(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176994
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】アルドステロンシンターゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20221122BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20221122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221122BHJP
A61P 5/42 20060101ALI20221122BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20221122BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221122BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20221122BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221122BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20221122BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C07D471/04 107Z
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61P43/00 111
A61P5/42
A61P9/04
A61P13/12
A61P9/12
A61P9/00
A61P3/04
A61P9/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022133021
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2019522665の分割
【原出願日】2017-10-26
(31)【優先権主張番号】16205019.9
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/413,635
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519150359
【氏名又は名称】ダミアン ファーマ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フューラー, ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】スティール, ロナルド エドワード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アロマターゼ酵素阻害活性が弱く、かつ強力なアルドステロンシンターゼを阻害活性を有する化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択された化合物に関し、特に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に関し、両方とも、(R)型の鏡像体過剰率が97%以上であるのが好ましい。さらに、本発明は、上記化合物を含む医薬組成物、薬物として、およびアルドステロンの過剰暴露が疾患または障害の有害作用の一因となる妊娠可能な女性および小児患者を含むヒトの前記疾患および障害の治療方法、ならびに前記本発明の化合物の調製方法におけるそれらの使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩、から選択される化合物であって、(R)型の鏡像体過剰率が97%以上である、化合物。
【請求項2】
無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50でアロマターゼ活性を阻害する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
NCI-H295R副腎細胞アッセイで、100nM以下、好ましくは50nM以下、より好ましくは10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性が、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アロマターゼの阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、前記NCI-H295R副腎細胞アッセイで測定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記薬学的に許容可能な塩が結晶質である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記薬学的に許容可能な塩が無水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記薬学的に許容可能な塩が非吸湿性である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)により測定して、184℃~193℃に等しいまたは184℃~193℃の間の融点を有し、好ましくは前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、188℃~190℃に等しいまたは188℃~190℃の間の融点を有する、請求項5~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iが、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504、21.919および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークが、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る、請求項5~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩。
【請求項13】
少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤と混合した、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物または請求項12に記載の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を含む医薬組成物であって、好ましくは、錠剤、丸薬、分散性顆粒、カシェ剤、カプセル剤、粉剤、トローチ剤、坐剤または停留かん腸剤の形態である、医薬組成物。
【請求項14】
アルドステロンへの過剰暴露が疾患または障害の有害作用の一因である前記疾患または障害の閉経前女性および小児患者を含む好ましくはヒトの治療方法で使用するための、好ましくは前記疾患または障害が、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択され、さらに好ましくは、前記疾患または障害が、原発性および続発性高アルドステロン症から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物;請求項12に記載の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物の調製方法であって、
i.ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンと、(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸とを反応させて、ジアステレオマー(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-酒石酸塩を形成するステップ;および
ii.ステップiで得られた前記酒石酸塩を少なくとも1回再結晶化するステップ;および
iii.ステップiiで得られた前記酒石酸塩の溶液に、塩基を加えることにより、遊離塩基(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを開放するステップ;および必要に応じ、
iv.前記遊離塩基と酸を反応させることにより薬学的に許容可能な塩を形成し、好ましくは前記酸がリン酸(H3PO4)であるステップ、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物に関し、特に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に関し、両方とも、(R)型の鏡像体過剰率が97%以上であるのが好ましい。さらに、本発明は、上記化合物を含む医薬組成物、薬物として、およびアルドステロンの過剰暴露が閉経前女性および小児患者における場合を含む疾患または障害の有害作用の一因となる前記疾患および障害の治療方法、ならびに前記発明の化合物の調製方法におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)の阻害は、ミネラルコルチコイド受容体(MR)遮断に加えて、高血圧、心不全および腎障害の治療のための新しい選択肢として登場した。この目的は、血漿および組織の両方中のアルドステロン濃度を低減し、それにより、心臓、血管および腎臓標的器官におけるMR依存性およびMR非依存性効果を減らすことである。アルドステロンは、アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)のデオキシコルチコステロンに対する酵素作用により、副腎の球状層で産生される(M.Azizi et al.,Nephrol Dial Transplant(2013)28:36-43)。
【0003】
アルドステロン合成を阻害する初期の試みには、種々の非選択的ステロイド産生阻害剤の使用が含まれたが、この物質は大きな安全上の懸念があった。アルドステロン合成の特異的阻害に対する標的化薬理学的手法の概念は、進行性乳癌治療に効果的な非ステロイド性アロマターゼ阻害剤として既知のファドロゾール塩酸塩(CGS16949A,INN:ファドロゾール;米国特許第4,617,307号;米国特許第4,728,645号;米国特許第5,098,911号)がアルドステロンレベルに影響を及ぼすという発見により始まった。その後の前臨床研究により、R-エナンチオマー(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドがCYP11B2の効力の大きい阻害剤であり、一方で、S-エナンチオマーがCGS16949Aの強力で効力の大きいアロマターゼ(CYP19)阻害活性の原因であることが示された(J.Menard et al.,J Hypertens(2006)24:993;Fiebeler et al.,Circulation(2005)111:3078-94;Furet et al.,J Med Chem(1993)36:1393-1400;US 5,057,521)。
【0004】
他方では、およびその早期発見にもかかわらず、ヒトを対象として(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドの臨床開発に関する報告はなく、また、商業的に利用可能な合成も、十分なキラル純度も開示されていない(米国特許第4,889,861号)。加えて、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドは、吸湿性が高いことが判明した(Browne LJ et al.,J Med Chem(1991)34:725-36;Furet et al.,J Med Chem(1993)36:1393-1400;米国特許第4,889,861号)。
【0005】
臨床試験での広範なアロマターゼ阻害剤の評価によりアロマターゼ阻害の多数の有害な結果が明らかになったことから、対応する(S)エナンチオマーの強力で効力の高いアロマターゼ阻害活性を考慮すると、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドのキラル純度は特に重要である。したがって、乳癌で、アロマターゼ阻害剤の治療を受けた30,023人の閉経後の女性を対象にした7つの試験からなる系統的再調査およびメタアナリシスは、骨折および心臓血管疾患の発生の顕著な増加を示した(Amir et al.,J Natl Cancer Inst(2011)103:1299-1309)。さらに、アロマターゼ阻害の持続期間が長くなるほど、心臓血管疾患および骨折に対する関与が強くなる。加えて、閉経前女性、すなわち、妊娠可能な女性では、アロマターゼ阻害への曝露は、生殖障害に繋がる可能性があり、授乳中の女性では、新生児が母乳への分泌介してアロマターゼ阻害化合物に曝露される可能性がある。さらに、小児患者では、アロマターゼ阻害は発達障害をもたらす可能性がある。したがって、極めて高い純度およびこのような薬物の混入物および不純物回避の必要性は明らかである。このような薬物は通常、長期間にわたり、あるいは生涯にわたり適用される。
【0006】
さらに、および必要とされる極めて高いキラル純度および有害作用としてのアロマターゼ阻害の回避に加えて、アロマターゼ阻害成分へのどのような変換をも排除するために、水中の溶解度およびエナンチオマー安定性を含む長期間にわたる安定性、ならびにこのような薬物の、特に、錠剤などの経口投与に好適する投与形態への処理のしやすさが、追加分を全部含めた、このような薬物の製剤のための、前提条件である。
【発明の概要】
【0007】
