(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177028
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A43D 1/02 20060101AFI20221122BHJP
A43D 999/00 20060101ALI20221122BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221122BHJP
【FI】
A43D1/02
A43D999/00
G06Q30/06 320
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136173
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2017255031の分割
【原出願日】2017-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2016257434
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017080649
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516206761
【氏名又は名称】株式会社ELEMENTS
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】久田 康弘
(57)【要約】
【課題】形状が規格化されていないアイテムであっても平等かつ容易にマッチングを行うことができる。
【解決手段】アイテムの測定データに基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データとして生成する計測手段を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムの測定データに基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データとして生成する計測手段
を備える情報処理装置。
【請求項2】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
アイテムの測定データに基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データとして生成する計測ステップ
を含む情報処理方法。
【請求項3】
情報処理装置を制御するコンピュータに、
アイテムの測定データに基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データとして生成する計測ステップ
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、靴は、職人によって手作りされた木型に合わせて制作が行われる等の手法がとられているため規格化が遅れている。最適なマッチングを行うためには、靴の伸びや変形を考慮した靴の内寸を知る必要があるが、従来のやり方では、靴の伸びや変形の度合いを定量的に決めることができない。また、誤差が大きいため、破壊的な方法を用いる必要があり、コストがかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、形状が規格化されていない靴等のアイテムについて、平等かつ容易に採寸することができる新たな手法が求められている状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、形状が規格化されていないアイテムであっても平等かつ容易にマッチングを行うことができる新たな手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
アイテムの測定データに基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データとして生成する計測手段
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、形状が規格化されていないアイテムであっても平等かつ容易にマッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明が適用される情報処理装置を含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す情報処理システムが適用される本サービスにおけるマッチングの前提となる、機械学習等の処理について模式的に示した概念図である。 本発明の情報処理装置の一実施形態であるマッチング装置を含む、情報処理システムの構成図である。
【
図3】
図1に示す情報処理システムが適用される本サービスにおけるマッチング等の処理について模式的に示した概念図である。
【
図4】本サービス(マッチング)を実現可能な
図1の情報処理システムのうち、マッチング装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】のようなハードウェア構成のマッチング装置5等を含む
図1の情報処理システム1が実行する処理のうち、
図2に示す機械学習等の処理を実現可能な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】標準化足計測手法を説明するための足の外観構成の概略を示す図である。
【
図7】標準化靴計測手法を説明するための靴及びシューアンカーの外観構成の概略を示す図である。
【
図8】
図1の情報処理システム1が実行する処理のうち、
図3に示すマッチング等の処理を実現可能な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】機械学習の結果に基づいて決定されるマッチング手法の一例を説明する図である。
【
図10】
