(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177003
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】磁気軸受電動機圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/058 20060101AFI20221122BHJP
H02K 7/09 20060101ALI20221122BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
F04D29/058
H02K7/09
H02K7/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022133761
(22)【出願日】2022-08-25
(62)【分割の表示】P 2019551577の分割
【原出願日】2018-03-23
(31)【優先権主張番号】62/476,343
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/612,065
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518010511
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】スネル、 ポール ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】カスパー、 イアン
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー、 ジェブ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ビルマニス、 ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ケイン、 アジット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】誘導電動機技術及び簡素化された可変速駆動装置(VSD)の組み合わせにより、永久磁石電動機と同様の性能を低コストで提供する。
【解決手段】チラーアセンブリのための密閉型誘導電動機は、固定子と、回転子と、第1の端部及び第2の端部を有するシャフトとを含む。回転子及びシャフトは、固定子に対して回転するように構成される。誘導電動機は、シャフトの第1の端部に近接して配置された第1の磁気軸受アセンブリと、シャフトの第2の端部に近接して配置された第2の磁気軸受アセンブリとをさらに含む。第1及び第2の磁気軸受アセンブリは、シャフトを支持するように構成される。シャフトは、直接駆動接続部を使用して遠心圧縮機に結合される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラーアセンブリのための密閉型誘導電動機であって、
固定子と、
回転子と、
第1の端部及び第2の端部を含むシャフトであって、前記回転子及び前記シャフトは、
前記固定子に対して回転するように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記第1の端部に近接して配置された第1の磁気軸受アセンブリと、
前記シャフトの前記第2の端部に近接して配置された第2の磁気軸受アセンブリと
を含み、前記第1の磁気軸受アセンブリ及び前記第2の磁気軸受アセンブリは、前記シャ
フトを支持するように構成され、前記シャフトは、直接駆動接続部を使用して遠心圧縮機
に結合される、密閉型誘導電動機。
【請求項2】
前記遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を利用する、請求項
1に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項3】
前記低圧冷媒は、R1233zdである、請求項2に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項4】
前記第1の磁気軸受アセンブリ及び前記第2の磁気軸受アセンブリは、前記シャフトを
ラジアル方向に支持するように構成されたラジアル磁気軸受アセンブリを含む、請求項1
に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項5】
第3の磁気軸受アセンブリをさらに含む、請求項4に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項6】
前記第3の磁気軸受アセンブリは、前記シャフトをアキシアル方向に支持するように構