驚いたことに、今や本発明者らは、従来にない程度のキラル純度、すなわち、鏡像体過剰率(ee)を有し、通常好ましくは、97%以上の(R)型のeeを有し、さらに好ましくは、99%以上あるいは99.5%以上の(R)型のeeを有する、式(I)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの提供に至った。さらに、驚くべきことに、本発明者らは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、長期間にわたり非吸湿性および特に、純度、含水量ならびにエナンチオマー純度に関して、安定であることを見出した。さらにおよび重要なことに、本発明者らは、意外にも、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、1つの安定型の結晶質であることを見出した。加えて、本発明の化合物は、さらに、低減された、極めて低いアロマターゼ活性を有し、その結果として、増大した、極めて高いアルドステロンシンターゼ活性を有し、これが、本発明の化合物を、ヒトにおける、特に閉経前女性および小児患者のための臨床開発に極めて好適する候補として適性の高い化合物にしている。非常に低いアロマターゼ活性は、臨床開発および特に、閉経前女性、従って妊娠可能な女性および小児患者のための、アルドステロン過剰暴露に関連する疾患および障害を治療する薬物としての公認された使用のための前提条件でさえあると考えられる。アロマターゼの量およびアンドロゲンからエストロゲンへの変換のパーセンテージは、性腺外組織では定量的に小さく、多くの場合、任意の組織中の1%未満であるが、ホルモン作用の観点からは、その影響は、それでもまだ大きい(Blakemore and Naftolin,Physiology(2016)31:258-269)ので、後者は特に有効である。したがって、本発明の化合物は、混入および効力の高いアロマターゼ阻害性(S)エナンチオマーに起因する悪影響および望ましくない影響を最小化することにより、アルドステロン産生により悪影響がある障害の生涯治療の可能性を提供する。
【0008】
したがって、第1の態様では、本発明は、式(I)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する。
【0009】
特に、および第2の態様では、本発明は、通常好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、これは、驚くべきことに、非吸湿性であり、これにより、特に、純度、含水量およびキラル純度に関して、長期間にわたり安定である。吸湿性は、医薬品有効成分の安定性に悪影響を与えるので、これは特に重要である。さらにおよび重要なことは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、1つの安定型の結晶質であることである。不安定な多形は通常、医薬品効力特性に悪影響を与える。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、妊娠可能な女性および小児患者を含むヒトの疾患または障害の治療の薬物としての使用およびその疾患または障害の治療の方法での使用のための、通常好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンならびにそのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、アルドステロンへの過剰暴露が前記疾患または障害の有害作用の一因であり、前記疾患または障害は、通常好ましくは、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択され、さらに好ましくは、前記疾患または障害は、原発性および続発性高アルドステロン症から選択される。さらに好ましくは、前記方法は、特に、妊娠可能な女性および小児患者を含むヒトでの使用に好適する。
【0011】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の、このような高キラル純度で達成された本発明のキラル分割および合成は、今や、通常好ましくは、アルドステロン合成の律速酵素を阻害する、すなわちアルドステロンシンターゼ(CYP11B2)を阻害することにより、望ましくない混入アロマターゼ活性を可能な限り少なくして、アルドステロンの抑制のための医薬組成物の調製を可能とする。前記疾患および障害の生涯治療の典型的な必要性により、有益なアルドステロンシンターゼ阻害性(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたは薬学的に許容可能なその塩、およびこれにより特に、そのリン酸塩、およびさらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の、効力の高いアロマターゼ阻害性(S)-(-)-エナンチオマーからの混入を最小化するという観点から本発明の利点が高められる。実施例8の表10および11で示されるように、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、アルドステロン産生(アルドステロンシンターゼ活性)およびエストラジオール産生(アロマターゼ活性)を、NCI-H295R副腎細胞によりそれぞれ、8.1nMおよび5760nMのIC50で阻害し、したがって、アロマターゼ活性に比べて、アルドステロンシンターゼ活性の700を超える大きい阻害を示し、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、およびさらに(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の、本発明のリン酸塩に対する極めて有益な安全性プロファイルを立証している。したがって、本発明は、特にヒト、特に閉経前女性および小児患者における適用に好適する。非常に低いアロマターゼ活性は、臨床開発および特に、閉経前女性、従って妊娠可能な女性および小児患者のための、アルドステロン関連疾患および障害のための薬物としての使用のための前提条件でさえあると考えられる。
【0012】
本発明者らは、本発明の方法により調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、ならびにそのリン酸塩、特に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、従来にない低いアロマターゼ阻害活性を示すことを見出した。したがって、さらなる態様では、本発明は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイにより測定して、アロマターゼに対し、700nM以上のIC50値を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたは薬学的に許容可能なその塩、特に、そのリン酸塩、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。実施例8では、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、1640nMのIC50でアロマターゼ活性を阻害することが明らかになった。
【0013】
さらに、本発明者らは、本発明の方法により調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、ならびにそのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、従来にない高いアルドステロンシンターゼ阻害活性を示すことを見出した。したがって、さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩、特に、そのリン酸塩から選択される化合物、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸塩のエナンチオ選択的結晶化を特徴とする、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物の調製方法を提供し、極めて好ましくは前記薬学的に許容可能な塩は、その二水素リン酸塩である。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、少なくとも+95°の、好ましくは少なくとも+96°の、より好ましくは少なくとも+97°の、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))、[α]D
20(エタノール)または[α]D
25(エタノール)、好ましくは[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))を有し、好ましくは前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、さらに好ましくは、前記化合物は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50でアロマターゼ活性を阻害し、またさらに好ましくは、前記化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50でアルドステロンシンターゼを阻害する。極めて好ましい実施形態では、前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、少なくとも+95°の、好ましくは少なくとも+96°の、より好ましくは少なくとも+97°の、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))を有し、好ましくは前記化合物は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50でアロマターゼ活性を阻害し、またさらに好ましくは、前記化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50でアルドステロンシンターゼを阻害する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、少なくとも+95°の、好ましくは少なくとも+96°の、より好ましくは少なくとも+97°の、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))、[α]D
20(エタノール)または[α]D
25(エタノール)、好ましくは[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))を有し、好ましくは前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、さらに好ましくは、前記化合物は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性は、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アロマターゼの阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで測定される。極めて好ましい実施形態では、前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、少なくとも+95°の、好ましくは少なくとも+96°の、より好ましくは少なくとも+97°の、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))を有し、好ましくは前記化合物は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性は、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値およびアロマターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで測定される。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは1000nM以上、およびより好ましくは1500nM以上のIC50でアロマターゼ活性を阻害し、好ましくは、前記化合物は、97%以上の(R)型の鏡像体過剰率を有し、さらに好ましくは前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0018】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下、好ましくは50nM以下、およびより好ましくは10nM以下のIC50でアルドステロンシンターゼを阻害し、好ましくは、前記化合物は、97%以上の(R)型の鏡像体過剰率を有し、さらに好ましくは前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し50以上、好ましくは100以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性は、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アロマターゼの阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで測定され、好ましくは、前記化合物は、97%以上の(R)型の鏡像体過剰率を有し、さらに好ましくは前記化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のX線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムである。ディフラクトグラムのY軸は1秒当たりのカウント数で表した強度の記録であり、X軸は2θ(度)である。
【
図2】(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の熱重量分析(TGA)/示差走査熱量測定(DSC)結果を示す。上段パネルは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のTGAサーモグラムを示す。下段パネルは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のDSCサーモグラムを示す。サーモグラムは、189℃の融点(下段パネル)を超える225℃の温度までに1.4%の質量損失(上段パネル)を示す。サーモグラムは、188℃で始まり、ピークが189℃である融点を示す。
【
