりかしめられる永久磁石5の縁部5aと、絶縁紙6とは、互いに接着されている。
【0043】
これにより、永久磁石5と絶縁紙6とを接着により固定することができるので、絶縁紙6を永久磁石5に対して容易に固定することができる。
【0044】
また、永久磁石5を絶縁紙6により覆ってから磁石収容孔4に挿入する場合に、永久磁石5と絶縁紙6とが接着されているので、絶縁紙6と永久磁石5とを一体化した状態で磁石収容孔4に挿入することが可能である。その結果、永久磁石5と絶縁紙6とを容易に磁石収容孔4に挿入することが可能である。
【0045】
具体的には、永久磁石5の全面(側面51、側面52、端面53、側面54、側面55、および端面56)において、永久磁石5と絶縁紙6とは、互いに接着されている。すなわち、永久磁石5の外表面50の全ての領域(部分)が絶縁紙6と接着されている。
【0046】
また、図4に示すように、絶縁紙6のうち、突出部7によりかしめられる永久磁石5の縁部5aを覆う部分は、永久磁石5に接着される接着層62(図5参照)を含む。
【0047】
これにより、永久磁石5の縁部5aと絶縁紙6とを接着剤等により接着しなくても、永久磁石5の縁部5aと絶縁紙6とを接着層により接着することが可能である。その結果、接着剤を絶縁紙6および永久磁石5の少なくとも一方に塗布する工程が省略できる分、ロータ100の製造プロセスを簡略化することができる。これにより、ロータ100の製造プロセスを簡略化しながら、接着層62によって、永久磁石5を磁石収容孔4内において安定的に固定することが可能である。
【0048】
具体的には、接着層62は、絶縁紙6の全体に設けられている。すなわち、絶縁紙6の構成(組成)は、均一である。
【0049】
詳細には、図5に示すように、絶縁紙6は、接着層62と絶縁機能を有する絶縁シート63との2層構造を有する。絶縁紙6は、接着層62が永久磁石5と接触するように設けられていることにより、永久磁石5に接着されている。なお、接着層62は、たとえばエポキシ樹脂または発泡樹脂等により構成されている。また、絶縁シート63は、樹脂系のPEN(ポリエチレンナフタレート)またはPI(ポリイミド)等により構成されている。なお、絶縁紙6は、全体的に樹脂系の素材により形成されている。これにより、永久磁石5にかかるかしめによる応力が分散されやすくなっている。
【0050】
また、絶縁紙6の厚みtは、たとえば12.5μm程度である。なお、一般的に、絶縁紙6の厚みtを大きくすることは、絶縁被膜を厚くすることよりも容易である。なお、絶縁紙6の厚みtは、絶縁紙6の全体において均一である。
【0051】
[第2実施形態]
次に、図6および図7を参照して、第2実施形態によるロータ200について説明する。第2実施形態のロータ200では、永久磁石5が軸方向の一方側からかしめられている上記第1実施形態とは異なり、永久磁石5が側方からかしめられている。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
【0052】
(ロータの構成)
図6に示すように、ロータ200は、ロータコア11を備える。ロータコア11は、複数の電磁鋼板110(図7参照)が軸方向(Z方向)に積層されることにより形成されている。なお、図6では、後述するエンドプレート18a(図7参照)が設けられていない状態が図示されている。
【0053】
また、ロータコア11は、軸方向(Z方向)に沿って延びるように設けられる複数の磁石収容孔14を含む。複数の磁石収容孔14は、互いに間隔を隔てて周状に配置されている。周方向に互いに隣り合う一対の磁石収容孔14は、径方向外側(R2側)に凸のV字状に配置されている。永久磁石5は、複数の磁石収容孔14の各々に収容(挿入)されている。また、絶縁紙6は、複数の磁石収容孔14の各々に設けられる永久磁石5の外表面50を覆うように設けられている。
【0054】
また、ロータコア11は、V字に配置される一対の磁石収容孔14の各々の径方向内側(R1側)に配置されているフラックスバリア11aを含む。フラックスバリア11aは、径方向に沿った方向において、磁石収容孔14と隣り合うように設けられている。フラックスバリア11aは、一対の磁石収容孔14に共通に設けられている。すなわち、フラックスバリア11aは、一対の磁石収容孔14ごとに1つ設けられている。
【0055】
ここで、ロータコア11は、複数の磁石収容孔14の各々に配置される永久磁石5を、絶縁紙6を介してかしめる複数の突出部17を含む。なお、突出部17は、特許請求の範囲の「第2突出部」および「かしめ部」の一例である。
【0056】
図7に示すように、突出部17は、永久磁石5のうち軸方向に沿って延びる側面51との間で絶縁紙6(部分60a)を挟むように設けられる磁石収容孔14の内周面14aから側面51に向かって突出するように設けられている。突出部17は、側面51を覆うように設けられる絶縁紙6の部分60aを介して、側方から側面51をかしめるように設けられている。なお、側面51は、特許請求の範囲の「一の側面」および「かしめ部によりかしめられる永久磁石の部分」の一例である。