成されたスラスト磁気軸受アセンブリを含む、請求項5に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項7】
前記第1、第2及び第3の磁気軸受アセンブリは、アクティブ磁気軸受アセンブリを含
む、請求項6に記載の密閉型誘導電動機。
【請求項8】
閉冷媒ループで接続されている、密閉型誘導電動機によって直接駆動される遠心圧縮機
と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器とを含む蒸気圧縮システムであって、前記密閉型誘導
電動機は、
固定子と、
回転子と、
第1の端部及び第2の端部を含むシャフトであって、前記回転子及び前記シャフトは、
前記固定子に対して回転するように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記第1の端部に近接して配置された第1のラジアル磁気軸受アセンブ
リ及び前記シャフトの前記第2の端部に近接して配置された第2のラジアル磁気軸受アセ
ンブリであって、前記シャフトをラジアル方向に支持するように構成される第1のラジア
ル磁気軸受アセンブリ及び第2のラジアル磁気軸受アセンブリと、
前記シャフトをアキシアル方向に支持するように構成されたスラスト磁気軸受アセンブ
リと
を含む、蒸気圧縮システム。
【請求項9】
前記遠心圧縮機は、吸込口と、羽根車と、ディフューザと、スクロールアセンブリとを
含む単段型圧縮機である、請求項8に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項10】
前記遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を利用する、請求項
8に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項11】
前記低圧冷媒は、R1233zdである、請求項10に記載の蒸気圧縮システム。
【請求項12】
前記スラスト磁気軸受アセンブリは、前記第1のラジアル磁気軸受アセンブリと前記第
2のラジアル磁気軸受アセンブリとの間に配置される、請求項8に記載の蒸気圧縮システ
ム。
【請求項13】
チラーアセンブリのための誘導電動機であって、
円筒形状を有する固定子と、
シャフトに結合された回転子であって、前記回転子及び前記シャフトは、前記固定子に
対して回転するように構成される、回転子と、
前記回転子を支持するように構成された第1の磁気軸受アセンブリと、
前記固定子、前記回転子、前記シャフト及び前記第1の磁気軸受アセンブリを少なくと
も部分的に封入するように構成されたハウジングと
を含み、前記固定子は、隙間嵌めを使用して前記ハウジングに結合され、前記隙間嵌めは
、前記管状形状の歪みを防ぐように構成される、誘導電動機。
【請求項14】
前記シャフトは、遠心圧縮機に結合され、前記遠心圧縮機は、吸込口と、羽根車と、デ
ィフューザと、スクロールアセンブリとを含む、請求項13に記載の誘導電動機。
【請求項15】
前記シャフトは、直接駆動接続部を介して前記羽根車を駆動するように構成される、請
求項14に記載の誘導電動機。
【請求項16】
前記遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を利用する、請求項
14に記載の誘導電動機。
【請求項17】
前記低圧冷媒は、R1233zdである、請求項16に記載の誘導電動機。
【請求項18】
前記第1の磁気軸受アセンブリは、ラジアル磁気軸受アセンブリ及びスラスト磁気軸受
アセンブリの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の誘導電動機。
【請求項19】
第2の磁気軸受アセンブリ及び第3の磁気軸受アセンブリをさらに含む、請求項13に
記載の誘導電動機。
【請求項20】
前記ハウジングと、前記固定子に結合された電動機ジャケットとの間の第1の隙間は、
前記固定子と前記回転子との間の第2の隙間の偏差が隙間の呼び値の10パーセントを超
えないように制御される、請求項13に記載の誘導電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、チラーアセンブリの遠心圧縮機を直接駆動する高速半密閉型誘導電
動機に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月24日に出願された米国仮特許出願第62/476,343
号明細書及び2017年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/612,06