図3】高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のキラル純度を示す。クロマトグラムは、99.9%eeを超えるR-(+)-エナンチオマー(保持時間:14.459分)の鏡像体過剰率を示す(S-(-)-エナンチオマーの保持時間:9.814分)。
【
図4】(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットである(2回の吸着/脱着サイクルの重ね合わせ)。動的等温線プロットは、それぞれ、1%の吸湿量まで質量増加を示す。
【
図5】(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の動的水蒸気吸着(DVS)質量プロット変化を示す(点線:質量の相対変化;破線:目標相対湿度(RH))。質量プロットは、1%までの可逆的水吸収を示す。
【
図6】DVSサイクル前(上段のパターン)およびサイクル後(下段のパターン)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のX線粉末回折(XRPD)ディフラクトグラムを示す。重ね合わせたディフラクトグラムは、DVS処理によりそれぞれの結晶形の反射パターンが影響を受けないことを示す。
【
図7】単結晶X線分析により決定された(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶構造および絶対配置を示す。単一X線測定により、炭素5のR-(+)-立体配置が確認される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
特に断らなければ、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。
【0022】
用語の「約」が使われる場合、特に記載がない場合、特に±10%、±5%または±3%を意味する(それぞれの所与の数値を基準にして)。それぞれの本発明の実施形態では、「約」は削除できる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語の「キラル純度」は、キラルHPLC(詳細は実施例を参照されたい)により測定した鏡像体過剰率(ee)により定義され、下記式により計算される:
ee=(AR-AS)/(AR+AS)x100%、
式中、ARは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの試料溶液のHPLCクロマトグラムのピークの面積であり、ASは、(S)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの試料溶液のHPLCクロマトグラムのピークの面積である。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語の「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的に許容可能な、親化合物の目的の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩には、当業者に既知の無機酸または有機酸との間で形成された酸付加塩が挙げられる(P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor);Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,2nd Revised Edition,March 2011,Wiley-VCH,ISBN:978-3-90639-051-2)。本発明において特に好ましい薬学的に許容可能な塩は、リン酸との間で形成された酸付加塩、すなわち、二水素リン酸塩である。
【0025】
本出願で使用される場合、用語の「リン酸塩」は、プロトン化型の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを含む化合物、すなわち、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンカチオンを含み、リン酸由来の陰イオンをさらに含み、前記陰イオンは、通常好ましくは、二水素リン酸塩[H
2PO
4]
-および一水素リン酸塩[HPO
4]
2-から選択される。本出願で使用される場合、好ましくは、用語の「リン酸塩」は、式(I)の化合物の二水素リン酸塩を意味し、すなわち、式(I)の化合物が一旦プロトン化され、対イオンが[H
2PO
4]
-であり(単結晶X線構造は
図7を参照されたい)、その結果、モノプロトン化(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの二水素リン酸に対する化学量論は1:1である。本明細書では、後者の化合物は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩と呼ばれる。
【0026】
用語の「アロマターゼ」は、チトクロムP450スーパーファミリーのメンバーであるCYP19を意味し、これは、エストロゲンシンターゼとしても知られる。
【0027】
用語の「アルドステロンシンターゼ」は、ステロイドヒドロキシラーゼチトクロムP450酵素CYP11B2を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語の「非晶質」は、過冷却液体または粘稠液体を意味し、これは、固体のように見えるが、長い範囲にわたり維持される規則的に反復される分子配置を有さず、また、融点を有さず、むしろそのガラス転移温度を超えると軟化または流動する。
【0029】
本明細書では同義に使われ、本発明の化合物に関連する用語の「結晶質」および「結晶質純度」は、規則的に反復される分子配置または外表面配置を有する固体を意味する。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を含む、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に言及する場合、用語の「結晶質」および「結晶質純度」は、結晶形Iを意味し、総重量の少なくとも60%、好ましくは総重量の少なくとも70%、さらに好ましくは総重量の80%、またさらに好ましくは総重量の90%、およびまたさらに好ましくは総重量95%の前記結晶形Iが存在するのが好ましい。他の成分は、例えば、非晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり得る。結晶質純度は、本明細書に記載のXRPDにより決定し得る。したがって、好ましい実施形態では、前記XRPDは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:
測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語の「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504、21.919および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度または好ましくは±0.5度、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504、21.919および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度または好ましくは±0.5度、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。さらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504、21.919および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度、または好ましくは±0.2度変動し得る。またさらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、用語の「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504、21.919および24.159を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.2度変動し得る。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504;21.919;24.159;16.003;26.101;27.168;27.542および29.029を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±1度、または好ましくは±0.5度、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。別の好ましい実施形態では、本明細書で使用される場合、「結晶形I」は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を意味し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、CuKα照射を用いて測定した2θ値で、19.504;21.919;24.159;16.003;26.101;27.168;27.542および29.029を含むX線粉末回折パターンを有し、各ピークは、±0.5度、または好ましくは±0.2度変動し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語の「無水」は、3%未満、好ましくは2.5%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1.5%未満、最も好ましくは1%未満の水和水を含む結晶形を意味する。
【0032】
用語の「非吸湿性」は、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンの薬学的に許容可能な塩、特に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、粉末または顆粒として存在する場合、商業上の使用を前提として、それらによる周囲大気の水蒸気に対する24時間、数週間、数か月、または数年にわたる曝露に対し、会合、凝集、水吸収、または潮解といった有害な現象を生ずることなしに耐える能力を意味する。通常好ましくは、本明細書で使用し、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に言及する場合、および好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に言及する場合、用語の「非吸湿性」は、通常の周囲条件下、通常好ましくは、20~25℃および20%~80%、好ましくは30~60%の相対湿度の開放下で貯蔵時に、少なくとも1日にわたり、好ましくは1週間、さらに好ましくは1ヶ月間、またさらに好ましくは少なくとも3ヶ月間にわたり、およびまたさらに好ましくは少なくとも6ヶ月間、およびまたさらに好ましくはまたは少なくとも1年以上の期間にわたり、特に、規制ICH基準を満たすように、(好ましくは易流動性の)粉末または顆粒としてその粘度を保持することを意味する。さらに好ましくは、本明細書で使用し、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に言及する場合、および好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に言及する場合、用語の「非吸湿性」は、通常の周囲条件下、通常好ましくは、20~25℃および20%~80%、好ましくは30%~60%の相対湿度の開放下で貯蔵時に、24時間にわたり、通常好ましくは、実施例5で測定されるようにして、5%未満、好ましくは3%未満、さらに好ましくは2%未満、またさらに好ましくは1%未満の重量増加を示すことを意味する。またさらに好ましくは、本明細書で使用され、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に言及する場合、および好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に言及する場合、用語の「非吸湿性」は、通常の周囲条件下、通常好ましくは、20~25℃および20%~80%、好ましくは30%~60%の相対湿度の開放下で貯蔵時に、24時間にわたり、通常好ましくは、実施例5で測定されるようにして、前記リン酸塩、好ましくは前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、5%(重量/重量)未満、好ましくは3%(重量/重量)未満、さらに好ましくは2%(重量/重量)未満、またさらに好ましくは1%(重量/重量)未満の水吸収を示すことを意味する。あるいは好ましくは、本明細書で使用し、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩に言及する場合、および好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に言及する場合、用語の「非吸湿性」は、通常の周囲条件下、通常好ましくは、25℃および約60%の相対湿度の開放下で貯蔵時に、24時間にわたり、好ましくは1ヶ月間、またさらに好ましくは少なくとも3ヶ月間にわたり、およびまたさらに好ましくは少なくとも6ヶ月間、およびまたさらに好ましくはまたは少なくとも1年の期間にわたり、通常好ましくは、実施例9で測定されるようにして、含水量が0.5重量/重量%未満、好ましくは0.4重量/重量%未満、およびさらに好ましくは0.3重量/重量%以下であることを意味する。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語の「薬学的に許容可能な賦形剤」は、医薬剤形に定常的に使用される任意の生理学的に不活性の添加剤を含む。薬学的に許容可能な賦形剤は、結合剤、希釈剤、担体、潤滑剤、流動促進剤、コーティング添加剤またはこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語の「溶解度」は、U.S.Pharmacopoeia,Chapter “General Notices”,§ 5.30 ”Description and Solubility”に従って(および以降で定義するように)、簡略化した記述溶解度(例えば、水中)を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語の「妊娠可能な女性」は、妊婦になることができる閉経前の女性を意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語の「小児患者」は、分類0~18歳、好ましくは0~16歳の患者を意味し、早産および臨月新生児(0~27日)、乳幼児および幼児(28日~23ヶ月)、小児(2~11年)および若者(2~16/18年)を含む。
