(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177058
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】小型光源を有する波長変換発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20221122BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20221122BHJP
H01L 33/54 20100101ALI20221122BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20221122BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/50
H01L33/54
H01L33/60
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139025
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2020092052の分割
【原出願日】2015-06-05
(31)【優先権主張番号】62/014,288
(32)【優先日】2014-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バサン,グリゴリー
(72)【発明者】
【氏名】モラン,ブレンダン ジュード
(72)【発明者】
【氏名】カゲヤマ,ヒデオ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型光源を有する波長変換半導体発光デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に従った発光構造体は、半導体発光デバイスと、半導体発光デバイスに付着された平坦な波長変換素子とを含む。平坦な波長変換素子が、半導体発光デバイスにより発光された光を吸収し、異なる波長の光を発光する波長変換層を含む。平坦な波長変換素子はさらに、透明層を含む。波長変換層が前記透明層の上に形成されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光構造体であって:
半導体発光デバイスと;
前記半導体発光デバイスに付着された平坦な波長変換素子であり、前記半導体発光デバイスに面する該波長変換素子の底部表面の面積が、前記半導体発光デバイスの頂部表面の面積よりも大きく、
前記底部表面から上方へ延びる第1側端部を有する波長変換層;及び
透明層であり、該透明層に前記波長変換層が形成され、前記波長変換素子の上方表面から延びる第2側端部を有する透明層;
を含む波長変換素子と;
前記半導体発光デバイスの側部、前記第1側端部及び前記半導体発光デバイスの前記頂部表面を越えて延在する前記底部表面の一部に接触する反射体と;
を含む発光構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の発光構造体であり、前記波長変換素子の面積が前記半導体発光デバイスの前記頂部表面の面積の150%以下である、発光構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の発光構造体であり、前記透明層がガラスであり、前記波長変換層が透明材料と混合され前記ガラスの上に積層された蛍光体である、発光構造体。
【請求項4】
請求項1に記載の発光構造体であり、前記波長変換素子が前記半導体発光デバイスの端部を越えて延びる長さが30μm以下である、発光構造体。
【請求項5】
請求項1に記載の発光構造体であり、前記半導体発光デバイスが、成長基板上に配置された半導体構造物を含み、前記波長変換素子が前記成長基板に取り付けられ、前記反射体が前記成長基板の側部に接触する、発光構造体。
【請求項6】
請求項1に記載の発光構造体であり、前記反射体が透明材料中に配置された粒子を含む、発光構造体。
【請求項7】
発光構造体であって:
半導体発光デバイスと;
前記半導体発光デバイスに付着された平坦な波長変換素子であり、前記半導体発光デバイスに面する該波長変換素子の底部表面の面積が、前記半導体発光デバイスの頂部表面の面積よりも大きく、
前記底部表面から上方へ延びる第1側端部を有する波長変換層;及び
透明層であり、該透明層に前記波長変換層が形成され、頂部表面及び該頂部表面から延び前記波長変換層の第1側端部に揃う第2側端部を有する透明層;
を含む波長変換素子と;
前記半導体発光デバイスの側部、前記第1側端部及び前記半導体発光デバイスの前記頂部表面を越えて延在する前記底部表面の一部に接触する反射体であり、該反射体の頂部が前記波長変換素子の上方にある、反射体と;
