(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176885
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221122BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221122BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20221122BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G06F3/041 550
G06F3/041 422
G06F3/041 640
G06F3/041 512
G06F3/044 125
G06F3/0481
B25J19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064209
(22)【出願日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】202110534968.2
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110534935.8
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲コン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 柏村
(72)【発明者】
【氏名】侯 澤陽
(72)【発明者】
【氏名】▲パン▼ 高陽
(72)【発明者】
【氏名】楊 華勇
【テーマコード(参考)】
3C707
5E555
【Fターム(参考)】
3C707KS31
3C707KS36
3C707KV04
3C707KV11
3C707KW01
5E555AA08
5E555BA90
5E555BB40
5E555DA13
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの皮膚構造ユニットを含み、皮膚構造ユニットは、発光相互作用モジュールと、フレキシブル近接検知アレイと、データ読み取り回路と、ロボット皮膚拡張インターフェースとを含み、フレキシブル近接検知アレイがデータ読み取り回路に接続され、データ読み取り回路がロボット皮膚拡張インターフェースを介して外部マイクロコントローラユニットに接続され、外部マイクロコントローラユニットがロボット皮膚拡張インターフェースを介して発光相互作用モジュールに接続される。本発明は、ロボット本体の広い領域を被覆することができ、それによって広い領域の作業環境の近接検出を実現し、人間とコンピュータの相互作用過程の安全性を確保し、人間とコンピュータの相互作用過程の効率とスムーズさを向上させることに有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの皮膚構造ユニットを含み、
前記皮膚構造ユニットは、発光相互作用モジュール(1)と、フレキシブル近接検知アレイ(2)と、ロボット皮膚拡張インターフェース(3)と、データ読み取り回路(4)とを備え、
前記フレキシブル近接検知アレイ(2)の出力端は前記データ読み取り回路(4)に接続され、
前記データ読み取り回路(4)は前記ロボット皮膚拡張インターフェース(3)を介して、外部マイクロコントローラユニット(5)に接続され、
前記外部マイクロコントローラユニット(5)は前記ロボット皮膚拡張インターフェース(3)を介して前記発光相互作用モジュール(1)に接続され、
前記発光相互作用モジュール(1)は、物体とロボット皮膚との間の様々な距離及び適用シナリオに従って発光相互作用モードを生成し、
前記物体とロボット皮膚との間の距離は、フレキシブル近接検知アレイ(2)によって検出され、
前記ロボット皮膚拡張インターフェース(3)は、各モジュール間の通信接続に使用され、
前記データ読み取り回路(4)は、フレキシブル近接検知アレイ(2)によって取得されたデータを処理するために使用され、
前記外部マイクロコントローラユニット(5)は、相互作用制御信号を生成し、発光相互作用モジュール(1)に送信して認識フィードバックを行うために使用されることを特徴とする、拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項2】
前記発光相互作用モジュール(1)は、アドレス指定可能なプログラマブル発光要素であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項3】
前記フレキシブル近接検知アレイ(2)は、直交配列に配置されたM行N列のフレキシブル近接認識電極(201)で構成され、
各フレキシブル近接認識電極(201)は、直線に配列されて直列接続された複数の金属シートで構成され、
中間部分の各金属シートは、いずれも同じ寸法の正方形であり、正方形の1つの対角線は、直線方向に沿って配置され、
両端に位置する2枚の金属シートは、正方形を斜めに半分に切って得られた二等辺三角形であり、二等辺三角形の中心線が直線方向に沿って配置され、隣接する2つの金属シートが帯状金属シートによって接続され、
フレキシブル近接認識電極(201)が配列されて得られたフレキシブル近接検知アレイ(2)において、行方向に配置された各フレキシブル近接認識電極(201)中の中間部分の金属シートは、列方向に配置された2つの隣接するフレキシブル近接認識電極(201)の金属シートの間に形成された空孔領域中に位置し、それによって全てのフレキシブル近接検知アレイ(2)の金属シートの間には同じ間隔/隙間を有し、
各フレキシブル近接認識電極(201)の両端に位置する金属シートは、フレキシブル近接検知アレイ(2)の縁に位置し、フレキシブル近接検知アレイ(2)の正方形の外周縁を囲むことを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項4】
前記発光相互作用モジュール(1)は、複数の発光相互作用素子を備え、複数の発光相互作用素子は、いずれもフレキシブル近接検知アレイ(2)の周囲に配列され、フレキシブル近接検知アレイ(2)内の各行及び各列のフレキシブル近接認識電極(201)は、いずれも発光相互作用素子に対応することを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項5】
データ読み取り回路(4)は、データ読み取り部(401)とアドレス構成スイッチ(404)とを含み、データ読み取り部(401)は、アドレス構成スイッチ(404)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項6】
データ読み取り回路(4)は、アレイ再構成部(405)を更に含み、物体がフレキシブル近接検知アレイ(2)に接近して接触する過程において、フレキシブル近接検知アレイ(2)により、物体の接近距離と接触点位置の検出分解能を再構成可能、変更可能、調整可能に検出でき、認識データを有する電気信号を取得してデータ読み取り回路(4)に出力し、データ読み取り回路(4)によって解析された後に、認識データを取得してロボット皮膚拡張インターフェース(3)を介して外部マイクロコントローラユニット(5)に送信し、外部マイクロコントローラユニット(5)によって相互作用制御信号を生成し、ロボット皮膚拡張インターフェース(3)を介して発光相互作用モジュール(1)に送信して検知フィードバックを行うことを特徴とする、請求項5に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項7】
前記データ読み取り部(401)は、電圧調整チップ(402)と検知データ処理チップ(403)とを含み、
前記検知データ処理チップ(403)は、電圧調整チップ(402)に接続され、検知データ処理チップ(403)は、それぞれフレキシブル近接検知アレイ(2)、ロボット皮膚拡張インターフェース(3)及びアドレス構成スイッチ(404)に接続され、アドレス構成スイッチ(404)は、データ読み取り回路(4)と外部マイクロコントローラユニット(5)との間の通信関係を制御するために、データ読み取り回路(4)の通信アドレスを構成するために使用され、フレキシブル近接検知アレイ(2)中のフレキシブル近接認識電極(201)は、アレイ再構成部(405)を通過した後に検知データ処理チップ(403)に接続され、検知データ処理チップ(403)は、ロボット皮膚インターフェース(3)が接続されることを特徴とする、請求項5に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項8】
複数の皮膚構造ユニットを含み、複数の皮膚構造ユニットは、ロボット皮膚拡張インターフェース(3)と配線を介して同じ外部マイクロコントローラユニット(5)に直列接続され、外部マイクロコントローラユニット(5)は、複数の皮膚構造ユニット中のアドレス構成スイッチ(404)によって構成されたアドレスをポーリングすることにより、複数の皮膚構造ユニットのそれぞれの検知データ処理チップ(403)によって収集されたフレキシブル近接検知アレイ(2)の検知データを選択的に読み取り、拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚を形成することを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項9】