5号明細書の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願の両方は、参照によりその
全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一部の遠心圧縮機は、中圧(MP)冷媒、磁気軸受及び高速永久磁石電動機を利用する
。しかしながら、高速永久磁石電動機は、高価な希土類材料及び特殊な可変速駆動装置(
VSD)を使用する必要があることが多い。中圧冷媒で使用される羽根車は、必要な圧力
上昇を実現するために高速で動作する傾向がある。低圧(LP)冷媒を利用することによ
り、より大きい直径の羽根車を使用でき、それにより動作速度を遅くできる。LP遠心圧
縮機の動作速度が遅ければ、高速直接駆動誘導電動機及び簡素化されたVSDを使用でき
る。誘導電動機技術及び簡素化されたVSDの組み合わせにより、永久磁石電動機と同様
の性能を低コストで提供できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの実装形態は、チラーアセンブリのための密閉型誘導電動機である。誘導
電動機は、固定子と、回転子と、第1の端部及び第2の端部を有するシャフトとを含む。
回転子及びシャフトは、固定子に対して回転するように構成される。誘導電動機は、シャ
フトの第1の端部に近接して配置された第1の磁気軸受アセンブリ及びシャフトの第2の
端部に近接して配置された第2の磁気軸受アセンブリをさらに含む。第1及び第2の磁気
軸受アセンブリは、シャフト及び関連する負荷を支持するように構成される。シャフトは
、直接駆動接続部を使用して遠心圧縮機に結合される。
【0004】
一部の実施形態では、遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を
利用する。他の実施形態では、低圧冷媒は、R1233zdである。
【0005】
一部の実施形態では、第1の磁気軸受アセンブリ及び第2の磁気軸受アセンブリは、シ
ャフトをラジアル方向に支持するように構成されたラジアル磁気軸受アセンブリを含む。
誘導電動機は、シャフトをアキシアル方向に支持するように構成された第3の磁気軸受ア
センブリを含む。他の実施形態では、第1、第2及び第3の磁気軸受アセンブリは、アク
ティブ磁気軸受アセンブリである。
【0006】
本開示の別の実装形態は、蒸気圧縮システムである。蒸気圧縮システムは、閉冷媒ルー
プで接続されている、密閉型誘導電動機によって直接駆動される遠心圧縮機と、凝縮器と
、膨張装置と、蒸発器とを含む。密閉型誘導電動機は、固定子と、回転子と、第1の端部
及び第2の端部を有するシャフトとを含む。回転子及びシャフトは、固定子に対して回転
するように構成される。密閉型誘導電動機は、シャフトの第1の端部に近接して配置され
た第1のラジアル磁気軸受アセンブリと、シャフトの第2の端部に近接して配置された第
2のラジアル磁気軸受アセンブリと、スラスト磁気軸受アセンブリとをさらに含む。第1
及び第2のラジアル磁気軸受アセンブリは、シャフトをラジアル方向に支持するように構
成される一方、スラスト磁気軸受アセンブリは、シャフトをアキシアル方向に支持するよ
うに構成される。
【0007】
一部の実施形態では、遠心圧縮機は、吸込口と、羽根車と、ディフューザと、コレクタ
又はスクロールアセンブリとを有する単段型圧縮機である。
【0008】
一部の実施形態では、遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を
利用する。他の実施形態では、低圧冷媒は、R1233zdである。
【0009】
一部の実施形態では、スラスト磁気軸受アセンブリは、第1のラジアル磁気軸受アセン
ブリと第2のラジアル磁気軸受アセンブリとの間に配置される。
【0010】
本開示のさらに別の実装形態は、チラーアセンブリのための誘導電動機である。誘導電
動機は、円筒形状を有する固定子と、シャフトに結合された回転子とを含む。回転子及び
シャフトは、固定子に対して回転するように構成される。誘導電動機は、回転子を支持す
るように構成された磁気軸受アセンブリと、固定子、回転子、シャフト及び磁気軸受アセ
ンブリを少なくとも部分的に封入するように構成されたハウジングとをさらに含む。固定
子は、隙間嵌めを使用して電動機ハウジングに結合される。隙間嵌めは、円筒形状の歪み
を防ぐように構成される。
【0011】
一部の実施形態では、シャフトは、遠心圧縮機に結合される。遠心圧縮機は、吸込口と
、羽根車と、ディフューザと、スクロールアセンブリとを含む。他の実施形態では、シャ
フトは、直接駆動接続部を介して羽根車を駆動するように構成される。さらなる実施形態
では、遠心圧縮機は、400kPa未満の作動圧力を有する低圧冷媒を利用する。またさ
