(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176835
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】デマンド制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20221122BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20221122BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J3/00 130
H02J13/00 311T
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083480
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】521212214
【氏名又は名称】コムシーケンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 茂
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G064DA05
5G066AA02
5G066AE03
5G066AE09
5G066DA03
5G066KA12
5G066KB01
5G066KB07
(57)【要約】
【課題】急激な負荷変動を回避しながら目標値以下にデマンド電力を調整することができるデマンド制御システムを提供する。
【解決手段】デマンド制御システム11は、第1時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第1予測値を算出する第1予測値算出手段41aと、デマンド電力の目標値に第1予測値を照らし合わせ、消費電力の大小を示す特定の判定基準に従った指標に変換する第1判定手段42aと、第1時間よりも長い第2時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第2予測値を算出する第2予測値算出手段41cと、目標値に第2予測値を照らし合わせ、判定基準に従った指標に変換する第2判定手段42cと、負荷の消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する際に、第1予測値から変換された指標、および、第2予測値から変換された指標を足し合わせて、判定基準に照らし合わせる総合判定手段45とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第1予測値を算出する第1予測値算出手段と、
デマンド電力の目標値に前記第1予測値を照らし合わせ、消費電力の大小を示す特定の判定基準に従った指標に変換する第1判定手段と、
前記第1時間よりも長い第2時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第2予測値を算出する第2予測値算出手段と、
前記目標値に前記第2予測値を照らし合わせ、前記判定基準に従った指標に変換する第2判定手段と、
負荷の消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する際に、前記第1予測値から変換された前記指標、および、前記第2予測値から変換された前記指標を足し合わせて、前記判定基準に照らし合わせる総合判定手段と、
を備えることを特徴とするデマンド制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデマンド制御システムにおいて、前記第1予測値から変換された前記指標、および、前記第2予測値から変換された前記指標は足し合わせにあたって重み付けされることを特徴とするデマンド制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載のデマンド制御システムにおいて、前記重み付けにあたって、前記第2予測値から変換された前記指標には、前記第1予測値から変換された前記指標よりも大きい重みが設定されることを特徴とするデマンド制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のデマンド制御システムにおいて、前記指標への変換にあたって、前記第1予測値に比べて前記第2予測値では前記判定基準の閾値は低く設定されることを特徴とするデマンド制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第1予測値を算出する第1予測値算出手段と、第1時間よりも長い第2時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第2予測値を算出する第2予測値算出手段と、第1予測値および第2予測値に基づき、負荷の消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する判定手段とを備えるデマンド制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、予測デマンド値の決定にあたって、1分枠の移動平均、10分枠の移動平均、および、1時間枠の移動平均を用いるデマンド制御システムを開示する。このデマンド制御システムでは、1分枠の移動平均、10分枠の移動平均、および、1時間枠の移動平均のいずれか1つに基づき1予測デマンド値が選択される。デマンド電力の予測値が目標値を超えると、目標値から超過する差分を打ち消すように負荷は制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6796533号公報
