(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176913
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】流体浸漬冷却のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20221122BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079514
(22)【出願日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】63/189,392
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/315,210
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522190421
【氏名又は名称】セジェージェー セルヴィシズ エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレーク,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ブラン,ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ルロジェイ,エミリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却システムの効率、冗長性及び運用上の柔軟性を向上する電子システム及び方法を提供する。
【解決手段】電子構成要素305を浸漬冷却するためのシステム300は、円形断面を有する円筒状容器301と、円筒状容器内に配置され、かつ、第1の冷却流体を収容する冷却要素303と、円筒状容器内に配置され、電子構成要素と第1の冷却流体の間における熱の交換のために冷却要素と接触する所定体積の第2の冷却流体302と、を含む。第2の冷却流体は、浸漬冷却流体を構成する。発熱する電子構成要素は、円筒状容器内に配置され、かつ、少なくとも部分的に、第2の冷却流体内にその電子構成要素と第2の冷却流体との間における熱の交換のために浸漬され、機械的な流体循環デバイス(ファン又はポンプ)304が第2の冷却流体内に配置されて、電子構成要素を通り、かつ、冷却要素上を覆う第2の冷却流体の流れ316を導く。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子構成要素を浸漬冷却するためのシステム(100、900、1000)であって、
円形の断面を有する円筒状容器(101、600、902、1002)と、
前記円筒状容器内に配置される冷却要素であって、第1の冷却流体(120、121)を収容している冷却要素(612、704、904、1012)と、
前記円筒状容器内に配置される所定体積の第2の冷却流体であって、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の交換のために前記冷却要素と接触する、浸漬冷却流体を構成する第2の冷却流体(102、211、302、702、909)と、
前記円筒状容器内に配置される発熱する電子構成要素であって、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体の間における熱の交換のために少なくとも部分的に前記第2の冷却流体内に浸漬される発熱する電子構成要素(109、305、1030)と、
前記第2の冷却流体内に配置され、前記電子構成要素を通り、かつ前記冷却要素上を覆う前記第2の冷却流体の流れを導く流体循環デバイス(304、710)と、
を包含するシステム。
【請求項2】
前記円筒状容器は、前記第2の冷却流体の出荷に使用される金属バレルを包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記冷却要素は、
前記円筒状容器の外部の供給源から前記冷却要素内へ前記第1の冷却流体を導入するための流入口と、
前記流入口とは別の、前記冷却要素から加熱された第1の冷却流体を取り出すための流出口と、
を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、さらに、2つの冷却要素を包含し、各冷却要素は、前記電子構成要素と前記円筒状容器の内壁の間に設置され、前記2つの冷却要素は、前記電子構成要素の直径方向において反対となる側に配される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の冷却流体は、水を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の冷却流体は、誘電性オイルを包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子構成要素は、前記第2の冷却流体内に完全に浸漬される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電子構成要素は、電力および通信の接続を包含する前面と、前記前面の後ろから延びる奥行きと、を包含し、
前記電子構成要素は、前記前面を前記円筒状容器の開いた上部を通じてアクセス可能であり、前記奥行きを前記円筒状容器内に垂直に延ばして前記円筒状容器内に配置される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記前面は、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁とは反対側の下縁と、を包含し、前記上縁と前記下縁は、前記側縁の間に延び、
前記電子構成要素は、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を包含し、
前記冷却要素は、前記側縁のうちの1つに隣接して配置される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、さらに、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を包含し、前記冷却要素は、前記複数の電子構成要素の前記整列された側部のうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体循環デバイスは、前記電子構成要素内に統合されて前記電子構成要素から電力を受け取るマイクロポンプを包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記電子構成要素は、電力および通信の接続を包含する前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きを包含し、
前記システムは、さらに、前記円筒状容器内に配置される支持体を包含し、前記支持体は、前記円筒状容器の高さに沿って、少なくとも前記奥行きに等しい距離で前記円筒状容器の底部から間隔が開けられた支持プラットフォームを包含し、
前記支持プラットフォームは、前記円筒状容器内において前記電子構成要素を、前記奥行きを垂直に位置決めして保持するべく前記円筒状容器内に配される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記前面は、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁から間隔が開けられた下縁と、を包含し、前記上縁と下縁は、前記対向する側縁の間に延び、
前記電子構成要素は、さらに、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を包含し、
前記支持プラットフォームは、前記前面の前記対向する側縁と係合し、かつ前記電子構成要素を支持する対向する支持レールを包含する中央開口を包含する、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、さらに、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を包含し、前記対向する支持レールは、すべての前記前面の前記対向する側縁と係合し、すべての電子構成要素を支持する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記支持プラットフォームは、前記対向する支持レールのうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる冷却要素開口を包含し、
前記冷却要素は、前記冷却要素開口内に配置される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記支持プラットフォームは、さらに、封じ込めセクションを包含し、前記封じ込めセクションは、
前記中央開口および前記冷却要素開口が配置されるデッキと、
前記デッキから上へ、前記ベースとは反対の方向に延びる前記デッキの全周の周りのリップと、
を包含し、前記デッキおよびリップは、前記電子構成要素の前記前面から現れる第2の冷却流体の、前記冷却要素開口を通り、前記冷却要素に沿う流れを導く、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータ・システム構成要素を浸漬冷却するためのシステム(100、900、1000)であって、
円形の断面を有する円筒状容器(101、600、902、1002)と、
前記円筒状容器内に配置される冷却要素であって、第1の冷却流体(120、121)を収容している冷却要素(612、704、904、1012)と、
前記円筒状容器内に配置される所定体積の第2の冷却流体であって、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の交換のために前記冷却要素と接触する、浸漬冷却流体を構成する第2の冷却流体(102、211、302、702、909)と、
前記円筒状容器内に配置される発熱する電子構成要素であって、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体の間における熱の交換のために前記第2の冷却流体内に完全に浸漬(1026)される発熱する電子構成要素(109、305、1030)と、
前記第2の冷却流体内に配置され、かつ前記発熱する電子構成要素内に統合され、前記電子構成要素を通り、かつ前記冷却要素を覆う前記第2の冷却流体の流れを導くマイクロポンプ(304、710)と、
を包含するシステム。
【請求項18】
前記円筒状容器は、前記第2の冷却流体の出荷に使用される金属バレルを包含し、
前記マイクロポンプは、前記電子構成要素から電力を受け取る、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電子構成要素は、
2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁から間隔が開けられた下縁と、を包含し、前記上縁と下縁が、前記対向する側縁の間に延びる前面と、
前記前面から後ろへ延びる奥行きと、
前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、
を包含し、前記システムは、さらに、前記円筒状容器内に配置される支持体を包含し、前記支持体は、
前記円筒状容器の高さに沿って、少なくとも前記奥行きに等しい距離で前記円筒状容器の底部から間隔が開けられた支持プラットフォームを包含し、前記支持プラットフォームは、封じ込めセクションを包含し、前記封じ込めセクションは、
デッキとリップとを包含し、前記デッキは、
前記前面の前記対向する側縁と係合して前記電子構成要素を前記円筒状容器内に、前記円筒状容器内において前記奥行きを垂直に位置決めして支持する対向する支持レールを包含する中央開口と、
前記対向する支持レールのうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる冷却要素開口であって、前記冷却要素開口内に前記冷却要素が配置される冷却要素開口と、を含み、
前記リップは前記デッキの全周の周りにおいて、前記デッキから上に、前記ベースとは反対の方向に延びており、
前記デッキおよびリップは、前記電子構成要素の前記前面から現れる第2の冷却流体の、前記冷却要素開口を通り、前記冷却要素に沿う流れを導く、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
電子構成要素を浸漬冷却するための方法であって、
浸漬冷却流体(102、211、302、702、909)を収容している円筒状バレル(600、902、1002)の上部(601)を開くことと、
前記円筒状バレル内に支持体(1004)を置くことと、
前記支持体を使用して少なくとも1つの発熱する電子構成要素(1030)を、前記円筒状バレル内において、前記電子構成要素が前記浸漬冷却流体内に完全に浸漬される(1026)ように保持することと、
前記円筒状バレル内の前記浸漬冷却流体内において、少なくとも1つの冷却要素(1012)を前記少なくとも1つの電子構成要素に隣接させて浸漬することと、
前記円筒状バレルの外部の供給源から冷却流体(120、121)を、前記少なくとも1つの冷却要素を通して循環させることと、