前記アドレス構成スイッチ(404)は、具体的に4つのダイヤルスイッチを使用し、4つの異なるIICアドレスを選択し、1つの外部マイクロコントローラユニット(5)が複数の異なる皮膚構造ユニットを同時に制御することにより、拡張可能機能を実現することを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項10】
フレキシブル印刷回路技術による一体化の異種集積に基づき、前記発光相互作用モジュール(1)、アドレス構成スイッチ(404)、フレキシブル近接検知アレイ(2)、データ読み取り回路(4)及びロボット皮膚拡張インターフェース(3)は、同じフレキシブル印刷回路に集積されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項11】
行方向に配列された各フレキシブル近接認識電極(201)は、同じアレイ再構成部(405)を通過した後、データ読み取り部(401)に接続され、列方向に配列された各フレキシブル近接認識電極(201)は、もう一つのアレイ再構成部(405)を通過した後、データ読み取り部(401)に接続され、2つのアレイ再構成部(405)の構造が同じであり、
前記アレイ再構成部(405)は、N個の入力ポートE1 E6とN個の出力ポートP1 P6と、M個の再構成制御端とを有し、複数のORゲート及び複数の単極双投スイッチを含み、Nは、1行又は1列上のフレキシブル近接認識電極(201)の総数であり、Mは、log2 N以上の整数であり、
行又は列のN個のフレキシブル近接認識電極(201)は、それぞれN個の入力ポートに接続され、N個の入力ポートのうち、第1の入力ポートは、第1の出力ポートに直接接続され、他のN 1個の入力ポートは、それぞれ単極双投スイッチの入力ピンに接続され、M個の再構成制御端は、単極双投スイッチの制御ピンに制御信号を提供し、様々な単極双投スイッチは、アレイ再構成のニーズに応じ、様々な数の制御信号によって制御され、1つの制御信号によって制御された単極双投スイッチは、対応する再構成制御端を制御ピンに直接接続し、複数の制御信号によって制御された単極双投スイッチは、まずORゲートを介して複数の再構成制御端を集約し、次にそれらを制御ピンに接続することを特徴とする、請求項6に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【請求項12】
前記フレキシブル近接検知アレイ(2)は、6×6アレイのように配列され、前記アレイ再構成部(405)は、4つのORゲートOR1~OR4と、6つの単極双投スイッチSPTD1~SPTD6と、入力端E1~E6と、出力端P1~P6と、再構成制御端DIGITPIN2、再構成制御端DIGITPIN3及び再構成制御端DIGITPIN6という三つの再構成制御端とを含み、
入力端E1と出力端P1は、直接接続され、単極双投スイッチSPTD1~単極双投スイッチSPTD5の入力ピンDは、それぞれ入力端E2~入力端E6に接続され、単極双投スイッチSPTD1と単極双投スイッチSPTD2のノーマルオープンピンS1Aは、両方とも出力端P1に接続され、単極双投スイッチSPTD1のノーマルクローズピンS1Bは、出力端P2に接続され、単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINはORゲートOR1の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINは抵抗R2を介して接地され、単極双投スイッチSPTD2のノーマルオープンピンS1Bと単極双投スイッチSPTD3のノーマルオープンピンS1Aは出力端P3に接続され、単極双投スイッチSPTD2の制御ピンINはORゲートOR2の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINは抵抗R3を介して接地され、単極双投スイッチSPTD3のノーマルオープンピンS1Bと単極双投スイッチSPTD4のノーマルオープンピンS1Aは単極双投スイッチSPTD4の切り替えポートDに接続され、単極双投スイッチSPTD3の制御ピンINは再構成制御端DIGITPIN2に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD3の制御ピンINは抵抗R4を介して接地され、単極双投スイッチSPTD4のノーマルオープンピンS1Bは出力端P5に接続され、単極双投スイッチSPTD4の制御ピンINはORゲートOR3の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD4の制御ピンINは抵抗R5を介して接地され、単極双投スイッチSPTD5のノーマルオープンピンS1Bは出力端P6に接続され、単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINはORゲートOR4の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINは抵抗R6を介して接地され、単極双投スイッチSPTD6のノーマルオープンピンS1Aは出力端P1に接続され、単極双投スイッチSPTD6のノーマルオープンピンS1Bは出力端P4に接続され、単極双投スイッチPTD5の制御ピンINは再構成制御端DIGITPIN6に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINは抵抗R1を介して接地され、
ORゲートOR1の3つの入力端及びORゲートOR4の3つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2、再構成制御端DIGITPIN3及び再構成制御端DIGITPIN6に接続され、ORゲートOR2の2つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2及び再構成制御端DIGITPIN6に接続され、ORゲートOR3の2つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2及び再構成制御端DIGITPIN3に接続されることを特徴とする、請求項6に記載の拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルセンサーの技術分野におけるロボット皮膚に関し、特に、拡張可能かつ再構成可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚に関する。
【背景技術】
【0002】
メカトロニクスと制御科学の発展に伴い、ロボットは人々の日常の生産と生活において大変重要な位置を占め、人間とコンピュータの相互作用のシナリオも多くの場合で出現する。スマート製造やサービス型ロボットを含む一連の人間とコンピュータの相互作用のシナリオでは、安全性の考慮と確保は最初のリンクであるため、ロボットの環境認識能力にはより高い要求が求められる。
【0003】
ロボット皮膚は、ロボットの元の構造と機能を確保しながら、ロボットの認識能力を効果的に拡張することができる。現在、ロボット皮膚の研究と応用は、圧力センサーの構造と性能の最適化に主に焦点を当て、セキュリティポリシーは、接触及び衝突後の緊急停止及び回避であり、接触自体によって引き起こされた損傷を回避できず、同時に、ロボットの移動速度や反応時間にも高い要求が課せられ、人間とコンピュータの相互作用の過程での安全要件を満たすことは困難である。また、ロボット皮膚の研究分野における現在の成果は、一般に、センサー本体の研究開発とその性能の向上に焦点を当てるが、ロボット皮膚の単体をどのように拡張及びカスケードするかについてはあまり考慮されず、それによってロボット皮膚がロボット本体の広い領域を被覆して検出の死角をなくすことができなくなり、人間とコンピュータの相互作用の過程で本質的な安全性を確保することも困難である。
【0004】
なお、一般的なロボット皮膚は、相互作用の対象に直感的なフィードバックを与えることはできないが、ロボット皮膚によって取得された検知データを処理してロボット本体コントローラに送信し、分析と意思決定を行い、かつロボットアーム又は他の制御手段を駆動する方法で、ロボット本体が相互作用の対象にフィードバックを与えるようにする。視覚は人間とロボットが情報を取得するための主な入力源であるため、ロボットの運動制御を中心としたこのような相互作用メカニズムは、ロボットの互作用の対象(人間やこのロボットと協力する他のロボットなど)に対して効率が低く、遅延が大きく、直感的ではないから、人間とコンピュータの相互作用又はロボット群間の相互作用の更なる発展を制限する。
【0005】
ロボット皮膚を介してロボット本体に近接検知機能を与え、非接触条件での安全な人間とコンピュータの相互作用を実現することに役立つ。従来の視覚ベースの衝突回避方法と比較すると、静電容量に基づく近接検知は、検出死角の存在を大幅に低減し、皮膚全体を被覆した後、作業空間全体で衝突回避を実現できる。また、センサーをアレイに配列し、ハードウェア制御回路と組み合わせてセンサーアレイを再構成するという方式により、近接検出の柔軟性を向上させることができ、近接認識の高い空間分解能と広い検出範囲を両立させることが実現でき、それによってロボット皮膚が様々な作業シナリオとニーズに適用する場合、外部物体の長距離認識を実現するだけでなく、人間とコンピュータの相互作用の過程で安全性を最大限に確保でき、更に高精度で非接触の安全な人間とコンピュータの相互作用を実現でき、一定の安全な検出距離を確保するだけでなく、相互作用の意図を識別するための近接検出の一定の空間分解能も提供でき、それにより、ロボットは、人間又は複数のロボットと共有する空間で近接する方向と位置をより正確に識別し、根本的に回避動作を実行したり、非接触の相互作用によって人間又は複数のロボットと協力したりでき、また、高精度のタッチ検出を実現し、ロボット皮膚を、ロボットの操作者又はサービス対象が指示を出したり感情を表現したりするためのキャリア及びインターフェースにする。
