(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176832
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】断熱性能評価装置、断熱性能の評価方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 25/18 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G01N25/18 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083477
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 将英
(72)【発明者】
【氏名】冨永 隆一
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA09
2G040AB08
2G040AB12
2G040BA16
2G040CB02
2G040DA02
2G040GA01
2G040HA05
2G040HA16
(57)【要約】
【課題】住宅の断熱性能を表す評価値を簡易に算出できるようにする。
【解決手段】断熱性能評価装置に、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、第1の時系列データと同時に測定された、住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、第1の時系列データと第2の時系列データとに基づいて、住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部とを設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、
前記第1の時系列データと前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部と
を有する断熱性能評価装置。
【請求項2】
前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、
請求項1に記載の断熱性能評価装置。
【請求項3】
前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、測定の開始時刻をtsとし、測定の終了時刻をteとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項2に記載の断熱性能評価装置。
【請求項4】
前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温の平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の平均値をTi_aveとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項2に記載の断熱性能評価装置。
【請求項5】
前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置。
【請求項6】
情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、
断熱性能の評価方法。
【請求項7】
コンピュータに、
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、
前記第1の時系列データと前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性能評価装置、断熱性能の評価方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点等から、断熱性能に優れた住宅が求められている。住宅の断熱性能は、設計図書の断熱仕様を用いることで算出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、設計図書から算出される断熱性能は設計上の数値であり、現実の住宅とは異なる可能性がある。また、竣工直後は設計通りの断熱性能を有していても、経年変化を経た現在の断熱性能は分からない。また、設計図書から断熱性能を算出する手法は、設計図書自体が存在しない住宅には使用できない。
【0005】
本発明は、住宅の断熱性能を表す評価値を簡易に算出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、前記第1の時系列データと前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部とを有する断熱性能評価装置。
請求項2に記載の発明は、前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、請求項1に記載の断熱性能評価装置である。
請求項3に記載の発明は、前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、測定の開始時刻をtsとし、測定の終了時刻をteとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項2に記載の断熱性能評価装置である。