前記少なくとも1つの電子構成要素内に統合され、前記少なくとも1つの電子構成要素から電力を引き出す少なくとも1つのマイクロポンプ(304、710)を使用して、垂直上へ前記少なくとも1つの電子構成要素を通り(706)、かつ垂直下へ前記少なくとも1つの冷却要素上を覆う(726)前記浸漬冷却流体の流れ(705)を導き、前記少なくとも1つの電子構成要素からの熱を、前記浸漬冷却流体を通して前記円筒状バレルの外部の前記供給源からの前記冷却流体へ伝達して前記円筒状バレルから取り除くことと、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている主題の実施態様は、電子システムの流体浸漬冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
地震データの収集および処理を含めた地震データ獲得調査のすべての局面のコントロールには、コンピューティング・システムが利用される。大量のデータ収集およびデータの処理に関わる複雑性に起因して、相当な量の演算能力が求められる。求められる量の演算能力を伴ったコンピューティング・システムは、相当な熱を発生し、冷却を必要とする。地震データ獲得調査は、通常、遠隔地域または海洋において生じ、演算キャパシティの総計は、適用対象の間において多様であることから、コンピューティング・システムおよび関連する冷却メカニズムは、堅牢かつポータブルかつモジュラであることが必要とされる。それに加えて、現地において電力消費をコントロールし、または制限する必要性が、これらのコンピュータ・システムおよび冷却メカニズムにさらなる制約を課する。
【0003】
概して言えば、電子システムは、それらが動作しているときに熱を発生する。発生した熱は、電子システム内に収容されている構成要素が、それらの指定温度範囲内にとどまることを保証するべく取り除かれる必要がある。発生した熱は、電子システムを通して冷却流体を流すことによって電子システムから取り除かれる。従来的な冷却流体は、気体、たとえば空気、液体、または気体と液体の組み合わせを含む。冷却流体は、電子システム内の電子機器から熱を取り除き、その熱を当該電子システムの外部の場所まで運ぶ。この外部の場所においては、熱が別の流体との間で交換されるか、または周囲環境内へ直接消散される。
【0004】
コンピューティング・システムにおいては、大規模サーバ・ファーム等のコンピューティング・システムを冷却する必要性およびこれらのコンピューティング・システムの冷却に関連付けされるエネルギ・コストが、革新的かつエネルギ効率の良い冷却システムの開発を駆り立てている。よりエネルギ効率の良い冷却システムには、強制空冷システムまたは冷却流体循環ヒート・シンクまたは冷却ジャケットより、オイル浸漬冷却の方が有利である。オイル浸漬冷却システムにおいては、冷却されるべき電子構成要素が、少なくとも部分的に誘電性オイル内に浸漬される。電子構成要素と接触している誘電性オイルが熱を、それらの電子構成要素からほかへ伝達する。伝達された熱を誘電性オイルから取り除くために、熱交換器を通る誘電性オイルの循環が、たとえばポンプを使用して行われ、当該熱交換器には、それを通って別の冷却液も循環される。この熱交換器は、誘電性オイルを保持している容器および電子構成要素の外部、または当該容器の内部に設置することが可能である。
【0005】
データセンタ・サーバのための液体浸漬冷却製品の一例は、テキサス州オースティンのGreen Revolution Cooling(グリーン・レボリューション・クーリング)から商的に入手可能なCarnoJet System(カルノジェット・システム)である。CarnoJet System(カルノジェット・システム)は、一次ポンプと、二次ポンプと、オイル/水熱交換器と、コントロール・メカニズムと、を含む「ポンプ・モジュール」を利用する。各ポンプ・モジュールには、発熱する情報テクノロジ(IT)機器で満たされた1つ以上の注文製造スチール製タンクが関連付けされており、それらは、概括的に言えば鉱物性オイルに類似の、GreenDef(グリーンデフ)と呼ばれる誘電性冷媒内に浸漬されている。タンク内のIT機器は、備え付け「ラック」レール・システム上に支持されている。ポンプ・モジュールとタンクは、ホースを介して接続されている。ポンプは、熱交換器を通ってタンクへ戻るオイルの循環を行う。冷却水が、外部供給源から熱交換器へ供給される。このシステムは、高い熱密度のIT機器を非常に効率よく冷却する一方、特に、コスト、サイズ、および複雑性に関係するいくつかの欠点を有する。
【0006】
冷却プロセスの効率、冗長性、および保守容易性は、概して、使用される冷却流体の質量、電気化学的ならびに熱的な特性、冷却流体の量または体積、必要とされる流体流、必要とされる流体循環システムによって消費されるエネルギの量、および冷却流体の循環に必要とされる循環システムの複雑性に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地震データ処理がハイ・パフォーマンス・コンピューティング・センタ内に含まれる多数の電子システムを必要とすることから、冷却システムの効率、冗長性、および運用上の柔軟性の向上がその活動にとっての望ましい成果となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施態様は、浸漬冷却流体の輸送および貯蔵に使用される金属バレル等の円形の断面を有する円筒状容器を使用してコンピューティング・システム機器等の電子構成要素を浸漬冷却するためのシステムを対象とする。これらのシステムは、前記円筒状容器内に配置されて、前記円筒状容器内への、およびそこからの第1の冷却流体または一次冷却流体の流れを提供する1つ以上の冷却要素と、前記容器内に収められ、前記容器内に配置された前記1つ以上の冷却要素を取り囲む所定体積の第2の冷却流体を含む。前記第2の冷却流体は、前記容器内に供給される浸漬冷却流体等の浸漬冷却流体である。前記円筒状容器内において、前記所定体積の浸漬冷却流体内に少なくとも1つの発熱する電子構成要素が配置され、少なくとも1つのマイクロポンプが、少なくとも1つの発熱する電子構成要素内に配置される。前記マイクロポンプは、二次冷却流体の、前記電子構成要素および前記1つ以上の冷却要素を通って前記少なくとも発熱する電子構成要素からの熱を取り除き、前記二次冷却流体と前記一次冷却流体の間において熱を伝達する流れを提供する。
【0009】
また例示的な実施態様は、発熱する電子構成要素の浸漬冷却のための方法も対象とする。浸漬冷却流体の輸送および貯蔵に使用される円筒状バレル等の円筒状バレルの蓋が取り除かれ、1つ以上の冷却要素が前記円筒状バレル内に置かれる。前記冷却要素が、水等の一次冷却流体の供給源と接続される。前記円筒状バレルが、前記容器内に配置された前記1つ以上の冷却要素を取り囲むに充分な体積の第2の冷却流体で満たされる。前記第2の冷却流体は、浸漬冷却流体であり、1つの実施態様においては、前記第2の冷却流体が前記円筒状バレル内に入れられて出荷された前記浸漬冷却流体である。したがって、前記第2の冷却流体は、すでに前記円筒状バレル内に収容されており、追加する必要がない。1つの実施態様においては、そのほかの構成要素の挿入に適応させるべく前記所定体積の前記第2の冷却流体の一部が取り除かれる。
【0010】
少なくとも1つの発熱する電子構成要素が、前記円筒状バレル内の前記所定体積の浸漬冷却流体内に置かれる。前記第1の冷却流体または一次冷却流体は、前記円筒状バレル内およびその外へと前記1つ以上の冷却要素を通って循環し、たとえば前記少なくとも1つの発熱する電子構成要素内に配置されたマイクロポンプが、前記電子構成要素および前記1つ以上の冷却要素を通り、前記少なくとも発熱する電子構成要素からの熱の取り除きおよび前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の伝達を行う前記第2の冷却流体の循環に使用される。
【0011】
例示的な実施態様は、電子構成要素を浸漬冷却するためのシステムを対象としており、前記システムは、円形の断面を有する円筒状容器と、前記円筒状容器内に配置され、かつ第1の冷却流体を収容している冷却要素と、前記円筒状容器内に配置される所定体積の第2の冷却流体であって、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の交換のために前記冷却要素と接触する、浸漬冷却流体である第2の冷却流体と、前記円筒状容器内に配置される発熱する電子構成要素であって、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体の間における熱の交換のために少なくとも部分的に前記第2の冷却流体内に浸漬される発熱する電子構成要素と、前記第2の冷却流体内に配置され、前記電子構成要素を通り、かつ前記冷却要素上を覆う前記第2の冷却流体の流れを導く流体循環デバイスと、を含む。
【0012】
1つの実施態様においては、前記円筒状容器が、前記第2の冷却流体の出荷に使用される金属バレルである。1つの実施態様においては、前記冷却要素が、前記円筒状容器の外部の供給源から前記冷却要素内へ前記第1の冷却流体を導入するための流入口と、前記流入口とは別の、前記冷却要素から加熱された第1の冷却流体を取り出すための流出口と、を含む。1つの実施態様においては、前記システムが、さらに、2つの冷却要素を含む。各冷却要素は、前記電子構成要素と前記円筒状容器の内壁の間に設置され、前記2つの冷却要素は、前記電子構成要素の直径方向において反対となる側に配される。1つの実施態様においては、前記第1の冷却流体が水であり、前記第2の冷却流体が誘電性オイルである。1つの実施態様においては、前記電子構成要素が前記第2の冷却流体内に完全に浸漬される。
【0013】
1つの実施態様においては、前記電子構成要素が、電力および通信の接続を含む前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きと、を含む。前記電子構成要素は、前記前面を前記円筒状容器の開いた上部を通じてアクセス可能であり、前記奥行きを前記円筒状容器内に垂直に延ばして前記円筒状容器内に配置される。1つの実施態様においては、前記前面が、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁とは反対側の下縁と、を有する。前記上縁と前記下縁は、前記側縁の間に延びる。前記電子構成要素は、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を有し、前記冷却要素は、前記側縁のうちの1つに隣接して配置される。1つの実施態様においては、前記システムが、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を含む。前記冷却要素は、前記複数の電子構成要素の前記整列された側部のうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる。
【0014】
1つの実施態様においては、前記流体循環デバイスが、前記電子構成要素内に統合されるマイクロポンプである。1つの実施態様においては、前記マイクロポンプが、前記電子構成要素から電力を受け取る。1つの実施態様においては、前記電子構成要素が、電力および通信の接続を含む前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きを有し、前記システムが、前記円筒状容器内に配置される支持体を含む。前記支持体は、前記円筒状容器の高さに沿って、少なくとも前記奥行きに等しい距離で前記円筒状容器の底部から間隔が開けられた支持プラットフォームを含み、かつ前記円筒状容器内において前記電子構成要素を、前記奥行きを垂直に位置決めして保持するべく前記円筒状容器内に配される。1つの実施態様においては、前記前面が、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁から間隔が開けられた下縁と、を有し、前記上縁と下縁が、前記対向する側縁の間に延び、前記電子構成要素が、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を含む。前記支持プラットフォームは、前記前面の前記対向する側縁と係合し、かつ前記電子構成要素を支持する対向する支持レールを伴う中央開口を有する。
【0015】
1つの実施態様においては、前記システムが、さらに、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を含み、前記対向する支持レールが、すべての前面の前記対向する側縁と係合し、すべての電子構成要素を支持する。1つの実施態様においては、前記支持プラットフォームが、前記対向する支持レールのうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる冷却要素開口を有し、前記冷却要素が、前記冷却要素開口内に配置される。1つの実施態様においては、前記支持プラットフォームが、デッキと、前記デッキから上へ、前記ベースとは反対方向へ延びる前記デッキの全周の周りのリップと、を伴う封じ込めセクションを含む。前記中央開口および前記冷却要素開口は、前記デッキ内に配置され、前記デッキおよびリップは、前記電子構成要素の前記前面から現れる第2の冷却流体の、前記冷却要素開口を通り、前記冷却要素に沿う流れを導く。
