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特開2022-177045ハロゲン含有難燃性ポリアミド組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177045
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ハロゲン含有難燃性ポリアミド組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20221122BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 5/02 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 5/12 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20221122BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20221122BHJP
   C09K 21/08 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/13
C08K5/02
C08K3/22
C08K5/12
C08K3/04
C08K3/00
C09K21/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137654
(22)【出願日】2022-08-31
(62)【分割の表示】P 2020521540の分割
【原出願日】2018-10-16
(31)【優先権主張番号】62/574,157
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,ショーン・ジェイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上昇したGWIT温度、改善された難燃性、優れた耐熱性、及び改善された破断伸び/靭性を提供するポリアミドにより、より高性能の熱可塑性樹脂を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂;臭素含有難燃剤;ヒンダードフェノール系熱安定剤;及び場合によって難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも1つを含む、グローワイヤー着火性及び伸び/靭性の特性の優れた組み合わせを提供する難燃性熱可塑性ポリアミド組成物が記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂;
臭素含有難燃剤;及び
ヒンダードフェノール系熱安定剤;
を含む難燃性ポリアミド組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂が、PA-4,6;PA-6,I;PA-6,T;PA-6,6;PA-6/6,6;及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
前記ポリアミド樹脂がPA-6,6である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
前記臭素含有難燃剤がビス(ペンタブロモフェニル)エタンである、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
前記ヒンダードフェノール系熱安定剤がN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
難燃相乗剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
前記難燃相乗剤が三酸化二アンチモンである、請求項6に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
可塑剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
前記可塑剤がジウンデシルフタレートである、請求項8に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
滑剤/離型剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項11】
前記滑剤/離型剤がN,N’-エチレンビスステアリルアミドである、請求項10に記載のポリアミド組成物。
【請求項12】
着色剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項13】
前記着色剤がカーボンブラックである、請求項12に記載のポリアミド組成物。
【請求項14】
酸スキャベンジャーを更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項15】
前記酸スキャベンジャーがゼオライト又はヒドロタルサイトである、請求項14に記載のポリアミド組成物。
【請求項16】
60~85重量%の前記ポリアミド樹脂;
5~35重量%の前記臭素含有難燃剤;
1~10重量%の前記難燃相乗剤;
0.01~5重量%の前記ヒンダードフェノール系熱安定剤;
0~5重量%の着色剤;
0.5~5重量%の可塑剤;
0~5重量%の滑剤;
0~5重量%の離型剤;及び
0~5重量%の酸スキャベンジャー;
を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項17】
請求項1又は請求項16に記載のポリアミド組成物から得られる物品。
【請求項18】
