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特開2022-176890カーボンナノ材料-グラフト-ポリマーを含む球状粒子、並びにその製造法及び使用法
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  • 特開-カーボンナノ材料-グラフト-ポリマーを含む球状粒子、並びにその製造法及び使用法 図1
  • 特開-カーボンナノ材料-グラフト-ポリマーを含む球状粒子、並びにその製造法及び使用法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176890
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】カーボンナノ材料-グラフト-ポリマーを含む球状粒子、並びにその製造法及び使用法
(51)【国際特許分類】
   C08L 51/10 20060101AFI20221122BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20221122BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C08L51/10
C08F292/00
C08L101/00
C08K9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067653
(22)【出願日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】17/321,997
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム.・ファルジア
(72)【発明者】
【氏名】シヴァンティ・イースワリ・スリスカンダ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・クラリッジ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002AA002
4J002AA013
4J002BB032
4J002BB122
4J002BB152
4J002BC032
4J002BD042
4J002BD152
4J002BG042
4J002BG052
4J002BG102
4J002BN152
4J002BN191
4J002BP012
4J002CC032
4J002CF052
4J002CF062
4J002CF072
4J002CF082
4J002CF102
4J002CF182
4J002CG002
4J002CH002
4J002CH092
4J002CK022
4J002CL002
4J002CM042
4J002CN012
4J002CN032
4J002CP032
4J002DA016
4J002FB266
4J002FD033
4J002FD037
4J002FD206
4J026AC00
4J026AC15
4J026BA02
4J026BB01
4J026CA01
4J026DB03
4J026DB09
4J026DB10
4J026DB19
4J026DB23
4J026DB32
4J026DB33
4J026FA07
4J026GA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カーボンナノ材料-グラフト-ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む、極めて球状の粒子(CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物を提供する。
【解決手段】極めて球状の粒子は、カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM--ポリマー)を含み得、この粒子は、約0.5g/cm(好ましくは約0.55g/cm)~約0.8g/cmの通気密度を有する。当該CNM-g-ポリマー粒子は、選択的レーザー焼結積層造形法など様々な用途において有用であり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子を含む組成物であって、前記粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カーボンナノ材料は、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記粒子は、約0.1μm~約125μmのD10、約0.5μm~約200μmのD50、及び約3μm~約300μmのD90を有し、D10<D50<D90である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒子は、約0.6g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子は、約0.3g/cm~約0.8g/cmの嵩密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記粒子は、約0.6g/cm~約0.9g/cmのタップ密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記粒子は、約10m/g~約500m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記粒子は、前記粒子の表面の少なくとも一部を被覆する乳化安定剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記粒子は、前記粒子の表面に埋め込まれたナノ粒子乳化安定剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記粒子は、カーボンナノ材料にグラフトされていない熱可塑性物質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子を含む組成物であって、前記粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【請求項17】
前記粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子を含む組成物であって、前記粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【請求項20】
前記粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、請求項19に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む、極めて球状の粒子に関する。本開示は更に、かかる粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)の組成物、合成法、及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーは、フィルム、袋、粒子、及びフィラメントなどの押出成形された物体を作製するために使用されることが多い。熱可塑性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリオレフィン、及びポリウレタンが挙げられる。産業での使用が増加している、熱可塑性ポリマーを物体にする方法の例は、積層造形(additive manufacturing)としても既知の三次元(3D)印刷である。より具体的には、選択的レーザー焼結は、ポリスチレン、ナイロン、他のプラスチック、並びにポリマー被覆金属及びセラミックなど複合材料など様々な材料からの高い解像度かつ寸法精度の三次元物体の直接製造を可能にした。
【0003】
ポリアミドは、その流動特性、他のポリマーよりも低いコスト、及び望ましい焼結ウィンドウから、積層造形に使用される最も一般的なポリマーのうちの1つである。しかしながら、積層造形によって生成された物体に必要な物理的特性は、ポリアミドの特性を超える場合がある。
【0004】
ポリエチレン及びポリプロピレンなどポリオレフィンは、それらの多用な特性、容易に調整される微細構造、及び比較的低いコストにより、市販のポリマーの最大クラスのうちの1つである。ポリオレフィンの物理的特性を調整し、及び/又はポリオレフィンに新しい特性を付与する1つの方法は、充填剤を組み込むことである。
【0005】
ポリウレタンは、物理的特性を損なうことなく高温又は低温に耐える能力を有する。ソフトセグメントは、典型的には、ポリマー材料に柔軟性を付与する、低ガラス転移温度を有するポリオールである。ハードセグメントは、典型的には、靭性を提供する鎖延長剤を有するウレタンである。
【0006】
これらのポリマー及び他のポリマーについては、当該ポリマーから形成された物体の特性を改善するために、充填剤の組み込みが使用されてきた。ポリマー-カーボンナノ材料複合体を物体に製造することができる方法を拡張することは、ポリマー複合体産業を更に拡大することになる。しかしながら、積層造形プロセス、特に選択的レーザー焼結は、多くの場合、当該プロセスにおいて原材料として使用される微粒子のサイズ、形状、及び流動性に厳しい要件を有する。多くの場合、積層造形プロセスの要件を維持しつつ、当該微粒子に充填剤を組み込むこと、特に均一に組み込むことは困難であり得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、カーボンナノ材料-グラフト-ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む、極めて球状の粒子に関する。本開示は更に、かかる粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)の組成物、合成法、及び用途に関する。
【0008】
本明細書では、カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物が開示され、この粒子は、約0.5g/cm(又は約0.55g/cm)~約0.8g/cmの通気密度(aerated density)を有する。当該粒子は、以下の特性のうちの1つ以上を更に有し得る:約0.90~約1.0の真円度;約25°~約45°の安息角;約1.0~約1.5のハウスナー比;約0.1μm~約125μmのD10、約0.5μm~約200μmのD50、及び約3μm~約300μmのD90(D10<D50<D90);約0.2~約10の粒径スパン;約0.6g/cm~約0.8g/cmの通気密度;約0.3g/cm~約0.8g/cmの嵩密度;約0.6g/cm~約0.9g/cmのタップ密度;及び約10m/g~約500m/gのBET表面積。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な構成として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の利益を有する当業者に想到されるような、形態及び機能において相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【0010】
図1】本開示の非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【0011】
図2】カーボンナノ材料-グラフト化-ポリウレタンの走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)断面画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、CNM-g-ポリマーを含む、極めて球状の粒子に関する。本開示は更に、かかる粒子の組成物、合成方法、及び用途に関する。
【0013】
積層造形としても知られる三次元(3D)印刷は、急速に成長している技術分野である。3D印刷は、従来、ラピッドプロトタイピング作業に使用されてきたが、この3D印刷技術は、ラピッドプロトタイプとは完全に異なる構造的及び機械的許容誤差が求められ得る商業的及び産業的物体の製造に採用されることが増えてきている。
【0014】
3D印刷は、(a)溶融状態若しくは固化可能な材料の小さな液滴若しくは流れ、又は(b)粉体微粒子のいずれかを、厳密な堆積位置に堆積させ、その後、より大きな物体(これは、任意の数の複雑な形状を有し得る)へと固結化することによって動作する。このような堆積及び固結化プロセスは、典型的には、コンピュータの制御下で行われて、より大きな物体を層ごとに積み上げる。特定の例では、粉体微粒子の固結化は、レーザーを使用して選択的レーザー焼結(selective laser sintering、SLS)を促進する3D印刷システムにおいて行われてもよい。
【0015】
3D印刷で使用可能な紛体微粒子としては、熱可塑性エラストマーなど熱可塑性ポリマー、金属、及び他の固化可能物質が挙げられる。3D印刷で複合体を使用する場合、微粒子(例えば、ポリマー-カーボンナノ材料複合体のカーボンナノ材料)は、小粒の溶融液滴又は紛体粒子全体に均一に分散するべきであり、さもなければ、最終物体の微粒子の分布は不均一になるであろう。したがって、物体の特性(例えば、強度及び/又は導電率)も不規則であり得、これにより、物体に破損点がもたらされ得る。
【0016】
本開示は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリマー(CNM-g-ポリマー複合体)を含む、極めて球状の粒子に関する。有利には、本開示の組成物及び方法は、ポリマーのin situ重合を使用する。したがって、ポリマーの望ましい溶融特性及び流動特性は、積層造形法中に利用され得る。
【0017】
有利には、極めて球状のCNM-g-ポリマー粒子/粉末は、例えば、溶融乳化によって、本開示のCNM-g-ポリマー複合体から産生され得る。当該極めて球状のCNM-g-ポリマー粒子は、とりわけ、積層造形(例えば、自動車部品、航空宇宙/航空機関連部品、靴のソールなど)、特にSLS 3D印刷用の出発原料として有用であり得る。更に、少なくともいくつかの実施形態におけるCNM-g-ポリマー粒子は、従来の方法(例えば、沈殿法及び凍結粉砕法)によって産生される粒子の通気密度よりも大きい、より高い通気密度を有し得る。理論によって限定されるものではないが、より高い通気密度は、粒子のより良好な充填及び/又は流動を示し、これは、SLS 3D印刷方法におけるかかる粒子の適用において有利であり、得られた物体は、より良好に充填された粒子のためにより少ない空隙を有すると考えられる。
【0018】
その結果、有利には、本開示の極めて球状のCNM-g-ポリマー粒子からSLS印刷された部品又は物体は、カーボンナノ材料を有さないか、又は単純にポリマーとカーボンナノ粒子とを混ぜ合わせたかのいずれかであるポリマー系微粒子と比較して、改善された機械的特性を有し得る。
定義及び試験方法
【0019】
本明細書で使用するとき、「触媒」という用語は、反応媒体中において非常に低濃度で使用される場合に、試薬との相互作用によって反応(例えば、重合反応)の速度を増加させることができるが、反応終了時に化学的に変化することのない化合物を指す。
【0020】
本明細書で使用するとき、「共触媒」という用語は、触媒と相乗的に作用して、反応(例えば、重合反応)の速度を増加させることができる化合物を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「不混和性」という用語は、組み合わされたときに、周囲気圧及び室温で、又は室温で固体である場合は成分の融点で、互いに5重量%未満の溶融度を有する2つ以上の相を形成する成分の混合物を指す。例えば、10,000g/molの分子量を有するポリエチレンオキシドは、室温で固体であり、65℃の融点を有する。したがって、室温で液体である材料及び当該ポリエチレンオキシドが65℃で5重量%未満の溶融度を有する場合、当該ポリエチレンオキシドは当該材料と不混和性である。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「ポリウレタンモノマー」は、ポリウレタンを形成するモノマーを指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の用語「ポリ酸」は、2つ以上のカルボン酸部分を有する化合物を指す。本明細書では、無水物部分は、無水物が合成中にカルボン酸に開環するため、カルボン酸部分とみなされる。
【0024】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の用語「ポリアミン」は、2つ以上のアミン部分を有する化合物を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、化合物を指す場合の用語「アミノ酸」は、1つ以上のカルボン酸部分及び1つ以上のアミン部分を有する化合物を指す。ここでも、無水物部分は、無水物が合成中にカルボン酸に開環するため、カルボン酸部分とみなされる。
【0026】
ポリマーを-mer単位(例えば、ポリウレタンモノマー)という用語で指すとき、当業者であれば、-mer単位がポリマー中で重合した形態にあることを理解するであろう。
【0027】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱及び冷却において可逆的に軟化及び硬化するプラスチックポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0028】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択の鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含んでもよく、軟質部分は、例えば、ポリオールを含んでもよい。
【0029】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートと、ポリオールと、任意選択の鎖延長剤との間のポリマー反応生成物を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「酸化物」という用語は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指す。本開示の目的では、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0031】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノ材料-グラフト-ポリウレタン」及び「CNM-g-ポリウレタン」という用語は、そこから延在するポリウレタンを有する中央又は骨格構造としてカーボンナノ材料を指す。これらの用語は、構造が産生される方法を暗示するのではなく、構造自体について説明する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノ材料」という用語は、粒子のコア構造が少なくとも50原子%炭素からなる、少なくとも1つの寸法が50nm以下である分子又は粒子を指す。カーボンナノ材料の例としては、限定するものではないが、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用するとき、「フラーレン」という用語は、コア構造としてケージを有する粒子又は分子を指し、ケージ構造は、10以下のアスペクト比を有する。
【0034】
本明細書で使用するとき、「カーボンナノチューブ」という用語は、コア構造として細長い円筒形構造を有する粒子又は分子を指し、細長い円筒構造は、10超のアスペクト比を有する。本明細書で使用するとき、「カーボンナノチューブ」という用語は、単層カーボンナノチューブ(すなわち、1つの壁を有する)、2層カーボンナノチューブ(すなわち、2つの壁を有する)、及び多層カーボンナノチューブ(すなわち、2つ以上の壁を有する)を包含する。
【0035】
本明細書で使用するとき、「グラフェン」という用語は、平面黒鉛組織を有する粒子又は分子を指し、単層グラフェン~3層グラフェンを包含する。
【0036】
本明細書で使用するとき、「グラファイト」という用語は、3層超の平面グラファイトを有する粒子又は分子を指す。
【0037】
「カーボンナノ材料」、「フラーレン」、「カーボンナノチューブ」、「グラファイト」、及び「グラフェン」という用語は、これらの官能化バージョンを包含する。
【0038】
本明細書で使用するとき、粒子(例えば、ナノ粒子)及びポリマー粒子の表面に関して「埋め込む」という用語は、ナノ粒子がポリマー粒子の表面上に単に置かれた場合よりも大きな程度に、ポリマーがナノ粒子と接触するように、粒子がポリマー粒子の表面に少なくとも部分的に延在していることを指す。
【0039】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び粒径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で使用するとき、「D10」という用語は、粒子集団の10%(別途指定のない限り、体積ベースの分布に対して)が下回ることが見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D50」、「平均粒径(average particle diameter)」、及び「平均粒径(average particle size)」という用語は、粒子集団の50%(別途指定のない限り、体積ベースの中央平均に対して)が下回ることが見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D90」という用語は、粒子集団の90%(別途指定のない限り、体積ベースの分布に対して)が下回ることが見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、粒径を指す際の「粒径スパン」及び「スパン」及び「スパンサイズ」という用語は、粒径分布の広がりの指標を提供し、(D90-D10)/D50として計算される。
【0040】
粒径及び粒径分布は、Malvern MASTERSIZER(商標)3000を使用した光散乱技術によって決定される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の直径を有するガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料は乾燥粉末として分析した。分析した粒子は、空気中に分散させ、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S(商標)乾燥粉体分散モジュールを使用して分析した。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出した。
【0041】
本明細書で使用するとき、篩過について言及する場合、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)により説明されているものである。
【0042】
本明細書で使用するとき、粒子に関する「真円度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指す。真円度を測定するために、フロー粒子撮像を使用して、粒子の光学顕微鏡画像を撮影する。顕微鏡画像の平面内の粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)を(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算する。粒子の真円度はCEA/Pであり、式中、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の外周である。本明細書では、真円度は、SYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒子サイズ分析器による3回の分析に基づいており、1回ごとに6,000~10,000個の粒子を分析する。報告された真円度は、粒子数に基づいた中央平均真円度である。分析では、背景画素と粒子画素との間のグレースケールレベル(greyscale level)を区別するための閾値(例えば、不均一な照明条件を補正するため)は、背景モーダル値の90%に設定された。
【0043】
本明細書で使用するとき、「剪断力」という用語は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は類似のプロセスを指す。
【0044】
本明細書で使用するとき、「アスペクト比」という用語は、長さを幅で除したものを指し、ここで、長さは幅よりも大きい。
【0045】
別途指定のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)により、昇温速度及び冷却速度10°C/分で決定される。
【0046】
別途指定のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17により決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することで測定され得る。
【0047】
安息角は、粉体の流動性の尺度である。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するHosokawa MicronのPowder Characteristics Tester PT-Rを使用して決定した。
