(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176857
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】光計測装置および光計測方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20221122BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20221122BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20221122BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01B11/02 H
A61B1/00 731
A61B1/00 551
A61B1/045 610
G02B23/26 D
G02B23/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092922
(22)【出願日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2021083449
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(72)【発明者】
【氏名】橋元 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】関 優
【テーマコード(参考)】
2F065
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065DD03
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL04
2F065SS01
2H040BA22
2H040CA23
2H040CA24
2H040GA02
4C161CC06
4C161FF40
4C161HH52
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】従来は、内視鏡先端部構造のレーザー光源と撮像素子の固定位置のずれによる視差の影響から、計測誤差が生じていたため正確な計測を行うことができていなかった。本発明により、レーザー光源の中心と撮像素子の中心のずれを無くし、視差の影響を減らすことで計測誤差を小さくする方法を提供する。
【解決手段】撮像素子1と、対物レンズ2と、光源装置3と、ビームスプリッター4と光源ユニット5と光源装置3から照射されたレーザー光6で、光計測装置および光計測方法を構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像を撮影可能な撮像素子と
参照用レーザー光源の中心と撮像素子の中心がビームスプリッターによって同軸に形成され、対物レンズからなる光学系と
からなる光計測装置。
【請求項2】
前記参照用レーザー光源は、平行に調整された2本のレーザー光源であることを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
【請求項3】
前記参照用レーザー光源は、放射角が既知のレーザー光源であることを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記レーザー光源の光路を90度折り曲げるための前記ビームスプリッターと、前記ビームスプリッターに対して照射口と反対の方向に固定された前記撮像素子と前記対物レンズから構成されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の光計測装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記レーザー光源の光路を90度折り曲げるための前記ビームスプリッターと、前記参照光レーザー光源の光路を垂直に受光するように固定された前記撮像素子と、前記ビームスプリッターに対して照射口の方向に固定された前記対物レンズから構成されること特徴とする請求項2または請求項3記載の光計測装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記対物レンズの像側の光路を90度折り曲げるための前記ビームスプリッターと、折り曲げられた光路を垂直に受光するように固定された前記撮像素子と、前記ビームスプリッターに対して照射口の方向に固定された前記対物レンズから構成されることを特徴とする請求項2または請求項3記載の光計測装置。
【請求項7】
前記撮像素子による撮像画像の画像処理により、
照射された前記2本の参照用レーザー光源によるスポット径の中心座標間の距離を基準として、前記対象画像の大きさを計測することを特徴とする請求項2記載の光計測装置。
【請求項8】
前記レーザー光源を対象物に照射し、前記撮像素子による撮像画像の画像処理により、