前記物品が電気部品又は電子部品である、請求項17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]ポリアミド樹脂は、それらの高い融点、高い再結晶温度(即ち、より速い射出成形サイクル時間)、高い流動性、靭性及び弾性、耐化学薬品性、固有のUL94-V2難燃性、耐摩耗性、及び全体的な機械特性により、数多くの用途での使用が見出される。その結果、ポリアミドは、ケーブルタイ、消費者及び工業用途(例えば、スポーツ用具、窓の断熱材、エアゾールバルブ、食品フィルム包装)、自動車/車両部品(例えば、ラジエーターエンドタンク、チャージエアクーラー、ファン及びシュラウド、プッシュ/プルケーブル)、工業用繊維(例えば、エアバッグ、タイヤコード)、及び電気/電子部品(例えば、コネクター、端子ブロック、電池シール、光起電素子、LED、回路遮断器)において使用するのに理想的である。
【背景技術】
【0002】
[0002]具体的には、電気/電子産業において、熱可塑性ポリアミドは、洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、HVACユニット等のような自動電気機器用途のための成形コネクタの製造において広く使用されている。国際標準規格IEC-60335-1は、家庭用電気機器及び類似の電気機器におけるこれらの熱可塑性組成物の性能を規定する。IEC-60335-1によれば、0.2アンペア以上で運転している電気導体と接触する熱可塑性部品は、熱可塑性部品に着火源(過熱部品など)が接触した場合に、最終製品が着火して炎を拡散することがないことを保証するために実行されるグローワイヤー着火性試験(GWIT)に合格しなければならない。特に、IEC-60695-2によれば、最終熱可塑性部品は、750℃で30秒間グローワイヤーと直接接触して維持して、いずれの着火事象も2秒以内に消火しなければならない。最終成形部品の可能性のある形状の多大なバリエーションにも関係なく最終部品がその形状にかかわらず安全要件を確実に満たすように、ベース樹脂は、標準の60×60mmプラーク形状で試験した場合に750℃のGWITを超えなければならない。
【0003】
[0003]歴史的に、塩素含有難燃剤は、前述のGWIT要件及び所望の難燃性等級を満足する試みにおいて、熱可塑性ポリアミド組成物において主に使用されてきた。難燃剤をポリアミド組成物に加えて、固体、液体又は気相で、化学的に(例えば、窒素の遊離によって)及び/又は物理的に(例えば、泡を生成することによって)作用させることができる。難燃剤は、典型的には、加熱、分解、着火、又は火炎拡散の間のような燃焼プロセスの特定の段階における燃焼を妨害する。
【0004】
[0004]従来の塩素含有難燃剤の例としては、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、ドデカクロロペンタシクロオクタデカ-7,15-ジエン(Dechlorane Plus(登録商標)25)、及びHET無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
[0005]より最近では、臭素含有難燃剤が、塩素含有難燃剤の使用に関連する望ましくない特徴(例えば、不安定性)がないという観点から大きく塩素含有難燃剤に代わって使用されている。臭素含有難燃剤の例としては、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO)、オクタブロモジフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂(TBBAエポキシ)、テトラブロモビスフェノールAカーボネート(TBBA-PC)、エチレン(ビステトラブロモフタル)イミド(EBTBPI)、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン(TTBPTA)、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA(DBP-TBBA)、ビス(ジブロモプロピル
)テトラブロモビスフェノールS(DBP-TBBS)、臭素化ポリフェニレンエーテル(BrPPE)(例えばポリ(ジ)ブロモフェニレンエーテルなど)、臭素化ポリスチレン(BrPPE)(例えば、ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、架橋臭素化ポリスチレンなど)、臭素化架橋芳香族ポリマー、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化スチレン-無水マレイン酸ポリマー、テトラブロモビスフェノールS(TBBS)、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(TTBNPP)、ポリブロモトリメチルフェニルインダン(PBPI)、及びトリス(ジブロモプロピル)-イソシアヌレート(TDBPIC)が挙げられる。
【0006】
[0006]熱可塑性材料中に導入するために望ましい臭素含有難燃剤は、熱可塑性材料の溶融加工中(例えば押出及び成形中)、並びに熱可塑性材料の難燃性及び機械的特性の整備中に、腐食性ガスの発生を最小限にする。このような難燃剤の例としては、臭素化ポリフェニレンエーテル(ポリ(ジ)ブロモフェニレンエーテル等を含む)、及び臭素化ポリスチレン(ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、架橋臭素化ポリスチレン等を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。臭素化ポリスチレンは、従来の熱可塑性組成物において最も一般的に使用される難燃剤の1つである。
【0007】
[0007]ハロゲン系難燃剤はまた、1種以上の難燃相乗剤と組み合わせて使用することもできる。従来の難燃相乗剤としては、酸化アンチモン(例えば、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、及びアンチモン酸ナトリウム)、酸化スズ(例えば、一酸化スズ及び二酸化スズ)、酸化鉄(例えば、酸化鉄(II)及びγ-酸化鉄)、酸化亜鉛、及びホウ酸亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