【0048】
通気密度(ρaer)は、ASTMD6393-14により測定される。
【0049】
嵩密度(ρbulk)は、ASTMD6393-14により測定される。
【0050】
タップ密度(ρtap)は、ASTMD6393-14により測定される。
【0051】
ハウスナー比(H)は、粉体の流動性の尺度であり、H=ρtap/ρbulkにより計算し、式中、ρbulkは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0052】
本明細書で使用するとき、分散媒の粘度は、別途記載のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度である。商業的に調達された分散媒(例えば、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)油)については、本明細書に引用される動粘度データは、前述のASTM又は別の標準的な測定技法に従って測定されるかどうかにかかわらず、製造業者によって提供された。
【0053】
結晶化温度は、ポリマーが、自然に又は人工的に開始されたプロセスで結晶化(すなわち、凝固)して構造形態になる温度であり、原子又は分子は、結晶へと高度に編成される。結晶化温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によって測定され得る。DSCは、ポリマーの溶融に必要な熱に基づいてポリマー結晶化度を決定するための迅速な方法を提供する。結晶化温度(℃)は、例えば、ISO 11357試験法又はASTMD 3417によって決定され得る。
【0054】
特に指定がない限り、ポリマーの結晶化度(%)は、ポリマーの溶融(融合)に関連する熱を定量化することによって、ASTMD 3417法によって決定される。
【0055】
メルトフローインデックス(melt flow index、MFI)は、定められた条件セット下でのポリマー溶融物の流れに対する抵抗の尺度である(単位:g/10分)。低剪断速度条件における尺度であるため、MFIは、ポリマーの分子量に反比例する。
【0056】
SLS部分の寸法精度(%)は、3D印刷されたSLSの焼結部分の精度の定量的尺度である。
【0057】
本明細書で使用するとき、固体材料の「引張弾性率」(MPa)は、その剛性を測定する機械的特性である。MPaは、弾性変形を受けるときのその引張応力(単位面積当たりの力)対その歪み(相対変形)の比率として定義される。MPaは、1平方インチ当たりのパスカル又はポンド(psi)で表され得る。ポリマーの引張弾性率は、ASTMD638-14を使用して決定され得る。
CNM-g-ポリマー複合体
【0058】
CNM-g-ポリマー複合体は、1つ以上のCNMにグラフトされた、1つ以上のポリマーを含む。CNM-g-ポリマー複合体は、グラフトされた、同一の又は異なるポリマーをそれぞれ有する、CNMの混合物を含み得る。CNM-g-ポリマー複合体は、グラフトされた1つ以上のポリマーを有する、単一のCNMを含み得る。CNM-g-ポリマー複合体は、グラフトされた第1のポリマーを有する第1のCNMと、グラフトされた第2のポリマー(第1のポリマーと同一、又は異なる)を有する第2のCNM(第1のCNMと同一、又は異なる)とを含み得、(a)第1のCNMと第2のCNMとは異なる、及び/又は(b)第1のポリマーと第2のポリマーとは異なる。
【0059】
グラフトされたポリマーを有し得るCNMの例としては、限定するものではないが、フラーレン、カーボンナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブなど)、グラファイト(例えば、グラファイト粒子、高酸化グラファイト粒子など)、グラフェン(例えば、グラフェン粒子、グラフェンリボン、グラフェンシートなど、及びそれらの高酸化誘導体)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0060】
CNMにグラフトされ得るポリマーの例としては、限定するものではないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(ethylene vinyl acetate copolymer、EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(ethylene propylene diene rubber、EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(ethylene-propylene elastomer、EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン(例えば、1つ以上のC~C40オレフィンモノマーから誘導されたポリマー及びコポリマー)、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methylmethacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用されてもよい。
【0061】
CNMにグラフトされ得るポリマーは、エラストマー又は非エラストマーであり得る。熱可塑性ポリマーの前述の例のうちのいくつかは、ポリマーの正確な組成に応じて、エラストマー又は非エラストマーであってもよい。例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマーであるポリエチレンは、ポリマー中のプロピレンの量に応じて、エラストマーであっても又はエラストマーでなくてもよい。
【0062】
熱可塑性エラストマーは、概して、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫ゴム(エラストマー合金とも称される)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド(典型的にはポリアミドを含むブロックコポリマー)の6つのクラスのうちの1つの範囲内に入る。熱可塑性エラストマーの例は、Handbook of Thermoplastic Elastomers,2nd ed.,B.M.Walker and C.P.Rader,eds.,Van Nostrand Reinhold,New York,1988に見出すことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、エラストマー性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、並びにポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。弾性スチレン系ブロックコポリマーとしては、イソプレン、イソブチレン、ブチレン、エチレン/ブチレン、エチレン-プロピレン、及びエチレン-エチレン/プロピレンからなる群から選択される少なくとも1つのブロックが挙げられ得る。より具体的な弾性スチレン系ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
CNMにグラフトされ得るポリマーは、ポリアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン、ポリスチレン(例えば、ポリ(スチレンイソプレンスチレン)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(スチレンエチレンブチレンスチレン)(Styrene Ethylene Butylene Styrene、SEBS)、スチレンn-ブチルアクリレート)、スチレン-ブチルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(ビニリデンフッ化-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリカプロラクトン、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co-フマル酸)、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0064】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の数、コンマ、第2の数が後に続くポリアミドは、ペンダント=Oを有しない部分の窒素間の第1の数の骨格炭素と、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素間の第2の数の骨格炭素とを有するポリアミドである。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH-NH-CO-(CH-CO]である。数値\数値が後に続くポリアミドは、\の前後の数値によって示されるポリアミドのコポリマーである。
【0065】
ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、混合ポリエーテル及びポリエステルポリウレタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンの例としては、ポリ[4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)-alt-1,4-ブタンジオール/ジ(プロピレングリコール)/ポリカプロラクトン]、ELASTOLLAN(登録商標)1190A(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
CNM-g-ポリマーは、CNM-g-ポリマーの総重量に基づいて、約50重量%~約99.95重量%(又は約55重量%~約95重量%、又は約60重量%~約90重量%、又は約65重量%~約85重量%、又は約70重量%~約80重量%)のポリマーと、約0.05重量%~約50重量%(又は約5重量%~約45重量%、又は約10重量%~約40重量%、又は約15重量%~約35重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のCNMとを含み得る。
【0067】
ポリマーは、例えば、in-situ重合、in-situフリーラジカル官能化、アミド化反応、重縮合反応、界面重合、ラクタム、マイクロ波アシスト固体グラフト化などを用いたinsitu開環重合(ring-opening polymerization、ROP)など任意の好適な方法によって、カーボンナノ材料の表面にグラフトされ得る。
【0068】
第1の一連の非限定的な例では、CNM-g-ポリオレフィンについて考察する。
【0069】
非限定的な例として、ポリオレフィンは、in-situ重合によってカーボンナノ材料の表面にグラフトされ得る。in-situ重合は、重合充填法(polymerization filling technique、PFT)であり得る。in-situ重合は、カーボンナノ材料を前処理することによって実行され得、前処理は、触媒、任意選択で共触媒を、カーボンナノ材料の表面に接触/結合させることを含み、触媒は、不均一触媒、均一メタロセン触媒、又は均一非メタロセン触媒である。
【0070】
in-situ重合は、チーグラー-ナッタ触媒を使用して実行され得る。あるいは、in-situ重合は、アルミノキサンを含み得る共触媒の存在下で、メタロセン触媒を使用して実行され得る。アルミノキサンは、100:1以上(又は約100:1~約500:1、又は約200:1~300:1)のアルミニウム対触媒化合物遷移金属のモル比で存在し得る。
【0071】
本開示の重合プロセスは、モノマー(プロピレンなど)、及び任意選択的にコモノマーを含み得、モノマー/コモノマーは、上記のように、活性化剤及び少なくとも1つの触媒を含む触媒系と接触し得る。触媒及び活性化剤は、任意の順序で混ぜ合わされ得、典型的には、モノマーと接触する前に混ぜ合わされる。
【0072】
本明細書で有用なモノマーとしては、置換又は非置換C~C40アルファオレフィン、好ましくはC~C20アルファオレフィン、好ましくはC~C12アルファオレフィン、好ましくはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、及びこれらの異性体が挙げられ得る。モノマーは、プロピレンと、1つ以上のエチレン又はC~C40オレフィン、好ましくはC~C20オレフィン、又は好ましくはC~C12オレフィンを含む任意のコモノマーとを含み得る。C~C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分岐状、又は環状であり得る。C~C40環状オレフィンは、歪み又は無歪み、単環式若しくは多環式であり得、任意選択的にヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含み得る。
【0073】
更に、モノマーは、エチレンと、1つ以上のC~C40オレフィン、好ましくはC~C20オレフィン、又は好ましくはC~C12オレフィンを含む任意のコモノマーとを含み得る。C~C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分岐状、又は環状であり得る。C~C40環状オレフィンは、歪み又は無歪み、単環式若しくは多環式であり得、任意選択的にヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含み得る。
【0074】
例示的なC~C40オレフィンモノマー及び任意のコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボルネン、7-オキサノルボルナジエン、それらの置換誘導体、並びにそれらの異性体、好ましくは、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノルボルネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエン、1-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、並びにそれらのそれぞれの相同体及び誘導体、好ましくはノルボルネン、ノルボルナジエン、及びジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0075】
例えば、本開示の方法は、カーボンナノ材料を、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、エチリデン-ノルボルネン、ビニリデン-ノルボルネン、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上とin-situ重合することを含み得る。
【0076】
場合によっては、ポリマーを産生するプロセスにおいて、アルミノキサンは、ほとんど又は全く使用されない。好ましくは、アルミノキサンは、ゼロモル%で存在する。あるいは、アルミノキサンは、500:1未満、例えば、300:1未満、例えば、100:1未満、例えば、1:1未満のアルミニウム対遷移金属のモル比で存在する。
【0077】
更に、エチレンポリマーを産生するプロセスにおいて、捕捉剤は、ほとんど又は全く使用されない。好ましくは、捕捉剤(トリアルキルアルミニウムなど)は、ゼロモル%で存在する。あるいは、捕捉剤は、100:1未満、好ましくは50:1未満、好ましくは15:1未満、好ましくは10:1未満の捕捉剤金属対遷移金属のモル比で存在する。
【0078】
本開示の方法は、オレフィンポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーを産生し得る。本明細書で産生されるポリマーは、エチレン又はプロピレンのホモポリマーであり得、0~25モル%(あるいは0.5~20モル%、あるいは1~15モル%、好ましくは3~10モル%)の1つ以上のC~C20オレフィンコモノマー(好ましくはC~C12アルファ-オレフィン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有するエチレンのコポリマーであり得る、又は好ましくは、0~25モル%(あるいは0.5~20モル%、あるいは1~15モル%、好ましくは3~10モル%)の1つ以上のC又はC~C20オレフィンコモノマー(好ましくは、エチレン又はC~C12アルファ-オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有するプロピレンのコポリマーであり得る。
【0079】
in-situ重合は、メタロセン/メチルアルミノキサン(MAO)触媒重合充填法(PFT)であり得、カーボンナノ材料は、MAO共触媒で前処理され、続いて、前処理されたカーボンナノ材料の存在下で、共触媒としてのMAO及び触媒としてのCpZrClCpとの単独重合が行われる。
【0080】
in-situ重合の別の非限定的な例では、チーグラー-ナッタ触媒が、続いて使用され得る。すなわち、酸化グラフェン担持チーグラー-ナッタ触媒は、グリニャール試薬(例えば、n-BuMgCl)を用いて形成され、ルイス酸(例えば、TiCl)で更に処理され得る。CNM-g-ポリオレフィンは、酸化グラフェン担持チーグラー-ナッタ触媒でのin-situモノマー(例えば、プロピレン)重合によって産生され得る。
【0081】
in-situ重合は、約0℃~約300℃の温度、約0.35MPa~約10MPaの範囲の圧力、及び最大300分の時間で生じ得る。
【0082】
別の非限定的な例では、ポリオレフィンは、in-situフリーラジカル官能化によって、カーボンナノ材料(例えば、カーボンナノチューブ(carbon nanotube、CNT)、単層カーボンナノチューブ(single-wall carbon nanotube、SWCNT))にグラフトされ得る。in-situフリーラジカル官能化は、過酸化物開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル開始剤)の存在下で溶融混合によって実行され得る。例えば、SWCNTを有する湿潤ポリプロピレンペレット/粉末をクロロホルムに懸濁して、ポリマーとSWCNTとの間に初期分散を生じさせ得る。過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)を更に添加して、SWCNTを官能化し得る。溶媒は、Haakeでの高温高剪断混合(例えば、約100℃~約200℃の範囲の温度)でin-situ反応を開始する前に、減圧下で溶媒蒸発によって除去され得、これにより、ポリマーへのSWCNTの共有結合が可能になる。
【0083】
更に別の非限定的な例では、ポリオレフィンは、アミド化反応によってカーボンナノ材料(例えば、酸化グラフェンシート(GOS))にグラフトされ得る。酸化グラフェンとポリオレフィンとの間のアミド化反応としては、GOSとの4,4’-メチレンジアニリンの求核置換反応によってNH末端GOSなどアミン変性酸化グラフェンを産生することによって、ポリオレフィン((例えば、ポリプロピレン(PP))に共有結合的にグラフトされた酸化グラフェンシートが挙げられ得る。NH-t-GOSでのマレイン化PPのグラフト化によるPP-g-GOS。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン酸化グラフェンシートPP-g-GOS)を含む酸化グラフェンは、a)溶媒のブレンド、b)溶融混合によってポリオレフィン系ブレンドの相溶化剤(compatibalizer)として使用され得る。酸化グラフェン(GO)は、塩化チオニルの導入による、GOのカルボキシル基から塩化アシル結合GOへの化学変換プロセス(改良Hummers法とも称する方法)によって天然グラファイトから調製され得る。
【0084】
第2の一連の非限定的な例では、CNM-g-ポリアミドについて考察する。
【0085】
ポリアミドは、本明細書で更に記載するように、重縮合反応、界面重合、又はラクタムを用いたin situ ROPによってCNMの表面にグラフトされて、CNM-g-ポリアミドを産生し得る。
【0086】
例えば、CNMは、1つ以上の1級アミン(例えば、CMN-NH)、及び/又は1つ以上の2級アミン(例えば、CMN-NRH、式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、及びそれらの異性体などC~C20アルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20アリールアルキル基)を含むアミノ官能化CNM、カルボン酸官能化CNM(例えば、CMN-COOH)、アミノ酸官能化CNM(例えば、NH-CMN-COOH)、酸クロリド官能化CNM(例えば、CMN-COCl)など、並びにこれらの任意の組み合わせであり得る。これらの官能基は、ポリアミドをCNMに直接結合させるか、又はハンドルからポリアミドを重合するためのハンドルとして作用し得、得られたポリマーは、CNMにグラフトされる。
【0087】
例えば、カルボン酸部分を用いたCMNの官能化は、硫酸、硝酸、塩素酸塩、又は過硫酸アンモニウムの酸化の存在下で実施され得る。あるいは、CMNの官能化は、直接スルホン化、金属化、CNTの脱酸素化表面への求電子の付加によって実行され得る。
【0088】
別の例では、CNMは、改良Hummers法によって天然グラファイトから調製された酸化グラフェンであり、例えば、カルボン酸変性酸化グラファイト(GO-COOH)又はアミノ変性酸化グラファイト(GO-NH)へと更に官能化され得る。カルボン酸官能化CNM(例えば、カルボン酸変性酸化グラファイト(GO-COOH))は、縮合反応によってジアミンモノマー及び/又はジカルボン酸モノマーと共役し得る。CNM-g-ポリアミドは、ジアミン官能化酸化グラフェンとジカルボン酸モノマーとの間での縮合反応によって形成され得る。ジアミンの好適な例としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、1,6-ジアミノヘキサン、p-フェニレンジアミン、プロピルアミン、又はブチルアミンが挙げられ得る。
【0089】
更に別の例では、CNM-g-ポリアミドは、官能性ポリマーとフラーレンとの間での共有結合反応、又はフラーレン存在下でのポリマーの合成から産生された、フラーレンを含有するポリアミドであり得、高分子フラーレンは、側鎖ポリマー、主鎖ポリマー、樹枝状フラーレン、星型ポリマー、フラーレン末端封鎖などによって調製され得る。本明細書では、官能化CNMは、例えば、アミノ官能化C60系フラーレン、カルボキサミド官能化C60系フラーレンであり得る。フラーレン-g-ポリアミドは、アミノ官能化C60系フラーレンを酸クロリド官能化ポリアミドと反応させることによって、室温の穏やかな条件下で形成され、C60-1級及び/又は2級アミンの間にアミド結合を形成し得る。
【0090】
別の非限定的な例では、CNM-g-ポリアミドは、フラーレン二重結合に添加することができる可溶性アミノポリマー(例えば、ポリアミド末端基からのNH基又は分岐アミノ基を含むモノマー)を使用してポリマー結合C60から産生されたフラーレンを含むポリアミドであり得る。CNM-g-ポリアミド(例えば、C60-g-ポリアミド)は、室温の穏やかな条件下でアミノポリマーがC60と反応できるようにすることによって得ることができる。この方法は、C60がポリマーに共有結合し得るように、又は例えば、PA6、PA11、若しくはPA12など他の汎用ポリアミドが末端封鎖反応(PAでの-NH末端基)に使用され得るように、ポリアミド設計への付加モノマーとして1,2,3-プロパントリアミンを組み込むことにより、ポリアミドに拡張され得る。
【0091】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の数、コンマ、第2の数が後に続くポリアミドは、ペンダント=Oを有しない部分の窒素間の第1の数の骨格炭素と、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素間の第2の数の骨格炭素とを有するポリアミドである。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH-NH-CO-(CH-CO]である。数値\数値が後に続くポリアミドは、\の前後の数値によって示されるポリアミドのコポリマーである。
【0092】
ポリ縮合反応は、(a)1つ以上のポリアミンモノマー及び1つ以上のポリ酸モノマー、(b)1つ以上のアミノ酸モノマー、(c)1つ以上のポリアミンモノマー及び1つ以上のアミノ酸モノマー、(d)1つ以上のポリ酸モノマー及び1つ以上のアミノ酸モノマー、又は(e)1つ以上のポリアミンモノマー、1つ以上のポリ酸モノマー、及び1つ以上のアミノ酸モノマーの存在下で実施され得る。いくつかの場合、当該モノマーのいずれかの少なくとも1つは、少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を含み得る。上記のように、CNM上の官能基は、結果として得られるポリアミドが当該官能基においてCNMにグラフトされるように、重縮合反応に関与するハンドルとして使用され得る。
【0093】