照射された前記レーザー光源によるスポット径を基準として、前記対象画像の大きさを計測することを特徴とする請求項3記載の光計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光計測装置および光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡のチャンネルに先端部が互いに平行になるよう2本のファイバーを挿通し、ファイバーから出射される可視ビーム光の2つのスポット間距離によって被検物体の大きさを計測する方法が知られていた。2本のファイバーの離間寸法は先端部構造から既知であるので、撮像素子面の像からモニターに映し出される被検物体と2本のファイバー間距離の大きさを比較することにより、被検物体の大きさを知ることができるものであった。(特許文献1)。
【0003】
また、内視鏡の先端部に径既知の単一レーザー光源を組み込み、レーザー光源を被検物体もしくはその付近に照射し、撮像素子面の像からモニターに映し出される径既知の単一レーザー光源を基準値として、同様にモニターに映し出された被検物体の大きさを計測する方法が知られていた。(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-32735号公開
【特許文献2】特許昭62-87120号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被検物体の大きさを計測する方法としては上記のような、2本のファイバー間距離を既知とした被検物体との大きさ比較推定や、径既知の単一レーザー光源を既知とした被検物体との大きさ比較推定といったものが挙げられるが、それらは病変部と計測用レーザーを内視鏡同一視野内に置くことができるものの、内視鏡先端部のチャンネルの構造上、レーザー光源と撮像素子の光軸のずれにより正確な計測精度が得られていないという課題があった。
そこで、本発明では、以上のような従来の課題に鑑み、レーザー光源の中心と撮像素子の中心のずれを無くし、視差の影響を無くすことで計測誤差を小さくする方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 本発明の光計測装置および光計測方法は、対象画像を撮影可能な撮像素子と、参照用レーザー光源の中心と撮像素子の中心がビームスプリッターによって同軸に形成され、対物レンズからなる光学系と、からなる光計測装置。本発明は、レーザー光源と撮像素子の中心を同軸上に構成できることから、光軸のずれによる視差の影響から生じていた測定誤差を無くすことができる。
【0007】
[2] 本発明の光計測装置および光計測方法は、平行に調整された2本のレーザー光源であることを特徴とする。参照用レーザー光源から照射したレーザー光の撮影画像の画像処理により、中心座標を推定し、照射された2本の参照用レーザー光源によるスポット径の中心座標間の距離を基準値とすることができるので、対象物と基準値を比較するだけで対象画像の大きさを計測することができる。
【0008】
[3] 本発明の光計測装置および光計測方法は、放射角が既知のレーザー光源であることを特徴とする。レーザー光源から出射面まで、距離毎の放射角に応じた参照用レーザー光源によるスポット径のテーブルを作成することで、スポット径を基準値とした対象物の計測を簡易にすることができる。
【0009】
[4] 本発明の光計測装置および光計測方法は、レーザー光源の光路を90度折り曲げるためのビームスプリッターと、ビームスプリッターに対して照射口と反対の方向に固定された撮像素子と対物レンズから構成されることを特徴とする。光学系を単純にするためにレーザースポット径を小さくすることで小さい物体や、異形の表面に適用することができる。
【0010】
[5] 本発明の光計測装置および光計測方法は、レーザー光源の光路を90度折り曲げるための前記ビームスプリッターと、参照光レーザー光源の光路を垂直に受光するように固定された撮像素子と、ビームスプリッターに対して照射口の方向に固定された対物レンズから構成される。撮像素子の光軸上にビームスプリッターとレーザー光源を挿入して像側の光路を撮像素子に入射させるだけの単純な構造とすることができる。
【0011】
[6] 本発明の光計測装置および光計測方法は、対物レンズの像側の光路を90度折り曲げるためのビームスプリッターと、折り曲げられた光路を垂直に受光するように固定された撮像素子と、ビームスプリッターに対して照射口の方向に固定された対物レンズから構成されることを特徴とする。レーザー光源の光軸上にビームスプリッターと撮像素子を挿入して像側の光路を撮像素子に入射させるだけの単純な構造とすることができる。レーザー光源と撮像素子とビームスプリッターの構成であるため、機械側の構造に容易に組み込むことができる。
【0012】
[7] 本発明の光計測装置および光計測方法は、撮像素子による撮像画像の画像処理により、