【特許文献2】特開2020-31494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長期(例えば10分枠や1時間枠)の移動平均が用いられれば、急激な消費電力の増加が生じても、予測値は大きく変化しない。その結果、そうした増加が継続すると、のちのち著しい消費電力の減少が要求される。負荷には著しい動作の変更が要求される。例えば負荷が空気調和機であれば、室内環境は大きく変化するかもしれない。快適な室内環境は破壊されてしまう。その一方で、短期(例えば1分枠)の移動平均が用いられれば、たとえ一時的な急増であっても負荷に制御が加えられる。頻繁に制御の変更が繰り返されることも想定される。無駄に制御の変更が引き起こされる。
【0005】
本発明は、急激な負荷変動を回避しながら目標値以下にデマンド電力を調整することができるデマンド制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、第1時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第1予測値を算出する第1予測値算出手段と、デマンド電力の目標値に前記第1予測値を照らし合わせ、消費電力の大小を示す特定の判定基準に従った指標に変換する第1判定手段と、前記第1時間よりも長い第2時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第2予測値を算出する第2予測値算出手段と、前記目標値に前記第2予測値を照らし合わせ、前記判定基準に従った指標に変換する第2判定手段と、負荷の消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する際に、前記第1予測値から変換された前記指標、および、前記第2予測値から変換された前記指標を足し合わせて、前記判定基準に照らし合わせる総合判定手段とを備えるデマンド制御システムは提供される。
【0007】
消費電力を低減する制御の実施は、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標と、それよりも長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標との足し合わせに基づき判定される。一時的に急激な消費電力の増加が生じても、長い時間枠の予測値は大きく変化しないことから、消費電力を低減する制御は抑制されることができる。したがって、頻繁に制御の変更が繰り返されることは回避されることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。その一方で、急激な消費電力の増加が継続すると、短い時間枠の予測値は大きく変化することから、消費電力を低減する制御は早い段階から実行されることができる。デマンド制御システムは的確に消費電力の増加の端緒に対応することができる。緩やかに負荷の動作を変化させることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。例えば負荷が空気調和機であれば、室内環境の変化は緩やかに調整されることができる。
【0008】
前記第1予測値から変換された前記指標、および、前記第2予測値から変換された前記指標は足し合わせにあたって重み付けされてもよい。判定基準に照らし合わせられる際に、負荷の種類や環境に応じて、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度と、それよりも長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度とは変動する。したがって、足し合わせにあたって重みが設定されることで指標の影響度は調整されることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。
【0009】
前記重み付けにあたって、前記第2予測値から変換された前記指標には、前記第1予測値から変換された前記指標よりも大きい重みが設定されてもよい。本発明者の経験則によれば、良好なデマンド電力の調整にあたって、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標に比べて、長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度は大きい。したがって、長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標に、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標よりも大きい重みが設定されると、デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。
【0010】
