(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176837
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20120101AFI20221122BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20221122BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083484
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】営業利益にかかわる様々な経費を取引先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、得意先別及び商品別の収支を把握すること。
【解決手段】本実施の形態に係る収支管理装置は、経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタと、売上実績データを取得する売上実績取得手段と、原価データを取得する原価データ取得手段と、月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得手段と、前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先別及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成手段と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備えた収支管理装置であって、
前記記憶部には、
経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、
前記制御部は、
月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得手段と、
月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得手段と、
月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得手段と、
前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成手段と、
を備えたこと特徴とする収支管理装置。
【請求項2】
前記経費の科目は、配送費、販売促進費、一般労務費、及び一般経費を含むことを特徴とする請求項1に記載の収支管理装置。
【請求項3】
前記第1のマスタには、経費の科目毎に、前記配賦用データの取得先を示す取得区分が登録されており、前記配賦用データ取得手段は、前記第1のマスタを参照して、経費の科目に紐付く取得区分に従って、配賦用データを取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収支管理装置。
【請求項4】
前記記憶部には、さらに、
経費の科目毎に、取引先グループ及び配賦率を関連づけて登録した第2のマスタと、
取引先毎に、取引先グループが関連づけて登録した第3のマスタと、
が格納されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
表示部に表示される照会画面上でのオペレータの操作に応じて、前記記憶部に格納されている、指定される会計年度の営業利益を含む収支データを表示出力する照会手段を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項6】
前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が配送費である場合には、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項7】
前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が販売促進費である場合は、取引先別及び売上ケース数別に配賦を行うことを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項8】
前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が一般労務費である場合は、前記第2のマスタ及び前記第3のマスタを参照して、取引先グループ別、配賦率別、及び売上ケース数別に配賦することを特徴とする請求項4に記載の収支管理装置。
【請求項9】
前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が一般経費である場合には、売上ケース別に配賦を行うことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項10】
前記制御部は、さらに、収支データのシミュレーションを行い、取引先に設定した仮想コースについて、前記配賦用データに設定された仮想コースの金額を、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うシミュレーション手段を備えたことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の収支管理装置。
【請求項11】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される収支管理方法であって、
前記記憶部には、
経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、
前記制御部において実行される、
月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得工程と、
月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得工程と、
月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得工程と、
前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成工程と、
を含むことを特徴とする収支管理方法。
【請求項12】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行するための収支管理プログラムであって、
前記記憶部には、
経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、
前記制御部において、
月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得工程と、