請求項4に記載の発明は、前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温の平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の平均値をTi_aveとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項2に記載の断熱性能評価装置である。
請求項5に記載の発明は、前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置である。
請求項6に記載の発明は、情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、断熱性能の評価方法である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、前記第1の時系列データと前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、住宅の断熱性能を表す評価値を簡易に算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1で想定する断熱評価システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1で使用する温度計の構成例を説明する図である。
【
図3】実施の形態1で使用する断熱性能評価装置の構成例を説明する図である。
【
図4】ある住宅について測定された屋内の気温Ti[℃]の時系列データと屋外の気温To[℃]の時系列データの例を説明する図である。
【
図5】断熱性能の違いによる時系列データの変化の違いを説明する図である。(A)は無断熱住宅の時系列データであり、(B)は新省エネ住宅の時系列データであり、(C)は次世代省エネ住宅の時系列データである。
【
図6】指標Iの時間変化を説明する図である。(A)は無断熱住宅について計算される指標Iの時間変化を示し、(B)は新省エネ住宅について計算される指標Iの時間変化を示し、(C)は次世代省エネ住宅について計算される指標Iの時間変化を示す。
【
図7】実施の形態3で想定する断熱評価システムの構成例を示す図である。
【
図8】実施の形態3で使用する温度計の構成例を説明する図である。
【
図9】実施の形態3で使用する断熱性能評価装置の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<システムの構成>
図1は、実施の形態1で想定する断熱評価システム1の構成例を示す図である。
本実施の形態で説明する断熱評価システム1は、評価の対象である住宅10毎に設置される温度計101及び102と、断熱性能の評価をサービスとして提供する事業者側に設置される断熱性能評価装置200とで構成される。
【0010】
温度計101は、評価の対象とする住宅10の屋内の気温Ti[℃]を測定するデバイスであり、温度計102は、評価の対象とする住宅10の屋外の気温To[℃]を測定するデバイスである。
断熱性能評価装置200は、評価の対象とする住宅10について同時に測定された、屋内の気温Ti[℃]の時系列データと屋外の気温To[℃]の時系列データに基づいて、住宅10の断熱性能に関する評価値Dを算出するコンピュータである。もっとも、断熱性能評価装置200は、評価値Dの算出に特化した専用のモジュールでもよい。
【0011】
本実施の形態の場合、住宅10として戸建て住宅を想定する。もっとも、住宅10は、複数の住戸の集合体である集合住宅でもよい。
戸建て住宅の場合、例えば各部屋を評価の対象とする。例えばトイレ、風呂場、リビング、寝室等を評価の対象とする。なお、評価の対象とする部屋には、外気の影響を受け易い南向きの部屋、西日が入る部屋、北向きの部屋等を想定する。外気の影響を受け易い部屋は、断熱性能が低く、熱量Qが移動し易いことを意味する。
【0012】
集合住宅の場合、例えば区分所有者の専有部を評価の対象とする。専有部のうち評価の対象とする部屋は、戸建ての住宅と同じである。
もっとも、集合住宅の共有部を排除する意図ではない。例えば多目的ルームやエントランス等を評価の対象とすることも可能である。
以下では、戸建て住宅と集合住宅を区別せず、住宅10という。
【0013】
住宅10の建築の工法は任意である。例えば木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木質系プレハブ工法、コンクリート系プレハブ工法、ユニット系プレハブ工法、ログハウスのいずれでもよい。
【0014】
図1では、時間dtの間に、住宅10の屋内と屋外の間で移動する熱量をQ[J]で表している。熱量Q[J]の移動の方向には、屋内から屋外への方向と、屋外から屋内への方向がある。
もっとも、
図1では、熱量Q[J]が屋内から屋外に移動する場合を想定する。このため、矢印の向きは、屋内から屋外の方向である。
【0015】
本実施の形態の場合、温度計101と温度計102は、評価の対象である部屋の壁や窓を挟んで設置される。ただし、温度計101と温度計102を、測定の対象とする壁や窓の近くに配置する必要はない。
また、評価の対象とする部屋の壁等を挟んで設置することが困難な場合も起こり得る。このため、温度計101と温度計102を設置する場所は、評価の対象とする部屋の壁等を挟んで設置されていなくてもよい。
【0016】
なお、温度計101と温度計102は、日光の影響を少なくするため直射日光が当たらない場所に配置することが望ましい。
例えば温度計101は、部屋の中央部や奥側に配置する。なお、温度計101は、家電製品などの熱源から離して配置する。
一方、温度計102は、地面や床面から1.2m~1.5mの高さで、照り返しもなく、風通しの良い場所を選んで設置する。