【0057】
これにより、永久磁石5が軸方向に移動するのを突出部17による側方からの押圧力により規制しながら、永久磁石5の側面51にかかる応力を低減させることができる。
【0058】
具体的には、突出部17は、永久磁石5の径方向内側(R1側)から永久磁石5の側面51に向かって径方向外側(R2側)に突出するように設けられている。すなわち、磁石収容孔14の内周面14aは、磁石収容孔14のうち径方向内側の内周面である。
【0059】
また、突出部17は、永久磁石5のZ1側の端面53近傍およびZ2側の端面56近傍の各々に設けられている。すなわち、永久磁石5の側面51は、2つの突出部17により軸方向の両端近傍の部分がかしめられている。また、突出部17は、軸方向視における永久磁石5の側面51の中央部(図6参照)に対応する位置に設けられている。なお、側面51に対する突出部17の位置は上記に限りられない。たとえば、突出部17が、側面51の軸方向における中央に対して1つだけ設けられていてもよい。
【0060】
突出部17は、フラックスバリア11aと磁石収容孔14との間のロータコア11の部分11bが永久磁石5に向かって突出するように変形されることによって形成されている。
【0061】
これにより、フラックスバリア11aの内側からかしめ用の治具(パンチ)によりフラックスバリア11aの内周面11cを押圧することにより、永久磁石5側に突出する突出部17を容易に形成することが可能である。また、フラックスバリア11aをかしめ用の孔として流用することができるので、かしめ用の孔を専用に設ける場合に比べて、ロータコア11に設けられる孔の個数を低減することが可能である。その結果、ロータコア11における磁路を確保するのを容易化することが可能であるとともに、ロータコア11の機械的強度が低くなるのを防止することが可能である。
【0062】
また、突出部17は、永久磁石5に対してかしめられる電磁鋼板110の部分110aからなる。突出部17は、複数の(図7では2枚の)電磁鋼板110の各々の部分110aが合わさって(軸方向に積み重なって)形成されている。
【0063】
また、図6に示すように、フラックスバリア11aの内周面11cは、周方向に隣り合うようにV字状に配置される一対の磁石収容孔14の各々に対応するように設けられている。一対の内周面11cの各々は、磁石収容孔14の内周面14aに沿って延びるように設けられている。すなわち、一対の内周面11cは、径方向外側に凸のV字状に配置されている。
【0064】
また、フラックスバリア11aの一対の内周面11cの各々には、突出部17に対応する凹部11dが形成されている。凹部11dは、上記のかしめ用の治具(パンチ)によりフラックスバリア11aの内周面11cが押圧(図7の一点鎖線矢印参照)された際に形成されたものである。
【0065】
また、図7に示すように、ロータコア11は、ロータコア11の軸方向の両側の端部に配置されたエンドプレート18を含む。具体的には、エンドプレート18は、ロータコア11の軸方向の一方側(Z1側)の端部に配置されたエンドプレート18aと、ロータコア11の軸方向の他方側(Z2側)の端部に配置されたエンドプレート18bと、を含む。エンドプレート18aは、軸方向の一方側から磁石収容孔14を塞ぐように配置されている。また、エンドプレート18bは、軸方向の他方側から磁石収容孔14を塞ぐように配置されている。
【0066】
永久磁石5は、ロータコア11の軸方向の両端に配置されたエンドプレート18(18a、18b)により軸方向の両側から支持された状態で、側方から絶縁紙6を介して突出部17によりかしめられている。
【0067】
これにより、永久磁石5が突出部17により側方からかしめられている場合にも、永久磁石5が磁石収容孔14から軸方向に飛び出すのを、エンドプレート18により確実に防止することが可能である。
【0068】
なお、エンドプレート18aは、軸方向に沿って見て、フラックスバリア11aとオーバラップする位置に配置される孔部18cを含む。また、エンドプレート18bは、軸方向に沿って見て、フラックスバリア11aとオーバラップする位置に配置される孔部18dを含む。
【0069】
また、複数の永久磁石5の各々をかしめる突出部17は、他の永久磁石5の磁極に起因してかしめる対象の永久磁石5に磁力が加わる方向に突出することによって、永久磁石5を側方からかしめるように設けられている。
【0070】
これにより、永久磁石5に加わる磁力の向きと、突出部17から永久磁石5に加えられる押圧力の向きとを揃えることができる。その結果、永久磁石5にかかる応力(ストレス)を低減することが可能である。
【0071】