らなる実施形態では、低圧冷媒は、R1233zdである。
【0012】
一部の実施形態では、第1の磁気軸受アセンブリは、ラジアル磁気軸受アセンブリ又は
スラスト磁気軸受アセンブリを含む。一部の実施形態では、誘導電動機は、第2の磁気軸
受アセンブリ及び第3の磁気軸受アセンブリを含む。他の実施形態では、第1、第2及び
第3の磁気軸受アセンブリは、アクティブ磁気軸受アセンブリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一部の実施形態によるチラーアセンブリの斜視図である。
【0014】
【
図2】一部の実施形態による
図1のチラーアセンブリの正面立面図である。
【0015】
【
図3】一部の実施形態による
図1のチラーアセンブリの高速誘導電動機及び遠心圧縮機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概して図を参照すると、磁気軸受電動機圧縮機を備えた遠心圧縮機を有するチラーアセ
ンブリが示されている。
図1及び
図2を参照すると、チラーアセンブリ100の例示的な
実装形態が示されている。チラーアセンブリ100は、電動機104によって駆動される
圧縮機102と、凝縮器106と、蒸発器108とを含むことが示されている。冷媒は、
蒸気圧縮サイクルでチラーアセンブリ100を通して循環される。チラーアセンブリ10
0は、チラーアセンブリ100内の蒸気圧縮サイクルの動作を制御するための制御パネル
114も含み得る。
【0017】
電動機104は、可変速駆動装置(VSD)110によって動力を供給され得る。VS
D 110は、AC電源(図示せず)から特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を
有する交流(AC)電力を受け取り、可変電圧及び周波数を有する電力を電動機104に
供給する。電動機104は、VSD 110によって動力の供給を受けることが可能な任
意のタイプの電動機であり得る。例えば、電動機104は、高速誘導電動機であり得る。
圧縮機102は、電動機104によって駆動されて、蒸発器108から吸引ライン112
を介して受けた冷媒蒸気を圧縮し、放出ライン124を介して冷媒蒸気を凝縮器106に
送る。圧縮機102は、遠心圧縮機、スクリュー式圧縮機、スクロール式圧縮機又は任意
の他のタイプの適切な圧縮機であり得る。
図2で説明されている例では、圧縮機102は
、遠心圧縮機である。
【0018】
蒸発器108は、内部チューブバンドル(図示せず)と、内部チューブバンドルにプロ
セス流体を供給するための供給ライン120と、内部チューブバンドルからプロセス流体
を排出するための戻りライン122とを含む。供給ライン120及び戻りライン122は
、プロセス流体を循環させる導管を介してHVACシステム内の構成要素(例えば、エア
ハンドラ)と流体連通し得る。プロセス流体は、建物を冷却するための冷却液であり、水
、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン又は任意の他
の適切な液体であり得るが、これらに限定されない。蒸発器108は、プロセス流体が蒸
発器108のチューブバンドルを通過し、冷媒と熱を交換するときにプロセス流体の温度
を下げるように構成される。冷媒液が蒸発器108に送られて、プロセス流体と熱を交換
し、冷媒蒸気への相変化を経ることにより、蒸発器108内で冷媒蒸気が形成される。
【0019】
蒸発器108から圧縮機102によって凝縮器106に送られた冷媒蒸気は、熱を流体
に伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果、凝縮器106で凝縮して冷媒液になる
。凝縮器106からの冷媒液は、膨張装置を通って流れ、蒸発器108に戻されて、チラ
ーアセンブリ100の冷媒のサイクルが完了する。凝縮器106は、凝縮器106と、H
VACシステムの外部の構成要素(例えば、冷却塔)との間で流体を循環させるための供
給ライン116及び戻りライン118を含む。戻りライン118を介して凝縮器106に
供給される流体は、凝縮器106内の冷媒と熱を交換し、供給ライン116を介して凝縮
器106から排出されて、サイクルを完了する。凝縮器106を循環する流体は、水又は
任意の他の適切な液体であり得る。
【0020】
ここで、
図3を参照すると、遠心圧縮機の駆動に使用される高速誘導電動機の断面図が
示されている。一部の実施形態では、高速誘導電動機は、電動機104と実質的に同様で
あり、遠心圧縮機は、圧縮機102と実質的に同様であり、いずれも
図1に関連して既に
説明されている。電動機104は、他の構成要素の中でも、筐体又はハウジング202と