【0037】
したがって、一実施形態では、50%体積/体積超の水中溶解度を有する、式(I)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。
【0038】
表現「IC50」は、当該技術分野において一般に既知の最大半量阻害濃度を意味する。アロマターゼに対するIC50は、実施例8で記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼアッセイにより決定される。アルドステロンシンターゼに対するIC50は、実施例8で記載のヒトNCI-H295R細胞アッセイにより決定される。「アロマターゼに比べたアルドステロンシンターゼに対する選択性」に言及する場合、次の比率が意図されている:
選択性=(アロマターゼに対するIC50)/(アルドステロンシンターゼに対するIC50)
式中、アルドステロンシンターゼに対するIC50およびアロマターゼに対するIC50は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8で記載のヒトNCI-H295R細胞アッセイにより決定される。
【0039】
前述で概略を述べたように、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、アルドステロン産生(アルドステロンシンターゼ活性)およびエストラジオール産生(アロマターゼ活性)を、NCI-H295R副腎細胞によりそれぞれ、8.1nMおよび5760nMのIC50で阻害し(実施例8、表10および11)、したがって、アロマターゼに比べて、アルドステロンシンターゼに対し約700の選択性を示す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「障害」または「疾患」という用語は、なんらかの機能の障害または異常;病的な身体的または精神状態を意味する。Dorland’s Illustrated Medical Dictionary(VSIB.Saunders Co.27th ed.1988)を参照されたい。
【0041】
本明細書で使用される場合、表現の「アルドステロンへの過剰暴露が疾患または障害の有害作用の一因となる疾患または障害」は、好ましくは、アルドステロンシンターゼの異常なまたは不適切な活性/発現に起因する、およびアルドステロンシンターゼの異常なまたは不適切な発現と関連する生物活性またはプロセスに起因する疾患および障害を意味する。アルドステロンシンターゼの異常なまたは不適切な活性/発現に起因する疾患または障害の典型例は、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「アルドステロンシンターゼの異常な活性」という用語は、野性型または在来遺伝子または天然タンパク質の活性とは異なる、または健康な対象の遺伝子またはタンパク質の活性とは異なるアルドステロンシンターゼの活性を意味する。異常な活性は、正常な活性より強力であるか、またはより弱い場合がある。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アルドステロンシンターゼの不適切な活性」という用語は、野性型または在来遺伝子または天然タンパク質の活性、または健康な対象の遺伝子またはタンパク質のアルドステロンシンターゼの活性を意味し、この活性は、健康な対象では適切であると見なされるが、同じ前記活性が病気の対象では不適切と見なされる、すなわち、前記活性は、病気の対象に対しては強力過ぎるまたは弱すぎると見なされる。
【0044】
本明細書で使用される場合、任意の疾患または障害の「治療(treating)」または「治療(treatment)」という用語は、疾患または障害を回復させることを意味する(すなわち、疾患の発症、またはその少なくとも1つの臨床症状を止めるまたは減らすことを意味する)。
【0045】
本明細書で使用される場合、「比旋光度」という用語は、それぞれの化合物の溶媒中の溶液の比旋光度を意味し、前記溶媒は、通常好ましくは、エタノールまたはCH3CN:H2O 1:1(体積/体積)、さらに好ましくはCH3CN:H2O 1:1(体積/体積)であり、前記比旋光度は、式:100xα/(lxc)により計算され、式中、α=観察した回転(度);l=セル光路長(デシメートル);c=濃度(g/100ml)であり;測定は、室温、通常好ましくは、20℃または25℃で、ナトリウムD線(すなわち、589.3nm)で実施される。用語の「比旋光度」は、[α]D
20または[α]D
25として略記される。通常、[α]D
20もしくは[α]D
25に対して、回転の符合(+または-)およびその実際の値がそこに示されるか、または[α]D
20もしくは[α]D
25は、回転の符合(+または-)およびその実際の値が度(°)で与えられる。上記で測定された完全な単位(度・dm-1・cm3・g-1)は、わかりやすくするために通常、省略される。
【0046】
第1の態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型の鏡像体過剰率(ee)を有する、式(I)の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供する。
【0047】
特に、および第2の態様では、本発明は、通常好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、これは、驚くべきことに、非吸湿性であり、特に、純度、含水量およびキラル純度に関して、長期間にわたり安定である。さらにおよび重要なことは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンのリン酸塩、特に(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、1つの安定型の、通常好ましくは、前記結晶形Iの結晶質であることである。
【0048】
動的水蒸気吸着調査により測定して、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の水吸収は、90%を超える湿度で1%未満であり(
図4)、加えて、水吸収は可逆的である(
図5)。さらに、225℃まで加熱時の質量減少は、1.4%にすぎなかった(
図2)。結論として、本発明のリン酸塩、好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、吸湿性ではない。結果として、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、周囲条件で、従来通りの医薬品収納容器に大量に保存可能である。さらに、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、高度結晶質であり、高レベルの結晶質純度を有することが明らかになった。さらに、驚くべきことに、記載した極めて優れたキラル純度を有する、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、1つの単結晶形で存在し、一定のX線構造およびそのキラル中心である炭素5の位置で、R-(+)-絶対配置を有する(
図1および表1;
図7)。
【0049】
複数の結晶形-多形と呼ばれる-は、このような型が相互変換でき、このような相互転換を防ぐために追加の措置を必要とするために、製剤の製造を複雑化する。異なる多形は、医薬品の製剤で異なる挙動をし、微粒子化、錠剤形成、溶解度およびさらにはバイオアベイラビリティに影響を与える場合がある。最も小さい化合物でさえ、固体結晶中で数十万個の可能なその分子の配置を有し得るために、結晶構造およびそれらの性質の予測は、科学的な難題であり、多形性が実際に所与の分子で起こるかどうかを演繹的に知ることはできない。したがって、安全で効果的な形態の薬物を得ようとする場合、多形性は深刻な懸念である。これにもかかわらず、本発明者らは、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が物理的に安定であること、すなわち、多形性は観察されず(実施例6、表8;実施例7、表9および
図6、実施例9)、予測通り確実に得ることができる(実施例3、ステップ4)ことを発見した。さらに、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩のXRPD分析(
図1および表1)は、この物質が非晶質物質を基本的に不含である(すなわち、非晶質物質は検出できない)ことを示した。別の方法の記載がない場合には、XRPDは、実施例に記載のように実施した。
【0050】
したがって、一実施形態では、本発明は、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、より好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。
【0051】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶(結晶形I)は、それらのX線粉末パターンの次の角度、格子面間隔(d値)および相対的線強度(強度)(表1)を有するXRPD(
図1)を特徴とする。
【0052】
一実施形態では、実施例セクションで記載のように測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを特徴とする、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される:19.504;21.919および24.159。一実施形態では、実施例セクションで記載のように測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを特徴とする、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±1または好ましくは±0.5、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。好ましい実施形態では、前記X線粉末回折パターンは、次の2θ値をさらに含む:16.003;26.101;27.168;27.542および29.029。好ましい実施形態では、前記X線粉末回折パターンは、次の2θ値をさらに含む:16.003;26.101;27.168;27.542および29.029。各ピークは、±1または好ましくは±0.5、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。特定の好ましい実施形態では、次の2θ値の内の少なくとも1個、より好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される:6.023129;9.969034;11.26224;11.22848;11.96566;12.77761;13.79347;14.39314;15.3394;16.00317;16.27337;17.07502;17.27593;17.9904;18.38238;18.65471;18.96096;19.14281;19.504;20.01265;20.58808;20.43302;20.72112;21.12683;21.91906;22.59202;24.44788;24.15917;24.48119;25.70071;26.10094;26.58127;27.16767;27.54165;27.71408;28.27603;28.09725;28.54909;29.02939;29.71314;30.07578;30.68808;30.92867;31.6379;32.27005;32.79806;33.20638;33.23304;33.65808;34.41793;34.35512;35.02142;35.06671;35.68978;35.93622;36.50305;36.56591;36.92023;37.14021;39.60815;37.89624および40.22464。別の特定の好ましい実施形態では、次の2θ値の内の少なくとも1個、より好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される:6.023129;9.969034;11.26224;11.22848;11.96566;12.77761;13.79347;14.39314;15.3394;16.00317;16.27337;17.07502;17.27593;17.9904;18.38238;18.65471;18.96096;19.14281;19.504;20.01265;20.58808;20.43302;20.72112;21.12683;21.91906;22.59202;24.44788;24.15917;24.48119;25.70071;26.10094;26.58127;27.16767;27.54165;27.71408;28.27603;28.09725;28.54909;29.02939;29.71314;30.07578;30.68808;30.92867;31.6379;32.27005;32.79806;33.20638;33.23304;33.65808;34.41793;34.35512;35.02142;35.06671;35.68978;35.93622;36.50305;36.56591;36.92023;37.14021;39.60815;37.89624および40.22464。