[0008]酸スキャベンジャーは、特に加工中にハロゲン含有ポリマーを安定化させることが知られている。酸スキャベンジャーとしての変性ゼオライトが、米国特許第6,531,526号に記載されている。
【0009】
[0009]また、ポリアミド樹脂中において熱安定剤を使用することもできる。従来の熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、トリアジン系安定剤、イオウ系安定剤、及び銅系安定剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,531,526号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】IEC-60335-1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[00010]電気/電子業界においては、電子部品の小型化/集積化の傾向があり、より高
性能の熱可塑性樹脂に対する需要が高まっている。本発明のポリアミドは、上昇したGWIT温度、改善された難燃性、優れた耐熱性、及び改善された破断伸び/靭性を提供することによって、これらの拡大された要求を満足することができる。上昇したGWIT温度と破断伸びとの独特な組み合わせにより、本発明のポリアミド組成物は、例えば自動機器産業を代表する装置において使用される種々のスナップフィット及びリビングヒンジコネクタにおいて長年感じられてきた必要性を満足し、IEC-60335-1の要件を首尾よく満たし、より高性能のポリマー材料に対する需要を満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[00011]本発明の一態様は、ポリアミド樹脂、臭素含有難燃剤、及びヒンダードフェノ
ール系熱安定剤を含む熱可塑性ポリアミド組成物である。
[00012]本発明の別の態様は、ポリアミド樹脂、臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノー
ル系熱安定剤;並びに難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも1つを含む熱可塑性ポリアミド組成物である。
【0014】
[00013]特定の実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂、
臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤;並びに難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも2つを含む。
【0015】
[00014]特定の実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂、
臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤;並びに難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも3つを含む。
【0016】
[00015]特定の実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂、
臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤;並びに難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも4つを含む。
【0017】
[00016]特定の実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂、
臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤;並びに難燃相乗剤、可塑剤、滑剤、離型剤、酸スキャベンジャー、及び着色剤の少なくとも5つを含む。
【0018】
[00017]代表的な実施形態においては、ポリアミド樹脂は、PA-4,6;PA-6,
I;PA-6,T;PA-6,6;PA-6/6,6;及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
[00018]特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂はPA-6,6である。
[00019]代表的な実施形態においては、PA-6,6樹脂は、高粘度、中粘度、及び低
粘度からなる群から選択される1以上である。特定の実施形態においては、PA-6,6は高粘度である。別の特定の実施形態においては、PA-6,6は中粘度である。別の特定の実施形態においては、PA-6,6は低粘度である。別の特定の実施形態においては、PA-66は高粘度及び低粘度の混合物である。
【0020】
[00020]特定の実施形態においては、臭素含有難燃剤はビス(ペンタブロモフェニル)
エタンである。
[00021]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は難燃相乗剤を更に
含む。
【0021】
[00022]特定の実施形態においては、難燃相乗剤は三酸化二アンチモンである。
[00023]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は可塑剤を更に含む
【0022】
[00024]特定の実施形態においては、可塑剤はジウンデシルフタレートである。
[00025]特定の実施形態においては、ヒンダードフェノール系熱安定剤は、N,N’-
ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)である。
【0023】
[00026]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は滑剤を更に含む。
[00027]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は離型剤を更に含む
【0024】
[00028]代表的な実施形態においては、滑剤/離型剤は、N,N’-エチレンビスステ
アリルアミド、ステアリン酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
[00029]特定の実施形態において、滑剤/離型剤はN,N’-エチレンビスステアリル
アミドである。
【0025】
[00030]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は着色剤を更に含む

[00031]特定の実施形態においては、着色剤はカーボンブラックである。
【0026】
[00032]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は酸スキャベンジャ
ーを更に含む。
[00033]特定の実施形態においては、酸スキャベンジャーは、ゼオライト又はヒドロタ
ルサイトである。
【0027】
[00034]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、60~85重量
%のポリアミド樹脂;5~35重量%の臭素含有難燃剤;0.01~5重量%のヒンダードフェノール系熱安定剤;1~10重量%の難燃相乗剤;0.5~5重量%の可塑剤;0~5重量%の滑剤;0~5重量%の離型剤(又は0~5重量%の滑剤/離型剤);0~5重量%の着色剤;及び0~5重量%の酸スキャベンジャーを含む。
【0028】
[00035]特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂はPA-6,6であり、ハロゲン
含有難燃剤はビス(ペンタブロモフェニル)エタンであり、難燃相乗剤は三酸化二アンチモンであり、可塑剤はジウンデシルフタレートであり、ヒンダードフェノール錯体はN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)であり、滑剤/離型剤はN,N’-エチレンビスステアリルアミドであり、着色剤はカーボンブラックであり、酸スキャベンジャーはゼオライト又はヒドロタルサイトである。
【0029】
[00036]本発明の別の態様は、熱可塑性ポリアミド組成物から得られるか又は製造され
る物品である。代表的な実施形態においては、物品は電気/電子部品である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[00037]本発明の難燃性ポリアミド組成物は、高いRTI値、並びに増加した加工性(
優れた伸び)及び延性のような望ましい機械的性質と組み合わさった、それらの安定して高いグローワイヤー着火温度(例えば800℃以上、例えば850℃以上)において従来の難燃性組成物よりも優れている。
【0031】
[00038]本発明の難燃性組成物のポリアミド樹脂成分は、特に限定されない。代表的な
実施形態においては、ポリアミド樹脂は、PA-6;PA-6,6;PA-6,10;PA-4,6;PA-11;PA-12;PA-12,12;PA-6,I;PA-6,T;PA-6,T/6,6-コポリアミド;PA-6,T/6-コポリアミド;PA-6/6,6-コポリアミド;PA-6,6/6,T/6,I-コポリアミド;PA-6,T/2-MPMDT-コポリアミド;PA-9,T;PA-4,6/6-コポリアミド;並びに前述のポリアミドの混合物及びコポリアミドからなる群から選択される。特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は、PA-4,6;PA-6,I;PA-6,T;PA-6,6;PA-6/6,6;及びそれらの混合物又はコポリアミドからなる群から選択される。代表的な実施形態においては、ポリアミド樹脂は、高粘度ポリアミド樹脂、中粘度ポリアミド樹脂、及び低粘度ポリアミド樹脂からなる群から選択される1以上である。特
定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は高粘度PA-6,6である。別の特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は中粘度PA-6,6である。別の特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は低粘度PA-6,6である。別の特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は、高粘度PA-6,6と低粘度PA-6,6の混合物である。別の特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は、PA-6,6とPA-6のコポリマーである。別の特定の実施形態においては、ポリアミド樹脂は微粉末の形態のPA-6,6である。
【0032】
[00039]従来の臭素含有難燃剤は、本発明の組成物において用いるのに一般に好適であ
る。特定の実施形態においては、臭素含有難燃剤は、商業的に入手できるSAYTEX(登録商標)8010(Albemarle)のようなビス(ペンタブロモフェニル)エタンである。
【0033】
[00040]歴史的に、ポリアミドのために好ましい熱安定剤は、それらの優れた耐熱老化
