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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177043
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】眼科検査システム及び眼科検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20221122BHJP
   G16H 40/67 20180101ALI20221122BHJP
【FI】
A61B3/028
G16H40/67
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137586
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2020074481の分割
【原出願日】2016-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 智弘
(72)【発明者】
【氏名】池澤 幸男
(57)【要約】
【課題】遠隔検査において検者の意図を被検者に好適に伝達する。
【解決手段】実施形態の眼科システムの検査指示装置は、指示情報を入力するための入力部と、指示情報を送信する第1通信部とを備える。眼科検査装置の検査光学系は、光学素子を介して検査光束を被検眼に投射し、情報提示光学系は表示部から出力された表示光束を上記光学素子を介して被検眼に導き、第2通信部は検査指示装置から送信された指示情報を受信し、制御部は所定のキャラクタ画像を表示部に表示させ、指示情報に基づきキャラクタ画像の動作を制御する。更に、眼科検査装置の制御部は、キャラクタ画像を変化させる第1制御を実行した後に、被検眼を検査するための検査情報をキャラクタ画像の代わりに表示させる第2制御を実行する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科検査装置と、
前記眼科検査装置に指示を送信するために検者により使用される検査指示装置と
を含む眼科検査システムであって、
前記検査指示装置が、
検査に関する指示情報を入力するための入力部と、
前記入力部により入力された前記指示情報を前記眼科検査装置に送信する第1通信部と
を備え、
前記眼科検査装置が、
被検眼に適用される光学素子と、前記被検眼を検査するための検査光束を前記光学素子を介して前記被検眼に投射する投射系とを含む検査光学系と、
表示部と、前記表示部から出力された表示光束を前記光学素子を介して前記被検眼に導く導光系とを含む情報提示光学系と、
前記検査指示装置から送信された前記指示情報を受信する第2通信部と、
所定のキャラクタ画像を前記表示部に表示させ、前記第2通信部により受信された前記指示情報に基づいて前記キャラクタ画像の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記キャラクタ画像を変化させる第1制御を実行した後に、前記被検眼を検査するための検査情報を前記キャラクタ画像の代わりに表示させる第2制御を実行する
ことを特徴とする眼科検査システム。
【請求項2】
前記検査情報は、ランドルト環、融像指標、及び固視標のいずれかである
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科検査システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1制御を実行した後、所定のタイミングで前記第2制御を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科検査システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1制御を実行してから所定時間が経過したタイミングで前記第2制御を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科検査システム。
【請求項5】
前記被検眼の前眼部像を解析することにより所定のイベントを検知する検知部を更に含み、
前記制御部は、前記第1制御を実行した後、前記検知部により前記所定のイベントが検知されたタイミングで前記第2制御を実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の眼科検査システム。
【請求項6】
前記検知部は、前記第1制御によって変化している前記キャラクタ画像を前記被検眼が注視したことを前記所定のイベントとして検知する
ことを特徴とする請求項5に記載の眼科検査システム。
【請求項7】
遠隔検査に使用される眼科検査装置であって、
被検眼に適用される光学素子と、前記被検眼を検査するための検査光束を前記光学素子を介して前記被検眼に投射する投射系とを含む検査光学系と、
表示部と、前記表示部から出力された表示光束を前記光学素子を介して前記被検眼に導く導光系とを含む情報提示光学系と、
所定のキャラクタ画像を前記表示部に表示させる制御部と
を備え、
前記制御部は、前記キャラクタ画像を変化させる第1制御を実行した後に、前記被検眼を検査するための検査情報を前記キャラクタ画像の代わりに表示させる第2制御を実行する
る眼科検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科検査システム及び眼科検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科検査装置は、医療機関、眼鏡店、健康診断や検診の会場、患者宅などにおいて、眼の検査(特性の測定、撮影等)に用いられる。眼科検査装置の典型的な例として以下が挙げられる。
・提示された視標に対する応答に基づき視力を測定する視力検査装置
・眼球の屈折特性を測定する眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ)
・眼圧を測定するための眼圧計
・角膜の特性(角膜厚、細胞分布等)を得るためのスペキュラーマイクロスコープ
・ハルトマン-シャックセンサを用いて眼球の収差情報を得るウェーブフロントアナライザ
・視野障害を検出するための視野計やマイクロペリメータ
・光干渉を利用して眼底や前眼部の断面像や3次元データ、解析データを得るための光干渉断層計(OCT)
・眼底を写真撮影するための眼底カメラ
・共焦点光学系を用いたレーザ走査により眼底の画像を得るための走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope、SLO)
・2以上の機能を組み合わせた複合機
【0003】
多くの眼科検査では、検者が被検者に指示を出したり眼科検査装置の操作を行ったりする。近年、眼科検査装置の設置場所と異なる場所にいる検者が被検者や眼科検査装置に指示を出しつつ検査を行う遠隔検査が普及してきている(例えば特許文献1-6を参照)。遠隔検査では、検者から被検者に対して視覚的指示や聴覚的指示が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-286442号公報
【特許文献2】特開2002-10978号公報
【特許文献3】特開2002-78679号公報
【特許文献4】特開2002-78681号公報
【特許文献5】特開2005-342042号公報
【特許文献6】国際公開第2003/041572号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遠隔検査では、検者の意図を被検者に伝えることが困難な場合や、被検者が不安を感じる場合がある。特に、被検者の傍に付き添って検査をサポートする検者がいない場合には、このような問題は顕著である。また、被検者の性別、年齢、使用言語等は様々であるが、このような被検者の属性に応じて検者の意図を伝達することは、従来の技術では困難であった。
【0006】
本発明の目的は、遠隔検査において検者の意図を被検者に好適に伝達することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の眼科検査システムは、眼科検査装置と、眼科検査装置に指示を送信するために検者により使用される検査指示装置とを含む。検査指示装置は、検査に関する指示情報を入力するための入力部と、入力部により入力された指示情報を眼科検査装置に送信する第1通信部とを備える。眼科検査装置は、被検眼に適用される光学素子と被検眼を検査するための検査光束を光学素子を介して被検眼に投射する投射系とを含む検査光学系と、表示部とこの表示部から出力された表示光束を光学素子を介して被検眼に導く導光系とを含む情報提示光学系と、検査指示装置から送信された指示情報を受信する第2通信部と、所定のキャラクタ画像を表示部に表示させ、第2通信部により受信された指示情報に基づいてキャラクタ画像の動作を制御する制御部とを備える。眼科検査装置の制御部は、更に、キャラクタ画像を変化させる第1制御を実行した後に、被検眼を検査するための検査情報をキャラクタ画像の代わりに表示させる第2制御を実行する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、遠隔検査において検者の意図を被検者に好適に伝達することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図1B】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図2】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図3】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図4】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図5】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図6】実施形態に係る眼科検査システムの使用形態の一例を表すシーケンス図。
図7】実施形態に係る眼科検査システムの使用形態を説明するための概略図。
図8】実施形態に係る眼科検査システムの使用形態の一例を表すシーケンス図。
図9】実施形態に係る眼科検査システムの使用形態の一例を表すシーケンス図。
図10】実施形態に係る眼科検査システムの使用形態の一例を表すシーケンス図。
図11】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図12】実施形態に係る眼科検査システムの構成の一例を表す概略図。
図13】実施形態に係る眼科検査システムの変形例を表す概略図。
図14】実施形態に係る眼科検査システムの表示画面の一例を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の典型的な実施形態の幾つかの例を説明する。なお、この明細書にて引用された文献の内容や公知技術を実施形態に援用することができる。
【0011】
実施形態の眼科検査システムは、各種の施設に設置された眼科検査装置や可搬型の眼科検査装置を用いた遠隔検査に用いられる。実施形態における遠隔検査では、眼科検査装置が設置された施設にて検査をアシストする検者(内部検者)と、当該施設の外部から検査をアシストする検者(外部検者)とが関与する。典型的には、内部検者は、タブレット端末やウェアラブルデバイス(例えば無線型イヤフォン)を用いて、当該施設内にて検査を受けている全て又は一部の被検者の状況を把握して指示を送る。外部検者は、眼科検査装置を用いた検査を管理するための施設(管理センタ)に設置された情報処理装置を用いて、現在検査を受けている全て又は一部の被検者の状況を把握して指示を送る。被検者は、内部検者及び/又は外部検者からの指示に基づいて検査を進めることができる。
【0012】
なお、眼科検査装置が設置される施設の例として、医療機関、眼鏡店、健康診断会場、検診会場、患者の自宅、福祉施設、公共施設、検診車などがある。つまり、眼科検査装置が設置される施設には、医療機関等の固定型施設と、検診車等の移動型施設との少なくとも一方が含まれてよい。また、検者から被検者に送られる指示には、検査の進め方に関する支援や、眼科検査装置の操作や、被検者への助言などが含まれてよい。
【0013】
また、遠隔検査の態様は上記のものには限定されない。例えば、管理センタの外(例えば検者の自宅)に設置された検査指示装置(検者端末)から管理センタを介して眼科検査装置に指示を送信するように構成することができる。
【0014】
眼科検査装置は、被検眼の検査に用いられる任意の装置であってよく、眼科測定装置としての機能及び眼科撮影装置としての機能の少なくとも一方を備えてよい。眼科測定装置は、被検眼の特性を測定するための装置であり、その例として、視力検査装置(視標呈示装置、フォロプタ等)、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ等)、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータなどがある。また、眼科撮影装置は、被検眼を画像化するための装置であり、その例として、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。更に、眼科検査装置は、測定データや撮影画像を解析するためのアプリケーションを備えていてもよい。
【0015】
〈眼科検査システムの構成〉
実施形態に係る眼科検査システムの構成の例を説明する。図1Aに例示された眼科検査システム1は、検査が行われるN個の施設(第1施設~第N施設)のそれぞれと管理センタとを結ぶネットワーク(通信回線N)を利用して構築されている。