各ピークは、±1または好ましくは±0.5、またはさらに好ましくは±0.2度変動し得る。別の特定の好ましい実施形態では、次の2θ値の内の少なくとも1個、より好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個または全てを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される:6.023129;9.969034;11.26224;11.22848;11.96566;12.77761;13.79347;14.39314;15.3394;16.00317;16.27337;17.07502;17.27593;17.9904;18.38238;18.65471;18.96096;19.14281;19.504;20.01265;20.58808;20.43302;20.72112;21.12683;21.91906;22.59202;24.44788;24.15917;24.48119;25.70071;26.10094;26.58127;27.16767;27.54165;27.71408;28.27603;28.09725;28.54909;29.02939;29.71314;30.07578;30.68808;30.92867;31.6379;32.27005;32.79806;33.20638;33.23304;33.65808;34.41793;34.35512;35.02142;35.06671;35.68978;35.93622;36.50305;36.56591;36.92023;37.14021;39.60815;37.89624および40.22464。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。一実施形態では、XRPDディフラクトグラム中の結晶形Iの3つの最大ピークは、1:0.85:0.55、特に、1:0.9:0.6、さらに特に、1:0.95:0.65、例えば、1:0.97:0.68の相対強度を有する(XRPDダイアグラムのそれぞれのピークの積分により得られる)。特定の実施形態では、それぞれ、最大ピークは、約21.919の2シータ(θ)値であり、2番目に大きなピークは、約19.504の2シータ(θ)値であり、3番目に大きなピークは、約24.159の2シータ(θ)値である。さらなる特定の実施形態では、それぞれ、最大ピークは、約21.919±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値であり、2番目に大きなピークは、約19.504±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値であり、3番目に大きなピークは、約24.159±0.5、または好ましくは±0.2度の2シータ(θ)値である。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が
図1に示すXRPDディフラクトグラムを示すのが好ましい。
【0053】
驚くべきことに、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(結晶形I)は、DSC(
図2)で測定して、189℃の単一の鋭く、高い融点を有し、この場合にも、高い物理的安定性を示し、これは、薬物製造、貯蔵および医薬製剤への処理においてさらに有益性が高いことがさらに見出された。したがって、一実施形態では、通常好ましくは、熱重量分析/示差走査熱量測定(TGA/DSC)を用いて、184℃~193℃に等しいまたは184℃~193℃の間の融点を有する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供され、好ましくは前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、188℃~190℃に等しいまたは188℃~190℃の間の融点を有する。さらなる実施形態では、184℃、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、190℃、191℃、192℃、193℃または194℃、最も好ましくは189℃の融点を有する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。さらなる実施形態では、189±5℃、189±2℃、189±1℃または189±0.5℃の融点を有する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。別の方法の記載がない場合には、本明細書の融解温度は、実施例セクションで記載のようにTGA/DSCにより取得した。
【0054】
さらに、本発明者らは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(結晶形I)の溶解度は、いくつかの非水性溶媒中で低く(実施例6、表7)、この溶媒は、したがって、この塩に対し非溶媒であり、良好な沈殿を得ることを可能とし、さらに、良好な収率および良好な純度を得ることを可能とすることを見出した。他方では、結晶形Iは、水中に極めて可溶性であり(実施例6、表8)、これは、経口または非経口製剤を得るのに好都合である。
【0055】
本明細書に記載の鏡像異性的に純粋で、従って、99.9%を超えるeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン遊離塩基から調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、+98.1°(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積);実施例3)の比旋光度([α]D
20)を有することが明らかになった。
【0056】
したがって、本発明の1つの極めて好ましい実施形態および態様では、少なくとも+94°、好ましくは少なくとも+95°、さらに好ましくは少なくとも+96°、より好ましくは少なくとも+97°、さらにより好ましくは少なくとも+98°の比旋光度[α]D
20(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積))を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が提供される。
【0057】
さらなる実施形態では、本発明は、少なくとも+120°、好ましくは少なくとも+121°、さらに好ましくは少なくとも+122°、またさらに好ましくは少なくとも+123°、またさらに好ましくは少なくとも+124°、またさらに好ましくは少なくとも+125°、またさらに好ましくは少なくとも+126°、またさらに好ましくは少なくとも+127°の比旋光度[α]D
25(エタノール)を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを提供する。別の実施形態では、本発明は、少なくとも+95°、好ましくは少なくとも+96°、さらに好ましくは少なくとも+97°、より好ましくは少なくとも+98°、さらにより好ましくは少なくとも+99°、さらに好ましくは少なくとも+100°、さらにより好ましくは少なくとも+101°、さらにより好ましくは少なくとも+102°、およびまたより好ましくは少なくとも+103°、さらにより好ましくは少なくとも+104°の比旋光度[α]D
20(エタノール)を有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドを提供する。
【0058】
極めて好ましい態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、より好ましくは無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。
【0059】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、より好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。
【0060】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、好ましくは前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。
【0061】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。好ましくは、前記XRPDは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。
【0062】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。前記XRPDは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。
【0063】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、無水であることがさらに明らかになった(実施例3および5)。したがって、一実施形態では、本発明は、無水(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。特定の好ましい実施形態では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、無水(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。
【0064】
さらに特定の好ましい実施形態では、本発明は、無水(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩 結晶形Iを提供する。
【0065】
またさらに特定の好ましい実施形態では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、本明細書で定義の結晶形Iの無水(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供する。
【0066】
前述で概略を述べたように、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法(実施例3)により調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン、ならびにそのリン酸塩、好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が、従来にない低いアロマターゼ阻害活性を示すことを見出し(実施例8)、これは、本発明の化合物を、高まったアルドステロンシンターゼ活性および/またはアルドステロンの高まったレベルに関連する疾患または障害の治療方法に使用する場合に、特に、妊娠可能な女性および小児患者に使用する場合に、アロマターゼの阻害に関連する副作用を回避するのに極めて重要である。したがって、さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物、特に、そのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記化合物は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMまたは1620nMまたは1630nMまたは1640nMまたは少なくとも1650nMのIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0067】
またさらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物、特に、そのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイにおいて、100nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。一実施形態では、本発明の化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、35nM以下、30nM以下、25nM以下または20nM以下;特に15nM以下、例えば、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nMまたは1nM以下のIC50でアルドステロンシンターゼを阻害する。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。
【0068】
またさらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を提供し、前記化合物は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し30以上、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、より好ましくは150以上、より好ましくは200以上、より好ましくは250以上、より好ましくは300以上、より好ましくは350以上、より好ましくは400以上、より好ましくは450以上、より好ましくは500以上、より好ましくは550以上、より好ましくは600以上、より好ましくは650以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性は、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アロマターゼの阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで測定される。
【0069】