図1の情報処理システムが実施可能な処理であって、
図3の例とは異なる処理の概要を示す図である。
【
図11】
図1の情報処理システムが実施可能な処理であって、
図2の例とは異なる機械学習を行う処理の概要を示す図である。
【
図12】アイテムを衣服とした場合における、標準化計測がなされる場合のユーザU(テスターT含む)の計測データの一例を示している。
【
図13】アイテムを衣服(ジャケット)とした場合における、標準化計測がなされる場合のアイテムの計測データの一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用される情報処理装置を含む情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示す情報処理システムは、靴計測装置1と、テスター足計測装置2と、学習装置3と、ユーザ足計測装置4と、マッチング装置5と、ユーザ端末6と、靴計測DB11と、足計測DB12と、評価DB13とを含むように構成される。
靴計測装置1乃至ユーザ端末6及び靴計測DB11乃至評価DB13の夫々は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0011】
以下、このような
図1の情報処理システムを用いて実現されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
本サービスは、形状が規格化されていないアイテム(例えば靴)であっても、平等かつ容易に採寸して、購入等を希望するユーザとのマッチング(お奨めの靴の推薦等)を行うことができるサービスである。本サービスによれば、後述するように、ユーザの身体の形状と、アイテムの形状との夫々に見られる傾向を抽象的に捉えるので、必ずしも同じ位置の比較を行うことなく、平等かつ容易にマッチングを行うことができる。さらに、計測時の誤差を統計的に捉えるので、誤差が生じやすい安価なセンサによる計測値であっても実用的なマッチングを行うことができる。
なお、本サービスが適用されるアイテムは、ユーザの体の少なくとも一部に装着されるものであれば特に限定されないが、以下の例では靴であるものとする。
【0012】
図2は、
図1に示す情報処理システムが適用される本サービスにおけるマッチングの前提となる、機械学習等の処理について模式的に示した概念図である。
【0013】
ここで、マッチング対象のモデル化にあたり、実際の靴を用いて計測してもよいが、本実施形態ではm個(mは1以上の整数値)のシューアンカーSh1乃至Shmが用いられる。シューアンカーSh1乃至Shmの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて以下、「シューアンカーSh」と呼ぶ。
ステップSaにおいて、靴計測装置1は、シューアンカーSh1乃至Shmの夫々をスキャンすることで、3DスキャンデータDs1乃至Dsmの夫々を生成する。
ステップSbにおいて、靴計測装置1は、3DスキャンデータDs1乃至Dsmの夫々に対して、本発明者等により考案されて本実施形態で標準のものとして採用する靴についての計測手法(詳細については後述するが、以下、「標準化靴計測手法」と呼ぶ)に従った計測を行い、その計測の結果得られるデータ(以下、「靴計測データ」と呼ぶ)Ks1乃至Ksmの夫々を靴計測DB11に記憶させる。
なお以下、靴計測データKs1乃至ksmの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて以下、「靴計測データKs」と呼ぶ。
【0014】
一方、n人(nは1以上の整数値)の自然人T1乃至Tnの夫々に、m個の靴を実際に履いてもらって評価をしてもらう。なお、以下、このような自然人T1乃至Tnの夫々を、以下、「テスターT1乃至Tn」と呼ぶ。テスターT1乃至Tnの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて以下、「テスターT」と呼ぶ。
ステップScにおいて、テスター足計測装置2は、テスターT1乃至Tnの夫々の両足をスキャンすることで、3DスキャンデータDt1乃至Dtnの夫々を生成する。
ステップSdにおいて、テスター足計測装置2は、3DスキャンデータDt1乃至Dtnの夫々に対して、本発明者等により考案されて本実施形態で標準のものとして採用される足についての計測手法(詳細については後述するが、以下、「標準化足計測手法」と呼ぶ)に従った計測を行い、その計測の結果得られるデータ(以下、「足計測データ」と呼ぶ)Kt1乃至Ktmの夫々を足計測DB12に記憶させる。
なお以下、足計測データKt1乃至ktnの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて以下、「足計測データKt」と呼ぶ。
また、テスターT1乃至Tn毎に、m個の靴の夫々を実際に履いたときの履き心地に関する評価のデータ(以下、単に「評価データ」と呼ぶ)Ht1乃至Htnが取得されて、評価DB13に格納される。
なお以下、評価データHt1乃至Htnの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて以下、「評価データHt」と呼ぶ。
【0015】
学習装置3は、m個の靴(シューアンカーSh1乃至Shm)の靴計測データKs1乃至Ksmとの夫々と、n人のテスターT1乃至Tnの足計測データKt1乃至Ktnの夫々との各組合せと、n人のテスターT1乃至Tnの夫々のm個の靴毎の評価データHt1乃至Htnの夫々とを用いて機械学習を行う。
これにより、学習結果として例えば、所定の足と所定の靴との各種各様な組合せ毎に、履き心地の傾向が得られる。ここで注目すべき点は、靴計測データKsと足計測データKtとは、必ずしも同一位置で計測したデータを含む必要は特にない点である。つまり、異なった位置で計測したとしても、機械学習を行うことで、所定の足と所定の靴との各種各様な組合せ毎に、履き心地の傾向が得られることになる。