照射された2本の参照用レーザー光源によるスポット径の中心座標間の距離を基準として、対象画像の大きさを計測することを特徴とする。レーザー光源の2本の位置は固定されるので、照射された2本の参照用レーザー光源の中心座標間から算出される基準値は一定であるため撮像素子による撮像画像の画像処理をする際は、レーザー光源1本と比較して計算処理は容易にすることができる。
【0013】
[8] 本発明の光計測装置および光計測方法は、レーザー光源を対象物に照射し、撮像素子による撮像画像の画像処理により、照射されたレーザー光源によるスポット径を基準として、対象画像の大きさを計測することを特徴とする。撮像素子による撮像画像の参照用レーザー光源を基準値とすることから、対象物が比較的大きなものであっても計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る光計測装置および光計測方法の概略構成を示す図
【
図4】本発明の他の実施形態に係る光計測装置の概略構成を示す図
【
図5】本発明の他の実施形態に係る他の光計測装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の発明の実施形態)
図1に、本発明に関わる光計測装置および光計測方法の実施例を示す。
図1は撮像素子1と、対物レンズ2と、光源装置3と、ビームスプリッター4と、光学ユニット5で構成される。光源装置3の光路を90度折り曲げるためのビームスプリッター4と、ビームスプリッター4に対して照射口と反対の方向に固定された撮像素子1と対物レンズ2と光学ユニット5と光源装置3から照射されたレーザー光6から構成される。レーザー光の光路をビームスプリッターで90度折り曲げることで、撮像素子の光軸と同軸にすることができる。これによりレーザー光と撮像素子の光軸がずれないので正確な計測精度が得ることができる。
【0016】
図2に、本発明に関わる光計測装置および光計測方法の実施例を示す。
図2は、撮像素子1による撮像画像の画像処理により、照射された2本の参照用レーザー光源によるスポット径の中心座標間の距離を基準として、対象画像の大きさを計測する。レーザー光源7から出射した光をコリメータレンズ8に通して出射されたレーザー光6に変換し、対象物に照射する。2本のレーザー光源7の位置は固定されているので、照射された2本の参照用レーザー光源によるスポット径の中心座標間から算出される基準値を画像処理時に入力し、求めたい対象物と比の関係で対象画像の大きさを計測することができる。出射されたレーザー光6はほぼ平行に調整されていることが好ましい。
【0017】
図3に別の光源装置3の詳細を示す。
図3は、レーザー光源7から出射した光をコリメータレンズ8に通して出射されたレーザー光6に変換し、対象物に照射し、撮像素子1による撮像画像の画像処理により、照射されたレーザー光6によるスポット径を基準として、対象画像の大きさを計測する。照射されたレーザー光6を基準値とし、対象物と基準値を比較することで対象画像の大きさを計測することができる。出射されたレーザー光6はほぼ平行に調整されていることが好ましい。
図2,
図3どちらの光源装置3を用いても被検物体の大きさを計測するために、被検物体近傍に基準となる寸法を投影することが出来るので、それらの画像の比較から、被検物体の正確な寸法を計測することができる。
【0018】
(第2の発明の実施形態)
図4に、本発明に関わる光計測装置および光計測方法の実施例を示す。
図4は、光源装置3の光路を90度折り曲げるためのビームスプリッター4と、光源装置3の光路を垂直に受光するように固定された撮像素子1と、ビームスプリッター4に対して照射口の方向に固定された対物レンズ2と光学ユニット5と光源装置3から照射されたレーザー光6から構成される。レーザー光の光路をビームスプリッターで90度折り曲げることで、レーザー光を視差が無い状態で撮像素子に映し出すことができる。光源装置3は、第1の発明の実施形態で説明したものを用いることができる。
【0019】
(第3の発明の実施形態)
図5に、本発明に関わる光計測装置および光計測方法の実施例を示す。
図5は、対物レンズ2の像側の光路を90度折り曲げるためのビームスプリッター4と、折り曲げられた光路を垂直に受光するように固定された撮像素子1と、ビームスプリッター4に対して照射口の方向に固定された対物レンズ2と光学ユニット5と光源装置3から照射されたレーザー光6から構成される。ビームスプリッターをレーザー光源の光軸上に挿入することで、像に映し出されたレーザー光の光路を視差が無い状態で撮像素子に映し出すことができる。光源装置3は、第1の発明の実施形態で説明したものを用いることができる。
【0020】
参照用レーザー光源の中心と撮像素子の中心がビームスプリッターによって同軸上に形成することで視差のずれによる計測誤差の影響を無くし、レーザー光の径を基準値として照射像の大きさを計測することができる。
【符号の説明】
【0021】
1…撮像素子、2…対物レンズ、3…光源装置、4…ビームスプリッター、5…光学ユニット、6…照射されたレーザー光、7…レーザー光源、8…コリメートレンズ