なお、突出部17は、永久磁石5の着磁工程よりも前に形成される。すなわち、突出部17は、着磁の際に永久磁石5が移動しようとする方向(磁力が加わる方向)に突出することによって、永久磁石5を側方からかしめるように設けられている。これにより、予め永久磁石5を、着磁の際に永久磁石5が移動しようとする方向に寄せることが可能である。その結果、着磁の際に永久磁石5にかかる応力(ストレス)を低減することが可能である。
【0072】
また、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記第1実施形態では、突出部7(かしめ部、第1突出部)は、かしめ用の治具(パンチ)により電磁鋼板10の部分10aが変形されることにより、永久磁石5側に突出するように形成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、予め永久磁石5側に突出している部分を軸方向の一方側から永久磁石5にかしめてもよい。
【0075】
具体的には、図8に示すように、ロータコア21は、複数の互いに積層される電磁鋼板10と、ロータコア21の軸方向の一方側の端部に設けられる電磁鋼板20を含む。また、ロータコア21は、軸方向の一方側(Z1側)から永久磁石5をかしめる突出部27を含む。電磁鋼板20には、電磁鋼板10の孔部10bと共に磁石収容孔24を構成する孔部20a(図9参照)を含む。突出部27は、電磁鋼板20に設けられ、軸方向の一方側から見て複数の電磁鋼板10の各々の孔部10bを部分的に覆うように配置されている。また、突出部27は、軸方向の一方側から見て、永久磁石5の径方向内側(R1側)および径方向外側(R2側)の各々から永久磁石5に向かって突出すように設けられている。なお、突出部27は、特許請求の範囲の「第1突出部」の一例である。
【0076】
図9に示すように、2つの突出部27の各々は、突出する方向に向かって先細るテーパ形状(台形形状)を有している。これにより、突出部27を永久磁石5にかしめる際に、突出部27が電磁鋼板20の孔部20aの縁と擦れるのを防止することが可能である。その結果、突出部27を容易に永久磁石5にかしめることが可能である。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、絶縁紙60および絶縁紙61が、永久磁石5の互いに異なる面を覆うように設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。2つの絶縁紙が、永久磁石5の共通の面を覆うように設けられていてもよい。
【0078】
たとえば、図8に示すように、永久磁石5の軸方向の一方側(Z1側)の端面53および軸方向の他方側(Z2側)の端面56は、絶縁紙16が2重に重ねられた積層部分により覆われている。具体的には、絶縁紙16は、永久磁石5の端面53および端面56において互いに重なり合う絶縁紙160と絶縁紙161とを含む。そして、図8に示す例では、突出部27は、絶縁紙16の上記積層部分を介して、軸方向の一方側から端面53をかしめるように設けられている。なお、上記第1および第2実施形態でも図8に示す絶縁紙16が用いられていてもよい。
【0079】
これにより、絶縁紙16同士が互いに重ねられない場合に比べて、突出部27から永久磁石5にかかる応力をより分散させることが可能である。
【0080】
また、上記第1実施形態では、永久磁石5が軸方向の一方側(Z1側)からかしめられる例を示したが、本発明はこれに限られない。永久磁石5が軸方向の両側からかしめられてもよい。
【0081】
具体的には、図10に示すように、ロータコア31には、軸方向の両側に、突出部7(部分10a)を含む電磁鋼板10が配置されている。これにより、ロータコア31の磁石収容孔34に設けられる永久磁石5が、軸方向の両側から突出部7によりかしめられる。なお、この場合、エンドプレートはロータコア31に設けられない。
【0082】
また、上記第2実施形態では、突出部17(第2突出部)が径方向内側から永久磁石5に向かって突出する例を示したが、本発明はこれに限られない。永久磁石5が径方向外側からかしめられてもよい。
【0083】
具体的には、図11に示すように、ロータコア41は、永久磁石5の側面54に向かって径方向外側から突出する突出部37を含む。突出部37は、特許請求の範囲の「第2突出部」の一例である。
【0084】
ロータコア41の外周面41aには、突出部37に対応する位置に設けられる凹部41bが設けられている。凹部41bは、かしめ用の治具(パンチ)によりロータコア41の外周面41aが押圧されて突出部37が形成された際に形成されたものである。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、絶縁紙6は、接着層62と絶縁シート63とが積層される構成を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。絶縁紙が他の構成を有していてもよい。