【0006】
ロボットは相互作用の対象に直感的なフィードバックを提供できるようにするために、確実に実装しやすい方法は、ロボット皮膚に発光メカニズムを与え、それによってロボット皮膚がロボット本体コントローラの分析や処理を行わなくても、検出結果の原位置での視覚的フィードバックを実現でき、人間とコンピュータとの距離と人間とコンピュータとの接触力の情報をリアルタイムに計算し、視覚的フィードバックを迅速に行い、それによって相互作用の全過程を大幅に最適化することである。ロボットと相互作用する人間が動作中のロボットに接近したり、人間とロボットが偶発的に衝突したりしている場合、ロボット皮膚は、発光相互作用を利用し、人間が感じやすい危険性分析と警告用視覚信号を迅速に出し、リスク係数を事前に推測し、又は偶発的な衝突による損傷の程度を評価し、人間とコンピュータの相互作用の安全性を迅速かつ効果的に向上させる。スマート製造における人間とコンピュータの協力について、視覚的フィードバックにより、操作者は電子皮膚の検出結果をより直感的かつ迅速に知ることができ、作業効率を向上させることができ、サービス型ロボットについて、視覚的フィードバックにより、サービス全過程がより生き生きし、参加者に深い印象を残し、参加率も向上する。
特許文献1~4に記載のロボット皮膚は、アドレス可能なプログラマブル発光素子を集積することができなく、ロボット皮膚に発光相互作用機能を与えず、それによってセンサーの検出結果を可視化の形式で操作者に直感的かつ迅速にフィードバックすることができないため、本発明では、様々な適用場合で人間とコンピュータの相互作用過程を効果的に最適化し、人間とコンピュータの相互作用過程の効率、安全性、スムーズさ及びユーザーの参加率を向上させるロボット皮膚を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許公開第109163824A号公報
【特許文献2】中国特許公開第109945996A号公報
【特許文献3】中国特許公開第103475385A号公報
【特許文献4】中国特許公開第112605998A号公報
【発明の概要】
【0008】
現在、人間とコンピュータの相互作用に適用したロボット皮膚が基本認識ユニットの柔軟な再構成を実現できず、安全要件を完全に満たすことができず、検出結果には直感的な視覚的フィードバックがないという問題を解決するために、本発明は、拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚を提供する。近接認識、検出結果の原位置での可視化、拡張可能などの機能を有するフレキシブルロボット皮膚を実現し、広い領域の作業環境の検出を実現し、人間とコンピュータの相互作用過程の安全性を確保し、人間とコンピュータの相互作用過程の効率とスムーズさを向上させることに有利である。
本発明で使用された技術的解決手段は以下の通りである。
【0009】
図1に示すように、本発明は少なくとも1つの皮膚構造ユニットを含み、皮膚構造ユニットは、フレキシブル認識と相互作用部及びデータ処理と制御部という2つの部分で構成され、前記フレキシブル認識と相互作用部は、発光相互作用モジュール及びフレキシブル近接検知アレイで構成され、前記データ処理と制御部は、データ読み取り回路及びロボット皮膚拡張インターフェースで構成される。
【0010】
具体的には、皮膚構造ユニットは、主に発光相互作用モジュール、フレキシブル近接検知アレイ、データ読み取り回路及びロボット皮膚拡張インターフェースで構成され、フレキシブル近接検知アレイの出力端がデータ読み取り回路に接続され、データ読み取り回路がロボット皮膚拡張インターフェースを介して外部マイクロコントローラユニットに接続され、外部マイクロコントローラユニットがロボット皮膚拡張インターフェースを介して発光相互作用モジュールに接続される。
【0011】
物体がフレキシブル近接検知アレイに接近して接触する過程において、フレキシブル近接検知アレイにより、物体の接近距離と接触点位置の検出分解能を再構成可能、変更可能、調整可能に検出でき、認識データを有する電気信号を取得し、データ読み取り回路に出力し、データ読み取り回路によって解析された後に取得された認識データをロボット皮膚拡張インターフェースを介して外部マイクロコントローラユニットに送信し、外部マイクロコントローラユニットによって生成された相互作用制御信号をロボット皮膚拡張インターフェースを介して発光相互作用モジュールに送信し、認識フィードバックを行う。
【0012】
前記発光相互作用モジュールは、アドレス指定可能なプログラマブル発光要素発光デバイスであり、特定のプログラムの設計により、様々な適用シナリオに従って異なる発光相互作用モードを実行し、即ち、発光相互作用モジュールは、物体とロボット皮膚との距離や適用シナリオに従って、色の変化、点滅、追従などの発光相互作用モードを生成することを指し、前記物体とロボット皮膚の間の前記距離は、フレキシブル近接検知アレイによって検出される。
具体的な実施形態では、アドレス指定可能なプログラマブル発光要素は、WS2812B型LEDランプビーズで構成される。
以下では、3つの発光相互作用モードについて詳しく説明する。
【0013】
前記異なる発光相互作用モードは、発光相互作用モジュールが、物体と電子皮膚との間の距離及び様々な適用シナリオに従って、色の変化、点滅、追従を含むがそれらに限定されない発光相互作用モードを生成できることを指し、以下では、3つの発光相互作用モードについて詳しく説明する。
【0014】
スマート製造などの産業用適用シナリオでは、外部物体とロボット皮膚との間の距離へのフィードバックを設定し、様々な距離範囲に従って様々なフィードバックの色を設定する。第一、ロボットを教示し及び日常の操作を行うとき、操作者が距離を直感的で迅速に読み取りやすく、作業効率を効果的に向上させ、第二、距離が限界値に達すると、点滅の方式によって操作者に警告を発し、それによって操作者の安全を脅かしたり、ロボット自体の構造を損傷したりする危険を回避する。
【0015】
サービス型ロボットの適用シナリオでは、ユーザーのタッチ、クリック、叩きなどの通常の接触方式に従って対応する相互作用モードを設定し、例えば、タッチするとき、光源は常に手の動きの軌跡をたどることができ、クリックし又は叩く時、接触点に対応する光源が異なる周波数で点滅することができる。同時に、サービス型ロボットは、物品の配送などの非構造化タスクを処理することが多いため、上のように本発明のフレキシブルロボット皮膚は、対応する命令の入力端として使用でき、それによって皮膚表面に周期的に接触することを命令として入力し、次に色や輝度を変更する方式によって命令が正常に識別されたことを操作者に知らせる必要がある。
【0016】
前記発光相互作用モードの全ては、サービス対象に深い印象を残し、参加率も効果的に向上し、それによって人間とコンピュータの相互作用をよりスムーズで受け入れやすくすることができる。
【0017】
図2に示すように、前記フレキシブル近接検知アレイは主に、直交配列に配置されたM行N列のフレキシブル近接認識電極で構成され、各フレキシブル近接認識電極は、直線に配列され、直列接続された複数の金属シートで構成され、中間部分の各金属シートはいずれも同じ寸法の正方形であり、正方形の1つの対角線は直線方向に沿って配置され、両端に位置する2枚の金属シートは正方形を斜めに半分に切って得られた二等辺三角形であり、二等辺三角形の中心線が直線方向に沿って配置され、隣接する2つの金属シートが一部の帯状金属シートによって接続され、
【0018】
フレキシブル近接認識電極アレイの後のフレキシブル近接検知アレイにおいて、行方向に配置された各フレキシブル近接認識電極中の中間部分の金属シートは、列方向に配置された2つの隣接するフレキシブル近接認識電極の金属シートの間に形成された空孔領域中に位置し、それによって全てのフレキシブル近接検知アレイの金属シートが同じ間隔/隙間を有し、各金属シートの間隔アレイが均一に配列するように形成し、各フレキシブル近接認識電極の両端に位置する金属シートは、フレキシブル近接検知アレイの縁にあり、フレキシブル近接検知アレイの正方形の外周縁になって取り囲む。
【0019】
より具体的には、
図1に示す方式に従って6×6の寸法を含むがそれに限定されないアレイを構成し、フレキシブル近接認識電極の行と列の直交部分にフレキシブル近接検知アレイの基本認識ユニットを構成する。より具体的には、具体的な実施方式では、前記フレキシブル近接認識電極の材料は金メッキ銅箔を検知材料として使用し、優れた導電性を有し、近接認識の範囲を拡大することに有利であるだけでなく、金メッキ層によって近接認識電極の耐摩耗性を高め、本発明のフレキシブルロボット皮膚の耐用年数を延ばすことができる。
【0020】
本発明は、帯状金属シートで配置されたフレキシブル近接認識電極で構成されたフレキシブル近接検知アレイを使用し、同じ層に行電極と列電極を配置するが、異なる層にそれぞれ行電極と列電極を配置することではなく、それによって空間利用率を大幅に向上させ、皮膚認識効率を向上させることができる。
【0021】