重縮合で使用するのに好適なアミノ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHN-(CH-COOH、分枝脂肪族アミノ酸(例えば、C~C20)、環状脂肪族アミノ酸(例えば、C~C20)、芳香族アミノ酸(例えば、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。重縮合で使用するのに好適な少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有さないアミノ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHN-(CH-COOH、分枝脂肪族アミノ酸(例えば、C~C20)、環状脂肪族アミノ酸(例えば、C~C20)、芳香族アミノ酸(例えば、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有するアミノ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、マレアミド酸、N-プロピルマレアミド酸など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0094】
重縮合で使用するのに好適なポリ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHOOC-(CH-COOH(例えば、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、デカン二酸、ドデカン二酸)、イソフタル酸、テレフタル酸、ペント-2-エンジオ酸、ドデカ-2-エンジオ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アジン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。重縮合で使用するのに好適な少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有さないポリ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHOOC-(CH-COOH(例えば、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、デカン二酸、ドデカン二酸)、イソフタル酸、テレフタル酸、ペント-2-エンジオ酸、ドデカ-2-エンジオ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アジン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有するポリ酸ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、フマル酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、イタコン酸など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0095】
重縮合で使用するのに好適なポリアミンポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHN-(CH-NH、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,2-ジアミノプロパン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルオクタン-1,8-ジアミン、Nが2又は3であるn-メチル1,6-ヘキサメチレンジアミン、Nが2~4であるn-メチル1,7-ヘプタメチレンジアミン、Nが2~4であるn-メチル1,8-オクタメチレンジアミン、Nが2~6であるn-メチル1,12-ドデカメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、オルト-フェニレン-ビス(メチルアミン)、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、ジフェニルエチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-ビフェニルジアミン、1,8-ジアミノナフタレンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。重縮合で使用するのに好適な少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有さないポリアミンポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、nが1~20であるHN-(CH-NH、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,2-ジアミノプロパン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルオクタン-1,8-ジアミン、Nが2又は3であるn-メチル1,6-ヘキサメチレンジアミン、Nが2~4であるn-メチル1,7-ヘプタメチレンジアミン、Nが2~4であるn-メチル1,8-オクタメチレンジアミン、Nが2~6であるn-メチル1,12-ドデカメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、オルト-フェニレン-ビス(メチルアミン)、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、ジフェニルエチレンジアミン、ジフェニルエチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-ビフェニルジアミン、1,8-ジアミノナフタレンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有するポリアミンポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、1,4-ジアミノ-2-ブテン、1,5-ビス(3-アミノフェニル)-1,4-ペンタジエン-3-オン(DADBA)、トランス-4-シクロヘキセン-1,2-ジアミンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0096】
重縮合反応は、活性化剤及び/又は金属塩の存在下で行われ得る。活性化剤の例としては、限定するものではないが、トリフェニルホスフィンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属塩の例としては、塩化カルシウム、フッ化セシウムなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0097】
重縮合反応は、約50℃~約200℃(又は約50℃~約100℃、又は約75℃~約150℃、又は約125℃~約200℃)で行われ得る。
【0098】
重縮合反応は、約5分~約24時間(又は約5分~約6時間、又は約2時間~約12時間、又は約6時間~約24時間)にわたって行われ得る。
【0099】
重縮合反応は、限定するものではないが、N-メチルピロリドン(N-mehtyl pyrrolidone、NMP)、ピリジン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど、及びこれらの任意の組み合わせなど溶媒中で行われ得る。
【0100】
重縮合反応は、約500:1~約1:500(又は約500:1~約100:1、又は約250:1~約50:1、又は約100:1~約10:1、又は約50:1~約1:1、又は約25:1~約1:25、又は約1:1~約1:50、又は約1:10~約1:100、又は約1:50~約1:250、又は約1:100~約1:500のポリアミドモノマー対CMNのモル比で行われ得る。場合によっては、重縮合反応は、約100:1~約0.5:1、又は約50:1~約5:1、又は約20:1~約10:1のポリアミドモノマー対CMNのモル比で行われ得る。
【0101】
別の非限定的な例では、本開示のポリアミドは、CNMのinsituアニオン開環重合(anionic ring-opening polymerization、AROP)など開環重合(ROP)によってグラフトされ得る。当該CNMは、コポリマー(例えば、スチレン無水マレイン酸)で共有結合的に官能化され得る。本明細書では、AROPは、約50℃~約150℃の温度、及び/又は約60分以下、例えば約40分以下、例えば約20分以下、例えば5分~60分の反応時間で、したがって、活性化剤と組み合わせて開始剤(例えば、カプロラクタム臭化マグネシウム)を使用することによって実行され得る。活性化剤の例としては、限定するものではないが、ジカルバモイルカプロラクタム(例えば、二官能性ヘキサメチレン-1,6-ジカルバモイルカプロラクタム)などが挙げられ得る。
【0102】
開環重合で使用するのに好適な環状ポリアミドモノマーの例としては、限定するものではないが、アゼリジノン、2-アゼチジノン、2-ピロリジノン、2-ピペリジノン、ε-カプロラクタム、2-アザシクロオクタノン、2-アザシクロノナノン、2-アザシクロデカノン、2-アザシクロウンデカノン、2-アザ-シクロドデカノン、ラウロラクタム、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε-カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノンラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)、カプロラクタムマグネシウムブロミドなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0103】
開環重合反応は、活性化剤及び/又は金属塩の存在下で行われ得る。活性化剤の例としては、限定するものではないが、トリフェニルホスフィン、又はヘキサメチレン-1,6-ジカルバモイルカプロラクタムなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属塩の例としては、塩化カルシウム、フッ化セシウムなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0104】
開環重合反応は、約200℃(又は室温~約150℃、又は約50℃~約100℃、又は約75℃~約150℃、又は約125℃~約200℃)で行われ得る。
【0105】
開環重合反応は、約5分~約24時間(又は約5分~約6時間、又は約2時間~約12時間、又は約6時間~約24時間)にわたって行われ得る。
【0106】
開環重合反応は、限定するものではないが、N-メチルピロリドン(NMP)、ピリジン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど、及びこれらの任意の組み合わせなど溶媒中で行われ得る。
【0107】
開環重合反応は、約500:1~約1:500(又は約500:1~約100:1、又は約250:1~約50:1、又は約100:1~約10:1、又は約50:1~約1:1、又は約25:1~約1:25、又は約1:1~約1:50、又は約1:10~約1:100、又は約1:50~約1:250、又は約1:100~約1:500のポリアミドモノマー対CMNのモル比で行われ得る。場合によっては、重縮合反応は、約100:1~約0.5:1、又は約50:1~約5:1、又は約20:1~約10:1のポリアミドモノマー対CMNのモル比で行われ得る。重縮合反応に含まれる少なくとも1つの不飽和脂肪族炭素-炭素結合を有するポリアミドモノマーが多ければ多いほど、架橋の可能性がある場所が多くなる。
【0108】
本開示のCNM-g-ポリアミドは、界面重合によって産生され得、重合プロセスは、2つの不混和性相(例えば、CMN及びポリアミド)間の界面で生じ、その結果、界面に拘束されるポリマーをもたらす。CNM(例えば、MWCNT)にグラフトされたポリアミド(例えば、ナイロン6,6)を含むCNM-g-ポリアミド複合体は、反応押出によってポリアミド(例えば、ナイロン6,6)及び塩化アシルグラフト化CMN「CMN-COCl」(例えば、塩化アシルグラフト化MWCNT「MWCNT-COCl」)から産生され得る。CMN-COClは、酸処理CMNを塩化チオニルと反応させることによって産生され得る。反応押出によるCNM-g-ポリアミド(例えば、ナイロン6,6-g-MWCNT)の形成は、フーリエ変換赤外分光法、X線光電子分光法、熱重量分析、及び走査型電子顕微鏡によって分析/確認され得る。ポリアミド(例えば、ナイロン6,6)、及び未処理の官能化CMN(例えば、未処理の官能化MWCNT)の界面接着エネルギーを定量化するために、汎用液滴形状分析を使用することによって、円筒状ドロップオンファイバシステム(drop-on-fiber system)の接触角が決定され得る。少なくとも1つの実施形態では、ポリアミド/CNM-g-ポリアミド(例えば、ナイロン6,6/ナイロン6,6-g-MWCNT複合体)の界面接着エネルギーは、ポリアミド/未処理CNM-g-ポリアミド(例えば、ナイロン6,6/未処理MWCNT複合体)の界面接着エネルギーよりも大きい。CNM-g-ポリアミド(例えば、ナイロン6,6-g-MWCNT)は、複合体中に優れた分散を示し、未処理CNM-g-ポリアミド(例えば、未処理MWCNT)は、複合膜が溶液流延法によって調製される場合、不十分な分散を示す。CMN含有量(例えば、MWCNT含有量)が増加すると、複合体の補強レベルが増加する。
【0109】
第3の一連の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタンについて考察する。
【0110】
CNMは、1つ以上の1級アミン(例えば、CMN-NH)、及び/又は1つ以上の2級アミン(例えば、CMN-NRH、式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、及びそれらの異性体などC~C20アルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20アリールアルキル基)を含むアミノ官能化CNM、カルボン酸官能化CNM(例えば、CMN-COOH)、アミノ酸官能化CNM(例えば、NH-CMN-COOH)、酸クロリド官能化CNM(例えば、CMN-COCl)、ヒドロキシル官能化CNM(例えば、CMN-OH),など、並びにこれらの任意の組み合わせであり得る。場合によっては、カルボン酸部分を用いたCMN(例えば、CNT)の官能化は、硫酸、硝酸、塩素酸塩、又は過硫酸アンモニウムの酸化の存在下で実施され得る。あるいは、CMN(例えば、CNT)の官能化は、直接スルホン化、金属化、CNTの脱酸素化表面への求電子付加によって実施され得る。
【0111】
CNMの表面へのポリウレタンのグラフトは、不活性雰囲気(例えば、N又はAr)下のinsitu重合によって実施され得る。ポリウレタンは、ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によって、有機触媒(例えば、有機スズ触媒、有機スズ触媒と組み合わされた有機3級アミン、又はN-複素環式カルベン(N-heterocyclic carbene、NHC))の存在下で合成され得る。本明細書では、ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤は、約5:0.1:0.1~約1:1:1、例えば、1:0.5:0.5の範囲のモル比で使用され得(モル比は、異なる特性を得るために変更され得る)、プレポリマーは、約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で、ジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI))をポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール)と反応させることによって調製され得る。本明細書では、本明細書で使用する有機反応物と混和性の有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF))など溶媒が使用され得る。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって監視/分析され得る。ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート触媒など有機スズ触媒)が反応容器に添加されて、鎖延長を可能にし得る。次いで、CNM(好ましくは官能化CNM)が反応容器に添加され得る。次いで、得られたスラリー混合物が金型に注ぎ入れられて、溶媒を蒸発させ得る。約25℃~約100℃(好ましくは50℃)の範囲の温度の真空オーブンにポリマー生成物を配置することによって、任意の残留溶媒を除去し得る。しかしながら、CNMは、ポリオールの添加前に、鎖延長剤の添加前に、又は重合の完了後に添加され得る。
【0112】
この例では、CNMは、改良Hummers法によって天然グラファイトから調製された酸化グラフェンであり、例えば、カルボン酸変性酸化グラファイト(GO-COOH)又はアミノ変性酸化グラファイト(GO-NH)へと更に官能化され得る。カルボン酸官能化CNM(例えば、カルボン酸変性酸化グラファイト(GO-COOH))は、縮合反応によってジアミンモノマー及び/又はジカルボン酸モノマーと共役し得る。CNM-g-ポリウレタンは、ジアミン官能化酸化グラフェンとジカルボン酸モノマーとの間での縮合反応によって形成され得る。ジアミンの好適な例としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、1,6-ジアミノヘキサン、p-フェニレンジアミン、プロピルアミン、又はブチルアミンが挙げられ得る。CNMは、改良Hummers法によって天然グラファイトから調製され、続いて、GOの熱還元が行われる、熱還元されたGO(rGO)であり得る。
【0113】
CNM-g-ポリウレタンは、ポリウレタン(例えば、TPU)とGOとの間での共有結合反応、又はGOの存在下でのポリウレタンの合成によって産生された、GOを含有するポリウレタンであり得る。
【0114】
例えば、CNMがGOである、CNM-g-ポリウレタンポリウレタンは、以下のように形成され得る。すなわち、ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤は、例えば、約5:0.1:0.1~約1:1:1(好ましくは1:0.5:0.5)の範囲のモル比など、様々なモル比で混ぜ合わせられ得る。ポリ(テトラヒドロフラン)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)を混ぜ合わせ、得られた混合物を約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度で加熱し、したがってプレポリマーを形成する。別個の反応容器において、GOは、水(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF))と混和性であり得る有機溶媒中で混合し得、次いで超音波処理して、GOの安定な分散液を得ることができる。次いで、ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒(例えば、ジブチルスズラウレート触媒)を、不活性雰囲気(例えば、アルゴン)の継続下の約50℃~約120℃の範囲(好ましくは80℃)の温度で反応容器に添加し、鎖延長を可能にし得る。反応物を約30分~5時間激しく撹拌し、次いで、粘性混合物をテフロン加工の金型に注ぎ入れ、及び/又は真空下で残りの溶媒を全て蒸発させて、酸化グラフェン-グラフト化-ポリウレタンを得ることができる。
【0115】
CNM-g-ポリウレタンは、イソシアネート官能化CNM(例えば、イソシアネート官能化GO)から産生され得、イソシアネート官能化CMNは、insitu重合によって、ポリウレタンでグラフトされ得る。当該グラフト化プロセスは、不活性雰囲気下(例えば、N又はAr)で実施され得る。イソシアネート官能化CNMは、以下のように調製され得る。すなわち、最初に5分~10時間(又は30分~5時間、又は1時間~3時間)の超音波処理によってCNM(例えば、GO)を水に分散させ、続いて500rpm~10,000rpm(又は1,000rpm~5,000rpm、又は2,000rpm~4,000rpm)で遠心分離を行い得る。次いで、CNM懸濁液(例えば、GO懸濁液)を溶媒交換プロセスに供して、DMFなど有機溶媒中のCNM(例えば、GO)の分散液を得ることができる。溶媒交換プロセスは、水性CNM(例えば、GO)への有機溶媒(例えば、DMF)の添加、続いての超音波処理、遠心分離、次いで上清液体の除去によって実施され得る。このプロセスは、数回繰り返され得る。次いで、CNM(例えば、GO)を有機溶媒(例えば、DMF)中で再懸濁し、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、DESMODUR(登録商標)N75)などポリイソシアネート(polyisocyanate、PI)と反応させて、イソシアネート官能化CNM(例えば、イソシアネート官能化GO)を産生し得る。次いで、ポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、ポリイソシアネート官能化酸化グラフェン(PI-GO))を(ジクロロメタンなど有機溶媒を使用して)凝固させ、濾過し、洗浄し、乾燥させ得る。
【0116】
in situ重合によって、ポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、PI-GO)をポリウレタン(例えば、TPU、又はポリウレタンプレポリマー)にグラフトするための方法は、ポリイソシアネート官能化CNM生成物(例えば、PI-GO)の超音波処理によって、当該ポリイソシアネート官能化CNM生成物を有機溶媒(例えば、DMF)中に分散させて、均質な溶液を産生することと、均質な溶液を別個の容器に移し、有機溶媒(例えば、乾燥DMF)を使用して、ジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート(MDI))及びポリグリコール(例えば、ポリ(テトラヒドロフラン)))を、1:0.1~1:1(好ましくは、1:0.5)の範囲のモル比で添加することと、を含み得る。反応混合物は、約50℃~約120℃の範囲の温度(好ましくは80℃)で30分以上(又は1時間以上、又は2時間以上、又は3時間以上、又は4時間以上、又は5時間以上)加熱され得る。ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及びポリウレタンを重合するのに好適な触媒(例えば、ジブチルスズラウレート触媒)を反応容器に添加し得る。完了時に、反応容器を真空により脱気し、得られたスラリー(粘性ポリマー溶液)をアルミニウムパンに注ぎ入れて溶媒を蒸発させ得る。
【0117】
CNM-g-ポリウレタンは、ポリウレタン(例えば、TPU)とCNTとの間の共有結合反応、又はCNTの存在下でのポリウレタンの合成から産生された、ポリウレタン含有CNT(例えば、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、又は2層カーボンナノチューブ(DWCNT))であり得る。溶媒を蒸発させるための好適な方法の他の非限定的な例としては、ポリマーの沈殿、噴霧乾燥、薄膜蒸発、回転蒸発が挙げられ得る。
【0118】
CNM-g-ポリウレタンは、官能化CNM(例えば、COOH官能化CNT)から産生され得、官能化CMNは、マイクロ波アシスト固体グラフト化によって、ポリウレタン(例えば、TPU)でグラフトされ得る。マイクロ波アシスト固体によって、COOH官能化CNM生成物(例えば、COOH-CNT)をポリウレタンにグラフトするための方法は、以下のことを含み得る。(a)CNM-g-ポリウレタンポリマー複合体を合成する前に、約100℃~約200℃(好ましくは、例えば140℃など約120℃~約150℃)の範囲の温度で1分以上(又は5分以上、又は10分以上、又は15分以上、又は20分以上、又は25分以上、又は30分以上)のマイクロ波放射によって濃酸の混合物(例えば、3:1~1:1の比率での硫酸と硝酸との濃酸混合物)中でCNTを酸処理することによってカルボキシル化CNTを形成すること。酸処理後、CNTを別個の容器に移し、続いて脱イオン(DI)水を添加し、混合物を室温に冷却し得る。酸化生成物は、テフロン膜を使用して濾過し得、得られたカルボキシル化CNT生成物は、中性pHに達するまでDI水で洗浄し、次いで真空オーブン内で乾燥させ得る;(b)超音波処理によって有機溶媒(例えば、THF)中にカルボキシル化CNTを分散させることにより、マイクロ波放射(0.5重量%CNT以上、1重量%CNT以上、5重量%CNT以上、10重量%CNT以上)によりカルボキシル化CNTをグラフトすること。別個の容器で、ポリウレタンを同一の有機溶媒(例えば、THF)に溶解し、均質な混合物が得られるまで撹拌しながら、十分に分散したカルボキシル化CNTをポリウレタン溶液に滴下して添加し得る。次いで、混合物を金型に注ぎ入れ、溶媒を蒸発させ得る。次いで、ポリウレタン及びカルボキシル化CNTの混合物を、500W~1,000Wの約10%以上(又は20%以上、又は30%以上、又は40%以上、又は50%以上)、好ましくは800Wの50%の総電力出力のマイクロ波照射下で、1分以上(又は5分以上、又は10分以上、又は15分以上、又は20分以上、又は25分以上、又は30分以上)にわたって処理し得る。
【0119】
