(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176856
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ラダー型フィルタおよびマルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
H03H 9/25 20060101AFI20221122BHJP
H03H 9/64 20060101ALI20221122BHJP
H03H 9/72 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H03H9/25 C
H03H9/64 Z
H03H9/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086702
(22)【出願日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2021083401
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】岩嵜 翔
(72)【発明者】
【氏名】月舘 均
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA22
5J097BB02
5J097BB17
5J097DD04
5J097DD05
5J097DD07
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5J097EE10
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5J097GG03
5J097KK01
5J097KK04
5J097KK07
5J097KK09
(57)【要約】
【課題】周波数温度係数を小さくするラダー型フィルタを提供する。
【解決手段】ラダー型フィルタは、支持基板10と、支持基板10上に設けられる圧電層14と、圧電層14上に設けられ第1平均ピッチD1と第1平均デュティ比R1とを有する複数の第1電極指18を各々備え、最も大きい第1平均ピッチD1は圧電層14の厚さの2倍以上であり、一端が入力端子と出力端子との間の経路に各々接続され他端がグランドに各々接続された1または複数の並列共振器Pと、圧電層14上に設けられ第2平均ピッチD2と第2平均デュティ比R2とを有する複数の第2電極指18を各々備え、少なくとも1つの直列共振器における第2平均デュティR2比は最も小さい第1平均デュティ比R1より小さく、入力端子と出力端子との間に各々直列接続された1または複数の直列共振器Sとを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられる圧電層と、
前記圧電層上に設けられ第1平均ピッチと第1平均デュティ比とを有する複数の第1電極指を各々備え、最も大きい第1平均ピッチは前記圧電層の厚さの2倍以上であり、一端が入力端子と出力端子との間の経路に各々接続され他端がグランドに各々接続された1または複数の並列共振器と、
前記圧電層上に設けられ第2平均ピッチと第2平均デュティ比とを有する複数の第2電極指を各々備え、少なくとも1つの直列共振器における第2平均デュティ比は最も小さい第1平均デュティ比より小さく、前記入力端子と前記出力端子との間に各々直列接続された1または複数の直列共振器と、
を備えるラダー型フィルタ。
【請求項2】
前記圧電層は、36°以上かつ48°以下回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層である請求項1に記載のラダー型フィルタ。
【請求項3】
前記1または複数の並列共振器における前記圧電層上には前記複数の第1電極指を覆い厚さが前記複数の第1電極指の厚さより厚い誘電体膜は設けられておらず、
前記1または複数の直列共振器における前記圧電層上には前記複数の第2電極指を覆い厚さが前記複数の第2電極指の厚さより厚い誘電体膜は設けられていない請求項2に記載のラダー型フィルタ。
【請求項4】
前記1または複数の直列共振器は複数の直列共振器であり、前記少なくとも1つの直列共振器は最も大きい第2平均ピッチを有する第1直列共振器を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のラダー型フィルタ。
【請求項5】
前記複数の直列共振器のうち前記第1直列共振器における第2平均ピッチより第2平均ピッチが小さい第2直列共振器における第2平均デュティ比は前記第1直列共振器における第2平均デュティ比より大きい請求項4に記載のラダー型フィルタ。
【請求項6】
最も大きい第2平均デュティ比は最も小さい第1平均デュティ比より小さい請求項1から5のいずれか一項に記載のラダー型フィルタ。
【請求項7】
最も大きい第2平均ピッチは最も小さい第1平均ピッチより小さい請求項1から6のいずれか一項に記載のラダー型フィルタ。
【請求項8】
最も大きい第2平均デュティ比と最も小さい第2平均デュティ比との差は、最も大きい第1平均デュティ比と最も小さい第1平均デュティ比との差より大きい請求項1から7のいずれか一項に記載のラダー型フィルタ。
【請求項9】