このような学習結果を用いることで、足と靴の夫々の形状等の傾向を抽象的に捉えることが可能となり、必ずしも同じ位置の比較を行う必要なしにマッチング(詳細は後述する)を行うことが可能になる。
また、このような機械学習手法を用いることで、計測時の誤差を統計的に扱うことができるようになるため、誤差の大きい安価なセンサを用いたスキャンでも実用的なマッチングが可能になる。
【0016】
図3は、
図1に示す情報処理システムが適用される本サービスにおけるマッチング等の処理について模式的に示した概念図である。
【0017】
ステップSfにおいて、ユーザ足計測装置4は、ユーザUの両足をスキャンすることで、3DスキャンデータDuを生成する。
ステップSgにおいて、ユーザ足計測装置4は、3DスキャンデータDuに対して、標準化足計測手法に従った計測を行い、その計測の結果得られる足計測データKuを足計測DB12に記憶させる。
【0018】
ステップSiにおいて、マッチング装置5は、ステップSgで得られたユーザUの足計測データKuと、
図2を用いて上述したm個の靴(シューアンカーSh1乃至Shm)の夫々の靴計測データKs1乃至Ksmの夫々とを用いて、当該ユーザUにとってどの靴が履き心地がよいのか(という推定をするための)マッチングを行う。
ここで、単なる計測データの比較のみならず、マッチング装置5は、ステップShにおいて、ユーザUの嗜好を取得して、ステップSiにおいて、その嗜好も考慮したマッチングを行ってもよい。これにより、例えば、きつい靴がユーザUの嗜好である場合、一般的にはAサイズの靴が履き心地がよいと判断されたとしても、そのAサイズよりも小さいBサイズがユーザUに適していると判断される、といった各ユーザUに夫々適したマッチングが可能になる。
ステップSjにおいて、マッチング装置5は、ステップSiのマッチングの結果に基づいて、ユーザUにとって適した(履き心地がよいとユーザUが感じるであろう)靴を、当該ユーザU(ユーザ端末6)に対して推薦する。
【0019】
必要に応じて、ユーザUが推薦された靴(シューアンカーSh:hは1乃至mのうち任意の整数値)を実際に履いた際の履き心地の評価がなされる。この場合、そのユーザUの評価データHuは、評価DB13に格納される。
そして、ユーザUの評価データHu、ユーザUの足計測データKu、及び推薦された靴(シューアンカーSh)の靴計測データKskが学習装置3に提供されると、学習装置3は、ステップSkにおいて、機械学習(再学習)を行う。このように実際の推薦結果とその評価がフィードバックされて、再学習が行われることで、より精度の高いマッチングが可能になっていく。
【0020】
図4は、このような本サービス(マッチング)を実現可能な
図1の情報処理システムのうち、マッチング装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
マッチング装置5は、CPU(Central Processing Unit)21と、ROM(Read Only Memory)22と、RAM(Random Access Memory)23と、バス24と、入出力インターフェース25と、出力部26と、入力部27と、記憶部28と、通信部29と、ドライブ30とを備えている。
【0022】
CPU21は、ROM22に記録されているプログラム、又は、記憶部28からRAM23にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM23には、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0023】
CPU21、ROM22及びRAM23は、バス24を介して相互に接続されている。このバス24にはまた、入出力インターフェース25も接続されている。入出力インターフェース25には、出力部26、入力部27、記憶部28、通信部29及びドライブ30が接続されている。
【0024】
出力部26は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部27は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0025】
記憶部28は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部29は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0026】
ドライブ30には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ30によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部28にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部28に記憶されている各種データも、記憶部28と同様に記憶することができる。
【0027】
なお、靴計測装置1と、テスター足計測装置2と、学習装置3と、ユーザ足計測装置4と、ユーザ端末6との夫々は、
図4と同様のハードウェア構成を採ることができる。従って、これらのハードウェア構成の説明については省略する。
【0028】
図5は、このようなハードウェア構成のマッチング装置5等を含む
図1の情報処理システム1が実行する処理のうち、
図2に示す機械学習等の処理を実現可能な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0029】
図5に示すように、靴計測装置1においては、スキャン部111と、標準化靴計測部112とが機能する。
テスター足計測装置2においては、スキャン部121と、標準化足計測部122と、評価取得部123とが機能する。
【0030】
靴計測装置1のスキャン部111は、シューアンカーShをスキャンすることで、3DスキャンデータDsを生成する。
標準化靴計測部112は、3DスキャンデータDsに対して、標準化靴計測手法に従った計測を行い、その計測の結果得られる靴計測データKsを靴計測DB11に記憶させる。