性のためにヨウ化銅又は酢酸銅であった。しかしながら、絶縁耐力、表面及び体積抵抗率、並びに比較トラッキング指数(CTI)のような電気特性に対するそれらの負の効果のために、これらの銅塩は、通常は電気/電子用途において使用するのには好適ではない。本発明の代表的な実施形態においては、熱安定剤はヒンダードフェノール錯体である。ヒンダードフェノール系安定剤の例としては、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド);ペンタエリトリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート];N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート];3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;及び1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレートが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態においては、熱安定剤はN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)であり、これはIrganox(登録商標)1098(BASF)、Lowinox(登録商標)HD98(Addivant)、Songnox(登録商標)1098(Songwon)のようないくつかの名称で商業的に入手できる。
【0034】
[00041]代表的な実施形態においては、本発明のポリアミド組成物は可塑剤を含む。可
塑剤は、組成物の流動性を増加させるのに役立ち、靭性/増加した破断伸びを与える。好適な可塑剤の例としては、ジウンデシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油、N-(n-ブチル)ベンゼンスルホンアミドのようなポリアミド中で一般に使用されるものが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な実施形態においては、可塑剤はジウンデシルフタレートであり、これはJayflex(登録商標)L11P(Exxon Mobil)及びPalatinol(登録商標)111P(BASF)の
ような幾つかの名前で商業的に入手できる。
【0035】
[00042]代表的な実施形態においては、本発明の組成物は滑剤/離型剤を含む。本発明
で使用するために好適な滑剤/離型剤としては、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸又はベヘン酸)、それらの塩(例えば、Caステアレート又はZnステアレート)、又はそれらのエステル若しくはアミド誘導体(例えば、N,N’エチレンビスステアリルアミド)、モンタンワックス(28~32炭素原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸から構成される混合物)、或いは低分子量ポリエチレンワックス又は低分子量ポリプロピレンワック
スが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な実施形態においては、滑剤/離型剤はN,N’-エチレンビスステアリルアミドであり、これはAcrawax(登録商標)として
商業的に入手できる。
【0036】
[00043]代表的な実施形態においては、本発明のポリアミド組成物は、安定化のための
酸スキャベンジャーを含む。特定の実施形態においては、酸スキャベンジャーは変性ゼオライトを含むゼオライトである。特定の実施形態においては、ゼオライトは約0.25~約1.5μmの範囲の平均粒径、約0.30~約3μmの90%未満粒径値(即ち、粒子の90重量%がその範囲より低い粒径を有する)、及び10重量%未満の含水率を有する。特定の実施形態においては、ゼオライトがアルミノシリケートゼオライトであり、M2/nO:[Al:[SiO:[HO](式中、Mは金属を表し、nは金属の原子価を表し、x、y、及びzは具体的なアルミノシリケートゼオライトに応じて変化する)の一般式を有していてよい。特定の実施形態においては、ゼオライトはゼオライトA(米国特許第2,822,243号)、ゼオライトX(米国特許第3,822,244号)、ゼオライトY(米国特許第3,130,007号)、ゼオライトL(ベルギー特許575,117号);ゼオライトF(米国特許第2,996,358号)、ゼオライトB(米国特許3,008,803号);ゼオライトM(米国特許第2,995,423号)、ゼオライトH(米国特許第3,010,789号)、ゼオライトJ(米国特許第3,011,869号)、及びゼオライトW(米国特許第3,102,853号)からなる群から選択される1以上である。別の代表的な実施形態においては、酸スキャベンジャーはアルカリ土類含有アルミニウムヒドロキシドカーボネートであり、これには、それらの水和状態及び脱水状態の両方の、天然のヒドロタルサイト(マグネシウム含有アルミニウムヒドロキシドカーボネート)、合成ヒドロタルサイト、及びアニオン性クレイが含まれる。本発明において使用するのに好適なヒドロタルサイトとしては、Stabiace HT-9(Sakai Chemical)、DHT-4C(Kisuma Chemicals)、並びに米国特許3,879,523号
;4,351,814号;4,656,156号;4,904,457号;5,348,725号;5,246,899号;5,116,587号;5,437,720号;及び5,578,286号に記載されているヒドロタルサイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
[00044]代表的な実施形態においては、本発明のポリアミド組成物は、組成物の最終用
途の美的要件を満足する目的で着色剤を含む。好適な着色剤の例としては、無機顔料(例えば、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、硫化亜鉛、及びカーボンブラック)、及び有機顔料(例えば、フタロシアニン、キナクリドン、及びペリレン)、並びに染料(例えば、ニグロシン及びアントラキノン)など(しかしながらこれらに限定されない)のようなポリアミド中において一般に使用されるものが挙げられる。代表的な実施形態においては、着色剤はカーボンブラックである。