、固定子204と、回転子206とを含むことが示されている。固定子204は、電動機
の電磁回路の静止部分であり、回転子206にラジアル方向及びアキシアル方向の磁力を
与える。適切に調整されたシステムでは、これらの力の合計は、ゼロ又は略ゼロである。
一部の実施形態では、固定子204は、電動機ジャケット210によって部分的に封入さ
れており、固定子204と電動機ジャケット210との両方が実質的に円筒形状を有し得
る。電動機ジャケット210は、アルミニウムから構築され得、電動機104の過熱を防
ぐために固定子204からの熱伝達を最適化するように構成され得る。
【0021】
回転子206は、電動機の電磁回路の回転部分である。様々な実施形態において、回転
子206は、かご形回転子、巻線形回転子、突極形回転子又は円筒形回転子であり得る。
回転子206は、シャフト208に結合される。シャフト208は、第1の端部238及
び第2の端部240を含むことが示されている。回転子206及びシャフト208は、電
動機104に結合された他の構成要素及び/又はアセンブリにトルク及び回転を伝達する
ために、中心軸226を中心として一緒に回転する。
【0022】
図3に示すように、シャフト208の第2の端部240は、直接駆動接続部228を使
用して遠心圧縮機102の羽根車230に結合される。一部の実施形態では、直接駆動接
続部228は、シャフト208を羽根車230に結合するために使用される機械的締結具
(例えば、ボルト、ピン)を含み得る。直接駆動システムは、摩擦損失を減らし、必要な
構成要素を少なくして簡素に済ませることができるため、ギヤ駆動システムを上回る利点
を提供する。羽根車230に加えて、遠心圧縮機102は、他の構成要素の中でも、吸込
口242と、可変形状ディフューザ(VGD)232及びディフューザプレート236か
ら構成されるディフューザアセンブリと、コレクタ又はスクロールアセンブリ234とを
含むことができる。吸込口242は、流体(例えば、LP冷媒)を羽根車230に引き込
むパイプを含むことができ、羽根車230は、蒸気に運動エネルギーを徐々に与える、回
転する一式の羽根である。羽根車230の下流には、VGD 232及びディフューザプ
レート236によって形成されたディフューザ間隙がある。蒸気の運動エネルギーは、デ
ィフューザ間隙を流れて膨張するとき、且つコレクタ又はスクロールアセンブリ234を
介して遠心圧縮機を出る前に圧力エネルギーに変換される。
【0023】
一部の実施形態では、LP冷媒の作動圧力は、400kPa未満又は約58psiであ
る。さらなる実施形態では、LP冷媒は、R1233zdである。R1233zdは、市
販のチラーアセンブリで使用されている他の冷媒に比べて地球温暖化係数(GWP)が低
い不燃性のフッ素化ガスである。GWPは、1トンの二酸化炭素の排出量に対して、1ト
ンのガスの排出量が一定期間に吸収するエネルギー量を定量化することにより、異なるガ
スの地球温暖化の影響を比較できるように開発された尺度である。
【0024】
一部の誘導電動機は、ハウジング内に固定子を保持するために締まり嵌めを利用する。
締まり嵌めでは、熱膨張により電動機ハウジングの内径と固定子の外径との間に隙間がで
きるまで固定子を加熱できる。他の実施形態では、固定子が収縮し、電動機ハウジングと
固定子との間に隙間ができるまで固定子が冷却される。固定子がハウジングに挿入され、
ハウジングと固定子との両方が平衡温度に達すると、ハウジングと固定子との間の隙間は
、ゼロに減少する。しかしながら、ハウジングと固定子との熱膨張率は、同一ではない場
合があるため、このように平衡温度に戻ることにより、固定子の形状(例えば、円形度)
に歪みが生じ得る。締まり嵌めによって固定子が歪むと、回転子に不均衡な磁力が生じ得
る。固定子により回転子に作用される力の合計が非ゼロになるようにシステムが不適切に
調整されている場合、設計者は、磁気軸受アセンブリの回転子位置決め能力を超えないよ
うに、軸受アセンブリを過剰に条件付けする必要がある(すなわち、設計者は、大きい構
成要素を有する磁気軸受を選択する必要がある)。
【0025】
従って、
図3に示すように、固定子204の電動機ジャケット210と電動機ハウジン
グ202との間に隙間領域222を維持して、ハウジング202の不完全な円形度によっ
て固定子の円形度が歪むことのないようにする。電動機ハウジング202に対する電動機
ジャケット210及び固定子204の変位及び/又は回転を防止するために、位置決めピ
ン212又はキーがハウジング202及び電動機ジャケット210を通して挿入され、固
定子204内に保持され得る。不均衡な磁力を最小化するために、固定子204と回転子
206とが同心であり、
図3に示す固定子と回転子との間の空隙224が真の円筒形の形