したがって、また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、は前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。前記XRPDは、通常好ましくは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。また、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMまたは1620nMまたは1630nMまたは1640nMまたは少なくとも1650nMのIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0070】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。前記XRPDは、通常好ましくは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。また、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM以下、50nM以下、40nM以下、35nM以下、30nM以下、25nM以下または20nM以下;特に15nM以下、例えば、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nMまたは1nM以下のIC50でアルドステロンシンターゼを阻害する。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで、10nM以下のIC50で、アルドステロンシンターゼを阻害する。
【0071】
また極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩であり、前記結晶形Iは、CuKα照射を用いて測定した次の2θ値を含むX線粉末回折パターンを有する:19.504;21.919および24.159。各ピークは、±0.5、または好ましくは±0.2度変動し得る。前記XRPDは、通常好ましくは、次の装置、パラメーターおよび測定条件を用いて測定できる:測定器:Bruker AXS D2 PHASER;照射:CuKα(30kV、10mA);走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット。また、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、アロマターゼに比べてアルドステロンシンターゼに対し30以上、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、より好ましくは150以上、より好ましくは200以上、より好ましくは250以上、より好ましくは300以上、より好ましくは350以上、より好ましくは400以上、より好ましくは450以上、より好ましくは500以上、より好ましくは550以上、より好ましくは600以上、より好ましくは650以上、最も好ましくは700以上の選択性を有し、前記選択性は、アロマターゼ阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼ阻害に対するIC50値の比率により決定され、アロマターゼの阻害に対するIC50値およびアルドステロンシンターゼの阻害に対するIC50値は、両方とも、好ましくは同時に、実施例8に記載のNCI-H295R副腎細胞アッセイで測定される。
【0072】
一態様では、本発明は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、薬物として使用するための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを提供する。
【0073】
さらなる態様では、本発明は、薬物として使用するための(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、好ましくは前記二水素リン酸塩は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する。
【0074】
本発明は、妊娠可能な女性および小児患者を含むヒトの疾患または障害の治療方法で使用するための、通常好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンならびにそのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩をさらに提供し、アルドステロンへの過剰暴露が前記疾患または障害の有害作用の一因であり、通常好ましくは、前記疾患または障害は、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択される。
【0075】
さらに、本発明は、疾患または障害の治療方法で使用するための、通常好ましくは、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンならびにそのリン酸塩、好ましくは、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記疾患または障害は、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択される。さらに好ましくは、前記方法は、特に、妊娠可能な女性および小児患者を含むヒトでの使用に好適する。
【0076】
さらなる極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、ヒトの疾患または障害の治療方法で使用するための、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記疾患または障害は、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択され、好ましくは前記ヒトは、妊娠可能な女性または小児患者である。
【0077】
さらなる極めて好ましい実施形態および態様では、本発明は、ヒトの疾患または障害の治療方法で使用するための、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩、好ましくは、無水結晶質(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を提供し、前記疾患または障害は、原発性および続発性高アルドステロン症、心不全、慢性腎不全、高血圧、再狭窄、肥満症、腎症、心筋梗塞後症候群、腎線維症、および冠状動脈性心疾患から選択され、好ましくは前記ヒトは、妊娠可能な女性または小児患者であり、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMまたは1620nMまたは1630nMまたは1640nMまたは少なくとも1650nMのIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0078】
さらなる態様では、本発明は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を調製する方法を提供し、極めて好ましい前記薬学的に許容可能な塩は、そのリン酸塩であり、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩である。本発明の方法は、(i)ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンと、(-)-O,O’-アシル化L-酒石酸、特に、(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸とを反応させて、ジアステレオマー(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩を形成するステップ;および(ii)ステップiで得た酒石酸塩を少なくとも1回再結晶化するステップ、および(iii)ステップ(ii)で得た前記酒石酸塩の溶液に塩基を加えることにより、遊離塩基(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを開放させるステップ、および必要に応じ(iv)前記遊離塩基と、酸、好ましくはリン酸(H3PO4)とを反応させることにより、薬学的に許容可能な塩を形成するステップを含む。一実施形態では、前記(i)のラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンと、(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸、特に、(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸とを反応させて、ジアステレオマー(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン-L-酒石酸塩を形成するステップは、アルコール溶液、好ましくはエタノールの溶液中で、約50℃未満の温度、好ましくは約45℃未満の温度、およびさらに好ましくは、40℃未満の温度で実施される。一実施形態では、前記(ii)のステップ(i)で得られた酒石酸塩を少なくとも1回再結晶化するステップは、水-アルコール溶液中で、好ましくは、水性のエタノール溶液中で実施され、好ましくは、水:エタノールの比は、約2.4:約10である。
【0079】
一実施形態では、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を調製する得方法は、キラル分取HPLCによる5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(ファドロゾール)のキラル分割のステップを含まず、好ましくは、本発明の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩から選択される化合物を調製する前記方法は、5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(ファドロゾール)のキラルHPLCによるキラル分割のステップを含まない。このようなキラルHPLCによるキラル分割ステップは通常、(i)低容量カラムによる反復キラルHPLCまたは(ii)高容量カラムによる分取HPLC、を含む。
【0080】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上、およびまたより好ましくは99.5%以上、またより好ましくは99.8%以上、例えば、99.9%の(R)型のeeを有する、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩、特にそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を生ずる。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、本発明の方法は、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩、特にそのリン酸塩、さらに好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を生じ、前記(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩は、実施例8に記載の無細胞ヒト組換えアロマターゼ酵素アッセイで、700nM以上、好ましくは750nM以上、より好ましくは800nM以上、より好ましくは850nM以上、より好ましくは900nM以上、より好ましくは950nM以上、より好ましくは1000nM以上、より好ましくは1050nM以上、より好ましくは1100nM以上、より好ましくは1150nM以上、より好ましくは1200nM以上、より好ましくは1250nM以上、より好ましくは1300nM以上、より好ましくは1350nM以上、より好ましくは1400nM以上、より好ましくは1450nM以上、より好ましくは1500nM以上、より好ましくは1550nM以上、最も好ましくは少なくとも1600nM、例えば、1610nMまたは1620nMまたは1630nMまたは1640nMまたは1650nM以上のIC50で、アロマターゼ活性を阻害する。
【0082】
したがって、本発明の方法は、結晶化を利用して、商業的医薬用途のための極めて優れた高キラル純度の(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンおよび薬学的に許容可能なその塩、および極めて好ましくはそのリン酸塩、およびまたさらに、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩が得られる。商業規模では、結晶化は、より大きなバッチ調製、より安価な装置および施設を可能にし、特殊な専門知識を要しないことにより、クロマトグラフ分割よりも遙かに大きな経済的利点がある。
【0083】
一態様では、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンまたは薬学的に許容可能なその塩、特にリン酸塩、より好ましくは(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を、本明細書に記載のように少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤と混合して含む医薬組成物が提供される。
【0084】
一実施形態では、前記医薬組成物は、錠剤、丸薬、分散性顆粒、カシェ剤、カプセル剤、粉剤、トローチ剤、坐剤または停留かん腸剤の形態で提供される。
【0085】
実施例
装置、材料および方法
比旋光度[α]D
比旋光度[α]D測定は、標準的なPerkin Elmer偏光計343の589.3nmのナトリウムD線を用いて、溶液中で実施した。その測定のために、1gの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩を100mlのそれぞれの溶媒に溶解し、この溶液を1デシメートル長さの光学キュベットに移した。測定は、それぞれ、20℃または25℃の温度で実施した。比旋光度[α]Dは、式:100xα/(lxc)により計算され、式中、α=観察した回転(度);l=セル光路長(デシメートル);c=濃度(g/100ml)である。
【0086】
元素分析
元素分析は、標準的な装置(例えば、vario EL cube元素分析装置)で実施し、炭素、水素および窒素の値を決定した。
【0087】
キラルHPLC
Agilent 1100シリーズLC22測定器を用い、次のカラム規格値および条件でキラルHPLCを実施した。