前記支持基板と前記圧電層との間に設けられ、弾性定数の温度係数の符号が前記圧電層の弾性定数の温度係数の符号と反対である温度補償膜を備える請求項1から8のいずれか一項に記載のラダー型フィルタ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のラダー型フィルタを備えるマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラダー型フィルタおよびマルチプレクサに関し、例えば一対の櫛型電極を有するラダー型フィルタおよびマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の通信機器に用いられる弾性波共振器として、圧電層上に設けられた一対の櫛型電極を有する弾性波共振器が知られている。圧電層を支持基板に接合し、圧電層の厚さを弾性波の波長以下にすることが知られている(例えば特許文献1)。支持基板と圧電層との間に絶縁層を設けることが知られている(例えば特許文献2、3)。櫛型電極上に温度補償のための厚い誘電体層を設けた弾性波共振器を用いたラダー型フィルタにおいて並列共振器のデュティ比を直列共振器のデュティ比より小さくすることが知られている。(例えば特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-34363号公報
【特許文献2】特開2019-201345号公報
【特許文献3】特開2015-73331号公報
【特許文献4】特開2018-196028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
櫛型電極を有し、圧電層を支持基板上に接合した弾性波共振器を用いたラダー型フィルタにおいて、周波数温度係数(TCF:Temperature Coefficient of Frequency)を小さくすることが求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、周波数温度係数を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、支持基板と、前記支持基板上に設けられる圧電層と、前記圧電層上に設けられ第1平均ピッチと第1平均デュティ比とを有する複数の第1電極指を各々備え、最も大きい第1平均ピッチは前記圧電層の厚さの2倍以上であり、一端が入力端子と出力端子との間の経路に各々接続され他端がグランドに各々接続された1または複数の並列共振器と、前記圧電層上に設けられ第2平均ピッチと第2平均デュティ比とを有する複数の第2電極指を各々備え、少なくとも1つの直列共振器における第2平均デュティ比は最も小さい第1平均デュティ比より小さく、前記入力端子と前記出力端子との間に各々直列接続された1または複数の直列共振器と、を備えるラダー型フィルタである。
【0007】
上記構成において、前記圧電層は、36°以上かつ48°以下回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層である構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記1または複数の並列共振器における前記圧電層上には前記複数の第1電極指を覆い厚さが前記複数の第1電極指の厚さより厚い誘電体膜は設けられておらず、前記1または複数の直列共振器における前記圧電層上には前記複数の第2電極指を覆い厚さが前記複数の第2電極指の厚さより厚い誘電体膜は設けられていない構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記1または複数の直列共振器は複数の直列共振器であり、前記少なくとも1つの直列共振器は最も大きい第2平均ピッチを有する第1直列共振器を含む構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記複数の直列共振器のうち前記第1直列共振器における第2平均ピッチより第2平均ピッチが小さい第2直列共振器における第2平均デュティ比は前記第1直列共振器における第2平均デュティ比より大きい構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、最も大きい第2平均デュティ比は最も小さい第1平均デュティ比より小さい構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、最も大きい第2平均ピッチは最も小さい第1平均ピッチより小さい構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、最も大きい第2平均デュティ比と最も小さい第2平均デュティ比との差は、最も大きい第1平均デュティ比と最も小さい第1平均デュティ比との差より大きい構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記支持基板と前記圧電層との間に設けられ、弾性定数の温度係数の符号が前記圧電層の弾性定数の温度係数の符号と反対である温度補償膜を備える構成とすることができる。
【0015】
本発明は、上記ラダー型フィルタを備えるマルチプレクサである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、周波数温度係数を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係るラダー型フィルタに用いる弾性波共振器の平面図、