【0016】
また例示的な実施態様は、コンピュータ・システム構成要素を浸漬冷却するためのシステムも対象としており、前記システムは、円形の断面を有する円筒状容器と、前記円筒状容器内に配置される複数の冷却要素であって、それぞれが第1の冷却流体を収容している複数の別々の冷却要素と、前記円筒状容器内に配置される所定体積の第2の冷却流体であって、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の交換のために各冷却要素と接触する、浸漬冷却流体である第2の冷却流体と、前記円筒状容器内に配置される複数の発熱する電子構成要素であって、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体の間における熱の交換のために前記第2の冷却流体内に完全に浸漬される複数の発熱する電子構成要素と、前記第2の冷却流体内に配置され、各電子構成要素を通り、かつ前記複数の冷却要素上を覆う前記第2の冷却流体の流れを導く複数の流体循環デバイスと、を含む。
【0017】
1つの実施態様においては、前記円筒状容器が、前記第2の冷却流体の出荷に使用される金属バレルであり、また前記流体循環デバイスが、前記電子構成要素内に統合され、前記電子構成要素から電力を受け取るマイクロポンプである。1つの実施態様においては、各電子構成要素が、2つの対向する側縁と、上縁および前記上縁から間隔が開けられた下縁を伴い、前記上縁および前記下縁が前記対向する側縁の間に延びる前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きと、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、を有する。前記複数の電子構成要素は、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される。前記複数の冷却要素は、2つの冷却要素を含み、前記システムは、さらに、前記円筒状容器内に配置される支持体を含む。1つの実施態様においては、前記支持体が、前記円筒状容器の高さに沿って前記円筒状容器の底部から、少なくとも前記奥行きに等しい距離で間隔が開けられた支持プラットフォームを含む。前記支持プラットフォームは、すべての前記前面の前記対向する側縁と係合してすべての前記電子構成要素を前記円筒状容器内に、前記円筒状容器内において前記奥行きを垂直に位置決めして支持する対向する支持レールを包含する中央開口と、2つの冷却要素開口と、を伴うデッキを含む封じ込めセクションを有する。各冷却要素開口は、前記複数の電子構成要素の直径方向において反対となる側で、前記対向する支持レールのうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされ、各冷却要素は、前記冷却要素開口のうちの1つの中に配置される。また前記封じ込めセクションは、前記デッキから上へ、前記ベースとは反対の方向に延びる前記デッキの全周の周りのリップも含む。前記デッキおよびリップは、前記電子構成要素の前記前面から現れる第2の冷却流体の、前記冷却要素開口を通り、前記冷却要素に沿う流れを導く。
【0018】
例示的な実施態様は、電子構成要素を浸漬冷却するための方法も対象とする。浸漬冷却流体を収容している円筒状バレルの上部が開かれ、前記円筒状バレル内に支持体が置かれる。前記支持体は、少なくとも1つの発熱する電子構成要素を、前記円筒状バレル内において、前記電子構成要素が前記浸漬冷却流体内に完全に浸漬されるように保持するべく使用される。前記円筒状バレル内の前記浸漬冷却流体内において、少なくとも1つの冷却要素を前記少なくとも1つの電子構成要素に隣接させて浸漬し、前記円筒状バレルの外部の供給源から冷却水を、前記少なくとも1つの冷却要素を通して循環させる。前記少なくとも1つの電子構成要素内に統合され、前記少なくとも1つの電子構成要素から電力を引き出す少なくとも1つのマイクロポンプが使用されて、垂直上へ前記少なくとも1つの電子構成要素を通り、かつ垂直下へ前記少なくとも1つの冷却要素上を覆う前記浸漬冷却流体の流れを導き、前記浸漬冷却流体を通して前記少なくとも1つの電子構成要素からの熱を冷却水へ伝達し、前記円筒状バレルから取り除く。
【0019】
例示的な実施態様は、電子構成要素を浸漬冷却するためのシステムを対象とする。前記システムは、円形の断面を有する円筒状容器と、前記円筒状容器内に配置され、かつ第1の冷却流体を収容している冷却要素と、前記円筒状容器内に配置される所定体積の、浸漬冷却流体とする第2の冷却流体であって、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体との間における熱の交換のために前記冷却要素と接触する第2の冷却流体と、前記円筒状容器内に配置される発熱する電子構成要素であって、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体の間における熱の交換のために少なくとも部分的に前記第2の冷却流体内に浸漬される発熱する電子構成要素と、前記第2の冷却流体内に配置され、前記電子構成要素を通り、かつ前記冷却要素を覆う前記第2の冷却流体の流れを導く流体循環デバイスと、を含む。
【0020】
前記円筒状容器は、前記第2の冷却流体の出荷に使用される金属バレルを含むことができる。1つの実施態様においては、前記冷却要素が、前記円筒状容器外部の供給源から前記冷却要素内へ前記第1の冷却流体を導入するための流入口と、前記冷却要素から加熱された第1の冷却流体を取り除くための、前記流入口とは別の流出口を含む。1つの実施態様においては、前記システムが、2つの冷却要素を含む。各冷却要素は、前記電子構成要素と前記円筒状容器の内壁の間に設置され、前記2つの冷却要素は、前記電子構成要素の直径方向において反対となる側に配される。1つの実施態様においては、前記第1の冷却流体が水である。1つの実施態様においては、前記第2の冷却流体が誘電性オイルである。1つの実施態様においては、前記電子構成要素が第2の冷却流体内に完全に浸漬される。1つの実施態様においては、前記電子構成要素が、電力および通信接続を含む前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きと、を有する。前記電子構成要素は、前記円筒状容器の開いた上部を通して前記前面のアクセスを可能にして、前記奥行きを前記円筒状容器内に垂直に延ばして前記円筒状容器内に配置される。1つの実施態様においては、前記前面が、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁とは反対側の下縁と、を有する。前記上縁と前記下縁は、前記側縁の間に延びる。前記電子構成要素は、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を含む。前記冷却要素は、前記側縁のうちの1つに隣接して配置される。
【0021】
前記システムは、さらに、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を含むことができる。前記冷却要素は、前記複数の電子構成要素の前記整列された側部のうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる。前記流体循環デバイスは、前記電子構成要素内に統合されて前記電子構成要素から電力を受け取るマイクロポンプを有する。前記電子構成要素は、電力および通信接続を含む前面と、前記前面から後ろへ延びる奥行きと、を有する。1つの実施態様においては、前記システムが、さらに、前記円筒状容器内に配置される支持体を含む。前記支持体は、前記円筒状容器の高さに沿って前記円筒状容器の底部から、少なくとも前記奥行きに等しい距離で間隔が開けられた支持プラットフォームを含む。前記支持プラットフォームは、前記円筒状容器内において前記奥行きを垂直に位置決めして前記電子構成要素を保持するべく前記円筒状容器内に配される。1つの実施態様においては、前記前面が、2つの対向する側縁と、上縁と、前記上縁から間隔が開けられた下縁と、を有する。前記上縁および下縁は、前記対向する側縁の間に延びる。前記電子構成要素は、さらに、前記2つの側縁から前記奥行きに沿って延びる2つの側部と、前記上縁から前記奥行きに沿って延びる上部と、前記下縁から前記奥行きに沿って延びる底部と、を含む。前記支持プラットフォームは、前記前面の前記対向する側縁と係合して前記電子構成要素を支持する対向する支持レールを含む中央開口を有する。
【0022】
前記システムは、さらに、すべての電子構成要素の前記側部を整列させたスタックとして前記円筒状容器内に配される複数の電子構成要素を含むことができる。前記対向する支持レールは、すべての前記前面の前記対向する側縁と係合し、すべての電子構成要素を支持する。前記支持プラットフォームは、前記対向する支持レールのうちの1つと前記円筒状容器の内壁の間に位置決めされる冷却要素開口を有し、前記冷却要素が、前記冷却要素開口内に配置される。1つの用途においては、前記支持プラットフォームが、さらに、デッキを有する封じ込めセクションを含み、前記中央開口および前記冷却要素開口は、前記デッキ内に配置される。リップが、前記デッキの全周の周りに前記デッキから上へ、前記ベースとは反対の方向に延びる。前記デッキおよびリップは、前記電子構成要素の前記前面から現れる第2の冷却流体の、前記冷却要素開口を通り、前記冷却要素に沿う流れを導く。
【0023】
1つの実施態様においては、コンピュータ・システム構成要素を浸漬冷却するための前記システムが、円形の断面を有する円筒状容器と、前記円筒状容器内に配置される第1の冷却流体を収容している冷却要素と、を含む。所定体積の第2の冷却流体が前記円筒状容器内に配置され、前記第2の冷却流体と前記第1の冷却流体の間における熱の交換のために前記冷却要素と接触する。1つの実施態様においては、前記第2の冷却流体が浸漬冷却流体である。発熱する電子構成要素が前記円筒状容器内に配置され、かつ第2の冷却流体内に完全に、前記電子構成要素と前記第2の冷却流体との間における熱の交換のために浸漬され、マイクロポンプが前記第2の冷却流体内に配置され、かつ前記発熱する電子構成要素内に統合され、前記電子構成要素を通り、かつ前記冷却要素上を覆う前記第2の冷却流体の流れを導く。
【0024】
別の実施態様においては、電子構成要素を浸漬冷却するための方法が、浸漬冷却流体を収容している円筒状バレルの上部を開くことと、前記円筒状バレル内に支持体を置くことと、前記支持体を使用して少なくとも1つの発熱する電子構成要素を、前記円筒状バレル内において、前記電子構成要素が前記浸漬冷却流体内に完全に浸漬されるように保持することと、前記円筒状バレル内の前記浸漬冷却流体内において、少なくとも1つの冷却要素を前記少なくとも1つの電子構成要素に隣接させて浸漬することと、前記円筒状バレルの外部の供給源から冷却流体を、前記少なくとも1つの冷却要素を通して循環させることと、前記少なくとも1つの電子構成要素内に統合され、前記少なくとも1つの電子構成要素から電力を引き出す少なくとも1つのマイクロポンプを使用して、垂直上へ前記少なくとも1つの電子構成要素を通り、かつ垂直下へ前記少なくとも1つの冷却要素上を覆う前記浸漬冷却流体の流れを導き、前記少なくとも1つの電子構成要素からの熱を、前記浸漬冷却流体を通して、前記円筒状バレルの外部の前記供給源からの前記冷却流体へ伝達して前記円筒状バレルから取り除くことと、を含む。
【0025】
この明細書に組み入れられ、かつその一部をなす添付図面は、1つ以上の実施態様を図解しており、記述内容とともにこれらの実施態様を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】円筒状容器を有する電子構成要素冷却システムの実施態様を図解した図である。
【
図2】全体としてマニフォールド構成にされた複数の円筒状容器を含む電子構成要素冷却システムの実施態様を図解した図である。
【
図3】電子システムの浸漬冷却のためのシステムの実施態様を図解した切り取り側面図である。
【
図4】電子システムのための位置および位置決めシステムの実施態様を図解した切り取り側面図である。
【
図5】冷却プレートのための位置および位置決めシステムの実施態様を図解した切り取り側面図である。
【
図6】電子構成要素冷却システムの構成要素を収容している円筒状バレルの実施態様を図解した図である。
【
図8】円筒状バレルを利用する電子構成要素冷却システムの別の実施態様を図解した図である。
【
図9】円筒状容器を有する電子構成要素冷却システムの別の実施態様を図解した図である。
【
図10】複数の電子構成要素および2つの冷却要素を含む電子構成要素冷却システムを図解した上部図である。
【
図11】支持体および当該支持体内に置かれる冷却要素を収容している円筒状を図解した上部図である。
【