【0086】
具体的には、図12(a)に示すように、絶縁紙26は、絶縁シート63のみの単層構造を有する。また、図12(b)に示すように、絶縁紙36は、絶縁シート63と絶縁シート64との2層構造を有する。絶縁シート64は、たとえばアラミド繊維により形成されている。アラミド繊維は、複数層の繊維により構成されているので、かしめによる応力をより一層分散させることが可能である。また、アラミド繊維は、摩擦係数が低いので、絶縁紙36により覆われた永久磁石5を磁石収容孔4(14)に挿入するのをより容易化することが可能である。この場合、絶縁シート63が永久磁石5と接触するとともに絶縁シート64が永久磁石5とは反対側(露出する側)に設けられるのが好ましい。
【0087】
また、図12(c)に示すように、絶縁紙46は、絶縁シート63が絶縁シート64により挟み込まれる3層構造を有する。また、図12(d)に示すように、絶縁紙66は、絶縁シート63が接着層62により挟み込まれる3層構造を有する。また、図12(e)に示すように、絶縁紙76は、図12(c)に示す絶縁紙46が接着層62により挟み込まれる5層構造を有する。また、図12(f)に示すように、絶縁紙86は、絶縁シート63が接着層62と絶縁シート64とにより挟み込まれる3層構造を有する。
【0088】
また、上記第1実施形態では、電磁鋼板10の所定の部分10aが永久磁石5をかしめる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ロータコアが、軸方向の一方側の端部に配置されたエンドプレートを含み、このエンドプレートが永久磁石をかしめる部分を有していてもよい。
【0089】
また、上記第1実施形態では、突出部7(第1突出部、かしめ部)にかしめられる永久磁石5の部分(縁部5a)と絶縁紙6とは、互いに接着されている例を示したが、本発明はこれに限られない。突出部7にかしめられる永久磁石5の部分(縁部5a)と絶縁紙6とは接着されていなくてもよい。なお、上記第2実施形態においても、突出部17にかしめられる永久磁石5の部分(側面51)と絶縁紙6とは接着されていなくてもよい。なお、絶縁紙6と永久磁石5とは、互いに接着されていなくてもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、永久磁石5の外表面50の全面が絶縁紙6と接着されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、永久磁石5の外表面50のうち突出部(7、17)(第1突出部、第2突出部、かしめ部)にかしめられる永久磁石5の部分(縁部5a、側面51)および絶縁紙6のみが接着されていもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、接着層62により絶縁紙6と永久磁石5とが接着される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、絶縁紙6と永久磁石5との間に接着剤を塗布することにより、絶縁紙6と永久磁石5とを接着してもよい。
【0092】
また、上記第1実施形態では、突出部7(かしめ部、第1突出部)は、永久磁石5の径方向内側から永久磁石5側に突出するように設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、突出部7は、永久磁石5の径方向外側から永久磁石5側に突出するように設けられていてもよい。また、突出部7は、永久磁石5の径方向内側および径方向外側の各々から突出するように設けられていてもよい。また、上記第2実施形態においても同様に構成されていてもよい。
【0093】
また、上記第1実施形態では、永久磁石5が、エンドプレート8(プレート部材)により軸方向の他方側から支持される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、永久磁石5は、ロータコアの軸方向の他方側の端部に配置された電磁鋼板により軸方向の他方側から支持されていてもよい。
【0094】
具体的には、図13に示すように、ロータコア71は、永久磁石5を軸方向の他方側から支持する電磁鋼板210を含む。
【0095】
また、上記第2実施形態では、永久磁石5が、エンドプレート18により軸方向の両側から支持される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、永久磁石5は、ロータコアの軸方向の両側の端部に配置された電磁鋼板により、軸方向の両側から支持されていてもよい。また、永久磁石5は、ロータコアの軸方向のいずれか一方の端部に配置された電磁鋼板と、ロータコアの軸方向の他方の端部に配置されたエンドプレート(プレート部材)とにより、軸方向の両側から支持されていてもよい。
【0096】