ここで、靴(或いはシューアンカーSh)の靴計測データKsは、当該靴に関する様々な情報を紐付けて靴計測DB11に格納させることができる。具体的には例えば、3DスキャンデータDsを靴計測データKsに紐付けることができる。また例えば、靴の部位毎の素材の種類に関する情報や、引っ張り強さ(比強度)等素材が持つ性質に関する情報を靴計測データKsに紐付けることができる。
【0031】
一方、テスター足計測装置2のスキャン部121は、テスターTの両足をスキャンすることで、3DスキャンデータDtを生成する。
標準化足計測部122は、3DスキャンデータDtに対して、標準化足計測手法に従った計測を行い、その計測の結果得られる足計測データKtを足計測DB12に記憶させる。
ここで、テスターTの足計測データKtには、当該テスターTに関する様々な情報を紐付けることができる。具体的には例えば、3DスキャンデータDtを足計測データKtに紐付けることもできる。また例えば、性別、年齢、体重、1日あたりの平均歩数、靴の購買履歴や返品履歴等の情報や、よく着用する靴、興味を持たない靴、好きなブランド、嫌いなブランド等の各種各様な情報を足計測データKtに紐付けることができる。さらに例えば、テスターTの住所や職業等の情報を足計測データKtに紐付けてもよい。なお、足計測データKtや上述の靴計測データKsが多数得られた場合、これらのデータはビッグデータとして各種分析等各種各様な用途で活用することができる。
また、評価取得部123は、テスターTが各靴の夫々を実際に履いたときの履き心地に関する評価を示す評価データHtを取得して、評価DB13に記憶させる。
【0032】
ここで、
図6を参照して標準化足計測手法について説明し、引き続き、
図7を参照して標準化靴計測手法について説明する。
図6は、標準化足計測手法を説明するための足の外観構成の概略を示す図である。
図7は、標準化靴計測手法を説明するための靴及びシューアンカーの外観構成の概略を示す図である。
【0033】
テスター足計測装置2の標準化足計測部122は、標準化足計測手法に従った計測を、例えば次のようにして実行する。
【0034】
標準化足計測部122は、「正対」を特定する。
即ち、標準化足計測部122は、テスターTの足の3DスキャンデータDtの点群に対し、PCA(主成分分析)を用いることで、データの分布の広がりが大きい方向を求め、正対方向を一意に定める。これにより、テスターTは計測時に足の向きを厳密に揃える必要がなくなる。
換言すると、様々な形状を取り得る足から一定のルールで長さや角度を抽出し比較するためには、まずはじめに基準となる軸方向を決定する必要がある。そこで、標準化足計測部122は、3DスキャンデータDtにおいて足のフットプリントの形状が最も広く分布する軸を進行方向軸と定義し、重力方向をそのまま上下軸に取り、進行方向軸および上下軸に直行する軸を左右軸として定義することで、「正対」を特定する。
【0035】
標準化足計測部122は、「ランドマーク点L」を検出する。
即ち、標準化足計測部122は、足の形状の特徴を利用し、つま先やかかと頂点等のランドマーク点Lを検出する。形状の特徴だけでの抽出が難しいポイント(ボールジョイント(つま先の軸)、親指の付け根、親指と小指の端点)は、計測時に色付きのマーカーをテスターTの足に貼っておき、標準化足計測部122は、それを元にして決定する。
【0036】
標準化足計測部122は、「計測値」を求める。
即ち、標準化足計測部122は、このようにして得られたランドマーク点Lに基づいて、幾何計算を行い、その計算により得られた値を、標準化された計測値として扱う。
【0037】
計測値は、次のものが用いられる。
「足囲A」:ボールジョイントJ(L)で足をスライスした時の足の周長。
「足幅B」:ボールジョイントJ(L)間の直線距離。
「足長C」:つま先(最も前方の点)とかかと頂点(最も後方の点)の床平面上での長さ。
「踵形状D」、「つま先高さE」、「つま先形状F」、及び「歪みG」。
その他、必要に応じて、次のような計測値が用いられてもよい。
「踵長」:足長Cに対する一定の割合での長さ。
「踵幅」:最後方点から、かかと長だけ前方に伸ばした面での足幅。
「踵深さ」:かかと頂点位置から指定長だけ垂直上方に伸ばした点から足までの距離(深さ)。
「つま先幅」:親指付け根の端点と小指付け根の端点間の距離。
「親指付け根、親指、小指の高さ」:それぞれのランドマーク点Lから床面までの高さ。
【0038】
これに対して、靴計測装置1の標準化靴計測部112は、標準化靴計測手法に従った計測を、例えば次のようにして実行する。
即ち、靴の内寸の計測手法は様々な手法(CTによる撮影、石膏などを利用した型取り、製造時の型(木型)の計測等)が従来存在する。しかしながら、本実施形態のように機械学習を用いるとその個体を特徴づける相対的な違いだけがわかればいいので、以下の「計測値」が手に入れば足りる。換言すると、以下の「計測値」を求める任意の手法(各種各様名手法)が、標準化靴計測手法である。
【0039】
標準化靴計測部112は、「計測値」を求めるにあたり、
図6を参照して上述した標準化足計測手法と同様に、「正対」を特定し、「ランドマーク点L」を検出する。
【0040】
標準化靴計測部112は、また、次の基準シンボル(線、面)を求める。
基準シンボルは、次のものが、靴のデザイン性を排除するため次のルールで、夫々求められる。
「つま先位置」
(ルール)デザインのために足が入らない空洞部分があるのでその部分の影響を除くために、足囲Aが一定(例えば100mm等)になる位置をつま先位置とする。
「ボールジョイント(つま先とかかとをつなぐ骨の連結部分)位置」
(ルール)横方向に最も離れた点が足のボールジョイントに対応するとする。
【0041】
標準化靴計測部112は、このような「正対」、「ランドマーク点L」、及び「基準シンボル」に基づいて、「足囲A」、「足幅B」、「足長C」、「踵形状D」、「つま先高さE」、「つま先形状F」、及び「歪みG」等を、「計測値」として求める。
