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特開2022-176889カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンを含む球状粒子、並びにその製造方法及び使用方法
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  • 特開-カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンを含む球状粒子、並びにその製造方法及び使用方法 図1
  • 特開-カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンを含む球状粒子、並びにその製造方法及び使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176889
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンを含む球状粒子、並びにその製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/314 20170101AFI20221122BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20221122BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221122BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221122BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221122BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221122BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221122BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALN20221122BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/153
B33Y10/00
C08G18/00 K
C08G18/32 006
C08G18/48 033
C08G18/76 057
B33Y70/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066904
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】17/321,877
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・クラリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム.・ファルジア
(72)【発明者】
【氏名】シヴァンティ・イースワリ・スリスカンダ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J034
【Fターム(参考)】
4F213AA31
4F213AB18
4F213AC04
4F213AR07
4F213AR15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL96
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034DB04
4J034DB07
4J034DG01
4J034DQ28
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034MA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む高真球度粒子、そのような粒子の組成物、合成方法、及び用途を提供する。
【解決手段】CNM-g-ポリウレタン粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、CNM-g-ポリウレタン粒子が、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、堆積されると、選択的レーザー焼結によってCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、そのポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む、選択的レーザー焼結の方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的レーザー焼結の方法であって、前記方法は、
カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、前記CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、
堆積させた後、選択的レーザー焼結によって前記CNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、前記CNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部の前記ポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記CNM-g-ポリウレタンは、前記CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%の前記ポリウレタンと、約0.05重量%~約50重量%の前記カーボンナノ材料とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリウレタンは、その場重合、又はマイクロ波アシストソリッドステートグラフト化によって前記CNMにグラフト化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルとポリエステルポリオールとのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエステル、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記鎖延長剤成分は、直鎖アルキレンジオールを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジプロピレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリウレタンとCNMとのモル比は、約500:1~約1:500である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ポリウレタンとCNMとのモル比は、約20:1~約10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記乳化安定剤は、ナノ粒子を含み、前記CNM-g-ポリウレタン粒子は、前記CNM-g-ポリウレタン粒子の外側表面内に埋め込まれている乳化安定剤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
CNM-g-ポリウレタン粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
CNM-g-ポリウレタン粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
(a)カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)であって、前記CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含む、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンと、(b)前記CNM-g-ポリウレタンの前記ポリウレタンと不混和性である分散媒と、任意選択で(c)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーと、任意選択で(d)乳化安定剤と、を含む混合物を、前記CNM-g-ポリウレタンの前記ポリウレタン及び前記熱可塑性ポリマー(含まれる場合)の融点又は軟化温度よりも高い温度で、かつ、前記分散媒中に前記CNM-g-ポリウレタンを分散させるのに十分に高い剪断速度で混合することと、
前記混合物を前記融点又は前記軟化温度未満に冷却して、CNM-g-ポリウレタン粒子を形成することと、
前記CNM-g-ポリウレタン粒子を前記分散媒から分離することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(carbon nanomaterial-graft-polyurethane、CNM-g-ポリウレタン)を含む高真球度粒子に関する。本開示は更に、そのような粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称される)の組成物、合成方法、及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーは、フィルム、袋、粒子、及びフィラメントなどの押出成形された物体を作製するために使用されることが多い。熱可塑性ポリマーの一例は、ポリウレタンである。ポリウレタンは、物理的特性を損なうことなく、高温又は低温に耐える能力を有する。ポリウレタンは、ゴムの可撓性を靭性及び耐久性と組み合わせる高性能エラストマー材料である。それらは、自動車(例えば、シート、アームレスト、ヘッドレスト、グレーズフロントガラス(glaze windshield)及び窓)、医薬(例えば、カテーテル、汎用チューブ、病院寝具、外科用ドレープ、創傷包帯、射出成形装置、医療用インプラント、医療デバイス)、接着剤、シーラント、フィルタ、履物用部品、ワイヤシース、保護衣類、コンピュータ構成要素、航空宇宙用部品、及び部品において複数の用途を有する。熱可塑性エラストマーは、結晶質「ハード」セグメント及び非晶質「ソフト」セグメントを有するコポリマーである。ポリウレタンは、イソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤の重合によって調製された熱可塑性エラストマーである。ソフトセグメントは、典型的には、ポリマー材料に柔軟性を与える低いガラス転移温度を有するポリオールである。ハードセグメントは、典型的には、靭性を提供する鎖延長剤を有するウレタンである。
【0003】
したがって、ポリウレタンなどの熱可塑性ポリマーで形成された物体は、動力工具、自動車部品、ギア、及び電化製品部品のような要求の高い用途に使用することができる。積層造形(additive manufacturing)としても知られる三次元(3D)印刷は、そのような物体を製造するためにますます使用されている。選択的レーザー焼結は、ポリスチレン、ナイロン、他のプラスチック、並びにポリマー被覆金属及びセラミックなどの複合材料を含む様々な材料から高い解像度及び寸法精度の三次元物体を直接製造することができる。
【0004】
ポリウレタンは、その流動特性、他のポリマーよりも低いコスト、及び望ましい焼結窓から、積層造形に使用される最も一般的なポリマーのうちの1つである。しかしながら、積層造形によって製造された物体に必要な物理的特性は、ポリウレタンの特性を超える場合がある。ポリウレタン-カーボンナノ材料複合体を物体に製造することができる方法を拡張することは、ポリマー複合体産業を更に拡大するであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、CNM-g-ポリウレタンを含む高真球度粒子に関する。本開示は更に、そのようなCNM-g-ポリウレタン粒子の組成物、合成方法、及び用途に更に関する。
【0006】
本明細書に開示されるのは、CNM-g-ポリウレタン粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、CNM-g-ポリウレタン粒子が、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、堆積されると、選択的レーザー焼結によってCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、そのポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む、選択的レーザー焼結の方法である。
【0007】
本明細書に開示されるのは、(a)カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)であって、CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含む、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンと、(b)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒と、任意選択で(c)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーと、任意選択で(d)乳化安定剤と、を含む混合物を、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタン及び熱可塑性ポリマー(含まれる場合)の融点又は軟化温度よりも高い温度で、かつ、分散媒中にCNM-g-ポリウレタンを分散させるのに十分に高い剪断速度で混合することと、混合物を融点又は軟化温度未満に冷却して、CNM-g-ポリウレタン粒子を形成することと、CNM-g-ポリウレタン粒子を分散媒から分離することと、を含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図は、実施形態の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の利益を有する当業者に想到されるような、形態及び機能において相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【0009】
図1】本開示の非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【0010】
図2】カーボンナノ材料-グラフト化(grafted)-ポリウレタンの走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、カーボンナノ材料-グラフト化-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む高真球度粒子に関する。本開示は更に、そのようなCNM-g-ポリウレタン粒子の組成物、合成方法、及び用途に更に関する。
【0012】
積層造形としても知られる三次元(3D)印刷は、急速に成長している技術分野である。3D印刷は、従来、ラピッドプロトタイピング作業に使用されてきたが、この3D印刷技術は、ラピッドプロトタイプとは完全に異なる構造的及び機械的許容誤差が求められ得る商業的及び産業的物体の製造に採用されることが増えてきている。
【0013】
3D印刷は、(a)溶融状態若しくは固化可能な材料の小さな液滴若しくは流れ、又は(b)粉体微粒子のいずれかを、厳密な堆積位置に堆積させ、その後、より大きな物体(これは、任意の数の複雑な形状を有し得る)へと固結化することによって動作する。このような堆積及び固結化プロセスは、典型的には、コンピュータの制御下で行われて、より大きな物体を層ごとに積み上げる。特定の例では、粉体微粒子の固結化は、レーザーを使用して選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)を促進する3D印刷システムにおいて行われてもよい。
【0014】
3D印刷で使用可能な粉体微粒子としては、熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマー、金属、及び他の固化可能物質が挙げられる。3D印刷で複合体を使用する場合、微粒子(例えば、ポリウレタン-カーボンナノ材料複合体のカーボンナノ材料)は、小さな溶融液滴又は粉体微粒子の全体にわたって均一に分散されるべきであり、そうでなければ、最終物体の微粒子の分布は不均一になる。したがって、物体の特性(例えば、強度及び/又は導電率)も不規則であり得、これは、物体に破損点をもたらし得る。
【0015】
本開示は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む高真球度粒子に関する。有利には、本開示の組成物及び方法は、ポリウレタンのその場重合を使用する。したがって、ポリウレタンの望ましい溶融特性及び流動特性は、積層造形方法中に利用され得る。CNM-g-ポリウレタン粒子は、とりわけ、積層造形、特にSLS 3D印刷のための出発材料として有用であり得る(例えば、自動車部品、航空宇宙/航空機関連部品、靴底など)。
【0016】
本明細書に記載の選択的レーザー焼結の方法は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、CNM-g-ポリウレタンは、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、堆積させた後、選択的レーザー焼結によってCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、そのポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む。カーボンナノ材料(CNM)は、物理的特性を改善し、かつ/又は積層造形によって製造された物体に新しい物理的特性を付与することができる。更に、CNM-g-ポリウレタンを使用することによって、CNMは、ポリマー粒子中に全体に十分に分散され得る、かつ/又は広がり得る。したがって、カーボンナノ材料は、積層造形によって製造される物体(又はその一部)の全体に十分に分散及び/又は分散され得る。
【0017】
更に、本開示は、カーボンナノチューブ(carbon nanotube、CNT)などのCNMに共有結合したポリウレタン熱可塑性ポリマー複合体、及び当該ポリウレタン熱可塑性ポリマー複合体から高真球度CNM-g-ポリウレタン粒子を調製する方法に関する。CNTの非限定的な例としては、単層カーボンナノチューブ(single walled carbon nanotube、SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube、MWCNT)、二層カーボンナノチューブ(double-walled carbon nanotube、DWCNT)を挙げることができる。場合によっては、CNMは、ヒドロキシル、カルボキシル、又はアミド官能化CNM(例えば、MWCNT)であり得る。すなわち、ヒドロキシル官能化CNMは、CNMの表面の酸処理を介して製造されて、表面上にヒドロキシル基を生成し得る。更に、カルボキシル官能化CNMは、濃酸を使用してCNMのマイクロ波放射を介して製造され得る。
【0018】
官能基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基、又はカルボン酸)を用いたCNTの共有結合修飾を、単量体ユニット、オリゴマーと更に反応させるか、又はポリウレタンのより長いポリマー鎖に更に反応させて、ポリマーマトリックス内のCNTの分散能力を改善し、ポリマー内に容易に組み込み、対応するポリウレタン熱可塑性ポリマーナノ複合体を形成することができる。
【0019】
例えば、CNM-g-ポリウレタンは、アミド官能化CNM(例えば、MWCNT)をポリウレタンと反応させることによって製造され得、アミド基は、グリコール(例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール(polyoxytetramethylene glycol、PTMO))及びジイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI))を介してポリウレタンのハードセグメントに挿入され得る。
【0020】
あるいは、CNM-g-ポリウレタンは、CNM(例えば、MWCNT)を、シルセスキオキサン様構造を用いたゾル-ゲル法によってポリウレタンと反応させることによって製造され得、ポリウレタン尿素及びCNMを組み合わせることができる。
【0021】
別の例では、CNM-g-ポリウレタンは、ヒドロキシル末端直鎖ポリマージオール(例えば、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)オリゴマー(HTBN))をソフトセグメントとして、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate、HDI)、及び異なる鎖延長剤をハードセグメントとして使用したその場のカップリング反応により、-OH及び-COOHの両方の官能化CNMをポリウレタンと反応させることによって製造され得る。
【0022】