具体的には、図14(a)に示すように、ロータコア81は、永久磁石5を軸方向の一方側から支持するエンドプレート18aと、永久磁石5を軸方向の他方側から支持する電磁鋼板310とを含む。また、図14(b)に示すように、ロータコア82は、永久磁石5を軸方向の一方側から支持する電磁鋼板410と、永久磁石5を軸方向の他方側から支持するエンドプレート18bとを含む。また、図14(c)に示すように、ロータコア83は、永久磁石5を軸方向の一方側から支持する電磁鋼板510と、永久磁石5を軸方向の他方側から支持する電磁鋼板610とを含む。
【0097】
また、上記第2実施形態では、フラックスバリア11aがかしめ用の孔部として用いられる例を示したが、本発明はこれに限られない。フラックスバリア以外の用途の孔部(たとえば油路を形成する孔部)がかしめ用の孔部として用いられてもよい。また、かしめ専用の孔部がロータコアに設けられていてもよい。
【0098】
また、上記第1および第2実施形態では、2枚の絶縁紙6(60、61)により永久磁石5が覆われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1枚の絶縁紙により永久磁石5の全面が覆われていてもよい。また、永久磁石5の各面が互いに別個の絶縁紙により覆われていてもよい。
【0099】
また、上記第1実施形態では、突出部7(かしめ部、第1かしめ部)のみにより永久磁石5がかしめられ、上記第2実施形態では、突出部17のみにより永久磁石5がかしめられる例を示したが、本発明はこれに限られない。突出部7と突出部17との両方により永久磁石5がかしめられていてもよい。
【0100】
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0101】
複数の永久磁石(5)の各々をかしめる第2突出部(17)は、他の永久磁石(5)の磁極に起因してかしめる対象の永久磁石(5)に磁力が加わる方向に突出することによって、永久磁石(5)を側方からかしめるように設けられている。
【0102】
絶縁紙(6)のうち、かしめ部(7、17)によりかしめられる永久磁石(5)の部分(5a、51)を覆う部分(60a、60c)は、永久磁石(5)に接着される接着層(62)を含む。
【0103】
永久磁石(5)は、ロータコア(11)の軸方向の両端に配置された電磁鋼板(310、410、510、610)またはプレート部材(18a、18b)により軸方向の両側から支持された状態で、側方から絶縁紙(6)を介して第2突出部(17)によりかしめられている。
【0104】
ロータコア(11)は、軸方向に沿って見て、磁石収容孔(14)と隣り合うように設けられる磁気的空隙部(11a)を含み、第2突出部(17)は、磁気的空隙部(11a)と磁石収容孔(14)との間のロータコア(11)の部分(11b)が永久磁石(5)に向かって突出するように変形されることによって形成されている。
【0105】
かしめ部(7、17)は、永久磁石(5)に対してかしめられる電磁鋼板(10、110)の所定の部分(10a、110a)を含む。
【0106】
永久磁石(5)の軸方向の一方側の端面(53)は、絶縁紙(6)が2重に重ねられた積層部分により覆われており、第1突出部(7)は、絶縁紙(6)の積層部分を介して、軸方向の一方側から端面(53)をかしめるように設けられている。
【0107】
永久磁石(5)の全面が絶縁紙(6)により覆われた状態で、永久磁石(5)は絶縁紙(6)を介してかしめ部(7、17)によりかしめられている。
【0108】
複数の磁石収容孔(4、14)の各々に収容される永久磁石(5)の外表面(50)は、絶縁被膜により被覆されずに絶縁紙(6)により覆われている。
【符号の説明】
【0109】
1、11、21、31、41、71、81、82、83…ロータコア、4、14…磁石収容孔、4a…端部(磁石収容孔の端部)、4b…外周縁、5…永久磁石、5a…縁部(かしめ部によりかしめられる永久磁石の部分)、7、27…突出部(かしめ部、第1突出部)、8…エンドプレート(プレート部材)、10、110、210、310、410、510、610…電磁鋼板、17、37…突出部(かしめ部、第2突出部)、14a…内周面(磁石収容孔の内周面)、50…外表面、6、16、26、36、46、56、66、76、86…絶縁紙、51…側面(かしめ部によりかしめられる永久磁石の部分、一の側面)、53…端面、60a…部分(一の側面を覆う絶縁紙の部分)、60c…部分(端面を覆う絶縁紙の部分)、100、200…ロータ
図1
図2
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図5
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図10
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