【0038】
[00045]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、60~90重量
%、例えば60~80重量%、例えば60~75重量%、例えば60~70重量%、例えば65~85重量%、例えば65~80重量%、例えば65~75重量%、例えば60~70重量%のポリアミド樹脂を含む。
【0039】
[00046]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、5~35重量%
、例えば5~30重量%、例えば10~25重量%、例えば10~20重量%、例えば15~25重量%、例えば15~20重量%の臭素含有難燃剤を含む。
【0040】
[00047]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、0.01~5重
量%、例えば0.05~5重量%、例えば0.05~3重量%、例えば0.1~3重量%、例えば0.1~2重量%のヒンダードフェノール系熱安定剤を含む。
【0041】
[00048]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、1~10重量%
、例えば1~8重量%、例えば1~6重量%、例えば1~5重量%、例えば2~8重量%、例えば2~6重量%の難燃相乗剤を含む。
【0042】
[00049]代表的な実施形態において、熱可塑性ポリアミド組成物は、0.5~5重量%
、例えば1~5重量%、例えば1~3重量%、例えば0.5~3重量%の可塑剤を含む。
[00050]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、独立して0~5
重量%の滑剤、離型剤、及び酸スキャベンジャーのそれぞれ、例えば独立して0.05~5重量%、例えば0.05~3重量%、例えば0.05~1重量%、例えば0.1~5重量%、例えば0.1~3重量%、例えば0.1~1重量%、例えば1~5重量%、例えば1~3重量%の滑剤、離型剤、及び酸スキャベンジャーを含む。
【0043】
[00051]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂
として65~80重量%の高粘度PA-6,6;難燃剤として15~25重量%のビス(ペンタブロモフェニル)エタン;難燃相乗剤として1~5重量%の三酸化二アンチモン;可塑剤として1~5重量%のジウンデシルフタレート;熱安定剤として0.05~3重量%のN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);及び滑剤/離型剤として0.05~3重量%のN,N’-エチレンビスステアリルアミド;を含む。
【0044】
[00052]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂
として65~80重量%の中粘度PA-6,6;難燃剤として15~25重量%のビス(ペンタブロモフェニル)エタン;難燃相乗剤として1~5重量%の三酸化二アンチモン;可塑剤として1~5重量%のジウンデシルフタレート;熱安定剤として0.05~3重量%のN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);及び滑剤/離型剤として0.05~3重量%のN,N’-エチレンビスステアリルアミド;を含む。
【0045】
[00053]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂
として65~80重量%の低粘度PA-6,6;難燃剤として15~25重量%のビス(ペンタブロモフェニル)エタン;難燃相乗剤として1~5重量%の三酸化二アンチモン;可塑剤として1~5重量%のジウンデシルフタレート;熱安定剤として0.05~3重量%のN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);及び滑剤/離型剤として0.05~3重量%のN,N’-エチレンビスステアリルアミド;を含む。
【0046】
[00054]代表的な実施形態においては、熱可塑性ポリアミド組成物は、ポリアミド樹脂
として65~80重量%の高粘度及び中粘度PA-6,6の混合物;難燃剤として15~25重量%のビス(ペンタブロモフェニル)エタン;難燃相乗剤として1~5重量%の三酸化二アンチモン;可塑剤として1~5重量%のジウンデシルフタレート;熱安定剤として0.05~3重量%のN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);及び滑剤/離型剤として0.05~3重量%のN,N’-エチレンビスステアリルアミド;を含む。
【実施例0047】
実施例1:本発明の代表的なハロゲン含有難燃性ポリアミド組成物の一般的な製造:
[00055]ポリアミド供給材料及び可塑剤をドラム内に配置し、10~15分間回転させ
た。ハロゲン含有難燃剤、難燃相乗剤、フェノール系熱安定剤、滑剤/離型剤、及び着色剤をドラムに加え、更に10~15分間ブレンドした。次に、最終ブレンドをホッパー内
に配置し、220~285℃の範囲の押出機バレル温度、400rpmのスクリュー速度、100kg/時の処理量を有するZSK-40mm二軸押出機の供給口において加えて、所望のポリアミド組成物を与えた。
【0048】
[00056]機械的及び熱的材料特性を測定するために、ポリアミド組成物を含む成形品を
、250~285℃のシリンダー温度(ホッパーからノズルまで)及び95℃の金型温度を用いてVan Dorn50トン射出成形機で製造した。
【0049】
[00057]本発明のポリアミド組成物及びそれから製造された物品の種々の特性を測定す