【0017】
本実施の形態の場合、温度計101と温度計102は、例えば断熱性能を評価するサービスを提供する事業者のスタッフ等が訪問して設置する。もっとも、住宅10の住人が、温度計101と温度計102を設置してもよい。
本実施の形態の場合、住宅10内に、1つの温度計101と1つの温度計102を設置しているが、一方又は両方がそれぞれ複数でもよい。例えば温度計101を単数、温度計102を複数としてもよい。
【0018】
図1では、説明の都合上、住宅10を概念的に表現しているが、1つの住宅について、複数の部屋の断熱性能を評価してもよい。その場合には、各部屋について、温度計101と温度計102を設置する。また、複数の部屋を時間差で測定してもよい。その場合、各部屋で測定された気温の測定データと部屋との対応関係が分かるようにする。例えば測定データに測定地点を示す情報を付属データとして記憶可能にする。
【0019】
図2は、実施の形態1で使用する温度計101及び102の構成例を説明する図である。
温度計101と温度計102は、同じ構成を有している。温度計101と温度計102は、気温を測定する温度センサ111と、温度センサ111の測定データを記憶する不揮発性の半導体メモリ112と、動作に必要な電力を供給する電池113と、測定の開始を指示するスタートボタン114と、測定の終了を指示するストップボタン115と、通信インタフェース116とを有している。
【0020】
本実施の形態における温度センサ111は、スタートボタン114が操作されてからストップボタン115が操作されるまでの間、気温を測定し、測定データを半導体メモリ112に記憶する。本実施の形態における測定データは、少なくとも数時間分の時系列データである。
もっとも、温度センサ111は、電源が供給されている間は温度の測定を実行するものとし、スタートボタン114が操作されてからストップボタン115が操作されるまでの間に測定された測定データを、半導体メモリ112に記憶する仕組みとしてもよい。
【0021】
本実施の形態で使用する半導体メモリ112は、少なくとも6時間分の測定データを記憶するのに必要なデータ容量を有している。勿論、データ容量は一例であり、6時間以内のデータ容量を排除するものでもない。好ましくは、数日分以上のデータ容量を有する半導体メモリ112を使用する。測定データには、測定の日時も含まれる。
なお、
図2に示す構成は一例であり、液晶ディスプレイ等を有する構成でもよい。
【0022】
通信インタフェース116は、評価の対象とする住宅10から回収等された温度計101及び102から測定データ、すなわち屋内の気温Ti[℃]の時系列データと屋外の気温To[℃]の時系列データが断熱性能評価装置200(
図1参照)に読み出される場合に使用される。通信インタフェース116は、例えばUSB(=Universal Serial Bus)その他の有線通信用のデバイスでもよいし、ブルートゥース(登録商標)やその他の無線通信用のデバイスでもよい。
【0023】
図3は、実施の形態1で使用する断熱性能評価装置200の構成例を説明する図である。
実施の形態1で使用する断熱性能評価装置200は、例えばコンピュータを基本構成とする。すなわち、断熱性能評価装置200は、プログラムを実行するCPU(=Central Processing Unit)と、BIOS(=BaIc Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)201Bと、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)と、ハードディスクドライブ等が設けられている。
【0024】
図3に示す断熱性能評価装置200の構成は、プログラムの実行により実現される機能上の構成であり、屋内気温取得部201と、外気温取得部202と、評価値算出部203とを有している。
屋内気温取得部201は、温度計101に記憶されている屋内の気温Ti[℃]の時系列データを取得する機能部である。ここでの屋内気温取得部201は、第2の取得部の一例である。また、屋内の気温Ti[℃]の時系列データは、第2の時系列データの一例である。
【0025】
外気温取得部202は、温度計102に記憶されている屋外の気温To[℃]の時系列データを取得する機能部である。ここでの外気温取得部202は、第1の取得部の一例である。また、屋外の気温To[℃]の時系列データは、第1の時系列データの一例である。
評価値算出部203は、同時刻に測定された、気温Ti[℃]の時系列データと気温To[℃]の時系列データとに基づいて、後述する計算式により住宅10の断熱性能に関する評価値Dを算出する機能部である。評価値算出部203は、算出部の一例である。
算出された評価値Dは、電子メールや印刷物としてサービスの利用者に提供される。
【0026】
<評価値の計算方法>
<断熱性能の違いによる気温の変化>
以下では、実施の形態1で使用する評価値算出部203(
図3参照)による評価値Dの算出方法について説明する。
図4は、ある住宅10について測定された屋内の気温Ti[℃]の時系列データと屋外の気温To[℃]の時系列データの例を説明する図である。
【0027】
図4には、2組の時系列データが表示されている。時系列データの一方は、「住宅1」について測定された時系列データであり、細い実線と細い破線で示されている。時系列データの他方は、「住宅2」について測定された時系列データであり、太い実線と太い破線で示されている。
「住宅1」について屋内の気温Ti[℃]と屋外の気温To[℃]を測定する日時と「住宅2」について屋内の気温Ti[℃]と屋外の気温To[℃]を測定する日時は同じである必要はないが、