図1(b)および
図1(c)は、
図1(a)のA-A断面図である。
【
図2】
図2(a)は、実施例1における弾性波共振器のピッチDに対する共振周波数frを示す図、
図2(b)は、デュティ比Rに対する共振周波数frを示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1に係るラダー型フィルタの回路図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係るラダー型フィルタの平面図である。
【
図5】
図5は、実験1における共振器Bの断面図である。
【
図6】
図6は、実験1におけるデュティ比に対する共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを示す図である。
【
図7】
図7は、実験2における共振器の断面図である。
【
図8】
図8は、実験2におけるデュティ比に対する共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを示す図である。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、並列共振器および直列共振器の通過特性を示す模式図、
図9(c)は、フィルタの通過特性の温度変化を示す模式図である。
【
図10】
図10(a)および
図10(b)は、フィルタおよび並列共振器の通過特性を示す模式図である。
【
図11】
図11(a)および
図11(b)は、フィルタおよび直列共振器の通過特性を示す模式図である。
【
図12】
図12(a)から
図12(c)は、それぞれ実施例1の変形例2から4における弾性波共振器の断面図である。
【
図13】
図13(a)から
図13(c)は、それぞれ実施例1の変形例5から7における弾性波共振器の断面図である。
【
図14】
図14は、実施例に係るデュプレクサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特許文献4には、ニオブ酸リチウム基板上に設けられた櫛型電極上に櫛型電極より厚い誘電体膜を形成した弾性波共振器では、共振周波数および反共振周波数の温度周波数係数(TCF:Temperature Coefficient of Frequency)が デュティ比に依存することが記載されている。このような弾性波共振器はレイリー波を主モードとする。一方、櫛型電極上に厚い誘電体膜が設けられていない場合、共振周波数および反共振周波数のTCFは デュティ比に依存しないと考えられていた。このような弾性波共振器として、タンタル酸リチウム基板を用いSH(Shear Horizontal)波を主モードとする弾性波共振器がある。発明者らは、櫛型電極を覆う厚い誘電体膜を設けずSH波を主モードとする弾性波共振器においても圧電層を薄くすることにより、共振周波数および反共振周波数のTCFが デュティ比に依存することを発見した。以下、上記知見に基づく実施例について説明する。
【実施例0019】
実施例1はラダー型フィルタの例である。
図1(a)は、実施例1に係るラダー型フィルタに用いる弾性波共振器の平面図、
図1(b)および
図1(c)は、
図1(a)のA-A断面図である。
図1(b)および
図1(c)は、それぞれ並列共振器Pおよび直列共振器Sの断面図である。電極指の配列方向をX方向、電極指の延伸方向をY方向、支持基板および圧電層の積層方向をZ方向とする。X方向、Y方向およびZ方向は、圧電層の結晶方位のX軸方向およびY軸方向とは必ずしも対応しない。圧電層が回転YカットX伝搬基板の場合、X方向は結晶方位のX軸方向となる。
【0020】
図1(a)から
図1(c)に示すように、支持基板10上に圧電層14が設けられている。支持基板10と圧電層14との間に温度補償膜12が設けられている。圧電層14上に弾性波共振器26が設けられている。弾性波共振器26はIDT22および反射器24を有する。反射器24はIDT22のX方向の両側に設けられている。IDT22および反射器24は、圧電層14上の金属膜16により形成される。
【0021】
IDT22は、対向する一対の櫛型電極20を備える。櫛型電極20は、複数の電極指18と、複数の電極指18が接続されたバスバー19と、を備える。X方向からみて一対の櫛型電極20の電極指18が交差する領域が交差領域25である。交差領域25の長さが開口長である。一対の櫛型電極20は、交差領域25の少なくとも一部において電極指18が交互に設けられている。交差領域25において複数の電極指18が主に励振する弾性波は、主にX方向に伝搬する。一対の櫛型電極20のうち一方の櫛型電極20の電極指18のピッチがほぼ弾性波の波長λとなる。複数の電極指18のピッチ(電極指18の中心間のピッチ)をDとすると、一方の櫛型電極20の電極指18のピッチは電極指18の2本分のピッチDとなる。反射器24は、IDT22の電極指18が励振した弾性波(弾性表面波)を反射する。これにより弾性波はIDT22の交差領域25内に閉じ込められる。
【0022】