前記指標への変換にあたって、前記第1予測値に比べて前記第2予測値では前記判定基準の閾値は低く設定されてもよい。長い時間枠の消費電力に基づく第2予測値は、短い時間枠の消費電力に基づく第1予測値に比べて緩やかに変動する。したがって、閾値が低く設定されると、緩やかな変動に対して早め早めに消費電力を低減する制御の必要性は判定基準に織り込まれることができる。こうしてデマンド制御システムは的確に消費電力の増加の端緒に対応することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、急激な負荷変動を回避しながら目標値以下にデマンド値を調整することができるデマンド制御システムは提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデマンド制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】子機モジュールの構成を示すブロック図である。
【
図3】メイン制御モジュールのPLCの構成を示すブロック図である。
【
図4】メイン制御モジュールのPLCの動作を概略的に示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係るデマンド制御システム11の全体構成を概略的に示す。施設には、供給される電力に応じて動作する負荷12a、12bが設置される。負荷は、1台以上の空気調和機12aとその他の電気機器12bとを含む。個々の空気調和機12aおよび電気機器12bは電力線13で電力供給源14に接続される。電力線13から伝送される高圧の電力はキュービクル15で200Vや100Vの電力に変圧される。
【0015】
個々の空気調和機12aは、屋外に設置されて、屋外の空気に接触する室外熱交換器を含む室外機16と、屋内に設置されて、屋内の空気に接触する室内熱交換器を含む室内機17とを備える。室外熱交換器と室内熱交換器との間で冷媒は循環する。冷房運転時には屋内の空気から冷媒に伝達される熱エネルギーは屋外に放出される。こうして屋内空間は冷却される。暖房運転時には屋外の空気から伝達される熱エネルギーは屋内空間に放出される。屋内空間は暖められる。冷媒の循環にあたって室外機16に収容される圧縮機は動作する。
【0016】
電力線13には、デマンド電力の契約ごとに施設に設置される電力メーター18が接続される。電力メーター18は例えばキュービクル15内に配置される。電力メーター18は、供給される電力値を示すパルス信号を出力する。例えば電力メーター18は12ワットごとに1パルスの電気信号を生成する。したがって、1パルスが検出されると、12ワットの消費電力は記録されることができる。パルス信号は例えば決められた時刻ごとに(例えば各時の「00分」および「30分」に)電力会社に通知される。電力会社はパルス信号に基づき消費電力量を監視することができる。
【0017】
デマンド制御システム11は、キュービクル15内で電力メーター18に接続されて、予め決められた単位時間(時間枠)ごとにパルス信号のパルス数をカウントするパルス測定記録モジュール21と、パルス測定記録モジュール21に無線で接続されて、単位時間あたりのパルス数から定刻のデマンド電力の予測値を算出し、予測値に基づき空気調和機12aの制御信号を生成するメイン制御モジュール22と、メイン制御モジュール22に無線で接続されて、個々の空気調和機12aに向けて制御信号を配信する親機モジュール23と、個々の空気調和機12aに設置されて、親機モジュール23から制御信号を受信する子機モジュール24と、屋内空間に設置されて、それぞれ温度および湿度を計測する温度計25aおよび湿度計25bとを備える。個々の子機モジュール24は無線または有線で親機モジュール23に接続される。ここでは、消費電力の低減にあたって負荷のうち空気調和機の12a動作のみが制御される。
【0018】
パルス測定記録モジュール21は、決められた時間長さごとに、電力メーター18から出力されるパルス信号のパルス数をカウントするパルス計測センサー26と、決められた時間長さ内のパルス数に基づき、その時刻から遡って15秒枠、1分枠、10分枠および30分枠でパルス数を算出するPLC(プログラマブルロジックコントローラー)27とを備える。ここでは、決められた時間長さには15秒が設定される。パルス計測センサー26は、各分の「00秒」「15秒」「30秒」「45秒」に、それぞれ15秒間のパルス数を特定する計測信号を出力する。時刻は、PLC27に内蔵の時計から取得されることができる。PLC27は時間枠ごとに計測信号のパルス数を累積する。15秒枠であれば、受信した計測信号からパルス数は特定される。1分枠であれば、過去4回の計測信号からパルス数は特定される。10分枠であれば、受信した計測信号から遡って40回の計測信号からパルス数は特定される。30分枠であれば、受信した計測信号から遡って120回の計測信号からパルス数は特定される。PLC27は、15秒枠のパルス数を特定する第1カウント信号、1分枠のパルス数を特定する第2カウント信号、10分枠のパルス数を特定する第3カウント信号、および、30分枠のパルス数を特定する第4カウント信号を出力する。PLC27は、デマンド電力の課金にあたって決められた時刻ごとに(例えば各時の「00分」および「30分」に)30分間のパルス数すなわち消費電力値を記録することができる。
【0019】