を含む発光構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の発光構造体であり、前記波長変換素子の面積が前記半導体発光デバイスの前記頂部表面の面積の150%以下である、発光構造体。
【請求項9】
請求項7に記載の発光構造体であり、前記透明層がガラスであり、前記波長変換層が透明材料と混合され前記ガラスの上に積層された蛍光体である、発光構造体。
【請求項10】
請求項7に記載の発光構造体であり、前記波長変換素子が前記半導体発光デバイスの端部を越えて延びる長さが30μm以下である、発光構造体。
【請求項11】
請求項7に記載の発光構造体であり、前記半導体発光デバイスが、成長基板上に配置された半導体構造物を含み、前記波長変換素子が前記成長基板に取り付けられ、前記反射体が前記成長基板の側部に接触する、発光構造体。
【請求項12】
請求項7に記載の発光構造体であり、前記反射体が透明材料中に配置された粒子を含む、発光構造体。
【請求項13】
発光構造体であって:
半導体発光デバイスと;
前記半導体発光デバイスに付着された平坦な波長変換素子であり、前記半導体発光デバイスに面する該波長変換素子の底部表面の面積が、前記半導体発光デバイスの頂部表面の面積と等しく、
前記底部表面から上方へ延びる第1側端部を有する波長変換層;及び
透明層であり、該透明層に前記波長変換層が形成され、頂部表面及び該頂部表面から延び前記波長変換層の第1側端部に揃う第2側端部を有する透明層;
を含む波長変換素子と;
前記半導体発光デバイスの側部、前記第1側端部及び前記半導体発光デバイスの前記頂部表面を越えて延在する前記底部表面の一部に接触する反射体であり、該反射体の頂部が前記波長変換素子と同一平面である、反射体と;
を含む発光構造体。
【請求項14】
請求項13に記載の発光構造体であり、前記透明層がガラスであり、前記波長変換層が透明材料と混合され前記ガラスの上に積層された蛍光体である、発光構造体。
【請求項15】
請求項13に記載の発光構造体であり、前記半導体発光デバイスが、成長基板上に配置された半導体構造物を含み、前記波長変換素子が前記成長基板に取り付けられ、前記反射体が前記成長基板の側部に接触する、発光構造体。
【請求項16】
請求項15に記載の発光構造体であり、前記成長基板が、前記半導体発光デバイスの前記頂部表面の面積と等しい頂部表面を有する、発光構造体。
【請求項17】
請求項13に記載の発光構造体であり、前記反射体が透明材料中に配置された粒子を含む、発光構造体。
【請求項18】
請求項13に記載の発光構造体であり、前記反射体が前記波長変換素子の頂部表面に配置された、発光構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年6月19日に出願された米国仮出願第62/014288号に基づく優先権を主張し発明の名称を「小型光源を有する波長変換発光デバイス」として2015年6月5日に出願された国際出願PCT/IB2015/054261の国内移行出願である。国際出願PCT/IB2015/054261及び米国仮出願第62/014288号を参照して本明細書に引用する。本発明は、波長変換発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LEDs)、共振空洞発光ダイオード(RCLEDs)、垂直共振器レーザーダイオード(VCSELs)及び端面発光レーザ(edge emitting lasers)を含む半導体発光デバイスは、現在入手できる最大効率光源に属する。可視スペクトルにわたり動作可能な高輝度発光デバイスの製造において現在興味ある材料系は、III-V族半導体、特に、III-窒化物材料とも呼ばれる、ガリウム、アルミニウム、イリジウム及び窒素の二元、三元、四元合金を含む。代表的には、サファイア、シリコンカーバイド、III-窒化物その他の好適な基板上に、金属有機化学蒸着(MOCVD)、分子ビームエピタキシ(MBE)その他のエピタキシャル技法によって、異なる混合物及びドーパント濃度の半導体層の積み重ねをエピタキシャル成長させることにより、III-窒化物発光デバイスが製造される。該積み重ねはしばしば、基板上で形成した、例えばシリコンでドーピングした1層以上のn型層と、n型単一層又複数層の上で形成した、活性領域内の1層以上の発光層と、活性領域上で形成した、例えばMgでドーピングした1層以上のp型層とを含む。n型及びp型領域上に、電気的接続が形成される。
【0003】
図1A、1B、1C及び1Dは、米国特許出願公開第2013/0187174号公報に詳述された、蛍光体変換LEDを形成する方法を図示している。