図12】冷却要素を含む冷却チャンネルを図解した支持体の実施態様の一部を図解した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施態様の説明は、添付図面を参照する。異なる図面内の同じ参照番号は、同じか、または類似する要素を識別する。以下の詳細な説明が本発明を限定することはない。それに代えて、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲によって定義される。1つの実施態様においては、システムが、標準タイプのデータ・センタ内に展開される。別のあまり高価でない実施態様においては、システムが倉庫または「ポール・バーン」内に展開される。1つの実施態様においては、システムが、現地の場所に合わせて、たとえば出荷容器の内側に展開され、冷却水の供給源、たとえば海水、または砂漠用途における蒸発池の近くに置かれる。
【0028】
この明細書全体を通じて『1つの実施態様』または『(ある)実施態様』と言うときは、ある実施態様に関連して述べられる特定の特徴、構造、または特性が、開示されている主題の少なくとも1つ実施態様の中に含まれていることを意味する。したがって、この明細書全体を通じて随所に出てくる『1つの実施態様』または『(ある)実施態様』という成句は、必ずしも同じ実施態様を参照していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性を、1つ以上の実施態様内において任意の適切な態様で組み合わせることができる。
【0029】
システムおよび方法の例示的な実施態様は、発熱するコンピューティング機器または構成要素を含めた発熱する電子機器または構成要素の浸漬冷却システムとして構成された電子構成要素冷却システムの改善を提供する。電子構成要素の浸漬冷却のための改善されたシステムは、個別に、または組み合わせにおいて利用される複数の部品を含む。これらの部品は、浸漬冷却流体の出荷、電子構成要素の浸漬冷却のための完成システムの輸送、および現場におけるコンピューティングまたは情報テクノロジ(IT)システム機器の運用のために使用される低コスト商品の容器またはタンクを含む。適切な発熱する電子構成要素またはコンピューティング機器には、限定ではないが、コンピュータ、ブレード・サーバまたは高密度サーバを含むサーバ、プロセッサ、コンピュータ・ストレージ・システム、変圧器、および情報テクノロジ(IT)システムが含まれる。低コスト商品のタンクを含め、適切なタンクまたは容器には、限定ではないが、カーボイ、プラスチック製水タンク、バレル、ドラム缶、水平運搬タンク、グラスファイバ・タンク、燃料タンク、防除管理者(PCO)用液体運搬タンク、およびケージ付きIBCタンクを含む中間バルク容器(IBC)タンクが含まれる。1つの実施態様においては、タンクまたは容器が、円形の断面を有する円筒状のタンク、容器、ドラム缶、またはバレルである。1つの実施態様においては、タンクまたは容器が、上部が開いた矩形のタンクまたは容器であり、タンク内に置かれるサーバ等の電子構成要素と液体-液体熱交換器等の冷却構成要素を支持するための、タンクの開いた上部の縁に沿って延びるリップ、リッジ、またはショルダを有する。別の実施態様においては、タンクまたは容器が、円筒状の金属性またはプラスチック製バレルから作成された円筒状のタンクまたは容器であり、概して円形の断面を有する。本明細書で使用される場合、容器またはタンクは、これらのタイプの容器のうちの任意のものを参照する。
【0030】
容器は、その容器内に収容される冷却液と互換性のある材料から作成される。容器用の適切な材料には、限定ではないが、プラスチック、エラストマ、金属、グラスファイバ、およびこれらの組み合わせが含まれる。1つの実施態様においては、容器が、高密度ポリエチレン(HDPE)タンクである。従来的な冷却液貯蔵および引き渡しタンク、ドラム缶、またはバレルが使用される場合、これらのタンク、ドラム缶、およびバレルが、好ましくは現場において改造され、タンク、ドラム缶、およびバレルの上部が取り外され、冷却されるべき電子構成要素を含む冷却システムの機器の挿入を容易にする。1つの実施態様においては、これらの改造で、円形の断面を有する円筒状容器が形成される。既存のシステムは、矩形形状がもっとも効率的な形状であることを前提としてエア・ラックを模しているが、円筒状のタブまたはバレルの使用は、液体浸漬流体の力を均等に分配し、追加の構造的補強の使用を伴うことなく胴曲りを防止する。円筒形状はまた、冷却要素が発熱する電子構成要素の近くに位置決めされ、詰め込まれることも可能にし、またそれが、コンパクトで廉価な構成における高い熱密度を可能にする。それに加えて、これらの円筒状バレルは、標準的な製品、たとえばサルベージ・ドラム缶として存在する。
【0031】
電子構成要素冷却システムは、容器外部の供給源から循環する第1の冷却流体または一次冷却流体と、第2の冷却流体または二次冷却流体の2つの冷却流体を利用する。所定体積の第2の冷却流体または二次冷却流体が容器内に収められ、第2の冷却流体は、電子構成要素の浸漬に適切であり、かつ浸漬されている間、すなわち浸漬冷却流体内にある電子構成要素の動作と互換性がある。適切な浸漬冷却流体には、限定ではないが、鉱物性オイル、シリコン・オイル、および植物性オイルを含む誘電性オイル等の誘電性流体が含まれる。適切な誘電性浸漬オイルは、この分野において周知であり、入手可能である。複数の別々の容器を利用する実施態様の場合には、各体積の第2の冷却流体が与えられた容器内において自己充足式であり、第1の冷却流体は、共通の供給源から、すべての容器を個別に通って循環される。
【0032】
1つの実施態様においては、浸漬冷却のためのシステムを収容している容器、すなわちタンク、ドラム缶、またはバレルが、第2の冷却流体の貯蔵および出荷に使用される容器である。したがって、第2の冷却流体は、浸漬冷却のためのシステムが容器内において動作することになる現場へ出荷され、現場でその容器が、すでにその容器内にある所定体積の第2の冷却の中に電子構成要素を浸漬冷却するためのシステムの構成要素を置くべく改造される。この改造は、容器の上部を開くことと、必要に応じて容器内に構成要素を置くため、第2の冷却流体の一部を取り除くことと、容器内に構成要素を置くことと、および構成要素に対する必要な配管と電気的および電子的な接続に適応させること、とを含む。それに代わるものとしては、容器が空容器として出荷され、改造が、現場において望ましい体積の第2の冷却流体をその容器に充填することも含む。
【0033】
第2の冷却流体内に浸漬される電子構成要素の望ましい冷却を提供するために、第2の冷却流体は、容器内において発熱する電子構成要素を通って循環される。浸漬冷却流体の循環は、容器内において生じ、また第2の冷却流体は、少なくとも1つの冷却要素、たとえば、これもまた容器内に設置され、かつ第2の冷却流体内に浸漬される、液体-液体熱交換器の全体にわたっても循環する。第1の冷却流体または一次冷却流体、たとえば水は、容器外部の供給源から冷却要素を通って循環し、第2の冷却流体からの熱が第1の冷却流体へ伝達されて、それにより第2の冷却流体が冷却される。熱を受け取った第1の冷却流体は、冷却要素から外へ送られ、容器から熱を取り除く。1つの実施態様においては、第1の冷却流体のための冷却および循環システムの部分、たとえば冷却要素、配管、ポンプ、および絶縁物が容器の外側に設置され、かつたとえば現場において組み立てられるアドホックな配管を使用して構成される。
【0034】
浸漬冷却のためのシステムは、容器内に置かれて第2の冷却流体内となる支持体を含む。支持体は、発熱する電子構成要素を、第2の冷却流体内に浸漬されている間にわたって保持するべく構成される。また支持体は、電子構成要素周りの冷却要素または冷却要素群の位置決めも提供する。1つの実施態様においては、電子構成要素を通り、かつ冷却要素上を覆う第2の冷却流体の流れを導いて接触および熱伝達を最大にする一方、これらの電子構成要素および冷却要素をバイパスする第2の冷却流体の量を最小化するべく支持体が形作られる。1つの実施態様においては、支持体が、サーバ・シャーシまたはそのほかのコンピューティング機器を保持するための複数の棚を有するサーバ・ラック等の商的に入手可能な低コストかつ軽量の、1つ以上のコンピューティング機器ラックから作成される。通常、これらの棚は、水平であり、コンピューティング機器ラックの前方から後方へ延びる。ラックは、すべてのサーバ・シャーシの重量を支えることが可能なラック底部を伴って配される。しかしながら、浸漬冷却流体を伴う容器内に置かれる場合には、ラック背面を容器の底部と隣接させ、棚を垂直に向き付けしてコンピュータ機器ラックが置かれる。したがって、コンピューティング機器ラックのラック背面は、支持体のベースとして機能し、電子構成要素の重量を支える。1つの実施態様においては、ラック背面による重量の支持を容易にし、かつ電子構成要素の浸漬冷却のためのシステムの出荷および現地展開の間においてコンピューティング機器ラックに印加される力に適応するべく各コンピューティング機器ラックに対して構造的な改善が行われる。適切な構造的改善には、限定ではないが、ラック棚とコンピューティング・システム・ラック・フレームの間の接触点における追加の溶接またはファスナと、単力(single force)および2力部材(two force member)および横材を含む追加の構造部材が含まれる。適切なサーバ・ラックは、たとえば、全開示が参照により本明細書に援用される米国特許第10,349,555号の中に述べられている。
【0035】
1つの実施態様においては、支持体が、容器の高さに沿って容器の底部から間隔が開けられた支持プラットフォームを含む。支持プラットフォームは、支持プラットフォームから支持される電子構成要素を適応させるに充分な距離で間隔が開けられる。1つの実施態様においては、支持体が、支持プラットフォームから延びて、容器の底部と接触する支持体のベースを形成する支持構造を含む。それに代わるものとしては、支持プラットフォームが容器の開いた上部周りの容器の上端縁から吊り下がる。1つの実施態様においては、支持プラットフォームが、望ましい高さにおいて容器の内壁に固定される。
【0036】
1つの実施態様においては、支持プラットフォームが、封じ込めセクションを含む。封じ込めセクションは、電子構成要素の配置に適応する中央開口を伴ったデッキを含む。1つの実施態様においては、支持プラットフォームが、中央開口に沿って互いの間隔が開けられた対向する平行支持レールを含む。対向する支持レールは、たとえば、電子構成要素の前面の対向する側縁と係合することによって電子構成要素を支持する。封じ込めセクションは、少なくとも1つの、または2つ以上の冷却要素開口も含む。1つの実施態様においては、各冷却要素開口が、容器の中央開口と内壁の間に位置決めされる。たとえば、各冷却要素開口は、対向する支持レールのうちの1つと容器の内壁の間に位置決めされる。1つの実施態様においては、封じ込めセクションが、中央開口の直径方向に対向する側に配される2つの冷却要素開口を含み、したがって、中央開口の中に複数の電子構成要素が入れられる。各冷却要素開口は、1つ以上の冷却要素に適応する。
【0037】
封じ込めセクションは、デッキから上に支持体のベースまたは容器の底部とは反対方向へ延びるリップを含む。リップは、たとえば、電子機器を冷却するためのシステムが休止し、動作していないときにタンク内の第2の冷却流体のレベルより上となる充分な距離でデッキから延びる。リップは、デッキの全周にわたってその周りに延びる。したがって、デッキおよびリップは、第2の冷却流体を収容し、電子構成要素の上端または前面から現れる第2の冷却流体の、冷却要素開口を通り、かつ冷却要素に沿って下へ戻る流れを導く。デッキおよびリップを含む封じ込めシステムは、加熱された二次冷却流体を上端に保持し、かつ重力によってその加熱された第2の冷却流体を、冷却要素を通して下へ戻し、加熱された冷却流体を移動させる何らかの追加の機器、たとえば追加のポンプの必要性を伴わない。これは、メンテナンスの要件およびコストを減ずる。例示的な実施態様は、加熱された第2の冷却流体の流れを高い精度および効率を伴って案内することが可能な封じ込めシステムの構成および作成に3次元(3D)プリント・ケイパビリティを利用する。
【0038】
1つの実施態様においては、各容器またはタンク内の第2の冷却流体内にコンピューティング・システムの構成要素を保持するためのマニフォールド・システムが浸漬される。マニフォールド・システムは、容器の底部の上またはそれへ向かって静置され、個別の電子構成要素が、マニフォールド・システム内のスロット内に置かれる。マニフォールド・システムは、熱を発生するコンピューティング・システムの構成要素を通る浸漬冷却流体の流れを導く。例示的なマニフォールド・システムは、全開示が参照により本明細書に援用される米国特許第10,257,963号の中に述べられている。
【0039】