図4では、同じ時刻に測定された場合を想定している。
なお、前述したように、屋内の気温Ti[℃]と屋外の気温To[℃]は、同時刻に測定することが必要である。
【0028】
図4の場合、縦軸は温度[℃]を示し、横軸は時間[時刻]を示す。
図4では、夜中の0時から朝の6時までの間に測定された気温の時系列データがマッピングされている。
なお、実線は、屋内に設置した温度計101(
図1参照)で測定された気温Ti[℃]に対応し、破線は、屋外に設置した温度計102(
図1参照)で測定された気温To[℃]に対応している。
図4に示す測定データは、冬場に測定されている。このため、測定1と測定2のいずれの場合も、屋外の気温To[℃]が全ての時刻について、屋内の気温Ti[℃]よりも低くなっている。
【0029】
また、屋内の気温Ti[℃]は、エアコン等の空調設備や床暖房等を停止した状態で測定する。室内に存在する熱源の影響を排除するためである。このため、ガスコンロ等の調理家電の他、テレビ受像機やビデオデッキ等の電化製品も電源をオフした状態で測定することが望ましい。
いずれにしても、
図4の場合には、屋内の暖房機器を停止させているので、外気の影響により、時間の経過に伴って、屋内で測定された気温Ti[℃]が徐々に低下している。
なお、断熱性能を夏場に測定する場合には、屋内の冷房機器を停止した状態で行う。夏場の場合、冷房機器を停止すると、外気の影響を受けて室内の温度が徐々に上昇する。
【0030】
図5は、断熱性能の違いによる時系列データの変化の違いを説明する図である。(A)は無断熱住宅の時系列データであり、(B)は新省エネ住宅の時系列データであり、(C)は次世代省エネ住宅の時系列データである。
図5の場合も、細線は「住宅1」の測定データに対応し、太線は「住宅2」の測定データに対応する。
図5の場合も、縦軸は温度であり、横軸は時間である。気温を測定した時刻は、いずれの住宅も同じであるが、測定に用いた住宅10が存在する地域が違うので外気温は異なっている。
【0031】
因みに、無断熱住宅とは、断熱性能を有する建材が使用されていない住宅をいう。ここでの建材には、主に外気と接する部分に設置される外壁、屋根、天井、床、窓等がある。
新省エネ住宅とは、平成4年に改正された法律に定めた基準を満たす住宅をいう。
次世代省エネ住宅とは、平成11年に改正された法律に定めた基準を満たす住宅をいう。
【0032】
図5(A)に示す無断熱住宅における屋内の気温Ti[℃]の変化は、断熱性能を有する他の住宅に比して大きい。例えば「住宅1」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、22[℃]から10[℃]まで低下している。その変化は12[℃]である。
一方、「住宅2」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、17[℃]から13[℃]まで低下している。その変化は4[℃]である。ただし、「住宅2」の屋外の気温To[℃]が、「住宅1」の屋外の気温To[℃]に比して高かったためと推測される。このように、外気温は屋内の気温の変化に影響する。
【0033】
図5(B)に示す新省エネ住宅における屋内の気温Ti[℃]の変化は、無断熱住宅に比して小さい。例えば「住宅1」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、22[℃]から17[℃]まで低下している。その変化は5[℃]である。また、「住宅2」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、20[℃]から16[℃]まで低下している。その変化は4[℃]である。例えば「住宅1」の屋内の気温Ti[℃]の変化は、無断熱住宅の半分以下である。
【0034】
なお、「住宅2」の屋内の気温Ti[℃]の変化は4[℃]であり、見かけ上、無断熱住宅の「住宅2」と同じである。
ただし、無断熱住宅では、0時における屋内と屋外の気温差が5[℃]、6時における屋内と屋外の気温差が3[℃]であるのに対し、新省エネ住宅の場合、0時における屋内と屋外の気温差が12[℃]、6時における屋内と屋外の気温差が10[℃]と大きい。
このように、
図5(B)に示す新省エネ住宅は、無断熱住宅に比して、屋外の気温To[℃]の影響が少ない。
【0035】
図5(C)に示す次世代省エネ住宅における気温Ti[℃]の変化は、無断熱住宅や新省エネ住宅に比して小さい。例えば「住宅1」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、19[℃]から15[℃]まで低下している。その変化は4[℃]である。また、「住宅2」の屋内の気温Ti[℃]は、6時間の間に、18[℃]から16[℃]まで低下している。その変化は2[℃]である。
【0036】
しかも、次世代省エネ住宅の「住宅2」の場合、0時における屋内と屋外の気温差が13[℃]、6時における屋内と屋外の気温差が15[℃]であり、新省エネ住宅の場合よりも気温差がより大きい。
すなわち、
図5(C)に示す次世代省エネ住宅は、新省エネ住宅に比して、屋外の気温To[℃]の影響が少ない。
【0037】
<評価値の計算式>
以下では、断熱性能の評価値Dの計算式について説明する。
まず、時間dtに屋内から屋外へ流出する熱量Q[J]は、式1より表現される。
ここで、λは、外皮(すなわち外壁)の熱伝導率[W/(m・K]であり、Sは、外皮の面積であり、dxは、外皮の厚さ[m]である。また、dTは、屋外と屋内の気温差であり、Ti-Toで計算される。
