(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176854
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】自走車両の悪路脱出用補助具
(51)【国際特許分類】
B60C 27/20 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
B60C27/20 Z
B60C27/20 D
B60C27/20 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083527
(22)【出願日】2021-05-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】516077079
【氏名又は名称】加藤 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100127579
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100203301
【弁理士】
【氏名又は名称】都築 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 卓二
(57)【要約】
【課題】スタックを起こした自走車両の駆動輪の下に簡単に潜り込ませることができ、駆動輪と車両本体との間への変形詰まりを防止できる悪路脱出用補助具を提供する。
【解決手段】可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されていることを特徴とする、悪路脱出用補助具。悪路にスタックして自力脱出不能になった自走車両の駆動輪に前記繊維織編物片を接触させて使用することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されていることを特徴とする、悪路脱出用補助具。
【請求項2】
前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、請求項1に記載の悪路脱出用補助具。
【請求項3】
タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入される前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の悪路脱出用補助具の製造方法。
【請求項4】
繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
を備える、請求項1または2に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出方法。
【請求項5】
繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を備える、請求項1または2に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出用補助具回収方法。
【請求項6】
繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備える、請求項1または2に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出用補助具回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走車両の悪路脱出用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
自家用車、バス、トラック等の自走車両は、雪道、砂道等の悪路でタイヤが空転し、自力脱出ができなくなる、いわゆるスタックと呼ばれる問題を起こすことがある。しかも悪路を脱出するために、例えばエンジンを吹かして問題解決を図ろうとしても、タイヤが空転して雪、砂等を外部へ排出する結果になるので、より深くタイヤが悪路に潜り込む。現状を打開しようと努力すればするほど悪循環を起こして悪路からの自力脱出の可能性が減少する問題がある。
【0003】
通常であれば、タイヤチェーン等のタイヤに装着できる補助具を最初から使用していればスタックを起こす確率を減少させることも可能である。しかし実際にスタックを起こす前から補助具を使用した場合、地面と補助具との摩擦、補助具に掛かる荷重の関係で、スタックの状況に遭遇する前に補助具が破損する危険がある。またできるなら補助具をタイヤに設置する手間は省きたいとの心理的要因も働くから、自走車両の運転者は補助具を装着するタイミングを先送りする傾向がある。
【0004】
そして実際に自走車両がスタックを起こしてしまった後では、悪路ではジャッキ等を使って自走車両を持ち上げることができない場合があり、悪路に埋まったタイヤにタイヤチェーン等の補助具を後から設置するのは困難を極める。
【0005】
また悪路脱出用補助具として、剛性板等の固い形状のものを使用した場合、悪路脱出の際の反動で剛性板が自走車両の車体本体を傷つけたり、周囲の人に当たったりする危険がある。
【0006】
この様な問題に対応するために、様々な悪路脱出用補助具が提案されている。
一つの先行技術として、先端が薄く後方に向かって厚みを増す楔状部を有する帯状のスリップ防止板体を備え、そのスリップ防止板体が悪路の路面に食い込む突起を備えた悪路脱出用補助具が提案されている。