圧電層14は、例えば単結晶タンタル酸リチウム(LiTaO3)層であり、例えば回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層である。36°以上かつ48°以下回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層のとき、SH波が主モードの弾性波となる。圧電層14の厚さは弾性波の波長λ(すなわちピッチDの2倍)以下である。
【0023】
支持基板10は、例えばサファイア基板、アルミナ基板、シリコン基板、スピネル基板、水晶基板、石英基板または炭化シリコン基板である。サファイア基板は単結晶Al2O3基板であり、アルミナ基板は多結晶または非晶質Al2O3基板であり、シリコン基板は単結晶または多結晶のシリコン基板であり、スピネル基板は多結晶または非晶質MgAl2O4基板であり、水晶基板は単結晶SiO2基板であり、石英基板は多結晶または非晶質SiO2基板であり、炭化シリコン基板は多結晶または単結晶のSiC基板である。支持基板10のX方向の線膨張係数は圧電層14のX方向の線膨張係数より小さい。これにより、弾性波共振器の周波数温度依存性を小さくできる。
【0024】
温度補償膜12は、圧電層14の弾性定数の温度係数の符号と反対の符号の弾性定数の温度係数を有する。例えば圧電層14の弾性定数の温度係数は負であり、温度補償膜12の弾性定数の温度係数は正である。温度補償膜12は、酸化シリコン(SiO2)を主成分とする絶縁膜であり、例えば無添加または弗素等の添加元素を含む酸化シリコン(SiO2)膜であり、例えば多結晶または非晶質である。これにより、弾性波共振器の周波数温度係数を小さくできる。温度補償膜12が酸化シリコン膜の場合、温度補償膜12を伝搬するバルク波の音速は圧電層14を伝搬するバルクの音速より遅くなる。なお、ある層がある材料を主成分とするとは、意図的または意図せず含まれる不純物を許容し、ある層におけるある材料の濃度は、例えば50原子%以上であり、80原子%以上である。温度補償膜12が酸化シリコンを主成分とする場合、温度補償膜12における酸素濃度およびシリコン濃度の合計は例えば50原子%以上であり、80原子%以上である。また、温度補償膜12における酸素濃度およびシリコン濃度は各々例えば10原子%以上であり、20原子%以上である。
【0025】
温度補償膜12が温度補償の機能を有するためには主モードの弾性波のエネルギーが温度補償膜12内にある程度存在することが求められる。弾性表面波のエネルギーが集中する範囲は弾性表面波の種類に依存するものの、典型的には弾性表面波のエネルギーは圧電層14の上面から2λ(λは弾性波の波長)の範囲に集中し、特に圧電層14の上面からλの範囲に集中する。そこで、温度補償膜12の下面から圧電層14の上面までの距離は、好ましくは2λ以下であり、より好ましくはλ以下であり、さらに好ましくは0.6λ以下である。
【0026】
金属膜16は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)またはモリブデン(Mo)を主成分とする膜である。電極指18と圧電層14との間にチタン(Ti)膜またはクロム(Cr)膜等の密着膜が設けられていてもよい。密着膜は電極指18より薄い。電極指18を覆うように電極指18より薄い絶縁膜が設けられていてもよい。絶縁膜は保護膜として機能する。
【0027】
図1(b)および
図1(c)のように、並列共振器Pにおける電極指18のピッチをD1、電極指18の幅をE1とすると、デュティ比R1=E1/D1である。直列共振器Sにおける電極指18のピッチをD2、電極指18の幅をE2とすると、デュティ比R2=E2/D2である。直列共振器SにおけるピッチD2は並列共振器PにおけるピッチD1より小さく、直列共振器Sにおけるデュティ比R2は並列共振器Pにおけるデュティ比R2より小さい。
【0028】
図2(a)は、実施例1における弾性波共振器のピッチDに対する共振周波数frを示す図、
図2(b)は、デュティ比Rに対する共振周波数frを示す図である。
図2(a)に示すように、ピッチDが小さくなると共振周波数frが高くなる。ピッチDが0.3μm変化すると共振周波数frは約500MHz変化する。
【0029】
図2(b)に示すように、デュティ比Rが変わると共振周波数frが変わる。デュティ比Rが60%以下ではデュティ比Rが小さくなると共振周波数frが高くなる。デュティ比Rが70%以上ではデュティ比Rが大きくなると共振周波数frが低くなる。デュティ比Rが60%から20%に40%変化すると共振周波数frは約160MHz変化する。このように、デュティ比Rによる共振周波数frの変化は小さい。このため、共振周波数frは、主にピッチDにより定まる。
【0030】
図3は、実施例1に係るラダー型フィルタの回路図である。
図3に示すように、直列共振器S1からS5は入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列接続されている。並列共振器P1からP4の一端は入力端子Tinと出力端子Toutとの間の直列経路に接続され、他端は、インダクタL1およびL2を介しグランド端子Gndに接続されている。
【0031】
図4は、実施例1に係るラダー型フィルタの平面図である。