【0038】
この式1を変形すると、式2が得られる。なお、式2の2段目以降では、外皮の厚さdxを「d」で表現している。
【0039】
ところで、屋内の温度TiがdTi降下したときに、屋内から屋外に流出した熱量Q[J]は、式3で表現される。
ここで、Cは、住宅10の熱容量である。
この式3を変形すると、式4が得られる。
【0040】
式2の左辺と式4の左辺は、同じ物理量を表している。従って、式2の右辺と式4の右辺は等しい値となる。
このため、式5が成立する。
【0041】
式5を変形すると、式6が得られる。
式6の右辺は、温度計101と温度計102で測定される気温のみで計算される値である。
本実施の形態では、式6の右辺で計算される値を、指標Iと呼ぶ。
【0042】
ところで、
図4を用いて説明したように、屋内の気温Ti[℃]と屋外の気温To[℃]は常時変化する。
このため、式6で計算される指標Iは、同じ住宅であっても、計算に用いた時刻により異なる値になる。
図6は、指標Iの時間変化を説明する図である。(A)は無断熱住宅について計算される指標Iの時間変化を示し、(B)は新省エネ住宅について計算される指標Iの時間変化を示し、(C)は次世代省エネ住宅について計算される指標Iの時間変化を示す。
【0043】
図6の縦軸は指標Iの値であり、横軸は時間である。
図6(A)に示す指標Iの時間変化は、
図6(B)や
図6(C)に示す指標Iの時間変化に比して時間変化が大きい。また、
図6(B)に示す指標Iの時間変化は、
図6(C)に示す指標Iの時間変化に比して時間変化が大きい。
なお、最も時間変化が少ない
図6(C)の場合にも、指標Iは、時刻により変動する。このため、指標Iを、断熱性能の評価値Dに用いることはできない。
【0044】
そこで、本実施の形態では、指標Iの時間平均値を、断熱性能の評価値Dと定義する。
具体的には、断熱性能の評価値Dを式7として定義する。
式7の分子は、指標Iの積分値に対応する。tsは評価に使用する測定時間の開始時刻であり、teは評価に使用する測定時間の終了時刻である。
式7で与えられる評価値Dは、評価の対象とする住宅10の屋内と屋外で測定された気温差(Ti-To)に対する屋内で測定された気温の時間変化値(-dTi/dt)の比の時間平均値の一例である。
【0045】
測定時間は、例えば2時間とし、好ましくは6時間とする。なお、これらの数値は一例であり、測定時間は2時間以内でもよく、6時間以上でもよい。
ただし、測定時間が短すぎると、
図6(A)における0時から2時のように指標Iのバラツキが大きい時間帯を含むことにあり、正確な評価が困難になる。
そこで、6時間よりも短い測定時間を採用する場合には、バラツキの少ない時間帯のサンプルだけを抽出したり、バラツキの大きいサンプルを除外したりすることが好ましい。
【0046】
なお、バラツキが大きい時間帯は、例えば測定時刻の順番に4~5サンプルずつ指標Iの平均値を算出し、その平均値が全サンプルの標準偏差σより大きい場合として特定してもよい。ここで、平均値は、例えばサンプル番号「1、2、3、4」について計算した後、サンプル番号「2、3、4、5」について計算してもよいし、サンプル番号「1、2、3、4」について計算した後、サンプル番号「5、6、7、8」について計算してもよい。
【0047】
平均値が全サンプルの標準偏差σより大きい測定値は、誤差とみなす基準を満たす測定値の一例である。
サンプルの取得の周期は、例えば1分間隔、3分間隔でもよく、20秒、30秒のように1分未満でもよい。
図6の例では、作図上の制約のため、1時間に3~4個のサンプルをマッピングしているが、実際には、より多くのサンプルが存在する。
【0048】
最後に、本実施の形態で採用する評価値Dが、現実の断熱性能に合致することを説明する。
図5(A)~(C)について評価値Dを計算したところ、無断熱住宅の評価値Dは0.185となり、新省エネ住宅の評価値Dは0.088となり、次世代省エネ住宅の評価値Dは0.036となった。
この評価値Dは、断熱性能が高いほど小さい数値で表されており、評価に使用した各住宅の断熱性能の傾向とも整合的である。そこで、本実施の形態における断熱性能評価装置200は、式7により評価値Dを算出し、算出された評価値Dをサービスの利用者に提供する。
【0049】
本実施の形態の場合、断熱性能の評価値Dを式7で定義するので、評価の対象とする住宅10において屋内の気温Ti[℃]と屋外の気温To[℃]の各時系列データを測定するだけで、断熱性能の評価が可能になる。
しかも、この評価値Dは、設計図書から算出される設計上の断熱性能とは異なり、対象とする住宅10で実測された気温に基づいて計算される。すなわち、評価値Dを用いれば、測定時刻の断熱性能をリアルタイムで知ることができる。また、評価値Dであれば、設計図書が存在しない住宅10についても断熱性能の評価が可能になる。
【0050】
また、竣工直後は設計通りの断熱性能を有していても、一般には断熱性能の経年変化は避け得ない。
しかし、設計図書による評価では、経年変化を経た断熱性能を数値として確認することができない。
一方、本実施の形態で採用する評価値Dであれば、断熱性能の経年変化も数値として確認することができる。
断熱性能の現在値や経年変化のデータが蓄積されることで、各住宅に応じたリフォームの必要性やリフォームの効果も検証することが可能になる。このような検証は、設計図書に基づく評価手法では困難である。
【0051】
<実施の形態2>
本実施の形態では、式6で表される指標Iをベースにした他の評価値の例を説明する。
本実施の形態における評価値算出部203(