月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得工程と、
月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得工程と、
前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成工程と、
を実行するための収支管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、収支管理を行う上で、各経費の配賦を取引先別及び商品別に配賦することができていなかったため、総売上ベースでの収支しか確認できていなかった。従来の収支システムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、営業利益にかかわる様々な経費を取引先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、取引先別及び商品別の収支を把握することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、営業利益にかかわる様々な経費を取引先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、取引先別及び商品別の収支を把握することが可能な収支管理装置、収支管理方法、及び収支管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部及び制御部を備えた収支管理装置であって、前記記憶部には、経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、前記制御部は、月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得手段と、月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得手段と、月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得手段と、前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成手段と、を備えたこと特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記経費の科目は、配送費、販売促進費、一般労務費、及び一般経費を含むことにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記第1のマスタには、経費の科目毎に、前記配賦用データの取得先を示す取得区分が登録されており、前記配賦用データ取得手段は、前記第1のマスタを参照して、経費の科目に紐付く取得区分に従って、配賦用データを取得することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記記憶部には、さらに、経費の科目毎に、取引先グループ及び配賦率を関連づけて登録した第2のマスタと、取引先毎に、取引先グループが関連づけて登録した第3のマスタと、が格納されていることにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、さらに、表示部に表示される照会画面上でのオペレータの操作に応じて、前記記憶部に格納されている、指定される会計年度の営業利益を含む収支データを表示出力する照会手段を備えることにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が配送費である場合には、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が販売促進費である場合は、取引先別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が一般労務費である場合は、前記第2のマスタ及び第3のマスタを参照して、取引先グループ別、配賦率別、及び売上ケース数別に配賦することにしてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様によれば、前記収支データ作成手段は、前記経費の科目が一般経費である場合には、売上ケース別に配賦を行うことにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、さらに、収支データのシミュレーションを行い、取引先に設定した仮想コースについて、前記配賦用データに設定された仮想コースの配送費の金額を、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うシミュレーション手段を備えたことにしてもよい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行される収支管理方法であって、前記記憶部には、経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、前記制御部において実行される、月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得工程と、月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得工程と、月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得工程と、前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置で実行するための収支管理プログラムであって、前記記憶部には、経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した第1のマスタが格納されており、前記制御部において、月度、売上日、取引先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得工程と、月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価データ取得工程と、月度、経費の科目、取引先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得工程と、前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、取引先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成して前記記憶部に格納し、当該経費の科目については、前記第1のマスタに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、前記配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成工程と、を実行するための収支管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、営業利益にかかわる様々な経費を取引先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、取引先別及び商品別の収支を把握することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る収支管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図15】