メイン制御モジュール22は、内蔵の記憶装置に保存される動作プログラムに基づき制御信号の生成を管理するPLC29と、PLC29に接続されて、決められたフォーマットに従って画面にPLC29の処理結果を表示し、画面内の画像に連動するタッチ操作に基づきPLC29に数値や指示を入力するタッチスクリーンパネル31と、PLC29およびタッチスクリーンパネル31に接続されて、PLC29の動作プログラムやタッチスクリーンパネル31の動作プログラムの編集に用いられるアプリケーションを実行するコンピューター装置32とを備える。PLC29は、PLC27に接続されて、PLC27から第1カウント信号、第2カウント信号および第3カウント信号を受信し、15秒枠、1分枠および10分枠のパルス数それぞれに基づき個々に定刻のデマンド電力の予測値を算出する。PLC29は、算出した予測値に基づき、空気調和機12aの消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する。後述されるように、判定の結果に応じて制御信号は生成される。制御信号は個々の空気調和機12aに向けてPLC29から出力される。
【0020】
タッチスクリーンパネル31は、内蔵の記憶装置に保存される動作プログラムに基づき表示動作や入力動作を管理する。タッチスクリーンパネル31の画面には、例えば、デマンド電力の目標値や24時間の消費電力の変化、24時間の温度変化、24時間の湿度変化その他が表示されることができる。温度変化や湿度変化の表示にあたってタッチスクリーンパネル31には温度計25aおよび湿度計25bから温度を示す温度信号や湿度を示す湿度信号が供給される。温度信号および湿度信号の供給にあたって温度計25aおよび湿度計25bとタッチスクリーンパネル31との間には通信経路が確立される。消費電力の変化、温度変化および湿度変化は例えば共通の時間軸に従ってグラフ形式で描かれることができる。例えば目標値がタッチされると、目標値の数値は書き換えられることができる。この書き換えによって、PLC29の動作プログラムには変数として新たに目標値が取り込まれることができる。
【0021】
コンピューター装置32では、PLC29の動作プログラムやタッチスクリーンパネル31の動作プログラムの編集に用いられるアプリケーションが立ち上げられることができる。アプリケーションはPLC29やタッチスクリーンパネル31の記憶装置から一時的に動作プログラムを取り込むことができる。コンピューター装置32の操作者はアプリケーション上でPLC29の動作プログラムやタッチスクリーンパネル31の動作プログラムを編集することができる。操作者の操作に応じてアプリケーションは編集後の動作プログラムで記憶装置内の動作プログラムを上書きすることができる。コンピューター装置32の画面にはタッチスクリーンパネル31の画面が再現されることができる。
【0022】
コンピューター装置32にはリモートコンピューター装置33が接続される。リモートコンピューター装置33は例えばインターネット34経由でコンピューター装置32に接続されればよい。コンピューター装置32はリモートコンピューター装置33から遠隔で操作されることができる。遠隔操作にあたってコンピューター装置32およびリモートコンピューター装置33でリモートデスクトップアプリケーションが実行される。リモートデスクトップアプリケーションによれば、リモートコンピューター装置33の操作に応じてコンピューター装置32上のアプリケーションは操作されることができる。コンピューター装置32の遠隔操作に応じてリモートコンピューター装置33の画面にはタッチスクリーンパネル31の画面が再現されることができる。
【0023】
子機モジュール24は、
図2に示されるように、室外機16に取り付けられるデマンド基板35と、デマンド基板35に接続されて、選択的にデマンド基板35の端子35a、35b、35c、35dを短絡するターミナルリレー36と、ターミナルリレー36に接続されて、端子35a、35b、35c、35dの選択を指示するPLC37とを備える。デマンド基板35は、「100%運転」の制御を特定する第1端子35aと、「75%運転」の制御を特定する第2端子35bと、「40%運転」の制御を特定する第3端子35cと、「サーモオフ運転」の制御を特定する第4端子35dとを備える。基準端子と第1端子35aとが短絡すると、空気調和機12aでは「100%運転」の制御が実行される。「100%運転」の制御では空気調和機12aは通常とおりに電力を消費する。消費電力を低減する制御は実施されない。基準端子と第2端子35bとが短絡すると、空気調和機12aでは「75%運転」の制御が実行される。「75%運転」の制御では空気調和機12aの動作率は通常の75%に低減される。基準端子と第3端子35cとが短絡すると、空気調和機12aでは「40%運転」の制御が実行される。「40%運転」の制御では空気調和機12aの動作率は通常の40%に低減される。基準端子と第4端子35dとが短絡すると、空気調和機12aでは「サーモオフ運転」の制御が実行される。「サーモオフ運転」の制御では圧縮機の動作は停止する。送風は継続される。空気調和機12aの動作率は通常の10%に低減される。ここでは、動作率は電力の消費率に相当する。デマンド基板35は室外機16に固有に空気調和機メーカーから提供される。デマンド基板35では仕様として制御の切り替えを保留する時間枠が設定される。ここでは、保留の時間枠は例えば4分に設定される。
【0024】