【0042】
標準化靴計測手法によれば、標準化足計測手法と同様の理由により、靴の場合も基準となる軸方向(正対)を決定する必要がある。また、内部に骨がある足と異なり、ボールジョイントの位置が不定のため、その位置も安定して取得できる必要がある。
そこで、
図7に示すように、足の爪先にぴったり合う形のシューアンカーShが作成され、当該シューアンカーShが靴に詰められた状態で一緒に3次元計測(スキャン)が行われる。これにより、シューアンカーShを基にした基準軸(正対)や基準シンボルが求められ、これらに基づいて、各計測値が適切に求められる。
このように、標準化靴計測部112は、シューアンカーShを基準にすることで、つま先などのデザイン要素を排除したモデル(靴計測データKs)を構築することができる。
【0043】
シューアンカーShは、上述の基準軸(正対)や基準シンボルを求めることができれば任意のものを採用することができるが、
図7に示すような形状であると好適である。即ち、
図7に示すように、シューアンカーShは、ボールジョイント部分までで作成することで、ヒールの高さ毎に用意する必要がなくなるからである。なお、シューアンカーShのつま先形状は、
図7の例では平均的な形を採用しているが、統計的なモデルを用いてバリエーションをつくるとさらに好適である。
【0044】
以上のように、標準化靴計測手法と標準化足計測手法は、本発明人等により新たに提唱された複数の「計測値」を求める手法である。これらの複数の「計測値」に基づいて、機械学習が行われ、その学習結果を用いた(新たなユーザUの)足と靴のマッチングが行われる。
即ち、標準化靴計測手法や標準化足計測手法は、規格化がなされていない靴や足の形状から、マッチングに影響を与える計測長が標準化されて得られる手法である。即ち、どんなタイプの靴や足から抽出しても平等に比較が可能になるような計測手法が、標準化靴計測手法や標準化足計測手法である。
従って、標準化靴計測手法の計測により得られた靴計測データKsや、標準化足計測手法の計測により得られた足計測データKtを用いて機械学習が行われるので、その学習結果として、各計測値のうちどの値がマッチング(履き心地等)にどのくらい影響を与えるのかという、従来であれば職人が勘で決めていたような関係性(重み付け)が自動的に得られることになる。
【0045】
ここで、標準化靴計測手法により得られた計測値(本段落では「靴」と略記する)と、標準化足計測手法により得られた計測値(本段落では「足」と略記する)との違いについて説明する。
「足囲A」については、「足」は、ボールジョイント部分を地面に垂直に切った輪郭線長や形状であるのに対して、「靴」は、ぴったり入るシューアンカーShの該当箇所の輪郭線長や形状である。
「足幅B」については、「足」は、ボールジョイント部分を地面に水平に結んだ線長であるの対して、「靴」は、最もでっぱっている部分の水平線長である。
「足長C」については、「足」は、進行方向軸に対し、つま先最先端とかかと最後端の、進行軸での長さであるのに対して、「靴」は、(シューアンカーShの基準シンボルから当該シューアンカーShにおけるつま先までの長さ)+(シューアンカーShの基準シンボルからかかと最後端までのインソールに沿った経路長)である。
「踵形状D」については、「足」は、かかと最後端を基準に、高さ方向にずらしながら地面に水平に切った時の輪郭形状の変化であるのに対して、「靴」は、(踵後端を基準に高さ方向にずらしながら地面に水平に切った時の輪郭形状の変化)+(履き口部分の形状)である。
「つま先高さE」については、「足」は、ボールジョイントの線から一定長前に出た部分における足の高さ(平均や分布)であるのに対して、「靴」は、ボールジョイントの線から一定長前に出た部分における足の平均高さ(底面はインソール上面とする)である。
「つま先形状F」については、「足」は、ボールジョイント、親指、小指を結ぶ台形の形状(角度、長さなど)であるのに対して、「靴」は、インソール上面から一定長上で爪先部分を輪切りにした時の輪郭形状である。
「歪みG」については、「足」は、ボールジョイントから踵先端までの相対角度であるのに対して、「靴」は、ボールジョイントから踵先端までの相対角度である。
【0046】
以上のようにして、標準化靴計測手法により、m個の靴(シューアンカーSh1乃至Shm)の靴計測データKs1乃至Ksmが得られる。また、標準化足計測手法により、n人のテスターT1乃至Tnの足計測データKt1乃至Ktnが得られる。
すると、
図5の学習装置3は、m個の靴(シューアンカーSh1乃至Shm)の靴計測データKs1乃至Ksmとの夫々と、n人のテスターT1乃至Tnの足計測データKt1乃至Ktnの夫々との各組合せと、n人のテスターT1乃至Tnの夫々のm個の靴毎の評価データHt1乃至Htnの夫々とを用いて機械学習を行う。
【0047】
次に、
図1の情報処理システムが実行する処理のうち、このような学習装置3による学習結果を用いて行われる、
図3に示すマッチング等の処理を実現可能な機能的構成について説明する。
図8は、
図1の情報処理システム1が実行する処理のうち、
図3に示すマッチング等の処理を実現可能な機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0048】
図8に示すように、ユーザ足計測装置4においては、スキャン部141と、標準化足計測部142と、評価取得部143とが機能する。
【0049】
ユーザ足計測装置4のスキャン部141は、ユーザUの両足をスキャンすることで、3DスキャンデータDuを生成する。
標準化足計測部122は、3DスキャンデータDuに対して、上述した標準化足計測手法に従った計測を行い、その計測の結果得られる足計測データKuを足計測DB12に記憶させる。