図15は、本実施の形態に係る収支管理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0021】
[1.概要]
例えば、食品業界を一例に挙げると、食品業界は経費に掛かる割合が大きく、製造原価ベースの粗利益の把握だけでは実際に利益が出ているかが把握できないという課題がある。また、食品業界は、日配業のため、取引先毎の販売管理費(以下「販管費」)と略記する場合がある)を含めて利益率(営業利益)の把握をする必要がある。さらに、食品業界は、工場敷地の制限から月間の製造量も限られているため、製造量を増やして売上拡大への展開も難しい。
【0022】
そこで、本実施の形態では、経費金額を複数の視点を持ち合わせることで、取引先別に配賦きることに着目し、営業利益にかかわる様々な経費を取引先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、取引先別及び商品別の収支を把握できるようにした。
【0023】
本実施の形態によれば、取引先別及び商品別の収支を把握することで、売上総利益ではなく経費も含めて営業利益を把握することで、実際に儲かっている取引を見える化することができる。その結果、儲けの高い商売に絞って営業活動をすることで利益率を高めることが可能となる。本実施の形態は、例えば、食品業界等の薄利多売の業界等に広く適用可能である。
【0024】
[2.構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る収支管理装置の一例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る収支管理装置の構成の一例を示すブロック図である。以下の説明では、取引先の例として、「得意先」について説明する。
【0025】
図1において、収支管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、収支管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
収支管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。収支管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、収支管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、収支管理装置100と、販売管理システム400、会計システム500、及びサーバ200等とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、販管費科目設定マスタ(第1のマスタ)106aと、科目別得意先分類別比率設定マスタ(第2のマスタ)106bと、取引先マスタ(第3のマスタ)106cと、データファイル106dと、を備えている。
【0030】
販管費科目設定マスタ106aは、経費の科目、情報の取得先を指定するための取得区分、科目毎の配賦方法を規定した配賦方法、集計項目、販売費/一般管理費を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(
図5参照)。集計項目(科目)及び販売費/一般管理費は、収支計算後分析の切り口として使用するためのものである。
【0031】
科目別得意先分類別比率設定マスタ106bは、一般労務費(管理、ロジステック(以下「ロジ」と称する)、営業)を比率配賦する際の得意先G(グループ)毎の比率を設定するためのマスタである。科目別得意先分類別比率設定マスタ106bは、科目、得意先G、配賦率を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(
図5参照)。ここで、配賦率は、配賦比率(例えば、1:2:3:4)や配賦百分率(例えば、10%(0.1):20%(0.2):30%(0.3):40%(0.4))を含む。
【0032】
取引先マスタ106cは、得意先のグループを規定し、また、シミュレーションでの得意先の仮想コースを設定するためのマスタである。取引先マスタ106cは、得意先、得意先G、仮想コースを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる(
図10参照)。
【0033】
データファイル106dは、売上実績データ、原価データ、仕訳データ、配賦用データ、収支データ等の各種データを格納するためのファイルである。
【0034】
売上実績データは、月度、売上日、得意先、商品、配送コース(以下、「コース」と略記する)、売上金額、売上ケースを含んでいてもよい。売上ケースは、売上のケース数であり、売上数の単位は、ケース数に限らず、例えば、ボール数、箱数、個数としてもよい。原価データは、月度、商品、評価単価を含んでいてもよい。仕訳データは、月度、仕訳計上日、勘定科目、計上金額を含んでいてもよい。
【0035】
配賦用データは、月度、経費の科目、得意先、コース、金額を含んでいてもよい。収支データは、月度、得意先、商品、コース、売上金額、売上ケース、原価単価、原価金額、粗利、配送費、販売促進費、一般労務費(管理)、一般労務費(ロジ)、一般労務費(営業)、一般経費、営業利益を含んでいてもよい。
【0036】
制御部102は、収支管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、売上実績取得部102aと、原価情報取得部102bと、配賦用データ取得部102cと、収支データ作成部102dと、照会部102eと、シミュレーション部102fと、マスタメンテ部102gと、画面表示制御部102hと、を備えている。
【0037】
売上実績取得部102aは、販売管理システム400から月度、売上日、得意先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得して、データファイル106dに格納する。
【0038】
原価情報取得部102bは、会計システム500から月度、商品、評価単価を含む原価データを取得して、データファイル106dに格納する。
【0039】