図4に示すように圧電層14上に弾性波共振器26、配線30およびパッド32が設けられている。弾性波共振器26は、IDT22と反射器24を備えている。複数の弾性波共振器26は、直列共振器S1~S5および並列共振器P1~P4を含む。配線30は、弾性波共振器26の間を電気的に接続し、弾性波共振器26とパッド32とを電気的に接続する。パッド32は、外部と電気的に接続するための端子であり、入力端子Tin、出力端子Toutおよびグランド端子Gndに対応する。配線30およびパッド32は、例えば金層、銅層またはアルミニウム層を含む金属層である。
【0032】
ラダー型フィルタにおける直列共振器Sの個数は1または複数であればよく、並列共振器Pの個数は1または複数であればよく、これらの個数は適宜設定できる。
【0033】
[実験1]
共振器AおよびBについて、共振周波数および反共振周波数のTCFを測定した。共振器Aは
図1(a)から
図1(c)の構造を有する。
図5は、実験1における共振器Bの断面図である。
図5に示すように、共振器Bでは、温度補償膜12が設けられておらず、支持基板10上に圧電層14が設けられている。その他の構成は
図1(a)から
図1(c)と同じであり説明を省略する。
【0034】
実験条件は以下である。
支持基板10:サファイア基板
温度補償膜12:酸化シリコン膜
圧電層14:42°回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板
金属膜16:アルミニウム膜
共振器A
弾性波の波長λ:5.0μm
温度補償膜12の厚さT2:2.0μm(0.4λ)
圧電層14の厚さT4:2.0μm(0.4λ)
共振器B
弾性波の波長λ:4.9μm
圧電層14の厚さT4:20μm(4.1λ)
【0035】
共振器AおよびBについてデュティ比Rを変え共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを測定した。
図6は、実験1におけるデュティ比に対する共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを示す図である。ドットは測定点であり、直線は最小二乗法によりフィッティングした近似直線である。
図6に示すように、共振器AおよびBともに共振周波数frのTCFと反共振周波数faの差は約15ppm/Kである。共振器AおよびBとも共振周波数frのTCFは0に近いが、反共振周波数faのTCFは負に大きい(すなわち低い)。さらに、共振器Bでは、デュティ比Rが変化してもTCFはほとんど変化しない。一方、共振器Aでは、デュティ比Rが小さくなるとTCFが正の方に移動し0に近づく。
【0036】
[実験2]
実験1では、共振器Aは共振器Bに比べ温度補償膜12が設けられている。さらに圧電層14の厚さT4が共振器Bでは4.1λに対し、共振器Adでは0.6λである。そこで、共振器AにおいてTCFがデュティ比Rに依存することが、圧電層14の厚さT4によるものか温度補償膜12によるものかを調べるため実験2を行った。
【0037】
図7は、実験2における共振器の断面図である。
図7に示すように、圧電層14は単層であり、支持基板および絶縁層は設けられていない。その他の構成は
図1(a)から
図1(c)と同じであり説明を省略する。
実験条件は以下である。
圧電層14:42°回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム基板
金属膜16:アルミニウム膜
共振器C
弾性波の波長λ:2.2μm
圧電層14の厚さT4:1.32μm(0.6λ)
共振器D
弾性波の波長λ:2.2μm
圧電層14の厚さT4:8.8μm(4.0λ)
【0038】
共振器CおよびDについてデュティ比Rを変え共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを測定した。
図8は、実験2におけるデュティ比に対する共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFを示す図である。ドットは測定点であり、直線は最小二乗法によりフィッティングした近似直線である。
図8に示すように、共振器Dでは共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFはデュティ比Rにほとんど依存しないが、共振器Cでは、デュティ比Rが小さくなると、共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFに近づく。
【0039】
このように、圧電層14の厚さT4が小さくなると共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFがデュティ比Rに依存するようになる。よって、実験1において、共振器AにおいてTCFがデュティ比Rに依存するのは圧電層14の厚さT4が薄いためと考えられる。
【0040】
圧電層14の厚さT4が小さくなるTCFがデュティ比Rに依存する理由は不明であるが、SH波等の弾性表面波は圧電層14の表面から弾性波の波長λ程度までに集中することに関係があるかもしれない。そのように考えると、圧電層14の厚さT4がλ以下の場合に、TCFがデュティ比Rに依存するのではないかと考えられる。圧電層14をλ以下とすると、圧電層14の機械的な強度が小さいため、圧電層14は支持基板10に接合される。
【0041】
[フィルタ特性の課題]