【0016】
各施設(第n施設:n=1~N、Nは1以上の整数)には、眼科検査装置2-i(i=1~K、Kは1以上の整数)が設置されている。つまり、各施設(第n施設)には、1以上の眼科検査装置2-iが設置されている。眼科検査装置2-iは、眼科検査システム1の一部を構成する。なお、眼科以外の検査を実施可能な検査装置が眼科検査システム1に含まれていてもよい。
【0017】
本例の眼科検査装置2-iは、被検者(被検眼)の検査を実施する「検査装置」としての機能と、各種データ処理や外部装置との通信を行う「コンピュータ」としての機能の双方を備えている。他の例において、検査装置とコンピュータとを別々に設けることが可能である。この場合、検査装置とコンピュータとは互いに通信可能に構成されてよい。更に、検査装置の数とコンピュータの数とはそれぞれ任意であり、例えば単一のコンピュータと複数の検査装置とを設けることができる。
【0018】
更に、各施設(第n施設)には、内部検者により使用される情報処理装置(内部検者端末3-n)が設置されている。内部検者端末3-nは、当該施設において使用されるコンピュータであり、例えば、タブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末、当該施設に設置されたサーバ(施設内サーバ等)であってよい。更に、内部検者端末3-nは、無線型イヤフォン等のウェアラブルデバイスを含んでいてもよい。なお、内部検者端末3-nは、当該施設においてその機能を使用可能なコンピュータであれば十分であり、例えば、当該施設の外に設置されたコンピュータ(クラウドサーバ等)であってもよい。実施形態において、内部検者端末3-nを検査指示装置として用いることが可能である。
【0019】
眼科検査装置2-iと内部検者端末3-nとは、第n施設内に構築されたネットワーク(施設内LAN等)や、広域ネットワーク(インターネット等)や、近距離通信技術を介して通信を行えるように構成されてよい。
【0020】
眼科検査装置2-iは、サーバとしての機能を備えていてよい。この構成が適用される場合、眼科検査装置2-iと内部検者端末3-nとが直接に通信を行うように構成することができる。この場合、内部検者端末3-nと管理サーバ4との間で通信を行う機能を設ける必要はない。つまり、管理サーバ4と内部検者端末3-nとの間の通信を眼科検査装置2-iを経由して行うように構成することが可能である。
【0021】
管理センタには管理サーバ4が設置されている。管理サーバ4は、外部検者により使用される外部検者端末5m(m=1~M、Mは1以上の整数)とネットワーク(LAN、広域ネットワーク等)を介して通信が可能である。更に、管理サーバ4は、第1~第N施設に設置された眼科検査装置2-iの少なくとも一部と広域ネットワークを介して通信が可能である。
【0022】
管理サーバ4は、例えば、眼科検査装置2-iと外部検者端末5mとの間の通信を中継する機能と、この通信の内容を記録する機能とを備える。また、管理サーバ4は、眼科検査装置2-iと外部検者端末5mとを対応付ける機能、つまり、眼科検査装置2-iのそれぞれに検者を割り当てる機能を備える。眼科検査装置2-iと外部検者端末5mとの間の対応付けは、一対一対応、多対一対応、及び、一対多対応のいずれでもよい。また、管理サーバ4は、眼科検査装置2-iと外部検者端末5mとの間の通信の内容に既定のミスが発生したことを検知し、これを記録するとともに、外部検者端末5m等に警告を通知するよう構成されていてよい。
【0023】
管理サーバ4は、1以上のコンピュータを含む。管理サーバ4が複数のコンピュータを含む場合の例を図1Bに示す。図1Bに示す管理サーバ4は、マスターサーバ6とR個のローカルサーバ7-rとを含む(Rは2以上の整数)。マスターサーバ6と各ローカルサーバ7-rとは、通信回線Nを介して通信が可能である。マスターサーバ6は、第1~第N施設のそれぞれに設置された装置(眼科検査装置2-iが含まれる。内部検者端末3-nが更に含まれてもよい。)と通信回線Nを介して通信が可能である。マスターサーバ6は、管理センタ以外の場所に設置されていてよい。また、マスターサーバ6は、2以上の情報処理装置を含んでいてよい。
【0024】
本例では2以上の管理センタが設けられていてよい。ローカルサーバ7-rは、例えば、いずれかの管理センタに設置され、当該管理センタ内の外部検者端末5mを管理する。マスターサーバ6は、2以上のローカルサーバ7-rを管理する。
【0025】
管理サーバ4の構成については後述する。管理サーバ4が複数のコンピュータを含む場合、後述の管理サーバ4の構成要素が複数のコンピュータに分散配置される。また、任意の構成要素を2以上のコンピュータに重複的に設けることができる。それにより、例えば分散処理や冗長化が実現される。
【0026】
外部検者端末5mは、眼科検査装置2-iを用いて実施されている検査を指導・管理する検者により使用されるコンピュータを含む。実施形態において、外部検者端末5mを検査指示装置として用いることが可能である。以下の実施形態では、外部検者端末5及び内部検者端末3-nの双方を検査指示装置として使用可能な例を説明するが、これらの一方のみを検査指示装置として使用可能な例や、これらの少なくとも一方と他のコンピュータとを検査指示装置として使用可能な例や、他のコンピュータのみを検査指示装置として使用可能な例を適用することも可能である。
【0027】
〈眼科検査装置の構成〉
眼科検査装置2-iの構成について説明する。図2に例示された眼科検査装置2は、図1Aに示す複数の眼科検査装置2-iのそれぞれに相当する。同様に、内部検者端末3-nのそれぞれを内部検者端末3と記載し、外部検者端末5mのそれぞれを外部検者端末5と記載することがある。
【0028】
眼科検査装置2は、制御部20と、検査部21と、検査状況情報生成部22aと、通信要求生成部22bと、ユーザインターフェイス(UI)部23と、通信部24とを備える。これら構成要素は、一体的に(つまり単一の筐体内に)設けられていてもよいし、2以上の筐体内に分散配置されていてもよい。前者の例として、レフラクトメータ、ケラトメータ、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータ、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。後者の例として、視標呈示装置とフォロプタとを含む視力検査装置がある。また、制御部20の一部又は全部をパーソナルコンピュータや携帯端末に設けることができる。また、ユーザインターフェイス部23の一部又は全部を、パーソナルコンピュータ、携帯端末、テレビ受像機、スマートテレビなどに設けることができる。
【0029】
〈制御部20〉
制御部20は、各種の制御や演算を実行する。制御部20はプロセッサを含む。なお、本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。制御部20は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているコンピュータプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。制御部20は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0030】
〈出力制御部201〉
制御部20は出力制御部201を備える。出力制御部201は、内部検者端末3又は外部検者端末5から眼科検査装置2に送信された情報を出力するための制御を行う。出力される情報の例として視覚情報と音声情報がある。視覚情報は、視覚系により認識される情報であり、文字列情報(テキスト情報)や画像情報を含む。文字列情報は、例えば、検者の指示を表す文字メッセージを含む。画像情報は、例えば、検者の顔や手の動画像や、検者の指示を表すマークを含む。出力制御部201は、後述のLCD214や表示装置231を制御することにより視覚情報を出力させる。音声情報は、聴覚系により認識される情報であり、警告音や音声メッセージを含む。出力制御部201は、後述の音声出力装置233を制御することにより聴覚情報を出力させる。出力制御部201が実行する処理の具体例は後述される。
【0031】
〈キャラクタ制御部202〉
出力制御部201にはキャラクタ制御部202が設けられている。キャラクタ制御部202は、上記の視覚情報の出力を制御し、特に、被検者に向けた指示をキャラクタ(キャラクタ画像)を用いて表現するための制御を行う。被検者に向けた指示は、外部検者、内部検者及び眼科検査装置2のいずれかからの指示である。キャラクタは、人や動物や仮想生物やロボット等の画像であり、いわゆるアバターを含んでよい。アバターとは、指示の発信元(外部検者、内部検者、眼科検査装置2等)の分身となるキャラクタである。
【0032】
キャラクタを制御する技術としては、例えば、特表2006-520053号公報、特開2016-1885号公報、特開2014-149836号公報、特開2015-210547号公報等に記載されている。キャラクタ制御部202は、これらに代表される公知技術を用いて制御を実行する。キャラクタ制御部202には、そのためのプロセッサ及びコンピュータプログラムが含まれる。キャラクタ制御部202が実行する処理の例については後述する。
【0033】
〈検査部21〉
検査部21は、制御部20による制御を受けて被検眼の検査を実行する。検査部21は、眼科検査装置2の種別に応じた構成を備える。検査部21の構成は、公知の構成の少なくとも一部であってよく、或いは公知の構成を含んでよい。検査部21は、以下のような光学系と、図示しない機構(アクチュエータ、動力伝達機構等)を含む。
【0034】
検査部21が被検眼Eの特性を測定する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系を少なくとも備え、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系を更に備える。更に、検査部21は、被検眼に固視標を投影するための光学系や、アライメントを行うための光学系や、フォーカシングを行うための光学系など、各種機能の光学系を備えていてよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
【0035】
検査部21が被検眼Eを撮影する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系と、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系とを含む。更に、検査部21は、測定機能の場合と同様に、各種の光学系を含んでよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
【0036】
以上のような光学系は検査光学系211に相当する。検査光学系211は、光学素子212と投射系213とを含む。光学素子212は、投射系213から出力された光束を被検眼Eに導くために被検眼Eに適用される。光学素子212は、例えば、レンズ(対物レンズ等)、プリズム(対物プリズム等)、凹面鏡(放物面鏡等)、ガラス板などの各種光学素子のいずれかを含んでよい。
【0037】
投射系213は、被検眼Eを検査するための光束(検査光束)を光学素子212を介して被検眼Eに投射する。投射系213にはLCD214が設けられている。LCD214は、制御部20の制御を受けて動作する。LCD214は、検査に用いられる情報(検査情報:視標、固視標等)を表示する機能と、内部検者端末3又は外部検者端末5から送信された情報を表示する機能とを担う。後者は情報提示光学系の機能であり、LCD214は情報提示光学系の表示部に相当する。更に、投射系213は、内部検者端末3又は外部検者端末5から送信された情報に相当するLCD214からの光束(表示光束)を光学素子212を介して被検眼Eに導く導光系の機能を奏する。つまり、本実施形態の検査部21では、検査光学系と情報提示光学系とが共通の構成となっている。これに対し、検査光学系と情報提示光学系とを別々に構成することも可能であり、その例は後述される。
【0038】
〈検査状況情報生成部22a〉
検査状況情報生成部22aは、被検眼Eの検査の状況を表す検査状況情報を生成する。検査状況情報は、検査の進行状況(検査のフェーズ)、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)、検査時間(例えば、検査開始時刻、経過時間)などを含む。眼科検査装置2が被検眼Eや被検者を撮影する機能を備える場合、検査状況情報は、被検眼E等の撮影画像(静止画像、動画像)を含んでよい。また、検査状況情報は、音声入力装置234を介して入力された被検者の音声情報を含んでよい。生成された検査状況情報は、例えば、内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に送信され、検者によって参照される。また、本実施形態では、生成された検査状況情報は通信要求生成部22bに送られる。検査状況情報生成部22aは、例えば、プロセッサと、検査を実施するためのコンピュータプログラム又はこれを監視するコンピュータプログラムとを含む。
【0039】
なお、眼科検査装置2から内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に向けて送信される情報の全てが検査状況情報生成部22aにより処理される必要はない。例えば、被検眼Eの動画像や被検者の音声情報をそのまま内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に向けて送信することができる。それにより、被検眼Eの状態や被検者の状態や被検者のリクエストを実質的にタイムラグなく検者に提供することができる。