図3参照)は、式8に基づいて評価値Dを計算する。
【0052】
式8では、指標Iの分子に用いる気温Tiの時間変化値として、平均値Ti_aveを使用する。
また、指標Iの分母に用いる気温差として、屋内で測定された気温Tiの平均値Ti_aveと屋外で測定された気温Toの平均値To_aveとの差分(すなわちTi_ave-To_ave)を使用する。
【0053】
各平均値は、測定時間の平均である。
もっとも、前述したように、バラツキの大きい時間帯は除外する。
式8は、式6の分子と分母を測定時間であるte-tsで除算した関係と同等であるが、積分演算が不要であり、計算上の負荷が式6を用いて評価値Dを計算する場合よりも小さく済む。
【0054】
<実施の形態3>
本実施の形態では、測定の対象である住宅10(
図1参照)内で断熱性能の評価値Dを算出するシステム構成について説明する。
図7は、実施の形態3で想定する断熱評価システム1Aの構成例を示す図である。
図7には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
【0055】
実施の形態3の場合、断熱性能評価装置200が住宅10内に設けられる点、断熱性能評価装置200と温度計101及び102とがそれぞれ通信可能に接続される点で実施の形態1及び2と相違する。
本実施の形態の場合、気温の測定を終えた温度計101及び102を住宅10から回収等して評価サービスを提供する事業者側に持ち込む必要がない。
【0056】
図8は、実施の形態3で使用する温度計101及び102の構成例を説明する図である。
図8には、
図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
温度計101と温度計102は、同じ構成を有している。本実施の形態で使用する温度計101と温度計102の場合、温度センサ111で測定された気温は、通信インタフェース116経由で断熱性能評価装置200に直接送信される。このため、時系列データの蓄積に用いる半導体メモリ112(
図2参照)等は不要になる。もっとも、通信不良等に備えたバックアップ用の半導体メモリ112を設けてもよい。
【0057】
本実施の形態の場合、通信インタフェース116には、ブルートゥースその他の無線通信用のデバイスを想定する。
因みに、温度計102は、屋外で使用されるため、屋外から屋内に通信ケーブルを引き込むことが困難な場合も多い。また、屋内で使用する温度計101についても設置場所の自由度を高めるには、長い通信ケーブルを使う必要があるが、配線の手間が増える問題がある。
【0058】
一方、本実施の形態では、温度計101で測定された気温Ti[℃]と温度計102で測定された気温To[℃]は、無線通信により、リアルタイムで断熱性能評価装置200に通知することができる。
例えば無線通信にブルートゥースを用いる場合であれば、温度計101と温度計102を接続先に設定するだけで通信を可能にできる。また、設置場所の自由度も、通信ケーブルを用いる場合よりも高くなる。
【0059】
図9は、実施の形態3で使用する断熱性能評価装置200の構成例を説明する図である。
図9には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
図9に示す断熱性能評価装置200には、温度計101からリアルタイムでアップロードされてくる屋内の気温Ti[℃]と、同じく温度計102からリアルタイムでアップロードされてくる屋外の気温To[℃]を記憶する測定データ記憶部204が追加されている。
なお、屋内気温取得部201は温度計101と常時接続し、外気温取得部202は温度計102と常時接続している。
【0060】
このため、測定データ記憶部204には、温度計101と温度計102が稼働している間に測定された気温の時系列データが蓄積されている。
本実施の形態における評価値算出部203は、ユーザ等により指定された期間に測定された屋内の気温Ti[℃]に関する時系列データと屋外の気温To[℃]に関する時系列データを抽出し、実施の形態1で説明した式7又は実施の形態2で説明した式8により評価値Dを算出する。
【0061】
本実施の形態の場合、断熱性能評価装置200は、住宅10(
図7参照)の住人が使用するコンピュータに評価用のプログラムをインストールすることで実現が可能である。
本実施の形態の場合、測定された気温Ti[℃]及びTo[℃]を知り得るのは、住宅10の住人のみとなる。
もっとも、測定された気温Ti[℃]及びTo[℃]を、評価サービスを提供する事業者のサーバ等にアップロード可能としてもよい。
また、本実施の形態で説明する断熱評価システム1Aは、断熱性能の評価値Dを算出するたびに温度計101及び102を取り外し、評価サービスを提供する事業者側に配送等する必要がないので、長期的な評価値Dの変化の観察も容易になる。
【0062】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、前述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0063】
例えば前述の実施の形態では、評価の対象とする住宅10(
図1参照)の屋外に温度計102(
図1参照)を配置し、屋外の気温To[℃]の時系列データを測定しているが、対象とする住宅10が存在する地域の気温To[℃]の時系列データで代用してもよい。
その場合、断熱性能評価装置200(