場合によっては、CNM-g-ポリウレタンを産生するための方法は、(a)CNM(例えば、CNT)を酸化して、カルボキシル官能化CNM(例えば、COOH-CNT)を産生することと、(b)超音波処理を施して、塩化チオニル(SOCl)の存在下でカルボキシル官能化CNM表面(例えば、COOH-CNT表面)の酸クロリド官能化を行って、塩化アシル官能化CMN(例えば、ClCO-CNT)を産生することと、(c)CMNの酸クロリド官能化をポリオール(例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)-ジオール)にグラフトして、ポリオール官能化CMNを産生することと、(d)insitu重合によってポリオール官能化CMNをポリウレタンにグラフトして、CNM-g-ポリウレタンを産生すること(重合完了後に添加された場合、材料は、ポリマーを末端封鎖するために使用され得、イソシアネート基は過剰に存在する)とを含み得る。
【0120】
いくつかの他の場合において、CNM-g-ポリウレタンを産生するための方法は、アミン官能化CNM(例えば、HN-CNTなどアミン変性炭素源)とのin-situ重合を含み得る。アミノ官能化CNM(例えば、HN-MWCNTなどアミノ官能化CNT)の調製は、濃酸の混合物(例えば、(3:1~1:1の比率での硫酸及び硝酸の濃酸混合物)を用いてCNMを酸処理することによって、CNMを酸化することを含み得る。酸性化は、約30℃~約100℃の範囲(好ましくは50℃)の温度で、酸溶液中のCNMの超音波処理を用いて行われ得る。次いで、CNM/酸混合物を脱イオン水に注ぎ入れ、濾過し、濾過溶液のpH値が約7(中性pH)になるまで繰り返し洗浄し得る。次いで、酸性化CNM生成物を真空オーブン内で乾燥させ得る。得られたCNM-COOHは、超音波処理下で少なくとも1時間、有機溶媒(例えば、THF)中に分散させ得る。この分散液に、周囲温度で撹拌しながら、エチレンジアミン(ethylenediamine、EDA)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン((dimethylamino)pyridine、DMAP)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimide、DCC)を添加し得る。分散液/溶液は、撹拌しながら12時間~24時間維持される約30℃~約100℃の範囲の温度(好ましくは60℃)で加熱され得る。生成物は、容易に回収し、有機溶媒(例えば、THF)で洗浄し得る、黒色の固体であり得る。生成物を真空オーブン内で乾燥させて、アミン官能化CNMを得ることができる。次いで、insitu重合によってアミン官能化CNMをTPUにグラフトすることは、超音波処理によってアミン官能化CNMを乾燥DMF中に分散させて、均質な溶液を産生することと、均質な溶液を別個の容器に移し、超音波処理によって乾燥DMF中にアミン官能化CNMを分散させることと、を含み得る。MDI及びポリ(テトラヒドロフラン)を添加し得、反応は、約30℃~約100℃の範囲の温度(好ましくは80℃)で1時間以上(又は2時間以上、又は3時間以上、又は5時間以上、又は10時間以上)実施し得る。次いで、ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及びTPUの重合に好適な触媒(例えば、ジブチルスズラウレート触媒)を添加し得る。次いで、得られたスラリーの溶媒を蒸発させ得る。
【0121】
CNM-g-ポリウレタンは、官能性ポリマーとフラーレンとの間での共有結合反応、又はフラーレンの存在下でのポリマーの合成から産生された、フラーレンを含有するポリウレタンであり得、高分子フラーレンは、側鎖ポリマー、主鎖ポリマー、樹枝状フラーレン、星型ポリマー、フラーレン末端封鎖などによって調製され得る。本明細書では、官能化CNMは、例えば、アミノ官能化C60系フラーレン、カルボキシアミド官能化C60系フラーレンであり得る。フラーレン-g-ポリウレタンは、アミノ官能化C60系フラーレンを酸クロリド官能化ポリアミドと反応させることによって、室温の穏やかな条件下で作製され得、C60-1級及び/又は2級アミンの間にアミド結合を形成し得る。
【0122】
別の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタンは、フラーレン二重結合に添加することができる可溶性アミノポリマー(例えば、ポリウレタン末端基からのNH基又は分岐アミノ基を含むモノマー)を使用してポリマー結合C60から産生されたフラーレンを含むポリウレタンであり得る。CNM-g-ポリウレタン(例えば、C60-g-ポリウレタン)は、室温の穏やかな条件下でアミノポリマーをC60と反応できるようにすることによって得ることができる。
【0123】
別の非限定的な例では、CNM-g-ポリウレタンは、以下の方法から産生された、ヒドロキシル官能化フラーレンを含有するポリウレタンであり得る:(a)フラーレンの酸媒介酸化(例えば、濃HNOでの未処理フラーレンの処理)による、フラーレンC60の表面改質。これにより、ヒドロキシル官能化フラーレンを産生し、このヒドロキシル官能化フラーレンは、中性pHに達するまで蒸留水で洗浄し、真空下で乾燥させ、全ての残留溶媒を除去し得、したがって、次いで重合反応で使用され得るヒドロキシル官能化フラーレン粉末が得られる;(b)insitu重合による、TPUへのヒドロキシル官能化フラーレンのグラフト。ヒドロキシル官能化フラーレンが重合に添加され得る時期に応じて、材料は、ポリマー骨格にグラフトするために、又はポリマー鎖を末端封鎖するために使用され得る。
CNM-g-ポリマー粒子及び作製法
【0124】
本開示のCNM-g-ポリマーは、球状微粒子、ペレット、又はフィラメントを産生するために使用され得る。本開示のCNM-g-ポリマーを含む球状微粒子(又は粉末)は、選択的レーザー焼結(SLS)によって三次元(3D)印刷技術で使用され得るが、本開示のCNM-g-ポリマーを含むフィラメント又はペレットは、溶融フィラメント製造(fused filament fabrication、FFF)によって三次元(3D)印刷技術で使用され得る。
【0125】
本明細書に記載の方法及び組成物は、CNM-g-ポリマーを含む、極めて球状のポリマー粒子に関する。理論に限定されるものではないが、CNMにグラフトされた熱可塑性ポリマーを有することは、ポリマー粒子中のCNMのより均質な分布を支援し、これにより、当該ポリマー粒子を使用する積層造形法によって作製される物体(又はその一部)におけるより均質な分布がもたらされると考えられる。
【0126】
例えば、本開示は、(a)CNM-g-ポリマー、(b)CNM-g-ポリマーのポリマーと不混和性である分散媒、任意選択的に(c)CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマーのポリマーと同一であり得る、又は異なり得る)、及び任意選択的に(d)乳化安定剤を含む混合物を、ポリマーの融点又は軟化温度よりも高い温度で、かつ分散媒中でCNM-g-ポリマーを分散させるのに十分に高い剪断速度で混合することと、混合物をポリマーの融点又は軟化温度未満に冷却して、球状ポリマー粒子を形成することと、球状ポリマー粒子を分散媒から単離することと、を含む方法を含む。
【0127】
図は、本開示の非限定的な例示的方法100のフロー図である。CNM-g-ポリマー102、分散媒104、任意選択的に乳化安定剤106、及び任意選択的にCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108(例えば、CNM-g-ポリマー102のポリマー、CNM- g-ポリマー102のポリマーではないポリマー、別の熱可塑性ポリマー、又はこれらの任意の組み合わせ)を混ぜ合わせて(110)、混合物112を産生する。成分102、104、106、及び108は、個別に、又は成分のブレンドで任意の順序で添加することができ、成分102、104、106、及び108を混ぜ合わせる(110)プロセス中の混合及び/又は加熱を含む。例えば、CNM-g-ポリマー102及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108(含まれる場合)を、混ぜ合わせる(110)前に、予備混合し得る。本明細書では、CNM-g-ポリマーのポリマーがCNMにグラフトされていない場合、これをvと称する。
【0128】
次いで、(a)CNM-g-ポリマー102のポリマー、又は(b)CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の融点又は軟化温度(いずれか高い方)よりも高い温度で、混合物112に十分に高い剪断力を適用することによって混合物112を処理して(114)、溶融乳化物116を形成する。この温度は、混合物112(すなわち、CNM-g-ポリマー102のポリウレタン、及び含まれる場合は、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108)のポリマー部分の融点又は軟化温度を超えるので、CNM-g-ポリマー102、及び含まれる場合は、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108を含むポリマー溶融物が形成される。剪断速度は、ポリマー溶融物(例えば、CNM-g-ポリマーを含む)を液滴(すなわち、ポリマー乳化物116)として分散媒104中に分散させるのに十分であるべきである。理論に束縛されるものではないが、全ての他の要因が同じである場合、剪断力を高めると、分散媒104中のポリマー溶融物の液滴のサイズが減少するはずであると考えられる。しかしながら、ある時点では、剪断を増加させ、液滴サイズを減少させた際に戻りが減少する場合がある、又は液滴の内容物が崩壊して、それから製造される粒子の品質が低下する場合がある。
【0129】
次いで、混合容器の中及び/又は外にある溶融乳化物116を冷却して(118)、ポリマー液滴を固化させてCNM-g-ポリマー粒子124にする。「CNM-g-ポリマー粒子」という用語は、CNM-g-ポリマー102を含むポリマー粒子を指し、ポリマー粒子中の他の成分(例えば、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108)を含み得る。
【0130】
次いで、冷却した混合物120を処理して(122)、CNM-g-ポリマー粒子124を他の成分126(例えば、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)から単離し、洗浄するか、さもなければCNM-g-ポリマー粒子124を精製し得る。CNM-g-ポリマー粒子124は、CNM-g-ポリマー102と、含まれる場合は、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108とを含み、含まれる場合は、乳化安定剤106の少なくとも一部分は、CNM-g-ポリマー粒子124の外側表面をコーティングする。乳化安定剤106又はその一部は、CNM-g-ポリマー粒子124上にコーティングとして、恐らく均一なコーティングとして堆積され得る。温度(冷却速度を含む)、CNM-g-ポリマー102の種類、並びに乳化安定剤106の種類及びサイズなど非限定的な要因に依存し得るいくつかの場合には、乳化安定剤106のナノ粒子は、CNM-g-ポリマー粒子124の外側表面内に少なくとも部分的に埋め込まれた状態であり得る。埋め込みを行わなかったとしても、乳化安定剤106内のナノ粒子の少なくとも一部分は、CNM-g-ポリマー粒子124と強固に会合したままであり、その更なる使用を容易にし得る。対照的に、既に形成されたポリマー微粒子(例えば、低温粉砕又は沈殿のプロセスによって形成された)とシリカナノ粒子のような流動助剤との乾燥ブレンドによって、ポリマー微粒子上の流動助剤の強固で均一なコーティングは得られない。
【0131】
任意選択的にCNM-g-ポリマー粒子124を更に精製して(128)(以下により詳細に記載される)、精製されたCNM-g-ポリマー粒子130を得ることができる。
【0132】
分散媒は、様々な処理温度(例えば、室温~プロセス温度)にてCNM-gポリマー及び分散媒が不混和性であるように選択されるべきである。考慮され得る追加の要因は、CNM-g-ポリマーと分散媒との間のプロセス温度における粘度の差(例えば、差又は比率)である。粘度の差は、液滴破壊及び粒径分布に影響を及ぼし得る。理論に束縛されるものではないが、CNM-gポリマー102及び分散媒の粘度が類似しすぎると、全体としての生成物の真円度が減少することがあり、粒子がより卵形となり、より細長い構造が観察されると考えられる。
【0133】
CNM-g-ポリマー102は、混ぜ合わせたCNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物112中に存在し得る。CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108が含まれる場合、混ぜ合わされたCNM-g-ポリマー102及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、混ぜ合わせたCNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で、混合物112中に存在し得る。含まれる場合、CNM-g-ポリマー102対CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の重量比は、約10:90~約99:1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99:1)であり得る。
【0134】
CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の例としては、限定するものではないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用されてもよい。場合によっては、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリ(エチレン-co-メチルアクリレート)、ポリ(エチレン-co-グリシジルメタクリレート)、及びポリ(エチレン-co-ビニルアルコール)など極性モノマーとのPEのコポリマーは、ポリエチレン-ポリ(メチルメタクリレート)(PE/PMMA)ブレンドにおける相溶性を改善し得る。
【0135】
本開示の組成物及び方法におけるCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、エラストマー又は非エラストマーであり得る。熱可塑性ポリマーの前述の例のうちのいくつかは、ポリマーの正確な組成に応じて、エラストマー又は非エラストマーであってもよい。例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマーであるポリエチレンは、ポリマー中のプロピレンの量に応じて、エラストマーであっても又はエラストマーでなくてもよい。
【0136】
熱可塑性エラストマーは、概して、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫ゴム(エラストマー合金とも称される)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド(典型的にはポリアミドを含むブロックコポリマー)の6つのクラスのうちの1つの範囲内に入る。熱可塑性エラストマーの例は、Handbook of Thermoplastic Elastomers,2nd ed.,B.M.Walker and C.P.Rader,eds.,Van Nostrand Reinhold,New York,1988に見出すことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、エラストマー性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、並びにポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。弾性スチレン系ブロックコポリマーとしては、イソプレン、イソブチレン、ブチレン、エチレン/ブチレン、エチレン-プロピレン、及びエチレン-エチレン/プロピレンからなる群から選択される少なくとも1つのブロックが挙げられ得る。より具体的な弾性スチレン系ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーは、ポリアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリ(エチレン-co-ビニルアセテート)、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン、ポリスチレン(例えば、ポリ(スチレンイソプレンスチレン)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ(スチレンエチレンブチレンスチレン)(SEBS)、スチレンn-ブチルアクリレート)、スチレン-ブチルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(ビニリデンフッ化-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co-フマル酸)、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン-プロピレンエラストマー(EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0138】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。第1の数、コンマ、第2の数が後に続くポリアミドは、ペンダント=Oを有しない部分の窒素間の第1の数の骨格炭素と、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素間の第2の数の骨格炭素とを有するポリアミドである。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH-NH-CO-(CH-CO]である。数値\数値が後に続くポリアミドは、\の前後の数値によって示されるポリアミドのコポリマーである。
【0139】
ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、混合ポリエーテル及びポリエステルポリウレタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンの例としては、ポリ[4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)-alt-1,4-ブタンジオール/ジ(プロピレングリコール)/ポリカプロラクトン]、ELASTOLLAN(登録商標)1190A(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
相溶化剤は、CNM-g-ポリマーと、1つ以上の熱可塑性ポリマー(非極性ポリマーなど)とのブレンド効率性及び有効性を改善するために任意選択的に使用され得る。ポリマー相溶剤の例としては、PROPOLDER(商標)MPP2020 20(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、PROPOLDER(商標)MPP2040 40(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、NOVACOM(商標)HFS2100(無水マレイン酸官能化高密度ポリエチレンポリマー、Polygroup Inc.から入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)L(商標)12/L(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KENーREACT(商標)CAPOW(商標)L(商標)12/H(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)LICA(商標)12(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)KPR(商標)12/LV(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPOW(商標)KPR(商標)12/H(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)チタネート&ジルコネート(有機金属結合剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、VISTAMAXX(商標)(エチレン-プロピレンコポリマー、ExxonMobilから入手可能)、SANTOPRENE(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム及びポリプロピレンの熱可塑性加硫ゴム、ExxonMobilから入手可能)、VISTALON(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ExxonMobilから入手可能)、EXACT(商標)(プラストマー、ExxonMobilから入手可能)、EXXELOR(商標)(ポリマー樹脂、ExxonMobilから入手可能)、FUSABOND(商標)M603(ランダムエチレンコポリマー、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)E226(無水変性ポリエチレン、Dowから入手可能)、BYNEL(商標)41E710(共押し出し可能な接着剤樹脂、Dowから入手可能)、SURLYN(商標)1650(アイオノマー樹脂、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)P353(化学的に変性されたポリプロピレンコポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)PTW(エチレンターポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)3427AC(エチレン及びブチルアクリレートのコポリマー、Dowから入手可能)、LOTADER(商標)AX8840(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3210(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3410(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3430(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4700(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)AX8900(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4720(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 301(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 311(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 303(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 280(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 201(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 130(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 110(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、スチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、EASTMAN(商標)G-3003(無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、Eastmanから入手可能)、RETAIN(商標)(ポリマー変性剤、Dowから入手可能)、AMPLIFY TY(商標)(無水マレイン酸グラフトポリマー、Dowから入手可能)、INTUNE(商標)(オレフィンブロックコポリマー、Dowから入手可能)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
CNM-g-ポリマー102のポリマー及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、約50℃~約450℃(又は約50℃~約125℃、又は約100℃~約175℃、又は約150℃~約280℃、又は約200℃~約350℃、又は約300℃~約450℃)の融点又は軟化温度を有し得る。
【0142】