【0040】
〈通信要求生成部22b〉
通信要求生成部22bは、内部検者及び/又は外部検者を読み出すための要求(通信要求)を生成する。通信要求生成部22bは、被検者からの指示に対応して通信要求を生成する処理と、検査状況情報生成部22aにより生成された検査状況情報に基づいて通信要求を生成する処理との少なくとも一方を実行可能に構成される。
【0041】
被検者からの指示はユーザインターフェイス部23を用いて入力される。指示の入力は、例えば、後述の操作装置232及び/又は音声入力装置234を介して行われる。具体例として、被検者は、操作装置232を用いて、内部検者及び/又は外部検者を呼び出すための所定の操作(ボタンの押下、レバーの傾倒など)を行う。また、被検者は、後述の表示装置231により表示されているソフトウェアキーを操作装置242を用いて操作することにより、或いは、タッチパネルディスプレイに表示されているソフトウェアキーを指で操作することにより、呼び出し要求を入力することができる。また、検査内容を把握していない旨のメッセージや、内部検者及び/又は外部検者の指示を必要とする旨のメッセージを被検者が発声すると、その音声情報を音声入力装置234により検出することができる。本例によれば、被検者の要望に応じてアシストを提供することが可能である。
【0042】
検査状況情報に基づき通信要求を生成する場合の例を説明する。検査状況情報生成部22aは、検査状況を監視しつつ検査状況情報を逐次に生成する。通信要求生成部22bは、生成された検査状況情報が所定の条件に該当するか否か判定する。所定の条件としては、例えば、検査が進行していないこと、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)が不適当であること、検査開始からの経過時間が長いこと、瞼が閉じている時間が長いこと、被検眼Eの固視が不適用であることなどがある。検査が進行していないことは、例えば、検査フェーズが所定時間以上移行していないこと(例えば同じ視標が提示されていること)を検出することによって認識される。検査の途中結果が不適当であることは、例えば、視標の提示順序が不適当であること(例えば、応答内容が収束していかないこと)を検出することによって認識される。瞼が閉じていることや被検眼Eの固視状態は、被検眼Eの撮影画像を解析することにより認識される。この画像解析は、例えば瞳孔の検出を含む。本例によれば、アシストが必要な状況を自動で検出することが可能である。
【0043】
通信要求生成部22bにより生成された通信要求は通信部24によって管理サーバ4及び/又は内部検者端末3に送信される。
【0044】
〈ユーザインターフェイス部23〉
ユーザインターフェイス部23は、被検者(及び内部検者)に向けた情報を出力する機能と、情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部23は、前者の機能のための表示装置231及び音声出力装置233と、後者の機能のための操作装置232及び音声入力装置234とを含む。
【0045】
表示装置231は、フラットパネルディスプレイ等の表示デバイスを含む。操作装置232は、眼科検査装置2の筐体や外部に設けられたボタン、キー、ジョイスティック、ノブ、操作パネル等の操作デバイスを含む。また、操作装置232は、眼科検査装置2に接続されたパーソナルコンピュータ等の操作デバイス(マウス、キーボード、トラックパッド、ボタン、タッチパネル等)を含んでよい。ユーザインターフェイス部23は、表示装置231と操作装置232とが一体化されたタッチパネル等のデバイスや、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含んでよい。また、ユーザインターフェイス部23は、音声入力装置234から入力された被検者の音声に基づき操作や入力を行うためのプロセッサ及びコンピュータプログラムを含んでもよい。
【0046】
音声出力装置233は、例えば、出力される音声情報(音声信号)を処理する回路と、処理された音声情報を出力するスピーカとを含む。また、音声入力装置234は、音声情報を電気信号に変換するマイクロフォンと、この電気信号を処理する回路とを含む。
【0047】
〈通信部24〉
通信部24は、管理サーバ4との間でデータ通信を行う。更に、通信部24は、内部検者端末3との間でデータ通信を実行可能であってよい。データ通信の方式は任意である。例えば、通信部24は、インターネットに準拠した通信インターフェイス、LANに準拠した通信インターフェイス、近距離通信に準拠した通信インターフェイスなどを含む。データ通信は有線通信でも無線通信でもよい。通信部24は、管理サーバ4や内部検者端末3以外の外部装置との間でデータ通信が可能であってもよい。通信部24により送受信されるデータは暗号化されてよい。その場合、例えば、制御部20は、送信データを暗号化する暗号化処理部と、受信データを復号化する復号化処理部とを含む。
【0048】
〈内部検者端末の構成〉
内部検者端末3の構成について説明する。図3に例示された内部検者端末3は、制御部30と、ユーザインターフェイス(UI)部31と、通信部32とを備える。
【0049】
〈制御部30〉
制御部30は、内部検者端末3の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部30はプロセッサを含む。制御部30は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0050】
〈ユーザインターフェイス部31〉
ユーザインターフェイス部31は、ユーザに向けた情報を出力する機能と、ユーザが情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部31は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス23と同様に、表示装置311、操作装置312、音声出力装置313、及び音声入力装置314を含む。
【0051】
〈通信部32〉
通信部32は、管理サーバ4及び眼科検査装置2との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
【0052】
〈外部検者端末の構成〉
外部検者端末5の構成について説明する。図4に例示された外部検者端末5は、制御部50と、撮影部51と、ユーザインターフェイス(UI)部52と、送信情報生成部53と、通信部54とを備える。
【0053】
〈制御部50〉
制御部50は、外部検者端末5の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部50はプロセッサを含む。制御部50は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0054】
〈撮影部51〉
撮影部51は、検者を動画撮影するために使用され、例えばビデオカメラを含む。撮影対象は、被検者への指示を表現するために用いられる身体部位(例えば、顔、上半身、手など)を含む。
【0055】
〈ユーザインターフェイス部52〉
ユーザインターフェイス部52は、検者に向けた情報を出力する機能と、検者が情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部52は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス23と同様に、表示装置521、操作装置522、音声出力装置523、及び音声入力装置524を含む。
【0056】
制御部50は、例えば、眼科検査装置2から逐次に送信される検査状況情報を表示し、かつ、被検者への指示を入力するための画面(GUI等)を表示装置521に表示させる。また、制御部50は、被検者の音声情報を音声出力装置523に出力させる。検者は、表示情報や音声情報を参照して指示の内容を決定し、操作装置522を用いてそれを入力する。また、音声による指示は、音声入力装置524を介して入力される。
【0057】
〈送信情報生成部53〉
送信情報生成部53は、検者がユーザインターフェイス52を用いて入力した内容(指示)に基づいて、眼科検査装置2を使用している被検者に向けた情報(送信情報)を生成する。送信情報生成部53は、例えば、プロセッサと、上記画面(GUI)に連係して実行される送信情報生成プログラムとを含む。
【0058】
なお、外部検者端末5から眼科検査装置2に向けて送信される情報の全てが送信情報生成部53に処理される必要はない。例えば、検者の動画像や音声情報をそのまま眼科検査装置2に向けて送信することができる。それにより、検者の指示を実質的にタイムラグなく被検者に提供することができる。
【0059】
〈通信部54〉
通信部54は、管理サーバ4との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
【0060】
〈管理サーバの構成〉
管理サーバ4の構成について説明する。図5に例示された管理サーバ4は、制御部40と、通信確立部41と、制御管理部42と、通信部43とを備える。これら構成要素の少なくとも1つは、例えば、図1Bに示すマスターサーバ6及びローカルサーバ7-rに分散配置されたハードウェア及びソフトウェアの協働によって実現される。
【0061】
〈制御部40〉
制御部40は、管理サーバ4の各部の制御を実行する。例えば、制御部40の一部(マスター制御部)はマスターサーバ6に設けられており、このマスター制御部が各ローカルサーバ7-rの制御を行う。制御部40は、その他の演算処理を実行可能であってよい。制御部40はプロセッサを含む。制御部40は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0062】
制御部40は、通信制御部401と転送制御部402とを含む。
【0063】
通信制御部401は、眼科検査装置2、内部検者端末3及び外部検者端末5の間の通信の確立に関する制御を実行する。例えば、通信制御部401は、眼科検査装置2、内部検者端末3及び外部検者端末5のうちから後述の選択部412により選択された装置のそれぞれに向けて、通信を確立するための制御信号を送る。
【0064】
転送制御部402は、通信確立部41(及び通信制御部401)により通信が確立された装置の間における情報のやりとりに関する制御を行う。例えば、転送制御部402は、通信確立部41(及び通信制御部401)により通信が確立された少なくとも2つの装置のうちの1つの装置から送信された情報を他の装置に転送する。具体例として、眼科検査装置2と外部検者端末5との間の通信が確立された場合、転送制御部402は、眼科検査装置2(又は外部検者端末5)から送信された情報を外部検者端末5(又は眼科検査装置2)に転送する。このとき、転送制御部402は、眼科検査装置2等から送信された情報を加工して得られた情報を外部検者端末5等に送信するようにしてもよい。例えば、転送制御部402は、眼科検査装置2等から送信された情報の一部を抽出して外部検者端末5等に送信することができる。また、眼科検査装置2等から送信された情報(例えば被検眼Eの画像データ)を管理サーバ4又は他の装置によって解析し、その解析結果(及び元の情報)を外部検者端末5等に送信するようにしてもよい。なお、情報の加工は、このような抽出や解析には限定されず、任意のデータ処理を含んでいてよい。
【0065】
〈通信確立部41〉
通信確立部41は、眼科検査装置2、内部検者端末3及び外部検者端末5のうちから選択された少なくとも2つの装置の間の通信を確立するための処理を実行する。本実施形態において「通信の確立」とは、例えば、(1)通信が切断された状態から一方向通信を確立すること、(2)通信が切断された状態から双方向通信を確立すること、(3)受信のみが可能な状態から送信も可能な状態に切り替えること、(4)送信のみが可能な状態から受信も可能な状態に切り替えること、のうちの少なくとも1つを含む概念である。具体例として、「通信の確立」には、外部検者端末5を用いて外部検者が検査を監視している状態(受信のみ可能な状態)から、被検者に指示を送信可能な状態に切り替えることが含まれてよい。
【0066】
更に、通信確立部41は、確立されている通信を切断する処理を実行可能である。本実施形態において「通信の切断」とは、例えば、(1)一方向通信が確立された状態から通信を切断すること、(2)双方向通信が確立された状態から通信を切断すること、(3)双方向通信が確立された状態から一方向通信に切り替えること、(4)送信及び受信が可能な状態から受信のみが可能な状態に切り替えること、(5)送信及び受信が可能な状態から送信のみが可能な状態に切り替えること、のうちの少なくとも1つを含む概念である。具体例として、「通信の切断」には、外部検者端末5を用いて外部検者が被検者に指示を送信可能な状態(送信及び受信が可能な状態)から、検査の監視のみが可能な状態(受信のみ可能な状態)に切り替えることが含まれてよい。
【0067】
眼科検査装置2、内部検者端末3、及び外部検者端末5のそれぞれは、他の装置(そのユーザ)を呼び出すための通信要求(呼び出し要求)と、他の2つの装置の間の通信に割り込むための通信要求(割り込み要求)とのうちの少なくとも一方を管理サーバ4に送信することができる。呼び出し要求及び割り込み要求は、手動又は自動で発信される。管理サーバ4(通信部43)は、眼科検査装置2、内部検者端末3、又は外部検者端末5から送信された通信要求を受信する。
【0068】