るために、以下の国際的に認められた標準化試験を使用した。
[00058]ISO-527-2に従って、引張特性、応力、歪、及び弾性率を測定した。
【0050】
[00059]ISO-178に従って、曲げ特性、強度及び弾性率を測定した。
[00060]ISO-179/1eAに従って、23℃におけるシャルピーノッチ付き衝撃
強さを測定した。
【0051】
[00061]ISO-179/1eUに従って、23℃におけるシャルピーノッチなし衝撃
強さを測定した。
[00062]ISO-180に従って、+23℃におけるアイゾットノッチ付き衝撃強さを
測定した。
【0052】
[00063]ISO-75-2/Aに従って、1.80MPaの負荷荷重で熱撓み温度(H
DT)を測定した。
[00064]ISO-11357-3に従って、ポリアミド組成物の融点を測定した。
【0053】
[00065]ASTM-D789に従って、相対粘度(RV)の値を測定した。
[00066]UL94規格に従って、種々の厚さ(0.4mm、0.75mm、1.5mm
、及び3.0mm)の試料について燃焼性試験を行った。
【0054】
[00067]IEC-60695-2-12に従って、種々の厚さ(0.4mm、0.75
mm、1.5mm、及び3.0mm)の試料についてグローワイヤー燃焼性指数(GWFI)を測定した。
【0055】
[00068]IEC-60695-2-13に従い、種々の厚さ(0.4mm,0.75m
m,1.5mm,及び3.0mm)の試料についてグローワイヤー着火温度(GWIT)を測定した。
【0056】
[00069]IEC-60093に従って、体積抵抗率を測定した。
[00070]IEC-60243に従って、絶縁耐力を測定した。
[00071]ASTM-D495に従って、耐アーク性を測定した。
【0057】
[00072]IEC-60112及びASTM-D3638の両方に従って、比較トラッキ
ング指数(CTI)を測定した。
[00073]UL-746に従って、種々の厚さ(0.4、0.75、1.5、及び3.0
mm)の試料について大電流アーク着火性(HAI)試験を行った。
【0058】
[00074]UL-746に従って、種々の厚さ(0.4、0.75、1.5、及び3.0
mm)の試料について熱線着火性(HWI)試験を行った。
[00075]UL-746に従って、高電圧アークトラッキングレート(HVTR)を測定
した。
【0059】
[00076]UL-746に従って、相対温度指数(RTI)値を、電気的、衝撃的、及び
強度基準に関して、種々の厚さ(0.4、0.75、1.5、及び3.0mm)において得た。
【0060】
[00077]表1は、ポリアミド樹脂がPA-6,6であり;難燃剤がビス(ペンタブロモ
フェニル)エタンであり;難燃相乗剤が三酸化二アンチモンであり;可塑剤がジウンデシルフタレートであり;熱安定剤がN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)であり;滑剤/離型剤がN,N’-エチレンビスステアリルアミドである本発明の代表的なポリアミド組成物(以下、実施例1と呼ぶ)に関する標準試験方法の結果を列挙する。
【0061】
【表1-1】
【0062】
【表1-2】
【0063】
[00078]表2~5は、本発明の代表的なポリアミド組成物及び代表的な比較例を列挙す
る。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
[00079]表6は、上記の実施例1~30に関するUL94燃焼性試験データ及び機械的
試験データを列挙する。
【0069】
【表6-1】
【0070】
【表6-2】
【0071】
【表6-3】
【0072】
[00080]表7は、本発明の代表的な組成物に対して試験した幾つかの商業的(従来の)
ポリアミド組成物を列挙する。表8はそれらの組成物の選択された電気的特性を比較し、表9はそれらの伸び/衝撃特性を比較する。
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】
[00081]従来のポリアミド組成物と比較した場合、本発明のハロゲン含有難燃性ポリア
ミド組成物は、予期しなかったことに(i)非充填のPA66組成物に関して、最良のクラスのグローワイヤー着火試験性能(全ての試験した厚さにおいて960℃)を示し;(ii)最小で13%の破断極限伸びを維持することによって優れた靭性を示し;(iii)減少したキャビティ及び射出圧力における射出成形中に薄壁部品の充填を可能にする高い流動性を与える;ことが観察された。
【0077】
[00082]本明細書中において引用される全ての刊行物及び特許は、その全体が参照によ
り組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
60~90重量%のPA-6,6又はPA-6,6/6或いはそれらの組み合わせ
5~35重量%の臭素含有難燃剤
0.01~5重量%のヒンダードフェノール系熱安定剤;及び
1~10重量%の難燃相乗剤;
を含む難燃性ポリアミド組成物であって、
前記割合は前記ポリアミド組成物の合計重量に基づき、前記ポリアミド組成物は非充填である、難燃性ポリアミド組成物
【請求項2】
前記ポリアミド樹脂がPA-6,6である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
前記臭素含有難燃剤が臭素化ポリフェニレンエーテル又は臭素化ポリスチレンである、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