電子構成要素の浸漬冷却のためのシステムは、容器内に配置されて第2の冷却流体の冷却を提供する1つ以上の冷却要素または熱交換器、たとえば液体-液体熱交換器も含む。1つの実施態様においては、浸漬冷却のためのシステムが、2つの冷却要素を含む。適切な冷却要素には、限定ではないが、モジュラ型液体-液体熱交換器、冷却パイプ、冷却プレート、およびたとえば、銅およびアルミニウム等の金属から作成されるチューブ・アンド・フィン熱交換器が含まれる。各冷却要素は、冷却されるべき電子構成要素とは別のタンク内に置くことが可能である。円筒状のタンク、バレル、またはドラム缶の場合には、概して電子構成要素が円筒の中心に設置され、冷却要素が外周または円筒の内壁へ向かって設置される。1つの実施態様においては、冷却要素が支持体に取り付けられ、それによって支持される。1つの実施態様においては、冷却要素が直接、電子構成要素ホルダまたはラックに、たとえばラックの棚を使用して取り付けられる。1つの実施態様においては、各冷却要素が、封じ込めセクションの、デッキから容器の底部へ向かって下へ延びる冷却要素開口内に置かれて保持される。したがって、冷却要素は、容易に容器内へ挿入され、またそこから取り出され、冷却されるべき電子構成要素および冷却要素のアレンジメントにおけるモジュール性を提供する。1つの実施態様においては、冷却要素のタイプ、数、サイズ、および場所が、浸漬される冷却されるべき発熱する電子機器の冷却要件に基づいて選択される。
【0040】
各冷却要素を通って送られて浸漬冷却流体の冷却に使用され、かつ各容器へ個別に送られる第1の冷却流体、たとえば水には、現場において入手可能な井戸水および地表水源から得られる水が含まれる。これは、外付けのホース、ポンプ、および第2の冷却流体のための熱交換器の必要性を排除する。1つの実施態様においては、冷却要素へ第1の冷却流体を提供するための配管が、容器の開いた上部を通る経路で容器内へ送られる。1つの実施態様においては、この配管が、マニフォールド・システムの形式で提供される。システムが複数の容器を含む場合、各容器のアレンジメントがマニフォールド・システムと整合するべく構成されて、それにより容器およびタンクのシステムへの挿入またはそれからの取り出しが容易になり、メンテナンスまたは冷却およびコンピューティング・キャパシティにおける増加または減少への応答にとって望ましい。
【0041】
1つの実施態様においては、各容器内および電子構成要素を通る第2の冷却流体の循環が、第2の冷却流体内に配置されたポンプ、たとえばマイクロポンプによって提供される。1つの実施態様においては、ポンプが、商的に入手可能なコンピューティング・システム機器内に備わるファンである。それに代わるものとしては、海洋用途およびオイルポンピング用途から利用可能な小型ポンプを電子構成要素内に、たとえばファンに代えて組み入れることが可能である。概して言えば、ポンプのサイズ、数、位置、およびアレンジメントは、電子構成要素の負荷に基づいて選択される。これらのポンプは、利用可能なDC電流、たとえば電子構成要素によって利用され、かつそれらから利用可能な12VDCにおいて動作する。1つの実施態様においては、ポンプが、ミニチュアまたはマイクロ・ブラシレスDC水ポンプである。これらのマイクロ水ポンプは、噴水、ペット用の水供給、および水槽用機器等の用途に使用される。1つの実施態様においては、4.8W、IP68、Hmax 300CMおよびQmax 240L/時のミニDC12Vブラシレス・ポンプAD20P-1230Aが使用される。1つの実施態様においては、マイクロポンプが、54.4mmの長さ、52mmの幅、および40.8mmの高さを有する。1つの実施態様においては、マイクロポンプの流入口および流出口の直径が8.5mmである。1つの実施態様においては、マイクロポンプが、冷却されるべき電子構成要素内に組み入れられ、その電子構成要素に供給される電力によって電力供給される。たとえば、マイクロポンプが、冷却されるコンピューティング・システム機器内、たとえばサーバ内に埋め込まれる。
【0042】
電子構成要素内に設置され、かつそれによって電力供給されるマイクロポンプの使用は、電子構成要素の内側における第2の冷却流体の的確な引き渡しを可能にする。マイクロポンプは、各電子構成要素の底部から上部への流れを作り出すべく取り付けられる。1つの実施態様においては、アドホックのバッフルおよびシール・プレートが含められて、第2の冷却流体の望ましい流れが改善される。例示的な実施態様では、各電子構成要素のレベルにおける冗長性が可能になる。それに加えて、電子構成要素を使用するマイクロポンプへの電力供給は、構造を簡素化し、追加の電力回路および機器の必要性を排除する。統合されたマイクロポンプの使用は、電子構成要素のレベルにおける冗長性を提供し、より安価であり、より高度な精度を伴う所定の用途のためのカスタム化を可能にする、より簡単な構成をもたらす。
【0043】
最初に
図1を参照すると、電子構成要素冷却システム100の例示的な実施態様が図解されている。図解されているとおり、電子構成要素冷却システムは、単一の容器101を含み、この単一の容器は、円筒状容器101である。1つの実施態様においては、円筒状容器が、浸漬冷却流体の出荷および貯蔵のためのタンク、バレル、またはドラム缶、またはタンク、バレル、またはドラム缶の一部である。たとえば、円筒状容器は、上部が取り除かれた金属またはプラスチックのドラム缶である。適切な円筒状タンクには、限定ではないが、イリノイ州アディソンのCary Company(キャリー・カンパニー)から部品番号26BSVOとして商的に入手可能なボルト・リング・クロージャを用いてカバーされた110ガロンのスチール製サルベージ・ドラム缶が含まれる。概して言えば、本明細書で述べられている円筒状容器、または任意のタブ、タンク、または容器は、完全に受動的であり、タブ、タンク、または容器に関連付けされた移動部品をまったく有していない。円形の断面を有する円筒状容器の使用は、所定体積の液体が収容された矩形のタブに関連付けされる構造的な問題、たとえば胴曲りを解決し、これらの構造的問題を矯正する追加の補強部材、またはパレット・ベースおよび金属フレームまたは金属ケージを有する中間バルク容器等のより高価な強化タンクを使用する必要性を排除する。円筒形状は、構成要素および浸漬冷却流体からの力を、外部の支持の必要性を伴うことなく支持する。
【0044】
それに加えて、円形の断面を伴う円筒形状は、冷却要素、たとえば第1の冷却流体が通って流れる熱交換器を電子構成要素の周り、かつ概して円筒状容器の周囲の側または周りに設置しつつ、概して円筒状容器の中央に矩形形状に配される電子構成要素および関連する支持体の配置を容易にする。このアレンジメントは、その容器の独特な形状を伴ってさえ、円筒状容器内における電子構成要素の望ましい超高密度を容易にする。
【0045】
円筒状容器は、所定体積の第2の冷却流体102を含む。適切な二次冷却流体は、本明細書で論じられている。1つの実施態様においては、第2の冷却流体が、限定ではないが、安定または相転移状態における鉱物性オイル、ガス、またはこれらの組み合わせといった誘電性の液体である。
【0046】
電子構成要素冷却システムは、円筒状タンク内に配置された2つの冷却要素と、円筒状容器の外部の冷却流体供給源から、たとえば閉ループで各冷却要素を通って第1の冷却流体が循環されるように、円筒状容器内の冷却要素への第1の冷却流体の流入120およびそこからの流出121を提供する1つ以上のパイプ104と、を含む。図解されているとおり、冷却要素は、円筒状容器内に配置され、第2の冷却流体の中に完全に浸漬される。1つの実施態様においては、各冷却要素が、第2の冷却流体の中に少なくとも部分的に浸漬される。1つの実施態様においては、第1の冷却流体が、冷却要素の内側を循環し、その中に完全に収容される。適切な冷却要素には、限定ではないが、本明細書で論じられているとおりの液体-液体熱交換器のアレンジメントが含まれる。1つの実施態様においては、冷却パイプ104が中空システム、たとえば管またはパイプであり、第1の冷却流体、たとえば冷水を収容している。
【0047】
1つの実施態様においては、電子構成要素を冷却するためのシステムが、冷却要素周りの第2の冷却流体の増強された流れおよび第1と第2の冷却流体の間における増強された熱伝達の両方を提供する。適切な冷却要素には、限定ではないが、液体-液体冷却要素、ラジエタ、冷却プレート、冷却システムと直列のフィン付きの管、およびそのほかの、円筒状容器内の第2の冷却流体と第1の冷却流体の間において熱を交換するために適合された任意のジオメトリが含まれる。冷却要素の数、ジオメトリ、およびタイプは、電子構成要素から取り除くべき熱の量に適合される。1つの実施態様においては、冷却要素内の第1の冷却流体の流れが、温度負荷、入力/出力温度、およびそのほかのパラメータに依存してコントロールされる。
【0048】
1つの実施態様においては、円筒状容器の中心エリア107が、冷却されるべき発熱する電子構成要素109を含む。1つの実施態様においては、中心エリアが方形または矩形のエリアであるが、中心領域をほかの形状とすることは可能である。それに加えて、中心エリアは、円筒状容器の内壁から、中心エリア周りに領域または空間111を画定する間隔が開けられる。1つの実施態様においては、方形の中心エリアの角が、円筒状容器の内壁と接触するか、または隣接する。冷却要素は、中心エリア周りの空間内に収容される。したがって、1つの実施態様においては、冷却要素が電子構成要素と円筒状容器の内壁の間に配置される。1つの実施態様においては、各電子構成要素が、円筒状容器の上部へ向かって配置され、円筒状容器の開いた上部を通じてアクセス可能な前面128を有する。この前面は、電子構成要素のための電気接続、電力接続、および通信接続を含む。1つの実施態様においては、電子構成要素が、当該前面を含めて円筒状容器内の第2の冷却流体のレベルより下に配置される。したがって、電子構成要素は、第2の冷却流体内に完全に浸漬される。
【0049】
1つの実施態様においては、前面が矩形または方形であり、2つの対向する側縁122と、上縁124と、上縁から間隔が開けられた下縁126と、を含む。上縁および下縁は、対向する側縁の間に延び、矩形の前面が画定される。電子構成要素は、電子構成要素の奥行きに沿った2つの側縁から延びる2つの側面を有し、電子構成要素は、円筒状容器の高さ130に沿って円筒状容器内において垂直に延びる。それに加えて、電子構成要素は、上縁から奥行きに沿って延びる上部と下縁から奥行きに沿って延びる底部を含む。この実施態様においては、電子構成要素がブレード・サーバの形式を有する。図解されているとおり、電子構成要素を冷却するためのシステムは、2つの冷却要素を含み、これらの冷却要素は、電子構成要素の直径方向において対向する側に配置されている。1つの実施態様においては、各冷却要素が、対向する縁のうちの1つ、したがって電子構成要素の側部のうちの1つと、円筒状容器の内面の間に配置される。
【0050】
1つの実施態様においては、複数の電子構成要素が中心エリア内に配置される。複数の電子構成要素は、すべての電子構成要素の側部を整列させたスタックとして円筒状容器内に配される。それに加えて、隣接する電子構成要素の上部および底部が互いから間隔が開けられる。1つの実施態様においては、この間隔が、電子構成要素の挿入および取り出しを可能にする上でちょうど充分になるが、第2の冷却流体が循環して電子構成要素をバイパスするのを許容するには充分でない。したがって、第2の冷却流体は、各電子構成要素を通って送られる。1つの実施態様においては、中心エリア内の空間または間隔が、矢印Aの方向に円筒状容器を通って、かつ各電子構成要素を通って垂直に上昇する第2の冷却流体の流れをコントロールする。第2の冷却流体は、電子構成要素の前面を越えて円筒状容器の内壁へ向かい、その後、円筒状容器の底部132へ向かって下降し、各冷却要素上を覆って通過する。1つの実施態様においては、第2の冷却流体が重力によって下降して各冷却要素の上を覆って流れる。
【0051】
電子システムが収容される中心エリア107は、冷却されるべき電子構成要素を支持する構造も含む。適切な支持構造は、本明細書で論じられている。1つの実施態様においては、中心エリアが、たとえば前面の側縁、上縁または下縁に沿って各電子構成要素を支持するためのレッジまたはレールを含む。支持構造は、円筒状容器内に置かれた独立したスタンドアロン構造またはフレームとすることが可能であるか、または円筒状容器と一体で形成された構造とすることが可能である。1つの実施態様においては、支持構造が円筒状容器の底部と係合するか、またはその上に静置される。それに代わるものとしては、支持構造が、吊り下げアレンジメントにおいて、円筒状容器の解放端の上部リムと係合する。
【0052】
1つの実施態様においては、冷却されるべき電子構成要素が、サーバまたはブレード・サーバである。適切なサーバには、1ラック・ユニット(RU)またはラック・ユニットの倍数の寸法を有するサーバが含まれる。好ましくは、電子構成要素がマイクロ・セルとして構成される。これらのマイクロ・セルは、より小さいサイズまたは形状ファクタを有し、そのことが、与えられた円筒状容器内における非常に高密度の電子構成要素またはコンピュータ機器、およびコンピューティング・キャパシティを提供する。1つの実施態様においては、マイクロ・セルが、与えられた円筒状容器内において最大で約12のコンピューティング・ノードを容易にするべくサイズ設定される。本明細書で使用されるとき、コンピューティング・ノードまたは電子構成要素は、容器またはタブ内における使用にサイズが最適化された電子およびコンピューティング機器の集合、たとえばサーバまたはサーバ・ラックを参照する。1つの実施態様においては、これらのより小さいサイズのマイクロ・セルを前提とすると、第2の冷却流体の循環が、各マイクロ・セル内に直接組み入れられるマイクロポンプによって提供されるか、またはそれによって少なくとも増強される。