実施形態において、通信確立部41は選択部412を含んでいてよい。選択部412は、受信された通信要求に基づいて、眼科検査装置2、内部検者端末3、及び外部検者端末5のうち、通信要求を送信した装置以外の1以上の装置を選択する。例えば、眼科検査装置2からの通信要求を受けた場合、選択部412は、例えば、この眼科検査装置2が設置されている施設の内部検者端末3と、いずれかの管理センタ(いずれかのローカルサーバ7-r)に設置された外部検者端末5のいずれかとの一方又は双方を選択する。通信確立部41は、選択された内部検者端末3及び/又は外部検者端末5と、通信要求を発信した眼科検査装置2との間の通信を確立する。これにより、眼科検査装置2の被検者の要求に応じて検者を自動で選択して検査支援を提供することができる。
【0069】
通信要求に応じた装置の選択は、例えば、予め設定された属性に基づいて実行される。この属性の例として、検査の種別や、検査のアシストに要求される専門度・熟練度や、言語の種別などがある。本例を実現するために、通信確立部41は、予め作成された属性情報が記憶された記憶部411を含んでいてよい。属性情報には、内部検者端末3及び/又はその使用者(内部検者)の属性と、外部検者端末5及び/又はその使用者(外部検者)の属性とを表す。ここで、内部検者及び外部検者は、例えば、事前に割り当てられた検者IDによって識別される。また、内部検者端末3及び外部検者端末5は、例えば、事前に割り当てられた装置IDやネットワークアドレスによって識別される。典型的な例において、属性情報は、各検者(内部検者及び外部検者のそれぞれ)の属性として、当該検者が支援可能な検査の種別と、当該検者の専門度・熟練度と、当該検者が使用可能な言語の種別とを含む。
【0070】
選択部412が属性情報を参照する場合、眼科検査装置2、内部検者端末3、又は外部検者端末5から送信される通信要求は、属性に関する情報を含んでいてよい。例えば、眼科検査装置2から送信される通信要求(例えば呼び出し要求)は、次のいずれかを含んでいてよい:(1)眼科検査装置2により実施されている検査の種別を示す情報;(2)検査支援の難易度を示す情報(検査が困難な被検者又は被検者であることを示す情報、検査の進行状況を示す情報など);(3)被検者の疾患名や年齢等を示す情報;(4)被検者の使用言語を示す情報。選択部412は、受信された通信要求と属性情報とに基づいて、いずれかの内部検者端末3及びいずれかの外部検者端末5の少なくとも一方を選択する。このとき、選択部412は、通信要求に含まれる属性に関する情報と、属性情報に含まれる情報とを照合する。それにより、選択部412は、例えば次のいずれかの検者に対応する内部検者端末3及び/又は外部検者端末5を選択する:(1)当該検査種別の支援が可能な検者;(2)当該難易度の検査の支援が可能な検者;(3)当該疾患や当該年齢の被検者の支援が可能な検者;(4)当該言語の使用が可能な検者。ここで、内部検者と内部検者端末3との対応、及び、外部検者と外部検者端末5との対応は、例えば、システムへのログイン時に検者端末(装置IDが付与されている)に入力された検者IDによってなされる。
【0071】
〈制御管理部42〉
制御管理部42は、眼科検査装置2による情報出力制御を管理するための処理を実行する。特に、本例の制御管理部42は、検者からの指示に応じて眼科検査装置2が実行した制御を学習し、以降の制御にそれを反映させるための処理を実行する。このような処理を実行するために、制御管理部42は、記憶部421と、検索部422とを備える。
【0072】
制御管理部42は、眼科検査装置2の検査状況情報生成部22aにより生成された検査状況情報を収集する。具体的には、検査状況情報生成部22aにより生成された検査状況情報の少なくとも一部が、管理サーバ4に送信されて制御管理部42に格納される。
【0073】
また、制御管理部42は、検者からの指示内容(指示情報)を収集することができる。具体的には、外部検者端末5(又は内部検者端末3)から眼科検査装置2に向けて送信された指示情報が制御管理部42に格納される。指示情報の例として、外部検者端末5の送信情報生成部53により生成された送信情報や、内部検者端末3により同様に生成された情報がある。
【0074】
更に、制御管理部42は、検者からの指示情報に応じて眼科検査装置2が実行した制御を表す制御情報を収集することができる。具体的には、制御部20(特に出力制御部201)により実行された制御を表す制御情報が、管理サーバ4に送られて制御管理部42に格納される。なお、制御管理部42は、外部検者端末5(又は内部検者端末3)からの指示情報に基づいて制御情報を生成するよう構成されてよい。或いは、制御管理部42は、外部検者端末5(又は内部検者端末3)からの指示情報を制御情報とみなすよう構成されてよい。
【0075】
〈記憶部421〉
制御管理部42は、眼科検査装置2からの検査状況情報(の少なくとも一部)と、外部検者端末5(及び/又は内部検者端末3)からの指示情報に基づき眼科検査装置2により実行された制御を表す制御情報(の少なくとも一部)とを関連付けて、記憶部421に格納する。この処理の例を以下に説明する。
【0076】
眼科検査装置2が検査状況情報を生成すると、この検査状況情報は管理サーバ4を経由して外部検者端末5に送られる。外部検者は、この検査状況情報に応じた指示を外部検者端末5に入力する。外部検者端末5は、入力された指示に応じた指示情報を生成する。この指示情報は、管理サーバ4を経由して眼科検査装置2に送られる。眼科検査装置2の出力制御部201は、この指示情報に応じた情報(視覚情報、聴覚情報等)をユーザインターフェイス部23に出力させる。この出力制御の少なくとも一部を表す制御情報は、管理サーバ4に送られる。制御管理部42は、この一連の流れにおける検査状況情報と制御情報(又は指示情報)とを関連付けて記憶部421に格納する。本例によれば、検査の状況に応じて検者が指示した制御の内容が格納される。それにより、検査の状況と検者の指示内容との関係が記憶部421に蓄積される。
【0077】
制御管理部42は、蓄積される検査状況情報及び/又は制御情報を分類することができる。検査状況情報の分類の例として、被検者の属性(年齢、性別、疾患等)に応じた分類や、検査の種別に応じた分類や、検査の進行状況(検査のフェーズ)に応じた分類や、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)に応じた分類や、検査時間(例えば、経過時間の長さ)に応じた分類などがある。制御情報の分類の例としては、検査状況情報の上記分類例に加え、検者の専門度・熟練度に応じた分類や、使用言語に応じた分類などがある。
【0078】
〈検索部422〉
検索部422は、眼科検査装置2の検査状況情報生成部22aにより検査状況情報が新たに生成されたときに、この新たな検査状況情報に対応する制御情報を記憶部241から検索する。この検索処理の例を以下に説明する。
【0079】
眼科検査装置2の検査状況情報生成部22aにより新たな検査状況情報が生成されると、この新たな検査状況情報は管理サーバ4に送られる。制御管理部42は、この新たな検査状況情報に対応する過去の検査状況情報(例えば上記分類におけるいずれかの類)を特定し、特定された過去の検査状況情報に関連付けられた制御情報を記憶部421から取得する。なお、「新たな検査状況情報に対応する制御情報」には、新たな検査状況情報と同一の過去の検査状況情報に関連付けられた制御情報だけでなく、新たな検査状況情報と同一又は類似とみなされる過去の検査状況情報(例えば、新たな検査状況情報が含まれる類)に関連付けられた制御情報も含まれる。
【0080】
〈通信部43〉
通信部43は、眼科検査装置2、内部検者端末3及び外部検者端末5のそれぞれとの間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
【0081】
〈使用形態〉
本実施形態の眼科検査システム1の使用形態の典型的な例を説明する。
【0082】
〈使用形態の第1の例〉
眼科検査システム1の使用形態の第1の例として、被検者からの呼び出しに応じてキャラクタを用いたアシストを提供するための使用形態を図6を参照しつつ説明する。
【0083】
(S1:検査開始)
眼科検査装置2を用いた被検眼Eの検査が開始される。なお、眼科検査装置2と、内部検者端末3及び/又は外部検者端末5との間の通信(双方向通信)をこの段階から開始するようにしてもよい。また、検査の開始を受けて、制御部20は、検査状況情報生成部22aに検査状況情報の生成を開始させる。
【0084】
(S2:検者呼び出し要求)
被検者は、検者のアシストが必要なとき、ユーザインターフェイス部23を利用して検者を呼び出す。検者のアシストが必要な場合の例として、検査のやり方が分からないとき、疲れたとき、検査のステップを戻したいときなどがある。また、呼び出し要求を入力するためのユーザインターフェイス部23の利用方法の例として、操作装置232による所定の操作の実施や、音声入力装置234による音声の入力がある。
【0085】
(S3:要求・情報の送信)
制御部20は、ステップS2で入力された検者呼び出し要求(通信要求)を所定の情報とともに管理サーバ4に送信するよう通信部24を制御する。検者呼び出し要求とともに送信される情報の例として、眼科検査装置2に予め割り当てられた識別情報(装置ID)、被検者に予め割り当てられた識別情報(被検者ID)、眼科検査装置2が設置された施設に予め割り当てられた識別情報(施設ID)、現時点までに生成された検査状況情報の少なくとも一部、検者呼び出し要求の内容などがある。
【0086】
(S4:検者端末の選択)
管理サーバ4は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された検者呼び出し要求及び情報を通信部43によって受信する。選択部412は、当該被検者をアシストする検者を選択する。つまり、選択部412は、当該被検者が検査を行っている施設に存在する内部検者端末3のいずれか、及び/又は、外部検者端末5のいずれかを選択する。
【0087】
そのために、選択部412は、例えば、各外部検者端末5の稼動状態(通信の確立情報)を監視する機能を備え、現在稼働していない外部検者端末5(被検者のアシストを現在行っていない検者)のいずれかを選択することができる。それにより、他の被検者に対するアシストを現在行っていない外部検者を、呼び出し要求を送った被検者のアシストに割り当てることができる。このような選択処理は、例えば、各外部検者端末5の稼動状態をフラグの有無等により管理することで実現可能である。
【0088】
他の例として、選択部412は、内部検者端末3及び外部検者端末5のうち通信要求に対応する一方の装置の通信が現に確立されているか否か判定し、確立されていない場合には当該一方の装置と眼科検査装置2との間の通信を確立し、確立されている場合には他方の装置と眼科検査装置2との間の通信を確立することができる。具体例として、当該施設内の全ての内部検者端末3が稼働中である場合(つまり他の眼科検査装置2又は外部検者端末5との間の通信が確立されている場合)、選択部412は、稼働中でない外部検者端末5のいずれかを選択することができる。また、当該施設内のいずれかの内部検者端末3が稼働中でない場合、選択部412は、この内部検者端末3を選択することができる。このような構成によれば、内部検者端末3と外部検者端末5の稼働状態を総合的に勘案することで、被検者へのアシストを迅速に提供することができる。なお、本例についても、例えば、各内部検者端末3の稼動状態及び各外部検者端末5の稼動状態をフラグの有無等により管理することで実現可能である。
【0089】
(S5:通信確立のための制御信号の送信)
通信制御部401は、ステップS4で選択された検者端末(内部検者端末3及び/又は外部検者端末5)に、当該検者端末と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。図6の例は、外部検者端末5に制御信号が送信される場合を表す。
【0090】
(S6:双方向通信の開始)
ステップS5で送信された制御信号により、外部検者端末5と眼科検査装置2との間の双方向通信が確立される。このとき、更に、内部検者端末3と外部検者端末5との間の通信の確立、及び、内部検者端末3と眼科検査装置2との間の通信の確立のうち、少なくとも一方を行うこともできる。なお、前述したように、これ以前の段階で通信を確立するよう構成することも可能である。
【0091】
(S7:撮影開始)
管理サーバ4の転送制御部402は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された情報を外部検者端末5に送る。外部検者端末5の制御部50は、撮影部51を制御して検者の動画撮影を開始させる。このとき、検者が発する音声の入力も開始される。撮影部51により逐次に取得されるフレームは、リアルタイムで管理サーバ4を介して眼科検査装置2に転送される。この処理は転送制御部402によって実行される。
【0092】
(S8:キャラクタ表示・音声出力の開始)
眼科検査装置2は、外部検者端末5から逐次に送信されるフレーム及び音声情報を受信する。出力制御部201は、逐次に受信される情報に基づいて、LCD214、表示装置231及び音声出力装置233のうちのいずれかを制御する。
【0093】
本例では、キャラクタ制御部202が、検者の分身となるキャラクタ(アバター)をLCD214に表示させる。複数のキャラクタが準備されている場合、キャラクタ制御部202は、例えば被検者の属性や検者の属性や検査の種別などに応じてキャラクタを選択することができる。更に、出力制御部201が、検者が発した音声や合成音声等を音声出力装置233に出力させる。出力制御部201は、キャラクタの動作と音声の出力とを同期させることができる(つまり、これらを連係させることができる)。また、出力制御部201は、検者の動画像をリアルタイムで表示することができる。このような処理により、検者の指示をキャラクタ等によって被検者に伝達することが可能となる。