図1Aにおいて、ベース410が提供され、ベース410に隣接するコンタクト220を用いて、発光素子(light emitting elements (LEEs))210がベース410上に位置づけられ、或いはそこに接着されている。発光素子は、隣り合う素子との間にスペース405を有する。ベース410は、「モールド基板(mold substrate)」とも呼ばれる。一実施形態において、ベース410は、接着フィルム又は接着テープを含み、或いは基本的に接着フィルム又は接着テープで構成される。ある実施形態において、ベース410は、蛍光体230に対する比較的に弱い接着性を有する材料を含み、或いは基本的にそのような材料で構成され、すなわち、硬化した蛍光体230をベース410から除去することを可能にする。
【0004】
図1Bにおいて、バリア450が形成されている。バリア450は、表面435に対して垂直又は実質的に垂直であるものとして図示されている。隣接する発光素子210間のスペース405を調節して、
図1Dに示すように、発光素子210の側部の周囲の、硬化した蛍光体230の幅を制御することができる。発光素子210間のスペース405は、蛍光体の所望の側壁厚さの2倍と切り溝(kerf)との和により大体決定される。切り溝(kerf)とは、仕上げたダイ200の個片化プロセスの際に除去される領域の幅のことであり、例えば
図1Dにおいて切り溝470として認識されている。発光素子210を越える硬化蛍光体230の厚さは、
図1Bに示されるように形成され或いは調整された蛍光体420の厚さ425を制御することにより、制御することができる。発光素子210を越える硬化蛍光体230の厚さ260は、調整された蛍光体の厚さ425から発光素子の厚さ445を減算した値により大体与えられる。蛍光体420は、蛍光体及びバインダーを含み、或いは基本的にそれらから構成される。蛍光体420は、選択的な側部又はバリア450及びベース410の表面435に封じ込められ、或いは拘束される。蛍光体420は、底部表面又は底面460、及び頂部表面又は頂面440を有し、これらは互いに実質的に平行である。
【0005】
蛍光体420は次に、硬化され、
図1Cに示すような硬化蛍光体230を製造する。
【0006】
図1Dにおいて、図示の構造体からダイ200が分離され、或いは個片化される。白色ダイ200は、約0.25mm乃至約5mmの範囲の寸法を有して良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0187174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、小型光源を有する波長変換半導体発光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に従った発光構造体は、半導体発光デバイスと、半導体発光デバイスに付着された平坦な波長変換素子とを含む。平坦な波長変換素子が、半導体発光デバイスにより発光された光を吸収し、異なる波長の光を発光する波長変換層を含む。平坦な波長変換素子はさらに、透明層を含む。波長変換層が前記透明層の上に形成されている。
【0010】
本発明の実施形態に従った方法は、透明層の上に配置された波長変換層を含む波長変換素子を形成する形成ステップを含む。次に、波長変換素子が半導体発光デバイスのウェファに付着される。波長変換素子及び半導体発光デバイスのウェファは次に、ダイシングされ、複数の発光素子を形成する。複数の発光素子が、ハンドリング基板の上に配置される。複数の発光素子の間に反射性材料が配置される。
【0011】
本発明の実施形態に従った方法は、透明層の上に配置された波長変換層を含む波長変換素子を形成する形成ステップを含む。次に、波長変換素子が、ダイシングされて、ハンドリング基板の上に配置された複数の半導体発光デバイスに付着される。波長変換素子が次にダイシングされ、複数の発光素子を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】蛍光体変換発光素子を形成する方法を図示している。
【
図1B】蛍光体変換発光素子を形成する方法を図示している。
【
図1C】蛍光体変換発光素子を形成する方法を図示している。
【
図1D】蛍光体変換発光素子を形成する方法を図示している。
【
図2】III-窒化物LEDの一例を図示している。
【
図3】透明層上に配置された波長変換層を図示している。
【
図4】LEDのウェファに付着された
図3の構造体を図示している。
【
図5】ウェファを個々のLEDにダイシングし、LEDをハンドリング基板に付着し、LED上に反射性材料を形成した後の
図4の構造体を図示している。
【
図6】余分な反射性材料を除去した後の
図5の構造体を図示している。
【
図7】LEDに付着された透明層の上に配置された波長変換層を有する、ハンドリング基板上に配置された個々のLEDを図示している。
【
図8】
図7に示された2個のLEDを個片化する様子を図示している。
【
図9】LED上に配置された反射性材料を有する、ハンドリング基板の上に配置された