【0053】
1つの実施態様においては、円筒状容器101が蓋を含む。それに代わるものとしては、円形容器が蓋によってシールされず、冷却要素への冷却パイプおよびコンピューティング機器への電力ラインおよびネットワーク通信ラインの通路が与えられる。
【0054】
動作においては、円筒状容器内の第2の冷却流体が浸漬流体または液体であり、発熱する電子構成要素が、第2の冷却流体内に浸漬される。これが、第2の冷却流体を加熱し、加熱された第2の冷却流体の自然対流を使用して第2の冷却流体を円筒状容器の底部から引き上げ、電子構成要素に通す。1つの実施態様においては、機械的な流体循環デバイス、ファン、またはポンプ等の流体循環デバイス、たとえば電子構成要素内に機械的に統合され、それによって電力供給されるファンまたはポンプ、たとえばマイクロポンプが使用されて、加熱された第2の冷却流体の自然対流が増強される。それに代わるものとしては、流体循環デバイスが単独で第2の冷却流体の望ましい循環の提供に充分になる。1つの実施態様においては、流体循環デバイスが、電子構成要素とは別々になるか、または独立になる。第2の冷却流体の流れは、各電子構成要素を通って垂直に移動し、円筒状容器の上部へ向かって各電子構成要素の前面から現れる。第2の冷却流体は、その後、中心エリア周りの冷却要素が収容された空間を通って流れ、円筒状容器の底部へ戻る。第2の冷却流体は、これらの空間を通って移動するとき、冷却要素との熱交換を行う。
【0055】
1つの実施態様においては、第2の冷却流体がガスであり、第2の冷却流体の循環が逆になる。流体循環デバイスは、円筒状容器の上部から底部へ、電子構成要素を通してガスを引き込み、第2の冷却流体が加熱される。加熱された第2の冷却流体は、冷却要素が収容された側方の空間を通って流れ、上部へ戻る。
【0056】
円形断面を伴う円筒状容器は、第2の冷却流体が液体の場合にそれからの容器壁圧が一様であり、容器の形状を保持する筋交いまたは過剰な壁厚の必要性の回避を保証することから、既存の容器およびタンクに対する有意の改善である。さらにまた、円形断面を伴う円筒状容器は、冷却要素と電子要素の間の距離を最小にし、かつ円筒状容器内に要求される第2の冷却流体の体積を低減し、その一方で極度に高密度な熱負荷を可能にしつつ高い冷却要素対電子構成要素比を可能にする。
【0057】
冷却されるべき発熱する電子構成要素またはコンピューティング・システムの数が単一の容器内に適応可能な数より多いときは、複数の容器が使用される。ここで
図2を参照すると、複数の容器、たとえば複数の円筒状容器201を利用する電子構成要素を冷却するためのシステム200の実施態様が図解されている。円筒状容器のジオメトリは、電子構成要素を冷却するためのシステムを複数利用し、かつ冷却要素対電子構成要素またはサーバの多様な比率を有するコンピューティング設備を所望の規模で構築することにおいてモジュール性を提供する。1つの実施態様においては、複数の容器が1つ以上の列203内に配される。図解されているとおり、冷却システムは、2つの列を含み、各列には、4つの円筒状容器が収容される。しかしながら、冷却システムは、1つ、2つ、3つ、またはそれより多くの列を含むことが可能であり、各列は、2つ、3つ、またはそれより多くの円筒状容器を収容することが可能である。それに加えて、各列は、同一数の円筒状容器、または異なる数の円筒状容器を有することが可能である。
【0058】
それに加えて、各円筒状容器は、電子構成要素を冷却するための自己充足式システムであり、所定体積の第2の冷却流体211と、中心エリア207内の電子構成要素209と、冷却要素または冷却要素と接続されるパイプ204を含め、システムのすべての要素を含む。まったく同じであるとして図解されているが、1つの実施態様においては、要素の構成が円筒状容器の間において異なる。
【0059】
円筒状容器の形状は、隣接する列の間に収容される円筒状容器のよりきつい詰め込み密度を容易にする。1つの実施態様においては、各列が、隣接する列から最大で、円筒の中心の円形の断面の直径205の半分までシフトされる。したがって、隣接する列内の円筒状容器は、部分的にオーバーラップする。このことは、円筒状容器をまとめて詰め込むこと、および隣接する列内の円筒状容器に提供される電力、通信、および第1の冷却流体の配管接続を整列させることを容易にする。各円筒状容器内における冷却要素およびコンピュータ・システムの同一または相補的なアレンジメントの使用は、円筒状容器の間において電力、通信、および配管の接続を整列させる可能性を増強する。電力、通信またはネットワーク、および流体接続が整列される場合には、対応する外部電力、通信、および配管の接続を収容する共通するマニフォールド・システム202が、隣接する各ペアの列の間に位置決めされ、使用される。この共通マニフォールド・システムは、必要に応じて円筒状容器の取り外しおよび追加を可能にし、かつ円筒状容器の構成を完全にてこ入れする非常に密度の高い環境を提供する。1つの実施態様においては、複数の円筒状容器を収容するシステム内に複数の共通マニフォールド・システムが使用され、2を超える数の円筒状容器の列が提供される。
【0060】
ここで
図3を参照すると、容器301を有する電子構成要素を冷却するためのシステム300の別の例示的な実施態様が図解されている。好ましくは、容器が移動部品を収容してなく、第2の冷却流体を満杯まで収容しており、すなわち能動的な構成要素が統合される冷却要素および電子構成要素が容器自体の部品ではないが、容器内に置かれ、コスト効果的かつ弾力的な構成を促進する。1つの実施態様においては、容器が、単一層の材料から作成される。それに代わるものとしては、容器がダブル・スキンを伴って作成されるか、またはわずかに寸法がより大きい第2の容器の内側に置かれ、第1の内部の容器の破裂に対する追加レベルの安全性が追加される。容器は、用途の温度範囲内において使用される第2の冷却液のタイプに反応しない材料を使用して製造される。1つの実施態様においては、容器が単体のポリエチレン、HDPE、またはLDPEの上部が開いた容器であり、上部の少なくとも2つの対向する側部に沿って延びる2インチ×2インチのレッジ320を伴った矩形の断面を有する。
【0061】
電子構成要素を冷却するためのシステムは、容器内に、所定体積の第2の冷却流体302と、少なくとも1つの冷却要素303、たとえば冷却プレートと、第2の冷却流体内に浸漬される1つ以上の電子構成要素305と、1つ以上の流体循環デバイス304と、を含む。1つの実施態様においては、各流体循環デバイスが、容器内の電子構成要素305のうちの1つの中に統合される。したがって、各流体循環デバイスもまた、第2の冷却流体内に配置される。適切な循環デバイスには、本明細書で論じられているとおり、ファンおよびポンプ、およびマイクロポンプが含まれる。1つの実施態様においては、各電子構成要素がマイクロ・セルである。
【0062】
適切な第2の冷却流体は、浸漬冷却流体であり、限定ではないが、鉱物性オイル、菜種油等の植物性オイル、およびフルオロカーボンを含む。1つの実施態様においては、第2の冷却流体が、電子構成要素の冷却に必要とされる温度範囲内において液体として安定な無毒の誘電性ケミカルであり、不揮発性であり、かつ容器内に完全に収容されている。
【0063】
1つの実施態様においては、電子構成要素および冷却要素が、容器内に垂直に延び、互いに平行にセットされ、それらの最長の寸法、たとえば電子構成要素の奥行きが、容器の上部320と底部322の間に延びる。電子構成要素の寸法がより短いほど、冷却要素が容器を横切って水平に延びる。1つの実施態様においては、各電子構成要素がシャーシ306内に囲い込まれるか、または容器内における電子構成要素の適切な取り外しおよび位置決めを可能にする上で充分な剛性のあるフレーム周りに構築される。シャーシまたはフレームは、オンボード流体循環デバイスおよび任意の追加のハードウエアを含めて電子構成要素のすべての要素を支持する。電子構成要素は、互いに、隣接する電子構成要素の間における流体の移動が回避可能な限り近づけて位置決めされる。1つの実施態様においては、容器の開いた上部を通して容器内へ、またそこから電子構成要素を垂直にスライドさせることによって各電子構成要素の独立した挿入および取り出しを可能にする上で充分なギャップ307が、隣接する電子構成要素の間に維持される。
【0064】
1つの実施態様においては、電子構成要素がタブ322の底部の上の位置においてタブ内に保持され、それが、電子構成要素の下側に第2の冷却流体が流れる充分な空間308を提供し、かつ保持し、その一方で電子構成要素の上部または前面が第2の冷却流体内に没することを確保する。
図4を参照すると、1つの実施態様においては、容器が、電子構成要素を支持または吊り下げるレッジまたはレール402を伴って構成される。1つの実施態様においては、レッジまたはレールが容器と一体であり、容器の対向する側部408上の上縁406に形成されている。それに代わるものとしては、レッジまたはレールが、容器の内側に置かれる別体の支持構造を含む。1つの実施態様においては、角ブラケット401が、各電子構成要素または電子構成要素のシャーシの上端側に取り付けられる。ここで
図5を参照すると、同様に容器が、冷却要素504を支持または吊り下げるレッジまたはレール502を伴って構成されている。1つの実施態様においては、レッジまたはレールは容器と一体であり、容器の対向する側部508上の上縁506に形成されている。1つの実施態様においては、角ブラケット501が、各冷却要素の上端側に取り付けられる。角ブラケットは、レッジまたはレールと係合し、レッジまたはレールによって支持されて、容器内に適正に位置決めされた電子構成要素および冷却要素を維持する。
【0065】
図3に戻るが、各冷却要素303が、隣接する電子構成要素の間に位置決めされる。ギャップ309が、冷却要素の片側または両側において、各冷却要素と電子構成要素の間に存在し、第2の冷却液の流れを可能にする。これらの冷却要素は、冷却要素と直近の電子構成要素305の間において望ましいあらかじめ決定済みのギャップ309が維持されるように、容器内の位置に保持される。1つの実施態様においては、各冷却要素が容器内を、容器の底部へ向かって、または容器の上部へ向かって上向きに延びる距離が調整されて、第2の冷却流体と第1の冷却流体の間の熱伝達、したがって第2の冷却流体の冷却が改善または増加される。1つの実施態様においては、第2の冷却流体のレベルより上方に延びる冷却要素の一部、および冷却要素の流入口および流出口に取り付けられる配管が、絶縁材料(310、311)によってカバーされて、湿分の結露がタブ内へ滴ることが回避される。適切な絶縁材料には、限定ではないが、発泡体または発泡ゴムの絶縁物が含まれる。
【0066】
1つの実施態様においては、冷却要素303が、第1の冷却流体を保持し、かつ冷却要素を通る第1の冷却流体の循環を提供して、冷却要素の外部の第2の冷却流体と中空の内部を循環する第1の冷却液の間における熱伝達を可能にするべく構成された中空容器である。冷却要素の中空の内部は、2つの接続またはパイプ、すなわち容器外部の供給源から冷却要素内へ第1の冷却流体を導入するための入力パイプまたは流入口312と、冷却要素および容器から加熱された第1の冷却流体を取り除くための、流入口とは別の出力パイプまたは流出口313を除いて完全にシールされている。1つの実施態様においては、容器内における冷却要素の数および位置が、発生される、取り除かれるべき熱の関数になる。1つの実施態様においては、電子構成要素の特性が経時的に進化することから電子構成要素を冷却するためのシステムの動作の間に発生される熱が変動する。
【0067】
1つの実施態様においては、第1の水平の内寸404(
図4)、504(
図5)が、電子構成要素410(
図4)および冷却要素510(
図5)の水平寸法にギャップ403(
図4)、503(
図5)を加えた大きさと等しくなるように容器が構成される。ギャップは、電子構成要素および冷却要素周りの第2の冷却流体の流れを最小化しつつ、電子構成要素および冷却要素を垂直に容器の開いた上部の外へスライドさせることによりそれらを容器から容易に取り出すことを可能にする上で充分であるように選択される。
【0068】
1つの実施態様においては、第1の水平の内寸と直交する第2の水平の内寸314が、第2の水平の内寸に沿って延びる電子構成要素と冷却要素のすべての寸法に、電子システムの容易な取り外しを可能にする上でちょうど充分な複数のギャップ307と、冷却要素と電子構成要素の間の望ましいギャップ309を加えた合計と等しくなるように容器が構成される。1つの実施態様においては、垂直寸法315が、電子構成要素が完全に第2の冷却流体内に浸漬されたとき、電子構成要素の底部の下方に、第2の冷却流体の循環を可能にする空間308を提供する上で充分となるように容器が構成される。
【0069】