デマンド基板35の第1端子35a、第2端子35b、第3端子35c、第4端子35dおよび基準端子にはターミナルリレー36が接続される。ターミナルリレー36は、供給される信号に応じて、基準端子と第1端子35aとの間で短絡を確立することができ、基準端子と第2端子35bとの間で短絡を確立することができ、基準端子と第3端子35cとの間で短絡を確立することができ、基準端子と第4端子35dとの間で短絡を確立することができる。PLC37は、親機モジュール23から供給される制御信号に基づきターミナルリレー36への信号を生成する。制御信号は、「100%運転」を特定する「ランク1(制御ナシ)」と、「75%運転」を特定する「ランク2(制御弱)」と、「40%運転」を特定する「ランク3(制御中)」と、「サーモオフ運転」を特定する「ランク4(制御強)」とにランク分けされる。制御信号で「ランク1」が特定されると、PLC37は基準端子に第1端子35aを短絡する信号を生成する。制御信号で「ランク2」が特定されると、PLC37は基準端子に第2端子35bを短絡する信号を生成する。制御信号で「ランク3」が特定されると、PLC37は基準端子に第3端子35cを短絡する信号を生成する。制御信号で「ランク4」が特定されると、PLC37は基準端子に第4端子35dを短絡する信号を生成する。
【0025】
図3に示されるように、メイン制御モジュール22のPLC29は、過去の消費電力からデマンド電力の定刻の予測値を算出する予測手段41を備える。予測手段41は動作プログラムの実行に基づきPLC29で確立される。予測手段41は、第1時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第1予測値を算出する第1予測値算出手段41aと、第1時間より長い補助時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の補助予測値を算出する補助予測値算出手段41bと、補助時間よりも長い第2時間の時間枠で算出される消費電力の移動平均に基づきデマンド電力の定刻の第2予測値を算出する第2予測値算出手段41cとを含む。ここでは、第1時間は15秒に設定される。補助時間は1分に設定される。第2時間は10分に設定される。
【0026】
第1予測値算出手段41aは、第1予測値の算出にあたって、過去15秒間の消費電力に基づき残り時間内の消費電力を推測し、前回の定刻から経過した時間内の消費電力の実績値に推測した消費電力を加算する。第1予測値算出手段41aは、残り時間内の消費電力の推測にあたって、過去15秒間の平均値がそのまま残り時間内にわたって持続すると仮定する。
【0027】
補助予測値算出手段41bは、補助予測値の算出にあたって、過去1分間の消費電力に基づき残り時間内の消費電力を推測し、前回の定刻から経過した時間内の消費電力の実績値に推測した消費電力を加算する。補助予測値算出手段41bは、残り時間内の消費電力の推測にあたって、過去1分間の平均値がそのまま残り時間内にわたって持続すると仮定する。
【0028】
第2予測値算出手段41cは、第2予測値の算出にあたって、過去10分間の消費電力に基づき残り時間内の消費電力を推測し、前回の定刻から経過した時間内の消費電力の実績値に推測した消費電力を加算する。第2予測値算出手段41cは、残り時間内の消費電力の推測にあたって、過去10分間の平均値がそのまま残り時間内にわたって持続すると仮定する。
【0029】
PLC29は、予測手段41に接続されるランク分け手段42を備える。ランク分け手段42は動作プログラムの実行に基づきPLC29で確立される。ランク分け手段42は、デマンド電力の目標値に予測値を照らし合わせ、定刻の電力値が目標値を上回る確率をランク分けする。ランク分け手段42は、第1予測値算出手段41aに接続されて、デマンド電力の目標値に第1予測値を照らし合わせ、決められた判定基準に従った指標に変換する第1判定手段42aと、補助予測値算出手段41bに接続されて、デマンド電力の目標値に補助予測値を照らし合わせ、決められた判定基準に従った指標に変換する補助判定手段42bと、第2予測値算出手段41cに接続されて、デマンド電力の目標値に第2予測値を照らし合わせ、決められた判定基準に従った指標に変換する第2判定手段42cとを含む。
【0030】
第1判定手段42aは、第1予測値が目標値の115%を上回ると「確率大」ランクを指定する。「確率大」ランクには指標「3」が紐付けられる。このとき、第1判定手段42aは、第1予測値の照らし合わせに応じて数値「3」を特定する第1指標信号を出力する。
【0031】
第1予測値が目標値の115%以下で105%を上回ると、第1判定手段42aは「確率中」ランクを指定する。「確率中」ランクには指標「2」が紐付けられる。このとき、第1判定手段42aは、第1予測値の照らし合わせに応じて数値「2」を特定する第1指標信号を出力する。
【0032】
第1予測値が目標値の105%以下で95%を上回ると、第1判定手段42aは「確率小」ランクを指定する。「確率小」ランクには指標「1」が紐付けられる。このとき、第1判定手段42aは、第1予測値の照らし合わせに応じて数値「1」を特定する第1指標信号を出力する。
【0033】
第1予測値が目標値の95%以下であると、第1判定手段42aは「確率ゼロ」ランクを指定する。「確率ゼロ」ランクには指標「0(ゼロ)」が紐付けられる。このとき、第1判定手段42aは、第1予測値の照らし合わせに応じて数値「0」を特定する第1指標信号を出力する。すなわち、第1判定手段42aは、制御の解除にあたって目標値の100%未満に設定される閾値を用いる。
【0034】
補助判定手段42bは、補助予測値が目標値の115%を上回ると「確率大」ランクを指定する。「確率大」ランクには指標「3」が紐付けられる。このとき、補助判定手段42bは、補助予測値の照らし合わせに応じて数値「3」を特定する補助指標信号を出力する。
【0035】