図7の個片化されたLEDを図示している。
【
図10】余分な反射性材料を除去した後の
図9の構造体を図示している。
【
図11】波長変換層から基板を除去した後の
図10の構造体を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
蛍光体が
図1Dの発光素子の端部を越えて延在するので、
図1Dに示すデバイスは、蛍光体層のない発光ダイオードよりも大きな光源寸法を有する。大きな光源寸法のために、
図1Dに示すデバイスは、小型光源において発光される同じ光量のものよりも輝度が小さいかも知れない。大きな光源寸法のために、
図1Dに示すデバイスが、ある応用においては望まれなくなる。
【0014】
本発明のある実施形態は、製造するのに廉価である、比較的に小型の光源を有する波長変換デバイスを含む。
【0015】
以下の実施形態における半導体発光デバイスは青色光又はUV光を発するIII-窒化物LEDであるが、レーザーダイオードなどのLED以外の半導体発光デバイス、及び他のIII-V族材料、III-燐化物、III-ヒ化物、II-VI族材料、ZnO、又はSi-ベースの材料などの他の材料でできた半導体発光デバイスを用いることもできる。
【0016】
図2は、本発明の実施形態で用いることができるIII-窒化物LED1を図示している。適切な如何なる半導体発光デバイスを用いることもでき、本発明は
図2に示すデバイスに限定されない。
図2のデバイスは、当技術分野において知られているように、成長基板10上にIII-窒化物半導体構造体を成長させることにより、形成される。成長基板はしばしば、サファイアであるが、例えばSiC、Si、GaN又は複合物基板などの如何なる適切な基板であっても良い。III-窒化物半導体構造を成長させる成長基板の表面はパターン付け、粗面化又は織り目化(textured)されてよく、デバイスからの光取り出しを改善する。成長表面(すなわち、フリップチップ形状において主な光が取り出される表面)に対抗する成長基板の表面は、成長前又は後に、パターン付け、粗面化又は織り目化(textured)されてよく、デバイスからの光取り出しを改善する。
【0017】
半導体構造体は、n型領域とp型領域との間に挟まれた発光領域又は活性領域を含む。n型領域16は、最初に成長されて良く、異なる組成及びドーパント濃度の多重層を含んで良い。多重層の例としては、バッファ層又は核生成層(nucleation layer)などの調整層(preparation layer)があり、n型又は意図的にはドーピングしていない層、n型又はp型デバイス層であってよく、発光領域が効率的に発光することのために望まれる特定の光学特性、材料特性又は電気的特性を狙って設計することができる。発光領域又は活性領域18は、n型領域上で成長される。好適な発光領域の例として、単一の厚い若しくは薄い発光層又は多重量子井戸発光領域を含む。多重量子井戸発光領域は、バリア層により分離された多重の薄い又は厚い発光層を含む。p型領域20は、発光領域の上に成長される。n型領域と同様に、p型領域も、意図的にはドーピングしていない層又はn型層を含む、異なる組成、厚さ、ドーパント濃度の多重層を含んでもよい。
【0018】
成長後に、p型コンタクトがp型領域上に形成される。p型コンタクト21はしばしば、反射性金属と反射性金属の電気的マイグレーションを防止又は減少するガードメタルなどの多重導電層を含む。反射性金属はしばしば、銀であるが、如何なる好適な単一材料又は複合材料を用いることができる。p型コンタクト21の形成後に、p型コンタクト21、p型領域20及び活性領域18の一部が除去されて、n型領域16の一部が露出される。その露出された部分の上にn型コンタクト22が形成される。n型コンタクト22及びp型コンタクト21は、ギャップ25により互いに電気的に絶縁されている。ギャップ25は、シリコンの酸化物その他の好適な材料などの誘電体で充填しても良い。多重n型コンタクトビアを形成しても良く、n型コンタクト22及びp型コンタクト21は、
図2に示す配列に限定されない。n型コンタクト22及びp型コンタクト21は、当技術分野で知られているような、誘電体/金属スタックを伴うボンディングパッドを形成するように再配置されても良い。
【0019】
LED1への電気的接続を形成するために、1つ又はそれ以上の相互接続部26及び28が形成され、或いはn型コンタクト22及びp型コンタクト21に電気的に接続される。相互接続部26は、
図2のn型コンタクト22に電気的に接続される。相互接続部28は、p型コンタクト21に電気的に接続される。相互接続部28及び26は、誘電層24及びギャップ27によって、n型コンタクト22及びp型コンタクト21から電気的に絶縁され、かつ互いに絶縁されている。相互接続部26及び28は、例えば、ハンダ、スタッドバンプ、金層その他の好適な構造物であって良い。半導体構造体、n型コンタクト22及びp型コンタクト21、並びに相互接続部26及び28は、LED構造体12として、後続の図面に示される。