ここで、ユーザUの足計測データKuには、テスターTのものと同様に、当該ユーザUに関する様々な情報を紐付けることができる。具体的には例えば、3DスキャンデータDuを足計測データKuに紐付けることもできる。また例えば、性別、年齢、体重、1日あたりの平均歩数、靴の購買履歴や返品履歴等の情報や、よく着用する靴、興味を持たない靴、好きなブランド、嫌いなブランド等の各種各様な情報を足計測データKuに紐付けることができる。さらに例えば、ユーザUの住所や職業等の情報を足計測データKuに紐付けてもよい。なお、ユーザUの足計測データKuは、テスターTの計測データKtと共に、ビッグデータの一部として各種分析等各種各様な用途で活用することができる。
また、評価取得部143は、マッチング装置5によるマッチングの結果として推薦された靴をユーザUが実際に履いたときの履き心地に関する評価を示す評価データHuをユーザ端末6等から取得して、評価DB13に記憶させる。
【0050】
このようなユーザ足計測装置4に対して、マッチング装置5においては、マッチング手法決定部151と、ユーザ嗜好取得部152と、マッチング部153と、推薦部154とが機能する。
【0051】
マッチング手法決定部151は、学習装置3による機械学習の結果に基づいて、ユーザUにとって適切なマッチング手法を決定する。
ユーザ嗜好取得部152は、靴に関するユーザUの嗜好をユーザ端末6等から取得する。
マッチング部153は、ユーザUの足計測データKuと、m個の靴(シューアンカーSh1乃至Shm)の夫々の靴計測データKs1乃至Ksmの夫々と、ユーザUの嗜好とを用いて、当該ユーザUにとってどの靴が履き心地がよいのか(という推定をするための)マッチングを行う。
推薦部154は、マッチング部153のマッチングの結果に基づいて、ユーザUにとって適した(履き心地がよいとユーザUが感じるであろう)靴を、当該ユーザU(ユーザ端末6)に対して推薦する。
【0052】
ここで、
図9を参照して、学習装置3による機械学習の結果に基づいて、マッチング手法決定部151により決定されるマッチング手法の一例について説明する。
図9は、機械学習の結果に基づいて決定されるマッチング手法の一例を説明する図である。
図9に示すように、テスターT1乃至Tmの夫々についての、所定の靴(シューアンカーSh)の靴計測データKskとテスターTの足計測データKtとの組合せと、その所定の靴を実際に履いた際の評価データHtとのセットを用いて、学習装置3による機械学習が行われる。
ここで、靴計測データKskとテスターTの足計測データKtとの夫々は、上述したように、「足囲A」、「足幅B」、「足長C」等の複数の計測値の集合体である。また、靴の評価データHtについても、「足囲A」、「足幅B」、「足長C」等の複数の計測値に対応する各項目についての履き心地の個別評価の集合体である。
従って、
図9に示すような機械学習が行われた場合、所定の靴(シューアンカーSh)の靴計測データKskとユーザUの足計測データKuとの組合せに対して、ユーザUの評価の予測を行うマッチング手法が採用されることになる。ここで、ユーザの評価の予測は、「足囲A」、「足幅B」、「足長C」等の複数の計測値に対応する各項目についての履き心地の個別評価の予測となる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0054】
上述の実施形態では、テスターUの足とm個の靴との関係について機械学習がなされ、その機械学習の結果に基づいて、ユーザUの足と靴のマッチングがなされ、そのマッチングの結果に基づいて、ユーザUの足に適した靴(ユーザUの評価が高いと推測される靴)が推薦されたが、機械学習の対象(その機械学習の結果を使うマッチング及び推薦の対象は特にこれに限定されない。
【0055】
例えば、機械学習の対象(その機械学習の結果を使うマッチング及び推薦の対象)は、
図10に示すものでもよい。
図10は、
図1の情報処理システムが実施可能な処理であって、
図3の例とは異なる処理の概要を示す図である。
図10に示すように、m個の既存の靴S1乃至Sm(シューアンカーSh1乃至Shm)の夫々について、靴計測データKs1乃至Ksmと、多数のユーザU1乃至Uk(kは任意整数値、
図10の例ではk=3)の評価データHu(テスターTの評価データHtを含む)との組合せに基づいて、靴同士のマッチングがなされ、新たな靴と評価の類似する既存の靴が推薦される。
即ち、靴計測データKsをA軸とし、評価データHuをB軸とした2次元平面上に対して、m個の既存の靴(シューアンカーSh1乃至Shmであって、マッチングの比較先)の夫々が、靴計測データKs1乃至Ksmと多数のユーザU1乃至Ukとの組合せに基づいてプロット(射影)されて機械学習がなされる。換言すると、評価の似ている靴(アイテム)が近くに配置されるような2次元平面(空間)が生成されるように機械学習がなされる。
この機械学習の結果として、新たな靴(マッチングの比較元)について、当該2次元平面(空間)上に、靴計測データKsと多数のユーザU1乃至Ukとの組合せに基づいてプロット(射影)することで、当該2次元平面(空間)近くに配置される靴を検索(マッチング)して、評価の類似する靴、即ち履き心地が似ている靴として推薦することが可能になる。
【0056】
また例えば、機械学習の対象(その機械学習の結果を使うマッチング及び推薦の対象)は、
図11に示すものでもよい。
図11は、
図1の情報処理システムが実施可能な処理であって、
図2例とは異なる機械学習を行う処理の概要を示す図である。
図3に示す機械学習では、m個の靴についての、n人(多数)のテスターTの一般的な評価に基づくモデル(既存モデル)が得られる。
これに対して、
図11の例では、これらの既存モデルを用いてマッチング及び推薦がなされたユーザUからのフィードバック情報、例えば当該ユーザUに関する各種履歴(購買履歴や返品履歴)を示す情報も考慮して、追加学習がなされる。この追加学習の結果として、(既存モデルと比較して)ユーザUの好みに特化したモデル、即ちユーザ特化モデルが得られる。
このユーザ特化モデルを用いたマッチングを行うことで、既存モデルを用いた場合と比較して、ユーザUにより適した靴の推薦が可能になる。
【0057】