この悪路脱出用補助具はスタックを起こした自走車両のタイヤの曲面に概ね合致する。つまり、先行技術としての悪路脱出用補助具は、スリップ防止板体をその長手方向に円弧状に屈曲させているため、その内曲面が自走車両の駆動輪の接地面の曲面におおむね合致するように作られている。
この悪路脱出用補助具によれば、先端が薄く後方に向かって厚みを増す楔状部があるので、スタックを起こしたタイヤの下に悪路脱出用補助具が円滑に潜り込むとされる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし本発明者が検討したところ、特許文献1に記載されるような、スタックを起こしたタイヤの下に単にゴム部材を潜り込ませようとしても、スタックを起こしたタイヤが空転するだけで、うまくスタックを起こしたタイヤの下に悪路脱出用補助具が潜り込まないことに気がついた。
またスタックを起こしたタイヤの接地面の曲面におおむね合致した悪路脱出用補助具の場合は、スタックを起こしたタイヤが半回転した場合に、悪路脱出用補助具が、タイヤと車両本体側との間に変形して詰まる可能性もある。
本発明の目的は、スタックを起こした自走車両の駆動輪の下に簡単に潜り込ませることができ、駆動輪と車両本体との間への変形詰まりを防止できる悪路脱出用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明者が鋭意検討したところ、可撓性本体の端部に繊維織編物片を有し、可撓性本体の一方の面にダンパーを備えた悪路脱出用補助具が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1]可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されていることを特徴とする、悪路脱出用補助具を提供するものである。
【0011】
また本発明の一つは、
[2]前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、上記[1]に記載の悪路脱出用補助具を提供するものである。
【0012】
また本発明は、
[3]タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入される前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の悪路脱出用補助具の製造方法を提供するものである。
【0013】
また本発明は、
[4]繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
を備える、上記[1]または[2]に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出方法を提供するものである。
【0014】
また本発明は、
[5]繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を備える、上記[1]または[2]に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出用補助具の回収方法を提供するものである。
[6]繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、前記可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備える、上記[1]または[2]に記載の悪路脱出用補助具を使用した、悪路脱出用補助具の回収方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の悪路脱出用補助具は、可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片を備えるから、この繊維織編物片をスタックを起こしている自走車両のタイヤの下に簡単に設置できる。
この繊維織編物片の設置により、スタックを起こしている自走車両のタイヤが空転することを防止できるので、自走車両のタイヤを確実に悪路脱出用補助具の可撓性本体の上に乗せることができ、簡単に悪路から自走車両を脱出させることができる。
また自走車両のタイヤが本発明の悪路脱出用補助具の上を走ることから、自走車両の駆動輪と車両本体との間への悪路脱出用補助具の変形詰まりを防止できる。
【0016】
また悪路脱出用補助具に自走車両に設置されたワイヤーを連結すれば、自走車両が悪路を脱出した後に、悪路脱出用補助具をスタックを起こした悪路の場所から移動させることができるので、安定した場所で悪路脱出用補助具を自走車両に回収することができる。
【0017】
またワイヤーの回収設置を自走車両に設けて、自走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収することもできる。加えて悪路脱出後は悪路脱出用補助具が自動で自走車両に回収されるから、悪路脱出後に、条件の悪いスタックを起こした場所から速やかに離れることができる。
【0018】
本発明に係る悪路脱出用補助具は、スタックを起こした自走車両のタイヤの左右両輪、好ましくは駆動輪の左右両輪の下部に繊維織編物片を接触させることにより、自動車両の駆動輪の回転に伴って左右両輪の下に悪路脱出用補助具が自動で巻き込まれる。本発明に係る悪路脱出用補助具の設置に腕力は必要がないから、老若男女を問わず簡単に本発明に係る悪路脱出用補助具を使用することができ、簡単にスタックから自走車両を脱出させることができる。
【0019】