【0020】
基板10は、薄化され或いは完全に除去されても良い。ある実施形態において、薄化され露出された基板10の表面は、パターン付け、織り目化(textured)又は粗面化されてよく、光取り出しを改善する。
【0021】
単一のウェファ上に多くの個々のLEDが形成され、デバイスのウェファからダイシングされる。如何なる好適なデバイスをも用いることができる。本発明は、
図2に示す特定のLEDに限定されない。基板10及びLED構造体12の合計厚さは、ある実施形態において少なくとも50μm、ある実施形態において500μmを越えず、ある実施形態において少なくとも100μm、ある実施形態において250μmを越えない値であって良い。基板10は、ある実施形態において250μm厚を越えず、ある実施形態において150μm厚を越えず、ある実施形態において少なくとも100μm厚の値であって良い。
【0022】
LEDとは別個に、
図3に示すように、波長変換素子が形成される。波長変換素子は、支持基板30及び波長変換層32を含む。波長変換素子はウェファスケール上に形成され、
図3に示す波長変換素子は、多くの個々の波長変換素子のウェファとみなして良いことを意味する。
【0023】
ある実施形態において、支持基板30が発光デバイスの一部になる。これらの実施形態において、支持基板30は、LEDにより発光される光及び/又は蛍光体により発光される光に対して透明な材料を有して良い。支持基板は十分に強固であって良く、波長変換素子をLEDに付着させた後に生じる如何なる処理ステップにも耐え、かつ、発光デバイスの動作条件にも耐えうる。支持基板は、発光デバイスにとって光学的に適切である材料で形成することができる。支持基板30は、例えばガラス、シリコーン、ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)その他の適切な材料であって良い。
【0024】
ある実施形態においては、支持基板30が除去されて、支持基板30は半導体発光デバイスの一部を構成しない。これらの実施形態において、支持基板30の材料は、支持基板30が受ける処理ステップのコスト及び適切性により選択される。処理後に支持基板30が除去されるならば、支持基板30は、透明である必要はない。
【0025】
波長変換層32は、例えば、在来の蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、III-V族若しくはII-VI族半導体、III-V族若しくはII-VI族半導体量子ドット若しくはナノ結晶、ダイ、高分子、又はその他の蛍光を発する蛍光体であってよい波長変換材料を含む。波長変換材料は、LEDにより放出された光を吸収し、一つの又は複数の異なる波長の光を放出する。LEDから放出された非変換光はしばしば、構造体から取り出される光の最終スペクトルの一部であるが、そうでなくとも良い。通常の混合の例としては、黄色発光波長変換材料に混合される青色発光LED、緑色及び赤色発光波長変換材料に混合される青色発光LED、青色及び黄色発光波長変換材料に混合される紫外線発光LED並びに青色、緑色及び赤色発光波長変換材料に混合される紫外線発光LEDがある。他の色の光を放出する波長変換材料を追加しても良く、構造体から取り出される光のスペクトルを調整することができる。
【0026】
波長変換層32は、波長変換材料と混合されたシリコーンなどの透明材料を含んで良い。波長変換層32が形成され、何らかの適切な技法により、支持基板30に付着される。ある実施形態において、透明材料と混合された波長変換材料である波長変換層32が、ガラス支持基板30の上に、分配され(dispense)、スクリーン印刷され、ステンシル印刷され、スピンコーティングされ、積層され、成型され、或いは他の方法で形成される。波長変換層32は、例えば波長変換層を光及び/又は昇温に露出することによる硬化又はキュアリング(curing)を含むプロセスにより形成することができる。例えば、ある実施形態において120℃を越える温度で、ある実施形態において180℃未満の温度で、積層波長変換層32をキュアリングすることができる。ある実施形態において、波長変換層32を支持基板上に配置した時に部分的にキュアリングし、例えば発光デバイスに付着した時などの後のプロセス中に部分的にキュアリングする。
【0027】
波長変換層32は、ある実施形態において少なくとも30μmの厚さ、ある実施形態において100μm以下の厚さ、ある実施形態において少なくとも50μmの厚さ、ある実施形態において80μm以下の厚さを有する。支持基板30は、ある実施形態において波長変換層32よりも薄くて良いが、そうでなくとも良い。ガラスなどの透明支持基板30は、ある実施形態において少なくとも10μmの厚さ、ある実施形態において少なくとも20μmの厚さ、ある実施形態において200μm以下の厚さ、ある実施形態において150μm以下の厚さ、ある実施形態において60μm以下の厚さ、ある実施形態において50μm以下の厚さを有して良い。