共振器AまたはBにおいて並列共振器Pのデュティ比R1と直列共振器Sのデュティ比R2を同じとしてラダー型フィルタを形成した場合の課題について説明する。
【0042】
図9(a)および
図9(b)は、並列共振器および直列共振器の通過特性を示す模式図、
図9(c)は、フィルタの通過特性の温度変化を示す模式図である。
図9(b)は
図9(a)の減衰量を拡大した図である。フィルタの通過特性をF、並列共振器Pの通過特性をP、直列共振器Sの通過特性をSにより示す。並列共振器Pの通過特性はシャント接続された場合の通過特性である。
【0043】
図9(a)および
図9(b)に示すように、フィルタFの通過帯域Passの低周波側の減衰極は並列共振器Pの共振周波数frpにより形成され、通過帯域Passの高周波側の減衰極は直列共振器Sの反共振周波数fasにより形成される。並列共振器Pの反共振周波数fapおよび直列共振器Sの共振周波数frsは通過帯域Pass内に位置する。このように、ラダー型フィルタにおける通過帯域Passの低周波側の肩は主に並列共振器Pの共振周波数frpにより形成され、通過帯域Passの高周波側の肩は主に直列共振器Sの反共振周波数fasにより形成される。
【0044】
図9(c)に示すように、通過帯域Passの低周波側の肩の周波数は温度が-30°から80℃に変化してもほとんど変わらないが、通過帯域Passの高周波側の肩の周波数は温度が-30°から80℃に変化すると低くなる。これは、
図6のように、共振器AおよびBともに共振周波数frのTCFは0に近いため、並列共振器Pの共振周波数Frpにより形成される通過帯域Passの低周波側の肩の周波数の温度係数が小さくなる。しかし、反共振周波数faのTCFは共振周波数frのTCFより15ppm/K低いため、直列共振器Sの反共振周波数Fasにより形成される通過帯域Passの高周波側の肩の周波数の温度係数が負に大きくなるためである。
【0045】
実施例1では、直列共振器Sのデュティ比R2を並列共振器Pのデュティ比R1より小さくする。これにより、
図6のように直列共振器Sの反共振周波数fasのTCFを0に近づけることができる。例えば並列共振器Pのデュティ比R1を50%とし、直列共振器Sのデュティ比R2を30%とする。これにより、並列共振器Pの共振周波数frpのTCFを約-6ppm/Kにでき、直列共振器Sの反共振周波数fasのTCFを約-16ppm/Kとすることができる。直列共振器Sのデュティ比R2を50%とする場合に比べ直列共振器Sの反共振周波数fasのTCFを約6ppm/K改善できる。反共振周波数faのTCFは、デュティ比Rを5%小さくすることで約1ppm/K改善する。よって、デュティ比R1-R2は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。
【0046】
[実施例1の変形例1]
実施例1の変形例1は、並列共振器P1~P4の共振周波数frpが互いに異なり、直列共振器S1~S5の反共振周波数fasが互いに異なる例である。表1は並列共振器P1~P4におけるピッチ2×D1およびデュティ比R1を示す表である。
【表1】
【0047】
表2は直列共振器S1~S5におけるピッチ2×D2およびデュティ比R2を示す表である。
【表2】
【0048】
表1に示すように並列共振器P1~P4のピッチD1は互いに異なる。デュティ比R1は50%であり互に同じである。表2に示すように直列共振器S1~S5のピッチD2は互いに異なる。直列共振器S1~S5のうちピッチD2の最も大きい直列共振器S3ではデュティ比R1は30%である。直列共振器S3よりピッチD2の小さい直列共振器S2およびS4ではデュティ比R2は40%である。直列共振器S2およびS4よりピッチD2の小さい直列共振器S1およびS5ではデュティ比R2は50%である。
【0049】
図10(a)および
図10(b)は、フィルタおよび並列共振器の通過特性を示す模式図である。
図10(b)は、
図10(a)の減衰量を拡大した図である。
図10(a)および
図10(b)に示すように、並列共振器P1~P4の共振周波数frpおよび反共振周波数fapは、ピッチD1に依存する。並列共振器P1~P4の共振周波数frpを異ならせることで、通過帯域Passより低周波側の減衰域を広くできる。通過帯域Passの低周波側の肩は最も共振周波数frpの高い並列共振器P2およびP3により形成される。
図6のように、共振周波数frのTCFは0に近いため、並列共振器P1~P4のデュティ比R1は、共振特性を考慮し決定される。例えばデュティ比R1を50%とする。
【0050】
図11(a)および
図11(b)は、フィルタおよび直列共振器の通過特性を示す模式図である。
図11(b)は、
図11(a)の減衰量を拡大した図である。
図11(a)および
図11(b)に示すように、直列共振器S1~S5の共振周波数frsおよび反共振周波数fasは、ピッチD2に依存する。
図2(b)のように共振周波数frsはデュティ比R2にも依存するが、デュティ比R2よりピッチD2に主に依存するため、直列共振器S1~S5においてデュティ比R2が異なっていても、反共振周波数fasの大小関係はピッチD2の大小関係にほぼ依存する。直列共振器S1~S5の反共振周波数fasを異ならせることで、通過帯域Passより高周波側の減衰域を広くできる。通過帯域Passの高周波側の肩は最も反共振周波数fasの低い並列共振器S3により形成される。