配賦用データ取得部102cは、月度、経費の科目、得意先、コース、金額を含む配賦用データを取得(作成)してデータファイル106dに格納する。また、配賦用データ取得部102cは、販管費科目設定マスタ106aを参照して、経費の科目に紐付く取得区分に従って、配賦用データを取得することにしてもよい。
【0040】
収支データ作成部102dは、データファイル106dに格納した売上実績データ、前記原価データ、配賦用データに基づいて、得意先及び商品別に、経費の科目及び営業利益を含む収支データを作成してデータファイル106dに格納し、当該経費の科目については、販管費科目設定マスタ106aに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、配賦用データの金額の配賦を行う。
【0041】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が配送費である場合には、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0042】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が販売促進費である場合は、得意先別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0043】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が一般労務費である場合は、科目別得意先分類別比率設定マスタ106b及び取引先マスタ106cを参照して、得意先グループ別、配賦率別、及び売上ケース数別に配賦することにしてもよい。
【0044】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が一般経費である場合には、売上ケース別に配賦を行うことにしてもよい。
【0045】
照会部102eは、モニタ114に表示される営業利益確認画面(照会画面)上でのオペレータの操作に応じて指定される会計年度の営業利益を含む収支データを表示出力する。
【0046】
シミュレーション部102fは、収支データのシミュレーションを行うためのものであり、取引先マスタ106cで得意先に設定した仮想コースについて、配賦用データに設定された仮想コースの金額を、コース別及び売上ケース数別に配賦を行う。
【0047】
マスタメンテ部102gは、例えば、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、販管費科目設定マスタ106a、科目別得意先分類別比率設定マスタ106b、及び取引先マスタ106cに対するデータの入力・追加・変更等の設定を行うためのものである。
【0048】
画面表示制御部102hは、例えば、モニタ114に表示する各種画面(例えば、マスタメンテ画面、収支計算実行画面、販管費データ取込画面、営業利益確認画面(照会画面)等)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0049】
[3.具体例]
本実施の形態に係る収支管理装置100の処理の具体例について、
図1~
図15を参照して説明する。
図2は、本実施の形態に係る収支管理装置100の全体の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。
図3~
図15は、本実施の形態に係る収支管理装置100の制御部の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
【0050】
(3-1.全体の処理)
図2を参照して、本実施の形態に係る収支管理装置100の全体の処理の流れを説明する。
【0051】
売上実績取得部102aは、売上実績情報取得処理を実行する(ステップS1)。具体的には、売上実績情報取得処理では、売上実績取得部102aは、販売管理システム400から月度、売上日、得意先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得して、データファイル106dに格納する。
【0052】
原価情報取得部102bは、原価情報取得処理を実行する(ステップS2)。具体的には、原価情報取得処理では、原価情報取得部102bは、会計システム500から月度、商品、評価単価を含む原価データを取得して、データファイル106dに格納する。
【0053】
配賦用データ取得部102cは、配賦用データ取得(作成)処理を実行する(ステップS3)。具体的には、配賦用データ取得処理では、配賦用データ取得部102cは、月度、経費の科目、得意先、コース、金額を含む配賦用データを取得してデータファイル106dに格納する。また、配賦用データ取得部102cは、販管費科目設定マスタ106aを参照して、経費の科目に紐付く取得区分に従って、配賦用データを取得することにしてもよい。
【0054】
収支データ作成部102dは、収支配賦処理を実行する(ステップS4)。具体的には、収支配賦処理では、収支データ作成部102dは、データファイル106dに格納した売上実績データ、前記原価データ、配賦用データに基づいて、得意先及び商品別に、経費の科目及び営業利益を含む収支データを作成してデータファイル106dに格納し、当該経費の科目については、販管費科目設定マスタ106aに登録されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、配賦用データの金額の配賦を行う。
【0055】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が配送費である場合には、コース別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0056】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が販売促進費である場合は、得意先別及び売上ケース数別に配賦を行うことにしてもよい。
【0057】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が一般労務費である場合は、科目別得意先分類別比率設定マスタ106b及び取引先マスタ106cを参照して、得意先グループ別、配賦率別、及び売上ケース数別に配賦することにしてもよい。
【0058】
また、収支データ作成部102dは、経費の科目が一般経費である場合には、売上ケース別に配賦を行うことにしてもよい。
【0059】
照会部102eは、照会処理を実行する(ステップS5)。具体的には、照会部102eは、モニタ114に表示される営業利益確認画面(照会画面)上でのオペレータの操作に応じて指定される会計年度の営業利益を含む収支データをデータファイル106dから読み出して表示出力する。
【0060】