【0028】
図4において、
図3で示された波長変換素子が、LEDウェファがダイシングされる前に、LEDのウェファに付着されている。支持基板30の反対側にある波長変換層32の表面が、LED構造体12A~12Fの反対側にある基板10の表面に付着されている。波長変換層32内の透明材料が基板10へ付着するように、シリコーンその他の適切な接着剤を用いて接着すること、又は波長変換素子を加熱することなどの如何なる適切な技法によっても、波長変換素子をLEDウェファに付着させることができる。
【0029】
次に、
図4に示した構造体が個々のLEDに、又は一群のLEDにダイシングされる。
図4に示した構造体は、例えば、
図4に示した領域34において、支持基板30、波長変換層32、基板10及びLED構造体12A~12Fの一部に亘って切断することにより、ダイシングされる。これらの層を単一の切断ステップ内でともに切断することもでき、或いは個々的な層を多数回切断ステップ内で別個に切断することもできる。例えば、基板10及びLED構造体12を、例えばスクライビング(scribing)及びブレーキング(breaking)によって切断しても良く、その後に或いは前に、例えばソーイング(sawing)によって支持基板30及び波長変換層32を切断しても良い。例えばソーイング、レーザースクライビング、スクライビング-ブレーキング(scribe-and-break)、ブレード切断(blade cutting)その他の適切なプロセスなどの如何なる切断技法をも用いることができる。
図4には6個の個々のLEDが示されているが、LEDウェファは、より多くの個々のLEDを含んでも良い。
【0030】
図5において、
図4でダイシングされたLEDがハンドリング基板40上に位置されている。3個のLED38A、38B及び38Cを含む単一のハンドリング基板40のわずかに一部が
図5に図示されている。
図5及び
図6に図示されているプロセスは、数百又は数千のLEDが単一のハンドリング基板40上に位置されているというスケーリングで実行されうる。ハンドリング基板40は、例えば、ウェファハンドリングテープなどの、LEDを後に除去できる如何なる適切な構造体であっても良い。LEDは、ある実施形態において少なくとも100μm離れ、ある実施形態において少なくとも150μm離れ、ある実施形態において少なくとも200μm離れ、ある実施形態において少なくとも500μm以下だけ離れていて良い。
【0031】
反射性材料36が、LED38A、38B及び38Cの上に配置される。反射性材料は、例えば透明材料中に配置されたTiO2などの白色性又は反射性粒子であって良い。反射性粒子又は透明材料は、屈折率における対比を形成し、光を散乱し、且つ/或いは反射する。反射性材料は、如何なる適切な技法によっても形成することができる。例えば、反射性材料は、LEDの上に成型され(molded)、分配され(dispensed)、積層され(laminated)、その他の方法で配置される。
【0032】
ある実施形態において、
図5に図示されているように、過剰な(42)反射性材料36がLED38A、38B及び38Cの頂部の上に形成される。
図5に示す過剰材料42は、
図6に示すように除去することができる。過剰材料42は、ドライビードブラスティング(dry bead blasting)、ウェットビードブラスティング(wet bead blasting)、グラインディング(grinding)、ポリッシング(polishing)、機械的技法、エッチング(etching)などの如何なる適切な技法によっても除去することができる。過剰材料が除去された後に、LED38A、38B及び38Cの頂部が露出される。頂部表面46は、波長変換層32とは反対側にある支持基板30の表面である。ある実施形態において、過剰材料42を除去するための技法が選択されて、頂部表面46を粗面化し、ポリッシングし、織り目化(textured)し、或いはパターン付けして、デバイスからの光取り出しを改善する。変形的には、別個のプロセスステップで、頂部表面を粗面化し、ポリッシングし、織り目化(textured)し、或いはパターン付けしても良い。ある実施形態において、
図5に示される過剰材料42が除去された後に、LEDの間の反射性材料36の頂部表面48は、LED38A、38B及び38Cの頂部表面と同一レベルである。
【0033】
ある実施形態においては、