【0094】
検者は、被検者の音声や操作をリアルタイムで把握することができる。このような双方向の情報のやりとりは、主として管理サーバ4の転送制御部402によって実現される。
【0095】
(S9:情報の表示開始)
検者によるアシスト作業を容易化するために、外部検者端末5の制御部50は、前述した画面(GUI等)を表示装置521に表示させ、眼科検査装置2から管理サーバ4を介して転送された情報(特に検査状況情報)をこの画面に表示させることができる。新たな検査状況情報を受けると、制御部50は表示内容を更新する。それにより、眼科検査装置2を用いて行われている検査の状況を実質的にリアルタイムで把握することができ、視覚情報や音声情報を利用して適切なタイミングで適切なアシストを提供することができる。
【0096】
(S10:指示の入力開始)
検者は、操作装置522(GUI)を利用して指示を入力する。指示の内容の例として、検査の変更、文字列情報の提示、画像情報の提示などがある。また、GUI以外の手段を利用した指示として、身振り手振りによる指示や、音声による指示などがある。
【0097】
(S11:情報の生成開始)
送信情報生成部53は、ステップS10で入力された内容(指示)に基づいて、被検者に向けた送信情報を生成する。送信情報の生成は、例えば、検者が指示の入力を行う度に実行される。
【0098】
(S12:情報の送信開始)
外部検者端末5は、ステップS11で生成された送信情報を管理サーバ4を介して眼科検査装置2に送信する。この処理は転送制御部402によって実現される。
【0099】
(S13:キャラクタの制御開始)
眼科検査装置2は、ステップS12で外部検者端末5から送信された送信情報を受信する。出力制御部201は、送信情報に基づいて、LCD214に表示されたキャラクタの動作を制御し、かつ、音声出力装置233を制御する。このとき、出力制御部201は、キャラクタの動作と音声の出力とを同期させることができる。更に、出力制御部201は、送信情報に基づく文字列情報や画像情報をLCD214や表示装置231に表示させることができる。
【0100】
キャラクタの制御の例を説明する。ステップS10で説明したように、検者が入力する指示には、操作装置522を用いた指示や、身振り手振りによる指示や、音声による指示などがある。なお、指示の入力方法はこれらに限定されない。
【0101】
操作装置522を用いた指示は、各種のキー(ハードウェアキー、ソフトウェアキー)を用いた操作である。各キーや各操作内容に対して、キャラクタの制御内容が予め対応付けられている。この対応情報は、眼科検査装置2、外部検者端末5(内部検者端末3)、及び管理サーバ4のうちの少なくとも1つに予め記憶されている。外部検者端末5に記憶されている場合、例えば、制御部50が、操作されたキー(及び/又はその操作内容)に対応する制御内容を特定し、これを送信情報として出力する。眼科検査装置2又は管理サーバ4に対応情報が記憶されている場合、外部検者端末5から発信された送信情報(指示情報)に基づいて、制御部20又は40が制御内容を特定する。キャラクタ制御部202は、この制御内容に基づいて、LCD214に表示されているキャラクタを動かす。例えば、キャラクタ制御部202は、キャラクタとともに表示されているオブジェクト(例えば視標)を指差すようにキャラクタを制御する。音声出力との同期制御が行われる場合、キャラクタ制御部202は、音声出力に合わせてキャラクタの口の部分を動かしたり他の部位又は全身を動かしたりすることができる。
【0102】
身振り手振りで指示が入力された場合、撮影部51により得られる動画像に基づいてキャラクタの制御等を行うことができる。例えば、眼科検査装置2、外部検者端末5(内部検者端末3)、及び管理サーバ4のうちの少なくとも1つは、次の要素を備える:検者の動作と制御内容とが対応付けられた対応情報を予め記憶する記憶装置;外部検者端末5からの動画像を解析して検者の動作を検出し、検出された動作に対応する制御内容を対応情報に基づき特定するプロセッサ。動画像を解析して検者の動作を検出する処理は、公知の画像解析技術を利用して実現される。
【0103】
音声で指示が入力された場合、音声入力装置524を介して入力される音声情報に基づいてキャラクタの制御等を行うことが可能である。例えば、眼科検査装置2、外部検者端末5(内部検者端末3)、及び管理サーバ4のうちの少なくとも1つは、次の要素を備える:所定の文字列と制御内容とが対応付けられた対応情報を予め記憶する記憶装置;外部検者端末5からの音声情報を解析して検者が発声した文字列を特定し、特定された文字列に対応する制御内容を対応情報に基づき特定するプロセッサ。音声情報を解析して文字列を特定する処理は、公知の音声解析技術を利用して実現される。
【0104】
ランドルト環を用いた視力検査のための表示の例を図7に示す。本例において、LCD214に表示される検査情報600は、視力検査のためのランドルト環と、ランドルト環に対応する視力値を表す文字列「視力値:0.5」と、ランドルト環の切り欠き部の方向を選択入力するためにランドルト環の周囲に配置された上下左右それぞれの方向の矢印画像とを含む。
【0105】
更に、検査情報600の近傍にはキャラクタ550が表示される。吹き出し560には、キャラクタ550が発する音声を表す文字列等が表示される。吹き出し560に表示される文字列と、音声出力装置233から出力される音声とは、同一でも異なってもよい。被検者や検者やキャラクタ等の属性に応じて文字列(及び音声)を切り替えることができる。例えば、被検者の年齢や検者の性別に応じて、文字列(及び音声)の口調を切り替えることが可能である。
【0106】
文字列や音声として出力される内容について幾つかの例を以下に示す。検者は、被検眼Eの前眼部像を参照することで、瞼が下がっていることや眼を細めていることを把握し、それを指摘する旨のメッセージや眼を開けるよう促すメッセージを外部検者端末5に入力する。出力制御部201は、入力されたメッセージに応じた文字列や音声を出力するための制御を実行する。それにより、ピンホール効果による視力の向上を防止することや、瞼が瞳孔に掛かることによる視力の低下を防止することができ、視力検査を高確度で行うことが可能となる。なお、眼科検査装置2、管理サーバ4、外部検者端末5等が、前眼部像を解析することにより、上記のようなイベントを検知するよう構成できる。この場合、文字列や音声を自動で出力することや、所定のイベントの発生を検者に報知することが可能である。
【0107】
被検者が所定時間瞬きをしていないことを把握したとき、検者は、瞬きをするよう促すメッセージを外部検者端末5に入力する。出力制御部201は、このメッセージに応じた文字列や音声を出力するための制御を実行する。それにより、角膜が乾いて視力が低下することを防止することができる。なお、眼科検査装置2、管理サーバ4、外部検者端末5等が、前眼部像を解析することにより、所定時間瞬きを行っていないことを検知するよう構成できる。この場合、文字列や音声を自動で出力することや、所定時間瞬きを行っていないことを検者に報知することが可能である。
【0108】
検査を行っているとき、検査の方法を提示したり、検査の進行を促すための指示を提示したりすることができる。例えば、視力検査において、被検者の応答の正解/不正解に応じたメッセージを出力することができる。また、キャラクタを検査自体に利用することが可能である。例えば、被検者の注意を引きつけるために蛇の形態のキャラクタを回転させ、所定のタイミングでキャラクタからランドルト環に切り替え表示することができる。また、不等像視検査等の両眼視機能検査において、動物の形態のキャラクタを融像視標(固視標)の提示位置に提示し、これを回転させることによって固視を促すことができる。動物の形態のキャラクタは、所定のタイミングで通常の融像視標(固視標)に切り替え表示される。なお、キャラクタから視標に切り替えるためのタイミングの例として、所定時間が経過したタイミングや、被検眼Eがキャラクタを注視したことが前眼部像から検出されたタイミングがある。
【0109】
検査の終了後に検査結果や医学的事項を被検者に説明することがある。そのためにキャラクタを利用することができる。このとき、説明の理解を容易にするための画像や文字列を更に表示することができる。例えば、正視、近視、遠視が発生するメカニズムを表す画像をキャラクタとともに表示しつつ、音声情報で説明を行うことができる。
【0110】
検査の前に行われる問診をキャラクタを利用して行うことができる。問診では、例えば、視力矯正具(眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ等)の使用の有無・頻度や、既往歴などを、キャラクタ、文字列、音声等を組み合わせて被検者に質問することができる。
【0111】
外部検者端末5の音声入力装置524により入力された検者の音声を、キャラクタに応じた合成音声に変換して出力することができる。音声の変換は、外部検者端末5、管理サーバ4、又は眼科検査装置2によって実行される。出力制御部201は、検者の音声を変換して得られた合成音声を音声出力装置233に出力させる。
【0112】
外部検者端末5の音声入力装置524により入力された検者の音声を、被検者の属性に応じて変換することができる。例えば、検者の音声を被検者の使用言語に翻訳することができる。言語の変換(翻訳)は、公知の音声解析技術及び翻訳技術を利用して実現される。そのためのハードウェア及びソフトウェアは、外部検者端末5、管理サーバ4及び眼科検査装置2のいずれかに設けられる。出力制御部201は、検者の音声を翻訳して得られた内容を表す合成音声を生成し、これを音声出力装置233に出力させることができる。なお、被検者の使用言語に応じた処理に関する更なる事項については後述する。
【0113】
被検眼Eの視力に関する情報(視力値、屈折度数等)が予め取得された場合、出力制御部201は、この情報に基づいて、キャラクタや文字列や画像の表示サイズを調整することができる。出力制御部201は、視力値及び/又は屈折度数と表示サイズとが関連付けられたテーブル情報を予め記憶している。出力制御部201は、被検眼Eの視力値及び/又は屈折度数に関連付けられた表示サイズを選択し、選択された表示サイズでキャラクタ等をLCD214に表示させる。
【0114】
〈使用形態の第2の例〉
眼科検査システム1の使用形態の第2の例として、2以上の検者がそれぞれのキャラクタ(アバター)を介して単一の被検者をアシストするための使用形態を図8を参照しつつ説明する。
【0115】
本例では、一人の内部検者と一人の外部検者とが単一の被検者をアシストしているが、二人以上の内部検者が単一の被検者をアシストすることや、二人以上の外部検者が単一の被検者をアシストすることや、一人以上の内部検者と二人以上の外部検者とが単一の被検者をアシストすることや、二人以上の内部検者と一人以上の外部検者とが単一の被検者をアシストすることも可能である。
【0116】
また、本例では被検者の使用言語に応じて検者を選択する場合について説明するが、検者の選択において参照することが可能な属性の種別は言語には限定されず、任意の属性であってもよい。例えば、被検者が高齢である等の理由で検査を円滑に行えない場合などにおいても、以下と同様の処理を実行することが可能である。なお、上記第1の例と同様のステップや処理については説明を省略することがある。
【0117】
(S21:検査開始)
本例では、日本語以外の言語(例えば英語)を母語とする被検者であって日本語の理解が不十分な被検者が、日本国内の施設に設置された眼科検査装置2を用いて検査を行う場合について説明する。眼科検査装置2を用いた被検眼Eの検査が開始される。
【0118】
なお、この段階(又はそれ以前の問診等の段階)からキャラクタを表示することができる。この段階では検者のアシストは提供されていないので、出力制御部201(キャラクタ制御部202)が検査状況情報に基づき自律的にキャラクタを制御する。このような自律的な制御は、コンピュータプログラムにしたがって実行される。
【0119】
(S22:言語を理解不能)
眼科検査装置2は、被検者に向けた検査の説明や指示(自動ナビゲーション)を、予め設定された言語で行う。本例では日本語で説明等を行うように設定されている。本例の被検者は、日本語で行われる自動ナビゲーションを理解できない。
【0120】
(S23:検者を呼び出し)
検者のアシストを要求するために被検者が所定の操作や音声入力を行うと、通信要求生成部22bがこれに基づく通信要求(呼び出し要求)を生成し、通信部24がこの通信要求及び所定の情報を管理サーバ4に送信する。或いは、眼科検査装置2の検査状況情報生成部22aが検査状況情報を生成し、通信要求生成部22bがこれに基づく通信要求(呼び出し要求)を生成し、通信部24がこの呼び出し要求及び所定の情報を管理サーバ4に送信する。
【0121】
(S24:内部検者端末を選択)
管理サーバ4は、ステップS23で眼科検査装置2から送信された検者呼び出し要求及び情報を通信部43によって受信する。この段階では、選択部412は、当該被検者をアシストする検者として、当該被検者が検査を行っている施設に存在する内部検者端末3のいずれかを選択する。
【0122】
(S25:通信確立の制御)
通信制御部401は、ステップS24で選択された内部検者端末3に、この内部検者端末3と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。
【0123】
(S26:アバターの制御開始)