また例えば、機械学習の対象(その機械学習の結果を使うマッチング及び推薦の対象)は、上述の実施形態では靴とされたが、特にこれに限定されず、ユーザU(テスターT含む)が着用可能な任意のアイテム、例えば衣服、帽子、保護用あるいは補助用に着用するヘルメット、コルセット、サポータ等でもよい。
【0058】
図12は、アイテムを衣服とした場合における、標準化計測がなされる場合のユーザU(テスターT含む)の計測データの一例を示している。
即ち、人体(ユーザUの体)は計測方法が規格化されているので、当該計測方法による計測が標準化計測として採用され、その計測結果が標準化された測定値として採用された例、即ちユーザUの計測データの一例が、
図12に示されている。
【0059】
図13は、アイテムを衣服(ジャケット)とした場合における、標準化計測がなされる場合のアイテムの計測データの一例を示している。
即ち、衣服(ジャケット)はカテゴリ毎にどの部分の測定を行うのかといった計測方法が規格化されているので、当該計測方法による計測が標準化計測として採用され、その計測結果が標準化された測定値として採用された例、即ち衣服(ジャケット)の計測データの一例が、
図13に示されている。
【0060】
また例えば、上述の実施形態では、アイテムの形状に基づくマッチングが行われたが、特にこれに限定されず、形状と共に又は形状とは別に、他の要素が考慮されたマッチングが行われてもよい。即ち、アイテムの着心地(アイテムが靴であれば履き心地)を決める要素は形状の差だけではなく、靴であれば、体重や年齢、ヒールの高さ、靴の素材といった要素がある。また、服であれば、生地の素材や性別、年齢等の要素がある。
従来はこれらの「他の要素」の影響を考慮しようとすると、どう影響するかを全てルール付する必要があった。これに対して、複数の別要素の影響を自動的に学習することの出来る機械学習手法(決定木をベースにしたもの)を採用することで、ルール付なしに、「他の要素」の影響を考慮したマッチングが実現可能になる。
ここで、「他の要素」としては、次のようなものを採用することができる。
即ち、「他の要素」=(データタイプ、影響)というフォーマットで記載すると次のようになる。
「素材の延びやすさ」=(引張強さ[N/cm]、形状の差の許容範囲に影響)
「素材タイプ」=(カテゴリ(布、ポリエステル等)、接触部分の痛さに影響)
「体重」=(kg、ヒールにおいて、つま先への荷重に影響)
「ヒールの高さ」=(cm、ヒールにおいて、つま先への荷重に影響)
「年齢」=(数値、歩きやすさなどの好みの違いに影響)
一日平均歩数数値疲れやすさなどの好みの違いに影響
【0061】
また例えば、上述の実施形態では、テスターTが実際にm個の靴を履いた際の評価を用いた間接的な機械学習が行われたが、特にこれに限定されず、この評価と共に又は代えて、例えば布型の圧力分布センサを用いてテスターTによるm個の靴の夫々の着用時の着圧を測定し、その測定結果を用いた機械学習を行い、ユーザUに対するマッチングの際には圧力分布センサが無いときでも予測できるようにしてもよい。
この場合も、その予測の結果を用いて最終的なユーザUの嗜好(靴であれば履き心地)の推定、及び推定結果に基づくユーザUに対する推薦が行われる。
【0062】
また例えば、上述の実施形態では、靴の靴計測データKs、テスターTの足計測データKt、及びユーザUの足計測データKuには、各種情報(メタデータ)が紐付けられていた。これらの各種情報(メタデータ)を考慮することで、機械学習やマッチング(嗜好推定)及び推薦がより高精度で行われるからである。
このようなメタデータは、上述の実施形態に限定されず、任意のものを採用することが可能である。例えば、次のようなメタデータを採用可能である。なお、かっこ書きで(ベター)と付しているメタデータは、そのメタデータを採用することが好適であるメタデータである。かっこ書きで(アドバンス)と付しているメタデータは、そのメタデータを採用することは必須ではないが、採用するとより適切な機械学習やマッチング(嗜好推定)及び推薦を行い得るメタデータである。
即ち、素材特性のメタデータとして、伸び率(ベター)、表面硬度(ベター)、素材タイプ(エナメル、スムース、布等)(アドバンス)を採用することができる。
製造情報のメタデータとして、ブランド名・メーカー名・工場名(アドバンス)、製法(アドバンス)を採用することができる。
ユーザUの属性情報として、習熟度(ベター)、利用頻度(ベター)、年齢(アドバンス)を採用することができる。
【0063】
上述の実施形態では、ユーザUが靴の販売店等に赴き、そこで自身の足をスキャンしてもらい、その結果得られる足計測データKuを用いてマッチングが行われ、その結果に基づいて、ユーザUにとって適切な靴(履き心地がよいと予測される靴)が推薦された。
しかしながら、マッチングの際足計測データKuを用いることは特に必須な事項ではない。
例えばECサイト等において、ユーザUの足・体の形状データがない状態で靴や服を推薦するには、例えばユーザUが過去に購入してぴったりだった靴や服を用いたマッチングを行い、それらと同一の又は類似の形状のものを検索して推薦してもよい。
この場合、靴や服の計測値には大量の種類が存在し、それらの単純な類似性ではかならずしもフィッティングに重要な数値が重視されない可能性がある。そこで、上述の機械学習を適用した情報処理システムを採用し、テスターT(テストユーザー)による事前の評価の類似性を用いて、靴や服の計測値に対する類似性への寄与度を算出し、その寄与度を反映した検索を行えると好適である。
【0064】
具体的には例えば、テスターT1と靴の組合せ(以下、「第1組合せ」と呼ぶ)による評価が、(足長差、つまみ厚差、かかと幅差、脱げやすさ)=(+0.1、-0.8、+0.1、A)であったものとする。また、別のテスターT2と靴の組合せ(以下、「第2組合せ」と呼ぶ)による評価が、(足長差、つまみ厚差、かかと幅差、脱げやすさ)=(+0.1、-0.8、+0.1、A)であったものとする。