更に別の例では、CNM-g-ポリウレタンは、ソフトセグメントとして使用されるポリオール(例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)ジオール)、ハードセグメントとしてのジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、油(例えば、ヒマシ油)、及び鎖延長剤を反応させることによって調製され得るハイパーブランチポリウレタンに結合したCNMによって製造され得る。化学的に修飾されたCNM(例えば、官能化MWCNT)をDMF中に分散させ、ポリオール、ジイソシアネート、油、及び鎖交換体を含む反応混合物に添加して、ポリウレタン複合体を得ることができる。
【0023】
更に別の例では、CNM-g-ポリウレタンは、CNMの表面の酸処理を介して製造されて表面上にヒドロキシル基を生成し、次いで、ハロゲン化アクリロイル(例えば、ポリ(塩化アクリロイル(PACl)))と反応してカプセル化を得ることができる。外層は、適切な量のエチレングリコール(ethylene glycol、EG)でエステル化され得る、多くのハロゲン化アクリロイル基(例えば、塩化アクリロイル基)を有し得る。次いで、熱可塑性ポリウレタン(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI))及びジオール(例えば、1,4-ブタンジオール(BDO))をシステムに導入して、その場でポリウレタン(PU)層を形成することができる。得られたCNM-g-ポリウレタン複合体の引張強度及び弾性率は、同じ処理パラメータを有する典型的な未希釈のポリウレタン複合体のものよりも有利に高くてもよい。
【0024】
更に別の例では、CNM-g-ポリウレタンは、以下に更に詳細に記載されるように、ポリオール官能化CNM(例えば、ポリオール官能化CNT)をその場重合を介してTPUにグラフト化することによって製造され得る。
【0025】
場合によっては、SWCNTなどのCNMは、可溶性架橋ポリウレタンと共に使用されて、マイクロ波吸収複合体を製造することができる。熱可塑性ポリウレタン(例えば、MDI)をヒドロキシル末端ポリオール(例えば、ヒドロキシル末端ポリブタジエン(hydroxyl terminated polybutadiene、HTPB)ポリオール)と混合し、続いて、架橋反応を可能にする鎖延長剤(例えば、ブタンジオール(butane diol、BD)鎖延長剤)を添加し、ポリウレタンマトリックスの全体にわたって分散したCNMを形成することができる。
【0026】
いくつかの他の場合において、CNM-g-ポリウレタンは、マイクロ波アシストソリッドステートグラフト化(microwave-assisted solid state grafting)を介して製造され得、CNM(例えば、CNT)の表面は、マイクロ波放射を介して修飾(例えば、カルボキシル化CNM)され得る。十分に分散したら、官能化CNM(例えば、カルボキシル化CNT)をポリウレタン溶液に添加してポリウレタン-CNM混合物を製造し、次いでマイクロ波放射線下で処理してCNM-g-ポリウレタンを得ることができる。
【0027】
あるいは、グラフト化アプローチを使用して、CMN(例えば、MWCNT)を、その骨格に沿ってヒドロキシル基を含有するセグメント化ポリウレタンで機能させることができる。酸性化CMNとポリウレタンセグメントとの間でエステル化反応を使用して、ポリウレタンをCMNの側壁に共有結合させることができる。
【0028】
更に、カルボキシル、ラクトン、又はフェノールなどの基は、共有結合又はファンデルワールス力のいずれかを介してCMN(例えば、MWCNT)に結合され、次いで上記のポリウレタンの合成中にポリウレタンマトリックスに導入され得る。ポリウレタンに共有結合したCMNは、有利には、ファンデルワールス結合したCMNよりも優れた機械的性能を持つことができる。
【0029】
CNM-g-ポリウレタン複合体はまた、カルボン酸処理CNM(例えば、カルボン酸処理MWCNT)と反応し得るイソシアネート-N=C=O基で官能化されたポリウレタンのプレポリマーによって合成され得る。官能化CNMは、ポリウレタン(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI))とジオール(例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)-ジオール(PCL))との反応から調製されたプレポリマー中の架橋剤として使用され得る。
【0030】
有利には、高真球度CNM-g-ポリウレタン粒子/粉末は、本開示のポリウレタン熱可塑性ポリマー複合体(すなわち、CNM-g-ポリウレタン複合体)から、例えば、溶融乳化、凍結粉砕、及び/又は沈殿を介して製造され得る。上記の高真球度CNM-g-ポリウレタン粒子は、SLSプリンタを使用して3D印刷用途のために焼結され得る。
【0031】
その結果、有利には、本開示の高真球度CNM-g-ポリウレタン粒子からSLS印刷された部品又は物体は、カーボンナノ材料を有さないか、又は単に配合されたポリウレタン及びカーボンナノ材料を有するかのいずれかのポリウレタン系微粒子と比較した場合、改善された機械的特性を有し得る。
定義及び試験方法
【0032】
本明細書で使用するとき、「触媒」という用語は、反応媒体中で非常に低い濃度で使用される場合、反応の終了時に化学的に変化することなく、反応(例えば、重合反応)の速度を試薬との相互作用を介して増加させることを可能にする化合物を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、「共触媒」という用語は、触媒と相乗的に作用して、反応(例えば、重合反応)の速度を増加させることができる化合物を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、「不混和性」という用語は、組み合わされたときに、周囲気圧及び室温で、又は室温で固体である場合は成分の融点で、互いに5重量%未満の溶融度を有する2つ以上の相を形成する成分の混合物を指す。例えば、10,000g/モルの分子量を有するポリエチレンオキシドは、室温で固体であり、65℃の融点を有する。したがって、室温で液体である材料及び当該ポリエチレンオキシドが65℃で5重量%未満の溶融度を有する場合、当該ポリエチレンオキシドは当該材料と不混和性である。
【0035】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタンモノマー」という用語は、ポリウレタンを形成するモノマーを指す。
【0036】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の「ポリ酸」という用語は、2つ以上のカルボン酸部分を有する化合物を指す。本明細書では、無水物部分は、無水物が合成中にカルボン酸に開環するため、カルボン酸部分とみなされる。
【0037】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の「ポリアミン」という用語は、2つ以上のアミン部分を有する化合物を指す。
【0038】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の「アミノ酸」という用語は、1つ以上のカルボン酸部分及び1つ以上のアミン部分を有する化合物を指す。ここでも、無水物部分は、無水物が合成中にカルボン酸に開環するため、カルボン酸部分とみなされる。
【0039】
ポリマーを-mer単位(例えば、ポリウレタンモノマー)という用語で言及するとき、当業者であれば、-mer単位がポリマー中で重合した形態にあることを理解するであろう。
【0040】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱及び冷却において可逆的に軟化及び硬化するプラスチックポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0041】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択の鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含んでもよく、軟質部分は、例えば、ポリオールを含んでもよい。
【0042】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートと、ポリオールと、任意選択の鎖延長剤との間のポリマー反応生成物を指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「酸化物」という用語は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指す。本開示の目的では、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン」及び「CNM-g-ポリウレタン」という用語は、中央又は骨格構造としてそこから延在するポリウレタンを有するカーボンナノ材料を指す。これらの用語は、構造を製造する方法を意味しないで、むしろ構造自体を説明する。
【0045】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノ材料」という用語は、粒子のコア構造が少なくとも50原子%炭素からなる、少なくとも1つの寸法が50nm以下である分子又は粒子を指す。カーボンナノ材料の例としては、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用するとき、「フラーレン」という用語は、コア構造としてケージを有する粒子又は分子を指し、ケージ構造は、10以下のアスペクト比を有する。
【0047】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノチューブ」という用語は、コア構造として細長い円筒形構造を有する粒子又は分子を指し、細長い円筒形構造は、10を超えるアスペクト比を有する。本明細書で使用するとき、「カーボンナノチューブ」という用語は、単層カーボンナノチューブ(すなわち、1つの壁を有する)、二層カーボンナノチューブ(すなわち、2つの壁を有する)、及び多層カーボンナノチューブ(すなわち、2つ以上の壁を有する)を包含する。
【0048】
本明細書で使用するとき、「グラフェン」という用語は、平面グラファイト状構造を有し、単層グラフェンから3層グラフェンまで包含する粒子又は分子を指す。
【0049】
本明細書で使用するとき、「グラファイト」という用語は、4つ以上の平面グラファイトを有する粒子又は分子を指す。
【0050】
「カーボンナノ材料」、「フラーレン」、「カーボンナノチューブ」、「グラファイト」、及び「グラフェン」という用語は、その官能化バージョンを包含する。
【0051】
本明細書で使用するとき、粒子(例えば、ナノ粒子)及びポリマー粒子の表面に関して「埋め込む」という用語は、ナノ粒子がポリマー粒子の表面上に単に置かれた場合よりも大きな程度に、ポリマーがナノ粒子と接触するように、粒子がポリマー粒子の表面に少なくとも部分的に延在していることを指す。
【0052】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び粒径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で使用するとき、「D10」という用語は、その下方に粒子集団の10%(特に指定されない限り、体積ベースの分布に対して)が見られる粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D50」、「平均粒子径」、及び「平均粒径」という用語は、その下方に粒子集団の50%(特に指定されない限り、体積ベースの中央平均に対して)が見られる粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D90」という用語は、その下方に粒子集団の(特に指定がない限り、体積ベースの分布上の)90%が見られる粒径を指す。本明細書で使用するとき、粒径を指す際の「粒径スパン」及び「スパン」及び「スパンサイズ」という用語は、粒径分布の広がりの指標を提供し、(D90-D10)/D50として計算される。
【0053】
粒子径及び粒径分布は、Malvern MASTERSIZER(商標)3000。を使用した光散乱技術によって決定される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の粒径を有するガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料は乾燥粉末として分析した。分析した粒子は、空気中に分散させ、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S(商標)乾燥粉体分散モジュールを使用して分析した。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出した。
【0054】
本明細書で使用するとき、篩過について言及する場合、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)により説明されているものである。
【0055】
本明細書で使用する場合、粒子に関する「真円度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指して用いられる。真円度を決定するために、流動粒子イメージング(flow particle imaging)を用いて粒子の光学顕微鏡画像を撮影する。顕微鏡画像の平面内の粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)を(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算する。粒子の真円度はCEA/Pであり、式中、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の円周である。本明細書では、真円度は、SYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器による3回の実行に基づいており、1回の実行ごとに6,000~10,000個の粒子が分析される。報告された真円度は、粒子数に基づく中央平均真円度である。分析では、バックグラウンドピクセルと粒子ピクセルとの間のグレースケールレベルを区別するための閾値(例えば、不均一な照明条件を補正するため)をバックグラウンドモーダル値の90%に設定した。
【0056】
本明細書で使用するとき、「剪断力」という用語は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は類似のプロセスを指す。
【0057】
本明細書で使用するとき、「アスペクト比」という用語は、長さを幅で除したものを指し、ここで、長さは幅よりも大きい。
【0058】
別途指定のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)により、昇温速度及び冷却速度10℃/分で決定する。
【0059】
別途指定のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17により決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することで測定することができる。
【0060】
安息角は、粉体の流動性の尺度である。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するHosokawa MicronのPowder Characteristics Tester PT-Rを使用して決定した。
【0061】
ゆるみ密度(ρaer)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0062】
嵩密度(ρbulk)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0063】
タップ密度(ρtap)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0064】
ハウスナー比(H)は、粉体の流動性の尺度であり、H=ρtap/ρbulkにより計算し、式中、ρbulkは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0065】
本明細書で使用するとき、分散媒の粘度は、別途記載のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度である。商業的に調達された分散媒(例えば、ポリジメチルシロキサン油(polydimethylsiloxane oil、PDMS))については、本明細書に引用される動粘度データは、前述のASTM又は別の標準的な測定技法に従って測定されるかどうかにかかわらず、製造業者によって提供された。
【0066】
結晶化温度は、ポリマーが、自然に又は人工的に開始されたプロセスで構造化された形態に結晶化(すなわち、凝固)する温度であり、原子又は分子は結晶に高度に組織化される。結晶化温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によって測定され得る。DSCは、ポリマーを溶融するために必要な熱に基づいてポリマー結晶化度を決定するための迅速な方法を提供する。結晶化温度(℃)は、例えば、ISO11357試験方法又はASTM D3417によって決定することができる。
【0067】
特に指定がない限り、ポリマーの結晶化度(%)は、ポリマーの溶融(融合)に関連する熱を定量化することによって、ASTM D3417法によって決定される。
【0068】
メルトフローインデックス(melt flow index、MFI)は、条件の定義されたセット下でのポリマー溶融物の流れに対する耐性の尺度である(単位:g/10分)。低剪断速度条件での尺度であるとき、MFIは、ポリマーの分子量に反比例する。
【0069】
SLS部分の寸法精度(%)は、SLSの3D印刷された焼結部分の精度の定量的尺度である。
【0070】
本明細書で使用される場合、固体材料の「引張弾性率」(MPa)は、その剛性を測定する機械的特性である。それは、弾性変形を受けるときのその引張応力(単位面積当たりの力)対その歪み(相対変形)の比として定義される。それは、1平方インチ当たりのパスカル又はポンド(psi)で表すことができる。ASTM D638-14を使用して、ポリマーの引張弾性率を決定することができる。
CNM-g-ポリウレタン複合体
【0071】
本開示のCNM-g-ポリウレタンは、球状微粒子、ペレット、又はフィラメントを生成するために使用され得る。本開示のCNM-g-ポリウレタンを含む球状微粒子(又は粉末)は、選択的レーザー焼結(SLS)によって3次元(3D)印刷技術で使用され得るが、本開示のCNM-g-ポリウレタンを含むフィラメント又はペレットは、融合フィラメント製造(fused filament fabrication、FFF)によって3次元(3D)印刷技術で使用され得る。
【0072】
本明細書のポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)であり得る。ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造され得る。
【0073】
ポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートを含み得る。ポリイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0074】
ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルとポリエステルポリオールとのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。更に、ポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエステル、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0075】
ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、混合ポリエーテル及びポリエステルポリウレタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンの例としては、ポリ[4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)-alt-1,4-ブタンジオール/ジ(プロピレングリコール)/ポリカプロラクトン]、ELASTOLLAN(登録商標)1190A(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジプロピレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される直鎖アルキレンジオールを含み得る。
【0077】