前記フレキシブル近接認識電極の材料は、金メッキ銅箔、ナノ金属、ナノカーボン材料、高分子の導電性ポリマー、イオン導体など、フレキシブル印刷回路技術の印刷可能な導電性材料で構成される。好ましくは、本発明は金メッキ銅箔を検知材料として使用し、優れた導電性を備えるだけでなく、近接認識の範囲を改善することにも役立ち、同時に、金メッキ層は、近接認識電極の耐摩耗性を高め、本発明のフレキシブルロボット皮膚の耐用年数を延ばすことができる。 実際の検出では、フレキシブル近接認識電極の行と列の直列部分の二等辺直角三角形の4枚の金属シートが、合計M×Nの基本認識ユニットを備えたフレキシブル近接検知アレイの基本認識ユニットを構成し、検出は、基本認識ユニットを基本構造として行われる。
【0022】
前記基本認識ユニットの認識領域は、行電極と列電極の対応する直交ノード部分の電極領域が互いに補完し合うことによって構成される。前記基本認識ユニットの領域に対応する2次元形状は、行と列の数が増えるにつれて、フレキシブル近接検知アレイ全体に対応する認識領域(例えば、菱形と正方形)を均一に充填することができる必要があり、好ましくは、本発明は、基本認識ユニット領域の均一性及び列電極と列電極との間の対称性を保証するために菱形設計を使用し、それによってM×N個の基本認識ユニットの近接認識性能の一貫性を保証する。
【0023】
基本認識ユニットの接近認識原理を利用し、投影型の自己容量認識原理を形成し、定直流電流I入力の条件下で、フレキシブル近接認識電極の全ての行及び列電極に充電し、充電時間Tと充電ピーク電圧Vを記録することにより、フレキシブル近接認識電極の全ての行電極と列電極の自己容量値Cを計算し、関係式がC=(I×T)/Vであり、外部物体が基本認識ユニットに接近するとき、基本認識ユニットの近くに投射された電界の分布と強度が変化し、基本認識ユニットに対応する行電極と列電極の充電時間と充電ピーク電圧に影響を与え、基本認識ユニットに対応する行電極と列電極の自己容量値を変更することができ、自己容量値の変化の程度によって外部物体の接近程度を反映でき、外部物体の接近する位置は、フレキシブル近接認識電極の対応する行電極と列電極において自己容量値が変化するかどうかによって決定される。
【0024】
基本認識ユニットの接触認識原理を利用し、外部物体がフレキシブル近接認識電極の任意又はいずれかの行電極若しくは列電極と接触するとき、対応する行電極と列電極の自己容量値は、ステップジャンプが発生し、自己容量検出閾値を設定することにより、外部物体がフレキシブル近接認識電極の任意又はいずれかの行電極若しくは列電極と接触するかどうかを決定することができ、外部物体がタッチ又は接触する位置は、フレキシブル近接認識電極の対応する行電極と列電極において自己容量値が変化するかどうかによって決定される。
【0025】
本発明は、静電容量式近接認識の方法を使用し、単極近接センサーを使用してアレイ式の配列を行い、本発明のフレキシブル近接検知アレイを構成し、それによってロボット皮膚は空間分解能が高い接近認識機能を備える。
【0026】
接近認識の実現は、従来のロボット視覚の固有の制限を補い、この認識能力は、周囲光、視界、視覚の死角の影響を受けず、ロボットの「第2視覚」であり、ユーザーとロボットとの間の非接触で安全な人間とコンピュータの相互作用を実現することができる。同時に、フレキシブル近接検知アレイの高分解能のおかげで、本発明のフレキシブルボット皮膚がロボット本体に付着した後、操作者の命令の入力端として使用することができ、操作者はタッチの方式で特定の軌跡を入力し、フレキシブル近接検知アレイは軌跡識別でタッチを命令として識別し、それによってロボットが特定のタスクを完了できる。発光相互作用モジュールは、検知信号を色又は輝度の形式で直感的に表示することにより、センサー検出結果の視覚的フィードバックを実現し、従って、ロボット皮膚は検出された距離パラメータとの直感的な発光相互作用を可能にする。本発明の「相互作用」は、上記のタッチ相互作用及び発光相互作用という2つの部分で具体化される。
【0027】
前記発光相互作用モジュールは、複数の発光相互作用素子を含み、複数の発光相互作用素子が、フレキシブル電子皮膚の周囲、即ち、フレキシブル近接検知アレイの周囲に配列され、フレキシブル近接検知アレイ中のフレキシブル近接認識電極の各行及び各列はいずれも対応する発光相互作用素子を有し、発光相互作用素子は、対応するフレキシブル接近認識電極の近接認識状態を指示するために使用され、行と列に対応する発光相互作用素子によって物体とロボット皮膚との間の対応する近接領域を位置決めする。
前記データ読み取り回路は、データ読み取り部とアドレス構成スイッチとを含み、データ読み取り部はアドレス構成スイッチに接続される。
データ読み取り回路は更に、アレイ再構成部を含む。
【0028】
前記データ読み取り部は、電圧調整チップ及び検知データ処理チップを含み、検知データ処理チップは、電圧調整チップに接続され、検知データ処理チップは、それぞれフレキシブル近接検知アレイ、ロボット皮膚拡張インターフェース及びアドレス構成スイッチに接続される。アドレス構成スイッチは、データ読み取り回路の通信アドレスを構成し、データ読み取り回路と外部マイクロコントローラユニットとの間の通信関係を制御するために使用される。データ読み取り回路の検知データ処理チップは、フレキシブル近接検知アレイからの認識データを読み取り、読み取った認識データをロボット皮膚拡張インターフェースを介して外部マイクロコントローラユニットに送信する。検知データ処理チップはIIC通信プロトコルをサポートし、4つの選択可能なIICアドレスを備える。
【0029】
前記外部マイクロコントローラユニットは、本発明のフレキシブルロボット皮膚に給電し、再構成制御信号を送信し、本発明のフレキシブルロボット皮膚によって生成された検出データを受信し、ロボット本体の動作を制御し、発光相互作用モジュールの相互作用モードを制御するために使用される。
【0030】
前記外部マイクロコントローラユニットは、データと事前にプログラムされたプログラムに基づいて発光相互作用モジュールの相互作用モードを制御し、データをロボット制御システムに送信し、それによってロボットの動作をガイドする。
【0031】
図4に示すように、複数の皮膚構造ユニットを含み、複数の皮膚構造ユニットは、ロボット皮膚拡張インターフェースと配線を介して同じ外部マイクロコントローラユニットに直列接続され、外部マイクロコントローラユニットは、複数の皮膚構造ユニット中のアドレス構成スイッチによって構成されたアドレスをポーリングすることにより、複数の皮膚構造ユニットのそれぞれの検知データ処理チップによって収集されたフレキシブル近接検知アレイ(2)の検知データを選択的に読み取り、拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚を形成する。
【0032】
前記アドレス構成スイッチは、具体的に4つのダイヤルスイッチを使用し、4つの異なるIICアドレスを選択し、1つの外部マイクロコントローラユニットが複数の異なる皮膚構造ユニットを同時に制御することにより、拡張機能を実現する。
【0033】
前記ロボット皮膚拡張インターフェースは、それぞれ給電用の電源ピン5Vと接地ピンGND、MPR121チップIIC通信用のピンSCLとピンSDA、及び発光相互作用モジュールを制御するためのピンDINという5つのボンディングパッドで構成される。具体的に使用するとき、フラットケーブルを異なる部分のロボット皮膚拡張インターフェースに溶接すれば、各部分の接続を完了する。
【0034】
アレイ再構成部を含む前記ロボット皮膚拡張インターフェースは、それぞれ給電用の電源ピン5Vと接地ピンGND、MPR121チップIIC通信用のピンSCLとピンSDA、発光相互作用モジュールを制御するためのピンDIN、及びアレイの再構成を制御するためのピンDIGITPIN2、ピンDIGITPIN3、ピンDIGITPIN6という8つのパッドで構成される。具体的に使用するとき、フラットケーブルを異なる部分のロボット皮膚拡張インターフェースに溶接すれば、各部分の接続を完了する。
【0035】
フレキシブル印刷回路技術による一体化の異種集積に基づき、前記発光相互作用モジュール、アドレス構成スイッチ、フレキシブル近接検知アレイ、データ読み取り回路及びロボット皮膚拡張インターフェースは、同じフレキシブル印刷回路に集積される。
【0036】
皮膚構造ユニット間の接続、及び皮膚構造ユニットと外部マイクロコントローラユニットとの間の接続は、ロボット皮膚拡張インターフェースを介して実現され、ロボット皮膚拡張インターフェースは、外部マイクロコントローラユニットと皮膚構造ユニットを共に直列接続し、外部マイクロコントローラユニットは、ロボット皮膚拡張インターフェースを介して皮膚構造ユニットに給電し、ロボット皮膚拡張インターフェースを介して各皮膚構造ユニットの検知データを受信する。
【0037】
更に、検知データ処理チップは、チップ内部の短絡モードも提供し、全てのフレキシブル近接認識電極を短絡し、1つの電極として使用でき、単極近接センサーの認識能力は電極領域に直接関係するので、このモードは、本発明のフレキシブルロボット皮膚の認識範囲を大幅に拡大することができる。
【0038】
行方向に配列された各フレキシブル近接認識電極は、同じアレイ再構成部を通過した後、データ読み取り部に接続され、列方向に配列された各フレキシブル近接認識電極は、別のアレイ再構成部を通過した後、データ読み取り部に接続され、2つのアレイ再構成部の構造が同じであり、
【0039】