図5に示されるように、過剰反射性材料を除去した後に、LEDの間の反射性材料36の頂部表面48は、LED38A、38B及び38Cの頂部表面と異なるレベルである。特定の実施形態においては、LEDの間の反射性材料36の頂部表面48は、LED38A、38B及び38Cの頂部表面より下方であっても良い。反射性材料の厚さをLEDの頂部表面よりも下方に減少させることは、有用である。例えば、反射性材料を形成した後に支持基板30を除去する場合の後述の実施形態において、有用である。
【0034】
次に、例えば
図6に示す領域50においてLED間の反射性材料を切断することにより、LEDを個々のデバイス又は1群のデバイスに分離することができる。用いる特定のハンドリング基板に適切な如何なる技法によっても、LEDをハンドリング基板40から除去することができる。反射性材料36がLEDの側部に配置されているので、主にLEDの頂部表面(
図6に示す実施形態においては波長変換部材の支持基板30の表面)を通じて、最終デバイスからの光が取り出される。切断後のLEDの側部にある反射性材料の厚さは、ある実施形態において少なくとも30μm、ある実施形態において少なくとも50μm、ある実施形態において少なくとも100μm、ある実施形態において少なくとも50μm以下である。
【0035】
ある実施形態において、
図7、8、9、10及び11に図示されるように、LEDがLEDのウェファから分離された後に、
図3に示した波長変換素子ウェファが一群のLEDに付着される。これらの実施形態において、LEDウェファは、波長変換素子ウェファの前にダイシングされる。
図4を参照して上述したように、波長変換素子とLEDウェファを同時にダイシングすることは困難であろう。
【0036】
図7において、予めダイシングされたLEDがハンドリング基板40上に配置される。4個のLED52A、52B、52C及び52Dを含む単一ハンドリング基板40の一部のみが
図7に図示されている。
図7~11に図示されているプロセスは、数百個のLEDが単一ハンドリング基板40上に配置されているスケーリングとして理解することができる。ハンドリング基板40は、例えばウェファハンドリングテープなどの、LEDを後に除去できる如何なる適切な構造体であっても良い。
【0037】
図3において上述したように、波長変換素子ウェファが、何らかの適切な材料又は技法によって、LEDの頂部表面に付着されている。
図7に図示されるように、波長変換層32がLEDと支持基板30との間に位置されるように、波長変換素子が付着される。反対に、支持基板30がLEDと波長変換層32との間に配置されるのも可能である。
【0038】
波長変換素子ウェファは、次に、単一デバイスの群又は複数のデバイスの群を形成するように、領域51において切断される。LED52Aと52Bとの間における波長変換素子ウェファの切断が、
図8に図示されている。
【0039】
完成したデバイスにおいて、単一LED上の波長変換部材は、LEDの頂部表面の寸法にできるだけ近いのが好ましく、それにより光源寸法を限定して、もってデバイスの効率を改良することができる。したがって、例示的なLED52A及び52Bは、ハンドリング基板40上で、互いにできるだけ近い間隔である。LED52Aと52Bとの間の空間(スペース)は、波長変換素子の切断から生じる切り溝(kerf)の幅、及び波長変換素子切断動作の許容誤差により決定される。
【0040】
切り溝の幅は、用いる切断技法に依存して変化し得る。例えば、ソーイング(sawing)により形成される切り溝56は、ある実施形態において75μm幅以下であり、ある実施形態において50μm幅以下であり、ある実施形態において25μm幅以下であり、ある実施形態において少なくとも10μm幅であって良い。隣接するデバイス間のスペース54は、ある実施形態において150μm以下であり、ある実施形態において100μm以下であり、ある実施形態において50μm以下であり、ある実施形態において少なくとも30μmであって良い。切断後に波長変換部材がLEDを越えて外方に延びる長さであるオーバーハング58は、ある実施形態において50μm以下であり、ある実施形態において30μm以下であり、ある実施形態において20μm以下であり、ある実施形態において少なくとも10μmであって良い。
【0041】
図8に図示されるように、各LED上の波長変換層32は、LEDの側部を越えて下方に延びないように実質的に平坦である。ある実施形態において、波長変換層の面積は、LEDの頂部表面の面積よりも大きい。波長変換層の面積は、ある実施形態においてLEDの頂部表面の面積の少なくとも100%であり、ある実施形態においてLEDの頂部表面の面積の少なくとも110%であり、ある実施形態においてLEDの頂部表面の面積の125%以下であり、ある実施形態においてLEDの頂部表面の面積の150%以下であり、ある実施形態においてLEDの頂部表面の面積の200%以下である。ある実施形態においては、波長変換層の面積は、LEDの頂部表面の面積と同一であり、或いはLEDの頂部表面の面積よりわずかに小さい。