グラフト化されたポリウレタンを有し得るCNMの例としては、フラーレン、カーボンナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなど)、カーボンナノプレートレット、カーボンナノシート、カーボンナノホーン、グラファイト(例えば、グラファイト粒子、高酸化グラファイト粒子など)、グラフェン(例えば、グラフェン粒子、グラフェンリボン、グラフェンシートなど、及びそれらの高酸化誘導体)など、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
CNM-g-ポリウレタンは、CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%(又は約55重量%~約95重量%、又は約60重量%~約90重量%、又は約65重量%~約85重量%、又は約70重量%~約80重量%)のポリウレタン、及び約0.05重量%~約50重量%(又は約5重量%~約45重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約35重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のCNMを含み得る。
【0079】
場合によっては、ポリウレタンは、本明細書で更に詳細に説明されるように、その場重合によって、又はマイクロ波アシストソリッドステートグラフト化によって、CNMの表面にグラフト化されて、CNM-g-ポリウレタンを製造し得る。その場重合は、溶融ブレンドプロセス又は溶媒ブレンドプロセスと比較した場合、CNM-g-ポリウレタンの改善された特性(例えば、導電性、引張強度)を有利に提供することができ、その場重合は、高度に分散したCNM(例えば、rGOを用いたその場重合)を可能にし、したがって、TPUマトリックス全体を通して強く架橋されたネットワークを形成する。
【0080】
CNMは、1つ以上の第1級アミン(例えば、CMN-NH)及び/又は1つ以上の第2級アミン(例えば、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、及びそれらの異性体などのC-C20アルキル基、C-C20シクロアルキル基、C-C20アリールアルキル基であるCMN-NRH)、カルボン酸官能化CNM(例えば、CMN-COOH)、アミノ酸官能化CNM(例えば、NH-CMN-COOH)、酸塩化物官能化CNM(例えば、CMN-COCl)、ヒドロキシル官能化CNM(例えば、CMN-OH)など、並びにそれらの任意の組み合わせを含むアミノ官能化CNMであり得る。場合によっては、カルボン酸部分によるCMN(例えば、CNT)の官能化は、硫酸、硝酸、塩素酸塩、又は過硫酸アンモニウム酸化の存在下で実施され得る。あるいは、CMN(例えば、CNT)の官能化は、CNTの脱酸素化表面への直接スルホン化、金属化、求電子付加によって実行され得る。
【0081】
CNMの表面上のポリウレタンのグラフト化は、不活性雰囲気下(例えば、N又はAr)でその場重合を介して実行され得る。ポリウレタンは、ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によって、有機分子触媒(例えば、有機スズ触媒、有機スズ触媒と組み合わされた有機第3級アミン、又はN-複素環式カルベン(N-heterocyclic carbene、NHC))の存在下で合成され得る。本明細書では、ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤は、約5:0.1:0.1~約1:1:1、例えば、1:0.5:0.5などの範囲のモル比で使用され得(モル比は、異なる特性を得るために変更され得る)、プレポリマーは、ジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI))を、約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度でポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール)と反応させることによって調製され得る。本明細書で使用される有機反応物(例えば、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF))と混和性の有機溶媒などの溶媒を本明細書で使用することができる。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって監視/分析され得る。ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート触媒などの有機スズ触媒)を反応容器に添加し、鎖延長を可能にすることができ、その後、CNM(好ましくは官能化CNM)を反応容器に添加することができる。次いで、得られたスラリー混合物を金型に注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。約25℃~約100℃(好ましくは50℃)の範囲の温度の真空オーブンにポリマー生成物を配置することによって、任意の残留溶媒を除去することができる。ただし、CNMは、ポリオールの添加前、鎖延長剤の添加前、又は重合の完了後に添加され得る。
【0082】
本明細書では、CNMは、改良Hummers法を介して天然グラファイトから調製され、例えば、カルボン酸変性グラファイト酸化物(GO-COOH)又はアミノ変性グラファイト酸化物(GO-NH)に更に官能化された酸化グラフェンであり得る。カルボン酸官能化CNM(例えば、カルボン酸変性グラファイト酸化物(GO-COOH))は、縮合反応を介してジアミンモノマー及び/又はジカルボン酸モノマーと共役され得る。CNM-g-ポリウレタンは、ジアミン官能化グラフェン酸化物とジカルボン酸モノマーとの間の縮合反応によって形成され得る。ジアミンの好適な例としては、エチレンジアミン、1,6-ジアミノヘキサン、p-フェニレンジアミン、プロピルアミン、又はブチルアミンが挙げられ得るが、これらに限定されない。CNMは、改良Hummers法を介して天然グラファイトから調製された後、GOの熱還元を施した熱還元GO(rGO)であり得る。
【0083】
CNM-g-ポリウレタンは、ポリウレタン(例えば、TPU)とGOとの間の共有結合反応から製造されるGOを含有するポリウレタン、又はGOの存在下でポリウレタンを合成するポリウレタンであり得る。
【0084】
例えば、CNMがGOであるCNM-g-ポリウレタンは、以下のように形成され得る。ジイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤は、例えば、約5:0.1:0.1~約1:1:1(好ましくは1:0.5:0.5)の範囲のモル比など、様々なモル比で組み合わせることができる。ポリ(テトラヒドロフラン)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を混合し、得られた混合物を約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で加熱し、したがってプレポリマーを形成することができる。別個の反応容器において、GOは、水(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))と混和性であり得る有機溶媒中で混合され得、次いで超音波処理されて、GOの安定な分散液を得ることができる。次いで、ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒(例えば、ラウリン酸ジブチルスズ触媒)を、続いて不活性雰囲気(例えば、アルゴン)下で約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で反応容器に添加し、鎖延長を可能にし得る。反応物を約30分~5時間激しく撹拌し、次いで、粘性混合物をテフロン加工の金型に、かつ/又は真空下に注ぎ入れ、任意の残りの溶媒を蒸発させて、酸化グラフェン-グラフト化-ポリウレタンを得ることができる。
【0085】
CNM-g-ポリウレタンは、イソシアネート官能化CNM(例えば、イソシアネート官能化GO)から製造され得、イソシアネート官能化CMNは、その場重合を介してポリウレタン(例えば、TPU)でグラフト化され得る。当該グラフト化プロセスは、不活性雰囲気下(例えば、N又はAr)で実行され得る。イソシアネート官能化CNMは、以下のように調製され得る。CNM(例えば、GO)は、5分~10時間(又は30分~5時間、又は1時間~3時間)の超音波処理を介して最初に水に分散され、続いて500rpm~10,000rpm(又は1,000rpm~5,000rpm、又は2,000rpm~4,000rpm)で遠心分離され得る。次いで、CNM懸濁液(例えば、GO懸濁液)を溶媒交換プロセスに供して、DMFなどの有機溶媒中のCNM(例えば、GO)の分散液を得ることができる。溶媒交換プロセスは、有機溶媒(例えば、DMF)を水性CNM(例えば、GO)に添加し、続いて超音波処理、遠心分離、及び次いで上澄み液を除去することによって実施され得る。このプロセスは、数回繰り返され得る。次いで、CNM(例えば、GO)を有機溶媒(例えば、DMF)中で再び懸濁させ、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、DESMODUR(登録商標)N75)などのポリイソシアネート(PI)と反応させて、イソシアネート官能化CNM(例えば、イソシアネート官能化GO)を製造することができる。次いで、ポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、ポリイソシアネート官能化グラフェン酸化物(PI-GO))を凝固させ(ジクロロメタンなどの有機溶媒を使用して)、濾過し、洗浄し、乾燥させることができる。
【0086】
その場重合を介してポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、PI-GO)をポリウレタン(例えば、TPU、又はポリウレタンプレポリマー)にグラフト化するための方法は、ポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、PI-GO)の超音波処理を介して、ポリイソシアネート官能化CNM生成物を有機溶媒(例えば、DMF)に分散させて、均質な溶液を生成することと、均質な溶液を別個の容器に移し、ジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート(MDI))及びポリグリコール(例えば、ポリ(テトラヒドロフラン))を、有機溶媒(例えば、乾燥DMF)を用いて1:0.1~1:1(好ましくは、1:0.5)の範囲のモル比で添加することと、を含み得る。反応混合物は、約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で30分間以上(又は1時間以上、又は2時間以上、又は3時間以上、又は4時間以上、又は5時間以上)で加熱され得る。ポリウレタン(例えば、ラウリン酸ジブチルスズ触媒)を重合するのに適したジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒を反応容器に添加してもよい。完了時に、反応容器を真空により脱気し、得られたスラリー(粘性ポリマー溶液)をアルミニウムパンに注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。
【0087】
CNM-g-ポリウレタンは、ポリウレタン(例えば、TPU)とCNTとの間の共有結合反応から製造されるCNT(例えば、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、又は二層カーボンナノチューブ(DWCNT))を含有するポリウレタン、又はCNTの存在下でポリウレタンを合成するポリウレタンであり得る。溶媒を蒸発させるための好適な方法の他の非限定的な例としては、ポリマーの沈殿、噴霧乾燥、薄膜蒸発、回転蒸発が挙げられ得る。
【0088】
CNM-g-ポリウレタンは、官能化CNM(例えば、COOH官能化CNT)から製造され得、官能化CMNは、マイクロ波アシストソリッドステートグラフト化を介してポリウレタン(例えば、TPU)でグラフト化され得る。マイクロ波アシストソリッドステートを介して、COOH官能化CNM生成物(例えば、COOH-CNT)をポリウレタンにグラフト化するための方法は、以下の(a)、(b)を含み得る:(a)CNM-g-ポリウレタンポリマー複合体を合成する前に、濃酸の混合物(例えば、硫酸と硝酸の3:1~1:1の比率での濃酸混合物)中のCNTを約100℃~約200℃(好ましくは、例えば140℃などの約120℃~約150℃)の範囲の温度で1分以上(又は5分以上、又は10分以上、又は15分以上、又は20分以上、又は25分以上、又は30分以上)のマイクロ波放射を介し酸処理することによって、カルボキシル化CNTを形成すること。酸処理後、CNTを別個の容器に移し、続いて脱イオン(deionized、DI)水を添加し、混合物を室温まで冷却し得る。酸化生成物は、テフロン膜を使用して濾過され得、結果として生じるカルボキシル化CNT生成物は、中性pHに達するまでDI水で洗浄され、次いで真空オーブンで乾燥され得る。(b)超音波処理を介して有機溶媒(例えば、THF)中にカルボキシル化CNTを分散させることによって、マイクロ波放射を介してカルボキシル化CNTをグラフト化すること(0.5重量%CNT以上、1重量%CNT以上、5重量%CNT以上、10重量%以上)。別個の容器では、ポリウレタンを同じ有機溶媒(例えば、THF)に溶解し、均質な混合物を得ることができるまで撹拌しながら、十分に分散したカルボキシル化CNTをポリウレタン溶液に滴下して添加することができる。次いで、混合物を金型に注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。次いで、ポリウレタン及びカルボキシル化CNTの混合物を、マイクロ波照射下で1分以上(又は5分以上、又は10分以上、又は15分以上、又は20分以上、又は25分以上、又は30分以上)、500W~1,000Wの約10%以上(又は20%以上、又は30%以上、又は40%以上、又は50%以上)、好ましくは800Wの50%の総電力出力で処理することができる。
【0089】
場合によっては、CNM-g-ポリウレタンを製造するための方法は、(a)CNM(例えば、CNT)を酸化して、カルボキシル官能化CNM(例えば、COOH-CNT)を製造することと、(b)塩化アシル官能化CMN(例えば、ClCO-CNT)を製造するための、超音波処理による塩化チオニル(SOCl)の存在下でのカルボキシル官能化CNM表面(例えば、COOH-CNT表面)の酸塩化物官能化と、(c)CMNの酸塩化物官能化をポリオール(例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)-ジオール)にグラフト化して、ポリオール官能化CMNを製造することと、(d)ポリオール官能化CMNをその場重合を介してポリウレタンにグラフト化して、CNM-g-ポリウレタンを製造することと(重合の完了後に添加され、イソシアネート基が過剰に存在する場合、ポリマーをエンドキャップするために材料を使用することもできる)、を含み得る。
【0090】
いくつかの他の場合において、CNM-g-ポリウレタンを製造するための方法は、アミン官能化CNM(例えば、HN-CNTなどのアミン修飾炭素源など)とのその場重合を含み得る。アミノ官能化CNMの調製(例えば、HN-MWCNTなどのアミノ官能化CNT)は、濃酸の混合物(例えば、硫酸と硝酸の3:1~1:1の比率での濃酸混合物)を用いてCNMを酸処理することによってCNMを酸化することを含み得る。酸性化は、約30℃~約100℃(好ましくは50℃)の範囲の温度で、酸溶液中のCNMの超音波処理で行われ得る。次いで、CNM/酸混合物を脱イオン水に注ぎ、濾過し、濾過溶液のpH値が約7(中性pH)になるまで繰り返し洗浄することができる。次いで、酸性化CNM生成物を真空オーブンで乾燥させることができる。得られたCNM-COOHは、少なくとも1時間の超音波処理下で、有機溶媒(例えば、THF)中に分散され得る。この分散液に、周囲温度で撹拌しながら、エチレンジアミン(ethylenediamine、EDA)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン((dimethylamino)pyridine、DMAP)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimide、DCC)を添加することができる。分散液/溶液は、撹拌しながら約30℃~約100℃(好ましくは60℃)の範囲の温度で加熱され12時間~24時間維持され得る。生成物は、容易に収集され、有機溶媒(例えば、THF)で洗浄され得る黒色の固体であり得る。生成物を真空オーブンで乾燥させて、アミン官能化CNMを得ることができる。次いで、その場重合を介してアミン官能化CNMをTPUにグラフト化することは、アミン官能化CNMを、超音波処理を介して乾燥DMF中に分散させて、均質な溶液を製造することと、均質な溶液を別個の容器に移し、超音波処理を介して乾燥DMF中にアミン官能化CNMを分散させることと、を含み得る。MDI及びポリ(テトラヒドロフラン)を添加してもよく、反応は、約30℃~約100℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で1時間以上(又は2時間以上、又は3時間以上、又は5時間以上、又は10時間以上)で実行され得る。次いで、ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)とTPU(例えば、ラウリン酸ジブチルスズ触媒)の重合に適した触媒とを添加してもよい。次いで、得られたスラリーの溶媒を蒸発させることができる。
【0091】
CNM-g-ポリウレタンは、官能性ポリマーとフラーレンとの間の共有結合反応、又はフラーレンの存在下でポリマーを合成することから製造され得るフラーレンを含有するポリウレタンであり得、ポリマーフラーレンは、側鎖ポリマー、主鎖ポリマー、樹状フラーレン、星型ポリマー、フラーレンエンドキャップポリマーなどによって調製され得る。本明細書では、官能化CNMは、例えば、アミノ官能化C60系フラーレン、カルボキシアミド官能化C60系フラーレンであり得る。フラーレン-g-ポリウレタンは、C60-第1級及び/又は第2級アミン間にアミド結合を形成するためにアミノ官能化C60系フラーレンと酸塩化物官能化ポリウレタンを反応させることによって、室温で温和な条件下で形成され得る。
【0092】
別の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタンは、フラーレン二重結合に添加することができる可溶性アミノポリマー(例えば、ポリウレタンの末端基からのNH基又は分岐アミノ基を含むモノマー)を使用してポリマー結合C60から製造されたフラーレンを含有するポリウレタンであり得る。CNM-g-ポリウレタン(例えば、C60-g-ポリウレタン)は、室温で温和な条件下でアミノポリマーをC60と反応させることによって得ることができる。
【0093】
別の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタンは、(a)ヒドロキシル官能化フラーレンを製造するために、フラーレンの酸媒介酸化(例えば、濃縮されたHNOを用いて新品のフラーレンを処理する)を介したフラーレンC60の表面修飾であって、ヒドロキシル官能化フラーレンは中性pHに達するまで蒸留水で洗浄され、真空下で乾燥されて、任意の残留溶媒を除去し得、それにより重合反応で使用され得るヒドロキシル官能化フラーレン粉末を得ることができる、フラーレンC60の表面修飾;(b)その場重合を介してヒドロキシル官能化フラーレンのTPUへのグラフト化、から製造されたヒドロキシル官能化フラーレンを含有するポリウレタンであり得る。ヒドロキシル官能化フラーレンが重合に添加され得る時期に応じて、材料は、ポリマー骨格にグラフトするために、又はポリマー鎖をエンドキャップするために使用され得る。
CNM-g-ポリウレタン及び作製方法
【0094】
本明細書に記載の方法及び組成物は、CNM-g-ポリウレタンを含む高真球度ポリマー粒子に関する。上記のように、本開示は、ポリウレタン(例えば、TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、及び結晶質(ハードセグメント)ポリマーと、カーボンナノフィラー(例えば、CNT)、グラフェン酸化物(GO)、カーボンナノファイバー、フラーレンなどで共有結合、グラフト化、又は結合され得る非晶質(ソフトセグメント)ポリマーとを組み合わせる他の熱可塑性ゴムに関する。本明細書で組成物は、カーボンナノフィラー(例えば、CNT)、ハードセグメント(例えば、ジイソシアネート及びジオール、又はジアミン)、及びソフトセグメント(ポリエステル又はポリエーテルマクロジオール)を含み得、高真球度微粒子への複合溶融乳化(composite melt emulsification)を受け得る。理論に限定されるものではないが、CNMにグラフト化されたポリウレタンを有することは、ポリマー粒子中のCNMのより均質な分布を助け、これにより、当該ポリマー粒子を使用する積層造形方法によって製造される物体(又はその一部)におけるより均質な分布がもたらされると考えられる。