ステップS25の制御によって眼科検査装置2と内部検者端末3との間の通信が確立されると、キャラクタ制御部202は、この内部検者端末3を使用する内部検者のキャラクタ(内部検者アバター)をLCD214に表示させる。内部検者が内部検者端末3を利用して指示を入力すると、その指示内容を含む指示情報が、管理サーバ4を経由して又は直接に、眼科検査装置2に送信される。出力制御部201は、この指示情報に基づいて内部検者アバターの動作を制御する。それにより、内部検者は被検者の状況を確認したり指示を送ったりすることができる。
【0124】
(S27:アシストNG)
この内部検者が状況に対応できる場合、被検者のアシストを継続する(図示省略)。他方、状況に対応できないと判断した場合、内部検者は、外部検者にアシストを依頼するためにステップS28に進む。以下、後者の場合を説明する。
【0125】
(S28:外部検者の呼び出し)
内部検者は、外部検者にアシストを依頼するために、内部検者端末3を用いて所定の操作を行う。この操作は、例えば、被検者の使用言語の選択操作を含んでいてよい。なお、ステップS23において眼科検査装置2から管理サーバ4に送信された呼び出し要求又は情報に、被検者の使用言語(英語)を示す情報が含まれている場合などには、内部検者は使用言語の選択操作を行う必要はない。通信部32は、外部検者を呼び出すための通信要求(及び所定の情報)を管理サーバ4に送信する。
【0126】
(S29:外部検者端末を選択)
管理サーバ4は、ステップS28で内部検者端末3から送信された通信要求等を通信部43によって受信する。この段階では、選択部412は、属性情報を参照することで、英語を使用可能な外部検者(又は外部検者端末5)を選択する。このとき、英語を使用可能な外部検者それぞれの稼働状態に応じて一の外部検者を選択することができる。
【0127】
(S30:通信確立の制御)
通信制御部401は、ステップS29で選択された外部検者端末5に(又は、ステップS29で選択された外部検者が使用している外部検者端末5に)、この外部検者端末5と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。
【0128】
(S31:双方向通信の開始)
ステップS30で送信された制御信号により、外部検者端末5と眼科検査装置2との間の双方向通信が確立される。このとき、内部検者端末3と外部検者端末5との間の通信を確立することが可能である。また、内部検者端末3と眼科検査装置2との間の通信の確立を継続することも可能である。
【0129】
(S32:アバターの制御開始)
ステップS31において眼科検査装置2と外部検者端末5との間の双方向通信が開始されると、キャラクタ制御部202は、この外部検者端末5を使用する外部検者のキャラクタ(外部検者アバター)をLCD214に表示させる。それにより、LCD214には、内部検者アバターと外部検者アバターの双方が表示される。内部検者アバターの動作制御は、ステップS26で説明した要領で実行される。
【0130】
一方、外部検者が外部検者端末5を利用して指示を入力すると、その指示内容を含む指示情報が、管理サーバ4を経由して眼科検査装置2に送信される。出力制御部201は、この指示情報に基づいて外部検者アバターの動作を制御する。それにより、外部検者は、英語を使用しつつ被検者の状況を確認したり指示を送ったりすることができる。内部検者と外部検者は互いに協力して被検者をアシストすることが可能である。
【0131】
内部検者と外部検者との間のやり取りの少なくとも一部を被検者に提示しないように制御を行うことが可能である。その際、内部検者及び外部検者は、自身が入力した情報が被検者向けであるか他の検者向けであるかを区別するための操作を行うことができる。例えば、他の検者向けの情報を入力するためのソフトウェアキー(及び/又は、被検者向けの情報を入力するためのソフトウェアキー)をGUIに設けることができる。他の検者向けの情報が入力された場合、管理サーバ4(転送制御部402)は、他の検者端末にのみその情報を転送する。例えば、そのような情報が外部検者端末5に入力された場合、転送制御部402は、この情報を内部検者端末3にのみ送信する。他の処理例として、他の検者向けの情報が入力された場合、眼科検査装置2の出力制御部201は、その情報の付帯情報(フラグ等)に基づいて情報の出力の有無を切り替えることができる。例えば、外部検者端末5又は内部検者端末3から入力された情報を受けたとき、出力制御部201は、この情報に所定のフラグ(例えば他の検者向け情報であることを示すフラグ)が付帯されているかを判定し、付帯されていない場合にはこの情報を出力させる制御を実行し、付帯されている場合には当該制御を行わない。
【0132】
本例によれば、検査を円滑に行えない被検者がいるときに、この被検者に対する直接のコミュニケーションを迅速に開始することができる。それにより、被検者に安心感を与えることができる。この直接のコミュニケーションによって問題が解決されない場合であっても、その解決に適した外部検者を自動で選択して遠隔アシストを提供することが可能である。したがって、様々な属性の内部検者を各施設に常時配置しなくても、様々な被検者に対応することが可能である。更に、複数の検者(例えば内部検者及び外部検者)が共同して被検者のアシストを行うことができる。特に、各検者のアバターを通じて被検者に指示を伝えることができるので、被検者に安心感を与えつつ適切なアシストを提供することが可能である。
【0133】
〈使用形態の第3の例〉学習内容の利用
眼科検査システム1の使用形態の第3の例では、検者からの指示に応じて実行された制御を学習する処理と、この学習内容を制御に反映させるための処理とを説明する。前者の処理の例を図9に示し、後者の処理の例を図10に示す。
【0134】
(S41:アシストの開始)
まず、図9を参照しつつ学習処理について説明する。例えば前述した要領で、検者によるアシストが開始される。本例では、外部検者がアシストする場合について説明するが、内部検者がアシストする場合についても同様の処理を行うことができる。
【0135】
(S42:検査状況情報等の送信)
眼科検査装置2は、検査状況情報等を管理サーバ4に送信する。前述したように、検査状況情報は、検査の進行状況(検査のフェーズ)、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)、検査時間(例えば、検査開始時刻、経過時間)などを含むものであり、特に、検査に問題が生じているときに生成されて送信される。
【0136】
(S43:検査状況情報の記憶)
管理サーバ4は、ステップS42で眼科検査装置2から送信された検査状況情報を受信する。制御管理部42は、この検査状況情報を眼科検査装置2の装置IDとともに記憶部421に格納する。
【0137】
(S44:検査状況情報等の転送)
転送制御部402は、眼科検査装置2からの検査状況情報等を外部検者端末5に転送する。ステップS43、S44を実行する順序は任意であり、また、これらを並行して実行することも可能である。
【0138】
(S45:指示の入力)
外部検者端末5は、ステップS44で転送された検査状況情報等を受信し、情報を出力する(情報の表示、音声の出力等)。外部検者は、出力された情報を参照し、指示を入力する。
【0139】
(S46:指示情報の送信)
外部検者端末5は、ステップS45で入力された指示の内容に応じた指示情報を生成し、管理サーバ4にこれを送信する。
【0140】
(S47:指示情報の記憶)
管理サーバ4は、ステップS46で送信された指示情報を受信する。制御管理部42は、この指示情報を記憶部421に格納する。このとき、制御管理部42は、例えば眼科検査装置2の装置ID等を参照することにより、この指示情報とステップS43で格納された検査状況情報とを互いに関連付ける。このとき、前述したように、検査状況情報の分類等を行うことができる。
【0141】
(S48:指示情報の転送)
転送制御部402は、外部検者端末5からの指示情報を眼科検査装置2に転送する。ステップS47、S48を実行する順序は任意であり、また、これらを並行して実行することも可能である。
【0142】
(S49:情報の出力(キャラクタの制御等))
眼科検査装置2は、ステップS48で転送された指示情報を受信する。出力制御部201は、この指示情報に基づいてLCD214、表示装置231、音声出力装置233等を制御する。例えば、キャラクタ制御部202は、指示情報に基づいてキャラクタの動作の制御を実行する。
【0143】
(S50:制御情報の送信)
眼科検査装置2は、ステップS49で実行された制御の内容を示す制御情報を生成し、これを管理サーバ4に送信する。
【0144】
(S51:制御情報の記憶)
管理サーバ4は、ステップS50で眼科検査装置2から送信された制御情報を受信する。制御管理部42は、この制御情報を記憶部421に格納する。このとき、制御管理部42は、例えば眼科検査装置2の装置ID等を参照することにより、この制御情報とステップS43で格納された検査状況情報と(ステップS47で格納された指示情報と)を互いに関連付ける。このとき、前述したように、検査状況情報の分類等を行うことができる。
【0145】
なお、指示情報の記憶(ステップS47)と制御情報の記憶(ステップS51)の一方のみを実行するよう構成してもよい。指示情報の記憶(ステップS47)のみを実行する場合、前述した要領で指示情報から制御情報を生成することができる。
【0146】
以上のような処理を繰り返すことにより、検査において発生した状況(イベント等)と、それに対する検者の指示の内容(つまり、その状況に対して眼科検査装置2が実行した制御の内容)との対応関係が蓄積される。蓄積された情報の利用方法の例を図10を参照しつつ以下に説明する。
【0147】
(S61:アシストの開始)
例えば前述した要領で、検者によるアシストが開始される。なお、以下の処理には検者は登場しないので、図10における外部検者端末5等の記載は省略されている。
【0148】
(S62:検査状況情報の送信)
眼科検査装置2は、検査状況情報を管理サーバ4に送信する。
【0149】
(S63:制御情報の検索)
管理サーバ4は、ステップS62で眼科検査装置2から送信された検査状況情報を受信する。検索部422は、記憶部421に蓄積されている検査状況情報(又はその類)のうち、眼科検査装置2から今回受信した検査状況情報に相当するものを探索し、探索された検査状況情報(又はその類)に関連付けられた制御情報を取得する。それにより、ステップS62で送信された検査状況情報に対応する制御情報が検索される。
【0150】
なお、新たな検査状況情報に対応する制御情報が検索されない場合、図9のケースと同様に、外部検者端末5にアシストを要求する。そして、外部検者端末5からの指示情報や、この指示情報に応じて眼科検査装置2が実行した制御の内容を表す制御情報とともに、新たな検査状況情報が記憶部421に格納される。
【0151】
(S64:制御情報の送信)
管理サーバ4は、ステップS63で検索された制御情報を眼科検査装置2に送信する。
【0152】
(S65:情報の出力(キャラクタの制御等))
眼科検査装置2は、ステップS64で送信された制御情報を受信する。出力制御部201は、この制御情報に基づいてLCD214、表示装置231、音声出力装置233等を制御する。例えば、キャラクタ制御部202は、制御情報に基づいてキャラクタの動作の制御を実行する。
【0153】
このような処理により、眼科検査装置2を用いた検査中に問題が発生した場合、この問題(又はそれに類する問題)が過去に発生したときに検者が実際に行ったアシストを自動で再現することが可能となる。
【0154】
〈検査種別に応じた制御モードの切り替え〉
実施形態において、眼科検査装置は複数の検査を実施可能であってよい。この場合、検査の種別に応じてキャラクタ(及び、情報表示、音声出力等)の制御モードを切り替えることができる。以下、このようなモード切り替えを実行可能なシステムの例を説明する。
【0155】
実施形態に係る眼科検査システムに含まれる眼科検査装置の構成の例を図11に示す。なお、本例では、制御モードの切り替えを行うための要素が眼科検査装置に設けられているが、当該要素の一部又は全部を他の装置(例えば管理サーバ)に設けることも可能である。
【0156】
図11に示す眼科検査装置2Aは、制御部20にモード切替部220が設けられている点において図2に示す眼科検査装置2と異なる。眼科検査装置2のそれ以外の構成や、内部検者端末3の構成や、管理サーバ4の構成や、外部検者端末5の構成は、上記実施形態と同様であってよい。
【0157】
モード切替部220は、制御モードに関する各種の処理を実行する。モード切替部220は、プロセッサ、記憶装置等を含む。モード切替部220にはモード情報記憶部221が設けられている。モード情報記憶部221には、第1制御モード情報が予め記憶されている。第1制御モード情報には、眼科検査装置2Aを用いて実施可能な検査の種別のそれぞれに対して制御モードが対応付けられている。
【0158】
典型的な例において、眼科検査装置2Aは、視力検査装置、レフラクトメータ及びケラトメータとして機能するよう構成される。視力検査装置は、視力検査用の視標(ランドルト環等)を眼底に投影する光学系と、投影された視標に対する被検者の応答を受け付ける入力装置と、各種処理を実行するプロセッサとを含む。プロセッサは、眼底に投影される視標を被検者の応答に応じて切り替える処理や、被検者の応答の履歴に基づいて被検眼の視力値を決定する処理などを実行する。レフラクトメータは、リング状光束を眼底に投影する光学系と、このリング状光束の眼底からの戻り光を撮像素子で検出する光学系と、撮像素子からの出力(リング状画像)を解析して被検眼の球面度、乱視度、乱視軸角度等を算出するプロセッサとを備える。ケラトメータは、リング状光束を角膜に投影する光学系と、このリング状光束の角膜からの戻り光を撮像素子で検出する光学系と、撮像素子からの出力(リング状画像)を解析して角膜曲率分布等を求めるプロセッサとを備える。
【0159】