CNM-g-ポリマー102のポリマー及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、約-50℃~約400℃(又は約-50℃~約0℃、又は約-25℃~約50℃、又は約0℃~約150℃、又は約100℃~約250℃、又は約150℃~約300℃、又は約200℃~約400℃)のガラス転移温度(ASTM E1356-08(2014)で10℃/分の昇温及び冷却速度を使用)を有し得る。
【0143】
CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、任意選択的に添加剤を含み得る。典型的には、添加剤は、混合物への熱可塑性ポリマーの添加前に存在する。したがって、ポリマー溶融物液滴及び得られたCNM-g-ポリマー粒子124/130では、添加剤は、ポリマー全体に分散する。そのため、明確にするために、この添加剤は本明細書では「内部添加剤」と称される。内部添加剤は、混合物を作製する直前に又はかなり前に熱可塑性ポリマーとブレンドされ得る。
【0144】
本明細書に記載の組成物(例えば、混合物及びCNM-g-ポリマー粒子)中の成分量を説明する場合、内部添加剤を含まない熱可塑性ポリマーに基づいた重量パーセントである。例えば、10重量%の内部添加剤及び90重量%の熱可塑性ポリマーを含む100gの熱可塑性ポリマーの重量に対して1重量%の乳化安定剤を含む組成物は、0.9gの乳化安定剤と、90gの熱可塑性ポリマーと、10gの内部添加剤と、を含む組成物である。
【0145】
内部添加剤は、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の約0.1重量%~約60重量%(又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で熱可塑性ポリマー中に存在し得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、約70重量%~約85重量%の熱可塑性ポリマーと、約15重量%~約30重量%のガラス繊維又は炭素繊維のような内部添加剤と、を含み得る。
【0146】
内部添加剤の例としては、充填剤、強化剤、顔料、pH調整剤など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例としては、ガラス繊維、ガラス粒子、鉱物繊維、炭素繊維、酸化物粒子(例えば、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム)、金属粒子(例えば、アルミニウム粉体)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。顔料の例としては、有機顔料、無機顔料、カーボンブラックなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書で使用される充填剤としては、剥離グラファイト(exfoliated graphite、EG)、剥離グラファイトナノ粒子(exfoliated graphite nanoplatelet、xGnP)、カーボンブラック、カーボンナノ繊維(carbon nanofiber、CNF)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、酸化グラフェン、酸化グラフェン、酸化グラファイト、酸化グラフェンナノシート、フラーレンが挙げられ得る。
【0147】
好適な分散媒は、25℃で約1,000cSt~約150,000cSt(又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cSt)の粘度を有し得る。例えば、好適な分散媒は、25℃で約10,000cSt~約60,000cStの粘度を有し得る。
【0148】
分散媒の例としては、限定するものではないが、シリコーンオイル、フッ素化シリコーンオイル、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、アルキル末端ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TDG)のようなC1~C4末端アルキル基)、パラフィン、流動ワセリン、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、カロフィルムオイル、パームオイル、パールリームオイル、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪族エステル、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。分散媒が前述のうちの2つ以上を含む場合、分散媒は1つ以上の相を有さないことがある。例えば、脂肪酸変性ポリシロキサン及び脂肪族アルコール変性ポリシロキサン(好ましくは、脂肪酸及び脂肪族アルコールと同様の鎖長を有する)は、単相分散媒を形成し得る。別の例では、シリコーンオイル及びアルキル末端ポリエチレングリコールを含む分散媒は、二相分散媒を形成し得る。少なくとも1つの実施形態では、分散媒は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0149】
分散媒は、混ぜ合わせたCNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約40重量%~約95重量%(又は約75重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%、又は約55重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物中に存在し得る。
【0150】
いくつかの場合、分散媒は、約0.6g/cm~約1.5g/cmの密度を有し得、熱可塑性ポリマーは、約0.7g/cm~約1.7g/cmの密度を有し得、熱可塑性ポリマーは、分散媒の密度と同様であるか、それより低いか、又はそれより高い密度を有し得る。
【0151】
カーボンナノ材料は、処理温度で分解しないように十分に安定であるべきである。カーボンナノ材料の例としては、限定するものではないが、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、フラーレン、カーボンブラックなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0152】
本開示の方法及び組成物に使用される乳化安定剤は、ナノ粒子(例えば、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの組み合わせ)、界面活性剤など、及びこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0153】
酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物であってもよい。酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物も、金属酸化物という用語に含まれる。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても疎水性であってもよく、天然の粒子であっても粒子の表面処理の結果であってもよい。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。加えて、メタクリレート官能基のような機能的な表面処理を施したシリカが、本開示の方法及び組成物に使用されてもよい。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0154】
シリカナノ粒子の市販の例としては、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)(例えば、AEROSIL(登録商標)R812S(疎水変性表面及び260±30m/gのBET表面積を有する平均直径約7nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)RX50(疎水変性表面及び35±10m/gのBET表面積を有する平均直径約40nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)380(疎水変性表面及び380±30m/gの表面積を有するシリカナノ粒子)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
カーボンブラックは、本明細書に開示される組成物及び方法において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。様々な等級のカーボンブラックが当業者に馴染みのあるものであり、そのうちのいずれかが本明細書で使用され得る。赤外線を吸収することができる他のナノ粒子が同様に使用されてもよい。
【0156】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性である及び/又は架橋されている1つ以上のポリマーを含んでもよい。高い融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーも同様に、好適なポリマーナノ粒子乳化安定剤を含んでもよい。
【0157】
界面活性剤は、アニオン性であっても、カオチン性であっても、非イオン性であっても、双極性イオン性であってもよい。界面活性剤の例としては、限定するものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]]、ドキュセートナトリウム(ナトリウム1,4-ビス(2-エチルヘキソキシ)-1,4-ジオキソブタン-2-スルホネート)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。界面活性剤の市販の例としては、CALFAX(登録商標)DB-45(ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、Pilot Chemicalsから入手可能)、SPAN(登録商標)80(ソルビタンマレエート非イオン性界面活性剤)、MERPOL(登録商標)界面活性剤(Stepan Companyから入手可能)、TERGITOL(商標)TMN-6(水溶性非イオン性界面活性剤、DOWから入手可能)、TRITON(商標)X-100(オクチルフェノールエトキシレート、SigmaAldrichから入手可能)、IGEPAL(登録商標)CA-520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)、BRIJ(登録商標)S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
界面活性剤は、CNM-g-ポリマー102の重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約2重量%、又は約1重量%~約3重量%、又は約2重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物に含まれ得る。あるいは、混合物は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤が不在である)場合がある。
【0159】
乳化安定剤106中のナノ粒子対界面活性剤の重量比は、約1:10~約10:1(又は約1:10~約1:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:1~約10:1)であり得る。
【0160】
乳化安定剤106は、混ぜ合わされたCNM-g-ポリマー102及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物中に含まれ得る。
【0161】
図の混ぜ合わせること(110)に関連して、いくつかの場合では、乳化安定剤は、CNM-g-ポリマー102及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の添加前に、分散媒中に最初に分散され、任意選択的に、当該分散液の加熱を伴い得る。別の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー102及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108が加熱されて、分散媒及び乳化安定剤が一緒に又はいずれかの順序で添加されるポリマー溶融物を産生し得る。更に別の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー102及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、分散媒と共に、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高い温度、かつ分散媒中にポリマー溶融物を分散させるのに十分な剪断速度で混合され得る。次いで、乳化安定剤が添加されて、混合物を形成し、設定期間にわたって好適なプロセス条件で維持し得る。
【0162】
CNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、分散媒、及び任意選択的に乳化安定剤を任意の順序で混ぜ合わせることは、処理に使用される混合装置及び/又は別の好適な容器において生じ得る。非限定的な例として、CNM-g-ポリマー102及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108は、処理に使用される混合装置内で、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高い温度に加熱され得、乳化安定剤は、別の容器内の分散媒中に分散され得る。次いで、当該分散液は、処理に使用される混合装置内の溶融物に添加され得る。
【0163】
溶融乳化物を産生するための処理に使用する混合装置は、溶融乳化物を本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度を超える温度に維持し、ポリマー溶融物を液滴として分散媒中に分散させるのに十分な剪断速度を適用することができるべきである。
【0164】
溶融乳化物を産生するための処理に使用する混合装置の例としては、限定するものではないが、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機など)、撹拌反応器、ブレンダ、インラインホモジナイザシステムを備える反応器など、及びそこから派生する装置が挙げられ得る。
【0165】
設定した期間に好適な処理条件(例えば、温度、剪断速度など)での処理及び溶融乳化物の形成。
【0166】
処理及び溶融乳化物の形成の温度は、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高く、混合物中の任意の成分(すなわち、CNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、分散媒、乳化安定剤)の分解温度未満であるべきである。例えば、処理及び溶融乳化物の形成の温度は、処理及び溶融乳化物の形成の温度が混合物中の任意の成分(例えば、CNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、分散媒、乳化安定剤)の分解温度未満であるという条件で、本明細書に記載の融点又は軟化温度より約1℃~約50℃(又は約1℃~約25℃、又は約5℃~約30℃、又は約20℃~約50℃)高いことがある。
【0167】
処理及び溶融乳化物の形成の剪断速度は、ポリマー溶融物を液滴として分散媒中に分散させるのに十分な高さであるべきである。当該液滴は、直径が約1000μm以下(又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約50μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約500μm、又は約250μm~約750μm、又は約500μm~約1000μm)の液滴を含むべきである。
【0168】
処理及び溶融乳化物の形成の当該温度及び剪断速度を維持する時間は、10秒~18時間以上(又は10秒~30分、又は5分~1時間、又は15分~2時間、又は1時間~6時間、又は3時間~18時間)であり得る。理論に束縛されるものではないが、液滴直径の定常状態には、処理を停止し得る時点で到達すると考えられる。当該時間は、とりわけ、温度、剪断速度、CNM-g-ポリマー102、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108、分散媒組成物、及び乳化安定剤組成物に依存し得る。
【0169】
溶融乳化物は、その後冷却され得る。冷却は低速(例えば、周囲条件下で溶融乳化物を冷却することを可能にする)から高速(例えば、急冷)であり得る。例えば、冷却速度は、約10℃/時間~約100℃/秒、更には急冷(例えばドライアイス中)によるほぼ瞬時(又は約10℃/時間~約60℃/時間、又は約0.5℃/分~約20℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分、又は約10℃/分~約60℃/分、又は約0.5℃/秒~約10℃/秒、又は約10℃/秒~約100℃/秒)の範囲であり得る。
【0170】
冷却中、剪断力はほとんど又は全く溶融乳化物に適用されないことがある。いくつかの場合、加熱中に適用される剪断力が冷却中に適用されてもよい。
【0171】
溶融乳化物の冷却から得られる冷却された混合物は、固化したCNM-g-ポリマー粒子及び他の成分(例えば、分散媒、過剰な乳化安定剤など)を含み得る。固化したCNM-g-ポリマー粒子は、分散媒中に分散され得るか、又は分散媒中に沈降し得る。
【0172】
次いで、冷却された混合物を処理して、CNM-g-ポリマー粒子を他の成分から単離し得る。好適な処理としては、洗浄、濾過、遠心分離、及びデカントなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
CNM-g-ポリマー粒子の洗浄に使用される溶媒は、概して、(a)分散媒と混和性であり、かつ(b)CNM-g-ポリマー102、及び/又はCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108と非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶解性)であるべきである。溶媒の選択は、とりわけ、分散媒、CNM-g-ポリマー102、及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108の組成に依存することになる。
【0174】
溶媒の例としては、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、及びテトラデカン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、2-メチルナフタレン、及びクレゾール)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、及びジオキサン)、ケトン溶媒(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn-プロパノール)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、及び酪酸ブチル)、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロホルム、ブロモフォーム、1,2-ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、及びヘキサフルオロイソプロパノール)、水など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
溶媒は、空気乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又はこれらのハイブリッドなど適切な方法を使用して乾燥することによって、CNM-g-ポリマー粒子124から除去され得る。加熱は、好ましくは、CNM-g-ポリマー102及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー108(含まれる場合)のポリマーのガラス転移点よりも低い温度(例えば、約50℃~約150℃)で実施され得る。
【0176】
有利には、本明細書に記載のシステム及び方法の分散媒及び洗浄溶媒は、再生可能かつ再利用可能である。当業者であれば、再生プロセスに必要な使用済み分散媒及び溶媒の任意の必要な洗浄を認識するであろう。
【0177】
他の成分から単離した後のCNM-g-ポリマー粒子は、任意選択的に更に精製され得る。例えば、粒径分布を狭める(すなわち粒径スパンを低減させる)ために、CNM-g-ポリマー粒子は、約10μm~約250μm(又は約10μm~約100μm、又は約50μm~約200μm、又は約150μm~約250μm)の孔径を有する篩に通され得る。
【0178】
別の例示的な精製技法では、CNM-g-ポリマー粒子の表面に関連するナノ粒子の実質的に全てを維持しつつ、CNM-g-ポリマー粒子を水で洗浄して界面活性剤を除去し得る。更に別の例示的な精製技法では、CNM-g-ポリマー粒子を添加剤とブレンドして、所望の最終生成物を得ることができる。明確にするために、このような添加剤は、本明細書に記載のCNM-g-ポリマー粒子の固化後にこの粒子とブレンドされるため、このような添加剤は、本明細書では「外部添加剤」と称される。外部添加剤の例としては、流動助剤、他のポリマー粒子、充填剤など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0179】
いくつかの場合、CNM-g-ポリマー粒子の作製に使用される界面活性剤は、下流用途において望ましくないことがある。したがって、更に別の例示的な精製技法は、CNM-g-ポリマー粒子から(例えば、洗浄及び/又は熱分解により)界面活性剤を少なくとも実質的に除去することを含み得る。
【0180】
CNM-g-ポリマー粒子及び/又は精製CNM-g-ポリマー粒子は、組成物、物理的構造などによって特徴付けられ得る。
【0181】
上述のように、乳化安定剤は、ポリマー溶融物と分散媒との間の界面にある。その結果、混合物が冷却されると、乳化安定剤は、当該界面に、又はその付近に留まる。したがって、CNM-g-ポリマー粒子の構造は、概して、乳化安定剤が使用されるとき、(a)CNM-gポリマー粒子の外側表面に分散し、かつ/又は(b)CNM-gポリマー粒子の外側部分(例えば、外側1体積%)に埋め込まれた、乳化安定剤を含む。
【0182】
更に、ポリマー溶融物液滴の内部に空隙が形成される場合、乳化安定剤は、概して、空隙の内部とCNM-g-ポリマー及び/又は熱可塑性ポリマーとの間の界面にある(及び/又はそこに埋め込まれている)べきである。空隙は概して、CNM-g-ポリマー及び/又は熱可塑性ポリマーを含有しない。むしろ、空隙は、例えば、分散媒を含んでも、空気を含んでも、空であってもよい。CNM-g-ポリマー粒子は、分散媒を、CNM-g-ポリマー粒子の約5重量%以下(又は約0.001重量%~約5重量%、又は約0.001重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約1重量%~約5重量%)で含み得る。
【0183】
CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーが含まれない場合、混ぜ合わされたCNM-g-ポリマー及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーは、CNM-g-ポリマー粒子の約90重量%~約99.5重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%)で、CNM-g-ポリマー粒子中に存在し得る。CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーが含まれる場合、混ぜ合わされたCNM-g-ポリマー及びCNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーは、CNM-g-ポリマー粒子の約90重量%~約99.5重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.5重量%)で、CNM-g-ポリマー粒子中に存在し得る。CNM-g-ポリマー対CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマー(含まれる場合)の重量比は、約10:90~約99:1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99:1)であり得る。
【0184】
含まれる場合、乳化安定剤は、CNM-g-ポリマー粒子の約10重量%以下(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%)で、CNM-g-ポリマー粒子中に存在し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、0.01重量%未満(又は0重量%~約0.01重量%、又は0重量%~0.001重量%)でCNM-g-ポリマー粒子124/130中に存在し得る。