自走車両の脱出時には自走車両のタイヤと悪路との間に本発明に係る悪路脱出用補助具に設置された繊維織編物片が噛み込み、この繊維織編物片に続いて円滑に自走車両のタイヤの下に本発明に係る悪路脱出用補助具を送り込むことができる。本発明に係る悪路脱出用補助具は、自走車両のタイヤと悪路との間で固定化される。自走車両のタイヤと本発明に係る悪路脱出用補助具に使用される前記可撓性本体との間では空滑りを防止できるため、自走車両のタイヤは本発明に係る悪路脱出用補助具の上を走ることができる。
また本発明に係る悪路脱出用補助具は、例えば、ボルトとナット等の結合具を締めれば、ボルトとナット自体が可撓性本体の内部に入り込むため、突起した金属部分が本発明に係る悪路脱出用補助具の表面に出ることを防ぐことができるので、金属部分を外部から事実上触ることができず、誰でも安全に扱うことができる。
【0020】
また自走車両については、軽自動車から大型トレーラー等、四輪以上の自走車両に対応できる。特に複数の可撓性本体を長手方向に多数連結することにより、自在に本発明に係る悪路脱出用補助具の長手方向の長さを調整することができる。この特徴を活かして、例えば、トレーラー、大型トラック等の自走車両についても簡単に適用できる。
【0021】
さらに本発明に使用する可撓性本体としてタイヤを流用することができる。タイヤは重量のある自走車両を支える強度を有しているため、容易に壊れない悪路脱出用補助具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る悪路脱出用補助具100の製造方法を説明するための模式断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の模式平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の模式平面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る悪路脱出用補助具100の使用方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る実施形態1の悪路脱出用補助具100の上を自走車両が走る状態を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る実施形態3の悪路脱出用補助具自動回収方法を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る実施形態4の悪路脱出用補助具自動回収方法を説明するための部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最初に本発明に使用する各部材について説明する。
本発明に使用する可撓性本体としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム等の板状体等が挙げられる。本発明に使用する可撓性本体は、自走車両用のタイヤの接地面部分を切り出して得られたものを使うのが好ましく、使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を切り出して得られたものがより好ましい。
【0024】
また本発明に使用する繊維織編物片としては、例えば、平織物、綾織物、朱子織物、ジャガード織物、パイル織物、斜文織物、繻子織物、デニム、ギンガム等の一種もしくは二種以上からなる繊維織物、
横編地、経編地、丸編地、パイル編地等の一種もしくは二種以上からなる繊維編物等が挙げられる。
繊維織編物片の具体例としては、例えば、ハンドタオル、フェイスタオル、ボディタオル、バスタオル、スポーツタオル等の一種もしくは二種以上が挙げられる。
【0025】
また本発明に使用するダンパーとしては、可撓性本体と同様のものを使用することができる。例えば、天然ゴム、合成ゴム等の板状体等が挙げられる。本発明に使用する可撓性本体は、自走車両用のタイヤを切り出して得られたものを使うのが好ましく、使用済みの自走車両用古タイヤを切り出して得られたものが好ましい。また本発明に使用するダンパーは、自走車両用のタイヤの側面部分を切り出して得られたものを使うのが好ましく、使用済みの自走車両用古タイヤの側面部分を切り出して得られたものがより好ましい。
【0026】
以下に図面を参照しつつ、本発明に係る悪路脱出用補助具の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
[実施形態1]
【0028】
図1は、本発明に係る悪路脱出用補助具100の製造方法を説明するための模式断面図である。
図1に例示されるように、可撓性本体10は、使用済みの自走車両用古タイヤを切り出して成形されたものである。
図1の上側が、古タイヤの外側、つまり地面と接地する側を示す。逆に
図1の下側が、古タイヤの内側、つまりタイヤとして空気が充填される側を示す。
可撓性本体10は、使用済みの自走車両用古タイヤを切り出して成形されたため、上に向かって凸状に湾曲する断面形状となる。
【0029】
次に、可撓性本体10の端部に繊維織編物片20を設置する。本発明に係る実施形態1では、繊維織編物片20として市販のフェイスタオルが使用されている。
図1において、可撓性本体10の左端側に、可撓性本体10の長手方向に対して垂直方向、つまり、
図1の手前側と後ろ側方向にスリット状の貫通孔30を開ける。この貫通孔30に繊維織編物片20の両端部を、それぞれスリット状の貫通孔30に挿入する。