補助予測値が目標値の115%以下で105%を上回ると、補助判定手段42bは「確率中」ランクを指定する。「確率中」ランクには指標「2」が紐付けられる。このとき、補助判定手段42bは、補助予測値の照らし合わせに応じて数値「2」を特定する補助指標信号を出力する。
【0036】
補助予測値が目標値の105%以下で95%を上回ると、補助判定手段42bは「確率小」ランクを指定する。「確率小」ランクには指標「1」が紐付けられる。このとき、補助判定手段42bは、補助予測値の照らし合わせに応じて数値「1」を特定する補助指標信号を出力する。
【0037】
補助予測値が目標値の95%以下であると、補助判定手段42bは「確率ゼロ」ランクを指定する。「確率ゼロ」ランクには指標「0(ゼロ)」が紐付けられる。このとき、補助判定手段42bは、補助予測値の照らし合わせに応じて数値「0」を特定する補助指標信号を出力する。すなわち、補助判定手段42bは、制御の解除にあたって目標値の100%未満に設定される閾値を用いる。
【0038】
第2判定手段42cは、第2予測値が目標値の115%を上回ると「確率大」ランクを指定する。「確率大」ランクには指標「3」が紐付けられる。このとき、第2判定手段42cは、第2予測値の照らし合わせに応じて数値「3」を特定する第2指標信号を出力する。
【0039】
第2予測値が目標値の105%を上回ると、第2判定手段42cは「確率中」ランクを指定する。「確率中」ランクには指標「2」が紐付けられる。このとき、第2判定手段42cは、第2予測値の照らし合わせに応じて数値「2」を特定する第2指標信号を出力する。
【0040】
第2予測値が目標値の95%を上回ると、第2判定手段42cは「確率小」ランクを指定する。「確率小」ランクには指標「1」が紐付けられる。このとき、第2判定手段42cは、第2予測値の照らし合わせに応じて数値「1」を特定する第2指標信号を出力する。
【0041】
第2予測値が目標値の95%以下であると、第2判定手段42cは「確率ゼロ」ランクを指定する。「確率ゼロ」ランクには指標「0(ゼロ)」が紐付けられる。このとき、第2判定手段42cは、第2予測値の照らし合わせに応じて数値「0」を特定する第2指標信号を出力する。すなわち、第2判定手段42cは、制御の解除にあたって目標値の100%未満に設定される閾値を用いる。第1予測値および補助予測値に比べて第2予測値では判定基準の閾値は「確率大」ランク、「確率中」ランク、「確率小」ランクおよび「確率ゼロ」ランクでそれぞれ低く設定される。
【0042】
PLC29は、ランク分け手段42に接続される総合判定手段(判定手段)45を備える。総合判定手段45は動作プログラムの実行に基づきPLC29で確立される。総合判定手段45には、第1判定手段42aから第1指標信号が供給され、補助判定手段42bから補助指標信号が供給され、第2判定手段42cから第2指標信号が供給される。総合判定手段45は、第1指標信号で特定される指標の数値と、補助指標信号で特定される指標の数値と、第2指標信号で特定される指標の数値とを足し合わせる。足し合わせにあたって数値は重み付けされる。ここでは、重み付けにあたって、第2指標信号で特定される指標には、第1指標信号で特定される指標および補助指標信号で特定される指標よりも大きい重みが設定される。第2指標信号の数値は1.5倍に増やされる。重み付け後に足し合わせされた数値の合計は判定基準に照らし合わせられる。
【0043】
判定基準は、消費電力の低減の強度に応じてランク分けされる制御を特定する。すなわち、数値の合計が「5」を上回ると、「ランク4(制御強)」が指定される。数値の合計が「5」以下であって「3」を上回ると、ランク3(制御中)」が指定される。数値の合計が「3」以下であって「0」を上回ると、「ランク2(制御弱)」が指定される。数値の合計が「0」に一致すると、「ランク1(制御ナシ)」が指定される。指定された「ランク4(制御強)」、「ランク3(制御中)」、「ランク2(制御弱)」または「ランク1(制御ナシ)」は制御信号に書き込まれる。こうして総合判定手段45は、確率のランクに紐付けられて消費電力の低減の強度に応じてランク分けされる制御を特定する制御信号を生成する。制御信号は総合判定手段45から出力される。
【0044】
ここでは、総合判定手段45は、制御信号の出力後、その出力から予め決められた時間内には新たな制御信号の出力を保留する。デマンド基板35では予め決められた時間にわたって制御の切り替えは保留される。予め決められた時間はデマンド基板35の仕様に合わせて4分に設定される。こうしてデマンド基板35の仕様は遵守されることができる。
【0045】
次にデマンド制御システム11の動作を説明する。デマンド制御システム11ではデマンド電力の目標値が設定される。目標値は通常のピーク消費電力よりも小さく設定される。ピーク消費電力は負荷12a、12bのフル稼働時に30分間で消費される電力量に相当する。例えば、720kWのピーク消費電力に対して目標値「535kW」は設定されることができる。720kWのピーク消費電力では負荷12a、12bは15秒間で6kWの電力を消費する。
【0046】
目標値の設定にあたってタッチスクリーンパネル31の画面には目標値の数値[kW]が表示される。数値にタッチすると、画面には例えばテンキーが表示される。テンキーの操作に応じて目標値の数値は入力されることができる。こうして目標値の数値は書き換えられることができる。こうして記録された目標値に基づき第1判定手段42a、補助判定手段42bおよび第2判定手段42cで閾値は設定される。