【0095】
本開示はまた、(a)CNM-g-ポリウレタン粒子であって、CNM-g-ポリウレタン粒子が、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含む、CNM-g-ポリウレタン粒子、(b)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒、任意選択で(c)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと同じであっても異なっていてもよい)、及び任意選択で(d)乳化安定剤を含む混合物を、ポリウレタンの融点又は軟化温度よりも高い温度で、かつ分散媒中にCNM-g-ポリウレタンを分散させるのに十分に高い剪断速度で混合することと、混合物をポリウレタンの融点又は軟化温度未満に冷却して、球状ポリマー粒子を形成することと、球状ポリマー粒子を分散媒から分離することと、を含む、方法に関する。
【0096】
図1は、本開示の非限定的な例示的方法100のフローチャートである。CNM-g-ポリウレタン102、分散媒104、任意選択で乳化安定剤106、及び任意選択で、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108(例えば、CNM-g-ポリウレタン102のポリウレタン、CNM-g-ポリウレタン102のものではないポリウレタン、別の熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせ)を組み合わせ110、混合物112を製造する。参照番号108は、「CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー」を指すことに留意されたい。
【0097】
成分102、104、106、及び108は、個別に添加することができるか、又は成分のブレンドに任意の順序で加えることができ、成分102、104、106、及び108を組み合わせるプロセス110中に混合及び/又は加熱することを含む。例えば、CNM-g-ポリウレタン102、及び含まれる場合、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、組み合わせる110前に予備混合され得る。本明細書では、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンは、CNMにグラフト化されない場合ポリウレタンを指す。
【0098】
次いで、(a)CNM-g-ポリウレタン102のポリウレタン又は(b)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108の融点又は軟化温度のいずれか高い方よりも高い温度で混合物112に十分に高い剪断力を適用することによって混合物112を処理114して、溶融乳化物116を形成する。温度は、混合物112のポリマー部分(すなわちCNM-g-ポリウレタン102のポリウレタン、及び、含まれる場合、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108)の融点又は軟化温度を超えるので、CNM-g-ポリウレタン102及び、含まれる場合、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108を含むポリマー溶融物が生じる。剪断速度は、ポリマー溶融物(例えば、CNM-g-ポリウレタンを含む)を液滴(すなわち、ポリマー乳化物116)として分散媒104中に分散させるのに十分であるべきである。理論に束縛されるものではないが、全ての他の要因が同じである場合、剪断力を高めると、分散媒104中のポリマー溶融物の液滴のサイズが減少するはずであると考えられる。しかしながら、ある時点では、剪断を増加させ、液滴サイズを減少させた際に戻りが減少する場合がある、又は液滴の内容物が崩壊して、それから製造される粒子の品質が低下する場合がある。
【0099】
次いで、混合容器の内側及び/又は外側の溶融乳化物116を冷却118して、ポリマーの液滴をCNM-g-ポリウレタン粒子124へと固化する。「CNM-g-ポリウレタン粒子」という用語は、CNM-g-ポリウレタン102を含むポリマー粒子を指し、ポリマー粒子中の他の成分(例えば、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108)を含み得る。
【0100】
次いで、冷却された混合物120を処理122して、CNM-g-ポリウレタン粒子124を他の成分126(例えば、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)から単離し、CNM-g-ポリウレタン粒子124を洗浄するか、さもなければ精製することができる。CNM-g-ポリウレタン粒子124は、CNM-g-ポリウレタン102、及び含まれる場合、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、及び含まれる場合、乳化安定剤106の少なくとも一部を含み、CNM-g-ポリウレタン粒子124の外面をコーティングする。乳化安定剤106又はその一部は、CNM-g-ポリウレタン粒子124上にコーティングとして、おそらくは均一なコーティングとして堆積されてもよい。温度(冷却速度を含む)、CNM-g-ポリウレタン102の種類、並びに乳化安定剤106の種類及びサイズなどの非限定的な要因に依存し得るいくつかの場合には、乳化安定剤106のナノ粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子124の外側表面内に少なくとも部分的に埋め込まれた状態であってもよい。埋め込みを行わなかったとしても、乳化安定剤106内のナノ粒子の少なくとも一部分は、CNM-g-ポリウレタン粒子124と強固に会合したままであり、その更なる使用を容易にし得る。対照的に、既に形成されたポリマー微粒子(例えば、低温粉砕又は沈殿のプロセスによって形成された)とシリカナノ粒子のような流動助剤との乾燥ブレンドによって、ポリマー微粒子上の流動助剤の強固で均一なコーティングは得られない。
【0101】
CNM-g-ポリウレタン粒子124を任意選択的に更に精製128して(以下により詳細に記載される)、精製されたCNM-g-ポリウレタン粒子130を得てもよい。
【0102】
分散媒104は、様々な処理温度(例えば、室温からプロセス温度まで)にてCNM-g-ポリウレタン102及び分散媒104が不混和性であるように選択されるべきである。考慮され得る追加の要因は、CNM-g-ポリウレタン102と分散媒104との間のプロセス温度における粘度の差(例えば、差又は比)である。粘度の差は、液滴破壊及び粒径分布に影響を及ぼし得る。理論に束縛されるものではないが、CNM-g-ポリウレタン102及び分散媒104の粘度が類似しすぎると、全体としての生成物の真円度が低減され得、粒子はより卵形になり、より細長い構造が観察されると考えられる。
【0103】
CNM-g-ポリウレタン102は、組み合わせたCNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物112中に存在してもよい。CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108が含まれる場合、組み合わされたCNM-g-ポリウレタン102及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、組み合わされたCNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物112中に存在してもよい。含まれる場合、CNM-g-ポリウレタン102とCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108との重量比は、約10:90~約99:1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99:1)であり得る。
【0104】
CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108の例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン(好ましくは官能化ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは官能化ポリプロピレン)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(ethylene vinyl acetate、EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(ethylene propylene diene rubber、EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(ethylene-propylene elastomer、EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン(polyether sulfones、PESU)、ポリスルホン(polysulfones、PSU)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、グラフト化又は非グラフト化熱可塑性ポリアミド、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methylmethacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用されてもよい。
【0105】
非極性ポリマーブレンド(例えば、TPUと、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、及びポリエチレンなどの様々な熱可塑性ポリマーとのポリマーブレンド)は、相溶化剤を使用することによって達成可能であり得る。TPU自体は、他のポリマー(例えば、相溶化剤としてのポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)ジブロックコポリマー)とのその適合性又は混和性を増加させるために、ソフトセグメント及びハードセグメントを介して調整され得る。
【0106】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドの後に第1の数のコンマ第2の数が続くものは、ペンダントを有しない部分の窒素=Oの間の第1の数の主鎖炭素を有するポリアミドであり、第2の数の主鎖炭素は、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素の間にある。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH-NH-CO-(CH-CO]である。ポリアミドの後に数(複数可)バックスラッシュ(複数可)が続くものは、バックスラッシュの前後の数によって示されるポリアミドのコポリマーである。
【0107】
本開示の組成物及び方法におけるCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、エラストマーであってもエラストマーでなくてもよい。熱可塑性ポリマーの前述の例のうちのいくつかは、ポリマーの正確な組成に応じて、エラストマー又は非エラストマーであってもよい。例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマーであるポリエチレンは、ポリマー中のプロピレンの量に応じて、エラストマーであっても又はエラストマーでなくてもよい。
【0108】
熱可塑性エラストマーは、概して、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫ゴム(エラストマー合金とも称される)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド(典型的にはポリアミドを含むブロックコポリマー)の6つのクラスのうちの1つの範囲内に入る。熱可塑性エラストマーの例は、Handbook of Thermoplastic Elastomers,2nd ed.,B.M.Walker and C.P.Rader,eds.,Van Nostrand Reinhold,New York,1988に見出すことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、エラストマー性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、並びにポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。弾性スチレン系ブロックコポリマーとしては、イソプレン、イソブチレン、ブチレン、エチレン/ブチレン、エチレン-プロピレン、及びエチレン-エチレン/プロピレンからなる群から選択される少なくとも1つのブロックが挙げられ得る。より具体的な弾性スチレン系ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
ポリウレタンは、脂肪族基、芳香族基、エーテル基、エステル基、ウレタン基、及び尿素基を含み得、したがって、多種多様な他のポリマーとの混和性、又は少なくとも強い界面結合を促進し得る広範囲の極性及び水素結合可能性を提供する。
【0110】
相溶化剤は、CNM-g-ポリウレタン102と1つ以上の熱可塑性ポリマーとのブレンド効率性及び有効性を改善するために所望により使用されてもよい。ポリマー相溶化剤の例としては、限定するものではないが、PROPOLDER(商標)MPP2020 20(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、PROPOLDER(商標)MPP2040 40(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、NOVACOM(商標)HFS2100(無水マレイン酸官能化高密度ポリエチレンポリマー、Polygroup Inc.から入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)L(商標)12/L(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPOW(商標)L(商標)12/H(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)LICA(商標)12(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)KPR(商標)12/LV(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPOW(商標)KPR(商標)12/H(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)チタン酸&ジルコン酸(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、VISTAMAXX(商標)(エチレン-プロピレンコポリマー、ExxonMobilから入手可能)、SANTOPRENE(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム及びポリプロピレンの熱可塑性加硫物、ExxonMobilから入手可能)、VISTALON(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ExxonMobilから入手可能)、EXACT(商標)(プラストマー、ExxonMobilから入手可能)EXXELOR(商標)(ポリマー樹脂、ExxonMobilから入手可能)、FUSABOND(商標)M603(ランダムエチレンコポリマー、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)E226(無水物変性ポリエチレン、Dowから入手可能)、BYNEL(商標)41E710(共押出可能な接着剤樹脂、Dowから入手可能)、SURLYN(商標)1650(アイオノマー樹脂、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)P353(化学修飾ポリプロピレンコポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)PTW(エチレンターポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)3427AC(エチレン及びブチルアクリレートのコポリマー、Dowから入手可能)、LOTADER(商標)AX8840(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3210(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3410(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3430(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4700(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)AX8900(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4720(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 301(BASFから入手可能なエポキシ用アミン)、BAXXODUR(商標)EC 311(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 303(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 280(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 201(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 130(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 110(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、スチレン系、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、EASTMAN(商標)G-3003(無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、Eastmanから入手可能)、RETAIN(商標)(ポリマー変性剤、Dowから入手可能)、AMPLIFY TY(商標)(無水マレイン酸グラフトポリマー、Dowから入手可能)、INTUNE(商標)(オレフィンブロックコポリマー、Dowから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0111】
CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、融点又は軟化温度が、約50℃~約450℃(又は約50℃~約125℃、又は約100℃~約175℃、又は約150℃~約280℃、又は約200℃~約350℃、又は約300℃~約450℃)であってもよい。
【0112】
CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、ガラス転移温度(ASTM E1356-08(2014)で10℃/分の昇温及び冷却速度を使用)が、約-50℃~約400℃(又は約-50℃~約0℃、又は約-25℃~約50℃、又は約0℃~約150℃、又は約100℃~約250℃、又は約150℃~約300℃、又は約200℃~約400℃)であってもよい。
【0113】
CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、任意選択的に添加剤を含み得る。典型的には、添加剤は、熱可塑性ポリマーを混合物に加える前に存在するものである。したがって、ポリマー溶融物液滴及び得られたCNM-g-ポリウレタン粒子124/130では、添加剤は、熱可塑性ポリマー全体に分散される。そのため、明確にするために、この添加剤は本明細書では「内部添加剤」と称される。内部添加剤は、混合物を作製する直前に又はかなり前に熱可塑性ポリマーとブレンドされ得る。
【0114】
本明細書に記載の組成物(例えば、混合物112及びCNM-g-ポリウレタン粒子124)中の成分量を説明する場合、内部添加剤を含まない熱可塑性ポリマーに基づく重量パーセントである。例えば、10重量%の内部添加剤及び90重量%の熱可塑性ポリマーを含む100gの熱可塑性ポリマーの重量に対して1重量%の乳化安定剤106を含む組成物は、0.9gの乳化安定剤106と、90gの熱可塑性ポリマーと、10gの内部添加剤と、を含む組成物である。
【0115】