この際に、可撓性本体10を形成する古タイヤの外側から挿入される繊維織編物片20が、古タイヤの内側から挿入される繊維織編物片20よりも、スリット状の貫通孔30の内部でダンパー側になるように、略「の」の字状に回転させて貫通孔30に通す。その後に繊維織編物片20を
図1の左方向に引けば、貫通孔30と繊維織編物片20との摩擦により、繊維織編物片20は可撓性本体10に固定される。
【0030】
この様に、繊維織編物片20を略「の」の字状に回転させて貫通孔30に通すことにより、古タイヤの外側から挿入される繊維織編物片20が、古タイヤの内側から挿入される繊維織編物片20よりも、スリット状の貫通孔30の内部でダンパー側にあるので、繊維織編物片20が外部から引かれた場合、可撓性本体10により強く締まる。このため繊維織編物片20が可撓性本体10から容易に抜けることを防止できる。
【0031】
次に、可撓性本体10にダンパー50を設置する。
ダンパー50は、繊維織編物片20が設置された側に開く。最初に可撓性本体10とダンパー50とが溶接および接着の少なくとも一方の手段により互いに固定される。その後、補助的にそれぞれダンパー50の
図1の右側で、ボルト40とナット42により可撓性本体10とダンパー50とがそれぞれ固定される。ボルト40とナット42を締めることにより、ボルト40とナット42はそれぞれダンパー50と可撓性本体10の内部に埋め込まれるため、本発明に係る悪路脱出用補助具の表面外部に金属部材が突出することを防止できる。
【0032】
図2と
図3は、本発明の実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の模式平面図である。
図2に例示される様に、実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の上面は、古タイヤの外側、つまり地面に接地する側に該当する。このため古タイヤの外側のタイヤのパターン62を観察できる。
また
図3に例示される様に、実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の下面は、古タイヤの内側、つまりタイヤとして空気が充填される側に該当する。
【0033】
図4は、本発明に係る悪路脱出用補助具100の使用方法を説明するための模式図である。
図4に示されるタイヤ60は、悪路にスタックした自走車両に使用されるタイヤを例示するものであり、説明の便宜上、タイヤ60以外の自走車両の部分は記載を省略している。
図4では、自走車両の進行方向は右側を示す。
例えば、自走車両が、圧雪された道路の雪面または氷面70の接触面72でスタックを起こした場合、タイヤ60の外径形状に沿って雪面または氷面の接触面72が削られる。雪や氷は圧縮されると融ける性質があり、また、タイヤ60の空転による摩擦でタイヤ60と接触面72との間には水薄膜74が形成される。
この水薄膜74がちょうど潤滑剤としての機能を発揮することにより、タイヤ60が接触面72の中で空転する。
【0034】
次に繊維織編物片20の端部をタイヤ60に接触させる。タイヤ60を進行方向右側に向かって時計回りに回転させると、実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の繊維織編物片20がタイヤ60の下に円滑に引き込まれる。
タイヤ60が、実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の上面の上を走って、自走車両は悪路を脱出することができる。
【0035】
図5は、本発明に係る実施形態1の悪路脱出用補助具100の上を自走車両が走る状態を説明するための模式図である。
実際に悪路脱出用補助具100の上を自走車両が走る状態を観察すると、タイヤ60の移動に伴って、次の状態を確認することができる。
例えば、繊維織編物片20を起点に自走車両のタイヤ60が悪路脱出用補助具100の上に乗ると、ダンパー50aがタイヤ60の周辺にあった水を掻き出す。ダンパー50bが周囲の氷を砕き、ダンパー50cが雪面に刺さり、ダンパー50dでタイヤ60が圧雪の上に乗り、ダンパー50eでタイヤ60が悪路から脱出する様子を観察できる。
この様に、それぞれのダンパー50aから50eが連続的に機能を果たしているようにみえる。このため、本発明のダンパーは、5個以上を有するものが好ましい。
【0036】
本発明に係る実施形態1の悪路脱出用補助具100はそのまま悪路上に残るため、タイヤ60が悪路脱出用補助具100を巻き込んで、悪路脱出用補助具100がタイヤ格納空間内に変形してはまり込むことを防止できる。
【0037】
[実施形態2]
本発明に係る実施形態2の悪路脱出用補助具110は実施形態1の悪路脱出用補助具100の変形例である。
本発明に使用する可撓性本体10は、二以上を長手方向に連結して使用することができる。二以上の可撓性本体10の連結には、例えば、複数の市販の結束具を用いて互いに固定することができる。
この様に本発明に使用する可撓性本体10は、長手方向に複数個を連結して使用することができる。このため、大型トレーラー等の長い自走車両の場合でも対応できる。
【0038】
[実施形態3]
本発明の実施形態3は、本発明に係る実施形態1の悪路脱出用補助具100を使用した、悪路脱出用補助具回収方法である。
図6は、本発明に係る実施形態3の悪路脱出用補助具回収方法を説明するための模式図である。
【0039】