【0051】
実施例1の変形例1では、通過帯域Passの高周波側の肩は主に最も反共振周波数fasが低い(すなわちピッチD2が最も大きい)直列共振器S3のデュティ比R2を小さくし反共振周波数fasのTCFを0に近づける。これにより、通過帯域Passの高周波側の肩のTCFを0に近づけることができる。次に通過帯域Passの高周波側の肩に影響する直列共振器は次に反共振周波数fasが低い直列共振器S2およびS4である。そこで、直列共振器S2およびS4のデュティ比R2を次に小さくし反共振周波数fasのTCFを0に近づける。反共振周波数fasが高い直列共振器S1およびS5は通過帯域Passの低周波側の肩にはあまり影響しない。そこで、直列共振器S2およびS4のデュティ比R2は、共振特性を考慮し並列共振器P1~P4のデュティ比R1とほぼ同じにする。
【0052】
このように、通過帯域Passの高周波側の肩に影響する直列共振器S3のデュティ比R2を並列共振器P1~P4のデュティ比R1より小さくし、通過帯域Passの高周波側の肩のTCFを小さくする。通過帯域Passの低周波側の肩にあまり影響しない直列共振器S1およびS5のデュティ比R2を並列共振器P1~P4のデュティ比R1とほぼ同じとする。これにより、共振特性を向上できる。
【0053】
[実施例1の変形例2]
図12(a)は、実施例1の変形例2における弾性波共振器の断面図である。
図12(a)に示すように、実施例1の変形例2では、温度補償膜12と支持基板10との間に絶縁層として境界層11が設けられている。境界層11のバルク波の音速は温度補償膜12のバルク波の音速より速い。境界層11は、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、シリコン、窒化シリコンまたは炭化シリコン等の多結晶膜または非結晶膜である。境界層11を設けることで、主モードの弾性波を圧電層14および温度補償膜12に閉じ込めることができ、かつバルク波等の不要波を境界層11において減衰させることができる。よって、不要波に起因するスプリアスを抑制できる。境界層11の厚さは例えば1λ~5λである。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0054】
[実施例1の変形例3]
図12(b)は、実施例1の変形例3における弾性波共振器の断面図である。
図12(b)に示すように、実施例1の変形例3では、圧電層14と温度補償膜12との間の接合層13が設けられている。接合層13は、圧電層14と温度補償膜12とを接合する。圧電層14と温度補償膜12とを直接接合させることが難しい場合、接合層13を設けてもよい。接合層13は、例えば、酸化アルミニウム膜、シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化シリコン膜または炭化シリコン膜である。接合層13の厚さは、圧電層14および温度補償膜12の機能を損なわない観点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。接合層13としての機能を損なわない観点から、接合層13の厚さは、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましい。主モードの弾性波を圧電層14に閉じ込める観点から、接合層13を伝搬するバルク波の音速は温度補償膜12を伝搬するバルク波の音速より速いことが好ましい。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0055】
[実施例1の変形例4]
図12(c)は、実施例1の変形例4における弾性波共振器の断面図である。
図12(c)に示すように、実施例1の変形例4では、圧電層14と支持基板10との間に温度補償膜が設けられていない。圧電層14は支持基板10上に例えば表面活性化法を用い直列接合されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0056】
[実施例1の変形例5]
図13(a)は、実施例1の変形例5における弾性波共振器の断面図である。
図13(a)に示すように、実施例1の変形例5では、支持基板10と境界層11と界面に周期的または不規則な凹凸が設けられている。凹凸により不要波が散乱され、スプリアスが抑制できる。境界層11と温度補償膜12との界面は略平坦面である。その他の構成は実施例1の変形例3と同じであり説明を省略する。
【0057】
[実施例1の変形例6]
図13(b)は、実施例1の変形例6における弾性波共振器の断面図である。
図13(b)に示すように、実施例1の変形例6では、支持基板10と境界層11と界面に加え、境界層11と温度補償膜12の間の界面に周期的または不規則な凹凸が設けられている。2層の凹凸により不要波が散乱され、スプリアスが抑制できる。その他の構成は実施例1の変形例5と同じであり説明を省略する。
【0058】
[実施例1の変形例7]
図13(c)は、実施例1の変形例7における弾性波共振器の断面図である。
図13(c)に示すように、実施例1の変形例7では、支持基板10と温度補償膜12と界面に周期的または不規則な凹凸が設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0059】