本開示は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含むCNM-g-ポリウレタン粒子を含む組成物を提供する。CNM-g-ポリウレタン粒子は、約10μm~約100μmの平均粒径及び約1~約2の粒径スパンを有し得る。CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の約0.05重量%~約50重量%のCNMを含み得、CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0116】
内部添加剤は、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108の約0.1重量%~約60重量%(又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で熱可塑性ポリマー中に存在し得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、約70重量%~約85重量%の熱可塑性ポリマーと、約15重量%~約30重量%のガラス繊維又は炭素繊維のような内部添加剤と、を含み得る。
【0117】
内部添加剤の例としては、充填剤、強化剤、顔料、pH調整剤など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例としては、ガラス繊維、ガラス粒子、鉱物繊維、炭素繊維、酸化物粒子(例えば、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム)、金属粒子(例えば、アルミニウム粉体)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。顔料の例としては、有機顔料、無機顔料、カーボンブラックなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書で使用される充填剤は、剥離グラファイト(exfoliated graphite、EG)、剥離グラファイトナノプレートレット(exfoliated graphite nanoplatelet、xGnP)、カーボンブラック、カーボンナノファイバー(carbon nanofiber、CNF)、カーボンナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、グラフェン、酸化グラフェン、酸化グラファイト、酸化グラフェンナノシート、フラーレンを含み得る。
【0118】
好適な分散媒(例えば、分散媒104)は、25℃での粘度が、約1,000cSt~約150,000cSt(又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cSt)であり得る。例えば、好適な分散媒(例えば、分散媒104)は、25℃での粘度が、約10,000cSt~約60,000cStであり得る。
【0119】
分散媒(例えば、分散媒104)の例としては、シリコーンオイル、フッ素化シリコーンオイル、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、アルキル末端ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TDG)のようなC~C末端アルキル基)、パラフィン、流動ワセリン、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、カロフィルムオイル、パームオイル、パールリームオイル、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪族エステル、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン、脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾されたポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。分散媒104が前述のうちの2つ以上を含む場合、分散媒104は1つ以上の相を有してもよい。例えば、脂肪酸で修飾されたポリシロキサン及び脂肪族アルコールで修飾されたポリシロキサン(好ましくは、脂肪酸及び脂肪族アルコールと同様の鎖長を有する)は、単相分散媒を形成し得る。別の例では、シリコーンオイル及びアルキル末端ポリエチレングリコールを含む分散媒104は、二相分散媒を形成し得る。少なくとも1つの実施形態では、分散媒104は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0120】
分散媒104は、組み合わせたCNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108及び分散媒104の約40重量%~約95重量%(又は約75重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%、又は約55重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物中に存在し得る。分散媒は、50:50~90:10の範囲の、分散媒とCNM-g-ポリウレタン102及び熱可塑性ポリマーの組み合わせとの重量比で存在し得る。
【0121】
いくつかの場合、分散媒104は、密度が約0.6g/cm~約1.5g/cmであってもよく、熱可塑性ポリマーは、密度が約0.7g/cm~約1.7g/cmであってもよく、熱可塑性ポリマーは、密度が、分散媒104の密度と同様であるか、それより低いか、又はそれより高くてもよい。
【0122】
CNMは、処理の温度で分解しないように十分に安定であるべきである。CNMの例としては、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンブラックなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0123】
本開示の方法及び組成物に使用される乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、ナノ粒子(例えば、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの組み合わせ)、界面活性剤など、及びこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0124】
酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物であってもよい。酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物も、金属酸化物という用語に含まれる。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても疎水性であってもよく、天然の粒子であっても粒子の表面処理の結果であってもよい。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。加えて、メタクリレート官能基のような機能的な表面処理を施したシリカが、本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0125】
シリカナノ粒子の市販の例としては、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)(例えば、AEROSIL(登録商標)R812S(疎水変性表面及び260±30m/gのBET表面積を有する平均粒径約7nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)RX50(疎水変性表面及び35±10m/gのBET表面積を有する平均粒径約40nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)380(疎水変性表面及び380±30m/gの表面積を有するシリカナノ粒子)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
カーボンブラックは、本明細書に開示される組成物及び方法において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。様々な等級のカーボンブラックが当業者に馴染みのあるものであり、そのうちのいずれかが本明細書で使用され得る。赤外線を吸収することができる他のナノ粒子が同様に使用されてもよい。
【0127】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)として存在し得る別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性である及び/又は架橋されている1つ以上のポリマーを含んでもよい。高い融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーも同様に、好適なポリマーナノ粒子乳化安定剤を含んでもよい。
【0128】
界面活性剤は、アニオン性であっても、カオチン性であっても、非イオン性であっても、双極性イオン性であってもよい。界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ポリ[ジメチルシロキサン-コ-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]]、ドキュセートナトリウム(ナトリウム1,4-ビス(2-エチルヘキソキシ)-1,4-ジオキソブタン-2-スルホネート)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。界面活性剤の市販の例としては、CALFAX(登録商標)DB-45(ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、Pilot Chemicalsから入手可能)、SPAN(登録商標)80(ソルビタンマレエート非イオン性界面活性剤)、MERPOL(登録商標)界面活性剤(Stepan Companyから入手可能)、TERGITOL(商標)TMN-6(水溶性非イオン性界面活性剤、DOWから入手可能)、TRITON(商標)X-100(オクチルフェノールエトキシレート、SigmaAldrichから入手可能)、IGEPAL(登録商標)CA-520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)、BRIJ(登録商標)S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
界面活性剤は、CNM-g-ポリウレタン102の重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約2重量%、又は約1重量%~約3重量%、又は約2重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物中に含まれてもよい。あるいは、混合物は、界面活性剤を含まない(又は界面活性剤が不在である)場合がある。
【0130】
乳化安定剤106中のナノ粒子対界面活性剤の重量比は、約1:10~約10:1(又は約1:10~約1:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:1~約10:1)であり得る。
【0131】
乳化安定剤106は、CNM-g-ポリウレタン102及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108の重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物中に含まれ得る。
【0132】
図1の組み合わせること110に関して、場合によっては、乳化安定剤106は、まず、CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108を添加する前に、任意選択で当該分散液を加熱しながら、分散媒104中に分散され得る。別の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は加熱されて、ポリマー溶融物が製造され得、このポリマー溶融物に分散媒104及び乳化安定剤106が一緒に又はいずれかの順序で加えられる。更に別の非限定的な例では、分散媒104と共にCNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108は、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高い温度、及び分散媒104内にポリマー溶融物を分散させるのに十分な剪断速度で混合され得る。次いで、乳化安定剤106を加えて、混合物112を形成し、設定した期間の間、好適なプロセス条件で維持することができる。
【0133】
任意の組み合わせでCNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、及び任意選択で乳化安定剤106を組み合わせることは、処理に使用される混合装置及び/又は別の好適な容器において生じ得る。非限定的な例として、CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108を、処理に使用される混合装置内で本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度を超える温度まで加熱してもよく、乳化安定剤106を、別の容器内で分散媒104中に分散させてもよい。次いで、当該分散液は、処理に使用される混合装置内の溶融物に添加され得る。
【0134】
溶融乳化物116を製造するための処理114に使用される混合装置は、溶融乳化物116を本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度を超える温度に維持し、ポリマー溶融物を液滴として分散媒104中に分散させるのに十分な剪断速度を適用することができるべきである。
【0135】
溶融乳化物116を製造するための処理114に使用される混合装置の例としては、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機など)、撹拌反応器、ブレンダ、インラインホモジナイザシステムを備える反応器など、及びそこから派生する装置が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0136】
設定した期間に好適なプロセス条件(例えば、温度、剪断速度など)での処理114及び溶融乳化物116の形成。
【0137】
処理114及び溶融乳化物116の形成の温度は、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高く、混合物112中の任意の成分(すなわち、CNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、乳化安定剤106)の分解温度を下回る温度であるべきである。例えば、処理114及び溶融乳化物116の形成の温度は、処理及び溶融乳化物116の形成の温度が混合物112中のいずれかの成分(すなわち、CNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、乳化安定剤106)の分解温度未満であるという条件で、本明細書に記載の融点又は軟化温度より約1℃~約50℃(又は約1℃~約25℃、又は約5℃~約30℃、又は約20℃~約50℃)高くてもよい。
【0138】
処理114及び溶融乳化物116の形成の剪断速度は、ポリマー溶融物を液滴として分散媒104中に分散させるのに十分な高さであるべきである。当該液滴は、粒径が約1000μm以下(又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約50μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約500μm、又は約250μm~約750μm、又は約500μm~約1000μm)の液滴を含むべきである。
【0139】
処理114及び溶融乳化物116の形成の当該温度及び剪断速度を維持する時間は、10秒~18時間以上(又は10秒~30分、又は5分~1時間、又は15分~2時間、又は1時間~6時間、又は3時間~18時間)であってもよい。理論に束縛されるものではないが、液滴粒径の定常状態には、処理を停止し得る時点で到達すると考えられる。その時間は、とりわけ、温度、剪断速度、CNM-g-ポリウレタン102、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒組成物104、及び乳化安定剤組成物106に依存し得る。
【0140】
溶融乳化物116は、その後冷却118されてもよい。冷却118は低速(例えば、周囲条件下で溶融乳化物116を冷却すること(118)を可能にする)から高速(例えば、急冷)であることができる。例えば、冷却118の速度は、約10℃/時間~約100℃/秒、更には急冷(例えばドライアイス)によるほぼ瞬時(又は約10℃/時間~約60℃/時間、又は約0.5℃/分~約20℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分、又は約10℃/分~約60℃/分、又は約0.5℃/秒~約10℃/秒、又は約10℃/秒~約100℃/秒)の範囲であり得る。
【0141】
冷却中、剪断力はほとんど又は全く溶融乳化物116に適用されなくてもよい。いくつかの場合、加熱中に適用される剪断力が冷却118中に適用されてもよい。
【0142】
溶融乳化物116の冷却118から得られる冷却された混合物は、固化したCNM-g-ポリウレタン粒子124及び他の成分(例えば、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)を含み得る。CNM-g-ポリウレタン粒子124は、分散媒104中に分散され得、かつ/又は分散媒104中に沈降し得る。
【0143】
次いで、冷却された混合物は、他の成分から分離したCNM-g-ポリウレタン粒子124へと処理され得る。好適な処理としては、洗浄、濾過、遠心分離、及びデカントなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
CNM-g-ポリウレタン粒子124の洗浄に使用される溶媒は、一般に、(a)分散媒104と混和性であり、(b)CNM-g-ポリウレタン102及び/又はCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108と非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶解性)であるべきである。溶媒の選択は、とりわけ、分散媒104、CNM-g-ポリウレタン102、及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108の組成に依存することになる。
【0145】
溶媒の例としては、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、及びテトラデカン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、2-メチルナフタレン、及びクレゾール)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、及びジオキサン)、ケトン溶媒(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn-プロパノール)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、及び酪酸ブチル)、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロホルム、ブロモフォーム、1,2-ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、及びヘキサフルオロイソプロパノール)、水など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
溶媒は、空気乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又はこれらのハイブリッドなどの適切な方法を使用して乾燥することによって、CNM-g-ポリウレタン粒子124から除去されてもよい。加熱は、好ましくは、CNM-g-ポリウレタン102及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー108のポリウレタンのガラス転移点よりも低い温度で実施され得る(例えば、約50℃~約150℃)。
【0147】
有利には、本明細書に記載のシステム及び方法の分散媒(例えば、分散媒104)、及び洗浄溶媒は、リサイクル及び再利用することができる。当業者であれば、再生プロセスに必要な使用済み分散媒104及び溶媒の任意の必要な洗浄を認識するであろう。
【0148】