【0185】
微粒子状乳化安定剤を使用して本明細書の開示による熱可塑性微粒子を形成する際、シリカナノ粒子など微粒子状乳化安定剤の少なくとも一部は、CNM-g-ポリマー粒子124/130の外側表面にコーティングとして配設され得る。界面活性剤の少なくとも一部分は、使用される場合、同様に外側表面に会合し得る。コーティングは、外側表面上に実質的に均一に配置され得る。コーティングに関して本明細書で使用するとき、「実質的に均一」という用語は、コーティング組成物(例えば、ナノ粒子及び/又は界面活性剤)によって被覆される表面位置、特に外側表面全体における、均一なコーティング厚さを指す。乳化安定剤106は、CNM-g-ポリマー粒子の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、CNM-g-ポリマー粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でCNM-g-ポリマー粒子124/130中に存在し得る。CNM-g-ポリマー粒子の外側表面での乳化安定剤の被覆率は、走査電子顕微鏡画像(SEM顕微鏡写真)の分析を使用して決定され得る。乳化安定剤は、CNM-g-ポリマー粒子(及びコーティングされたCNM-g-ポリマー粒子(産生される場合))の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、CNM-g-ポリマー粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でCNM-g-ポリマー粒子124/130中に存在し得る。CNM-g-ポリマー粒子の外側表面での乳化安定剤被覆率は、SEM顕微鏡写真の画像分析を使用して決定され得る。
【0186】
本開示のCNM-g-ポリマー粒子124/130は、CNM-g-ポリマー粒子124/130の約0.01重量%~約50重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%)のカーボンナノ材料(又は2つ以上を使用する場合、累積でのカーボンナノ材料)を含み得る。
【0187】
CNM-g-ポリマー粒子124/130は、1つ以上のカーボンナノ材料を含み得る。例えば、2つ以上の異なるカーボンナノ材料が同一反応でポリマーにグラフトされ、次いで本明細書に記載の方法及び組成物においてCNM-g-ポリマーとして使用され得る。別の例では、2つの異なるCNM-g-ポリマーは、本明細書に記載の溶融乳化プロセスの混合プロセスの前(又は最中)に産生され、ブレンドされ得る。
【0188】
CNM-g-ポリマー粒子124/130は、約10m/g~約500m/g(又は約10m/g~約150m/g、又は約25m/g~約100m/g、又は約100m/g~約250m/g、又は250m/g~約500m/g)のBET表面積を有し得る。
【0189】
CNM-g-ポリマー粒子は、約0.1μm~約125μm(又は約0.1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約75μm、又は約50μm~約85μm、又は約75μm~約125μm)のD10と、約0.5μm~約200μm(又は約0.5μm~約10μm、又は約5μm~約50μm、又は約30μm~約100μm、又は約30μm~約70μm、又は約25μm~約50μm、又は約50μm~約100μm、又は約75μm~約150μm、又は約100μm~約200μm)のD50と、約3μm~約300μm(又は約3μm~約15μm、又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約75μm、又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)のD90と、を有し得、D10<D50<D90である。CNM-g-ポリマー粒子はまた、約0.2~約10(又は約0.2~約0.5、又は約0.4~約0.8、又は約0.5~約1、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10)の粒径スパンを有し得る。限定するものではないが、1.0以上の粒径スパン値は広いとみなされ、粒径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。好ましくは、CNM-g-ポリマー粒子は、約0.2~約1の粒径スパンを有する。
【0190】
第1の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー粒子は、約0.1μm~約10μmのD10と、約0.5μm~約25μmのD50と、約3μm~約50μmのD90とを有し得、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリマー粒子は、約0.2~約2の粒径スパンを有し得る。
【0191】
第2の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー粒子は、約5μm~約30μmのD10、約30μm~約70μmのD50、及び約70μm~約120μmのD90を有し得、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリマー粒子は、約1.0~約2.5の粒径スパンを有し得る。
【0192】
第3の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー粒子は、約25μm~約60μmのD10と、約60μm~約110μmのD50と、約110μm~約175μmのD90とを有し得、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリマー粒子は、約0.6~約1.5の粒径スパンを有し得る。
【0193】
第4の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー粒子は、約75μm~約125μmのD10と、約100μm~約200μmのD50と、約125μm~約300μmのD90とを有し得、D10<D50<D90である。当該CNM-g-ポリマー粒子は、約0.2~約1.2の粒径スパンを有し得る。
【0194】
第5の非限定的な例では、CNM-g-ポリマー粒子は、約1μm~約50μm(又は約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約50μm)のD10と、約25μm~約100μm(又は約30μm~約100μm、又は約30μm~約70μm、又は約25μm~約50μm、又は約50μm~約100μm)のD50と、約60μm~約300μm(又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)のD90と、を有し得、D10<D50<D90である。CNM-g-ポリマー粒子はまた、約0.4~約3(又は約0.6~約2、又は約0.4~約1.5、又は約1~約3)の粒径スパンを有し得る。
【0195】
CNM-g-ポリマー粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~1.0)の真円度を有し得る。
【0196】
CNM-g-ポリマー粒子は、約25°~約45°(又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°)の安息角を有し得る。
【0197】
CNM-g-ポリマー粒子は、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)のハウスナー比を有し得る。
【0198】
CNM-g-ポリマー粒子は、約0.3g/cm~約0.8g/cm(又は約0.3g/cm~約0.6g/cm、又は約0.4g/cm~約0.7g/cm、又は約0.5g/cm~約0.6g/cm、又は約0.5g/cm~約0.8g/cm)の嵩密度を有し得る。
【0199】
CNM-g-ポリマー粒子は、約0.5g/cm~約0.8g/cm(又は約0.5g/cm~約0.7g/cm、又は約0.55g/cm~約0.80g/cm)の通気密度を有し得る。
【0200】
CNM-g-ポリマー粒子は、約0.6g/cm~約0.9g/cm(又は約0.60g/cm~約0.75g/cm、又は約0.65g/cm~約0.80g/cm、又は約0.70g/cm~約0.90g/cm)のタップ密度を有し得る。
【0201】
処理の温度及び剪断速度、並びに成分(CNM-g-ポリマー、熱可塑性ポリマー、分散媒、過剰な乳化安定剤など)の組成及び相対濃度に応じて、CNM-g-ポリマーを構成する異なる形状の構造が産生され得る。典型的には、CNM-g-ポリマー粒子は、実質的に球状の(約0.97以上の真円度を有する)粒子を含む。しかしながら、円盤状及び細長い構造など他の構造が、CNM-g-ポリマー粒子において観察され得る。したがって、CNM-g-ポリマー粒子は、(a)0.97以上の真円度を有する、実質的に球状の粒子、(b)約2~約10のアスペクト比を有する、円盤状構造、及び(c)10以上のアスペクト比を有する、細長い構造のうちの1つ以上を含み得る。上記の(a)、(b)、及び(c)構造の各々は、乳化安定剤が、(a)、(b)、及び(c)構造の外側表面上に分散されている、及び/又は(a)、(b)、及び(c)構造の外側部分に埋め込まれている。(a)、(b)、及び(c)構造のうちの少なくともいくつかは凝集し得る。例えば、(c)の細長い構造は、(a)の実質的に球状の粒子の表面上に位置し得る。
【0202】
CNM-g-ポリマー粒子は、CNM-g-ポリマーのポリマーの焼結ウィンドウの10℃以内、好ましくは5℃以内である焼結ウィンドウを有し得る。
ポリマー粒子の用途
【0203】
本開示はまた、選択的レーザー焼結の方法に関し、この方法は、(a)(a1)CNM-g-ポリマーと、任意選択的に(a2)CNM-g-ポリマーのポリマーではなく、CNMにグラフトされていない熱可塑性ポリマーと、を含む極めて球状のポリマー粒子、及び任意選択的に、(b)CNM-g-ポリマーを含まない、他の熱可塑性ポリマー粒子を表面に堆積させることと、堆積させた後、球状ポリマー粒子の少なくとも一部をレーザーに曝露して、ポリマー粒子を融解させ、固結体を形成することと、を含む。
【0204】
本明細書に記載のCNM-g-ポリマー粒子は、様々な物品を製造するために使用され得る。非限定的な例として、本開示の3D印刷プロセスは、本明細書に記載のCNM-g-ポリマー粒子を表面に(例えば、層状で及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させた後、粒子の少なくとも一部を加熱して、粒子の固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含み得る。固結化体は、固結後の空隙率が、約5%以下(例えば、0%~約5%、又は約0.5%~約2%、又は約1%~約3%、又は約2%~約5%)であってもよい。例えば、ポリマー粒子(例えば、CNM-g-ポリマー粒子124/130及び他の熱可塑性ポリマー粒子)の加熱及び固結化は、選択的レーザー焼結によって加熱及び固結化が行われるように、レーザーを用いた3D印刷装置内で行われ得る。
【0205】
CNM-gポリマー粒子を使用して物品の全体又は一部を形成し得る、かかる方法により製造され得る当該物品の例としては、限定するものではないが、粒子、フィルム、梱包材、玩具、家庭用品、自動車部品、航空宇宙/航空機関連部品、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品などのためのもの)、靴のソール、家具部品、装飾用家庭用品、プラスチックギア、ネジ、ナット、ボルト、結束バンド、宝飾品、芸術品、彫像、医療品目、補装具、整形外科用インプラント、教育における学習を支援するアーチファクトの製造、手術を支援するための3D解剖学的モデル、ロボット工学用品、生体医学装置(装具)、家庭電化製品、歯科用品、電子機器、スポーツ用品などが挙げられる。更に、粒子は、塗料、粉体コーティング、インクジェット材料、電子写真トナー、3D印刷などが挙げられるがこれらに限定されない用途において有用であってもよい。
例示的実施形態
【0206】
本開示の第1の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する。
【0207】
本開示の第2の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する。
【0208】
本開示の第3の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約25°~約45°の安息角を有する。
【0209】
第1、第2又は第3の非限定的な例示的実施形態は、以下のうちの1つ以上を更に含み得る:要素1;熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー(avinyl polymer)、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン(例えば、1つ以上のC~C40オレフィンモノマーから誘導されたポリマー及びコポリマー)、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーン、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される;要素2:熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される(又はポリオレフィン及びポリアミドからなる群から選択される、又はポリアミド及びポリウレタンからなる群から選択される、又はポリオレフィン及びポリウレタンからなる群から選択される、又はポリオレフィンである、又はポリアミドである、又はポリウレタンである);要素3:カーボンナノ材料は、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、要素4:粒子は約0.90~約1.0の真円度を有する;要素5:粒子は、約25°~約45°の安息角を有する;要素6:粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する;要素7:粒子は、約0.1μm~約125μmのD10と、約0.5μm~約200μmのD50と、約3μm~約300μmのD90と、を有し、D10<D50<D90である;要素8:粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する;要素9:粒子は、約0.5g/cm(又は約0.6g/cm)~約0.8g/cmの通気密度を有する;要素10:粒子は、約0.3g/cm~約0.8g/cmの嵩密度を有する;要素11:粒子は、約0.6g/cm~約0.9g/cmのタップ密度を有する;要素12:微粒子は、約10m/g~約500m/gのBET表面積を有する;要素13:粒子は、粒子の表面の少なくとも一部を被覆する乳化安定剤を更に含む;要素14:粒子は、粒子の表面に埋め込まれたナノ粒子乳化安定剤を更に含む;要素15:CNM-g-ポリマーは第1のCNM-g-ポリマーであり、粒子は、第1のCNM-g-ポリマーとは異なる第2のCNM-g-ポリマーを更に含む;要素16:粒子は、カーボンナノ材料にグラフトされていない熱可塑性物質を更に含む;要素17:要素16であり、粒子は、相溶化剤を更に含む;並びに要素18:粒子は、溶融乳化によって形成される。組み合わせの例としては、限定するものではないが、要素1又は要素2を要素3と組み合わせたもの;要素1又は要素2を要素3と組み合わせ、要素4~12のうちの1つ以上と更に組み合わせたもの;要素4~12のうちの2つ以上の組み合わせ;要素4~12のうちの1つ以上を要素13~18のうちの1つ以上と組み合わせ、任意選択的に要素1~3のうちの1つ以上と更に組み合わせたもの;要素13~18のうちの2つ以上;及び要素13~18のうちの1つ以上を要素1~3のうちの1つ以上と組み合わせたものが挙げられる。
【0210】
本開示の第4の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリアミド粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する。第4の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0211】
本開示の第5の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリアミド粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する。第5の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0212】
本開示の第6の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリアミド粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約25°~約45°の安息角を有する。第6の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0213】
本開示の第7の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する。第7の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0214】
本開示の第8の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する。第8の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0215】
本開示の第9の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約25°~約45°の安息角を有する。第9の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0216】
本開示の第10の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリオレフィン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する。第10の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0217】
本開示の第11の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリオレフィン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する。第11の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0218】
本開示の第12の非限定的な例示的実施形態は、カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリオレフィン粒子とも称する)を含む組成物であり、この粒子は、約25°~約45°の安息角を有する。第12の非限定的な例示的実施形態は、要素3~18のうちの1つ以上を更に含み得る。
条項
【0219】
条項1. カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子を含む組成物であって、粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【0220】
条項2. カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する、組成物。
【0221】
条項3. カーボンナノ材料にグラフトされた熱可塑性ポリマー(CNM-g-ポリマー)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリマー粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、組成物。
【0222】
条項4. 熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される(又はポリオレフィン及びポリアミドからなる群から選択される、又はポリアミド及びポリウレタンからなる群から選択される、又はポリオレフィン及びポリウレタンからなる群から選択される、又はポリオレフィンである、又はポリアミドである、又はポリウレタンである)、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0223】
条項5. カーボンナノ材料は、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0224】
条項6. 粒子は、約0.90~約1.0の真円度を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0225】
条項7. 粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0226】
条項8. 粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0227】
条項9. 粒子は、約0.1μm~約125μmのD10と、約0.5μm~約200μmのD50と、約3μm~約300μmのD90と、を有し、D10<D50<D90である、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0228】
条項10. 粒子は、約0.2~約10の粒径スパンを有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0229】
条項11. 粒子は、約0.5g/cm(又は約0.6g/cm)~約0.8g/cmの通気密度を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0230】
条項12. 粒子は、約0.3g/cm~約0.8g/cmの嵩密度を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0231】
条項13. 粒子は、約0.6g/cm~約0.9g/cmのタップ密度を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0232】
条項14. 粒子は、約10m/g~約500m/gのBET表面積を有する、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0233】
条項15. 粒子は、粒子の表面の少なくとも一部を被覆する乳化安定剤を更に含む、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0234】
条項16. 粒子は、粒子の表面に埋め込まれたナノ粒子乳化安定剤を更に含む、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0235】
条項17. CNM-g-ポリマーは第1のCNM-g-ポリマーであり、粒子は、第1のCNM-g-ポリマーとは異なる第2のCNM-g-ポリマーを更に含む、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0236】
条項18. 粒子は、カーボンナノ材料にグラフトされていない熱可塑性物質を更に含む、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0237】
条項19. 粒子は、相溶化剤を更に含む、条項18に記載の組成物。
【0238】
条項20. 熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン(例えば、1つ以上のC~C40オレフィンモノマーから誘導されたポリマー及びコポリマー)、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーン、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0239】
条項21. 粒子は、溶融乳化によって形成される、条項1又は条項2又は条項3に記載の組成物。
【0240】
条項22. カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子を含む組成物であって、粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【0241】
条項23. カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリアミド粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する、組成物。
【0242】
条項24. カーボンナノ材料にグラフトされたポリアミド(CNM-g-ポリアミド)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリアミド粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、組成物。
【0243】