前記アレイ再構成部は、N個の入力ポートE1 E6とN個の出力ポートP1 P6及びM個の再構成制御端を有し、複数のORゲート及び複数の単極双投スイッチを含み、Nは、1行又は1列上のフレキシブル近接認識電極の総数であり、Mは、log2 N以上の整数である。
【0040】
各単極双投スイッチは、電源ピンVDD、ノーマルオープンピンS1A、ノーマルクローズピンS1B、制御ピンIN、入力ピンD、及び接地ピンGNDという6つのピンを有し、全ての単極双投スイッチの電源ピンVDDはいずれも電源電圧に接続され、接地ピンGNDはいずれも接地され、ノーマルオープンピンS1AとノーマルクローズピンS1Bがスイッチの2つの出力端として使用され、入力ピンDはスイッチの1つの入力端であり、制御ピンINは、入力ピンDとノーマルオープンピンS1A及びノーマルクローズピンS1Bとの間の導通及び切断を制御するために使用され、制御ピンINがローレベルのとき、入力ピンDとノーマルクローズピンS1Bがオンになり、制御ピンINがハイレベルのとき、入力ピンDとノーマルオープンピンS1Aがオンになる。
【0041】
行又は列のN個のフレキシブル近接認識電極は、それぞれN個の入力ポートに接続され、N個の入力ポートのうち、第1の入力ポートは第1の出力ポートに直接接続され、他のN 1個の入力ポートは、それぞれ単極双投スイッチの入力ピンに接続され、M個の再構成制御端は、単極双投スイッチの制御ピンに制御信号を提供し、異なる単極双投スイッチは、アレイ再構成のニーズに応じ、様々な数の制御信号によって制御され、1つの制御信号によって制御された単極双投スイッチは、対応する再構成制御端を制御ピンに直接接続するが、複数の制御信号で制御された単極双投スイッチは、最初にORゲートを介して複数の再構成制御端を集約し、次にそれらを制御ピンに接続する。
【0042】
前記フレキシブル近接検知アレイは、6×6アレイのように配列され、前記アレイ再構成部は、4つのORゲートOR1~OR4、6つの単極双投スイッチSPTD1~SPTD6、入力端E1~E6と出力端P1~P6、並びに再構成制御端DIGITPIN2、再構成制御端DIGITPIN3及び再構成制御端DIGITPIN6を備える3つの再構成制御端を含み、
【0043】
入力端E1と出力端P1は直接接続され、単極双投スイッチSPTD1~単極双投スイッチSPTD5の入力ピンDはそれぞれ入力端E2~入力端E6に接続され、単極双投スイッチSPTD1と単極双投スイッチSPTD2のノーマルオープンピンS1Aは両方とも出力端P1に接続され、単極双投スイッチSPTD1のノーマルクローズピンS1Bは出力端P2に接続され、単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINはORゲートOR1の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINは抵抗R2を介して接地され、単極双投スイッチSPTD2のノーマルオープンピンS1Bと単極双投スイッチSPTD3のノーマルオープンピンS1Aは出力端P3に接続され、単極双投スイッチSPTD2の制御ピンINはORゲートOR2の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD1の制御ピンINは抵抗R3を介して接地され、単極双投スイッチSPTD3のノーマルオープンピンS1Bと単極双投スイッチSPTD4のノーマルオープンピンS1Aは単極双投スイッチSPTD4の切り替えポートDに接続され、単極双投スイッチSPTD3の制御ピンINは再構成制御端DIGITPIN2に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD3の制御ピンINは抵抗R4を介して接地され、単極双投スイッチSPTD4のノーマルオープンピンS1Bは出力端P5に接続され、単極双投スイッチSPTD4の制御ピンINはORゲートOR3の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD4の制御ピンINは抵抗R5を介して接地され、単極双投スイッチSPTD5のノーマルオープンピンS1Bは出力端P6に接続され、単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINはORゲートOR4の出力端に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINは抵抗R6を介して接地され、単極双投スイッチSPTD6のノーマルオープンピンS1Aは出力端P1に接続され、単極双投スイッチSPTD6のノーマルオープンピンS1Bは出力端P4に接続され、単極双投スイッチPTD5の制御ピンINは再構成制御端DIGITPIN6に接続され、同時に単極双投スイッチSPTD5の制御ピンINは抵抗R1を介して接地され、
【0044】
ORゲートOR1の3つの入力端及びORゲートOR4の3つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2、再構成制御端DIGITPIN3及び再構成制御端DIGITPIN6に接続され、ORゲートOR2の2つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2及び再構成制御端DIGITPIN6に接続され、ORゲートOR3の2つの入力端は、それぞれ再構成制御端DIGITPIN2及び再構成制御端DIGITPIN3に接続される。
上記アレイ再構成部は、6×6アレイのように配列されたフレキシブル近接検知アレイであるが、アレイの配列の変化は、上記配列に限定されない。
【0045】
本発明は、フレキシブル印刷回路基板の製造プロセスに基づき、フレキシブル近接検知アレイ、発光相互作用モジュール、データ読み取り回路、及びロボット皮膚拡張インターフェースの5つの重要な構成要素を一体化して異種集積し、それによって近接認識、検出結果の原位置での可視化、検知皮膚が拡張可能、基本認識ユニットが再構成可能である機能を有するフレキシブルロボット皮膚を実現する。近接認識機能の特徴は、空間分解能と検出距離が調整可能であり、空間分解能を低減することによってより大きな検出距離を取得し、又は検出距離を短縮することによってより高い空間分解能を取得することであり、この特徴の実現は、データ読み取り回路によって与えられたフレキシブル検知アレイの再構成可能性に基づいたものであり、皮膚内部の全ての基本認識ユニットは、外部制御信号の制御下で均一に再構成され得る。上記機能の特徴に基づき、本発明のフレキシブルロボット皮膚は、ロボット本体の広い領域を被覆することができ、それによって広い領域の作業環境の検出を実現し、人間とコンピュータの相互作用過程の安全性を確保し、人間とコンピュータの相互作用過程の効率とスムーズさを向上させることに有利である。
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0046】
本発明は、フレキシブル近接検知アレイ及びデータ読み取り回路を介して最大検出距離及び空間分解能の動的調整を実現し、ロボットの作業環境の特定のニーズに応じてより広い範囲の近接認識とより高い空間分解能のタッチ認識を取得でき、それによってユーザーとロボットとの間の非接触で安全な人間とコンピュータの相互作用を確保することに有利であるだけでなく、本発明のフレキシブルロボット皮膚もまた、ユーザーが命令を入力するためのウィンドウ及びインターフェースとして使用でき、ユーザーのタッチ軌跡を認識することによって非反復的又は非構造化のタスクを完了する。
【0047】
本発明は、アドレス可能なプログラマブル発光素子を集積する方式により、ロボット皮膚に発光相互作用機能を与え、それによってセンサーの検出結果を可視化の形式で操作者に直感的かつ迅速にフィードバックすることができ、様々な適用場合で人間とコンピュータの相互作用過程を効果的に最適化し、人間とコンピュータの相互作用過程の効率、安全性、スムーズさ及びユーザーの参加率を向上させることができる。
【0048】
本発明の拡張可能の特徴により、ロボット皮膚がロボット本体の複数の表面を被覆でき、従ってロボットが外部環境への認識能力を大幅に向上させ、従来のロボットの衝突回避ポリシーの死角を排除し、作業空間全体の近接検出を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明のフレキシブルロボット皮膚の全体構造図である。
【
図2】本発明によるアレイ再構成部付きのフレキシブルロボット皮膚の全体構造図である。
【
図3】本発明のフレキシブルロボット皮膚のフレキシブル近接認識電極の外観概略図である。
【
図4】本発明のアレイ再構成部付きのフレキシブルロボット皮膚の拡張接続図である。
【
図5】本発明のフレキシブルロボット皮膚のフレキシブル近接検知アレイの再構成概略図である。
【
図6】本発明のアレイ再構成部付きのフレキシブルロボット皮膚の各構成要素の電気的接続概略図である。
【
図7】本発明のフレキシブルロボット皮膚のデータ読み取り回路のアレイ再構成部の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下では、図面を参照して本発明を更に説明する。
【0051】
図1に示すように、本発明の具体的な実施方式は少なくとも1つの皮膚構造ユニットを含み、皮膚構造ユニットは、フレキシブル認識と相互作用部及びデータ処理と制御部という2つの部分で構成され、フレキシブル認識と相互作用部は、発光相互作用モジュール1及びフレキシブル近接検知アレイ2で構成され、データ処理と制御部は、データ読み取り回路4及びロボット皮膚拡張インターフェース3で構成される。