他の成分から分離した後のCNM-g-ポリウレタン粒子124は、任意選択的に更に精製されてもよい。例えば、粒径分布を狭くする(又は粒径スパンを減少させる)ために、CNM-g-ポリウレタン粒子124を、孔径が約10μm~約250μm(又は約10μm~約100μm、又は約50μm~約200μm、又は約150μm~約250μm)の篩に通すことができる。
【0149】
別の例示的な精製技法では、CNM-g-ポリウレタン粒子124の表面と関連付けられるナノ粒子の実質的に全てを維持しながら、CNM-g-ポリウレタン粒子124を水で洗浄して界面活性剤を除去してもよい。更に別の例示的な精製技法では、CNM-g-ポリウレタン粒子124を添加剤とブレンドして、所望の最終生成物を得てもよい。明確にするために、このような添加剤は、粒子が固化した後に本明細書に記載のCNM-g-ポリウレタン粒子124とブレンドされるため、このような添加剤は、本明細書では「外部添加剤」と称される。外部添加剤の例としては、流動助剤、他のポリマー粒子、充填剤など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0150】
場合によっては、CNM-g-ポリウレタン粒子124の作製に使用される界面活性剤は、下流用途において望ましくないことがある。したがって、更に別の例示的な精製技法は、CNM-g-ポリウレタン粒子124から(例えば、洗浄及び/又は熱分解により)界面活性剤を少なくとも実質的に除去することを含んでもよい。
【0151】
CNM-g-ポリウレタン粒子124及び/又は精製CNM-g-ポリウレタン粒子124は、組成、物理的構造などを特徴とし得る。
【0152】
上述のように、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、ポリマー溶融物と分散媒104との間の界面にある。その結果、混合物が冷却されると、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、当該界面に、又はその付近に留まる。したがって、CNM-g-ポリウレタン粒子124の構造は、概して、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)が使用されるとき、(a)CNM-g-ポリウレタン粒子124の外側表面上に分散し、かつ/又は(b)CNM-g-ポリウレタン粒子124の外側部分(例えば、外側1体積%)に埋め込まれた、乳化安定剤を含む。
【0153】
更に、ポリマー溶融物液滴の内部に空隙が形成される場合、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、概して、空隙の内部とCNM-g-ポリウレタン124及び/又は熱可塑性ポリマーとの間の界面にある(及び/又は埋め込まれる)べきである。空隙は一般に、CNM-g-ポリウレタン124及び/又は熱可塑性ポリマーを含有しない。むしろ、空隙は、例えば、分散媒104を含んでも、空気を含んでも、空であってもよい。CNM-g-ポリウレタン粒子124は、分散媒104を、CNM-g-ポリウレタン粒子124の約5重量%以下(又は約0.001重量%~約5重量%、又は約0.001重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約1重量%~約5重量%)で含んでもよい。
【0154】
CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーが含まれていない場合、組み合わされたCNM-g-ポリウレタン及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーは、CNM-g-ポリウレタン粒子の約90重量%~約99.5重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%)でCNM-g-ポリウレタン粒子中に存在し得る。CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーが含まれる場合、組み合わされたCNM-g-ポリウレタン及びCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーは、CNM-g-ポリウレタン粒子の約90重量%~約99.5重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%)でCNM-g-ポリウレタン粒子中に存在し得る。CNM-g-ポリウレタンとCNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマー(含まれる場合)との重量比は、約10:90~約99:1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99:1)であり得る。
【0155】
含まれる場合、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、CNM-g-ポリウレタン粒子124の約10重量%以下(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%)で、CNM-g-ポリウレタン粒子124中に存在し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、0.01重量%未満(又は0重量%~約0.01重量%、又は0重量%~0.001重量%)でCNM-g-ポリウレタン粒子124/130中に存在し得る。
【0156】
微粒子状乳化安定剤を使用して本明細書の開示による熱可塑性微粒子を形成する際、シリカナノ粒子などの微粒子状乳化安定剤の少なくとも一部を、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130の外面上にコーティングとして配置してよい。界面活性剤の少なくとも一部分は、使用される場合、同様に外側表面に会合し得る。コーティングは、外側表面上に実質的に均一に配置され得る。コーティングに関して本明細書で使用するとき、「実質的に均一」という用語は、コーティング組成物(例えば、ナノ粒子及び/又は界面活性剤)によって被覆される表面位置、特に外側表面全体における、均一なコーティング厚さを指す。乳化安定剤106は、CNM-g-ポリウレタン粒子の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でCNM-g-ポリウレタン粒子124/130中に存在し得る。CNM-g-ポリウレタン粒子124/130の外側表面上の乳化安定剤の被覆率は、走査電子顕微鏡画像(SEM顕微鏡写真)の分析を使用して決定されてもよい。乳化安定剤は、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130(及び製造される場合コーティングされたCNM-g-ポリウレタン粒子)の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成してもよい。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でCNM-g-ポリウレタン粒子124/130中に存在し得る。CNM-g-ポリウレタン粒子の外側表面上の乳化安定剤の被覆率は、SEM顕微鏡写真の画像解析を用いて決定され得る。
【0157】
本開示のCNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、CNM-g-ポリウレタン124/130の約0.01重量%~約50重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のカーボンナノ材料(又は2つ以上を使用する場合、累積でのカーボンナノ材料)を含み得る。
【0158】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、1つ以上のカーボンナノ材料を含み得る。例えば、2つ以上の異なるカーボンナノ材料を同じ反応でポリウレタンにグラフト化し、次いで本明細書に記載の方法及び組成物中のCNM-g-ポリウレタン102として使用してもよい。別の例では、2つの異なるCNM-g-ポリウレタンは、本明細書に記載の溶融乳化プロセスの混合プロセスの前(又は最中)に製造及びブレンドされ得る。
【0159】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、約0.90~約1.0の真円度を有し得る。
【0160】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、BET表面積が、約10m/g~約500m/g(又は約10m/g~約150m/g、又は約25m/g~約100m/g、又は約100m/g~約250m/g、又は250m/g~約500m/g)であってもよい。
【0161】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が、約0.1μm~約125μm(又は約0.1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約75μm、又は約50μm~約85μm、又は約75μm~約125μm)であってもよく、D50が、約0.5μm~約200μm(又は約0.5μm~約10μm、又は約5μm~約50μm、又は約30μm~約100μm、又は約30μm~約70μm、又は約25μm~約50μm、又は約50μm~約100μm、又は約75μm~約150μm、又は約100μm~約200μm)であってもよく、D90が、約3μm~約300μm(又は約3μm~約15μm、又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約75μm、又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)であってもよく、D10<D50<D900である。CNM-g-ポリウレタン粒子124/130はまた、粒径スパンが、約0.2~約10(又は約0.2~約0.5、又は約0.4~約0.8、又は約0.5~約1、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10)であってもよい。限定するものではないが、1.0以上の直径スパン値は広いとみなされ、粒径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。好ましくは、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、粒径スパンが約0.2~約1である。
【0162】
第1の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が約0.1μm~約10μmであってもよく、D50が約0.5μm~約25μmであってもよく、D90が約3μm~約50μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、粒径スパンが約0.2~約2であってもよい。
【0163】
第2の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が約5μm~約30μmであってもよく、D50が約30μm~約70μmであってもよく、D90が約70μm~約120μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、粒径スパンが約1.0~約2.5であってもよい。
【0164】
第3の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が約25μm~約60μmであってもよく、D50が約60μm~約110μmであってもよく、D90が約110μm~約175μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、粒径スパンが約0.6~約1.5であってもよい。
【0165】
第4の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が約75μm~約125μmであってもよく、D50が約100μm~約200μmであってもよく、D90が約125μm~約300μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、粒径スパンが約0.2~約1.2であってもよい。
【0166】
第5の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、D10が、約1μm~約50μm(又は約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約50μm)であってもよく、D50が、約25μm~約100μm(又は約30μm~約100μm、又は約30μm~約70μm、又は約25μm~約50μm、又は約50μm~約100μm)であってもよく、D90が、約60μm~約300μm(又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)であってもよく、D10<D50<D90である。CNM-g-ポリウレタン粒子124/130はまた、粒径スパンが約0.4~約3(又は約0.6~約2、又は約0.4~約1.5、又は約1~約3)であってもよい。
【0167】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、真円度が、約0.9以上(又は約0.90~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~1.0)であってもよい。
【0168】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、安息角が、約25°~約45°(又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°)であってもよい。
【0169】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、ハウスナー比が、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)であってもよい。
【0170】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、嵩密度が、約0.3g/cm~約0.8g/cm(又は約0.3g/cm~約0.6g/cm、又は約0.4g/cm~約0.7g/cm、又は約0.5g/cm~約0.6g/cm、又は約0.5g/cm~約0.8g/cm)であってもよい。
【0171】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、ゆるみ密度が、約0.5g/cm~約0.8g/cm(又は約0.5g/cm~約0.7g/cm、又は約0.55g/cm~約0.80g/cm)であってもよい。
【0172】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、タップ密度が、約0.6g/cm~約0.9g/cm(又は約0.60g/cm~約0.75g/cm、又は約0.65g/cm~約0.80g/cm、又は約0.70g/cm~約0.90g/cm)であってもよい。
【0173】
処理の温度及び剪断速度、並びに成分(例えば、CNM-g-ポリウレタン102、熱可塑性ポリマー、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)の組成及び相対濃度に応じて、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130を構成する異なる形状の構造が製造され得る。典型的には、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、実質的に球状の(真円度が約0.97以上の)粒子を含む。しかしながら、円盤状及び細長い構造を含む他の構造が、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130において観察され得る。したがって、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、(a)真円度が0.97以上の実質的に球状の粒子、(b)アスペクト比が約2~約10の円盤状構造、及び(c)アスペクト比が10以上の細長い構造のうちの1つ以上を含んでもよい。上記の(a)、(b)、及び(c)構造の各々は、乳化安定剤が、(a)、(b)、及び(c)構造の外側表面上に分散されている、及び/又は(a)、(b)、及び(c)構造の外側部分に埋め込まれている。(a)、(b)、及び(c)構造のうちの少なくともいくつかは凝集し得る。例えば、(c)の細長い構造は、(a)の実質的に球状の粒子の表面上に位置し得る。
【0174】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンの焼結域(sintering window)の10℃以内、好ましくは5℃以内の焼結域を有し得る。
【0175】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、融点が、約170℃~約200℃(又は約175℃~約195℃、又は約180℃~約190℃、例えば約185℃~約190℃)の範囲であり得る。
【0176】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、結晶化温度が、約130℃~約170℃(又は約135℃~約165℃、又は約140℃~約160℃、例えば約145℃~約155℃)の範囲であり得る。
【0177】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、結晶化度が、約20%~約40%(又は約22%~約38%、又は約24%~約36%、又は約26%~約34%、又は約28%~約32%、又は約20%~約30%、又は約22%~約28%)の範囲であり得る。
【0178】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、MFI流量が、約0.5g/10分~約10g/10分(又は約1g/10分~約8g/10分、又は約1.5g/10分~約6g/10分、又は約2g/10分~約5g/10分)の範囲であり得る。
【0179】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、0.1%~約5%(又は約0.5%~約4.5%、又は約1%~約4%)の範囲のSLS部分の寸法精度を提供し得る。
【0180】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、引張強度が、約50MPa~約200Mpa(又は約60MPa~約150Mpa、又は約80MPa~約100Mpa)の範囲であり得る。
【0181】
本開示のCNM-gポリウレタン粒子124/130のSLS部分の引張強度及び寸法精度は、同じ処理パラメータによる典型的なポリウレタン粒子のSLS部分のものよりも有利に高くてもよい。
【0182】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、引張弾性率(繊維として)が、約400MPa~約1000MPa(又は約425MPa~約800MPa、又は約450MPa~約600MPa、又は約475MPa~約500MPa、又は約500MPa~約600MPa)の範囲であり得る。
【0183】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、極限強度が、約50Mpa~約500Mpa(又は約60Mpa~約450Mpa、又は約70Mpa~約400Mpa、又は約80MPa~約350Mpa、又は約90Mpa~約300Mpa、又は約100Mpa~約250Mpa、又は約50Mpa~約150Mpa、又は約80Mpa~約120Mpa)の範囲であり得る。
【0184】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、曲弾性率が、約50MPa~約2000Mpa(又は約100MPa~約1500Mpa、又は約150MPa~約1000Mpa、又は約200MPa~約800Mpa、又は約500MPa~約1000Mpa)の範囲であり得る。
【0185】
CNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、破壊時の伸び率が、約2%~約200%(又は約4%~約190%、又は約6%~約180%、又は約8%~約160%、又は約10%~約140%、又は約15%~約120%、又は約20%~約100%、又は約50%~約150%)の範囲であり得る。
CNM-g-ポリウレタンの用途
【0186】
本開示はまた、選択的レーザー焼結の方法に関し、本方法は、(a)(a1)CNM-g-ポリウレタン、及び任意選択で(a2)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンではなく、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーを含む高真球度ポリマー粒子、並びに任意選択で(b)表面上にCNM-g-ポリウレタンを含まない他の熱可塑性ポリマー粒子を堆積させることと、堆積させた後、球状ポリマー粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、ポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含み得る。