1つの実施態様においては、流体循環デバイス304が、電子構成要素を通して第2の冷却流体を垂直上向きに循環させるオンボード流体循環デバイスである。適切な循環デバイスには、限定ではないが、マイクロポンプ、ファン、バルブ、気泡発生器、および振動メカニズムが含まれる。1つの実施態様においては、オンボード流体循環デバイスが、電子構成要素または電子構成要素のシャーシの内側または外側の任意の場所に位置決めされる。電子構成要素上における流体循環デバイスの位置とは関係なく、流体循環デバイスが、垂直の移動、すなわち容器への電子構成要素の挿入およびそこからの取り出しを抑制すること、または妨げることはない。1つの実施態様においては、流体循環デバイスが、バッフル、パイプ、障害物、ガイド、ノズル、コンジット、または任意の、第2の冷却流体を電子構成要素の特定のエリアまたは領域へ向けることが可能な要素またはジオメトリを含む。1つの実施態様においては、循環デバイスと通信するコントロール・システムが備えられる。
【0070】
1つの実施態様においては、電子構成要素を冷却するためのシステムが、各流体循環デバイスと通信する少なくとも1つのコントロール・システムを含む。1つの実施態様においては、コントロール・システムが、容器の外部に設置される。それに代わるものとしては、コントロール・システムが、電子構成要素内に収容される。コントロール・システムは、限定ではないが、温度、電力使用、および電子構成要素または外部システム内におけるソフトウエアまたはファームウエアから導かれた条件を含むパラメータに依存して、第2の冷却流体の流量または流れの方向を変更するべく構成される。1つの実施態様においては、電子構成要素がサーバであり、サーバ内のマイクロコントローラおよびファームウエアが、ファン曲線に基づいてマイクロポンプの回転速度および方向をコントロールすることによって冷却流体の流量および流れの方向をコントロールする。コントロール・システムは、本明細書で論じられている任意の実施態様とともに使用することが可能である。各電子構成要素のために、オンボード流体循環デバイスは、電子構成要素の底部から入り、電子構成要素の上部または前面から出る(317)第2の冷却流体の流れ316を作り出す。1つの実施態様においては、各電子構成要素のための、および電子構成要素を冷却するためのシステム全体の中の流体循環デバイスの数およびタイプが、取り除かれるべき熱負荷または必要とされる冗長性のレベルを含む条件の関数として変更される。
【0071】
動作においては、第2の冷却流体が、熱の対流および流体循環デバイスのうちの少なくとも1つの力の下に、容器の底部から上部へ、電子構成要素を通って垂直に移動する。1つの実施態様においては、電子構成要素の前面から現れた第2の冷却流体が、冷却要素の片側または両側に並ぶギャップ309を通り、容器の上部から底部へ流路318に沿って自然に戻る。第2の冷却流体は、電子構成要素を通過する間に加熱され、冷却要素に沿って、かつ可能性としてはそれを通って流れるとき、冷却される。1つの実施態様においては、流体循環デバイスによって誘導された流れが、第2の冷却流体の自然対流の動きとの組み合わせで働き、電子構成要素を冷却するためのシステムの動作効率を改善する。
【0072】
動作においては、容器内に挿入される冷却要素の数における柔軟性が、電子構成要素を冷却するためのシステムが最大の効率のために調整されることを可能にする。1つの実施態様においては、電子構成要素の性質および熱負荷に伴って冷却要素の数が容易に増やされ、かつ変更され、電子構成要素を冷却するためのシステムの効率およびサービス寿命を延ばす。動作においては、任意の与えられたタブ内に冷却プレートを、そのタブ内の電子またはコンピューティング・システムの冷却に必要とされる実際の数を超えて追加することによって、各タブのために独立に冗長性のレベルの広い範囲を達成することが可能である。1つの実施態様においては、冷却要素が、複数の独立した外部冷却回路と接続され、1つ以上の外部冷却回路の損失またはスケジュールされたメンテナンスが電子構成要素を冷却するためのシステムの動作に影響を及ぼさないように、追加のレベルの冗長性が提供される。
【0073】
1つの実施態様においては、流体循環デバイスの数における柔軟性が、個別の電子構成要素のレベルでの最大効率に向けた電子構成要素を冷却するためのシステムの調整における粒状度を提供する。動作においては、各電子構成要素が別々の独立した統合型流体循環デバイスを含むことから、各電子構成要素を別々に、ほかのいずれの電子構成要素からも独立してメンテナンスのために容器から取り出すことが可能であり、個別の電子構成要素またはその電子構成要素の流体循環デバイスにおける故障が及ぼすその個別の電子構成要素に対する影響を低減する。1つの実施態様においては、各電子構成要素がそれ独自の統合型流体循環デバイスを含むことから、各電子構成要素の冷却努力がほかの電子構成要素とは別々に、または独立して調整されるか、または遮断される。1つの実施態様においては、複数の電子構成要素の冷却努力が一緒にコントロールされる。これは、電子構成要素の冷却に使用されるエネルギの、非常に粒状度が高い調整を可能にする。まとめると、従来的な液浸冷却システムと比較したとき、電子構成要素を冷却するためのシステムの運用上の考慮が、すぐれたレベルの効率、信頼性、および運用の簡明さを提供する。
【0074】
次に
図6を参照すると、電子構成要素を冷却するためのシステムで使用するための容器および支持体の実施態様が図解されている。容器は、円形の断面を有する円筒状容器600である。1つの実施態様においては、円筒状容器が、金属バレル、たとえば、第2の冷却流体の貯蔵および出荷に使用される金属バレルである。円筒状容器は、電子構成要素を冷却するためのシステムの追加の要素の挿入を提供する開いた上部601を有する。1つの実施態様においては、開いた上部が、たとえば金属バレル上に蓋を保持していたファスナを開くことによって蓋が取り外された金属バレルの上部である。それに代わるものとしては、金属バレルの長さまたは高さの一部だけが使用される。たとえば、開いた上部は、バレルの周囲の周りでバレルの上部を取り除くか、または切り取ることによって作り出される。1つの実施態様においては、バレルが望ましい高さで切り取られる;したがって、バレルの一部だけが電子構成要素を冷却するためのシステムに使用される。
【0075】
図7を参照すると、1つの実施態様においては、円筒状容器600の円筒状の壁620が、約31インチまたは31.4インチの外径602の外壁表面616と、約30インチまたは30.4インチの内径604の内壁表面618を有する。それに加えて、タンクは、約40.8インチの内側の高さまたは深さと、約42.5インチの外側の高さを有することが可能である。1つの実施態様においては、タンクが、約1.5インチの壁厚622を有する16ゲージのスチールから作られる炭素鋼タンクである。
【0076】
図6に戻るが、タンクの上部が取り外され、開いた上部を通して少なくとも1つの支持体606が円筒状容器内に置かれる。支持体は、円筒状容器の底部628上に支持体が静置され、タンクの内側の高さの内側に完全に収容されるように円筒状容器内に置かれる。1つの実施態様においては、支持体がサーバ・ラックである。適切なサーバ・ラックは、この分野において周知であり、かつ利用可能である。1つの実施態様においては、支持体が、円筒状容器の高さに沿って円筒状容器の底部から、支持体の中に保持される要素の奥行きまたは長さに少なくとも等しい距離で間隔が開けられた支持プラットフォーム626を含む。支持プラットフォームは、円筒状容器内において電子構成要素および冷却要素を、これらの要素の奥行きまたは長さを円筒状容器内で垂直に位置決めして保持するべく配される。
【0077】
支持プラットフォームは、円筒状容器の中心エリアに配置される中央開口624を含む。1つの実施態様においては、中央開口が、たとえば、各電子構成要素の前面の側縁と係合することによって電子構成要素を支持するか、または吊り下げる対向する支持レール608を含む。支持プラットフォームは、対向する支持レールのうちの1つと円筒状容器の内壁表面618の間に位置決めされる少なくとも1つの冷却要素開口610を含む。1つの実施態様においては、支持体が、1つの冷却要素開口を含む。1つの実施態様においては、支持プラットフォームが、2つ以上の冷却要素開口を含み、それぞれは、対向する支持レールのうちの1つと円筒状容器の内壁表面の間に配置される。少なくとも1つの冷却要素612が、冷却要素開口内に配置される。冷却要素は、円筒状容器内に垂直に延び、支持体内に配置された各電子構成要素の側部、上部、または底部の間に位置決めされる。冷却要素は、円筒状容器外部の供給源から冷却要素内へ第1の冷却流体を導入するための流入口614と、冷却要素から加熱された第1の冷却流体を取り除くための、流入口とは別の流出口615を含む。流入口および流出口は、円筒状容器の開いた上部を通じてアクセス可能である。
【0078】
1つの実施態様においては、支持プラットフォームが、支持プラットフォームから上に支持プラットフォームのベースおよび円筒状容器の底部とは反対の方向に延びるリップ630を含む。1つの実施態様においては、リップが、少なくとも冷却要素開口のエリア内において、デッキの周囲の周りに延びる。それに代わるものとしては、リップが支持プラットフォームの全周の周りに延びる。リップは、電子構成要素を冷却するためのシステムの静止時に、第2の冷却流体の充填レベルより上方となる充分な距離で支持プラットフォームから上に延びる。リップおよびデッキは、各電子構成要素の上部の前面から現れる第2の冷却流体の、冷却要素開口を通り、冷却要素に沿った流れを導く。
【0079】
ここで
図8を参照すると、1つの実施態様においては、電子構成要素を冷却するためのシステム700が、円筒状容器701を含む。円筒状は、本明細書で論じられているとおりの外壁の直径720および全体的な高さ722を有する。円筒状容器は、所定体積の第2の冷却流体702と、第1の冷却流体が収容されている、それの円筒状容器の中へ、および外への流れ705を提供する1つ以上の要素704と、を含む。適切な第1および第2の冷却流体は、本明細書で論じられている。図解されているとおり、冷却要素704は、中空の管またはパイプであり、第1の冷却流体が収容されている。一次冷却流体は、内側を循環し、冷却パイプ内に完全に収容されている。
【0080】
円筒状容器の内部の中心エリア内には、冷却されるべき1つ以上の発熱する電子構成要素709が配置される。各構成要素は、電子構成要素のすべての要素を保持し、支持するシャーシ723を含む。1つの実施態様においては、円筒状容器内に空間または間隔が維持され、円筒状容器および電子構成要素を通って上昇する第2の冷却流体の流れ706と、コンピュータ機器の上部を覆う流れ724と、その後の、冷却管、パイプ、または要素を通過して円筒状容器の底部へ向かって下降する流れ726と、を提供する。
【0081】
電子構成要素のシャーシ内に備えられ、かつ第2の冷却流体内に配置される1つ以上のポンプ710によって第2の冷却流体の望ましい循環が駆動されるか、または増強される。適切なポンプには、マイクロポンプが含まれる。1つの実施態様においては、各コンピュータ構成要素が4つのポンプを含む。1つの実施態様においては、各ポンプが、それが設置されている電子構成要素によって電力供給され、かつコントロールされる。1つの実施態様においては、円筒状バレルが蓋728を含む。したがって、電子構成要素を冷却するためのシステムは、円筒状容器内に完全に囲い込まれ、冷却パイプが蓋を貫通する。
【0082】
次に
図9を参照すると、電子構成要素を浸漬冷却するためのシステム900の実施態様が図解されている。このシステムは、円形の断面を有する円筒状容器902と、円筒状容器内に配置された少なくとも1つの冷却要素904と、を含む。冷却要素は、第1の冷却流体と、第1の冷却流体の流れを円筒状容器の外部の供給源から冷却要素内へ導入するための流入口配管を含む流入口906と、冷却要素から加熱された第1の冷却流体の流れを取り除くための流出口配管を含む、流入口とは別の流出口908と、を収容する。1つの実施態様においては、第1の冷却流体が水である。単一の冷却要素が図解されているが、1つの実施態様においては、システムがさらに2つの冷却要素を含む。
【0083】
円筒状容器内には、所定体積の第2の冷却流体909が収められる。第2の冷却流体は、浸漬冷却流体、たとえば誘電性オイルである。少なくとも1つの発熱する電子構成要素910が、円筒状容器内に配置され、その電子構成要素と第2の冷却流体の間における熱の交換のために、少なくとも部分的に第2の冷却流体内に浸漬される。したがって、各発熱する電子構成要素および各冷却要素は、第2の冷却流体内に配置され、それと接触している。1つの実施態様においては、電子構成要素が第2の冷却流体内に完全に浸漬される。本明細書で論じられているとおり、第2の冷却流体内に少なくとも1つの流体循環デバイスが配置され、各電子構成要素を通り、かつ冷却要素上を覆う第2の冷却流体の流れを導く。1つの実施態様においては、各流体循環デバイスが、電子構成要素内に統合され、電子構成要素から電力を受け取るマイクロポンプである。
【0084】