【0052】
具体的には、皮膚構造ユニットは主に発光相互作用モジュール1、アドレス構成スイッチ404、フレキシブル近接検知アレイ2、データ読み取り回路4及びロボット皮膚拡張インターフェース3で構成され、
【0053】
具体的には、皮膚構造ユニットは主に発光相互作用モジュール1、フレキシブル近接検知アレイ2、データ読み取り回路4及びロボット皮膚拡張インターフェース3で構成され、フレキシブル近接検知アレイ2の出力端がデータ読み取り回路4に接続され、データ読み取り回路4がロボット皮膚拡張インターフェース3を介して外部マイクロコントローラユニット5に接続され、外部マイクロコントローラユニット5がロボット皮膚拡張インターフェース3を介して発光相互作用モジュール1に接続される。上記構造は共に拡張可能な相互作用型フレキシブルロボット皮膚を構成する。
【0054】
図2に示すように、本発明のアレイ再構成部付きのフレキシブルロボット皮膚の具体的な実施方式は少なくとも1つの皮膚構造ユニットを含み、皮膚構造ユニットは、フレキシブル認識と相互作用部及びデータ処理と制御部という2つの部分で構成され、フレキシブル認識と相互作用部は、発光相互作用モジュール1及びフレキシブル近接検知アレイ2で構成され、データ処理と制御部は、データ読み取り回路4及びロボット皮膚拡張インターフェース3で構成される。
【0055】
フレキシブル近接検知アレイ2の出力端がデータ読み取り回路4に接続され、データ読み取り回路4がロボット皮膚拡張インターフェース3を介して外部マイクロコントローラユニット5に接続され、同時にデータ読み取り回路4がアドレス構成スイッチ404に接続され、アドレス構成スイッチ404は、データ読み取り回路4の検知データ処理チップ403の通信アドレスを構成することによってデータ読み取り回路4と外部マイクロコントローラユニット5との間の通信関係を制御するために使用され、外部マイクロコントローラユニット5は、ロボット皮膚拡張インターフェース3を介して発光相互作用モジュール1に接続される。
【0056】
物体がフレキシブル近接検知アレイ2に接近して接触する過程において、フレキシブル近接検知アレイ2により、物体の接近距離と接触点位置の検出分解能を再構成可能、変更可能、調整可能に検出でき、認識データを有する電気信号を取得し、データ読み取り回路4に出力し、データ読み取り回路4によって解析された後に取得された認識データをロボット皮膚拡張インターフェース3を介して外部マイクロコントローラユニット5に送信し、外部マイクロコントローラユニット5によって生成された相互作用制御信号をロボット皮膚拡張インターフェース3を介して発光相互作用モジュール1に送信し、認識フィードバックを行う。
【0057】
本発明のフレキシブルロボット皮膚は、フレキシビリティの特徴を有し、三次元印刷用の専用取り付け治具により、ロボット皮膚とロボットの複雑な表面の取り付けを実現でき、それによってロボット皮膚は、様々なロボットや適用シナリオで広く使用され、ロボットが外部環境への認識能力を向上させる。
【0058】
フレキシブル近接検知アレイ2は、フレキシブルロボット皮膚に近接認識機能を与え、この機能は、通常の意味での外部カメラによって実現されたロボット視覚の不足を補い、ロボットに「第2の視覚」を与えることができる。カメラ及び画像の高度処理方法に比べ、本発明は、周囲光や視界の影響を受けない正確な距離認識能力をロボットに提供することができ、それによってロボットは、外部物体と衝突する前に外部物体の接近を認識することができ、ユーザーとロボットとの間の非接触で安全な人間とコンピュータの相互作用を実現し、同時に本発明のフレキシブルロボット皮膚の再構成可能の特性に基づき、作業環境の様々なニーズに応じて最大検出距離と空間分解能を動的に調整でき、従って機能を最大限に発揮し、非接触で安全な人間とコンピュータの相互作用を実現できるだけでなく、操作者の命令の入力端として使用でき、ロボットが対応するタスクを完了するように制御することもでき、更に、本発明のフレキシブルロボット皮膚は、ロボット本体の表面に広く配置され得るので、近接認識機能はまた、ロボットの視覚的死角を低減し、ロボットが外部環境への認識能力を大幅に向上させることができる。
【0059】
具体的な実施方式のフレキシブル近接検知アレイ2は、フレキシブル近接認識電極201で構成された6×6アレイであり、具体的な実施方式のフレキシブル近接認識電極201は、銅箔に対して金メッキ処理を行うことによって製造される。金メッキ処理済みのフレキシブル近接認識電極201は、優れた導電性を有し、自己容量の原理を利用して接近距離の変化を静電容量値の変化に反映させることができ、接近センサーとして使用でき、金メッキ層の存在は、フレキシブル近接認識電極201の導電性を向上させ、近接認識の範囲を拡大することに有利であるだけでなく、近接認識電極の耐摩耗性を高め、本発明のフレキシブルロボット皮膚の耐用年数を延ばすことができる。具体的な実施方式のフレキシブル近接認識電極201の外観が
図1に示され、各フレキシブル近接認識電極201は、同じ形状を有し、複数の 菱形の金メッキ銅箔の短絡接続によって形成される。フレキシブル近接認識電極201を縦横に交差して配列することによってフレキシブル近接検知アレイ2を形成し、各フレキシブル近接認識電極201を走査して読み取ることにより、交差点に外部物体が接近すると決定することができ、直交して配列された前記フレキシブル近接認識電極201の行及び列は、フレキシブル近接検知アレイ2の基本認識ユニット202を構成し、合計6×6の基本認識ユニット202があり、前記基本認識ユニットの認識領域は、行電極と列電極の対応する直交ノード部分の電極領域が互いに補完し合うことによって構成される。
【0060】
アレイ再構成部405は、フレキシブル近接検知アレイ2の行又は列を制御し、各フレキシブル近接認識電極201において、所定数ごとの連続する隣接するフレキシブル近接認識電極201を共に接続して短絡を形成し、それによって短絡されたフレキシブル近接認識電極201が新しいセットの検出電極ユニットを形成し、再構成によって認識検知の密度分解能を向上させ、認識距離を拡大して調整する。
【0061】
この構造で実施されると、本発明のフレキシブル近接検知アレイは直交して配列された複数のフレキシブル近接認識電極で構成され、菱形のように配列する方式に従って6×6の寸法を含むがそれに限定されないアレイを構成し、フレキシブル近接認識電極の行と列の直交部分にフレキシブル近接検知アレイの基本認識ユニットを構成する。
【0062】
具体的な実施方式のフレキシブル近接認識電極201の外観が
図3に示され、各フレキシブル近接認識電極201は、同じ形状を有し、複数の 菱形の金メッキ銅箔の短絡接続によって形成される。フレキシブル近接認識電極201を縦横に交差して配列することによってフレキシブル近接検知アレイ2を形成し、各フレキシブル近接認識電極201を走査して読み取ることにより、交差点に外部物体が接近すると決定することができ、直交して配列された前記フレキシブル近接認識電極201の行及び列は、フレキシブル近接検知アレイ2の基本認識ユニット202を構成し、合計6×6の基本認識ユニット202があり、前記基本認識ユニットの認識領域は、行電極と列電極の対応する直交ノード部分の電極領域が互いに補完し合うことによって構成される。
【0063】
データ読み取り回路4の機能は、フレキシブル近接検知アレイ2によって検出された静電容量値をフィルタリングし、アナログ信号からデジタル信号に変換し、最終的に安定したデジタル信号を取得し、かつそれを外部マイクロコントローラユニット5に送信し、次に、外部マイクロコントローラユニット5によってデータが発光相互作用モジュール1の相互作用モードを制御するように適用し、データをロボット制御システムに送信し、更なる動作の制御を行うことである。フレキシブル近接検知アレイ2の再構成可能の特性は、外部マイクロコントローラユニット5を介してデータ読み取り回路4を制御することによって実現され、隣接する行電極間及び隣接する列電極間に短絡を実行するため、フレキシブル近接検知アレイは、最初の6×6から3×3、2×2及び1×1のアレイに徐々に再構成され、短絡後の2つ以上のフレキシブル近接認識電極は、領域が増加した単極近接センサーと見なされ得、単極近接センサーの検出距離は電極領域と正の相関があるので、短絡の再構成過程で実際に本発明のフレキシブルロボット皮膚の最大検出距離を拡大するが、短絡の再構成では、元の基本認識ユニットも無効になり、拡大された再構成認識ユニットに置き換えられ、その領域が基本認識ユニットの4倍、9倍及び36倍であり、認識ユニットの領域が本発明のフレキシブルロボット皮膚の空間分解能を決定するので、短絡の再構成過程で実際に空間分解能を低下させ、即ち、短絡の再構成過程は、空間分解能を低下させることによってより大きな検出距離を取得するものであるが、短絡の逆再構成過程は、検出距離を短縮することによってより高い空間分解能を取得するものである。具体的な実施方式におけるフレキシブル近接検知アレイの再構成は
図5に示され、ここで図(a)、(b)及び(c)は、それぞれ再構成された3×3、2×2及び1×1アレイを表し、点線のボックスは、再構成された認識ユニットを表し、再構成された3×3アレイの再構成認識ユニットの領域が基本認識ユニットの4倍であり、再構成された2×2アレイの再構成認識ユニットの領域が基本認識ユニットの9倍であり、再構成された1×1アレイの再構成認識ユニットの領域が基本認識ユニットの36倍であることが分かり、明らかには、短絡の再構成過程は、空間分解能を低下させることによって最大検出距離を取得するものである。認識ユニットの領域が本発明の皮膚構造ユニットの空間分解能を決定するので、短絡の再構成過程は実際に空間分解能を低下させ、即ち、短絡の再構成過程は、空間分解能を低下させることによってより大きな検出距離を取得するものであるが、短絡の逆再構成過程は、検出距離を短縮することによってより高い空間分解能を取得するものである。