【0187】
本明細書に記載されるCNM-g-ポリウレタン粒子124/130は、様々な物品を製造するために使用され得る。非限定的な例として、本開示の3D印刷プロセスは、本明細書に記載のCNM-g-ポリウレタン粒子124/130を表面上に(例えば、層及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させた後、粒子の少なくとも一部分を加熱して、粒子の固結化を促進し、固結化体(又は物体)を形成することと、を含んでもよい。固結化体は、固結後の空隙率が、約5%以下(例えば、0%~約5%、又は約0.5%~約2%、又は約1%~約3%、又は約2%~約5%)であってもよい。例えば、ポリマー粒子の加熱及び固結化(例えば、CNM-g-ポリウレタン粒子124/130及び他の熱可塑性ポリマー粒子)は、選択的レーザー焼結によって加熱及び固結化が行われるように、レーザーを用いた3D印刷装置内で行われてもよい。
【0188】
本CNM-g-ポリウレタン粒子124/130を使用して物品の全部又は一部分を形成し得る、かかる方法により製造され得る当該物品の例としては、粒子、フィルム、梱包材、玩具、家庭用品、自動車部品、航空宇宙/航空機関連部品、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品などのためのもの)、靴のソール、家具部品、装飾用家庭用品、プラスチックギア、ネジ、ナット、ボルト、結束バンド、宝飾品、芸術品、彫像、医療品目、補装具、整形外科用インプラント、教育における学習を支援するアーチファクトの製造、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット工学用品、生体医学装置(装具)、家庭電化製品、歯科用品、電子機器、スポーツ用品などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、粒子は、塗料、粉体コーティング、インクジェット材料、電子写真トナー、3D印刷などが挙げられるがこれらに限定されない用途において有用であってもよい。
例示的実施形態
【0189】
本開示に記載の第1の非限定的な例示的実施形態は、選択的レーザー焼結の方法であり、本方法は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、堆積させた後、選択的レーザー焼結によってCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、そのポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む。第1の非限定的な例示的実施形態は、次のうちの1つ以上を更に含み得る:要素1:CNM-g-ポリウレタンは、CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%のポリウレタン、及び約0.05重量%~約50重量%のカーボンナノ材料を含む;要素2:ポリウレタンは、その場重合、又はマイクロ波アシストソリッドステートグラフト化によってCNMにグラフト化されている;要素3:ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である;要素4:ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造される;要素5:要素4であり、かつポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートを含む;要素6:要素4であり、かつポリイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される;要素7:要素4であり、かつポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルとポリエステルポリオールとのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される;要素8:要素7であり、かつポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエステル、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む;要素9:要素4であり、かつ鎖延長剤成分は、直鎖アルキレンジオールを含む;要素10:要素9であり、かつ鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジプロピレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される;要素11:CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される;要素12:ポリウレタンとCNMとのモル比は、約500:1~約1:500である;要素13:ポリウレタンとCNMとのモル比は、約20:1~約10:1である;要素14:CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する;要素15:CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の外側表面内に埋め込まれている乳化安定剤を有する;要素16:要素15であり、かつ乳化安定剤はナノ粒子を含む;要素17:要素16であり、かつCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部は、空隙/ポリマー界面に乳化安定剤を含む空隙を有する;要素18:要素16であり、かつ乳化安定剤は、ナノ粒子を含み、ナノ粒子は空隙/ポリマー界面に埋め込まれている;要素19:CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーを更に含む;要素20:CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒を更に含む;要素21:CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.1μm~約125μmのD10、約0.5μm~約200μmのD50、約3μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である;要素22:CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する;、要素23:CNM-g-ポリウレタン粒子は、約25°~約45°の安息角を有する;要素24:CNM-g-ポリウレタン粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する。
【0190】
本開示の第2の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含むCNM-g-ポリウレタン粒子を含む組成物である。CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の約0.05重量%~約50重量%のCNMを含み得、CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。第2の非限定的な例示的実施形態は、要素1;要素2;要素3;要素5;要素6;要素9;要素10;要素10;要素11;要素12;要素13;要素14;要素15;要素16;要素17;要素18;要素19;要素20;要素21;要素22;及び要素23:ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0191】
第3の非限定的な例示的実施形態は、(a)カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)であって、CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含む、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンと、(b)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒と、任意選択で(c)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーと、任意選択で(d)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタン及び熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度よりも高い温度での、かつ、含まれる場合には、分散媒中にCNM-g-ポリウレタンを分散させるのに十分に高い剪断速度での乳化安定剤と、を含み、混合物を融点又は軟化温度未満に冷却して、CNM-g-ポリウレタン粒子を形成することと、CNM-g-ポリウレタン粒子を分散媒から分離することと、を含む、方法である。第3の非限定的な例示的実施形態は、要素1;要素2;要素3;要素5;要素6;要素9;要素10;要素10;要素11;要素12;要素13;要素14;要素15;要素16;要素17;要素18;要素19;要素20;要素21;要素22;要素23;要素24:ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、及び任意選択の鎖延長剤成分は、1:0.5:0.5のモル比で組み合わされている;要素25:分散媒は、50:50~90:10の範囲の、分散媒とCNM-g-ポリウレタン及び熱可塑性ポリマーの組み合わせとの重量比で存在する;要素26:分散媒は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である、のうちの1つ以上を更に含み得る。
条項
【0192】
条項1.選択的レーザー焼結の方法であって、方法は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)粒子を任意選択で他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に堆積させることであって、CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料(CNM)にグラフト化されたポリウレタンを含む、ことと、堆積させた後、選択的レーザー焼結によってCNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、そのポリマー粒子を融合させ、固結体を形成することと、を含む、方法。
【0193】
条項2.CNM-g-ポリウレタンは、CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%のポリウレタン、及び約0.05重量%~約50重量%のカーボンナノ材料を含む、条項1に記載の方法。
【0194】
条項3.ポリウレタンは、その場重合、又はマイクロ波アシストソリッドステートグラフト化によってCNMにグラフト化されている、条項1に記載の方法。
【0195】
条項4.ポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、条項1に記載の方法。
【0196】
条項5.ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造される、条項1に記載の方法。
【0197】
条項6.ポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートを含む、条項5に記載の方法。
【0198】
条項7.ポリイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項5に記載の方法。
【0199】
条項8.ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルとポリエステルポリオールとのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項5に記載の方法。
【0200】
条項9.ポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエステル、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む、条項8に記載の方法。
【0201】
条項10.鎖延長剤成分は、直鎖アルキレンジオールを含む、条項5に記載の方法。
【0202】
条項11.鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジプロピレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項10に記載の方法。
【0203】
条項12.CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1に記載の方法。
【0204】
条項13.ポリウレタンとCNMとのモル比は、約500:1~約1:500である、条項1に記載の方法。
【0205】
条項14.ポリウレタンとCNMとのモル比は、約20:1~約10:1である、条項1に記載の方法。
【0206】
条項15.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、条項1に記載の方法。
【0207】
条項16.CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の外側表面内に埋め込まれている乳化安定剤を有する、条項1に記載の方法。
【0208】
条項17.乳化安定剤は、ナノ粒子を含む、条項16に記載の方法。
【0209】
条項18.CNM-g-ポリウレタン粒子の少なくとも一部は、空隙/ポリマー界面に乳化安定剤を含む空隙を有する、条項17に記載の方法。
【0210】
条項19.乳化安定剤は、ナノ粒子を含み、ナノ粒子は空隙/ポリマー界面に埋め込まれている、条項17に記載の方法。
【0211】
条項20.CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーを更に含む、条項1に記載の方法。
【0212】
条項21.CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒を更に含む、条項1に記載の方法。
【0213】
条項22.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.1μm~約125μmのD10、約0.5μm~約200μmのD50、及び約3μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項1に記載の方法。
【0214】
条項23.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項1に記載の方法。
【0215】
条項24.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項1に記載の方法。
【0216】
条項25.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1に記載の方法。
【0217】
条項26.組成物であって、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含むCNM-g-ポリウレタン粒子を含む組成物。CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の約0.05重量%~約50重量%のCNMを含み得、CNMは、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0218】
条項27.ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、及び任意選択の鎖延長剤成分は、1:0.5:0.5のモル比で組み合わされている、条項26に記載の組成物。
【0219】
条項28.CNM-g-ポリウレタンは、CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%のポリウレタン、及び約0.05重量%~約50重量%のカーボンナノ材料を含む、条項26に記載の組成物。
【0220】
条項29.CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒を更に含む、条項26に記載の組成物。
【0221】
条項30.分散媒は、50:50~90:10の範囲の、分散媒とCNM-g-ポリウレタン及び熱可塑性ポリマーの組み合わせとの重量比で存在する、条項26に記載の組成物。
【0222】
条項31.分散媒は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である、条項26に記載の組成物。
【0223】
条項32.ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、条項26に記載の組成物。
【0224】
条項33.(a)カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)であって、CNM-g-ポリウレタン粒子は、カーボンナノ材料にグラフト化されたポリウレタンを含む、カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタンと、(b)CNM-g-ポリウレタンのポリウレタンと不混和性である分散媒と、任意選択で(c)CNMにグラフト化されていない熱可塑性ポリマーと、任意選択で(d)乳化安定剤と、を含む混合物を、CNM-g-ポリウレタンのポリウレタン及び熱可塑性ポリマー(含まれる場合)の融点又は軟化温度よりも高い温度で、かつ、分散媒中にCNM-g-ポリウレタンを分散させるのに十分に高い剪断速度で混合することと、混合物を融点又は軟化温度未満に冷却して、CNM-g-ポリウレタン粒子を形成することと、CNM-g-ポリウレタン粒子を分散媒から分離することと、を含む、方法。
【0225】
条項34.ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択の鎖延長剤成分から製造された熱可塑性ポリウレタン(TPU)である、条項33に記載の方法。
【0226】
条項35.ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、及び任意選択の鎖延長剤成分は、1:0.5:0.5のモル比で組み合わされている、条項34に記載の方法。
【0227】
条項36.CNM-g-ポリウレタンは、CNM-g-ポリウレタンの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%のポリウレタン、及び約0.05重量%~約50重量%のカーボンナノ材料を含む、条項33に記載の方法。
【0228】
条項37.分散媒は、50:50~90:10の範囲の、分散媒とCNM-g-ポリウレタン及び熱可塑性ポリマーの組み合わせとの重量比で存在する、条項33に記載の方法。
【0229】
条項38.分散媒は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である、条項33に記載の方法。
【0230】
条項39.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.1μm~約125μmのD10、約0.5μm~約200μmのD50、及び約3μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、条項33に記載の方法。
【0231】
条項40.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項33に記載の方法。
【0232】
条項41.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項33に記載の方法。
【0233】
条項42.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項33に記載の方法。
【0234】
条項43.CNM-g-ポリウレタン粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、条項33に記載の方法。
【0235】
条項44.CNM-g-ポリウレタン粒子は、CNM-g-ポリウレタン粒子の外側表面内に埋め込まれている乳化安定剤を有する、条項33に記載の方法。
【0236】
条項45.乳化安定剤は、ナノ粒子を含む、条項33に記載の方法。
【0237】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの特性、プロセス条件などを表す全ての数字は、あらゆる場合において、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0238】