悪路脱出用補助具100の可撓性本体10のスリット状の貫通孔30に、例えば、市販の結束バンド80を通す。この結束バンド80により金属ワイヤー84を連結する。金属ワイヤー84の他端は、回収装置86に連結されている。
例えば、家庭用電気掃除機の様に、電源コードを家庭用電気掃除機から少し引っ張ると、電源コードが自動で巻き取られる仕組みは既に知られている。回収装置86は、この公知の仕組みを備えた車両用途の市販品を適宜選択して使用することができる。金属ワイヤー84を引き戻す力等を勘案してそれぞれの自走自動車に適した回収装置86を選択して、自走車両120に設置することができる。
なお説明の便宜上、トラック型自走車両120は一部を
図6に例示している。
【0040】
次に繊維織編物片20を駆動輪である自走車両のタイヤ60の下に設置する。なお金属ワイヤー84等は必ずしも自走車両のタイヤ60の下に設置する必要はない。
タイヤ60を進行方向右側に向かって時計回りに回転させると、悪路脱出用補助具100の繊維織編物片20がタイヤ60の下に円滑に引き込まれる。
タイヤ60が、悪路脱出用補助具100の上面の上を走って、自走車両120は悪路を脱出することができる。
【0041】
さらに自走車両120が前進すると、自走車両120のタイヤ60が、前記悪路脱出用補助具100を乗り越える。次に悪路に残った悪路脱出用補助具100が回収装置86に接続された金属ワイヤー84に引っ張られる。
回収装置86は、自走車両120のタイヤ格納空間62より上部の自走車両120側に設置されている。
金属ワイヤーにより引っ張られた悪路脱出用補助具100は、タイヤカバー90の上部に自動で回収される。
【0042】
実際に悪路脱出用補助具100が回収装置86により自動で回収できたかどうかは、自走車両のサイドミラーにより、運転席から目視により確認することができる。
【0043】
なお、自走車両の構造上、悪路脱出用補助具100を、タイヤカバー90の上部に回収することが困難な場合には、金属ワイヤー84の長さを調整して自走車両が悪路を脱出した後にそのまま前進し、安全な場所で悪路脱出用補助具100を回収することもできる。
【0044】
[実施形態4]
本発明に係る実施形態4は、本発明に係る実施形態3の悪路脱出用補助具自動回収方法の変形例である。
図7は、本発明に係る実施形態4の悪路脱出用補助具自動回収方法を説明するための部分模式図である。
実施形態4の場合では、自走車両130に対する回収装置86の設置位置が異なる。それ以外の構成は実施形態3の場合と同様である。
悪路脱出用補助具自動回収方法に使用される回収装置86は簡単な構成で実現できるため、自走車両の側面だけではなく、隙間スペースを利用して設置することができる。このため、幅広く多種多様な自走車両に搭載することが可能である。
【0045】
なお図面による説明の便宜上、上記の実施形態の場合は、各自走車両に対して片側側面の例で説明したが、本発明に係る悪路脱出用補助具は、自走車両の左右双方のタイヤ側に設置することができる。
【0046】
[比較例1]
使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を細長く長方形に切り出して複数のダンパーを得た。
次に前記可撓性本体に、間隔をおいて、可撓性本体に直行するようにダンパーを金属ピンで固定して、悪路脱出用補助具200を得た。
なおダンパーの長手方向の長さは前記可撓性本体の幅より長くなっていて、可撓性本体の両側からはみ出るように配置されている。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具200を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具200の上に乗せることができなかった。
【0047】
[比較例2]
使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分から使用済みの自走車両用古タイヤの内側へ向かって複数のビスを通してダンパーを形成した。
可撓性本体がスタックを起こした自走車両のタイヤの下に円滑に引き込まれるように、可撓性本体の一端に使用済みの自走車両用古タイヤの側面を切り出して、可撓性本体の長手方向と平行かつ可撓性本体の一端から外部へ突き出るように金属ピンで取り付けて悪路脱出用補助具210を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具210を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具210の上に乗せることができなかった。
【0048】
[比較例3]
使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分から使用済みの自走車両用古タイヤの内側へ向かって複数のビスを通してダンパーを形成した。
可撓性本体がスタックを起こした自走車両のタイヤの下に円滑に引き込まれるように、可撓性本体の一端に自転車用のチューブを切断して複数取り付け悪路脱出用補助具220を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具220を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具220の上に乗せることができなかった。
【0049】
[比較例4]