条項25. カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子を含む組成物であって、粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【0244】
条項26. カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する、組成物。
【0245】
条項27. カーボンナノ材料にグラフトされたポリウレタン(CNM-g-ポリウレタン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリウレタン粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、組成物。
【0246】
条項28. カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子を含む組成物であって、粒子は、約0.55g/cm~約0.8g/cmの通気密度を有する、組成物。
【0247】
条項29. カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリオレフィン粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約0.5μm~約200μmのD50を有し、約0.90~約1.0の真円度を有する、組成物。
【0248】
条項30. カーボンナノ材料にグラフトされたポリオレフィン(CNM-g-ポリオレフィン)を含む粒子(本明細書では、CNM-g-ポリオレフィン粒子とも称する)を含む組成物であって、粒子は、約25°~約45°の安息角を有する、組成物。
【0249】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、それとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の具現化によって得られると考えられる所望の特性に応じて変化してもよい近似値である。少なくとも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0250】
1つ以上の発明要素を組み込む1つ以上の例示的な具現化が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本発明の1つ以上の要素を組み込んだ物理的実施形態の開発において、実装及び時により変化する、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなどの開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことが理解される。開発者の努力は時間を要する場合があるが、かかる努力は、当業者にとって日常的な努力であり、本開示の利益を有する。
【0251】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という用語で本明細書に記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。
【0252】
本発明の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本発明の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0253】
実施例A1.無充填ポリオレフィン粉末:無充填ポリオレフィン粉末は、溶融押出によって以下の方法で調製した。押出機をポリマーの融点付近の温度にし、ロータを低速度で開始した。加熱押出機にポリマーペレットを添加し、続いて分散媒を添加した。分散媒としてPDMS油を使用した(粘度は、室温で10,000cSt~60,000cStの範囲であった)。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30であった(すなわち、70%のPDMS油中、30%のポリマーペレット)。乾燥粒子の流動を支援するために、分散媒の前に、任意の分散剤又は流動助剤を添加し得る。押出機を200rpm(最大速度)、225℃で30分間動作させた。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させて、急冷処理を施した。ドライアイスを昇華させた後に、PDMS油を3回のヘプタン洗浄で微粒子から洗い流し、真空濾過によって微粒子を単離した。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させた。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過した。得られた、篩過した粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1のスパンで得た。
【0254】
実施例A2(理論実施例).CNT充填剤と混合したポリオレフィン粉末溶融物。CNM-g-ポリオレフィンは、溶融加工(例えば、溶融押出)によって調製し得る。押出機はポリマーの融点付近の温度にされ得、ロータを低速度で開始され得る。ポリオレフィン樹脂ペレットは、低速でチャンバに供給され得る。次いで、CNTを添加して、樹脂へと溶融混合し得る。PDMS油は、分散媒として使用され得る(粘度は、室温で10,000cSt~60,000cStの範囲)。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30であり得る。温度では、押出機を200rpm(最大速度)、225℃で30分間動作させ得る。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスを昇華させた後に、3回のヘプタン洗浄で微粒子から油を洗い流し得、真空濾過によって微粒子を単離し得る。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。
【0255】
実施例A3(理論実施例).CNTへのポリオレフィンの重合:共触媒を用いたカーボンナノチューブの前処理:未加工ナノチューブを重合フラスコに入れ得、高真空下で火炎乾燥させ得る。次いで、フラスコを窒素で充填し得、50℃の油浴に入れ得る。次いで、乾燥脱酸素化n-ヘプタン及びMAOを窒素下で添加し得る。CNTを、アルミノキサンと接触させて、50℃で1時間撹拌し得る。次いで、減圧下50℃で溶媒を蒸留し得る。溶媒は、任意の揮発性有機アルミニウム化合物と共に、アルミニウム滴定のために液体窒素によって冷却されたフラスコ内に捕捉され得る。処理したCNTを更に減圧下150℃で90分間加熱して、MAOをカーボンナノチューブに結合させ、したがって、アルミノキサン処理CNTを産生し得る。
【0256】
CNTへのポリオレフィンの重合:共触媒で前処理したカーボンナノチューブの存在下でのエチレン(又はプロピレン)のホモ重合:アルミノキサン処理CNTを、乾燥n-ヘプタン中に分散させ得る。次いで、Cp ZrClを懸濁液に添加し得る。次いで、撹拌混合物を50℃に15分間加熱し得る。窒素を除去するために、反応器をエチレン(0.5分)でパージし得る。重合反応は、13バールのエチレンの一定圧力下50℃で、一定の期間にわたって激しく撹拌して実行し得る。最終材料は、12M塩酸で酸性化されたメタノール中で沈殿し、濾過され得る。このステップにより、HDPE被覆ナノチューブを回収し、触媒錯体を不活性化することが可能になり、全試料中で残留酸化アルミニウム(Al)を産生する。得られた材料は、60℃の換気オーブン内で約12時間乾燥させ得る。
【0257】
CNT-ポリオレフィン微粒子-溶融押出物の調製:微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)Rheomix二軸スクリュー押出機内での溶融押出によって、CNM-g-ポリオレフィン試料1から産生され得る。押出機はポリマーの融点付近の温度にされ得、ロータは、低速で開始され得る。加熱した押出機に試料1のポリマーペレットを添加し、続いて分散媒を添加し得る。PDMS油は、分散媒として使用され得る(粘度は、室温で10,000cSt~60,000cStの範囲)。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30であり得る。乾燥粒子の流動を支援するために、分散媒の前に、任意の分散剤又は流動助剤を添加し得る。温度で、押出機を200rpm(最大速度)で30分間動作させ得る。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスを昇華させた後に、3回のヘプタン洗浄で微粒子から油を洗い流し得、真空濾過によって微粒子を単離し得る。室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。
【0258】
SLS印刷及び機械的試験:乾燥粉体のベースライン性能は、試料を焼結することによって決定され得る。試料は、SNOWWHITE SLSプリンタ(Sharebotから入手可能)上で3D印刷され得る。レーザーは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して作り出された所望の物体の断面を走査することによって、試料を選択的に融合させることができる。試料を含む第1の層の走査後、粉体層を下げることができ、その上に試料の別の部分を転動させることができる。以降の層は、当該部分が完了するまで走査され得る。有利には、現在の積層造形技術と比較して、そのような粉体ベースのシステムを使用することにより、印刷支持体を排除できるようになり、材料を再利用することが可能になり得る。
【0259】
実施例A1、実施例A2、及び実施例A3の機械的特性は、SNOWWHITE SLSプリンタ上でASTM Tensile D638のType V Dogboneバーを印刷することによって決定され得る。CNM-g-ポリオレフィンの機械的特性は、無充填ポリオレフィンの機械的特性よりも大きいことが期待される。更に、CNTでグラフトされたポリオレフィンは、単純にCNTと溶融混合された(すなわち、グラフトされていない)ポリオレフィンよりも優れた機械的特性を有し得る。いかなる理論又は機構にも束縛されるものではないが、SLS印刷は、材料固有の機械的特性を変えることはない。したがってCNM-g-ポリオレフィン粒子は、CNTと化合しないポリオレフィン微粒子又は混合された(グラフトされていない)ポリオレフィン及びCNTの微粒子よりも向上した機械的特性を有するSLS印刷物体をもたらはずである。
【0260】
実施例A4(理論実施例).重合充填法(PFT)によるメタロセン触媒:共触媒を用いたカーボンナノチューブの前処理。26グラムの多層カーボンナノチューブ(multi-walled carbon nanotube、MWNT)を真空下100℃で一晩乾燥させ得、窒素下で2.6Lの乾燥脱酸素化n-ヘプタン及び221mLのMAO(蒸留によってそのトリメチルアルミニウム(TMA)を除去)に添加し得る。TMAは回収し得、滴定のために保持し得る(留分1)。次いでシステムを、40℃で1時間撹拌し得る。減圧下40℃で溶媒を蒸留し得る。溶媒は、任意の揮発性有機アルミニウム化合物と共に、液体窒素によって冷却されたフラスコ内で捕捉され得る(留分2)。減圧下で90分間、150℃に処理したCNTを加熱し得る。60℃で乾燥トルエン(3×70mL)で3回洗浄することによって、MAOの過剰分を除去し得る(留分3)。留分1、2、及び3は、150mLのHCl水溶液(約2M)を添加することによって加水分解し、抽出し得る。アルミニウムは、CNTに固定されたMAOの量を評価するために、EDTAによって逆滴定され得る。次いで、アルミニウム濃度は、3つのアリコートの平均としてEDTAで滴定することによって評価され得る。有機物溶媒は、磁気撹拌下で溶液を沸騰させることによって蒸発し得る。5mLの酸性溶液を20倍に希釈し、次いで0.025M EDTA溶液20mLを添加し得る。溶液を加熱して沸騰させ得、次いで室温に冷却し得る。溶液は、酢酸ナトリウムでpH=4.76に中和され得る。EDTAの過剰分は、キシレノールオレンジをインジケータとして使用して、ZnSO溶液(0.05M)の溶液で滴定することによって決定され得る。アルミニウム錯体の決定済みの濃度は、溶媒蒸発中及びCNT洗浄プロセス中に排出され得るアルミニウムの量を計算するために使用され得る。
【0261】
共触媒で前処理したカーボンナノチューブの存在下でのエチレンのホモ重合:処理したCNT(約26g)は、2.6Lの乾燥n-ヘプタン中に分散させ得、次いでグローブボックス内の250mLのガラス反応器に移し得る。次いで、57.2mLのCp ZrCl(5.2 10-3Mのモル濃度)を懸濁液に添加し得る。撹拌混合物を、50℃に15分間加熱し得る。窒素を除去するために、反応器をエチレン(0.5分)でパージし得る。合成は、2.7バールのエチレンの一定圧力下50℃で、1時間激しく撹拌して実行し得る。最終材料は、塩酸で酸性化した15.6Lのメタノール中に沈殿され得、減圧下において約7時間70℃で乾燥され得る。
【0262】
カーボンナノチューブ-ポリエチレン(CNT-PE)微粒子の調製:微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)Rheomix二軸スクリュー押出機内での溶融押出によって、CNM-g-ポリオレフィンから産生され得る。押出機はポリマーの融点付近(225℃)の温度にされ得、ロータは、120rpmで開始され得る。65gのMWNT-g-PEポリマー(上記で調製)、続いて152gの分散媒を、加熱した押し出し機に添加し得る。分散媒は、室温で10,000cSt~60,000cStの範囲の粘度を有する、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油であり得る。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30(すなわち、70%の油中に30%のポリマー固体)であり得る。約20gの測定したPDMSを使用して、PDMSを0.325gのRX50(0.5重量%のMWNT-g-PEポリマー)ヒュームドシリカと混合することによりスラリーを作製し得る。次いで、得られたスラリーを押出機に添加し得る。温度では、押出機を約120rpmで約10分間動作させ得る。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスを昇華させた後に、油を3回のヘプタン洗浄で微粒子から洗い流し得、真空濾過によって微粒子を単離し得る。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。得られた粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1のスパンを有し得る。
【0263】
実施例A5(理論実施例).酸化グラフェン担持チーグラー-ナッタ触媒の合成:グリニャール試薬、CMgCl(BuMgCl)は、N雰囲気下の還流温度(80℃)において、テトラヒドロフラン(250mL)中のクロロブタン(10mL)及びマグネシウム粉末(14.2g)を20時間反応させることによって調製し得る。次いで、0.1molのBuMgCl/テトラヒドロフラン溶液を、4.06gの酸化グラフェン(GO)を含有する4Lのテトラヒドロフラン懸濁液に滴下して添加し得る。還流温度(80℃)で48時間反応させた後、過剰なグリニャール試薬を濾別し得、固体をテトラヒドロフラン及びヘキサンで順に3回洗浄し得る。次いで、紛体生成物を、真空下60℃で12時間乾燥させ得、6.08gのBuMgCl/GOを得ることができる。次いで、5グラムのBuMgCl/GOを、室温で、250mLの四塩化チタン(TiCl)に添加し得、その後、温度を120に上げることができ、4時間撹拌し得る。次いで、反応物を濾過して未処理TiClを除去し得、第2の150mL体積のTiClを反応器に充填し得る。溶液を120℃で4時間撹拌した後、反応は完了し得る。次いで、反応混合物を濾過し、高温のヘキサンで洗浄し(例えば、6回洗浄)、真空下60℃で12時間乾燥させて、約4.57gのGO担持チーグラー-ナッタ触媒、TiCl/(BuMgCl/GO)を産生し得る。
【0264】
in-situポリプロピレン重合:重合反応は、機械的撹拌機を備えたPARRステンレス鋼オートクレーブ反応器で実行し得る。500mLのヘキサンを反応器に添加し得、次いで、0.5MPaの一定圧力下でプロピレンで充填し得る。反応器を60℃で加熱し、粉体触媒TiCl/(BuMgCl/GO)(0.193g)を、プロピレンで飽和した、激しく撹拌した液体混合物に添加し得る。重合反応は、注射器を使用してAlEt(3.04mL、1.08mmol)及びジメチルオキシジフェニルシラン(0.108mmol)を反応器に注入することによって開始し得る。30分後、重合を105mLの酸性化エタノール(10%のHClを含む)によって急冷することができる。ポリマー生成物は、濾過によって回収され、エタノール及び蒸留水で繰り返し洗浄され得る。真空下60℃で24時間乾燥させた後、65gのポリマー生成物を灰色粉末(ポリプロピレン/酸化グラフェン(PP/GO))として得ることができる。
【0265】
ポリプロピレン-酸化グラフェン微粒子の調製:微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)Rheomix二軸スクリュー押出機内での溶融押出によって、上記で調製したPP-g-GOから産生され得る。押出機はポリマーの融点付近(225℃)の温度にされ得、ロータは、120rpmで開始され得る。65gのPP-g-GO(上記で調製)、続いて152gの分散媒を、加熱した押し出し機に添加し得る。分散媒は、室温で10,000cSt~60,000cStの範囲の粘度を有する、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油であり得る。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30(すなわち、70%の油中に30%のポリマー固体)であり得る。約20gの測定したPDMSを使用して、PDMSを0.325gのAEROSIL(商標)RX50(0.5重量%のPP-g-GO)ヒュームドシリカと混合することによりスラリーを作製し得る。次いで、得られたスラリーを押出機に添加し得る。温度では、押出機を約120rpmで約10分間動作させ得る。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスを昇華させた後に、油を3回のヘプタン洗浄で微粒子から洗い流し得、次いで、真空濾過によって微粒子を単離し得る。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。得られた粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1のスパンを有し得る。
【0266】
実施例A6.本明細書に記載の一連の溶融乳化法として、熱可塑性ポリマー(CNMにグラフトされていない)として市販のポリプロピレンを使用して実施した。産生したポリプロピレン粒子の特性は、約41μm~約43μmのD50、約1.3~約1.4のスパン、及び約40.2°~約41.0°の安息角を含む。比較すると、凍結粉砕法によって産生された市販のポリウレタン粒子は、約62μm~約68μmのD50、約1.1のスパン、及び約45.3°~約50.3°の安息角など前述の粒子において同一方法で社内で測定した特性を有する。
【0267】
実施例B1a(理論実施例).ポリアミド合成のためのアミノ官能化カーボンナノチューブの調製について説明する。スキーム1は、酸性化による、アミノ官能化CNTの非限定的な合成経路の例を示す。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などCNTは、最初に、3:1の体積比を有する濃硫酸と硝酸との混合物によって酸化され得る。酸性化は、超音波浴中の50℃、3時間の酸溶液中でのCNTの超音波処理によって行われ得る。次いで、得られたCNM/酸混合物を脱イオン水に注ぎ入れ、濾過し、濾過溶液のpH値が約7(中性pH)になるまで繰り返し洗浄し得る。次いで、酸性化CNT生成物(CNT-COOH)を80℃の真空オーブン内で6時間乾燥させ得る。約1gのCNM-COOHを、超音波処理下で少なくとも1時間、2LのTHF中に分散させ得る。この分散液に、周囲温度で撹拌しながら、20g(340mmol)のエチレンジアミン(EDA)、1g(10mmol)の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、10g(50mmol)のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加し得る。分散液/溶液は60℃に加熱し得、撹拌しながらこの温度で24時間保持し得る。生成物は、容易に回収され得る黒色固体であり得、THF(1回の洗浄あたり1L~1.5L)で3回洗浄し得る。生成物を真空オーブン内で乾燥させて、アミノ官能化CNTを得ることができる。更なる官能化(例えば、アミノ基)により、ポリアミドモノマーとのCNTの反応性を向上させることができ得る。CNT-COOH直接経路は、ポリアミド/CNTを調製するために直接使用され得る。ただし、COOHがCNTの表面に直接結合し、アミノ基のように延出しないことにより移動度が低下するため、反応の低下が観察され得る。
【化1】
【0268】
実施例B1b(理論実施例).in-situ重縮合によるポリアミド/アミノ官能化CNT(PA/CNT)ナノ複合体の調製について説明する。スキーム2は、アミノ官能化CNT(FCNT)を用いたポリアミドの合成の非限定的な例を示しており、不溶性短鎖PA/FCNT及び可溶性長鎖PA/FCNTをもたらす。2重量%のPA/CNTナノ複合体は、30分間の超音波処理中に0.497gのアミノ-FCNT(例えば、実施例B1aから)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)(60mL)に分散させることによって調製され得る。最終混合物は、アミノ-FCNTの均質な溶液であり得る。得られた混合物を、磁気撹拌機又はオーバーヘッド撹拌機を備えた1Lの3つ口フラスコに移し得る。当該フラスコに、10gのアジピン酸(68mmol)、17gの4,4-ジアミノジフェニルスルホン(68mmol)、3gの塩化カルシウム(18mmol)、42.4mLのトリフェニルホスファイト(137mmol)、及びピリジン(7mL)を添加し得る。60℃で1時間、90℃で2時間、及び120℃で8時間の反応をそれぞれ実行し得、粘性混合物をもたらし得る。500mLのメタノール中で粘性混合物を沈殿させて、PA/CNTを得ることができる。沈殿物は、濾過によって回収し、約45℃~約50℃の範囲の温度の温メタノールで完全に洗浄し得る。
【化2】
【0269】
必要に応じて、短鎖及び長鎖ポリマーグラフト化CNTは、溶媒溶解度の違いによって単離され得る(スキーム2)。グラフト化PA/CNTを、250mLのN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)中に分散させ得、65℃で1時間撹拌し得る。より短いポリマーCNT鎖を有する材料を濾紙で濾過して固体生成物を回収し得、95℃の真空オーブン内で約12時間乾燥させ得る。長鎖ポリマーCNT生成物の沈殿を促進するために、濃い色であり得るDMAc溶液を500mLの水に注ぎ入れ得る。長鎖ポリマーCNT生成物を濾過によって回収し、メタノールで完全に数回洗浄し、95℃の真空オーブン内で12時間乾燥させ得る。
【0270】
実施例B2(理論実施例).溶融乳化によってSLS粉末を製造するために、反応押出によるポリヘキサメチレンアジパミド-MWCNTグラフト複合体(ポリアミド6,6-MWCNTグラフト複合体)の調製について説明する。スキーム3は、ポリアミド6,6グラフト化MWCNTを調製するための合成経路として使用され得る反応押出アプローチの非限定的な例を示し、COClグラフト化MWCNTは、PA6,6のアミン末端基と反応し得る。上記のように、未処理MWCNTはHSO/HNOで官能化され得、1グラムのMWCNTは、HSO(濃度98体積%)及びHNO(濃度70体積%)と、3/2のHSO:HNO体積比率(合計2000mL)で混合され得る。混合物は、24時間還流させながら60℃に加熱し得る。次いで、混合物を約1Lの脱イオン水(DIW)で希釈し得、450nmのナイロン膜を通して濾過し得る。MWCNTをDIW(5×200mL)で更に洗浄し、次いで、周囲温度の真空オーブン内で24時間乾燥させ得る。得られたCOOH官能化MWCNT(MWCNT-COOH)は、超音波処理器内で2時間、塩化チオニル(SOCl)(500mL))中に分散させ得、更に70℃で更に24時間撹拌し得る。更に、混合物は、450nmナイロン膜を通して真空濾過し、テトラヒドロフラン(3×200mL)及びエタノール(3×200mL)で洗浄し得る。得られたMWCNT-COClは、周囲温度の真空オーブン内で12時間乾燥させ得る。
【化3】
【0271】