本明細書に開示される本開示の実施形態を組み込む1つ以上の例示的実施形態が、本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本開示の実施形態を組み込む物理的実施形態の開発において、実装によって、また時によって異なる、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約を伴うコンプライアンスなどの開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことが理解される。開発者の努力には時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、そのような努力は、当業者にとって日常的な作業であり、本開示の利益を得るものとなるであろう。
【0239】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という用語で本明細書に記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。
【0240】
本開示の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本開示の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0241】
実施例1.一般的な、その場でのCNMなしのTPU重合。一般的な、その場での純粋なTPU重合(炭素源なし)が記載されている。ジイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤のモル比1.02:0.5:0.5(比率は、異なる特性を得るために修正され得る)を使用することができる。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)を真空オーブンにおいて室温で1時間乾燥させて、微量の水分を除去することができる。プレポリマーは、MDIを、3つ口丸底フラスコ内で撹拌しながら、窒素スイープ下で80℃で2時間、乾燥DMF中でポリオールと反応させることによって、固形分20%で、調製することができる。温度は、油浴を使用して維持することができる。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって確認することができる。
【0242】
実施例2.一般的な、その場でのCNMを用いたTPU重合。ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤のモル比は、1.02:0.5:0.5であり得る(比率は、異なる特性を得るために修正され得る)。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)を真空オーブンにおいて室温で1時間乾燥させて、微量の水分を除去し得る。プレポリマーは、MDIを、3つ口丸底フラスコ内で撹拌しながら、窒素スイープ下で80℃で2時間、乾燥DMF中でポリオールと反応させることによって、固形分20%で、調製され得る。温度は、油浴を使用して80℃に維持することができる。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって確認され得る。1,4-ブタンジオール及び2.3×10-7mol/cmラウリン酸ジブチルスズ触媒を、持続する窒素流の下で、80℃で乾燥DMF中の反応容器に添加してもよい。6分の鎖延長後、計算された量の修飾された炭素源を反応容器に添加してもよい。反応物を更に2時間撹拌し、次いで、得られた粘性混合物を金型に注ぎ、DMFを蒸発させ得る。DMFが蒸発した後に、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって、残留溶媒を除去することができる。ただし、CNMは、ポリオールの添加前、鎖延長剤の添加前、又は重合の完了後に添加され得る。
【0243】
実施例3.図2は、以下のように調製された、酸化グラフェン-グラフト化-ポリウレタン、合成TPU(MDI、p(THF)、1,4-BD)0.5%酸化グラフェンの走査電子顕微鏡(SEM)断面画像の非限定的な例である:ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤のモル比は、1.02:0.5:0.5であった(この比は、異なる特性を得るために修正され得る)。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、MDIを真空オーブンにおいて室温で1時間乾燥させて、微量の水分を除去した。酸化グラフェンを、真空オーブンにおいて50℃で3時間乾燥させた。アルゴン入口を備えた3つ口丸底フラスコに、ポリ(テトラヒドロフラン)(10g、0.01mol、1000kDa)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、5.2g、0.0204mol)、及び55mLの乾燥DMFを添加した。反応混合物を80℃に加熱し、次いで、激しく撹拌しながら2時間反応させて、プレポリマーを得た。別に、酸化グラフェン(0.08g)を10mLのDMFと混合し、1時間超音波処理して、GOの安定な分散液を得た。80℃で2時間後、5mLの乾燥DMFを用いて1,4-ブタンジオール(0.9g、0.01mol)及び1滴のラウリン酸ジブチルスズ触媒を、持続するアルゴン下で反応温度を80℃に維持しながら乾燥DMF中の反応容器に添加した。5分の鎖延長後、GO分散液を反応混合物に添加した。反応物を更に2時間激しく撹拌し、次いで粘性混合物をテフロンで裏打ちした金型に注ぎ、DMFを蒸発させた。DMFが蒸発した後に、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって残留溶媒を除去した。図2の(SEM)断面画像は、TPUマトリックス全体にわたって良好な分散を示す。
【0244】
仮想例1.マイクロ波アシストソリッドステートグラフト化。
【0245】
1)マイクロ波放射を介した表面修飾について記載する。ポリマー複合体を合成する前に、CNTをカルボキシル化することができ、CNTのカルボキシル化は、濃硫酸と硝酸との混合物中のCNTをマイクロ波放射を介して処理することによって実行され得、これは、1gのCNTと100mLの1:1の濃縮HSO及び濃縮HNOとを組み合わせることによって達成され得る。次いで、フラスコを140℃で10分間マイクロ波照射に供することができる。酸処理後、CNTをビーカーに移し、続いて100mLの脱イオン(DI)水を添加し、混合物を室温まで冷却し得る。酸化生成物は、0.22μmの孔径を有するテフロン膜を使用して濾過され得る。得られたカルボキシル化CNT生成物は、中性pHに達するまでDI水で洗浄され、次いで真空オーブンで乾燥され得る。
【0246】
2)マイクロ波放射を介したカルボキシル化CNTのグラフト化(5重量%のCNT)について記載する。1gのカルボキシル化CNTを、超音波処理を介して10mLのTHF中に分散させることができる。別個の容器において、20gのTPUを100mLのTHFに溶解することができる。カルボキシル化CNTが十分に分散されると、撹拌しながらTPU溶液に滴下することができる。均質な混合物が得られるまで撹拌を続けることができる。次いで、混合物を金型に注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。次いで、TPUとカルボキシル化CNT混合物との混合物をマイクロ波照射下で、50%総電力出力(800Wの50%)で5分間処理することができる。
【0247】
仮想例2.フラーレン(ヒドロキシル修飾)。
【0248】
1)フラーレンの表面修飾について記載する。フラーレンスートは、最初に450℃で4時間アニールされ得る。次いで、新品のフラーレンは、酸化を受けて分子の表面を官能化し得る。フラーレンの酸化は、濃硝酸で還流することによって実施され得る。1.5gの新品のフラーレンC60は、70mLの濃縮されたHNO3溶液を用いて120℃にて48時間還流され得る。次いで、混合物を蒸留水で希釈し、例えば、孔径が0.45μmのテフロン膜を使用して濾過することができる。次いで、酸化された材料を蒸留水で中性pHに達するまで洗浄し、次いで真空下で乾燥させて残留水を除去することができる。次いで、乾燥したヒドロキシル官能化フラーレン粉末を重合反応に使用してもよい。
【0249】
2)その場重合を介して、ヒドロキシル官能化フラーレンをTPUにグラフト化することについて記載する。官能化フラーレンが重合に添加され得る時期に応じて、材料は、ポリマー骨格にグラフトするために、又はポリマー鎖をエンドキャップするために使用され得る(上記の炭素源とのその場重合を参照)。
【0250】
仮想例3.ナノチューブ(PCL-CNT)。
【0251】
1)CNTの酸化について記載する。カーボンナノチューブ(CNT)は、更なる処理が起こり得る前に酸化され得る。この変換は、1gの未加工CNTを、超音波処理装置(ultrasonicator)を使用して3:1の比率の濃硫酸及び硝酸の100mL混合物中に分散させることによって達成され得る。次いで、混合物を徐々に90℃に加熱し、30分間撹拌することができる。反応が完了した後、混合物をDI水で希釈し、テフロン膜を介して濾過することができる。次いで、中性pHに達するまで生成物をDI水で洗浄し、次いで真空オーブンで乾燥させることができる。
【0252】
2)CNT表面の酸塩化物官能化について記載する。酸化CNTを過剰なヒドロキシル基を介してポリウレタン/ポリオールにグラフト化する前に、酸化CNTを塩化チオニル(SOCl2)で更に官能化することができる。1gの酸化CNTを超音波処理により10mLのSOCl2中に分散させることができる。次いで、混合物をゆっくりと65℃に加熱し、撹拌しながら1日間還流下に保つことができる。次いで、混合物を0.22μmのテフロン膜を介して濾過することができる。次いで、乾燥アセトンを使用して、生成物を洗浄して、酸塩化物中間体を得ることができる。
【0253】
3)ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)-ジオール/一般的なポリオールへのグラフト化。固体酸塩化物官能化CNTを、乾燥THF中のPCL-ジオールの溶液(530g/mol~2,000g/molの平均Mn)に直ちに移し、60℃で24時間撹拌することができる。得られた反応混合物を濾過し、洗浄し、乾燥させて、ポリオールグラフト化CNTを得ることができる。この方法はまた、ヒドロキシル末端基を含有するTPUをキャップするために使用され得る。
【0254】
4)ポリオール官能化CNTのその場重合を介したTPUへのグラフト化。次いで、ポリオール官能化CNTは、ナノチューブをポリマー鎖上にグラフト化するために、その場でのTPU重合で使用され得る(上記の重合手順を参照されたい)。材料はまた、重合の完了後に添加された場合、及びイソシアネート基が過剰に存在する場合に、ポリマーをエンドキャップするために使用され得る。
【0255】
仮想例4.グラフェン(イソシアネート修飾)。
【0256】
1)酸化グラフェン(GO)のイソシアネート官能化について記載する。GOは、1時間の超音波処理を介して水に最初に分散され得、その後、4,000rpmで10分間遠心分離することができる。次いで、GO懸濁液を溶媒交換プロセスに供して、DMF中のGOの分散液を得ることができる。溶媒交換プロセスは、DMFを水性GOに添加し、続いて超音波処理、遠心分離、及び次いで上澄み液を除去することによって実施され得る。このプロセスは3回繰り返すべきである。次に、GOを脂肪族ポリイソシアネート(PI)(例えば、DESMODUR(登録商標)N75)と反応させて、イソシアネート官能化GOを製造することができる。GO(1g)は、200rpmの速度及び窒素の流れで、磁気撹拌棒を備えた250mLの丸底フラスコに添加され得る。100mLの無水DMFを添加し、均質な懸濁液が形成されるまで混合物を撹拌してもよい。次に、40mmolのPIを懸濁液に添加し、混合物を窒素下で50℃で72時間撹拌することができる。反応後、混合物をジクロロメタン(DCM)に注ぎ、生成物、すなわちポリイソシアネート官能化グラフェン酸化物(PI-GO)を凝固させることができる。次いで、PI-GO生成物を濾過し、追加のDCMで洗浄してもよい。
【0257】
2)その場重合を介してポリイソシアネート官能化グラフェン酸化物(PI-GO)をTPUにグラフト化するための方法について記載する。計算された量のPI-GOは、30分間超音波処理することによって乾燥DMF中に分散され得る。均質な溶液を形成すると、得られた混合物は、凝縮器及び窒素パージを備えた2リットルの3つ口丸底フラスコに移され得る。フラスコに、メチレンジフェニルジイソシアネート及びポリ(テトラヒドロフラン)(約1000g/molのMw)(1:0.5のモル比で)並びに乾燥DMF(20重量%固体反応)を添加することができる。反応混合物を80℃に2時間加熱してもよい。次に、1,4-ブタンジオール(0.5当量)及び2.3×10-7mol/cmラウリン酸ジブチルスズ触媒を、持続する窒素流の下で、80℃で乾燥DMF中の反応容器に添加してもよい。混合物を80℃で更に2時間撹拌してもよい。完了時に、気泡が見られなくなるまで反応容器を真空により脱気し、粘性ポリマー溶液をアルミニウムパンに注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。
【0258】
仮想例5.CNMグラフト化4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びポリウレタンプレポリマーを介した修飾CNMグラフト化ポリウレタン。
【0259】
GOは、重合反応の前にジイソシアネートモノマーと直接反応させることができる。500gの乾燥DMF中に50mgのGOを、室温で30分間超音波処理して分散させることによって、0.033重量%のGO複合体を調製することができる。次いで、均質な溶液を、凝縮器及び窒素パージを備えた1リットルのフラスコに添加することができる。次に、36gのMDIをGO分散液に添加してもよく、80℃に加熱してもよい。GOシートをMDIモノマーに付着させるために、溶液を2時間撹拌してもよい。次いで、64gのポリ(テトラヒドロフラン)(1000Mw)をフラスコに添加し、混合物を80℃で更に2時間撹拌して、グラフト化酸化グラフェンナノシートを有するポリウレタンプレポリマーを調製することができる。次に、5.75gの1,4-ブタンジオール(鎖延長剤)及び2.3×10-7mol/cmラウリン酸ジブチルスズ触媒を、持続する窒素下で80℃で乾燥DMF中の反応容器に添加してもよい。混合物を80℃で更に2時間撹拌してもよい。反応の完了時に、気泡が見られなくなるまで反応容器を真空により脱気し、次いで粘性ポリマー溶液をアルミニウムパンに注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。
【0260】
仮想例6.アミン修飾炭素源とのその場重合。
【0261】
1)アミノ官能化カーボンナノチューブの調製について記載する。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、最初に、3:1の体積比の濃硫酸と硝酸との混合物を介して、酸化され得る。酸性化は、50℃で3時間の超音波浴において、酸溶液中のMWCNTの超音波処理で行われ得る。次いで、MWCNT/酸混合物を脱イオン水に注ぎ、濾過し、濾過溶液のpH値が約7(中性pH)であり得るまで繰り返し洗浄してもよい。次いで、酸性化MWCNT生成物を80℃の真空オーブンで6時間乾燥させることができる。約1gのMWCNT-COOHを、少なくとも1時間の超音波処理下で、2リットルのTHF中に分散させることができる。この分散液に、周囲温度で撹拌しながら、20g(340mmol)のエチレンジアミン(EDA)、1g(10mmol)の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、及び10g(50mmol)のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加してもよい。分散液/溶液を60℃に加熱し、撹拌しながら温度を60℃で24時間維持することができる。生成物は、容易に収集され、THFで3回洗浄され得る黒色の固体であってもよい(1リットル~1.5リットル/洗浄)。生成物を真空オーブン内で乾燥させて、官能化MWCNTを得ることができる。
【0262】
2)その場重合を介してアミン官能化CNTをTPUにグラフト化するための方法について記載する。1gのアミン官能化CNTを、30分間の超音波処理を介して乾燥DMF(50mL)中に分散させることができる。均質な溶液が得られた後、溶液は、磁気撹拌機、凝縮器、及び窒素パージを備えた1リットルの3つ口丸底フラスコに添加され得る。次いで、340mLの乾燥DMF、MDI(32.5g、0.127mol)及びポリ(テトラヒドロフラン)(1000Mw、62.0g、0.062mol)を添加してもよい。反応物を80℃に2時間設定することができる。別の容器において、1gのアミン官能性ナノチューブを、超音波処理を介して乾燥DMF(50mL)中に分散させることができる。2時間後、1,4-ブタンジオール(5.6g、0.062mol)及び2.3×10-7mol/cmラウリン酸ジブチルスズ触媒を1リットルのフラスコに添加してもよい。反応物を更に2時間撹拌し、次いで、粘性混合物をアルミニウムパンに注ぎ、DMFを蒸発させ得る。DMFが蒸発した後に、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって、残留溶媒を除去することができる。
【0263】
仮想例6.溶融乳化によるCNM-g-ポリウレタン微粒子(例えば、CNT、GO、フラーレンなど)の調製。CNM-g-ポリウレタン微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)RHEOMIX二軸スクリュー押出機に溶融押出することによって、CNM-g-ポリウレタンナノ複合体(実施例1~6に記載されるように調製された)から製造され得る。押出機は、ポリマーの融点付近の温度にされ得、ロータは、遅い速度で開始され得る。CNM-g-ポリウレタンナノ複合体(実施例1~6に記載されるように調製された)から製造されたTPU-カーボンポリマーペレットは、加熱押出機に添加され、続いて、分散媒を添加することができる。分散媒は、室温で10,000~60,000cStの粘度を有するPDMS油であり得る。PDMS油とポリマーとの比は、70:30又は70%の油中30%のポリマー固体であり得る。乾燥粒子の流れを助けるために、分散媒の前に任意選択の分散剤又は流動助剤を添加してもよい。200℃で、押出機を200rpm(最大速度)で30分間操作することができる。次いで、混合物をドライアイスで金属トレイ上に放出して、急速な急冷冷却を提供することができる。ドライアイスが完全に昇華すると、油を3ヘプタンの洗浄液で微粒子から洗い流し、微粒子を真空濾過によって単離することができる。次いで、微粒子を室温で真空オーブン内で一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させることができる。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmのスクリーンで篩にかけることができる。得られた粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1.000のスパンを有し得る。スパンは、D90とD10との間の差をD50で割ったものとして計算され、粒径分布の尺度である。
【0264】
仮想例7.SLS印刷及び機械的試験:乾燥粉末のベースライン性能は、SNOWWHITE SLSプリンタ(Sharebotから入手可能)を使用して材料を焼結することによって決定され得る。レーザーは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して生成された所望の物体の断面を走査することによって、材料を選択的に融合させることができる。第1の層が走査された後、粉末床を下げることができ、新しい粉末材料を上部に圧延し、その後の層をパーツが完了するまで走査することができる。この粉末ベースのシステムの主な利点は、他の積層造形技術と比較した場合、印刷支持体の排除及び材料を再利用する能力である。
【0265】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。本開示は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが等価な方法で修正かつ実施してもよいため、上記に開示された特定の実施例及び構成は単なる例示に過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施例が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される本開示は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。上に開示された全ての数及び範囲は、多少異なる場合がある。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
図1
図2