シミュレーション部102fは、シミュレーション処理を実行する。具体的には、シミュレーション処理では、シミュレーション部102fは、収支データのシミュレーションを行い、取引先マスタ106cで得意先に設定した仮想コースについて、配賦用データに設定された仮想コースの金額を、コース別及び売上ケース数別に配賦を行う。
【0061】
(3-2.サンプルデータ)
図3~
図15のサンプルデータを参照して、本実施の形態に係る収支管理装置100の処理の具体例を説明する。
【0062】
(売上実績情報取得処理S1)
売上実績取得部102aは、販売管理システム400から月度、売上日、得意先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得して、データファイル106dに格納する。収支データ作成部102dは、得意先、商品、及びコースをキーとして、売上実績データを収支データに集約する。
【0063】
図3(A)は、売上実績データの一例を示す図である。
図3(A)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、売上日「2021/1/10」、得意先「販売店A」、商品「製品A」、コース「コースA」、売上金額「40,000」、売上ケース「20」、2行目は、月度「2021年1月」、売上日「2021/1/11」、得意先「販売店A」、商品「製品A」、コース「コースA」、売上金額「100,000」、売上ケース「50」、3行目は、月度「2021年1月、売上日「2021/1/15」、得意先「販売店A」、商品「製品A」、コース「コースA」、売上金額「60,000」、売上ケース「30」、・・・となっている。
【0064】
図3(B)は、
図3(A)の売上実績データを集約した収支データの例を示している。
図3(B)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、得意先「販売店A」、商品「製品A」、コース「コースA」、売上金額「200,000」、売上ケース「100」、2行目は、月度「2021年1月」、得意先「販売店A」、商品「製品B」、コース「コースA」、売上金額「100,000」、売上ケース「50」、3行目は、月度「2021年1月」、得意先「量販店A」、商品「製品A」、コース「コースB」、売上金額「400,000」、売上ケース「200」、・・・となっている。
【0065】
(原価情報取得処理S2)
原価情報取得部102bは、会計システム500から月度、商品、評価単価を含む原価データを取得して、データファイル106dに格納する。収支データ作成部102dは、商品をキーとして原価データから原価を取得し、収支データの得意先、商品、及びコース単位で、原価金額、粗利を算出する。原価金額は、原価金額=原価単価×売上ケース数で算出する。粗利金額は、売上金額-原価金額で算出する。
【0066】
図4(A)は、原価データの一例を示す図である。
図4(A)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、商品「製品A」、評価単価「80」、2行目は、月度「2021年1月」、商品「製品B」、評価単価「60」となっている。
【0067】
図4(B)は、
図4(A)の原価データから原価金額、粗利金額を算出した収支データの例を示している。
図4(B)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、得意先「販売店A」、商品「製品A」、コース「コースA」、売上金額「2000,000」、売上ケース「100」、原価単価「80」、原価金額「8,000」、粗利「192,000」、2行目は、月度「2021年1月」、得意先「販売店A」、商品「製品B」、コース「コースA」、売上金額「100,000」、売上ケース「50」、原価単価「60」、原価金額「3,000」、粗利「97,000」、3行目は、月度「2021年1月」、得意先「量販店A」、商品「製品A」、コース「コースB」、売上金額「400,000」、売上ケース「200」、原価単価「80」、原価金額「16,000」、粗利「384,000」・・・となっている。
【0068】
(配賦用データ取得(作成)処理S3)
配賦用データ取得部102cは、月度、経費の科目、得意先、コース、金額を含む配賦用データを取得(作成)してデータファイル106dに格納する。配賦対象となる販管費の元情報を作成する。データの作成パターンは会計システム500、EXCELデータ取込の2パターンとなる。
【0069】
配賦計算に使用するためのマスタは事前に準備をしておく。マスタメンテ部102gは、販管費科目設定マスタ106a、科目別得意先分類別比率設定マスタ106b、取引先マスタ106cのデータを設定する。
【0070】
図5(A)は、販管費科目設定マスタ106aのデータ設定例を示す図である。
図5(A)に示す例では、1行目は、科目「配送費」、取得区分「2:EXCELデータ取込」、配賦方法「1:コース別売上ケース数別配賦」、集計項目「配送費」、販売費/一般管理費「販管費」、2行目は、科目「販売促進費」、取得区分「2:EXCELデータ取込」、配賦方法「2:得意先別売上ケース数別配賦」、集計項目「販売促進費」、販売費/一般管理費「販管費」、3行目は、科目「一般労務費(管理)」、取得区分「1:会計」、配賦方法「3:得意先G配賦率別売上ケース数別配賦」、集計項目「一般労務費」、販売費/一般管理費「管理費」となっている。
【0071】
4行目は、科目「一般労務費(営業)」、取得区分「1:会計」、配賦方法「3:得意先G配賦率別売上ケース数別配賦」、集計項目「一般労務費」、販売費/一般管理費「管理費」、5行目は、科目「一般労務費(ロジ)」、取得区分「1:会計」、配賦方法「3:得意先G配賦率別売上ケース数別配賦」、集計項目「一般労務費」、販売費/一般管理費「管理費」、6行目は、科目「一般経費」、取得区分「1:会計」、配賦方法「4:売上ケース数配賦」、集計項目「一般経理費」、販売費/一般管理費「管理費」となっていている。
【0072】
図5(B)は科目別得意先分類別比率設定マスタ106bの設定例を示す図である。
図5(B)に示す例では、1行目は、科目「一般労務費(管理)」、得意先G「量販店」、比率「1」、2行目は、科目「一般労務費(管理)」、得意先G「学校給食」、配賦率「2」、3行目は、科目「一般労務費(管理)」、得意先G「販売店」、配賦率「1」、4行目は、科目「一般労務費(管理)」、得意先G「病院・事業所」、配賦率「1」となっている。
【0073】
5行目は、科目「一般労務費(ロジ)」、得意先G「量販店」、配賦率「1」、6行目は、科目「一般労務費(ロジ)」、得意先G「学校給食」、配賦率「2」、7行目は、科目「一般労務費(ロジ)」、得意先G「販売店」、比率「3」、8行目は、科目「一般労務費(ロジ)」、得意先G「病院・事業所」、配賦率「4」となっている。
【0074】