図1参照)は、屋内で測定した気温Ti[℃]の時系列データと同時刻の気温To[℃]の時系列データを、気象庁や民間の機関から取得して用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、1A…断熱評価システム、101、102…温度計、111…温度センサ、112…半導体メモリ、113…電池、114…スタートボタン、115…ストップボタン、116…通信インタフェース、200…断熱性能評価装置、201…屋内気温取得部、202…外気温取得部、203…評価値算出部、204…測定データ記憶部
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、
測定時間の全期間にわたる前記第1の時系列データと測定時間の全期間にわたる前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部と
を有する断熱性能評価装置。
【請求項2】
前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、
請求項1に記載の断熱性能評価装置。
【請求項3】
前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、測定の開始時刻をtsとし、測定の終了時刻をteとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項2に記載の断熱性能評価装置。
【請求項4】
前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温の平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の平均値をTi_aveとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項2に記載の断熱性能評価装置。
【請求項5】
前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置。
【請求項6】
情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の測定時間の全期間にわたる第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の測定時間の全期間にわたる第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、
断熱性能の評価方法。
【請求項7】
コンピュータに、
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、
測定時間の全期間にわたる前記第1の時系列データと測定時間の全期間にわたる前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載の発明は、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、
測定時間の全期間にわたる前記第1の時系列データと
測定時間の全期間にわたる前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部とを有する断熱性能評価装置である。
請求項2に記載の発明は、前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、請求項1に記載の断熱性能評価装置である。
請求項3に記載の発明は、前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、測定の開始時刻をtsとし、測定の終了時刻をteとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項2に記載の断熱性能評価装置である。
請求項4に記載の発明は、前記評価値をDとし、前記住宅の屋外で測定された気温の平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の平均値をTi_aveとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項2に記載の断熱性能評価装置である。
請求項5に記載の発明は、前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置である。
請求項6に記載の発明は、情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の
測定時間の全期間にわたる第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の
測定時間の全期間にわたる第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、断熱性能の評価方法である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、
測定時間の全期間にわたる前記第1の時系列データと
測定時間の全期間にわたる前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、
測定時間の全期間にわたって測定される複数の前記第1の時系列データと測定時間の全期間にわたって測定される複数の前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部と
を有し、
前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、
断熱性能評価装置。
【請求項2】
前記評価値をDとし、