【0042】
図9において、
図8に示すように波長変換素子ウェファを切断して個々のLEDの群又は複数個のLEDの群を形成した後に、LED60A、60B及び60Cがハンドリング基板40から除去され、異なるハンドリング基板41上に位置づけられる。異なるハンドリング基板41は、如何なる適切な材料であっても良く、例えばウェファハンドリングテープなどのように、ハンドリング基板40と同じタイプのハンドリング基板であっても良い。
【0043】
変形的には、LEDは、
図8に図示されているようにハンドリング基板40上に残しても良く、LED間のスペースがさらに離れるように延ばされるかも知れない。
図9のLED間のスペースは、ある実施形態において少なくとも100μm離れ、ある実施形態において少なくとも150μm離れ、ある実施形態において少なくとも200μm離れ、ある実施形態において500μm以下離れても良い。
【0044】
反射性材料36は、
図5に関して上述したように、LED上にモールドされる。
【0045】
図10において、
図6に関して上述したように、LEDの頂部を越えた過剰の反射性材料が除去される。
図6に関して上述したように、過剰の反射性材料が除去された後に、LEDの頂部60A、60B及び60Cが露出される。頂部表面64は、波長変換層32とは反対側にある支持基板30の表面である。ある実施形態において、過剰反射性材料を除去するための技法が選択されて、頂部表面64を粗面化し、ポリッシングし、織り目化(textured)し、或いはパターン付けして、デバイスからの光取り出しを改善する。
【0046】
ある実施形態において、過剰反射性材料が除去された後に、LEDの間の反射性材料36の頂部表面62は、LED60A、60B及び60Cの頂部表面と同一レベルである。ある実施形態においては、
図10に示されるように、過剰反射性材料を除去した後に、LEDの間の反射性材料36の頂部表面62は、LED60A、60B及び60Cの頂部表面と異なるレベルである。特定の実施形態においては、LEDの間の反射性材料36の頂部表面62は、LED60A、60B及び60Cの頂部表面より下方であっても良い。反射性材料の厚さをLEDの頂部表面よりも下方に減少させることは、有用である。例えば、反射性材料を形成した後に支持基板30を除去する場合の後述の実施形態において、有用である。
【0047】
反射性材料を領域68において切断することにより、個々のLEDの群又は複数個のLEDの群を形成することができ、
図6を参照して上述したように、ハンドリング基板41からデバイスを除去できる。
【0048】
図11は、支持基板30が波長変換層32から除去された状態のデバイスを図示している。
図11に図示されている構造体において、
図6又は
図10で図示されたように、反射性材料を形成し過剰な反射性材料を除去した後であり、反射性材料を切断して個々のLEDの群又は複数のLEDの群を形成する前に、支持基板30がデバイスから除去される。
【0049】
支持基板が除去される、ある実施形態において、支持基板は、除去を容易とするために選択される材料であって良い。例えば、支持基板はPETであって良い。
図3の波長変換素子を形成する時に、シリコーン接着剤又は熱開放(thermal release)接着剤などの接着剤の層を波長変換層32と支持基板30との間に配置しても良い。
【0050】
図6又は
図10に図示される支持基板ピース30は、例えばテープ・トゥー・テープ・トランスファー(tape-to-tape transfer)、熱開放(thermal release)その他の如何なる適切な技法によっても除去することができ、結果として
図11に示すような構造体をもたらす。
【0051】
支持基板を除去した後に、3個のLED72A、72B及び72Cの各々の頂部表面66は、波長変換層32の表面である。支持基板の除去中又は除去後に、波長変換層32の表面を織り目化(textured)し、パターン付けし、或いは粗面化して、光取り出しを改善できる。過剰反射性材料の除去中に、反射性材料を薄化することにより、支持基板の除去後にLEDの頂部表面66を反射性材料36の頂部表面62と実質的に同一レベル又は同一平面にすることができる。要求されているわけではないが、LEDの頂部表面66は反射性材料の頂部表面62の上方又は下方であって良い。
【0052】
支持基板の除去後に、領域70においてLED間の反射性材料が切断され、デバイスを個々のLEDの群又は複数個のLEDの群へと分離する。
【0053】
本発明を詳細に説明してきたけれども、本開示により、ここで説明した本発明概念の真意から逸脱せずに多くの修正が可能であることが当業者に理解される。ゆえに、本発明の範囲を本明細書で説明した特定実施形態に限定することは意図されていない。
【外国語明細書】