【0047】
負荷12a、12bが作動すると、電力線13から負荷12a、12bに電力は供給される。電力メーター18は、供給される電力値を示すパルス信号を出力する。パルス計測センサー26は、15秒ごとに、15秒間のパルス数を特定する計測信号を出力する。計測信号に基づき消費電力の実測値は特定される。
図4に示されるように、PLC27は、計測信号に基づき、定刻からの消費電力の累積値52を記録する。
【0048】
PLC27は、計測信号に基づき第1カウント信号、第2カウント信号、第3カウント信号および第4カウント信号を生成する。第1~第3カウント信号はメイン制御モジュール22のPLC29に供給される。
【0049】
第1予測値算出手段41aは第1予測値53を算出する。例えば次の定刻まで残り3分であれば、第1予測値算出手段41aは過去15秒間の消費電力「3.84kW」に(60(秒)/15(秒)×3(分))を掛け合わせ残り時間3分の消費電力を推定する。推定された消費電力は前の定刻から累積される実績値「486kW」に加算される。こうして次の定刻の第1予測値「532kW」は得られる。
【0050】
補助予測値算出手段41bは補助予測値54を算出する。例えば次の定刻まで残り3分であれば、補助予測値算出手段41bは過去1分間の消費電力(3.84kW+3.84kW+3.84kW+3.84kW)に3(分)を掛け合わせ残り時間3分の消費電力を推定する。推定された消費電力は前の定刻から累積される実績値「486kW」に加算される。こうして次の定刻の補助予測値「532kW」は得られる。
【0051】
第2予測値算出手段41cは第2予測値55を算出する。例えば次の定刻まで残り3分であれば、第2予測値算出手段41cは過去10分間の消費電力(…+3.84kW+3.84kW+3.84kW+3.84kW+3.84kW)に(/10(分)×3(分))を掛け合わせ残り時間3分の消費電力を推定する。推定された消費電力は前の定刻から累積される実績値「486kW」に加算される。こうして次の定刻の第2予測値「532kW」は得られる。
【0052】
第1判定手段42aは、目標値に算出された第1予測値53を照らし合わせる。第1判定手段42aは、予め設定された閾値に基づき第1予測値53をランク分けする。例えば第1予測値「532kW」は目標値の105%以下であって95%を上回ることから、第1判定手段42aは「確率小」ランクを特定する。第1判定手段42aは、指標「1」56を特定する第1指標信号を出力する。
【0053】
補助判定手段42bは、目標値に算出された補助予測値を照らし合わせる。補助判定手段42bは、予め設定された閾値に基づき補助予測値をランク分けする。例えば補助予測値「532kW」は目標値の105%以下であって95%を上回ることから、補助判定手段42bは「確率小」ランクを指定する。補助判定手段42bは、指標「1」57を特定する補助指標信号を出力する。
【0054】
第2判定手段42cは、目標値に算出された第2予測値を照らし合わせる。第2判定手段42cは、予め設定された閾値に基づき第2予測値をランク分けする。例えば第2予測値「532kW」は目標値の101%以下であって94%を上回ることから、第2判定手段42cは「確率小」ランクを指定する。第2判定手段42cは、指標「1」58を特定する第2指標信号を出力する。
【0055】
総合判定手段45は、第1指標信号で特定される指標56と、補助指標信号で特定される指標57と、第2指標信号で特定される指標58とに基づき、判定基準に照らし合わせ、空気調和機12aの消費電力を低減する制御を実施するか否かを判定する。例えば、第1指標信号で指標「1」が特定され、補助指標信号で指標「1」が特定され、第2指標信号で指標「1」が特定されると、(1+1+1×1.5=3.5)は「5」以下であって「3」を上回ることから、総合判定手段45は「ランク3(制御中)」を指定する。総合判定手段45は「ランク3」を特定する制御信号を出力する。
【0056】
制御信号は個々の子機モジュール24に供給される。PLC37は制御信号に基づきターミナルリレー36を制御する。例えば制御信号で「ランク3」が特定されると、ターミナルリレー36はデマンド基板35の基準端子と第3端子35cとを短絡する。空気調和機12aでは「40%運転」の制御が実施される。消費電力は6kWから3.84kWまで低減される。
【0057】
空気調和機12aは、制御信号で特定される制御に従って動作する。空気調和機12aでは消費電力は低減される。確率のランクに応じて低減の強弱は設定されることができる。目標値を上回る確率が大きければ、消費電力の低減の強度は強められることができる。単純に空気調和機12aの動作および不動作の切り替えで消費電力の低減が制御される場合に比べて、空気調和機12aの動作はきめ細かく制御されることができる。デマンド制御システム11は緩やかに空気調和機12aの動作を変化させることができる。室内環境の変化は緩やかに調整されることができる。
【0058】
本実施形態では第1予測値、補助予測値および第2予測値のランクに応じて低減の強弱は設定されることから、単純に空気調和機12aの動作および不動作の切り替えで消費電力の低減が制御される場合に比べて、空気調和機12aの動作はきめ細かく制御されることができる。弱い低減の制御が継続されることで良好に目標値以下に消費電力を抑えることができる。空気調和機12aの仕様として制御の切り替えを保留する時間枠が設定されていても、空気調和機12aでは急激な動作の変更は回避されることができる。室内環境の変化は緩やかに調整されることができる。