前記時間変化値を-dTi/dtとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、
前記測定
時間の開始時刻をtsとし、
当該測定
時間の終了時刻をteとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項
1に記載の断熱性能評価装置。
【請求項3】
前記評価値をDとし、
前記時間変化値を-dTi/dtとし、当該時間変化値の前記測定時間についての平均値を-dTi_
ave/dtとし、前記住宅の屋外で測定された気温の
前記測定時間についての平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の
当該測定時間についての平均値をTi_aveとするとき、
前記評価値は次式で表される、
請求項
1に記載の断熱性能評価装置。
【請求項4】
前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置。
【請求項5】
情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の測定時間の全期間にわたって測定される複数の第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の測定時間の全期間にわたって測定される複数の第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、
断熱性能の評価方法であり、
前記評価値を、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値として算出する、
断熱性能の評価方法。
【請求項6】
コンピュータに、
評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、
前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、
測定時間の全期間にわたって測定される複数の前記第1の時系列データと測定時間の全期間にわたって測定される複数の前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラムであり、
前記算出する機能は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載の発明は、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する第1の取得部と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する第2の取得部と、測定時間の全期間に
わたって測定される複数の前記第1の時系列データと測定時間の全期間に
わたって測定される複数の前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する算出部とを有
し、前記算出部は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、断熱性能評価装置である。
請求項2に記載の発明は、前記評価値をDとし、
前記時間変化値を-dTi/dtとし、前記住宅の屋外で測定された気温をToとし、当該住宅の屋内で測定された気温をTiとし、
前記測定
時間の開始時刻をtsとし、
当該測定
時間の終了時刻をteとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項
1に記載の断熱性能評価装置である。
請求項
3に記載の発明は、前記評価値をDとし、
前記時間変化値を-dTi/dtとし、当該時間変化値の前記測定時間についての平均値を-dTi_
ave/dtとし、前記住宅の屋外で測定された気温の
前記測定時間についての平均値をTo_aveとし、当該住宅の屋内で測定された気温の
当該測定時間についての平均値をTi_aveとするとき、前記評価値は次式で表される、請求項
1に記載の断熱性能評価装置である。
請求項
4に記載の発明は、前記評価値は、誤差とみなす基準を満たす測定値を除外して算出される、請求項1~
3のうちいずれか1項に記載の断熱性能評価装置である。
請求項
5に記載の発明は、情報処理装置が、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の測定時間の全期間に
わたって測定される複数の第1の時系列データと、当該第1の時系列データと同時に測定された、当該住宅の屋内の気温の測定時間の全期間に
わたって測定される複数の第2の時系列データとに基づいて、当該住宅の断熱性能に関する評価値を算出する、断熱性能の評価方法
であり、前記評価値を、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値として算出する、断熱性能の評価方法である。
請求項
6に記載の発明は、コンピュータに、評価の対象とする住宅の屋外で測定された気温の第1の時系列データを取得する機能と、前記第1の時系列データと同時に測定された、前記住宅の屋内の気温の第2の時系列データを取得する機能と、測定時間の全期間に
わたって測定される複数の前記第1の時系列データと測定時間の全期間に
わたって測定される複数の前記第2の時系列データとに基づいて、前記住宅の断熱性能に関する評価値を算出する機能と、を実現させるためのプログラム
であり、前記算出する機能は、評価の対象とする住宅の屋内と屋外で測定された気温差に対する屋内で測定された気温の時間変化値の比の時間平均値を前記評価値として算出する、プログラムである。