第1制御モード情報には、例えば、視力検査装置が用いられるときに適用される視力検査モードにおける制御内容と、レフラクトメータが用いられるときに適用されるレフモードにおける制御内容と、ケラトメータが用いられるときに適用されるケラトモードにおける制御内容とが含まれている。
【0160】
眼科検査装置2Aを用いて実施される検査の種別は、例えばユーザインターフェイス23を用いて入力される。なお、所望の検査を選択的に指定することもできるし、複数の検査を所定の順序で行うように指定することもできる。モード切替部220は、指定された検査の種別に対応する制御モードの情報をモード情報記憶部221(第1制御モード情報)から取得し、出力制御部201にこれを送る。
【0161】
出力制御部201は、モード切替部220から送られた情報に基づいてLCD214、表示装置231、音声出力装置233等を制御する。例えば、キャラクタ制御部202は、モード切替部220から送られた情報に基づいて、LCD214に表示させるキャラクタの選択や、キャラクタの動作の制御を実行する。このような実施形態によれば、検査の種別に応じてキャラクタの動作制御等を好適に実行することが可能である。
【0162】
〈被検者属性に応じた制御モードの切り替え〉
様々な属性の被検者が眼科検査装置を使用する。被検者の属性の典型的な例として、使用言語、疾患の有無、疾患名、性別、年齢等がある。以下、このような被検者属性に応じて制御モードを切り替えることが可能なシステムの例を説明する。
【0163】
実施形態に係る眼科検査システムに含まれる管理サーバの構成の例を図12に示す。なお、本例では、制御モードの切り替えを行うための要素が管理サーバに設けられているが、当該要素の一部又は全部を他の装置(例えば眼科検査装置)に設けることも可能である。
【0164】
図12に示す管理サーバ4Aは、モード管理部44が設けられている点において図5に示す管理サーバ4と異なる。管理サーバ4のそれ以外の構成や、眼科検査装置2の構成や、内部検者端末3の構成や、外部検者端末5の構成は、上記実施形態と同様であってよい。なお、管理サーバ4Aは、図5に示す制御管理部42を備えていてもいなくてもよい。
【0165】
モード管理部44は、眼科検査装置2の制御モードに関する各種の処理を実行する。モード管理部44は、プロセッサ、記憶装置等を含む。モード管理部44には、モード情報記憶部441と、モード情報検索部442と、モード処理部443とが設けられている。
【0166】
モード情報記憶部441には、第2制御モード情報が予め記憶されている。第2制御モード情報には、被検者属性のそれぞれに対して制御モードが対応付けられている。
【0167】
典型的な例として被検者属性が言語の種別を含む場合について説明する。言語の種別には、例えば、日本語、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語等がある。第2制御モード情報には、これら言語それぞれに対応する動作モードにおける制御内容が含まれている。例えば、第2制御モード情報は、次のいずれかを含んでいてよい:各言語に対応する文字列情報や音声情報;各言語に対応する外部検者のID又は外部検者端末のID;各言語に対応する翻訳プロセッサ、翻訳辞書等。図示は省略するが、翻訳プロセッサや翻訳辞書は、管理サーバ4A及び外部検者端末5のいずれかに設けられる。
【0168】
眼科検査装置2を利用する被検者の属性(本例では使用言語)は、例えば眼科検査装置2のユーザインターフェイス23を用いて入力される。また、被検者の状況(検査の状況)を監視している検者が自身の端末を用いて被検者属性を入力することも可能である。また、被検者が入力した音声を解析して言語の種別を特定するように構成してもよい。これらは属性受付部の例である。
【0169】
被検者の使用言語が入力されると、モード情報検索部442は、入力された言語の種別に対応する制御モードの情報をモード情報記憶部441(第2制御モード情報)から取得する。モード処理部443は、取得された制御モードの情報に基づいて、例えば次のような処理を実行する。
【0170】
モード情報検索部442により検索された情報に、当該言語に対応する文字列情報や音声情報が含まれている場合、モード処理部443は、検索された情報を眼科検査装置2に送信するように通信部43を制御する。眼科検査装置2の出力制御部201は、管理サーバ4Aから送られた情報に基づいてLCD214、表示装置231、音声出力装置233等を制御する。例えば、キャラクタ制御部202は、この情報に基づいて、LCD214に表示させるキャラクタの選択や、キャラクタの動作の制御を実行する。それにより、眼科検査装置2により出力される情報の言語を被検者の使用言語に自動で切り替えることができる。
【0171】
モード情報検索部442により検索された情報に、当該言語に対応する外部検者のID又は外部検者端末のIDが含まれている場合、モード処理部443は、この外部検者端末5に向けてアシスト要求を送るように通信部43を制御する。それにより、被検者の使用言語でアシストを提供可能な外部検者を自動で探索することができる。
【0172】
モード情報検索部442により検索された情報に、当該言語に対応する翻訳プロセッサ、翻訳辞書等の情報が含まれている場合、モード処理部443は、基準言語(例えば眼科検査装置2が設置されている国や地域における標準言語)と被検者の使用言語との間の翻訳に対応する翻訳プロセッサに処理開始要求を送る。それにより、検者の指示を被検者の使用言語に翻訳して眼科検査装置2から出力することや、被検者の発した音声を基準言語に翻訳して外部検者端末5や内部検者端末3から出力することが可能となる。
【0173】
〈眼科検査装置の変形例〉
検査光学系と情報提示光学系とが別々に配置された例を図13に示す。眼科検査装置2Bの検査部21Aにおいて、被検眼Eの検査に用いられる検査光学系は、被検眼Eに適用される光学素子215と、被検眼Eを検査するための検査光束を光学素子215を介して被検眼Eに投射する投射系216とを含む。また、被検者に情報を提示するための情報提示光学系は、LCD217(表示部)と、LCD217から出力された表示光束を光学素子215を介して被検眼Eに導く導光系218とを含む。情報提示光学系によって提示される情報としては、眼科検査装置2Bにより自動で提示される情報や、内部検者端末3から送信された情報(内部検者からの指示等)や、外部検者端末5から送信された情報(外部検者からの指示等)などがある。更に、LCD217には、キャラクタが表示される。LCD217に表示されたキャラクタの動作の制御は、図示しない出力制御部201内のキャラクタ制御部202によって実行される。キャラクタの表示や動作制御については、上記実施形態と同様である。
【0174】
検査光学系の光路と情報提示光学系の光路とは、ビームスプリッタ219によって合成される。ビームスプリッタ219は、例えば、ハーフミラー、ダイクロイックミラー又は偏光ビームスプリッタである。なお、検査部21以外の構成要素については図2におけるそれらと同様であってよい。
【0175】
図2のように検査光学系と情報提示光学系とを共通に構成するか、或いは、図13のようにこれらを個別に構成するかは、例えば眼科検査装置が備える機能に応じて決定される。
【0176】
〈検者端末による情報の提示〉
検者に情報を提示するための構成及び処理について説明する。上記のように、外部検者は、遠隔地から被検者をアシストする。したがって、被検者の状況を適切に把握するための情報を適切なタイミング及び適切なインターフェイスで提示できることが望ましい。なお、内部検者に対する情報の提示についても同様に行うことが可能である。この場合、外部検者端末5における情報の提示と内部検者端末3における情報の提示とを同期させるように管理サーバ4(特に転送制御部402)が制御を行うことができる。
【0177】
外部検者端末5の制御部50は、図14に示す画面1000を表示装置521に表示させる。画面1000には、提示情報表示領域1010L及び1010Rと、通信内容表示領域1020と、利用状況表示領域1030と、被検者情報表示領域1040と、提示情報操作領域1050とが設けられている。
【0178】
提示情報表示領域1010L及び1010Rには、それぞれ、被検者の左眼及び右眼に提示されている情報が表示される。本例では、眼科検査装置2は、被検者の左右両眼に同時に情報を提示可能に構成されている。この眼科検査装置2には、例えば、左眼用の検査光学系及び情報提示光学系と、右眼用の検査光学系及び情報提示光学系とが互いに独立に設けられている(例えば、左眼用光学ヘッドと右眼用光学ヘッドとが設けられている)。他の例として、この眼科検査装置2は、単一の検査光学系からの光束を二分割し、一方を左眼に、他方を右眼にそれぞれ導くように構成されていてもよい。更に他の例として、この眼科検査装置2は、単一の情報提示光学系からの光束を二分割し、一方を左眼に、他方を右眼にそれぞれ導くように構成されていてもよい。左右両眼に同時に情報を提示可能な構成はこれらに限定されず、任意の構成であってよい。
【0179】
図14に示す提示情報表示領域1010L及び1010Rには、両眼視機能検査用の視標が表示されている。これらは、眼科検査装置2により被検者に現在提示されている視標である。現在提示されている視標を示す情報は、眼科検査装置2から管理サーバ4に送信され、更に、転送制御部402により外部検者端末5に転送される。制御部50は、管理サーバ4から転送された情報に基づいて、眼科検査装置2が現在提示している視標の種別を特定し、特定された視標を表す画像を提示情報表示領域1010L及び1010Rに表示させる。視標を表す画像は、例えばサムネイルとして制御部50内の記憶装置(図示せず)に予め記憶されている。眼科検査装置2により提示される視標が変更されると、上記転送処理をリアルタイムで実行する。それにより、外部検者は、眼科検査装置2により提示されている視標を実質的にリアルタイムで認識することができる。
【0180】
提示情報表示領域1010等に、被検者に提示されているキャラクタを表示させることができる。例えば、画面1000を見ている検者(外部検者)のアバターを表示させることができる。更に、眼科検査装置2のキャラクタ制御部202による制御内容を管理サーバ4を介してリアルタイムで取得することにより、提示情報表示領域1010等に表示されているアバターの動作を制御することも可能である。なお、キャラクタが表示される領域は提示情報表示領域1010等には限定されず、他の表示領域であってもよいし、専用の表示領域を設けてもよい。
【0181】
通信内容表示領域1020には、検者と被検者との間の通信内容、特に、検者から被検者に提供された支援の内容が表示される。表示される支援の内容は、外部検者により提供された支援の内容、内部検者により提供された支援の内容、及び、被検者からの情報(質問内容、応答内容等)のうちの少なくともいずれかを含んでよい。また、ユーザ(外部検者、内部検者、被検者)毎の情報を通信内容表示領域1020に切り替え表示できるようにしてもよい。また、1以上のユーザからの情報を時系列順に表示させることも可能である。
【0182】
図14に示す例では、管理センタ「A」内の外部検者(画面1000を使用している本人)が発した質問の内容と、それに対する被検者の応答の内容とが、通信内容表示領域1020に表示されている。なお、検者や被検者が発した音声情報を公知の音声認識技術を用いてテキスト化して表示することも可能である。また、所定の操作に対して予め関連付けられたテキスト情報を表示するようにしてもよい。
【0183】
利用状況表示領域1030には、眼科検査装置2が設置されている複数の施設の名称「店舗A」、「店舗B」等が表示されている。更に、これら施設のうちから外部検者又は管理サーバ4等が選択した施設(例えば店舗B)に設置された複数の眼科検査装置2の識別情報「装置1」、「装置2」等が表示されている。
【0184】
図14に示す例では、施設の名称の左側に提示されたマークが選択の有無を示している。例えば、店舗Aや店舗Cに付された白星マークは、その施設が選択されていないことを示し、店舗Bに付された黒星マークは、その施設が選択されていることを示す。なお、このような星マーク群をラジオボタンとして構成することができる。この場合、外部検者は、これら施設のうちから所望の1つを選択することができる。
【0185】
更に、選択された店舗Bに設置された装置の識別情報の左側に提示されたマークも同様に、外部検者又は管理サーバ4等による選択の有無を示している。図14に示す例では、白丸マークは選択されていないことを示し、黒丸マークは選択されていることを示している。図14に示す例では、この外部検者が支援を担当する眼科検査装置2(被検者)として、店舗Bに設置された識別情報「装置1」の眼科検査装置2が選択されている。なお、このような丸マーク群をラジオボタンとして構成することができる。この場合、外部検者は、これら眼科検査装置2のうちから所望の1つを選択することができる。
【0186】
眼科検査装置2の識別情報の右側には、時間情報(例えば、支援を開始した時刻、支援開始からの経過時間等)と、眼科検査装置2に関する通信確立状態(通信モード)とが提示されている。
【0187】
ここで通信モードについて説明する。本実施形態では、4つの通信モードを選択的に適用することができる。また、一の通信モードから他の通信モードへの移行を任意に行うことが可能である。
【0188】