実施例1の変形例2から7においても、圧電層14の厚さT4を波長λ以下とすることで、共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFがデュティ比Rに依存する。よって、直列共振器Sのデュティ比R2を並列共振器Pのデュティ比R1より小さくすることで、通過帯域Passの肩のTCFを0に近づけることができる。実施例1およびその変形例1~3、5~7のように、支持基板10と圧電層14との間に絶縁層が設けられていてもよい。絶縁層は均一な材料からなる1層でもよいし、複数層が積層された層でもよい。
【0060】
実施例1およびその変形例によれば、並列共振器Pは平均ピッチD1(第1平均ピッチ)と平均デュティ比R1(第1平均デュティ比)を有する複数の電極指18(第1電極指)を備えている。直列共振器Sは平均ピッチD2(第2平均ピッチ)と平均デュティ比R2(第2平均デュティ比)を有する複数の電極指18(第2電極指)を備えている。このとき、並列共振器P1~P4のうち最も大きい平均ピッチD1を圧電層14の厚さT4の2倍以上とする。すなわち、圧電層14の厚さT4を波長λ以下とする。これにより、
図6のように、共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFがデュティ比Rに依存する。少なくとも1つの直列共振器における平均デュティ比R2を並列共振器の平均ディティ比R1のうち最も小さい平均デュティ比R1より小さくする。これにより、通過帯域の高周波端のTCFを小さくできる。
【0061】
並列共振器P1~P4のうち最も大きい平均ピッチD1は圧電層14の厚さT4の1.6倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましい。少なくとも1つの直列共振器における平均デュティ比R2[%]と最も小さい平均デュティ比R1[%]との差は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。なお、平均ピッチDはIDT22のX方向の幅を電極指18の本数で除することにより算出できる。また、平均デュティ比RはIDT22のX方向の幅を電極指18の幅の合計で除することにより算出できる。
【0062】
圧電層が36°以上かつ48°以下回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム層であるとき、主モードの弾性波はSH波となる。また、並列共振器Pおよび直列共振器Sには、圧電層14上には電極指18を覆い厚さが電極指18の厚さより厚い誘電体膜は設けられていない。これにより、
図6のように、共振周波数frおよび反共振周波数faのTCFがデュティ比Rに依存する。
【0063】
少なくとも1つの直列共振器は最も大きい平均ピッチD2を有する直列共振器(表2、
図11(a)における直列共振器S3:第1直列共振器)を含む。これにより、実施例1の変形例1のように、通過帯域の高周波側の肩を主に形成する直列共振器の反共振周波数faのTCFを小さくできるため、通過帯域の高周波側の肩のTCFを小さくできる。
【0064】
直列共振器S3における平均ピッチD2より平均ピッチD2が小さい直列共振器(表2、
図11(a)における直列共振器S1、S2、S4およびS5:第2直列共振器)におけるデュティ比R2は第1直列共振器S3におけるデュティ比R2より大きい。これにより、第2直列共振器S1、S2、S4およびS5の共振特性を向上できる。第1直列共振器と第2直列共振器とのデュティ比R2[%]の差は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
【0065】
実施例1のように、最も大きい平均デュティ比R2は最も小さい平均デュティ比R1より小さくする。すなわち、直列共振器S1~S5の全ての平均デュティ比R2は並列共振器P1~P4の全ての平均デュティ比R1より小さい。これにより、通過帯域の高周波側の肩のTCFを小さくできる。最も大きい平均デュティ比R2と最も小さい平均デュティ比R1との差は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
【0066】
最も大きい平均ピッチD2は最も小さい平均ピッチD1より小さい。すなわち、全ての直列共振器S1~S5の共振周波数frsは、全ての並列共振器P1~P4の共振周波数frpより高い。これにより、ラダー型フィルタを形成できる。
【0067】
実施例1の変形例1のように、並列共振器P1~P4の共振周波数frpのTCFは小さいため、並列共振器P1~P4の平均デュティ比R1は共振特性が向上するようにほぼ同じデュティ比R1とする。一方、通過帯域の高周波側の肩を主に形成する直列共振器S3のデュティ比R2を小さくし、通過帯域の高周波側の肩を形成することにあまり寄与しない直列共振器S1およびS5のデュティ比R2を並列共振器P1~P4のデュティ比R1と同程度とする。これにより、直列共振器S1およびS5の共振特性を向上できる。すなわち、最も大きな平均デュティ比R2と最も小さな平均デュティ比R2との差は、最も大きな平均デュティ比R1と最も小さな平均デュティ比R1との差より大きくすることが好ましい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。