体として維持されることが重要である。電動機ジャケット210と電動機ハウジング20
2との間の隙間領域222は、空隙224の偏差が呼び隙間の10%を決して超えないよ
うに制御され得る。呼び隙間は、中心軸226に沿った固定子204と回転子206との
間の完全に同心の整列として定義され得る。
【0026】
電動機104は、回転子206及びシャフト208を支持し、固定子204に対する回
転子206及びシャフト208の回転を可能にする磁気軸受アセンブリ214、216及
び218も含むことが示されている。磁気軸受アセンブリは、磁気浮上を使用して負荷を
支持するため、摩擦が非常に小さく、機械的摩耗がほとんど又はまったくない相対運動が
可能である。一部の実施形態では、磁気軸受アセンブリ214、216及び218は、ア
クティブ磁気軸受(AMB)アセンブリである。AMBアセンブリは、連続的に調整され
た電流値を持つ電磁アクチュエータを使用して、回転子206及びシャフト208を所望
の位置に保ち、安定した浮上を実現する。
【0027】
磁気軸受アセンブリ214及び218は、ラジアル方向(すなわち中心軸226に垂直
な方向)でシャフト208の位置を制御するように構成されたラジアル軸受アセンブリで
あり得、磁気軸受アセンブリ216は、アキシアル方向(すなわち中心軸226に平行な
方向)でシャフト208の位置を制御するように構成されたスラスト軸受アセンブリであ
り得る。一部の実施形態では、ラジアル磁気軸受アセンブリ214は、シャフト208の
第1の端部238に近接して配置され得る一方、ラジアル磁気軸受アセンブリ218は、
シャフト208の第2の端部240に近接して配置され得る。スラスト磁気軸受アセンブ
リ216は、ラジアル軸受アセンブリ214及び218間且つシャフト208の第2の端
部240及び羽根車230の近くに配置され得る。スラスト磁気軸受アセンブリ216を
羽根車230の近くに配置することにより、電動機104の動作により生じる熱によって
シャフト208が膨張するとき、スラスト磁気軸受アセンブリ216が近いことにより、
羽根車230を圧縮機ディフューザ内で正確に位置合わせすることが可能になり、最適化
された空力性能を実現することができる。
【0028】
上記のように、電動機104は、半密閉型であり得る。密閉型又は半密閉型電動機10
4は、圧縮機アセンブリ102内部の環境に曝されている(すなわちチラーアセンブリを
循環する冷媒によって電動機が冷却され得るような)電動機を指し得る。対照的に、密閉
型又は半密閉型として設計されていない電動機は、別個のハウジングに入れられ、シャフ
ト結合部及びシャフト密閉部を介して圧縮機に接続され得る。電動機104は、機械的締
結具及びシール(例えば、ボルト、Oリング)を使用することにより、エンドプレート2
20がハウジング202に着脱可能に固定され得るため、半密閉型と見なされ得る。それ
に比べて、完全密閉型圧縮機は、電動機を封入した圧縮機であり、溶接された筐体を含み
得る。
【0029】
様々な例示的な実施形態に示されているシステム及び方法の構築及び構成は、例示的な
ものにすぎない。本開示では、例示的な実施形態のみを詳細に説明したが、多くの修正形
態が可能である(例えば、サイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び割合、パラメータ
の値、取り付け構成、材料の使用、色、向きなどの変更)。例えば、要素の位置を逆にし
たり、他の方法で変えたりすることができ、個別の要素又は位置の性質又は数を変更する
か又は変化させることができる。従って、このような修正形態は、本開示の範囲内に含ま
れることが意図されている。任意のプロセス又は方法ステップの順番又は順序は、代替的
な実施形態に従って変更又は再順序付けされ得る。本開示の範囲から逸脱することなく、
例示的な実施形態の設計、動作条件及び構成における他の置換形態、修正形態、変更形態
及び省略形態がなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラーアセンブリのための密閉型誘導電動機であって、
固定子と、
回転子と、
第1の端部及び第2の端部を含むシャフトであって、前記回転子及び前記シャフトは、
前記固定子に対して回転するように構成される、シャフトと、
前記シャフトの前記第1の端部に近接して配置された第1の磁気軸受アセンブリと、
前記シャフトの前記第2の端部に近接して配置された第2の磁気軸受アセンブリと
を含み、前記第1の磁気軸受アセンブリ及び前記第2の磁気軸受アセンブリは、前記シャ
フトを支持するように構成され、前記シャフトは、直接駆動接続部を使用して遠心圧縮機
に結合される、密閉型誘導電動機。
【外国語明細書】