9行目は、科目「一般労務費(営業)」、得意先G「量販店」、比率「4」、10行目は、科目「一般労務費(営業)」、得意先G「学校給食」、比率「1」、11行目は、科目「一般労務費(営業)」、得意先G「販売店」、比率「2」、12行目は、科目「一般労務費(営業)」、得意先G「病院・事業所」、配賦率「3」となっている。
【0075】
図5(C)は、
図5(B)の配賦率を把握しやすいようにマトリクス形式で図式化したものである。
【0076】
配賦用データ取得部102cは、販管費科目設定マスタ106aを参照して、取得区分「1:会計」になっている科目を対象として、会計システム500から仕訳データを取得する。
図6(A)の例では、取得区分「1:会計」になっている科目「一般労務費(管理)、(営業)、(ロジ)、一般経費」の仕訳データを取得する。
【0077】
図6(B)は、仕訳データの例を示す図である。仕訳データは、月度、仕訳計上日、勘定科目、計上金額を含んでいてもよい。
図6(B)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、仕訳計上日「2021/1/15」、勘定科目「一般労務費(管理)」、計上金額「10,000」、2行目は、月度「2021年1月」、仕訳計上日「2021/1/31」、一般労務費(管理)「15,000」、3行目は、月度「2021年1月」、仕訳計上日「2021/1/20」、一般労務費(営業)「50,000」となっている。
【0078】
配賦用データ取得部102cは、取得した仕訳データを科目毎に集約して、配賦データを作成する。
【0079】
図6(C)は、
図6(B)の仕訳データに基づいて作成した配賦用データの一例を示している。
図6(C)に示す例では、月度、勘定科目、得意先、コース、計上金額、区分を含んでいてもよい。1行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「一般労務費(管理)」、計上金額「25,000」、区分「1:実績」、2行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「一般労務費(営業)」、計上金額「50,000」、区分「1:実績」、3行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「一般労務費(ロジ)」、計上金額「60,000」、区分「1:実績」、4行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「一般経費」、計上金額「17,000」、区分「1:実績」となっている。
【0080】
また、配賦用データ取得部102cは、
図6(A)の販管費科目設定マスタ106aを参照して、取得区分「2:EXCELデータ取込」になっている科目を対象として、配賦用金額EXCELデータを取得する。
図6(A)の例では、取得区分「2:EXCELデータ取込」になっている科目「配送費、販売促進費」の配賦用金額EXCELデータを取得する。配賦用金額EXCELデータに関しては事前に取込処理を行い、データを準備して、データファイル106dに格納する。配賦用データ取得部102cは、配賦用金額EXCELデータをデータファイル106dから取得する。
【0081】
図7(A)は、配賦用金額EXCELデータの例を示す図である。
図7(A)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「配送費」、コース「コースA」、金額「150」、5行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「販売促進費」、得意先「販売店A」、金額「300」となっている。
【0082】
図7(B)は、
図7(A)の配賦用金額EXCELデータに基づいて作成した配賦用データの一例を示している。
図7(B)に示す例では、1行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「配送費」、コース「コースA」、金額「150」、区分「1:実績」、5行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「販売促進費」、得意先「販売店A」、金額「300」、区分「1:実績」となっている。
【0083】
なお、EXCEL取込からは得意先別売上ケース数別配賦、コース別売上ケース数別配賦の対象データも作成可能である。仕訳データからそのような情報は取得は不可のため、上記の配賦を行う場合はEXCELにてデータ準備を行う。
【0084】
(収支配賦処理S4)
収支データ作成部102dは、配賦用データの金額を、科目毎に、販管費科目設定マスタ106aの科目に紐付く配賦方法に従って収支データに配賦する。具体的には、配送費については、「1:コース別売上ケース数別配賦」、販売促進費については、「2:得意先別売上ケース数別配賦」、一般労務費(管理)、(営業)、(ロジ)については、「3:得意先G別配賦率配賦」、一般経費については、「4:売上ケース数別配賦」を行う。
【0085】
(4-1:コース別売上ケース数別配賦)
収支データ作成部102dは、配賦用データの「配送費(配送用データでコースが設定されている科目)」をコース別売上ケース数別に配賦を行う。
図8(A)は、配賦用データの一例を示す図である。
図8(B)は収支データの一例を示す図である。
【0086】
コース別及び売上ケース数別に、配送費の配賦金額を、配賦金額=配賦用データの該当コースでの合計金額×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース/収支データの該当コースでの総売上ケース)で算出する。例えば、収支データの1行目の得意先「販売店A」、商品「製品A」、「コースA」については、コースAの配送費(150)×(100/150)=100となる。
【0087】
図8(B)に示す収支データの例では、1行目については、配送費「100」、2行目については、配送費「50」、3行目については、配送費「200」、4行目については、配送費「50」、5行目については、配送費「50」、6行目については、配送費「500」が配賦される。
【0088】
(4-2:得意先別売上ケース数別配賦)
収支データ作成部102dは、配賦用データの「販売促進費(配賦用データで得意先が設定されている科目)」を得意先別売上ケース数別に配賦を行う。
図9(A)は、配賦用データの一例を示す図である。
図9(B)は収支データの一例を示す図である。
【0089】
売上ケース数別に、販売促進費の配賦金額を、配賦金額=配賦用データの該当得意先での合計金額×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース/収支データの該当得意先での総売上ケース)で算出する。例えば、収支データの2行目の得意先「販売店A」、商品「製品B」については、得意先「販売店A」の販売促進費(300)×(100/150)=200となる。