前記ヒンダードフェノール系熱安定剤が、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド);ペンタエリトリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート];N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド);トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート];3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート;又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
前記ヒンダードフェノール系熱安定剤がN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
前記難燃相乗剤が三酸化二アンチモンである、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
0.1~5重量%の滑剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
前記滑剤がN,N’-エチレンビスステアリルアミド又は亜鉛ステアレートである、請求項7に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
0.5~5重量%の可塑剤を更に含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
前記可塑剤がジウンデシルフタレートである、請求項9に記載のポリアミド組成物。
【請求項11】
0.40mm、0.75mm、1.5mm、及び3.0mmの厚さにおいて850℃を超えるグローワイヤー着火温度を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項12】
難燃性ポリアミド組成物の形成方法であって、前記方法が、
PA-6,6又はPA-6,6/6或いはそれらの組み合わせを含むポリアミド供給材料を導入する工程と、
前記ポリアミド供給材料と、臭素含有難燃剤、ヒンダードフェノール系熱安定剤、難燃相乗剤及び滑剤とを混合してブレンドを形成する工程と、
を含み、
前記ブレンドが、
60~90重量%のPA-6,6又はPA-6,6/6或いはそれらの組み合わせ;
5~35重量%の臭素含有難燃剤;
0.01~5重量%のヒンダードフェノール系熱安定剤;及び
1~10重量%の難燃相乗剤;
を含み、
前記割合は前記ポリアミド組成物の合計重量に基づき、前記ポリアミド組成物は非充填である、方法。
【請求項13】
混合が、220~285℃の押出機バレル温度で前記ブレンドを押し出す工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
250~285℃のシリンダーバレル温度で前記ポリアミド組成物を射出成形して物品を形成する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載のポリアミド組成物又は請求項12に記載の方法から得られる物品であって、電気部品又は電子部品である、物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
[00082]本明細書中において引用される全ての刊行物及び特許は、その全体が参照により組み込まれる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)ポリアミド樹脂;
臭素含有難燃剤;及び
ヒンダードフェノール系熱安定剤;
を含む難燃性ポリアミド組成物。
(2)前記ポリアミド樹脂が、PA-4,6;PA-6,I;PA-6,T;PA-6,6;PA-6/6,6;及びそれらの混合物からなる群から選択される、(1)に記載のポリアミド組成物。
(3)前記ポリアミド樹脂がPA-6,6である、(1)に記載のポリアミド組成物。
(4)前記臭素含有難燃剤がビス(ペンタブロモフェニル)エタンである、(1)に記載のポリアミド組成物。
(5)前記ヒンダードフェノール系熱安定剤がN,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)である、(1)に記載のポリアミド組成物。
(6)難燃相乗剤を更に含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(7)前記難燃相乗剤が三酸化二アンチモンである、(6)に記載のポリアミド組成物。
(8)可塑剤を更に含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(9)前記可塑剤がジウンデシルフタレートである、(8)に記載のポリアミド組成物。
(10)滑剤/離型剤を更に含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(11)前記滑剤/離型剤がN,N’-エチレンビスステアリルアミドである、(10)に記載のポリアミド組成物。
(12)着色剤を更に含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(13)前記着色剤がカーボンブラックである、(12)に記載のポリアミド組成物。
(14)酸スキャベンジャーを更に含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(15)前記酸スキャベンジャーがゼオライト又はヒドロタルサイトである、(14)に記載のポリアミド組成物。
(16)60~85重量%の前記ポリアミド樹脂;
5~35重量%の前記臭素含有難燃剤;
1~10重量%の前記難燃相乗剤;
0.01~5重量%の前記ヒンダードフェノール系熱安定剤;
0~5重量%の着色剤;
0.5~5重量%の可塑剤;
0~5重量%の滑剤;
0~5重量%の離型剤;及び
0~5重量%の酸スキャベンジャー;
を含む、(1)に記載のポリアミド組成物。
(17)(1)又は(16)に記載のポリアミド組成物から得られる物品。
(18)前記物品が電気部品又は電子部品である、(17)に記載の物品。