【0064】
共に直列接続された複数の皮膚構造ユニットの再構成制御信号はいずれも外部マイクロコントローラユニット5から来るので、同時に共に直列接続された複数の皮膚構造ユニットは、同じ再構成検知アレイを有し、即ち、同じ空間分解能と検出距離を有する。
【0065】
従って、本発明は、アレイ再構成部405を設定することによってアレイが再構成可能であるデータ読み取り回路を構成し、それによってフレキシブル近接検知アレイ2の再構成可能な検出を実現し、更に空間分解能を調整することにより、様々な認識状況の変化に適応するように認識距離を調整することを実現する。
【0066】
データ読み取り回路4の機能は、外部マイクロコントローラユニットの制御信号によってアレイの再構成を実現し、フレキシブル近接検知アレイの認識データを読み取り、外部マイクロコントローラユニットに送信することである。具体的な実施方式におけるデータ読み取り回路4は、データ読み取り部401及びアドレス構成スイッチ404を含む。
データ読み取り回路4は更にアレイ再構成部405を含む。
【0067】
具体的な実施方式におけるデータ読み取り回路4の各部分の電気的接続関係が
図6に示される。検知データ処理チップ4はMPR121を選択し、その機能は、フレキシブル近接検知アレイ2によって検出された静電容量値をフィルタリングし、アナログ信号からデジタル信号に変換し、最終的に安定したデジタル信号を取得し、かつそれを外部マイクロコントローラユニット5に送信することである。チップは12個の外部電極を接続でき、それによってフレキシブル近接検知アレイ2に必要な6×6アレイの要件を完全に満たす。
【0068】
MPR121チップは更に内部短絡モードを提供し、それによって12個の外部電極を領域の広い電極として使用でき、静電容量式近接センサーの検出距離は電極領域に比例するので、このモードは本発明のフレキシブルロボット皮膚の範囲を大幅に拡大することができる。本発明のフレキシブルロボット皮膚の動作モードは、電源投入後の所定の内部短絡モードであり得、それによって最大の近接検出範囲を提供し、外部物体が本発明のフレキシブルロボット皮膚から離れる距離が限界距離よりも小さい場合、即ち、静電容量検出結果が限界値よりも大きい場合、外部マイクロコントローラユニットによってノーマルモードに切り替え、このモードでは、12個の電極は別々に動作し、それによって空間分解能を向上させ、外部物体の具体的な位置を検知し、ユーザーのジェスチャー命令を受信するために使用され得る。
【0069】
本発明のフレキシブルロボット皮膚を使用するとき、外部マイクロコントローラユニット5に外接する必要があるため、外部マイクロコントローラユニット5は、本発明のフレキシブルロボット皮膚に給電し、再構成制御信号を送信し、本発明のフレキシブルロボット皮膚によって生成された検出データを受信する役割を果たし、ロボット本体の動作を制御し、発光相互作用モジュール1の相互作用モードを制御するために使用される。外部マイクロコントローラユニット5と本発明のフレキシブルロボット皮膚との間の関係は、パーソナルコンピュータのホストとマウス及びキーボードなどの周辺機器との間の関係に類似し、ホストは周辺機器に電力と制御信号を提供し、周辺機器から送信された信号を受信し、複雑な制御機能を実現するために使用される。本発明のフレキシブルロボット皮膚は、高い汎用性を有し、様々なシリーズのArduinoマイクロコントローラ及びSTM32マイクロコントローラなどの常用のマイクロコントローラユニットは、本発明のフレキシブルロボット皮膚を直接制御することができ、異なるマイクロコントローラユニットは、異なる動作レベルを有するので、本発明のフレキシブルロボット皮膚に給電するために直接使用することはできず、電圧調整チップ402の作用は、外部マイクロコントローラユニット5によって提供された電源を、データ処理チップが直接使用できる3.3Vの直流電源に安定させ、それによって電圧が高すぎたり低すぎたりするときにデータ処理チップが正常に動作できないことを防止し、具体的には、素子はLP2985 33DBVRを選択する。
【0070】
MPR121チップはIIC通信プロトコルをサポートするため、フレキシブル近接検知アレイ2によって生成された検知データを外部マイクロコントローラユニットにリアルタイムに送信でき、MPR121チップは4つの内蔵のIIC通信アドレスを有し、ピンADDRをそれぞれVDD(即ち、3.3Vハイレベル)、VSS(即ち、GNDローレベル)、SDA及びSCLという4つのピンに接続することによって4つのIICアドレスの選択を実現でき、アドレス構成スイッチ404は、通信アドレスを実現するためのハードウェア構成である。データ処理チップがハードウェアの方式で4つの異なる通信アドレスを配置できるという機能特性に基づき、1つの外部マイクロコントローラユニットは、本発明の4枚のフレキシブルロボット皮膚を同時に制御し、データを読み取ることができ、本発明の4枚のフレキシブルロボット皮膚を
図4に示すように直列接続すればよく、それによって本発明のフレキシブルロボット皮膚の拡張可能の機能を実現し、外部マイクロコントローラのハードウェアリソースを大幅に節約する。外部マイクロコントローラ間のSPI、IIC、CANバスなどの成熟した通信プロトコルと協力すると、本発明のフレキシブルロボット皮膚は、広い領域のロボット本体の被覆を実現しやすく、それによって検出死角を低減又は排除する。
【0071】
具体的な実施方式におけるデータ読み取り回路4のアレイ再構成部405の概略的な回路図が
図7に示され、
図7は、フレキシブル近接検知アレイ2内の行電極の再構成回路を示し、列電極の再構成回路はそれと全く同じであるため、示されない。アレイ再構成部303の回路は、主に4つのORゲートと6つの単極双投スイッチで構成され、DIGITPIN2、DIGITPIN3、DIGITPIN6は、再構成制御信号の入力ピンであり、ロボット皮膚拡張インターフェース3を介して直列接続された後、最終的に外部マイクロコントローラユニット5のピンD5、D6及びD7に接続され、ピンがハイレベルで入力されるとき、再構成は、
図5の(a)、(b)及び(c)に示すような3×3、2×2及び1×1アレイを取得するように制御される。
図7の左側のピンP1 P6は、検知データ処理チップ405の6つの検知入力ピンに対応し、
図7の右側のピンE1 E6は、近接検知アレイ2の6つの行電極に対応する。3×3アレイの再構成を一例として、データ読み取り回路4のアレイ再構成部405の動作原理を説明し、
【0072】
再構成制御端DIGITPIN2がハイレベルを入力し、再構成制御端DIGITPIN3と再構成制御端DIGITPIN6がローレベルを入力するとき、ORゲートOR1及びOR4がハイレベルを出力し、ORゲートOR2及びOR3がローレベルを出力するように制御し、このとき、単極双投スイッチSPTD1、SPTD3及びSPTD5の制御ピンINがハイレベルを受信し、スイッチをノーマルオープンピンS1Aに入れ、それによってE2とE1を短絡させ、E4とE3を短絡させ、E6とE5を短絡させ、フレキシブル近接検知アレイ2の全体の元の6つの行電極を3つに再構成し、受信した静電容量値をそれぞれピンP1、P3及びP5に送信する。
【0073】
再構成制御端DIGITPIN3がハイレベルを入力し、再構成制御端DIGITPIN2と再構成制御端DIGITPIN6がローレベルを入力するとき、ORゲートOR1、OR2、OR3及びOR4がハイレベルを出力するように制御し、このとき、単極双投スイッチSPTD1、SPTD2、SPTD4及びSPTD5の制御ピンINがハイレベルを受信し、スイッチをノーマルオープンピンS1Aに入れ、それによってE1、E2及びE3を短絡させ、E4、E5及びE6を短絡させ、フレキシブル近接検知アレイ2の全体の元の6つの行電極を2つに再構成し、受信した静電容量値をそれぞれピンP1及びP4に送信する。
【0074】
再構成制御端DIGITPIN6がハイレベルを入力し、再構成制御端DIGITPIN2と再構成制御端DIGITPIN3がローレベルを入力するとき、ORゲートOR1、OR2、OR3及びOR4がハイレベルを出力するように制御し、このとき、単極双投スイッチSPTD1、SPTD2、SPTD4、SPTD5及びSPTD6の制御ピンINがハイレベルを受信し、スイッチをS1A端に入れ、それによってE1、E2、E3、E4、E5及びE6を短絡させ、フレキシブル近接検知アレイ2の全体の元の6つの行電極を1つに再構成し、受信した静電容量値をそれぞれピンP1に送信する。
アレイ再構成部の303回路の具体的な素子は、SN74HCS4075ORゲート及びADG884BRMZ単極双投スイッチを選択する。
【0075】
本発明のフレキシブルロボット皮膚の実際の適用過程において、一般に、最大検出距離から最高空間分解能までの全範囲の検出が必要であるため、電源投入後のフレキシブル近接検知アレイ2を最初に1×1アレイに再構成でき、外部物体が接近することを検出した後、物体が徐々に接近するにつれて、受信した静電容量値が徐々に増加し、2×2アレイと3×3アレイの再構成を順番に実行し、最終的に最も基本的な6×6アレイに再構成し、それによって徐々に最高空間分解能を取得し、物体が徐々に本発明の可フレキシブルロボット皮膚から離れるとき、フレキシブル近接検知アレイ2を3×3、2×2、1×1アレイに順番に再構成し、改めて最大検出距離を徐々に取得する。共に直列接続された複数の本発明のフレキシブルロボット皮膚の再構成制御信号はいずれも外部マイクロコントローラユニット5から来るので、同時に共に直列接続された複数の本発明のフレキシブルロボット皮膚は、同じ再構成検知アレイを有する。