【0090】
図9(B)に示す収支データの例では、1行目については、販売促進費「200」、2行目については、販売促進費「100」、3行目については、販売促進費「100」が配賦される。
【0091】
(4-3:得意先G配賦率別売上ケース数別配賦)
収支データ作成部102dは、配賦用データの科目が「一般労務費」である場合は、科目別得意先分類別比率設定マスタ106b及び取引先マスタ106cを参照して、得意先グループ別、配賦率別、及び売上ケース数別に配賦する。具体的には、配賦用データの「一般労務費」を取引先マスタ106cで設定される得意先G別に、科目別得意先分類別比率設定マスタ106bで設定した配賦率をもとに金額を配賦し、その金額情報に対して売上ケース数別に配賦を行う。
【0092】
図10(A)は、配賦用データの一例を示す図である。
図10(B)は、科目別得意先分類別比率設定マスタ106bの一例を示す図である。
図10(C)は、取引先マスタ106cの一例を示す図である。
図10(D)は収支データの一例を示す図である。
【0093】
図10(C)に示す取引先マスタ106cの例では、1行目は、得意先「R001 量販店A」、得意先G「量販店」、2行目は、得意先「R002 量販店B」、得意先G「量販店」、3行目は、得意先「G001 ○○小学校」、得意先G「学校給食」、4行目は、得意先「G002 ○○中学校」、得意先G「学校給食」、5行目は、得意先「H001 販売店A」、得意先G「販売店」、仮想コース「コースC」となっている。
【0094】
図10(B)に示す科目別得意先分類別比率設定マスタ106bの例では、科目「一般労務費(管理)」についての配賦率は、量販「1」、学校給食「2」、販売店「1」、病院・事業所「1」となっている。科目「一般労務費(ロジ)」についての配賦率は、量販「1」、学校給食「2」、販売店「3」、病院・事業所「4」となっている。科目「一般労務費(営業)」についての配賦率は、量販「4」、学校給食「1」、販売店「2」、病院・事業所「3」となっている。
【0095】
間接費は得意先G毎に従業員の役割が分かれているケースがあり、部署毎に労務費の重みづけを得意先G毎に行う背景がある。
【0096】
得意先G・配賦率別売上ケース数別に、一般労務費の配賦金額を、配賦金額=配賦用データの一般労務費の合計金額×(取引先マスタ106cの当該得意先の得意先Gについての科目別得意先分類別比率設定マスタ106bの得意先G比率/全体)×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース/収支データの当該得意先での総売上ケース)で算出する。
【0097】
例えば、収支データの1行目の販売店A、製品Aに対しての一般労務費(営業)は、
一般労務費(営業)の合計金額「50,000」×(取引先マスタ106cの当該得意先「販売店A」の得意先G「販売店」についての科目別得意先分類別比率設定マスタ106bの得意先G比率「2」/全体「10=4+1+2+3」)×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース「100」/収支データの当該得意先での総売上ケース「150」)=6,667となる。
【0098】
図10(D)に示す収支データの例では、1行目については、一般労務費(営業)「6667」、2行目については、一般労務費(営業)「3,333」、3行目については、一般労務費(営業)「20,000」、4行目については、一般労務費(営業)「2,500」、5行目については、一般労務費(営業)「2,500」、6行目については、一般労務費(営業)「15,000」となる。一般労務費(管理)、一般労務費(ロジ)についても同様な方法で配賦する。
【0099】
(4-4:売上ケース数別配賦)
収支データ作成部102dは、配賦用データの「一般経費」を売上ケース数別に配賦を行う。
図11(A)は、配賦用データの一例を示す図である。
図11(B)は収支データの一例を示す図である。
【0100】
売上ケース数別に、一般経費の配賦金額を、配賦金額=配賦用データの当該科目の合計金額×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース/収支データの総売上ケース)で算出する。例えば、収支データの1行目の得意先「販売店A」、商品「製品A」については、一般経費(17,00)×(100/850)=2,000となる。
【0101】
図11(B)に示す収支データの例では、1行目については、一般経費「2,000」、2行目については、一般経費「1,000」、3行目については、一般経費「4,000」、4行目については、一般経費「3,000」、5行目については、一般経費「3,000」、6行目については、一般経費「4,000」となる。
【0102】
収支データ作成部102dは、全ての経費の配賦が終了すると、営業利益を算出する。営業利益は、営業利益=粗利-(配送費+販売促進費+一般労務費(管理・ロジ・営業)+一般経費)で算出する。
【0103】
(照会処理S5)
照会部102eは、モニタ114に表示される営業利益確認画面(照会画面)上でのオペレータの操作に応じて指定される会計年度の営業利益を含む収支データを表示出力する。
図12は、照会画面上に表示される収支データの一例を示す図である。収支データの得意先別・商品別の営業利益を照会することで分析に活用することができる。
【0104】
(シミュレーション処理)
シミュレーション部102fは、収支データのシミュレーションを行い、取引先マスタ106cで得意先に設定した仮想コースについて、配賦用データに設定された仮想コースの金額を、コース別及び売上ケース数別に配賦を行う。
【0105】
収支計算をした結果に対して、別コースで実施したシミュレーションを実施可能となっている。収支データの結果を見た上で、コース変更や組み換えを検討した場合にどのような営業利益になるのかを見える化することができる。
【0106】
収支データ(計算)で使用するコースの情報と金額情報を「実績」と「シミュレーション」で分けて管理をする。
図13(A)は、取引先マスタ106cの一例を示す図である。
図13(B)は配賦用データの一例を示す図である。
【0107】
図13(A)に示す取引先マスタ106cの例では、1行目は、得意先「H001 販売店A」、得意先G「販売店」、仮想コース「コースC」、2行目は、得意先「H002 販売店B」、得意先G「販売店」、仮想コース「コースC」となっている。
【0108】
取引先マスタ106cに別コースでシミュレーションを行うための、仮想コースを設定する。今回の場合、実際にはコースBで配送を行っている販売店A、Bに仮想コースCを設定し、「コースBで運用している販売店A、Bを仮想コースCにした場合の検証(シミュレーション)」を行う。
【0109】