【0059】
総合判定手段45では制御の解除にあたって数値の合計は「0」に一致する。すなわち、第1指標信号で特定される指標の数値と、補助指標信号で特定される指標の数値と、第2指標信号で特定される指標の数値とはいずれも「0」に一致する。第1判定手段42aでは指標「0」の指定にあたって照らし合わせに用いられる閾値は目標値の95%に設定される。補助判定手段42bでは指標「0」の指定にあたって照らし合わせに用いられる閾値は目標値の95%に設定される。第2判定手段42cでは指標「0」の指定にあたって照らし合わせに用いられる閾値は目標値の94%に設定される。こうして制御と無制御との切り換えにあたって、予測値の照らし合わせに用いられる閾値は目標値の100%未満に設定されることから、制御から無制御に復帰してもすぐに制御への逆戻りは回避されることができる。したがって、頻繁な制御の変更は抑止されることができる。
【0060】
本実施形態に係るデマンド制御システム11では、消費電力を低減する制御の実施は、15秒枠や1分枠といった短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標と、10分枠といった長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標との足し合わせに基づき判定される。一時的に急激な消費電力の増加が生じても、長い時間枠の予測値は大きく変化しないことから、消費電力を低減する制御は抑制されることができる。したがって、頻繁に制御の変更が繰り返されることは回避されることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。その一方で、急激な消費電力の増加が継続すると、短い時間枠の予測値は大きく変化することから、消費電力を低減する制御は早い段階から実行されることができる。デマンド制御システムは的確に消費電力の増加の端緒に対応することができる。緩やかに空気調和機12aの動作を変化させることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。室内環境の変化は緩やかに調整されることができる。
【0061】
デマンド制御システム11では例えば補助予測値算出手段41bおよび補助判定手段42bは割愛されることができる。こうしてデマンド制御システム11では、消費電力を低減する制御の実施は、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標と、それよりも長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標との足し合わせに基づき判定されることができる。このとき、総合判定手段45では判定基準の閾値は適宜に調整されればよい。
【0062】
本実施形態では、第1予測値から変換された指標、および、第2予測値から変換された指標は足し合わせにあたって重み付けされる。判定基準に照らし合わせられる際に、負荷の種類や環境に応じて、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度と、それよりも長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度とは変動する。したがって、足し合わせにあたって重みが設定されることで指標の影響度は調整されることができる。デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。
【0063】
重み付けにあたって、第2予測値から変換された指標には、第1予測値から変換された指標よりも大きい重みが設定される。本発明者の経験則によれば、良好なデマンド電力の調整にあたって、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標に比べて、長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標の影響度は大きい。したがって、長い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標に、短い時間枠の消費電力に基づき導き出される指標よりも大きい重みが設定されると、デマンド電力は良好に目標値以下に調整されることができる。
【0064】
第1判定手段42aではランク分けにあたって指標「3」「2」「1」「0」に対して「115%」「105%」および「95%」の閾値が設定される。一方で、第2判定手段42cではランク分けにあたって指標「3」「2」「1」「0」に対して「104%」「101%」および「94%」の閾値が設定される。こうして第1予測値に比べて第2予測値では判定基準の閾値は低く設定される。長い時間枠の消費電力に基づく第2予測値は、短い時間枠の消費電力に基づく第1予測値に比べて緩やかに変動する。したがって、閾値が低く設定されると、緩やかな変動に対して早め早めに消費電力を低減する制御の必要性は判定基準に織り込まれることができる。こうしてデマンド制御システム11は的確に消費電力の増加の端緒に対応することができる。
【符号の説明】
【0065】
11…デマンド制御システム、41a…第1予測値算出手段、41b…第1予測値算出手段(補助予測値算出手段)、41c…第2予測値算出手段、42a…第1判定手段、42b…第1判定手段(補助判定手段)、42c…第2判定手段、45…総合判定手段。