平板状で、多数の空孔がある市販のプラスチック製の平板城悪路脱出用補助具に複数のビスを打ち込み悪路脱出用補助具230を形成した。自走車両が悪路脱出用補助具230の上に乗った段階で、悪路脱出用補助具230が割れて壊れた。プラスチック製の市販品では悪路から脱出することはできるかも知れないが、比較的簡単に壊れるため、スタックを脱出する毎に使い捨てになる問題がある。
【0050】
[比較例5]
スタックを起こした自走車両のタイヤの下部前面に比較例3の悪路脱出用補助具220を置いて、長い木製棒で悪路脱出用補助具230を押して自走車両のタイヤの下に比較例3の悪路脱出用補助具220を潜り込ませようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具220の上に乗せることができなかった。
【0051】
[比較例6]
使用済みのフロアカーペットを長方形に切り出して本体を得た。次に間隔を置いて孔が空いた金属プレートを前記本体に対して長手方向の垂直方向に設置して、フロアカーペット製の本体の一方の面に間隔を置いてビスを刺してフロアカーペットの外部に突き出る様に固定してダンパーを形成した。ビスはナットで固定し、フロアカーペット製の本体からナットが外れないようにされている。
こうして長方形状のフロアカーペットの一面に多数のビスが突き出た悪路脱出用補助具240を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具240を挿入した場合、雪が深くなると自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具240の上に乗せることができなかった。
【0052】
[比較例7]
スタックを起こした自走車両のタイヤの下部前面に比較例6の悪路脱出用補助具240を置いて、長い木製棒で悪路脱出用補助具240を押して自走車両のタイヤの下に比較例6の悪路脱出用補助具240を潜り込ませようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、雪が深くなると自走車両を悪路脱出用補助具240の上に乗せることができなかった。
【0053】
[比較例8]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20を省略した以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具250を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具250を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具250の上に乗せることができなかった。
【0054】
[比較例9]
使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自走車両用古タイヤの内側から接地面方向へ向かって複数のビスを通してダンパーを形成して悪路脱出用補助具260を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤに、悪路脱出用補助具260のダンパーが刺さる様に設置すると自走車両を悪路脱出用補助具260の上に乗せることができた。
ただし、自走車両を悪路脱出用補助具260の上に乗せることができるが、自走車両のタイヤに損傷が生じた。
【0055】
[比較例10]
比較例3の場合で自転車用のチューブを可撓性本体の長手方向に複数の切れ目を作り、悪路脱出用補助具270を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具270を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具270の上に乗せることができなかった。
【0056】
[比較例11]
使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分を長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自走車両用古タイヤの接地面部分から使用済みの自走車両用古タイヤの内側へ向かって複数のビスを通してダンパーを形成した。
次にサンドペーパーを、自走車両のタイヤと接触する部分に固定して悪路脱出用補助具280を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具280を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤの少しの回転でサンドペーパーのやすりの部分が摩耗して消失し、サンドペーパーを利用した効果を確認することができなかった。
【0057】
[比較例12]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20に代えて、合成樹脂製のポリアミド製不織布を用いた以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具290を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具290を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具290の上に乗せることができなかった。
【0058】