この場合、機械学習により、脱げやすさを推定するために、重要だった項目の割合(寄与度)の割合が例えば次のように算出されたものとする。即ち、寄与度=(足長差、つまみ厚差、かかと幅差)=(0.3、0.1、0.6)と算出されたものとする。
この寄与度を用いて、靴の類似度指標(靴計測データKsの各測定値)の重み付けをして、マッチング(検索)を行うことができる。
例えば、第1靴の靴計測データKs1が、(足長、つまみ厚、かかと幅)=(23.2、2.4、4.55)であり、第2靴の靴計測データKs1が、(足長、つまみ厚、かかと幅)=(23.6、3.6、4.6)であったものとする。この場合、上記の例では、かかと幅差の寄与度が0.6と一番高いので、計測値のうちかかと幅が重要視されてマッチング(検索)が行われる。即ち、かかと幅は、第1靴が4.55であり第2靴が4.6であるため、第1靴と第2靴は脱げやすさの点で極めて類似していると判定される。即ち、第1靴をユーザUが過去に購入してぴったりだったものとするならば、脱げやすさを重視するユーザUには、第2靴が推薦されることになる。
【0065】
このような検索(推薦)が行われる際のユーザ端末6に表示される、ECサイトの画面と、店舗でユーザUの足がスキャンされて店舗側装置(例えばユーザ足計測装置4)に表示される画面は、例えば
図14乃至
図16のようになる。
図14は、店舗での推薦画面のモックの一例を示す図である。
図15は、店舗での推薦画面のモックの一例であって、
図14の画面の表示後に表示される画面の一例を示す図である。
図16は、ECサイトの画面のモックの一例である。
【0066】
また例えば、
図4に示す各ハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0067】
また、
図5や
図8に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行出来る機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、
図5や
図8の例に特に限定されない。
【0068】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5や
図8に示す場所に限定されず、任意でよい。例えば各装置の機能ブロックの少なくとも一部をユーザ端末6側に設けてもよい。つまり、ユーザ端末6からみて、ブラウザを用いて外部のサーバ等に処理を実行させる情報処理システムを構築してもよいし、インストールされるアプリケーションプログラムに処理を実行させる情報処理システムを構築させてもよいし、これらの組合せからなる情報処理システムを構築してもよい。
そして、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体との組み合わせで構成してもよい。
【0069】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0070】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0071】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0072】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図1のマッチング装置5)は、
所定のアイテム(例えば靴であり、シューアンカーSh1乃至Shmでもよい)の採寸データ(例えば
図2の3DスキャンデータDs1乃至Dsm)を標準化させた第1種標準データ(例えば
図2の靴計測データKs1乃至Ksm)と、所定のテスター(例えば
図2のテスターT1乃至Tn)の身体の少なくとも一部の採寸データ(例えば
図2の3DスキャンデータDt1乃至Dtn)を標準化させた第2種標準データ(例えば
図2の足計測データKt1乃至Ktn)との組合せを、複数のアイテム及び複数のテスター毎に用いた機械学習(例えば
図2のステップSe)の結果に基づいて、ユーザ(例えば
図3のユーザU)にとってアイテムが適する度合いを予測する予測手段(例えば
図3のステップSiのマッチングを行う
図8のマッチング部153)と、
前記予測手段の予測結果に基づいて、前記ユーザにアイテムを推薦する推薦手段(例えば
図3のステップSjの推薦を行う
図8の推薦部154)と、
を備える。
【0073】
また、本発明が適用される別の態様の情報処理装置(例えば
図1の靴計測装置1)は、
アイテムの測定データ(例えば
図5のスキャン部111により生成される、
図2の3DスキャンデータDs1乃至Dsm)に基づいて、正対を特定し、1以上のランドマーク点を検出し、アイテムのデザイン性を排除するための所定のルールに基づいて基準シンボルを算出し、前記正対、前記ランドマーク点、及び前記基準シンボルに基づいて、複数の項目の各計測値を算出し(例えば
図7参照)、前記複数の項目の前記各計測値を少なくとも含む情報を、前記アイテムの計測データ(例えば
図2の靴計測データKs1乃至Ksm)として生成する計測手段(例えば
図5の標準化靴計測部112)
を備える。
【符号の説明】
【0074】
1:靴計測装置
2:テスター足計測装置
3:学習装置
4:ユーザ足計測装置
5:マッチング装置
6:ユーザ端末
11:靴計測DB
12:足計測DB
13:評価DB
21:CPU
22:ROM
23:RAM
24:バス
25:入出力インターフェース
26:出力部
27:入力部
28:記憶部
29:通信部
30:ドライブ
31:リムーバブルメディア
111:スキャン部
112:標準化靴計測部
121:スキャン部
122:標準化足計測部
123:評価取得部
141:スキャン部
142:標準化足計測部
143:評価取得部
151:マッチング手法決定部
152:ユーザ嗜好取得部
153:マッチング部
154:推薦部
J:ボールジョイント
A:足囲
B:足幅
C:足長
D:踵形状
E:つま先高さ
F:つま先形状
G:歪み
H:評価データ
L:ランドマーク点
U:ユーザ