1つの実施態様においては、各電子構成要素が、電力および通信接続を含む前面と、前面から後ろへ延びる奥行き912と、を有する。1つの実施態様においては、各電子構成要素が、前面および関連する接続を第2の冷却流体のレベルより下に置き、電子構成要素の奥行きが円筒状容器内を垂直に円筒状容器の底部914へ向かって延びる形で円筒状容器内に設置される。したがって、各電子構成要素は、開いた上部916を通して前面のアクセスを可能にして円筒状容器内に配置される。1つの実施態様においては、各電子構成要素の前面が矩形であり、2つの対向する側縁、すなわち上縁および上縁の反対側の下縁を含む。上縁および下縁は、側縁の間に延びる。2つの側縁からは、奥行きに沿って2つの側部が延びる。それに加えて、上縁からは奥行きに沿って上部が延び、下縁からは奥行きに沿って底部が延びる。電子構成要素を冷却するためのシステムが複数の電子構成要素を含む場合には、それらの複数の電子構成要素がすべての電子構成要素の側部を整列させるスタックとして、たとえばサーバ・スタックとして円筒状容器内に配される。したがって、冷却要素は、複数の電子構成要素の整列された側部918のうちの1つと、円筒状容器の内壁表面920の間に位置する。
【0085】
電子構成要素を冷却するためのシステムは、本明細書で論じられているとおりの支持体を含む。図解されているとおり、支持体、特に円筒状容器の底部から円筒状容器の高さに沿って、少なくとも奥行きに等しい距離で間隔が開けられた支持プラットフォームが、封じ込めセクション922を含む。封じ込めセクションは、デッキ924を含む。デッキは、円筒状容器を横切って水平に延び、電子構成要素に適応し、それらを保持する中央開口926を含む。1つの実施態様においては、デッキが対向する支持レールを含み、それが各電子構成要素の前面の対向する側縁と係合し、円筒状容器内において電子構成要素を支持する。デッキはまた、中央開口、たとえば対向する支持レールのうちの1つと、円筒状容器の内壁の間に位置決めされる冷却要素開口928も含む。冷却要素は、冷却要素開口内に配置される。1つの実施態様においては、冷却要素開口から少なくとも部分的に円筒状容器の底部へ向かって冷却要素ポケット932が下へ延びる。冷却要素は、このポケット内に配置される。ポケットは、固体壁を有することが可能であるか、またはポケットの長さに沿って、またはポケットの底部に開口を有することが可能である。概して言えば、ポケットは、冷却要素上を覆う第2の冷却流体の流れを導くべく構成される。
【0086】
封じ込めセクションは、デッキから上に、円筒状容器の底部とは反対の方向に延びるリップ930を含む。1つの実施態様においては、リップがデッキの全周の周りに延びる。デッキおよびリップは、リップが封じ込めセクション内における第2の冷却流体の流れを含むことから、電子構成要素の前面から現れる第2の冷却流体の、冷却要素開口を通り、冷却要素に沿った流れを導く。
【0087】
次に
図10および11を参照すると、電子構成要素を冷却するためのシステム1000の実施態様が図解されている。電子構成要素を冷却するためのシステムは、本明細書で論じられているとおりの円筒状容器1002を含む。図解されているとおり、円筒状容器は、上部が取り除かれた、第2の冷却流体の出荷に使用される金属タンクである。支持体1004が円筒状容器内に配置され、円筒状容器の開いた上部に前面を露出したスタックとして配される複数の電子構成要素1030に適応する中央開口1028を含む。各前面は、通信ポート1032と、電子構成要素のための電力接続1034を含む。1つの実施態様においては、各前面が、表示デバイスおよびそのほかの入力/出力デバイスのための追加の接続も含む。1つの実施態様においては、電子および電気機器が、望ましい通信および電力を電子構成要素へ提供するネットワーク・デバイス1020および電源1022を含み、それらが円筒状容器の近くに備えられる。
【0088】
支持体は、デッキ1008およびデッキの全周の周りでデッキから円筒状容器内の第2の冷却流体の充填レベル1026の上方のポイントまで延びるリップ1006を伴う封じ込めセクションを有する支持プラットフォームを含む。図解されているとおり、デッキは、円筒状容器の断面エリアを完全にはカバーしない。したがって、デッキは、円またはディスクの一部分だけの形状になる。1つの実施態様においては、デッキが円形またはディスクの形状である。1つの実施態様においては、デッキが、円筒状容器の断面エリアを完全にカバーする。1つの実施態様においては、デッキが円筒状容器の内壁表面の形状に従った形に作られる。デッキは、電子構成要素に適応する中央開口1028を含む。1つの実施態様においては、各電子構成要素の前面1018が、中央開口内の電子構成要素の挿入および取り出しを容易にする1つ以上のハンドル1024を含む。
【0089】
デッキは、中央開口の反対側、特に中央開口の直径方向において反対側に設置された2つの冷却要素開口1010も含む。1つの実施態様においては、各冷却要素開口が、電子構成要素の整列された側縁のうちの1つと、円筒状容器の内壁表面の間に設置される。各冷却要素開口内には、冷却要素1012が配置され、第2の冷却流体と接触している。1つの実施態様においては、各冷却要素の流入口および流出口に取り付けられた配管が、絶縁物1014、たとえば発泡体絶縁物を用いてカバーされる。
【0090】
図11に図解されているとおり、適切な冷却要素開口には、デッキの下方へ構造的に延びないデッキ内の開口または窓1040および少なくとも部分的にデッキの下方へ延びる冷却チャンネルまたはポケットへのチャンネル開口1042が含まれる。1つの実施態様においては、この冷却チャンネルが封じ込めシステムと一体的に形成される。それに代わるものとしては、この冷却チャンネルが、デッキの底部に取り付けられる別体の構造になる。
図12を参照すると、冷却チャンネル1048の実施態様が図解されている。1つの実施態様においては、3Dプリンタを使用して冷却チャンネルおよびそのほかの支持体の要素を作り出すことが可能である。図解されているとおり、冷却チャンネル1048は、デッキから円筒状タンクの底部まで延びる。したがって、冷却要素1012は、冷却チャンネル内に完全に収容される。1つの実施態様においては、冷却チャンネルが円筒状容器の底部へ向かって部分的にだけ延びる。
図12に図解されているとおり、デッキ1008およびリップ1006は、第2の冷却流体を受け止め、第2の冷却流体の、下へ向かいチャンネル開口1042を通る流れを導くべく働く。
【0091】
1つの実施態様においては、冷却チャンネルが、外側垂直面1052と、反対を向くペアの側面1056と、内側垂直面1054と、を含む。1つの実施態様においては、外側垂直面が湾曲されて、円筒状容器の湾曲した内壁表面に適応される。内側垂直面1054は、冷却要素と発熱する電子構成要素の間に配置される。1つの実施態様においては、冷却チャンネルが、少なくとも部分的に冷却チャンネルの長さに沿って延びるメッシュまたはスクリーン部分1050を含む。このスクリーン部分は、チャンネル外への第2の冷却流体の流れを可能にする。1つの実施態様においては、スクリーン部分が、少なくとも部分的に冷却チャンネルの側面周りに延びる。
【0092】
冷却チャンネルが円筒状タンクの底部まで延びる場合、冷却チャンネルは、支持のための支持脚として機能する。
図11に戻るが、1つの実施態様においては、支持体が、デッキと、円筒状タンクの底部と接触するベース支持体1046の間に延びる追加の支持脚1044を含む。1つの実施態様においては、支持体の構成要素が単一または一体構造として形成される。1つの実施態様においては、支持体が3Dプリンタを使用してプリントされる。
【0093】
例示的な実施態様は、現地の場所の現場における作成も含め、本明細書で論じられているいずれかの実施態様に従った電子構成要素を冷却するためのシステムを作成するための方法も対象とする。例示的な実施態様は、本明細書で論じられている電子構成要素を冷却するためのシステムのいずれかの実施態様を使用する電子構成要素を浸漬冷却するための方法を対象とする。1つの実施態様においては、1つ以上の円筒状タンク、たとえば円筒状バレルが冷却流体、たとえば浸漬冷却流体を所望の場所、たとえばコンピューティング構成要素等の電子構成要素が展開され、運用されることになる現地の場所へ出荷するために使用される。1つの実施態様においては、ブレード・タイプのサーバとするコンピューティング構成要素が、ガスおよび石油調査に使用される。1つの実施態様においては、空のバレルが所望の場所へ出荷されるか、または充填されたバレルと空のバレルの組み合わせが所望の場所へ出荷される。
【0094】
1つ以上の円筒状バレルの上部が開かれる。1つの実施態様においては、浸漬冷却流体が入った円筒状バレル容器の上部が開かれ、浸漬冷却流体の少なくとも一部が円筒状バレルから取り除かれる。それぞれに所定体積の浸漬冷却流体が収容されている円筒状バレルのうちの1つ以上の中に支持体が置かれる。少なくとも1つの発熱する電子構成要素と、少なくとも1つの冷却要素が、円筒状バレル内における少なくとも1つの発熱する電子構成要素の保持に支持体が使用されるように、かつその電子構成要素が浸漬冷却流体内に完全に浸漬されるように、各支持体の中に置かれる。それに加えて、円筒状バレル内において少なくとも1つの電子構成要素に隣接して少なくとも1つの冷却要素が支持体内に支持され、浸漬冷却流体内に浸漬される。
【0095】
各電子構成要素に対して電子、電気、および通信の接続が行われる。それに加えて、円筒状バレルの外部に設置される冷却水の供給源に対する各冷却要素の配管が行われる。1つの実施態様においては、各冷却要素が、冷却水タンク、井戸、または地表水源に対して配管される。円筒状バレルの外部の供給源からの冷却水が少なくとも1つの冷却要素に通され、また電子構成要素が運転されて発熱する。
【0096】
少なくとも1つの電子構成要素内に統合され、その少なくとも1つの電子構成要素から電力を引き出す少なくとも1つのマイクロポンプが作動されて、垂直に上へその少なくとも1つの電子構成要素を通り、かつ垂直に下へ少なくとも1つの冷却要素上を覆う浸漬冷却流体の流れを導き、その少なくとも1つの電子構成要素からの熱を、円筒状バレルから取り除くために、浸漬冷却流体を通して冷却水へ伝達する。
【0097】
以上述べた説明は、いずれかのデバイスまたはシステムの作成および使用および組み入れられている方法の実施も含めて当業者が実施することを可能にするべく開示されている主題の例を使用している。これらの主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶそのほかの例を含むことができる。その種のほかの例は、特許請求の範囲内となることが意図されている。
【符号の説明】
【0098】
100、1000 電子構成要素冷却システム
1002 円筒状容器
1004 支持体
1006 リップ
1008 デッキ
101 単一の容器、円筒状容器
1010 冷却要素開口
1012 冷却要素
1014 絶縁物
1018 前面
102 第2の冷却流体
1020 ネットワーク・デバイス
1024 ハンドル
1026 充填レベル
1028 中央開口
1030 電子構成要素
1032 通信ポート
1034 電力接続
104 パイプ
1040 開口または窓
1042 チャンネル開口
1044 支持脚
1046 ベース支持体
1048 冷却チャンネル
1050 メッシュまたはスクリーン部分
1052 外側垂直面
1054 内側垂直面
1056 側面
107 中心エリア
109 発熱する電子構成要素
111 領域または空間
120 第1の冷却流体の流入
122 側縁
124 上縁
126 下縁
128 前面
130 円筒状容器の高さ
132 底部
200 電子構成要素を冷却するためのシステム
201 円筒状容器
202 マニフォールド・システム
203 列
204 冷却要素またはパイプ
205 直径
207 中心エリア
209 電子構成要素
211 第2の冷却流体
300 電子構成要素を冷却するためのシステム
301 容器
302 第2の冷却流体
303 冷却要素
304 流体循環デバイス
305 電子構成要素
306 シャーシ
307 ギャップ
308 空間
309 ギャップ
310、311 絶縁材料
312 流入口
313 流出口
315 垂直寸法
316 第2の冷却流体の流れ
318 流路
320 レッジ、上部
322 底部
401 角ブラケット
402 レッジまたはレール
403 ギャップ
404 第1の水平の内寸
406 上縁
408 側部
410 電子構成要素
501 角ブラケット
502 レッジまたはレール
503 ギャップ
504 第1の水平の内寸、冷却要素
506 上縁
508 側部
510 冷却要素
600 円筒状容器
601 開いた上部
604 内径
606 支持体
608 支持レール
610 冷却要素開口
612 冷却要素
614 流入口
615 流出口
616 外壁表面
618 内壁表面
620 円筒状の壁
622 壁厚
626 支持プラットフォーム
628 底部
630 リップ
700 電子構成要素を冷却するためのシステム
701 円筒状容器
702 第2の冷却流体
704 冷却要素
705 第1の冷却流体の流れ
706 流れ
709 発熱する電子構成要素
710 ポンプ
720 外壁の直径
722 全体的な高さ
723 シャーシ
724 流れ
726 流れ
728 蓋
900 電子構成要素を冷却するためのシステム
902 円筒状容器
904 冷却要素
906 流入口
908 流出口
909 第2の冷却流体
910 発熱する電子構成要素
912 奥行き
914 円筒状容器の底部
916 開いた上部
918 側部
920 内壁表面
922 格納セクション
924 デッキ
926 中央開口
928 冷却要素開口
930 リップ
932 冷却要素ポケット
【外国語明細書】