カラム:Chiralpack AD-H、粒度分布:5μm、250x4.6mm;n° ADH0CE-TF087
移動相:エタノール+0.1%ジエチルアミン(DEA)
検出器波長:230nm
オーブン温度:25℃
流量:0.5mL/分
注入量:5μl;
試料調製:エタノール+0.1%DEA中の0.5mg/mL
【0088】
XRPD
ブラッグ-ブレンターノ構成のBruker AXS D2 PHASERを用いて、X線粉末回折調査を実施した。30kV、10mAのCu陰極を使用;試料ステージ標準回転;Kβフィルター(0.5%Ni)による単色化。スリット:固定発散スリット1.0mm(=0.61°)、一次軸ソーラースリット2.5°、二次軸ソーラースリット2.5°。検出器:受光スリット5°の検出器開口部を備えた線形検出器LYNXEYE。標準的サンプルホルダー((510)シリコンウエハ中の0.1mmキャビティ)はバックグラウンド信号に対し最小限の寄与であった。測定条件:走査範囲:5~45°(2θ値)、試料回転 5rpm、0.5秒/ステップ、0.010°/ステップ、3.0mm検出器スリット;全ての測定条件は測定器制御ファイルにログ記録した。システム適合性として、コランダム試料A26-826-S(NIST標準)を毎日測定した。
【0089】
データ収集用に使用したソフトウェアは、Diffrac.Commander v2.0.26とした。Diffrac.Eva v1.4を用いてデータ解析を実施した。バックグラウンド補正またはスムージングのパターンへの適用は行わなかった。
【0090】
単結晶X線解析
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩単結晶を、n-プロパノール/水混合物を溶媒として用いて成長させた。好適な単結晶を母液から取り出し、直ちに高粘度油でコートし、必要な大きさに切り出して、Mitegen Microloopに取り付け、150Kにショック凍結した。MoKα照射を備えたBruker D8 Quest測定器で、φ-スキャンおよびω-スキャンを使って、測定を実施した。その後、分子構造を直接法(SHELXTソフトウェア)で解釈した。全ての非水素原子を非等方性温度因子で精密化した。完成モデルに対し、Bijvoet解析を実施して絶対配置を決定した。
【0091】
TGA/DSC
34位置自動サンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC1 STARe Systemを用いて、熱重量分析および示差走査熱量測定(TGA/DSC)調査を実施した。A1るつぼ(40μL;穴付き)を用いて試料を作製した。通常、5~10mgの試料を秤量済みのA1るつぼに加え、30℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃から350℃まで加熱した。試料上への40ml/分の窒素パージを維持した。データ収集および評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v12.10 build 5937とした。サーモグラムに対し補正は適用しなかった。
【0092】
DSC
Mettler Toledo DSC1 STARe Systemを用いて、DSC調査を実施した。A1るつぼ(40μL;穴付き)を用いて試料を作製した。通常、1~8mgの試料を秤量済みのA1るつぼに加え、30℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃から350℃まで加熱し、350℃で1分間保持した。試料上への40ml/分の窒素パージを維持した。システム適合性チェックとして、インジウムおよび亜鉛を基準として使用した。データ収集および評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v12.10 build 5937とした。サーモグラムに対し補正は適用しなかった。
【0093】
DVS
Surface Measurement Systems Ltd.DVS-1 No Videoを用いて、動的水蒸気吸着(DVS)調査を実施した。通常20~30mgの試料を天秤皿に装填し、0%RHで平衡化した。材料を乾燥後、RHを10%/ステップ、1時間/増分で増やし、95%RHで終了した。吸着サイクルの完了後、試料を同じ方法を使用して乾燥させた。データ収集用に使用したソフトウェアは、DVSWin v3.01 No Videoとした。DVS Standard Analysis Suite v6.3.0(Standard)を用いて、データ解析を実施した。
【0094】
溶解度
振とうフラスコ法を用いて溶解度を測定した;溶解度は、20℃で目視で測定した。10mgの化合物に対し、完全な溶解が得られるまで、または0.05mg/mlの溶解度に達するまで、リストに挙げた溶媒を15分の間隔をあけて段階的に添加した。
【0095】
ハイスループット実験
冷却結晶化実験の温度制御用のJulabo FPSOを備えた、結晶化構成のFreeslate Core Module 2を用いて、ハイスループット実験をウェルプレート形式で実施した。
【0096】
固体ディスペンスシステム
ザルトリウス天秤を備えた古典的なSV-ホッパー構成のFreeslate Core Module Protege固体ディスペンスシステムを用いて固体を投与した。使用したホッパーは、8mmの弁サイズと4:3mm漏斗サイズを有する25mlの従来型ホッパー、8mmの弁サイズと4:3mm漏斗サイズを有する10mlの従来型ホッパー、および標準的4mlのガラスバイアルを有するSVホッパーとした。
【0097】
ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン
標記化合物(ファドロゾール)を、例えば、L.J.Browne et al.(J.Med.Chem.1991,34,725)により記載の手順に従って調製し得、またはSigma-Aldrichなどの市販の業者から取得し得る。
【0098】
実施例1
ラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを用いたジアステレオマー塩スクリーニング
100mg(1.0当量)の標記化合物をイソプロパノールに溶解し、続けて、イソプロパノール(0.5mL)中のキラル酸(0.5当量)の溶液を添加した。スクリーニングの結果を表2にまとめている。
【0099】
実施例2
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを用いた塩スクリーニング
一般的手順:標記化合物(遊離塩基)を35℃でエタノール(100g/L)に溶解し、続けて、同じ温度で酸を添加した。得られた混合物を-20℃/hの冷却速度で10℃に冷却し、沈殿物(存在する場合)を濾別し、エタノールで洗浄して、減圧下、50℃で乾燥した。
塩スクリーニングの結果を表3~5にまとめている。
固体として得られたリン酸塩、酒石酸塩およびフマル酸塩については、表5による固体状態特性評価を実施した。
【0100】
実施例3
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(結晶形I)の調製
ステップ1:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩の調製
10Lの反応器中に、20℃でラセミ5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(328g、=1.0当量)およびエタノール(2.3L)を装填した。混合物を40℃に加熱後、(-)-O,O’-ジベンゾイル-L-酒石酸(276.4g、0.5当量)のエタノール(1L)中溶液を加えた。混合物を40℃で1時間保持後、2時間をかけて20℃に冷却し、この温度で1時間保持した後、0.5時間かけて10℃まで冷却し、最後に10℃で一晩保持した。その後、沈殿物を濾別し、濾過ケーキを低温(0℃)のエタノール(1L)で洗浄し、標記化合物を白色の湿った粉末として得た(485g、=413.7gの乾燥時減量による推定乾燥物、48.4%;ee=87%)。
【0101】
ステップ2:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩の再結晶化
10Lの反応器に、20℃で、ステップ1で得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩(485g、ee=87%、=413.7g推定乾燥物、乾燥減量による、=1.0当量)、エタノール(10L、24V)および水(2.4L、6V)を装填した。得られた混合物を加熱還流し、溶液が形成された。次に、溶液を50℃まで冷却し、この温度で1時間保持した。その後、混合物を2時間かけて10℃に冷却した後、この温度で一晩保持した。沈殿物を濾別し、濾過ケーキを低温(0℃)のエタノール(1.2L)で洗浄した。生成物を減圧下、40℃で乾燥させて、標記化合物を白色粉末として得た(294.8g、71%、単一エナンチオマー)。
鏡像体過剰率:HPLCで測定して、99.9%超。
【0102】
ステップ3:(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(遊離塩基)の調製
2Lの反応器に、ステップ2から得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンジベンゾイル-L-酒石酸塩(177g、単一エナンチオマー)およびジクロロメタン(1.77L、10V)を装填した。その後、Na2CO3(71g、2.2当量)の水(875mL)中溶液を加えた。室温で0.25時間撹拌後、混合物をデカントした。こうして得られた液相は透明であり、水相は8~9のpHであった。有機相を水(2x875mL)で洗浄後、真空下で濃縮した。残留物をエタノールに溶解し、再度、真空下で濃縮して、標記化合物(70g、定量収率)を油として得て、これは、静置時に固化した。
【0103】
ステップ4.(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩
1Lの反応器に、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(94g、1.0当量)およびエタノール(564mL)を加え、混合物を35℃に加熱した。この溶液を濾過し、反応器をエタノール(94mL)で濯いだ。H
3PO
4(97g、H
2O中85重量/重量%)のエタノール(235mL)中溶液を同じ温度で加え、エタノール(47mL)で濯いだ。35℃で1時間撹拌後、混合物を10℃に冷却し(-20℃/時間の速度で)、この温度で10時間保持した。得られた固体を濾別し、濾過ケーキを低温(10℃)のエタノール(3x94mL)で洗浄した。減圧下、50℃で乾燥後、標記化合物を白色結晶質易流動性の粉末(100g、74%)を得た。
XRPD:
図1および表1を参照されたい。
融点:TGA/DSCで測定して、189℃(
図2)。
鏡像体過剰率:99.9%超(
図3)。調製物の鏡像体過剰率の測定のためのキラルHPLCは、R-(+)エナンチオマーに対する14.459分の、およびR-(-)エナンチオマーに対する9.814分の保持時間(tr)を特徴とした。
絶対配置:炭素5上のR-(+)-を単結晶X線で決定。
比旋光度(CH
3CN:H
2O 1:1(体積/体積)):[α]
D
20=+98.1。
吸湿性:DVSで測定して、90%以上の相対湿度(RH)で、1.0%。水吸収は、可逆的で、結晶形はDVS処理で変化しない(
図4~6)。225℃までの加熱時の質量損失は、TGA/DSCで測定して、1.4%(
図2)。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の結晶は、その元素分析によりさらに特徴付けられ、分子式C
14H
16N
3O
4P(分子量:321.27)から計算される値:C52.4%;H5.1%;N13.03%と一致する。
【0104】
実施例4
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩から、遊離塩基を介して、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドの調製
実施例3で調製した(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩(1000mg、3.11mmol)をEt2O(30ml)に懸濁させ、NaHCO3飽和水溶液(30ml)で抽出した。水層をジエチルエーテル(2x20ml)で抽出し、合わせた有機層をブライン(10ml)および蒸留水(10ml)で洗浄して、Na2SO4上で乾燥後、濾過、留去して、遊離塩基(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジンを白色固体としてとして得て、これを、真空中、50℃で一晩乾燥させた(530mg)。
融点:101~102℃;比旋光度(エタノール):[α]D
25=+127.3;
このように得られた(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,5-a]ピリジン(100mg、0.447mmol、1当量)を塩化メチレン(2.2ml)に溶解し、HCl(ジエチルエーテル中の2M、0.34ml、0.76mmol、1.5当量)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した後、留去し、真空下、80℃で乾燥した。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドを結晶質固体として単離した。
【0105】
融点:240~243℃;比旋光度(エタノール):[α]D
20=+104.8;比旋光度(CH3CN:H2O 1:1(体積/体積)):[α]D
20=+124.4。
【0106】
実施例5
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドと比較した、(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の吸湿性