[比較例13]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20に代えて、天然繊維製の不織布を用いた以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具300を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具300を挿入しようとしたが、不織布が破断し、実際には自走車両を悪路脱出用補助具300の上に乗せることができなかった。
【0059】
[比較例14]
使用済みの自転車用チューブを長方形に切り出して可撓性本体を得た。使用済みの自転車用チューブの接地側部分から使用済みの自転車用チューブの内側へ向かって複数のビスを通してダンパーを形成し悪路脱出用補助具310を得た。
しかし自走車両用途には使用済みの自転車用チューブでは強度が不足し、実用に耐えなかった。
【0060】
[比較例15]
比較例14の場合で、可撓性本体の一端に、可撓性本体の長手方向と平行に外部に突き出るようにゴムシートを追加して悪路脱出用補助具320を得た。
しかし自走車両用途には使用済みの自転車用チューブでは強度が不足し、実用に耐えなかった。
【0061】
[比較例16]
比較例6のフロアカーペットを本体に使用した場合で、一端に合成樹脂製のポリアミド製不織布を設置した以外は悪路脱出用補助具240の場合と同様に悪路脱出用補助具330を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具330を挿入しようとしたが、合成樹脂製のポリアミド製不織布が破断し、実際には自走車両を悪路脱出用補助具330の上に乗せることができなかった。
【0062】
[比較例17]
使用済みの自走車両用古タイヤの側面部分を切り出して円弧形状体を得た。複数の同じ長さの円弧形状を長手方向に少しずつスライドさせながら、波紋が拡がる様に円弧形状を少しずつずらし、9枚重ねて金属ピンで互いに固定した。波紋が拡がる側の一端にU字状に繊維織編物片を設置して悪路脱出用補助具330を得た。
しかしながら悪路脱出用補助具330の重量が大きくなりすぎて、取り扱いに問題が生じた。
【0063】
[比較例18]
比較例2の場合で、可撓性本体の長手方向と平行かつ可撓性本体の一端から外部へ突き出るように取り付けられた、使用済みの自走車両用古タイヤの側面を切り出して作った突出部にサンドペーパーと不織布を取り付けたが強度不足でサンドペーパーと不織布が破談した。
【0064】
[比較例19]
比較例2の場合で、可撓性本体を長手方向に短く切って、互いに金属プレートで連結して、可撓性本体の曲率を平面に近づけてみたが、特段比較例2の場合と変化は見られなかった。
【0065】
[比較例20]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20に代えて、金属片を使用した以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具340を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具340を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具340の上に乗せることができなかった。
【0066】
[比較例21]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20に代えて、ゴム網を使用した以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具350を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具350を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具350の上に乗せることができなかった。
【0067】
[比較例22]
実施形態1に係る悪路脱出用補助具100の場合で、繊維織編物片20に代えて、皮片を使用した以外は悪路脱出用補助具100の場合と同様に悪路脱出用補助具360を得た。
実際にスタックを起こした自走車両のタイヤの下に悪路脱出用補助具360を挿入しようとしたが、自走車両のタイヤが滑り、実際には自走車両を悪路脱出用補助具360の上に乗せることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る悪路脱出用補助具は、入手容易な材料を使って簡単に作成でき、悪路でスタックした場合でも簡単に悪路から脱出できるから、悪路を走行する必要のある自走車両の用途に幅広く応用できる。
【符号の説明】
【0069】
10 可撓性本体
20,21 繊維織編物片
30 補助金属板
40 ボルト
42 ナット
50 ダンパー
60 タイヤ
62 タイヤのパターン
64 タイヤ格納空間
70 雪面または氷面
72 接触面
74 水薄膜
50a,50b,50c,50d,50e ダンパー
80 結束バンド
84 金属ワイヤー
86 回収装置
90 タイヤカバー
92 筒状格納部
100,200,210,220,230,240,250,260,270,280,290,300,310,320,330,340,350,360 悪路脱出用補助具
120 トラック型自走車両
130 自走車両
【手続補正書】
【提出日】2021-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されている、悪路脱出用補助具、
の製造方法であって、
タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入され
る前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、悪路脱出用補助具の製造方法。
【請求項2】
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置され、
前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、悪路脱出用補助具、
の製造方法であって、
タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入され
る前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、悪路脱出用補助具の製造方法。
【請求項3】
繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自
走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備え、
使用する悪路脱出用補助具が、
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されている、
悪路脱出用補助具回収方法。
【請求項4】
繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自
走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備え、
使用する悪路脱出用補助具が、
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置され、
前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、
悪路脱出用補助具回収方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
すなわち本発明は、
[1]可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されている、悪路脱出用補助具、
の製造方法であって、
タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入され
る前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、悪路脱出用補助具の製造方法を提供するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また本発明は、
[2]可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置され、
前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、悪路脱出用補助具、
の製造方法であって、
タイヤから可撓性本体を切り出す工程と、
前記可撓性本体の長手方向に対して垂直方向のスリット状の貫通孔を設ける工程と、
前記貫通孔に対して可撓性本体を形成するタイヤの外側および内側からそれぞれ繊維織編物片の端部を挿入する工程と、
前記繊維織編物片を、前記可撓性本体の長手方向の一端から外部に引き出す工程と、
ダンパーを前記可撓性本体を形成するタイヤの内側に設置する工程と、
を備え、
前記繊維織編物片の端部をそれぞれ前記貫通孔に対してタイヤの外側および内側に挿入する際に、タイヤの外側から挿入される前記繊維織編物片が、タイヤの内側から挿入され
る前記繊維織編物片に対して、前記貫通孔の内部で、前記ダンパー側に設置されることを特徴とする、悪路脱出用補助具の製造方法を提供するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また本発明は、
[3]繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自
走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備え、
使用する悪路脱出用補助具が、
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置されている、
悪路脱出用補助具の回収方法を提供するものである。
[4]繊維織編物片を自走車両のタイヤの下に設置するステップと、
自走車両のタイヤが、可撓性本体のダンパーのない面に乗るステップと、
自走車両に設置されたワイヤーを用いて、悪路脱出用補助具にワイヤーを連結するステップと、
を有し、
前記ワイヤーを自走車両のタイヤ格納空間より上部側から前記ワイヤーを巻き取り回収する回収装置により、自走車両のタイヤが、前記悪路脱出用補助具を乗り越えた後に、自
走車両の走行方向を基準に後方側から自走車両のタイヤ格納空間より上部の自走車両側に、前記悪路脱出用補助具を回収するステップと、
を備え、
使用する悪路脱出用補助具が、
可撓性本体と、前記可撓性本体の端部に設置された繊維織編物片と、前記可撓性本体の一方の面にダンパーを備え、
前記ダンパーが、間隔をおいて前記可撓性本体の一方の面に二以上設置され、
前記可撓性本体が、タイヤを加工してなり、
前記ダンパーが、タイヤの内側に該当する前記可撓性本体の面に設置され、
前記ダンパーが、繊維織編物片が設置された側に開く、
悪路脱出用補助具の回収方法を提供するものである。