図13(A)に示す配賦用データの例では、3行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「配送費」、コース「コースA」、金額「150」、区分「2:予算(年間予算等)」、4行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「配送費」、コース「コースB」、金額「200」、区分「2:予算(年間予算等)」、5行目は、月度「2021年1月」、勘定科目「配送費」、コース「コースC」、金額「100」、区分「2:予算(年間予算等)」となっている。
【0110】
配賦用データに区分(1:実績、2:予算)を保持して、予算情報として別の金額を準備して、データを登録する。
【0111】
図14(A)は配賦用データの例を示す図である。
図14(B)は、収支データの例を示す図である。配賦用データの区分「2:予算」は、収支データのシミュレーションに配賦される。配賦用データの区分「1:実績」は、収支データの実績に配賦される。
【0112】
コース及び売上ケース数別に、配送費の配賦金額を、配賦金額=配賦用データの該当の仮想コースでの合計金額×(収支データの該当の「得意先-商品」の売上ケース/収支データの該当の仮想コースでの総売上ケース)で算出する。例えば、収支データの1行目の得意先「販売店A」、商品「製品A」、「コースC」については、仮想コースCの配送費(100)×(100/150)=67となる。
【0113】
図14(B)に示す収支データのシミュレーションの例では、1行目の仮想コースCについては、配送費「67」、営業利益「17,733」、2行目の仮想コースCについては、配送費「33」、営業利益「8,867」となる。
【0114】
シミュレーション用のコースに基づいて、2:予算となる金額の配賦を別途行う(配賦方法に関しては、通常の(4)-1の配賦方法と同様の仕様となっている)。照会部102eで収支データについて、シミュレーション結果も含めて確認(照会)できるようにすることで、コースを変更した際にどのような営業利益の推移になるかを確認することができる。
【0115】
(画面表示例)
図15(A)は、収支計算実行画面の例を示す図である。収支計算実行画面は、会計年月を指定する欄と、実行ボタンを備えている。収支計算実行画面で、会計年月を指定して、実行ボタンが押されると、収支データ作成部は、会計年月の指定月についての配賦処理を実行する。
【0116】
図15(B)は、販管費データ取込画面を示す図である。販管費データ取込画面は、ファイルパスの入力欄と、実行ボタンを備えている。販管費データ取込画面で、ファイルパスを指定して、実行ボタンが押されると、配賦用データ取得部102cは、指定されたファイルパスから販管費データを取り込む。
【0117】
図15(C)は、営業利益確認画面(照会画面)を示す図である。営業利益確認画面(照会画面)は、会計年月を指定する欄と、実行ボタンを備えている。営業利益確認画面(照会画面)で、会計年月を指定して、実行ボタンが押されると、照会部102eは、会計年月の指定月についての営業利益を含む収支データをデータファイル106dから読み出して、表示出力する。
【0118】
以上説明したように、本実施の形態によれば、経費の科目毎に、配賦方法を関連づけて登録した販管費科目設定マスタ106aと、月度、売上日、得意先、商品、コース、売上金額、売上ケースを含む売上実績データを取得する売上実績取得部102aと、月度、商品、評価単価を含む原価データを取得する原価情報取得部102bと、月度、経費の科目、得意先、コース、金額を含む配賦用データを取得する配賦用データ取得部102cと、前記売上実績データ、前記原価データ、前記配賦用データに基づいて、得意先及び商品別に、経費の科目毎の金額及び営業利益を含む収支データを作成してデータファイル106dに格納し、当該経費の科目については、販管費科目設定マスタ106aに格納されている当該経費の科目に紐付く配賦方法に従って、配賦用データの金額の配賦を行う収支データ作成部102dと、を備えているので、営業利益にかかわる様々な経費を得意先別及び商品別に様々な視点で配賦を行うことにより、得意先別及び商品別の収支を把握することが可能となる。
【0119】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0122】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0123】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0124】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0125】
また、収支管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0126】
例えば、収支管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて収支管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0127】
また、このコンピュータプログラムは、収支管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0128】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0129】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0130】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0131】
また、収支管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、収支管理装置100は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0132】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0133】
100 収支管理装置
102 制御部
102a 売上実績取得部
102b 原価情報取得部
102c 配賦用データ取得部
102d 収支データ作成部
102e 照会部
102f シミュレーション部
102g マスタメンテ部
102h 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 販管費科目設定マスタ
106b 科目別得意先分類別比率設定マスタ
106c 取引先マスタ
106d データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
400 販売管理システム
500 会計システム