2種の結晶質塩の100mgの試料を開放フラスコに入れて、条件付けされていない周囲空気中、室温下で並べて24時間貯蔵し、時間0および24時間後に重量測定を行った(表6)。(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-イミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、0.57%の重量増加を示し、13.1%の重量増加により明示される、対応する(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジンクロリドと比較して、非吸湿性であると見なされる。
【0107】
実施例6
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の振とうフラスコ溶解度調査
物質の振とうフラスコ溶解度調査を、米国薬局方(USP)の仕様書に従って実施した。一組の異なる官能基を有する薬学的に認められているプロセス溶媒を用いて、振とうフラスコ溶解度を測定した。溶媒を一晩室温下、0~100ミリバールで蒸発させた。その後、全ての固形物をXRPDを用いて分析した。この調査の結果を下表7で見出すことができる。
【0108】
この物質は、水に極めて可溶性で、メタノールおよび酢酸に溶けやすく、エタノールに溶けにくく、その他の試験した溶媒に事実上溶けない。表8には、蒸発後の、スラリーの固形物または溶液の固形物に対し実施した測定のXRPD結果を示す。
酢酸の場合(非晶質)を除いて、溶媒の蒸発後、新規の多形型は得られず、結晶形Iの極めて優れた安定性が確認された。
【0109】
実施例7
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩に対する多形調査
溶媒および共溶媒を異なる比率で加えた。次に、異なる比率を、100%溶媒と0%共溶媒、80%溶媒と20%共溶媒、60%溶媒と40%共溶媒、40%溶媒と60%共溶媒、20%溶媒と80%共溶媒および5%溶媒と95%共溶媒とした。表9は、調査条件の配置およびそれぞれの多形型に関するXRPD結果を示す。
【0110】
Freeslate CM Protege固体ディスペンスシステムを用いて、出発材料を96ウェルプレート(「マスタープレート」)に分注した(30mg)。固体の分注後、ウェルプレートを、液体(溶媒+共溶媒合計=800μL)分注のために、Freeslate Core Module2に移した。マスタープレートを50℃で2時間撹拌した。マスタープレートの試料の一定分量を熱濾過プレートを介して、冷却結晶化プレートに移した。その後、冷却プレート中の試料を、3次冷却速度を用いて5時間かけて、50℃から10℃に冷却した。どのウエルも固体を含んでいなかったので、蒸発結晶化をシミュレートするために、溶媒を室温下、0~100ミリバールで蒸発させた。形成された全ての固体をXRPDで分析した。それぞれのディフラクトグラムを重ね合わせることにより、全てのディフラクトグラムを
図1で概説した基準ディフラクトグラムと比較した(
図6)。この調査では、記載した極めて有益で意外な特性を有する、標記化合物の1つの多形、結晶形Iのみが特定され得た。この知見は、結晶化は塩選択の関数であるのみでなく、本発明の結晶形Iの(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩をもたらす結晶化処理条件の関数でもあることを確証すると思われる(P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor);Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,2nd Revised Edition,March 2011,Wiley-VCH,ISBN:978-3-90639-051-2)。
【0111】
実施例8
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩によるアロマターゼおよびアルドステロンシンターゼ阻害の評価
アルドステロンシンターゼ(CYP11B2)およびアロマターゼ(CYP19)活性のためのヒトNCI-H295R細胞アッセイ
侵襲的原発性副腎皮質癌由来の連続継代性細胞株であるNCI-H295R細胞を、CLS細胞株サービスGmbH(カタログ番号300483)から得た。NCI-H295R細胞は、アルドステロンおよびエストラジオールの両方を産生するので、この細胞は、アルドステロンシンターゼ活性およびアロマターゼ活性を同じ条件下で測定することを可能とする。アッセイで使用する前に、細胞を15mMのヘペスおよび1.2gのNaHCO3を含み、5%ステロイド不含血清置換物、Panexin BMM(PAN Biotech,Aldenbach,Germany;カタログ番号PO4-9515A2)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1.25%のL-グルタミン、および6.25μg/mlのインスリン、6.25ng/mlのセレン、5.35μg/mlのリノール酸ならびに1.25mg/mlのウシ血清アルブミンを補充したDMEM/ハム培地中で維持した。細胞を95%空気/5%CO2の雰囲気下、37℃で維持した。アッセイのために、細胞を、24ウェルプレート中で5x105細胞/ウエルの密度で継代培養し、50~60%集密度まで(48時間)増殖させた。その後、増殖培地を、アッセイの最終濃度が0.5%のエタノールからなるように、エタノール/水1:1(体積/体積)に溶解した試験化合物を含む500μl無血清DMEM:ハムF12で置換した。6種の濃度を評価し、化合物不含の対照試料を0.5%のエタノールで補充した。化合物を含む細胞を95%空気/5%CO2下、37℃で6時間インキュベートした。その後、上清を取り出し、-20℃で分析まで貯蔵した。上清を取り出した後、細胞を位相差顕微鏡で形態学的変化を、検査を利用して光学的評価により、およびレサズリンの蛍光を発する最終生成物レゾルフィンへの変換を測定するレサズリン法により評価して、生存率を保障した。生育不能な細胞は、変換を行う代謝能力に欠けている。Wallac 1420 Multiple Counter Victor Fluorometer/Luminator(Perkin Elmer,Wlatham,MA)を用いて、それぞれ、544nm/590nm(消光/発光)での蛍光を測定することにより変換を定量した。
【0112】
アルドステロンシンターゼ活性の尺度としての、アルドステロン濃度の定量は、LC-MSにより以下のように実施した。分析の前に、アセトニトリルを用いて試料タンパク質を沈殿させ、遠心分離後に粒子不含上清をLC-MSに供した。HPLCシステムは、Accela U-HPLCポンプおよびAccela Openオートサンプラー(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)から構成した。質量分析は、標準的Xcaliburソフトウェア2.2(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を実行しているPCに接続された熱エレクトロスプレー(H-ESI)インターフェースを備えたQ-Exactive MS(Orbitrap)を用いて実施した。LCは、0.1%ギ酸含有アセトニトリル(溶媒A)および水性の0.1%ギ酸溶媒Bを用いて、勾配方式で実施した。ポンプ流量を600μl/分に設定し、C6-Phenyl、4x2.0mmIDの定量用のプレカラムを備えたKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm、50x2.1mm分析カラム(Phenomenex,Germany)で分離を実施した。MSチューニングファイルとして、汎用チューニングファイルを用い、内部較正用のロックマスとして、溶媒系に存在するフタル酸ジイソオクチル(m/z 391.28492)の[M+H]
+イオンを用いた。全MS-SIM分析(m/z:250~400)を適用し、Orbitrap(商標)の質量分解能を35,000に設定した。全ての試料で、試料注入体積は20μlであった。結果をng/mlとして表示し、アルドステロン産生の阻害を未処理対照に対する、すなわち、どの阻害剤も存在しない場合に対するパーセント阻害として表した(表10)。IC
50値は、試験化合物の濃度と、以下に示すように50%の直上および直下の対応するパーセンテージ阻害を使って、線形補間を用いて計算した。
IC
50=(50%-低
inh%)/(高
inh%-低
inh%)x(高
conc-低
conc)+低
conc
式中、「inh」は阻害、「conc」は濃度である。
a高
conc=少なくとも50%を阻害する供試品の最低濃度(10nM)
b低
conc=50%未満を阻害する供試品の最高濃度(1nM)
c高
inh=高
concの供試品で達成されたパーセント阻害(60.8%)
d低
inh=低
concの供試品で達成されたパーセント阻害(8.7%)
IC
50=(50%-8.7%)/(60.8%-8.7%)x(10nM-1nM)+1nM=8.1nM
IC
50=アルドステロン産生(アルドステロンシンターゼ活性)の阻害に対し、8.1nM
【0113】
以降で示すように遙かに高い濃度の阻害剤を用いてIC
50を得たことを除いて、アルドステロンシンターゼ活性の測定について前述したのと同様にして、NCI-H295R細胞のインキュベーション由来の上清中のエストラジオール濃度の定量化によりアロマターゼ活性を測定した。エストラジオール濃度の定量化は、IBL-Hamburg(Hamburg,Germany)の17-ベータエストラジオールELISAキットを用いて、製造業者説明書に従って行った。対応するログ記録した濃度(x軸)に対して、それぞれの参照基準(y軸)の吸光度をプロットすることにより、検量線を生成した。それぞれの試料の吸光度を用いて、GraphPad Prism5.04(GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)を使って、検量線からの補間により対応する値を決定した。表11に開示のアルドステロンシンターゼデータに対して前述の式を用いて、IC
50を計算した。
a高
conc=少なくとも50%を阻害する供試品の最低濃度(10μM)
b低
conc=50%未満を阻害する供試品の最高濃度(1μM)
c高
inh=高
concの供試品で達成されたパーセント阻害(68.6%)
d低
inh=低
concの供試品で達成されたパーセント阻害(29.1%)
IC
50=(50%-29.1%)/(68.6%-29.1%)x(10μM-1μM)+1μM=5.76μMまたは5760nM
IC
50=エストラジオール産生(アロマターゼ活性)の阻害に対し、5760nM
【0114】
無細胞ヒト組換えアロマターゼアッセイ
アロマターゼ(CYP19)活性を、製造業者の説明書に従って、ヒトCYP19アッセイキット(Corning(登録商標)、Corning,NY;製品#456260)を用いて測定した。アッセイシステムは、組換えヒト酵素、蛍光定量的基質MFC(7-メチル-4-トリフルオロ-メチル-クマリン)、ならびにグルコース-6-ホスフェート脱水素酵素、NADP
+およびグルコース-6-ホスフェートから構成されるNADPHリジェネレーションシステムを利用した。酵素活性を50%阻害(IC
50)した試験化合物の濃度の測定のために、8種の試験濃度を試験した。アッセイにおける最終エタノール濃度が1%になるように、試験化合物をエタノール/水1:1(体積/体積)に溶解した。NADPHリジェネレーションシステムと共に、種々の濃度の試験化合物を96ウェルプレートに加えた。10分のプレインキュベーション後、あらかじめ温めた酵素基質混合物の添加により反応を開始し、37℃でさらに30分間継続させた。次に、80%のアセトニトリルおよび20%、0.5Mのトリス塩基の溶液(停止液)の添加により反応を停止させた。バックグラウンド蛍光を制御するために、ブランクウエル(試験試料不含)を同様にアッセイしたが、これらのウエルは、酵素基質混合物の添加の前に、停止液を添加した。蛍光生成物が形成され、Wallac 1420 Multiple Counter Victor Fluorometer/Luminator(Perkin Elmer,Wlatham,MA)を用いて、7-ヒドロキシ-4-トリフルオロ-メチル-クマリン(HFC)を検出した。励起および発光用の波長は、それぞれ、405および535nmであった。標準的ソフトウェアWallac 1420 Manager3.0を用いて、データを集計した。上記で示したようなブランクウエル試料の減算に加えて、それぞれの試験物質を、自己蛍光に関して予備テストした。このために、NADPHジェネレーションシステム(補助因子混合物)および酵素/基質混合物を、対照タンパク質、アッセイバッファー、および試験化合物溶媒の比較混合物により置換した。その後、これらの対照試料をプレインキュベートし、上述のようにアッセイした。IC
50の3回の独立した測定を、%阻害の阻害剤濃度に対する最良当てはめプロット直線から行った(表12)。
【0115】
実施例9
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩の安定性データの評価
法的考察のために該当する重要な長期安定性データを測定した。これに関して、下表13~15に示す種々の試験を、25℃および60%RH(表13)、30℃および65%RH(表14)、および40℃および75%RH(表15)で、また、それぞれの試験を種々の時点で(初期、1、3および6ヶ月後、またはさらに長期に)行った。
【0116】
(R)-(+)-5-(p-シアノフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾリウム[1,5-a]ピリジン二水素リン酸塩は、長期間にわたり極めて安定であり、評価した安定性条件および期間で、特に、純度、含水量に関して、従って、吸湿性ならびにキラル純度に関して、長期安定性が示されたことが明らかになった。さらに、および重要なのは、評価した条件および期間のいずれにおいても、多形性の変化が観察されなかったことである。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の一発明。
【外国語明細書】