反応押出を使用して、ポリアミド6,6-MWCNT(2重量%のMWCNT-COClを有する50gのPA6,6)を調製し、供給(265℃)、溶融(280℃)、混合(280℃)、及び排出(260℃)に使用され得る4つの異なるゾーンを有する二軸押出機を使用し得る。材料供給速度及び押出速度は、それぞれ10g/分及び300rpmで一定に保つことができる。押し出されると、溶融混合複合体は、水浴中で急冷され得る。複合体をギ酸(50gの複合体に対して約3L)に溶解させて、約4000xg~約10,000xg、約10分間以上(又は約20分間以上、又は約30分間以上)、4℃での遠心分離によって、PA6,6-MWCNTから未反応PA6,6を除去し得る。回収したPA6,6-MWCNTをギ酸(3L)中に再分散させ、遠心分離によって再回収して、未反応PA6,6を更に除去することができる。この手順を5回以上繰り返し得、得られた生成物をギ酸(3L×3)で洗浄し得、30℃の真空オーブン内で12時間乾燥させ得る。得られたPA6,6-MWCNTは、フーリエ変換赤外分光法(Fourier-transform infrared spectroscopy、FT-IR)、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、XPS)、電界放射型走査電子顕微鏡法(field emission scanning electron microscopy、FE-SEM)、及び熱重量分析(TGA)によって確認し得る。複合体の引張弾性率及び降伏強度は、PA6,6単独又はPA6,6と未処理MWCNTとの溶融混合バージョンよりも高いことが予想され、したがって、PA6,6マトリックスとMWCNTにグラフトされたPA6,6との間の水素結合及び鎖の絡み合いによる強力な界面接着及び補強によるものである。得られた複合体は、選択的レーザー焼結(SLS)3Dプリンタで使用するために、その対応する球状粒子に変換され得る。
【0272】
実施例B3(理論実施例).溶融乳化によるPA-CNT微粒子の調製について説明する。微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)RHEOMIX二軸スクリュー押出機内での溶融押出によって、実施例B1b及び実施例B2で調製したポリアミド-CNTナノ複合体から産生され得る。押出機はポリマーの融点付近の温度にされ得、ロータは、低速(50rpm~100rpmの範囲、次いで最大250rpm)で開始され得る。上記の実施例のいずれかのPA-CNTポリマーペレットを加熱した押出機に添加し、続いて分散媒を添加し得る。分散媒は、室温で10,000cSt~60,000cStの粘度を有する、PDMS油であり得る。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30、すなわち、70%の油中に30%のポリマー固体であり得る。乾燥粒子の流動を支援するために、分散媒の前に、任意の分散剤又は流動助剤を添加し得る。押出機は、200rpm(最大速度)で30分間動作させ得る。混合物を、ドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスを昇華させた後に、3回のヘプタン洗浄で微粒子から油を洗い流し得、真空濾過によって微粒子を単離し得る。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。得られた粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1.000のスパンを有し得る。
【0273】
対照例B1(理論実施例).溶融乳化によるポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)及びPA6,6微粒子の調製について説明する。無充填PA12又はPA6,6粉末は、実施例B3に記載した手順と同一の手順を使用して、溶融押出によって対応するペレットから調製され得る。
【0274】
対照例B2(理論実施例).溶融乳化によるCNT(例えば、MWCNT)を用いた、PA12溶融混合微粒子及びPA6,6溶融混合微粒子の調製について説明する。PA12又はPA6,6は、実施例B3に記載の同一の溶融押出プロセスによって微粒子を産生するために、CNTと物理的に溶融混合され得る。ポリアミド樹脂ペレットをより低速でチャンバに供給し、温度をポリマーの融点に近づけることによって十分に溶融し得た後に、CNTを添加し得る。
【0275】
SLS印刷及び機械的試験。
【0276】
乾燥粉末のベースライン性能は、SNOWWHITE SLSプリンタ(Sharebotから入手可能)を使用して材料を焼結することによって決定され得る。SNOWWHITE SLSプリンタは、CO2レーザーを使用して熱可塑性粉末を層ごとに焼結する、業務用3Dプリンタである。レーザーは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して作り出された所望の物体の断面を走査することによって、材料を選択的に融合させる。第1の層の走査後、粉体層を下げ、その上に新しい紛体材料を転動させる。以降の層は、その部分が完了するまで走査される。他の積層造形技術と比較した、この粉末ベースのシステムの主な利点は、印刷支持体を排除し、材料を再利用できることである。
【0277】
実施例B1b、実施例B2、比較実施例B1、及び比較実施例B2の機械的特性は、SNOWWHITE SLSプリンタ上でASTM Tensile D638-14のType V Dogboneバーを印刷することによって決定され得る。
【0278】
実施例B4.本明細書に記載の一連の溶融乳化法として、熱可塑性ポリマー(CNMにグラフトされていない)としてポリアミド12を使用して実施した。産生したポリアミド12粒子の特性は、約0.56g/mL~約0.59g/mLのρaer、約0.64g/mL~約0.65g/mLのρtap、約1.12~約1.15のハウスナー比、及び約30.9°~約35.3°の安息角を含む。比較すると、沈殿法によって産生された市販のポリアミド12粒子は、約0.43g/mL~約0.50g/mLのρaer、約0.52g/mL~約0.57g/mLのρtap、約1.13~約1.21のハウスナー比、及び約30.6°~約35.5°の安息角など前述の粒子において同一方法で社内で測定した特性を有する。
【0279】
実施例C1.CNMを用いない、一般的なIn SituTPU重合。一般的なin situ純TPU重合(炭素源なし)について説明する。1.02:0.5:0.5のジイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤のモル比(比率は、異なる特性を得るように変更され得る)を使用することができる。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)を室温の真空オーブン内で1時間乾燥させて、微量の水分を除去することができる。プレポリマーは、MDIをポリオールと、乾燥DMF中80℃で2時間、窒素掃引下で3つ口丸底フラスコ内で撹拌して反応させることによって調製することができる(20%の固形分)。温度は、油浴を使用して維持され得る。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって確認することができる。
【0280】
実施例C2.CNMを用いた、一般的なIn SituTPU重合。1.02:0.5:0.5のジイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤のモル比(比率は、異なる特性を得るように変更され得る)を使用することができる。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)を室温の真空オーブン内で1時間乾燥させて、微量の水分を全て除去し得る。プレポリマーは、MDIをポリオールと、乾燥DMF中80℃で2時間、窒素掃引下で3つ口丸底フラスコ内で撹拌して反応させることによって調製し得る(20%の固形分)。温度は、油浴を使用して80℃に維持され得る。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって確認し得る。1,4-ブタンジオール及び2.3×10-7mol/cmジブチルスズラウレート触媒を、連続窒素流下、80℃の乾燥DMF中の反応容器に添加し得る。6分の鎖延長後、計算した量の変性炭素源を反応容器に添加し得る。反応物を更に2時間撹拌し、次いで、得られた粘性混合物を金型に注ぎ入れて、DMFを蒸発させ得る。DMFの蒸発後、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって、残留溶媒を除去し得る。しかしながら、CNMは、ポリオールの添加前に、鎖延長剤の添加前に、又は重合の完了後に添加され得る。
【0281】
実施例C3.図2は、以下のように調製した、酸化グラフェン-グラフト-ポリウレタン、すなわち合成TPU(MDI、p(THF)、1,4-BD)0.5%酸化グラフェンの走査型電子顕微鏡(SEM)断面画像の非限定的な例である。ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤のモル比は、1.02:0.5:0.5であった(この比率は、異なる特性を得るために変更され得る)。ポリエーテルポリオール及び1,4-ブタンジオールを50℃で一晩乾燥させ、MDIを室温の真空オーブン内で1時間乾燥させて、微量の水分を除去した。酸化グラフェンを、50℃の真空オーブン内で3時間乾燥させた。アルゴン注入口を備えた3つ口丸底フラスコに、ポリ(テトラヒドロフラン)(10g、0.01mol、1000kDa)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI、5.2g、0.0204mol)、及び55mLの乾燥DMFを添加した。反応混合物を80℃に加熱し、次いで、激しく撹拌しながら2時間反応させて、プレポリマーを得た。それとは別に、酸化グラフェン(0.08g)を10mLのDMFと混合し、1時間超音波処理して、GOの安定な分散液を得た。80℃で2時間後、5mLの乾燥DMFを含む1,4-ブタンジオール(0.9g、0.01mol)及び1滴のジブチルスズラウレート触媒を、乾燥DMF中の反応容器に添加し、連続アルゴン下で反応温度を80℃に維持した。5分の鎖延長後、反応混合物にGO分散液を添加した。反応物を更に2時間激しく撹拌し、次いで粘性混合物をテフロン加工の金型に注ぎ入れ、DMFを蒸発させた。DMFの蒸発後、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって、残留溶媒を除去した。図2の(SEM)断面画像は、TPUマトリックス全体にわたって良好な分散を示す。
【0282】
実施例C4.本明細書に記載の一連の溶融乳化法として、熱可塑性ポリマー(CNMにグラフトされていない)としてELASTOLLANポリウレタンを使用して実施した。産生したポリウレタン粒子の特性は、約0.56g/mL~約0.62g/mLのρaer、約0.68g/mL~約0.71g/mLのρtap、約1.17~約1.21のハウスナー比、及び約31.0°~約35.1°の安息角を含む。比較すると、凍結粉砕法によって産生された市販のポリウレタン粒子は、約0.51g/mL~約0.53g/mLのρaer、約0.64g/mL~約0.68g/mLのρtap、約1.22~約1.34のハウスナー比、及び約35.7°~約36.8°の安息角など前述の粒子において同一方法で社内で測定した特性を有する。
【0283】
理論実施例C1.マイクロ波アシスト固体グラフト化。
【0284】
1)マイクロ波放射による表面改質について説明する。ポリマー複合体を合成する前に、CNTをカルボキシル化することができ、CNTのカルボキシル化は、濃硫酸と濃硝酸との混合物中のCNTをマイクロ波放射によって処理することによって実行され得、これは、1gのCNTと、100mLの1:1濃HSO及び濃HNOとを混ぜ合わせることによって達成され得る。次いで、フラスコは、140℃のマイクロ波照射に10分間供され得る。酸処理後、CNTをビーカーに移し、続いて100mLの脱イオン(DI)水を添加し、混合物を室温に冷却し得る。酸化物は、0.22μmの孔径を有するテフロン膜を使用して濾過し得る。得られたカルボキシル化CNT生成物は、中性pHに達するまでDI水で洗浄し、次いで真空オーブン内で乾燥させ得る。
【0285】
2)マイクロ波放射によるカルボキシル化CNT(5重量%CNT)のグラフト化について説明する。1gのカルボキシル化CNTを、超音波処理によって10mLのTHF中に分散させ得る。別個の容器内で、20gのTPUを100mLのTHFに溶解し得る。カルボキシル化CNTを十分に分散させたら、撹拌しながらTPU溶液に滴下し得る。均質な混合物が得られるまで撹拌を続行し得る。次いで、混合物を金型に注ぎ入れ得、溶媒を蒸発させ得る。次いで、TPUとカルボキシル化CNT混合物との混合物を、マイクロ波照射下で5分間、50%の総電力出力(800Wの50%)で処理することができる。
【0286】
理論実施例C2.フラーレン(ヒドロキシル変性)。
【0287】
1)フラーレンの表面改質について説明する。フラーレン煤は、最初に450℃で4時間アニールし得る。次いで、未処理フラーレンは、酸化を経て分子の表面を官能化し得る。フラーレンの酸化は、濃硝酸での還流によって実施し得る。1.5gの未処理フラーレンC60は、70mLの濃HNO溶液を用いて、120℃で48時間還流させ得る。次いで、混合物を蒸留水で希釈し、例えば、孔径0.45μmのテフロン膜を使用して濾過し得る。次いで、中性pHに達するまで、酸化した材料を蒸留水で洗浄し、次いで真空下で乾燥させて残留水を除去し得る。次いで、ヒドロキシル官能化フラーレンの乾燥粉末を重合反応で使用し得る。
【0288】
2)in-situ重合によってヒドロキシル官能化フラーレンをTPUにグラフトすることについて説明する。官能化フラーレンが重合に添加し得る時期に応じて、ポリマー骨格にグラフトするために、又はポリマー鎖を末端封鎖するために材料を使用し得る(上記のカーボン源を用いたin-situ重合を参照)。
【0289】
理論実施例C3.ナノチューブ(PCL-CNT)。
【0290】
1)CNTの酸化について説明する。カーボンナノチューブ(CNT)は、更なる処理が生じ得る前に酸化させ得る。この変換は、超音波処理装置を使用して、1gの未処理CNTを、3:1の比率の濃硫酸及び濃硝酸の100mL混合物中に分散させることによって達成し得る。次いで、混合物を徐々に90℃に加熱し、30分間撹拌し得る。反応の完了後、混合物をDI水で希釈し得、テフロン膜を介して濾過し得る。次いで、中性pHに達するまでDI水で生成物を洗浄し、次いで真空オーブン内で乾燥させ得る。
【0291】
2)CNT表面の酸クロリド官能化について説明する。過剰なヒドロキシル基を介して酸化CNTをポリウレタン/ポリオールにグラフトする前に、塩化チオニル(SOCl)で酸化CNTを更に官能化し得る。1gの酸化CNTを、超音波処理によって10mLのSOCl中に分散させ得る。次いで、混合物を徐々に65℃に加熱し、撹拌しながら還流下に1日保持し得る。次いで、0.22μmのテフロン膜を介して混合物を濾過し得る。次いで、乾燥アセトンを使用して、生成物を洗浄して、酸クロリド中間体を得ることができる。
【0292】
3)ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)-ジオール/汎用ポリオールへのグラフト化。固体の酸クロリド官能化CNTを、乾燥THF中のPCL-ジオール溶液(530g/mol~2,000g/molの平均Mn)に直ちに移し得、60℃で24時間撹拌し得る。得られた反応混合物を濾過し、洗浄し、乾燥させて、ポリオールグラフト化CNTを得ることができる。この方法はまた、ヒドロキシル末端基を含有するTPUを末端封鎖するために使用され得る。
【0293】
4)in-situ重合による、TPUへのポリオール官能化CNTのグラフト化。次いで、ポリオール官能化CNTは、ナノチューブをポリマー鎖にグラフトするために、in-situ TPU重合で使用され得る(上記の重合手順を参照)。材料はまた、重合の完了後に添加され、かつイソシアネート基が過剰に存在する場合、ポリマーを末端封鎖するために使用され得る。
【0294】
理論実施例C4.グラフェン(イソシアネート変性)。
【0295】
1)酸化グラフェン(GO)のイソシアネート官能化について説明する。GOは、1時間の音波処理によって最初に水に分散させ得、その後、4,000rpmで10分間遠心分離し得る。次いで、GO懸濁液を溶媒交換プロセスに供して、DMF中にGOを分散させ得る。溶媒交換プロセスは、水性GOへのDMFの添加、続いての超音波処理、遠心分離、次いでの上清液体の除去によって実施され得る。このプロセスは、3回繰り返す必要がある。次に、GOを脂肪族ポリイソシアネート(PI)(例えば、DESMODUR(登録商標)N75)と反応させて、イソシアネート官能化GOを産生し得る。GO(1g)は、200rpmの速度及び窒素流で、磁気撹拌棒を備えた250mLの丸底フラスコに添加し得る。100mLの無水DMFを添加し、均質な懸濁液が形成されるまで混合物を撹拌し得る。次に、40mmolのPIを懸濁液に添加し、混合物を50℃の窒素下でで72時間撹拌し得る。反応後、混合物をジクロロメタン(DCM)に注ぎ入れ、生成物、すなわちポリイソシアネート官能化酸化グラフェン(PI-GO)を凝固させ得る。次いで、PI-GO生成物を濾過し、追加のDCMで洗浄し得る。
【0296】
2)in-situ重合によってポリイソシアネート官能化酸化グラフェン(PI-GO)をTPUにグラフトするための方法について説明する。計算した量のPI-GOを、30分間の超音波処理によって乾燥DMF中に分散させ得る。均質な溶液を形成すると、得られた混合物を、凝縮器及び窒素パージを備えた2リットルの3つ口丸底フラスコに移し得る。フラスコに、メチレンジフェニルジイソシアネート及びポリ(テトラヒドロフラン)(約1000g/molのMw)(1:0.5のモル比で)並びに乾燥DMF(20重量%の固体の反応)を添加し得る。反応混合物を、80℃に2時間加熱し得る。1、4-ブタンジオール(0.5当量)及び2.3×10-7mol/cmのジブチルスズラウレート触媒を、連続窒素流下、80℃の乾燥DMF中の反応容器に添加し得る。混合物を80℃で更に2時間撹拌し得る。完了時に、泡が見出せなくなるまで反応容器を真空により脱気し、粘性ポリマー溶液をアルミニウムパンに注ぎ入れて溶媒を蒸発させ得る。
【0297】
理論実施例C5.CNMグラフト化4、4-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)及びポリウレタンプレポリマーを介した変性CNMグラフト化ポリウレタン。
【0298】
GOは、重合反応の前にジイソシアネートモノマーと直接反応させ得る。0.033重量%のGO複合体は、500gの乾燥DMF中に50mgのGOを、超音波処理を用いて室温で30分間分散させることによって調製し得る。次いで、均質な溶液を、凝縮器及び窒素パージを備えた1リットルのフラスコに添加し得る。次に、36gのMDIをGO分散液に添加し得、80℃に加熱し得る。GOシートをMDIモノマーに取り付けるために、溶液を2時間撹拌し得る。次いで、64gのポリ(テトラヒドロフラン)(1000Mw)をフラスコに添加し得、混合物を80℃で更に2時間撹拌して、グラフト化酸化グラフェンナノシートを有するポリウレタンプレポリマーを調製し得る。次に、5.75gの1,4-ブタンジオール(鎖延長剤)及び2.3×10-7mol/cmのジブチルスズラウレート触媒を、連続窒素流下、80℃の乾燥DMF中の反応容器に添加し得る。混合物を80℃で更に2時間撹拌し得る。反応完了時に、泡が見出せなくなるまで反応容器を真空により脱気し、次いで、粘性ポリマー溶液をアルミニウムパンに注ぎ入れて溶媒を蒸発させ得る。
【0299】
理論実施例C6.アミン変性炭素源とのin-situ重合。
【0300】
1)アミノ官能化カーボンナノチューブの調製について説明する。多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は、最初に、3:1の体積比を有する濃硫酸と硝酸との混合物によって酸化され得る。酸性化は、超音波浴中の50℃、3時間の酸溶液中でのMWCNTの超音波処理を用いて行われ得る。次いで、MWCNT/酸混合物を脱イオン水に注ぎ入れ、濾過し、濾過溶液のpH値が約7(中性pH)になるまで繰り返し洗浄し得る。次いで、酸性化MWCNT生成物を80℃の真空オーブン内で6時間乾燥させ得る。約1gのMWCNT-COOHを、超音波処理下で少なくとも1時間、2LのTHF中に分散させ得る。この分散液に、周囲温度で撹拌しながら、20g(340mmol)のエチレンジアミン(EDA)、1g(10mmol)の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、10g(50mmol)のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加し得る。分散液/溶液を60℃に加熱し得、温度を、撹拌しながら60℃に24時間保持し得る。生成物は、容易に回収し、THF(1回の洗浄あたり1L~1.5L)で3回洗浄し得る黒色固体であり得る。生成物を真空オーブン内で乾燥させて、官能化MWCNTを得ることができる。
【0301】
2)in-situ重合によってアミン官能化CNTをTPUにグラフトするための方法について説明する。1gのアミン官能化CNTを、30分間の超音波処理によって乾燥DMF(50mL)中に分散させ得る。均質な溶液を得た後、磁気撹拌機、凝縮器、及び窒素パージを備えた1リットルの3つ口丸底フラスコに溶液を添加し得る。次いで、340mLの乾燥DMF、MDI(32.5g、0.127mol)及びポリ(テトラヒドロフラン)(1000Mw、62.0g、0.062mol)を添加し得る。反応物を80℃に2時間設定し得る。別の容器において、超音波処理によって1gのアミン官能性ナノチューブを乾燥DMF(50mL)中に分散させ得る。2時間後、1,4-ブタンジオール(5.6g、0.062mol)及び2.3×10-7mol/cmジブチルスズラウレート触媒を1リットルのフラスコに添加し得る。反応物を更に2時間撹拌し得、次いで、粘性混合物をアルミニウムパンに注ぎ入れて、DMFを蒸発させ得る。DMFの蒸発後、ポリマーを50℃の真空オーブンに一晩置くことによって、残留溶媒を除去し得る。
【0302】
理論実施例C6.溶融乳化によるCNM-g-ポリウレタン微粒子(例えば、CNT、GO、フラーレンなど)の調製。CNM-g-ポリウレタン微粒子は、高剪断ロータを備えたHAAKE(商標)RHEOMIX二軸スクリュー押出機内での溶融押出によって、CNM-g-ポリウレタンナノ複合体(実施例C1~C6に記載のように調製)から産生され得る。押出機はポリマーの融点付近の温度にされ得、ロータは、低速で開始され得る。CNM-g-ポリウレタンナノ複合体(実施例C1~C6に記載のように調製)から産生されたTPU-炭素ポリマーペレットを加熱した押出機に添加し、続いて、分散媒を添加し得る。分散媒は、室温で10,000~60,000cStの粘度を有するPDMS油であり得る。PDMS油対ポリマーの比率は、70:30、すなわち、70%の油中に30%のポリマー固体であり得る。乾燥粒子の流動を支援するために、分散媒の前に、任意の分散剤又は流動助剤を添加し得る。200℃で、押出機を200rpm(最大速度)で30分間動作させ得る。次いで、混合物をドライアイスと共に金属トレイ上に排出させ得、急冷処理を施し得る。ドライアイスが完全に昇華すると、油を3回のヘプタン洗浄で微粒子から洗い流し得、真空濾過によって微粒子を単離し得る。次いで、室温の真空オーブン内で微粒子を一晩乾燥させて、残留ヘプタンを蒸発させ得る。次いで、乾燥粒子を150μm又は250μmの篩にかけて篩過し得る。得られた粉末は、約50マイクロメートルの最終平均粒径(D50)及び約1.000のスパンを有し得る。スパンは、D90とD10との差をD50で割ったものとして計算され、粒径分布の尺度である。
【0303】
理論実施例C7.SLS印刷及び機械的試験:乾燥粉末のベースライン性能は、SNOWWHITE SLSプリンタ(Sharebotから入手可能)を使用して材料を焼結することによって決定され得る。レーザーは、コンピュータ支援設計(CAD)モデルを使用して作り出された所望の物体の断面を走査することによって、材料を選択的に融合させ得る。第1の層の走査後、粉体層を下げることができ、その上に新しい紛体材料を転動させることができる。以降の層は、当該部分が完了するまで走査され得る。他の積層造形技術と比較するとき、この粉末ベースのシステムの主な利点は、印刷支持体を排除すること及び材料を再利用できることである。
【0304】
したがって、本発明は、上述した目的及び利点、並びにその中の固有の利点を達成するように十分に適合されている。本発明は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが等価な方法で修正かつ実施してもよいため、上記に開示された特定の実施例及び構成は単なる例示に過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された特定の例示的実施例は、変更されるか、組み合わせるか、又は修正されてもよく、そのような全ての変形例は、本発明の範囲内及び趣旨内で考慮されることは明らかである。本明細書で例示的に開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの要素、及び/又は本明細書に開示されるいずれかの任意選択的な要素の非存在下で実施されてもよい。組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。上に開示された全ての数及び範囲は、多少異なる場合がある。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
図1
図2