通信モード1は、眼科検査装置2による検査を被検者が単独で行っている状態を示す。通信モード1では、内部検者からも外部検者からも被検者は支援を受けておらず、眼科検査装置2は、内部検者端末3との間の通信も、外部検者端末5との間の通信も確立されていない。なお、前述したように、通信モード1が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報(検査状況情報、画面1000に表示される情報等)を内部検者端末3及び外部検者端末5の少なくとも一方に転送することができる。それにより、眼科検査装置2による検査を監視することができ、検者は、必要に応じて通信要求を発して支援を開始することができる。また、被検者が支援を要請したとき、その要請に迅速に対応することができる。
【0189】
通信モード2は、外部検者からの支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード2では、眼科検査装置2と外部検者端末5との間の通信が確立されている。なお、前述したように、通信モード2が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報を内部検者端末3に転送することができる。それにより、内部検者は、例えば、直接アシストする必要が生じたときに迅速に対応することができる。
【0190】
通信モード3は、内部検者からの支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード3では、眼科検査装置2と内部検者端末3との間の通信が確立されている。なお、前述したように、通信モード3が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報を外部検者端末5に転送することができる。それにより、外部検者は、例えば、内部検者が手に負えないような状況が発生したときに迅速に対応することができる。
【0191】
通信モード4は、内部検者及び外部検者の双方に支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード4では、眼科検査装置2、内部検者端末3、及び外部検者端末5の三者間の通信が確立されている。通信モード4は、例えば、内部検者と外部検者とが話し合う必要がある場合や、外部検者が内部検者に教育を施す場合などに適用される。なお、管理サーバ4の転送制御部402は、内部検者と外部検者との間の通信内容を眼科検査装置2に転送しないように制御を行うことが可能である。つまり、転送制御部402は次のような制御を行うことができる:内部検者から外部検者に向けた情報を外部検者端末5のみに転送する:外部検者から内部検者に向けた情報を内部検者端末3のみに転送する;内部検者から被検者に向けた情報を外部検者端末5及び眼科検査装置2に転送する;外部検者から内部検者に向けた情報を内部検者端末3及び眼科検査装置2に転送する;眼科検査装置2から出力された情報を外部検者端末5及び内部検者端末3に転送する。
【0192】
通信モードの切り替えは、被検者、内部検者、又は外部検者からの通信要求(呼び出し要求、割り込み要求)を受けた管理サーバ4によって実行される。例えば、通信モード1のときに被検者からの呼び出し要求が発生すると、通信モード2、3又は4に切り替えられる。どの通信モードに切り替えられるかは、例えば、被検者による指定や、検査状況情報の内容や、前述した属性などに応じて決定される。
【0193】
通信モード1のときに内部検者からの割り込み要求が発生すると、通信モード3又は4に切り替えられる。同様に、通信モード1のときに外部検者からの割り込み要求が発生すると、通信モード2又は4に切り替えられる。また、通信の切断(通信確立状態からの離脱)は、例えば、本人の選択や、被検者の選択や、検査の終了などに応じて行われる。
【0194】
被検者情報表示領域1040には、被検者に関する情報が提示される。図14に示す例では、被検者の各眼の測定値(屈折度、乱視度、乱視軸角度、加入度、視力値等)や、各眼の前眼部像や、被検者の顔画像などが表示される。更に、氏名、年齢、性別、疾患名、使用言語、検査困難度など、被検者に関する任意の情報を提示することも可能である。
【0195】
提示情報操作領域1050には、被検者に提示される情報を操作するためのGUI(ソフトウェアキー等)が設けられている。図14に示す例では、被検者に提示される視標を選択するためのGUI(視標の選択肢、度数変更用ダイヤル等)と、各種の操作ボタン(印刷、エクスポート等)とが設けられている。外部検者は、操作装置522を用いることで、提示情報操作領域1050に設けられたソフトウェアキー等を操作する。
【0196】
眼科検査装置2との通信が確立されている検者端末に、被検者に提示されているキャラクタを表示させることができる。例えば、被検者をアシストしている1以上の検者のそれぞれのアバターを表示させることができる。更に、眼科検査装置2のキャラクタ制御部202による制御内容を管理サーバ4を介してリアルタイムで取得することにより、各アバターの動作を制御することも可能である。
【0197】
〈作用・効果〉
実施形態の作用及び効果について説明する。
【0198】
実施形態の眼科検査システムは、眼科検査装置(眼科検査装置2等)と検査指示装置(内部検者端末3、外部検者端末5等)を含む。検査指示装置は、眼科検査装置に指示を送信するために検者により使用される。
【0199】
検査指示装置は、検査に関する指示情報を入力するための第1入力部(操作装置312、音声入力装置314、撮影部51、操作装置522、音声入力装置524等)と、第1入力部により入力された指示情報を眼科検査装置に向けて送信する第1通信部(通信部32、通信部54等)を備える。
【0200】
眼科検査装置は、検査光学系(検査光学系211等)と、情報提示光学系(LCD214、投射系213等)と、第2通信部(通信部24等)と、制御部(出力制御部220等)とを備える。検査光学系は、被検眼に適用される光学素子(光学素子212等)と、被検眼を検査するための検査光束を光学素子を介して被検眼に投射する投射系(投射系213等)とを含む。情報提示光学系は、表示部(LCD214等)と、表示部から出力された表示光束を光学素子を介して被検眼に導く導光系(投射系213等)とを含む。第2通信部は、検査指示装置から送信された指示情報を受信する。制御部は、所定のキャラクタ画像を表示部に表示させ、第2通信部により受信された指示情報に基づいてキャラクタ画像の動作を制御する。
【0201】
このような実施形態によれば、アバター等のキャラクタを利用して検者の意図(指示、アドバイス等)を被検者に伝えることが可能である。よって、遠隔検査において、検者の意図を分かりやすく被検者に伝えることが可能である。また、親しみやすいキャラクタを用いることにより、被検者が感じる不安を低減させることが可能である。
【0202】
実施形態において、眼科検査装置は、音声情報を出力する音声出力部(音声出力装置233等)を備えていてよい。更に、制御部は、第2通信部により受信された指示情報に基づく音声情報を音声出力部に出力させることができる。この構成によれば、キャラクタによる視覚的なアシストに加え、音声によって指示やアドバイスを送ることができる。
【0203】
実施形態において、制御部は、第2通信部により受信された指示情報に基づく文字列情報及び画像情報の少なくとも一方を表示部に表示させることができる。それにより、キャラクタによるアシストに加え、文字列や画像を利用して指示やアドバイスを送ることができる。
【0204】
実施形態の眼科検査システムは、眼科検査装置を用いた検査の状況を表す検査状況情報を生成する情報生成部(検査状況情報生成部22a等)を備えていてよい。更に、制御部は、情報生成部により生成された検査状況情報に基づいてキャラクタ画像の動作を制御することができる。この構成によれば、被検者や検査の状況に応じて迅速にかつ自律的にキャラクタを用いたアシストを提供することができる。
【0205】
実施形態の眼科検査システムは、情報生成部(検査状況情報生成部22a等)と、第1記憶部(記憶部421等)と、検索部(検索部422等)とを備えていてよい。情報生成部は、眼科検査装置を用いた検査の状況を表す検査状況情報を生成する。第1記憶部は、情報生成部により生成された検査状況情報と、第2通信部により受信された指示情報に基づき制御部により実行された制御を表す制御情報とを関連付けて記憶する。検索部は、情報生成部により生成された新たな検査状況情報に対応する制御情報を第1記憶部から検索する。更に、眼科検査装置の制御部は、検索部により検索された制御情報に基づいてキャラクタ画像の動作を制御することができる。この構成によれば、実際に検者が行った指示の内容を、被検者や検査の状況に応じて再現することができる。換言すると、実際に検者が行った指示の内容を学習し、キャラクタを自律的に制御することが可能である。
【0206】
実施形態の眼科検査システムは、検査指示装置として第1検査指示装置及び第2検査指示装置を含んでいてよい。第1及び第2検査指示装置の例として、1以上の内部検者端末3及び1以上の外部検者端末5がある。眼科検査装置の制御部は、第1キャラクタ画像及び第2キャラクタ画像を表示部に表示させることができる。更に、制御部は、第1検査指示装置からの指示情報に基づいて第1キャラクタ画像の動作を制御し、かつ、第2検査指示装置からの指示情報に基づいて第2キャラクタ画像の動作を制御することができる。この構成によれば、2(以上)の検者による同時アシストを、それぞれの検者に対応するキャラクタを利用して提供することができる。
【0207】
実施形態の眼科検査システムは、第2記憶部(モード情報記憶部221等)と、指定部(ユーザインターフェイス部23等)とを備えていてよい。第2記憶部には、眼科検査装置を用いて実施可能な検査の種別に制御モードが対応付けられた第1制御モード情報が予め記憶される。指定部は、眼科検査装置を用いて実施される検査の種別を指定するための機能を有する。更に、眼科検査装置の制御部は、指定部により指定された検査の種別に対応する制御モードでキャラクタ画像の動作を制御することができる。この構成によれば、検査種別に応じてキャラクタやその動作を切り替えることができるので、被検者に対してより分かりやすく指示やアドバイスを伝えることが可能となる。
【0208】
実施形態の眼科検査システムは、第3記憶部(モード情報記憶部441等)と、属性受付部(ユーザインターフェイス23等)と、制御モード処理部(モード情報検索部442、モード処理部443等)とを備えていてよい。第3記憶部には、被検者属性に制御モードが対応付けられた第2制御モード情報が予め記憶される。属性受付部は、眼科検査装置を利用する被検者の属性を受け付ける。制御モード処理部は、属性受付部により受け付けられた属性に対応する制御モードを第2制御モード情報から取得する。更に、眼科検査装置の制御部は、制御モード処理部により取得された制御モードでキャラクタ画像の動作を制御することができる。この構成によれば、被検者属性(言語、疾患、性別、年齢等)に応じてキャラクタやその動作を切り替えることができるので、被検者に対してより分かりやすく指示やアドバイスを伝えることが可能となる。
【0209】
実施形態において、被検者属性は、言語の種別を含んでいてよい。この場合、制御モード処理部は、属性受付部により受け付けられた属性に対応する言語で情報を出力するための処理を行うことができる。制御モード処理部が実行する処理の例として、検者からの指示の翻訳に関する処理、言語に応じて検者を選択する処理、言語に応じた文字列情報や音声情報を出力させる処理などがある。この構成によれば、アシストに使用する言語を被検者の使用言語に合わせることができる。
【0210】
実施形態において、眼科検査装置は、被検者が情報を入力するための第2入力部(操作装置232、音声入力装置234等)を備えていてよい。この場合、眼科検査装置の第2通信部は、第2入力部により入力された情報を検査指示装置に向けて送信する。検査指示装置の第1通信部は、眼科検査装置から送信された情報を受信する。更に、検査指示装置は、情報出力部(表示装置311、音声出力装置313、表示装置521、音声出力装置523等)と、第1通信部により受信された情報を情報出力部に出力させる出力制御部(制御部30、制御部50等)とを備える。この構成によれば、眼科検査装置と検査指示装置との間で双方向通信が可能となり、インタラクティブなアシストを提供することができる。
【0211】
また、実施形態によれば、遠隔検査において発生する様々な状況に対応することが可能となる。例えば、被検者の要望や検者の判断によって迅速に被検者をアシストすることができる。また、検査内容に対する被検者の理解の程度に応じ、適切なタイミングで適切な指示を出すことが可能となる。また、被検者に検者が付き添っていない場合であっても、被検者の様子や検査の進行状況等を実質的にリアルタイムで把握して被検者をアシストすることが可能である。また、アシストを好適に行うために必要な能力を持つ検者(専門性の高い検者、熟練者、外国語を使用可能な検者など)を的確に被検者に割り当てることが可能である。
【0212】
〈変形例〉
以上に説明した実施形態は本発明の典型的な例示に過ぎない。よって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
【0213】
例えば、外部検者等の熟練者が提供した指示内容を記録し、これを再生できるように構成することができる。指示内容の記録態様は、例えば、録画、録音、テキスト化などがある。
【0214】
また、以上に説明した実施形態や変形例を任意に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0215】
1 眼科検査システム
2 眼科検査装置
20 制御部
201 出力制御部
202 キャラクタ制御部
21 検査部
214 LCD
24 通信部
3 内部検者端末
4 管理サーバ
5 外部検者端末
51 撮影部
522 操作装置
524 音声入力装置
54 通信部

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14