【0076】
図4に示すように、本発明のフレキシブルロボット皮膚間の上記接続、及び本発明のフレキシブルロボット皮膚と外部マイクロコントローラユニット5との間の接続は、ロボット皮膚拡張インターフェース3を介して実現され、ロボット皮膚拡張インターフェース3によって外部マイクロコントローラユニット5とフレキシブルロボット皮膚が共に直列接続される。ロボット皮膚拡張インターフェース3は、それぞれ給電用の5VとGND、MPR121チップIIC通信用のSCLとSDA、発光相互作用モジュール1を制御するためのDIN、及びアレイの再構成を制御するためのDIGITPIN2、DIGITPIN3、DIGITPIN6という8つのボンディングパッドで構成される。具体的に使用するとき、フラットケーブルを異なる部分のロボット皮膚拡張インターフェース3に溶接すれば、各部分の接続を完了する。
【0077】
発光相互作用モジュール1は、本発明のフレキシブルロボット皮膚に発光相互作用機能を与え、色、輝度を変更し、異なる発光モードを設定することによってフレキシブル近接検知アレイ2の検出結果への視覚的フィードバックを実現し、それによって検出された距離パラメータがユーザーと直感的に相互作用する。ユーザーは、ディスプレイなどの他の装置を必要とせずに、ロボット皮膚の本体からセンサーの検出結果を直接読み取ることができ、人間とコンピュータの相互作用過程の効率とスムーズさを向上させることに役立つだけでなく、ロボットがユーザーや他の外部物体に近すぎるとき、点滅や他の発光モードで警告を発することもできるため、ロボットとユーザーが同時に危険な情況を認識し、対応する対策を講じることができ、人間とコンピュータの相互作用過程の安全性を効果的に向上させる。
【0078】
具体的な実施方式における発光相互作用モジュール1は、WS2812B型LEDランプビーズを発光素子として使用し、
図1に示すように、各フレキシブル近接認識電極201にそれぞれ対応する12個の発光相互作用モジュール1が本発明のフレキシブルロボット皮膚上に集積される。WS2812B型LEDランプビーズはアドレス指定可能でプログラマブルな特性を有するため、外部マイクロコントローラ5の制御下でランプビーズのオンとオフを切り替えたり、ランプビーズの色を変更したりすることにより、フレキシブル近接検知アレイ2の検出結果の可視化を実現できる。
以下では、2つの実施例によって本発明の発光相互作用機能及びタッチ相互作用機能の適用を詳しく説明する。
(実施例1)
【0079】
スマート製造などの産業シナリオでは、人間とコンピュータの相互作用を行うと同時に操作者の安全を確保し、可能な限り作業効率を向上させる必要があり、このとき、本発明のフレキシブルロボット皮膚を、産業用ロボットのロボットアームなど、操作者との頻繁な相互作用を必要とする部品に貼着することができる。この適用シナリオでは、発光相互作用のモードは、外部物体と電子皮膚との距離や接触に応じて色が変化し、距離が限界値に達するときや接触が発生するときに点滅するように設定され得る。例えば、実際のフレキシブル近接検知アレイ2の認識範囲は0 200mmであり、この視覚的フィードバックモードでは、外部物体が本発明のフレキシブルロボット皮膚から200mm離れるから本発明のフレキシブルロボット皮膚に接触するまでの全過程は、発光相互作用モジュール1のLED光源が緑色(RGB:0,255,0)→黄色(RGB:255,255,0)→赤色(RGB:255,0,0)と変化する全過程として可視化することができる。なお、必要に応じて距離限界値を設定することもでき、外部物体の距離が限界値より小さい場合、動作制御を介してロボットの移動を停止するだけでなく、発光相互作用モジュール1も対応する色で点滅して操作者にアラームを発する。
【0080】
フレキシブル近接検知アレイ2の検出結果に応じて、発光相互作用モジュール1の光源の色を変更する発光相互作用モードは主に作業効率の向上に適用するのは、ロボット工学の技術に伴い、教示、即ち、操作者がロボットの関連する可動部品(ロボットアームなど)を直接動かしてロボットの経路を計画する方法が、産業シナリオでますます適用されるからである。産業上の適用シナリオの特徴は、空間制限と比較的正確なパラメータ要件を含み、コンピュータディスプレイを介してセンサーの検出結果を取得する従来方法では、教示過程が十分にスムーズではなく、効率も低いので、教示を調整するために、操作者が教示中に現在のロボットアームと周囲の物体との間の距離パラメータを迅速で直感的に知る必要があり、このとき、発光相互作用の機能は上記要件を満たすことができる。対応する接触点又は近接点及びそれに対応する近接距離間隔を様々なLED光源の色に対応させることにより、操作者が電流センサーの検出結果をリアルタイムに知ることを助け、作業効率と精度を向上させることにも大いに役立つ。
【0081】
外部物体の距離が限界値よりも小さい場合、又は印加された圧力が限界地より大きいため、接触が発生する場合、発光相互作用モジュール1の光源が点滅する発光相互作用モードは主に、操作者の安全を脅かしたり、ロボット自体の構造を損傷したりする危険を回避するように操作者に警告を発するために使用できる。
【0082】
従って、産業シナリオでは、本発明は、センサーの検出結果をリアルタイムに可視化し、人間とコンピュータの相互作用の効率を効果的に向上させ、人間とコンピュータの相互作用過程における安全性を更に向上させることを示すことができる。
(実施例2)
【0083】
サービス型ロボット(高齢者介護ロボット、介護ロボットなど)の適用シナリオでは、ユーザーがロボットに命令を出しやすく、ロボットからフィードバックを取得することができるように、人間とコンピュータの相互作用の過程で相互作用を強化する必要があり、それによってサービス全過程においてユーザーの参加感とサービスのスムーズさを向上させる。このとき、本発明のフレキシブルロボット皮膚をサービス型ロボットの表面に貼着することができ、ロボットの接触に関してユーザーに的を絞ったフィードバックを与えるように発光相互作用モードを設定することができる。
【0084】
フレキシブル近接検知アレイ2の空間分解能が高い特徴を利用し、本発明のフレキシブルロボット皮膚は、ユーザーとサービス型ロボットとの間の接触モード及び接触軌跡を識別しやすく、接触モードとは、タッチや叩きなど、ユーザーがサービス型ロボットと感情的に接触することを指し、接触軌跡とは、本発明のフレキシブルロボット皮膚上でユーザーが指で作った命令情報を含む軌跡を指す。接触モードは、接触の領域と時間によって識別でき、対応する識別結果には様々な視覚的フィードバックモードを使用でき、例えば、タッチする場合、発光相互作用モジュール1のLED光源は、ユーザーのタッチ経路をたどってリアルタイム又は遅延して点灯し、タッチの時間に応じて発光色を調整することができ、叩く場合、接触点に対応する発光相互作用モジュール1のLED光源を様々な周波数で点滅させることができる。接触軌跡は、接触の領域と接触点が現れる順序によって識別でき、この相互作用モードは主に複数の非反復的又は非構造化の動作を完了するために使用され、ユーザーは、本発明のロボット皮膚上に三角形、長方形、円形などの任意のパターンを作り、それらを異なる動作とバインディングすることができ、例えば、三角形を作ることは、コップを見つけてユーザーに届けることであり、長方形を作ることは、ユーザーが散歩に立ち上がることを助けることであり、円形を作ることは、ユーザーがベッドなどで休むことを助けることである。この命令入力モードは、人間とコンピュータの相互作用の条件を大幅に低下させ、サービス型ロボットの更なる普及に有利である。
【0085】
従って、サービス型ロボットの適用シナリオでは、本発明は、ユーザーの接触モード及び接触軌跡を識別し、2つの異なる相互作用モード、即ち、発光相互作用及び接触相互作用を適用できることを示すことができる。発光相互作用は、ユーザーの操作の視覚的フィードバックとして使用でき、ユーザーの次の操作の動的ガイドとしても使用でき、タッチ相互作用により、本発明のロボット皮膚は、ユーザーがロボットに命令を送信するためのウィンドウ及びインターフェースにもなる。2つの相互作用方式の組み合わせにより、人間とコンピュータの相互作用全過程を大幅に最適化し、ユーザーに深い印象を残し、ユーザーの参加率を効果的に向上させ、それによって人間とコンピュータの相互作用がよりスムーズで、受け入れやすい。
【0086】
要約すると、上記内容は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。本発明の精神及び原則の範囲内で行われた修正、同等の交換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0087】
図では、発光相互作用モジュール1、フレキシブル近接検知アレイ2、フレキシブル近接認識電極201、基本認識ユニット202、ロボット皮膚拡張インターフェース3、データ読み取り回路4、データ読み取り部401、電圧調整チップ402、検知データ処理チップ403、アドレス構成スイッチ404、アレイ再構成部405、及び外部マイクロコントローラユニット5。